JPH0733003U - 誘電体積層ｌｃフィルタ - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 共振器パターン同士の結合度等の他の特性を
変化させることなく、中心周波数の調整を可能にする簡
便な機構を具えた誘電体積層ＬＣフィルタを提供するこ
とにある。 【構成】 本考案は、図１に示すように前記共振器パタ
ーン６Ａ、６Ｂが形成された誘電体２０Ｂの上下両面側
を、シールドパターン７Ａ、７Ｂが形成された誘電体２
０Ａ、２０Ｃで挟持すると共に、該シールドパターン７
Ａ、７Ｂが形成された少なくとも一の誘電体２０Ｃの外
層側に、入力端子部９又は出力端子部８の少なくとも一
方に直流的に接続してなる導体パターン１４、１４を設
けた誘電体２０を積層配設した事を特徴とするものであ
る。

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】

本考案は、チップ形状の誘電体積層ＬＣフィルタに係り、特に多層基板内に、 互いに磁気的又は電気的に結合してなる２つのストリップライン共振器パターン が形成された誘電体積層ＬＣフィルタに関する。

【０００２】

【従来の技術】

誘電体積層ＬＣフィルタは、同軸共振器を利用した誘電体フィルタ等と比較し て小型で低コストであることから、通信機器の高周波用フィルタとして用いられ ている。 かかる誘電体積層ＬＣフィルタの内、誘電体４層を使用した従来技術に係る積 層ＬＣフィルタについて図２に基づいて説明するに、前記４層からなる誘電体２ １Ａ…はいずれも、長手面の一側面にグランド用側面パターン１０が、又図上右 短手側面に信号入力用側面パターン９が、更に図上左短手側面に信号出力用側面 パターン８が、夫々形成されており、これらの各誘電体が積層固定された際に電 気的に一体化されて、夫々ＬＣフィルタのグランド用側面パターン１０、信号入 力用側面パターン９、及び信号出力用側面パターン８として機能する。

【０００３】 そして前記各層の誘電体２１Ａ…は、下面側より、上面にシールドパターン７ Ａが形成されている第一層目の誘電体２１Ａ、電気的又は磁気的に結合している 一対の共振器パターン６Ａ、６Ｂが上面に形成されている第二層目の誘電体２１ Ｂ、上面にシールドパターン７Ｂが形成されている第三層目の誘電体２１Ｃ、及 び第３層目の誘電体２１Ｃの上に、導体パターンを持たない第４層目の誘電体２ １Ｄが形成され、これらを一体的に積層して構成する。

【０００４】 尚、第二層目の誘電体２１の上面には、信号入力用側面パターン９と連接する 信号入力パターン４、信号出力用側面パターン８と連接する信号出力パターン５ を夫々長手方向端部に形成すると共に、該信号入力パターン４と信号出力パター ン５夫々に連設して対称形状の二つの共振器パターン６Ａ、６Ｂを形成している 。 該共振器パターン６Ａ、６Ｂは、一方の端面を信号入力パターン４（若しく は信号出力パターン５）とグランド用側面パターン１０とに短絡させて連設し、 他方の端面を開放させた略横コの字状にして対称形状の一対のストリップライン 〜なり、両パターン６Ａ、６Ｂを夫々電気的又は磁気的に結合させている。

【０００５】 かかる積層ＬＣフィルタでは、製造工程で、材料のバラツキ、誘電体厚みのバ ラツキ、積層時のパターンのズレ、切断時のズレ等により、どうしても中心周波 数のバラツキが生じるため、製造後において中心周波数の調整が必要である。

【０００６】 図３は、かかる中心周波数等の調整を可能にした積層ＬＣフィルタを示す従 来例で、第３層目の誘電体２１Ｃ上面のシールドパターン７Ｂの一部パターンを 方形状に削成した削成部１１を形成するとともに、その上面側の導体パターンを 持たない誘電体２１Ｄの間に、上面に前記削成部１１とほぼ同形で且つ同一位置 に調整用ランドパターン１２を形成した誘電体２２を配設する。 そして前記従来技術によれば、例えばレーザー等によって前記した調整用ラン ドパターン１２を削成して削成部１１から漏洩している電磁界を変化させ、中心 周波数を所望の値に調整するものであるが、製造工程で生じる中心周波数の変化 を調整用ランドパターン１２を削成することによって調整する方法をとると、共 振周波数のみでなく、共振器パターン６Ａ、６Ｂ同士の結合度等の他の特性も変 化してしまう場合があった。

【０００７】

【考案が解決しようとする課題】

従って前記の構成の誘電体積層ＬＣフィルタは、中心周波数の調整をする場合 、レーザー等で調整用ランドパターン１２を削成するという方法を採用すると、 共振周波数のみでなく、共振器パターン６Ａ、６Ｂ同士の結合度等の他の特性も 変化してしまうという問題点があった。 本考案の目的は共振器パターン同士の結合度等の他の特性を変化させることな く、中心周波数の調整を可能にする簡便な機構を具えた誘電体積層ＬＣフィルタ を提供することにある。

