JPH0732891A - 着脱式ルーフを備えた自動車の雨水誘導構造 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 固定ルーフパネル２と着脱ルーフパネル３と
から成る着脱式ルーフを備えた自動車１において、サイ
ドガラス５もしくはドアを開けた時に、ルーフの側端部
から車室内に雨水が滴下するのを防止する。 【構成】 着脱ルーフパネル３の車体巾方向に延びる前
後縁の少なくとも一方３ａとこれに対応する固定ルーフ
パネルの開口縁２ａとの間をウエザストリップ９ｂによ
りシールする。着脱ルーフパネル３の車体巾方向側部に
前後方向に延びかつ一端がウエザストリップ９ｂに達す
る第１の雨水誘導溝７を形成するとともに、固定ルーフ
パネル２ｆに該ウエザストリップを挟んで第１の雨水誘
導溝の延長部分を構成する第２の雨水誘導溝８を形成
し、ウエザストリップ９ｂの両雨水誘導溝７，８間を横
切る部分の車体巾方向外側に、上方へ突出する遮水部12
を設ける。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は、固定ルーフパネルと、
これに形成された開口部を着脱自在に覆う着脱ルーフパ
ネルとから成るルーフ（着脱式ルーフ）を備えた自動車
に関する。

【０００２】

【従来技術】上記自動車においては、固定ルーフパネル
と着脱ルーフパネルとの接合部の雨洩り対策が重要で、
例えば実公昭59−5616号公報に示されている着脱式ルー
フを備えた自動車では、両ルーフパネルの車体巾方向接
合部において、固定ルーフパネルの端部を着脱ルーフパ
ネルの下面部にまで延長させるとともに、該下面に対向
する断面ほぼコ字状のドリップレールに成形し、このド
リップレールの先端縁にウエザストリップが装着されて
いる。

【０００３】そして上記ドリップレールの車体側方端部
は、ルーフを支持するサイドレールにルーフ側縁に沿っ
て設けられた通常の側方ドリップレールの端部に結合連
通されており、ルーフ表面から上記ドリップレール内に
流入した雨水が側方ドリップレール内に流れ込み、これ
より外部に排出されるようになっている。

【０００４】また、実公昭58−8575号公報には、前記ウ
エザストリップに、固定ルーフパネルの前記ドリップレ
ールに相当する部分（水路）に沿って車体前後方向に延
びる延設体を一体に延設し、該延設体の先端部によって
も固定、着脱両ルーフパネル間をシールするようにした
ものが示されている。

【０００５】このように、従来の着脱式ルーフにおいて
は、固定、着脱両ルーフパネルの接合部に沿わせてその
内側にドリップレールすなわち水路が設けられており、
該接合部から滴下する雨水をこの水路に受けて外部へ排
出することにより、雨水の車室内への洩れを防止するよ
うになされていた。

【０００６】

【解決しようとする課題】しかし、着脱ルーフパネルを
装着した時にルーフ全体が連続した表面を形成するよ
う、両ルーフパネルはその上面の端縁どうしができるだ
け接近するようになされ、特に前記後者の従来例におい
ては両ルーフパネルの端縁間にウエザストリップの延設
体の先端部が介在するので、前記水路に流入してこれに
沿って流れる雨水の流れのほかに、両ルーフパネルの端
縁間に形成された溝状部分に沿ってパネル表面上を車体
巾方向に流れる雨水の流れが生ずる。

【０００７】この雨水はルーフの側縁部からそのまま車
体側面の外側へ滴下するので、この時にサイドガラスも
しくはドアを開けると、滴下する雨水が車室内に進入し
て内部を濡らすという不具合が生ずる。

【０００８】

【課題を解決するための手段および作用】本発明はこの
ような事情に鑑みてなされたものであり、本発明におい
ては、固定ルーフパネルと、これに形成された開口部を
着脱自在に覆う着脱ルーフパネルとから成り、前記着脱
ルーフパネルの車体巾方向に延びる前後縁の少なくとも
一方とこれに対応する前記固定ルーフパネルの開口縁と
の間をウエザストリップによりシールするようにした着
脱式ルーフを備えた自動車において、前記着脱ルーフパ
ネルの車体巾方向側部に前後方向に延びかつ一端が前記
ウエザストリップに達する第１の雨水誘導溝を形成する
とともに、前記固定ルーフパネルに該ウエザストリップ
を挟んで前記第１の雨水誘導溝の延長部分を構成する第
２の雨水誘導溝を形成し、該ウエザストリップの前記第
１，第２雨水誘導溝間を横切る部分の車体巾方向外側
に、上方へ突出する遮水部を設ける。

【０００９】本発明によれば、着脱ルーフパネル上をそ
の側縁へ向って流れる雨水は、第１の雨水誘導溝により
受けられて、該誘導溝により例えば車体前方へ向って案
内され、ウエザストリップを越えてその前方に設けられ
た第２の雨水誘導溝へ導かれ、車体前方へ向けて排出さ
れる。

