JPH07329801A - 農作業機の操向装置 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 機体の実質的な旋回半径を小さくして、機体
進行方向の折り返しのために生ずる枕地を狭くして作業
能率を高める。また、機体旋回終了時のカウンターステ
アをなくして操向操作を容易にする。 【構成】 操向ハンドル11によって制御された油圧ポン
プＰからの油圧によって、操向車輪Ｓに連動連結した操
向アクチュエータＤを作動させるようにした農作業機に
おいて、油圧ポンプＰと操向アクチュエータＤとの間
に、操向ハンドル11とは別途に設けた別途操向操作手段
Ｂに連動連結した操向用油圧方向制御弁30を介設して、
別途操向操作手段Ｂの操作により操向車輪Ｓを操向回動
させる。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は農作業機の操向装置に関
する。

【０００２】

【従来の技術】従来、パワーステアリング機構を装備し
て、操向ハンドル操作を軽くして操縦を容易にしたもの
がある。

【０００３】一方、乗用の農業用トラクタや田植機等を
用いて、折返し走行しながら耕耘や植付け等の対地作業
を行うには、圃場の端縁部でＵターンし、しかも、作業
のし残しがないように、前行程で対地作業した部分に隣
接して農作業機を走行させることが要求されている。

【０００４】そして、かかる際のＵターンでは、図４で
示すように、Ｕターンの初期ａにおいて、操向ハンドル
を旋回方向に操向限度まで操作して、最小半径旋回ｂを
行い、終期ｄにおいては、農作業機を新たな進行方向に
向けるために、操向ハンドルを直進位置を越えて戻し方
向に操作する必要がある。

【０００５】

【発明が解決しようとする課題】ところが、上記パワー
ステアリングの操向アクチュエータの作動速度が、操向
ハンドルの操作速度に略比例するように構成されている
ため、前記Ｕターンに際し、操向ハンドルを直進位置か
ら操向限度まで回動させるのに時間を要し、そのため操
向アクチュエータの作動速度が遅くなり、図４で示すよ
うに、走行操作の初期ａにおける農作業機の旋回半径が
大きくなり、更に、上記Ｕターンの終期ｄにおいて操向
ハンドルを戻す際にも時間を要する。そのため、実質的
な旋回半径が大きくなって、枕地ｅ、すなわち、旋回の
ために対地作業できない範囲が大きくなり、作業能率が
低下するという問題がある。

【０００６】

【課題を解決するための手段】本発明では、操向ハンド
ルによって制御された油圧ポンプからの油圧によって、
操向車輪に連動連結した操向アクチュエータを作動させ
るようにした農作業機において、油圧ポンプと操向アク
チュエータとの間に、操向ハンドルとは別途に設けた別
途操向操作手段に連動連結した操向用油圧方向制御弁を
介設して、別途操向操作手段の操作により操向車輪を操
向回動させるように構成したことを特徴とする農作業機
の操向装置を提供せんとするものである。

【０００７】

【実施例】本発明の実施例を図面を参照して説明する。

【０００８】図１で示すＡは、本発明に係る操向装置を
具備した農作業機の一例としての乗用トラクタを示して
おり、走行機体１の直後方位置にロータリ耕耘部２を連
結している。

【０００９】走行機体１は、原動機部３を搭載した車体
フレーム４の後端にミッションケース５を連設し、同ミ
ッションケース５の後部に連設した後車軸６を介して後
車輪７を支持すると共に、原動機部３の下方に配設した
アクスルケース８を介して操向車輪Ｓとしての前車輪６
を操向回動自在に支持しており、原動機部３を覆ったボ
ンネット９の後部に操向ハンドル11を立設し、前記ミッ
ションケース５の上面前部に運転席12を載設し、同後部
にロータリ耕耘部２を昇降作動させるための油圧昇降装
置13を載設している。