【０００８】

【課題を解決するための手段】

本考案は、入力端子部９又は出力端子部８の少なくとも一方に直流的に接続し てなる導体パターンを、シールドパターン７Ｂが形成された誘電体２１Ｃの外層 側に位置する誘電体２０の表面に、少なくとも１つ設けたことを特徴とするもの である。 そしてより具体的には、図１に示すように前記共振器パターン６Ａ、６Ｂが 形成された誘電体２０Ｂの上下両面側を、シールドパターン７Ａ、７Ｂが形成さ れた誘電体２０Ａ、２０Ｃで挟持すると共に、該シールドパターン７Ａ、７Ｂが 形成された少なくとも一の誘電体２０Ｃの外層側に、入力端子部９又は出力端子 部８の少なくとも一方に直流的に接続してなる導体パターン１４、１４を設けた 誘電体２０を積層配設した事を特徴とするものである。

【０００９】

【作用】

本考案によれば、入力端子部９又は出力端子部８の少なくとも一方に直流的に 接続しかつ誘電体２０表面に設けられた導体パターン１４は共振器パターンに接 続された容量または開放スタブとして働くため、この導体パターン１４をレーザ 等により削成することによりフィルタの中心周波数を変化させることができる。 この場合前記導体パターン１４は、シールドパターン７Ｂが形成された誘電体 ２０Ｃの外層側に位置する誘電体２０の表面に設けられているために、該導体パ ターン１４をレーザ等により削成した場合においても、シールドパターン７Ｂの 内側に位置する共振器パターン６Ａ、６Ｂに何等悪影響を及ぼす事なく、該共振 器パターン６Ａ、６Ｂ同士の結合度等の他の特性も変化してしまう恐れを完全に 解消できる。

【００１０】

【実施例】

以下、図面に基づいて本考案の実施例を例示的に詳しく説明する。 但し、この実施例に記載されている構造部品の寸法、材質、形状、その相対位 置などは特に特例的な記載がない限りは、この考案の範囲をそれのみに限定する 趣旨でなく単なる説明例に過ぎない。 図１は、本考案の実施例に係る誘電体積層ＬＣフィルタを示す。 本誘電体積層ＬＣフィルタは、前記図２に示す従来技術と同様に、４層からな る誘電体２０Ａ〜Ｃ、２０により構成され、長手面の一側面にグランド用側面パ ターン１０が、又短手側面に夫々信号入力用側面パターン９と信号出力用側面パ ターン８が、夫々形成されている。

【００１１】 そして前記誘電体２０Ａ〜Ｃ、２０各層は下面側より、上面にシールドパター ン７Ａが形成されている第一層目の誘電体２０Ａ、電気的又は磁気的に結合して いる一対の共振器パターン６Ａ、６Ｂが上面に形成されている第二層目の誘電体 ２０Ｂ、上面にシールドパターン７Ｂが形成されている第三層目の誘電体２０Ｃ を有する点は、前記従来技術と同様であるが、第三層目の誘電体２０Ｃの上に、 その上面に中心周波数調整用の導体パターン１４、１４が形成されている第４層 目の誘電体２０が積層配置されている。

【００１２】 前記導体パターン１４、１４は、誘電体２０上面の短手側端より中央側に向け 、帯状に延設して形成され、その側端側を夫々信号入力用側面パターン９と信号 出力用側面パターン８に直流的に接続されている。

【００１３】 この結果、前記調整用導体パターン１４、１４は夫々直流的に信号入力用側面 パターン９と、信号出力用側面パターン８に接続されており、結果として共振器 パターン６Ａ、６Ｂの開放端スタブとして働く。 このため、前記導体パターン１４、１４をレーザ等により削ることによりフィ ルタの中心周波数を変化させることが出来る。

【００１４】 また、この調整用導体パターン１４、１４は、シールドパターン７の外層側に 位置するために共振器パターン６Ａ、６Ｂ同士の結合度には何等影響を殆ど与え ない。

【００１５】

【考案の効果】

以上記載のごとく本考案によれば、互いに磁気的又は電気的に結合してなる２ つのストリップライン共振器パターン同士の結合度等の他の特性を変化させるこ となく、製造後のフィルタの中心周波数の調整を他の特性に影響を与えることな く容易に出来る。 等の種々の著効を有す。

【図面の簡単な説明】

【図１】本考案の実施例に係る誘電体積層ＬＣフィルタ
の分解斜視図である。

【図２】従来技術に係る誘電体積層ＬＣフィルタの分解
斜視図である。

【図３】中心周波数の調整可能な他の従来技術に係る誘
電体積層ＬＣフィルタの分解斜視図である。

【符号の説明】

２０Ａ〜２０Ｃ、２１Ａ〜２１Ｄ、２０、２２ 誘電
体 １４ 調整用導体パターン ８ 出力端子部 ７Ａ、７Ｂ シールドパターン ９ 入力端子 ６Ａ、６Ｂ 共振器パターン １０ グランド用側面パターン

Claims (2)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】 多層基板内に、互いに磁気的又は電気的
   に結合してなる２つのストリップライン共振器パターン
   が形成された誘電体積層ＬＣフィルタにおいて、 入力端子部又は出力端子部の少なくとも一方に直流的に
   接続してなる導体パターンを、シールドパターンが形成
   された誘電体の外層側に位置する誘電体の表面に、少な
   くとも１つ設けたことを特徴とする誘電体積層ＬＣフィ
   ルタ。
2. 【請求項２】 前記共振器パターンが形成された誘電体
   の上下両面側をシールドパターンが形成された誘電体で
   挟持すると共に、該シールドパターンが形成された少な
   くとも一の誘電体の外層側に、入力端子又は出力端子の
   少なくとも一方に直流的に接続してなる導体パターンを
   設けた誘電体を積層配設した事を特徴とする請求項１記
   載の誘電体積層ＬＣフィルタ。