【００１０】一方、前記ウエザストリップに沿って車体
巾方向に流れる雨水は、雨水誘導溝との交叉部において
遮水部により遮られ、流れの方向を前方へそらされるの
で、ウエザストリップに沿って側端部まで流れてここか
ら滴下することはない。

【００１１】従って、着脱ルーフパネルの側縁部下方に
設けられたサイドガラスもしくはドアを開けても、雨水
が車室内に滴下することはない。

【００１２】

【実施例】以下本発明を一実施例について説明する。

【００１３】図１は本発明による自動車１のルーフ部分
を示す概略斜視図である。この自動車のルーフは、車体
と一体をなす固定ルーフパネル２と、該固定ルーフパネ
ル２に形成された開口部を着脱自在に覆う着脱ルーフパ
ネル３とから成り、図１は着脱ルーフパネル３を装着し
た時の状態を示す。着脱ルーフパネル３は図示していな
い係脱機構により固定ルーフパネル２に装着固定され
る。

【００１４】本実施例はオープンカー型の自動車で、固
定ルーフパネル２は車体巾全体にわたる開口部によって
前後に分割されている。４はフロントガラス、５は上下
に開閉運動可能なサイドガラスである。

【００１５】着脱ルーフパネル３の左右両側縁にはそれ
ぞれゴム等の弾性材料から成るシール部片６が沿わされ
ている。このシール部片６は着脱ルーフパネル３の側端
縁を包み込んで、これを上下両側からシールしている。
さらにシール部片６の下側にはサイドガラス５の上端が
圧接され、両者間がシールされるようになっている。

【００１６】着脱ルーフパネル３の外面には左右両側に
それぞれシール部片６に隣接して前後方向に延びる第１
雨水誘導溝７が凹設されている。この第１雨水誘導溝７
は着脱ルーフパネル３のほぼ全長にわたって延び、前端
は着脱ルーフパネル３の前縁３ａに達している。そして
前方の固定ルーフパネル２ｆの外面には第１雨水誘導溝
７の延長線上に同様な第２雨水誘導溝８が凹設されてい
る。第１雨水誘導溝７の後端を着脱ルーフパネル３の後
縁にまで延ばして後方の固定ルーフパネル２ｒ側に第２
雨水誘導溝８を設けてもよく、また第１雨水誘導溝７の
前後両端部分を同様な構成としてもよい。

【００１７】着脱ルーフパネル３の前縁３ａと前方の固
定ルーフパネル２ｆの縁部２ａとの間、および着脱ルー
フパネル３の後縁３ｂと後方の固定ルーフパネル２ｒの
縁部２ｂとの間は、図２に示すように、ウエザストリッ
プ９によってシールされている。固定ルーフパネル２ｆ
の縁部２ａには着脱ルーフパネル３の下方へ向って延び
る溝部10が延設されており、該溝部10の後端に上方へ向
って突設されたフランジ10ａに前記ウエザストリップ９
がリップ９ａを介して嵌着されている。

【００１８】ウエザストリップ９は溝部10の内面に沿う
ほぼコ字状の断面形状をなしており、その前縁部および
後縁部にそれぞれリップ９ｂ，９ｃが形成されている。
リップ９ｂは固定ルーフパネル２ｆ上面の後縁２ａと着
脱ルーフパネル３の前縁３ａとの間にまたがってこれら
に圧接し、リップ９ｃは着脱ルーフパネル３の下面に圧
接している。リップ９ｂはルーフ上の雨水がウエザスト
リップ９内に形成された空間ａおよびウエザストリップ
９と溝部10との間に形成された空間ｂに流入するのを防
いでいるが、たとえ空間ａ、ｂ内に雨水が流入しても、
空間ａ内の雨水はリップ９ｃにより、空間ｂ内の雨水は
リップ９ａによって、それぞれ車室内への侵入を阻止さ
れる。なお空間ａ，ｂは流入した雨水を車体外部へ導く
水路となっている。

【００１９】ウエザストリップ９の両端は固定ルーフパ
ネル２ｆおよびこれに連続する車体前部パネルの側縁に
沿わせて設けられた前記シール部片６と同様なシール部
片11（図１）に一体に連接されており、上記水路ａ，ｂ
内の水は、シール部片11に沿って形成された適当な水路
を経て前方へ排出される。シール部片11の後端は前記シ
ール部片６の前端に水密に当接している。

【００２０】着脱ルーフパネル３上に降りその上面に沿
って側方へ流れる雨水は前記第１雨水誘導溝７によって
受けられ、ルーフの勾配により該第１雨水誘導溝７内を
前方へ流れ、前端においてウエザストリップ９の前記リ
ップ９ｂの上面を越えて第２雨水誘導溝８に流れ込み、
車体前方へ向って排水される。従って着脱ルーフパネル
３の側縁からサイドガラス５の外側へ向かって滴下する
雨水はほとんどなく、サイドガラス５を開けてもこのよ
うな滴下水が車室内に侵入する恐れはない。