【００１０】走行機体１の後方には、トップリンク14と
ロワーリンク15よりなる３点リンク機構16を介して前記
ロータリ耕耘部２を昇降自在に連結しており、上記ロワ
ーリンク15の中途部に、昇降連結杆17を介して前記油圧
昇降装置13から後方向に延出したリフトアーム18の先端
部を連動連結して、油圧昇降装置13の作動により、ロー
タリ耕耘部２を昇降作動させるようにしている。

【００１１】また、走行機体１には、操向操作用油圧手
段Ｅを設けており、前記操向ハンドル11の操作によって
作動する操向アクチュエータＤとしての操向シリンダ19
を設けており、同操向シリンダ19のパワーステアリング
動作により前車輪６を操向回動させて旋回や進路修正を
行うようにしている。

【００１２】操向操作用油圧手段Ｅは、図２で示す油圧
回路20に接続しており、同油圧回路20は、原動機部３の
エンジン21に連動連結した油圧ポンプＰの吸入側を作動
油タンクを兼用するミッションケース５に接続し、同油
圧ポンプＰの吐出側をフローコントロールバルブ23に連
通連結して、油圧ポンプＰの圧力がそのまま伝達される
高圧流路24と、油圧ポンプＰの圧力が変動しても略一定
油圧を保持するようにした定圧流路25とに分岐させ、高
圧流路24を昇降用油圧方向制御弁26を介して前記油圧昇
降装置13に連通連結すると共に、定圧流路25を操向ハン
ドル11に連動連結した操向バルブ27に連通連結してい
る。

【００１３】上記操向バルブ27は、操向ハンドル11の回
転速度に比例した流速で作動油を操向シリンダ19に送給
する機能を有する油圧制御弁であり、例えば、住友イー
トン機器株式会社製のオービットロール（商品名）等が
ある。

【００１４】このように、単一の油圧ポンプＰによる低
コストの構造ながら、フローコントロールバルブ23によ
り高圧流路24と定圧流路25とに分岐させ、それぞれに昇
降シリンダ28と操向シリンダ19とを接続したことによっ
て、油圧ポンプＰの吐出量の変化が操向シリンダ19に影
響しなくなり、操向ハンドル11の操作に対する操向車輪
Ｓの反応が略一定になるので、略一定の操向感覚で操向
ハンドル11を操作することができる。

【００１５】かかる農作業機において、本発明では、図
２で示すように、前述した操向操作用油圧手段Ｅとは別
構成の別途操向操作手段Ｂとしての操向レバー29と、こ
れに連動する操向用油圧方向制御弁30を設けて、同操向
用油圧方向制御弁30をフローコントロールバルブ23と操
向シリンダ19との間に介在させることによって、操向レ
バー29の操作により、操向車輪Ｓの急速な操向動作を可
能にして、機体の旋回半径を小さくするようにしてい
る。

【００１６】すなわち、操向ハンドル11の近傍に操向レ
バー29を立設して、同操向レバー29を操向用油圧方向制
御弁30に連動連結すると共に、図２で示すように、同操
向用油圧方向制御弁30の流入側中央ポート31に定圧流路
25を接続し、流入側左右側ポート32,33 に作動油タンク
としてのミッションケース５への戻り油配管34を接続
し、同操向用油圧方向制御弁30の流出側中央ポート35
に、操向バルブ27への油圧配管36を接続し、流出側左右
側ポート37,38 にはそれぞれ操向シリンダ19への操向用
左右配管39,40 を接続している。

【００１７】かかる構成によって、操向レバー29を左
（右）に操作すると、操向用油圧方向制御弁30が左
（右）に作動して、操向バルブ27へのポートを閉鎖し定
圧流路25からの油圧を操向シリンダ19の左（右）側に伝
達して、同操向シリンダ19のピストンロッドを右（左）
方向に作動させることにより、前車輪６を左（右）旋回
方向に回動させることができる。

【００１８】特に、操向レバー29での操向操作は操向ハ
ンドル11での操向操作よりも迅速に行うことができるの
で、操向用油圧方向制御弁30の油圧方向の切換えが操向
バルブ27での油圧方向切換えよりも急速であり、かつ、
操向用油圧方向制御弁30の開閉動作は、操向バルブ27の
ような比例動作ではなく、操向レバー29の操作と同時に
全開するので、前車輪６の操向回動が、その限度まで急
速に行われることになり、直ちに最小半径での機体旋回
に入るので、農作業機の実質的な旋回半径を最小にして
前記枕地を狭くすることができる。

【００１９】なお、操向レバー29を用いずに、操向ハン
ドル11によって操向を行う場合には、定圧側流路25から
の油圧は、操向用油圧方向制御弁30を単に通過して操向
バルブ27に伝達されるので、通常のパワーステアリング
を行うことができる。

【００２０】図３は、別途操向操作手段Ｂの他実施例を
示しており、操向用油圧方向制御弁30と操向シリンダ19
との間に逆止弁50を介設すると共に、上記操向バルブ27
からの配管を逆止弁51を介して操向シリンダ19に接続し
たものであり、操向用油圧方向制御弁30からの油圧が操
向シリンダ19に作用しているときは、この油圧が逆止弁
51の作用で操向バルブ27には伝達されず、操向バルブ27
からの油圧が操向シリンダ19に作用しているときは、逆
止弁50の作用でこの油圧が操向用油圧方向制御弁30には
作用しないようになっており、上記と同様に、操向ハン
ドル11の操向操作は操向バルブ27を介して操向シリンダ
19に伝達され、操向レバー29の操向操作は操向用油圧方
向制御弁30を介して操向シリンダ19に伝達されることに
なる。

【００２１】また、操向ハンドル11を前後又は左右傾動
自在にして、これらの傾動のみを抽出して操向用油圧方
向制御弁30に連動連結することによって、上記傾動によ
って操向シリンダ19を作動させるようにすることができ
る。

【００２２】また、ロータリの昇降レバー41を左右方向
にも傾動できるようにして、この左右傾動だけを抽出し
て操向用油圧方向制御弁30に連動連結し、昇降レバー41
の左右傾動操作で操向シリンダ19を作動させるようにす
ることもできる。

【００２３】更に、走行機体１に走行速度検出手段やロ
ータリ耕耘部２の上下位置検出手段を設けて、高速走行
やロータリを下げている時は、別途操向操作手段Ｂでの
操向操作が出来ないように牽制することもできる。

【００２４】

【発明の効果】本発明によれば、操向ハンドルによって
制御された油圧ポンプからの油圧によって、操向車輪に
連動連結した操向アクチュエータを作動させるようにし
た農作業機において、油圧ポンプと操向アクチュエータ
との間に、操向ハンドルとは別途に設けた別途操向操作
手段に連動連結した操向用油圧方向制御弁を介設して、
別途操向操作手段の操作により、操向車輪を操向回動さ
せるように構成したことによって、別途操向操作手段を
操作することにより、操向アクチュエータの作動速度を
高めて操向車輪に急速な操向回動を行わせ、操向車輪の
直進位置から操向限度まで回動するのに要する時間を短
縮することができるので、機体の実質的な旋回半径が小
さくなり、前述の枕地を狭くして作業の能率を高めるこ
とができる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明に係る操向装置を具備した乗用田植機の
側面図。

【図２】油圧回路図。

【図３】他実施例油圧回路図。

【図４】従来農作業機の旋回状況を示す説明図。

【符号の説明】

Ｂ 別途操向操作手段 Ｄ 操向アクチュエータ Ｓ 操向車輪 Ｐ 油圧ポンプ 11 操向ハンドル 30 操向用油圧方向制御弁

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 操向ハンドル(11)によって制御された油
   圧ポンプ(P) からの油圧によって、操向車輪(S) に連動
   連結した操向アクチュエータ(D) を作動させるようにし
   た農作業機において、 油圧ポンプ(P) と操向アクチュエータ(D) との間に、操
   向ハンドル(11)とは別途に設けた別途操向操作手段(B)
   に連動連結した操向用油圧方向制御弁(30)を介設して、
   別途操向操作手段(B) の操作により操向車輪(S) を操向
   回動させるように構成したことを特徴とする農作業機の
   操向装置。