【００２１】しかし着脱ルーフパネル３の前縁部には前
記ウエザストリップ９のリップ９ｂが車体巾方向にルー
フの側端から側端まで延びており、第１雨水誘導溝７と
第２雨水誘導溝８とがこのリップ９ｂにより互いに遮断
されているので、該リップ９ｂに沿って車体巾方向に流
れる雨水は雨水誘導溝７、８に流れ込むことなく、その
ままリップ９ｂの上面に沿って側端部に達し、また前記
のようにリップ９ｂの上面を越えて第１雨水誘導溝７か
ら第２雨水誘導溝８へ流れる雨水の一部もリップ９ｂの
上面に沿って側端部へ流れ、これらの雨水が図１に点線
矢印ｃで示すようにサイドガラス５の外側へ滴下するこ
ととなる。従ってサイドガラス５を開けるとこの滴下水
ｃが車室内に侵入する。

【００２２】そこで本実施例においては、ウエザストリ
ップ９が雨水誘導溝７，８を横切る位置において該ウエ
ザストリップ９のリップ９ｂの上面に遮水部12を一体に
設けてある（図１，２）。遮水部12は溝７，８の車体巾
方向外側においてこれらの溝の縁部どうしを接続するよ
うに配設されて上方へ突出している。

【００２３】ウエザストリップ９にこのような遮水部12
が設けられているので、ルーフ上をウエザストリップ９
に沿って車体巾方向に流れて来た雨水は遮水部12に当っ
て流れの向きを変え、図１に矢印ｄで示すように第２雨
水誘導溝８に沿って前方へ排出され、あるいは矢印ｅで
示すようにパネル上を斜めに前方へ向って流れてシール
部片11に沿い車体前方へ排出される。第１雨水誘導溝７
内を流れて来た雨水は遮水部12に案内されてそのまま向
きを変えることなくウェザストリップ９を越えて第２雨
水誘導溝８に流れ込む。

【００２４】従って点線矢印ｃで示したような、ウエザ
ストリップ９の上面に沿ってルーフ側縁部に達しここか
ら滴下する雨水がなくなるので、サイドガラス５または
これを設けたサイドドアを開けても、雨水が車室内に滴
下して例えばシートを濡らす等の不都合を生じることは
ない。

【００２５】以上、本発明を好適な一実施例について説
明したが、本発明はこの実施例に限定されるものではな
く、本発明の範囲内で幾多の変形が可能なことは言うま
でもなく、例えば上記と同様な雨水誘導構造を着脱ルー
フパネル３と後方固定ルーフパネル２ｒとの接合部に設
けてもよく、また図示形状のウェザストリップ９の代わ
りに他の適当な任意形状のウェザストリップを使用する
ことも可能である。

【００２６】

【発明の効果】本発明によれば、固定ルーフパネルと着
脱ルーフパネルとから成る着脱式ルーフを備えた自動車
において、ルーフの側端部からそのまま車体側面へ滴下
する雨水がなくなるので、サイドガラスもしくはドアを
開けた時に滴下する雨水が車室内に侵入して内部を濡ら
すことがない。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明による自動車のルーフ部分を示す概略斜
視図である。

【図２】図１のII−II線に沿う断面図である。

【図３】図１のIII −III 線に沿う断面図である。

【符号の説明】

１…自動車、２…固定ルーフパネル、３…着脱ルーフパ
ネル、４…フロントガラス、５…サイドガラス、６…シ
ール部片、７…第１雨水誘導溝、８…第２雨水誘導溝、
９…ウエザストリップ、10…溝部、11…シール部片、12
…遮水部。

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 固定ルーフパネルと、これに形成された
   開口部を着脱自在に覆う着脱ルーフパネルとから成り、
   前記着脱ルーフパネルの車体巾方向に延びる前後縁の少
   なくとも一方とこれに対応する前記固定ルーフパネルの
   開口縁との間をウエザストリップによりシールするよう
   にした着脱式ルーフを備えた自動車において、前記着脱
   ルーフパネルの車体巾方向側部に前後方向に延びかつ一
   端が前記ウエザストリップに達する第１の雨水誘導溝を
   形成するとともに、前記固定ルーフパネルに該ウエザス
   トリップを挟んで前記第１の雨水誘導溝の延長部分を構
   成する第２の雨水誘導溝を形成し、該ウエザストリップ
   の前記第１，第２雨水誘導溝間を横切る部分の車体巾方
   向外側に、上方へ突出する遮水部を設けたことを特徴と
   する着脱式ルーフを備えた自動車の雨水誘導構造。