JP4111177B2 - 車両用スライドドアの防水構造 - Google Patents
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また、ドア開口部52にはその周囲全周にわたってウエザーストリップ56が取り付けられており、スライドドア51を閉止した状態では、このウエザーストリップ56が当該スライドドア51の周縁部に弾性押圧されて車室内外間の防水性や気密性等が確保されるようになっている。
ところが、車両ルーフRから流れ落ちた雨水(雪水)等の水滴がウエザーストリップの上辺部分(水平部分)56aに流下し、これがスライドドア51の接触部を経て車室内に侵入することを防止する必要がある。ウエザーストリップ56の上辺部分56aは、ルーフRから流下した雨水等が溜まりやすく、従って特にこの部分で雨水等が車室内に侵入しやすい。従来、この問題を解消するため、例えば特開2003−112528号公報に開示されているようにドア開口部52の上側であってウエザーストリップ56の上辺部分56aの上側に沿ってドリップシール(樋部)57を取り付けておき、スライドドア51を閉じた状態ではこのドリップシール57を当該スライドドア51の上部との間に挟み込んでウエザーストリップ56の上辺部分56aの上方を遮蔽し、これにより車両ルーフRから流下した雨水等をこのドリップシール57で受けてウエザーストリップ56の上辺部56aに雨水等が流下しないようにする防水技術が提供されている。この技術によれば、車両ルーフRから流下した雨水等はドリップシール57に受けられてその前端部若しくは後端部まで案内されてウエザーストリップ56の前側縦辺部56b若しくは後ろ側縦辺部56c付近に沿って流下されることから、ウエザーストリップ56の上辺部56aに雨水等が流下されず、従って当該上辺部56aとスライドドア51との接触部を経て雨水等が車室内に侵入するすることを防止できた。
特に、スライドドア51にはその前側に開閉操作用のドアハンドル58が設けられており、このドアハンドル58を経て付加されるドア開き操作力(当該スライドドア51をウエザーストリップ56から引き離す方向の操作力)が当該スライドドア51の後端部側に伝わりにくいため、その結果ウエザーストリップ56の後ろ側縦辺部56cとスライドドア51の後端部との間で氷結するとスライドドア51が開かなくなる場合がある。
そこで、本発明は、ドリップシールで受けた雨水等をウエザーストリップの後ろ側縦辺部から後方へ十分にはなれた部位で流下させることができ、これによりウエザーストリップの氷結をより確実に防止することができる防水構造を提供することを目的としてなされた。
請求項1記載の防水構造によれば、車両のルーフを伝わって流下した雨水等がドリップシールで受けられる。ドリップシールは、ウエザーストリップの上辺部の上側に沿って設けられている。従って、従来通り、雨水等がドリップシールに受けられることにより、当該雨水等がウエザーストリップの上辺部とスライドドアとの接触部を経て車室内に侵入することが防止される。
また、ドリップシールに受けられた雨水等は、ガラス窓の上方まで延長された当該ドリップシールの後端部から流下してガラス窓の接合部に受けられる。ガラス窓の接合部に受けられた雨水等は当該接合部に沿って車両後ろ側に流されて、最終的にウエザーストリップの後ろ側の縦辺部から十分に離された車両後部付近で排水される。
これにより当該ウエザーストリップとスライドドアとの間の氷結をより確実に防止して、スライドドアが開かなくなるといったトラブルを確実に防止することができる。
請求項2記載の防水構造によれば、アッパレールのカバー体を利用してドリップシールの後端部側を遮蔽することができるので、車両側部の見栄えを損なうことなくウエザーストリップの防水ひいてはその氷結の防止を確実に行うことができる。
このドア開口部2の周縁にはウエザーストリップ3がその全周にわたって装着されている。以下、ウエザーストリップ3の、ドア開口部2の上辺部2aに沿った部分を上辺部3aといい、下辺部2bに沿った部分を下辺部3bといい、前側縦辺部2cに沿った部分を前側縦辺部3cといい、後ろ側縦辺部2dに沿った部分を後ろ側縦辺部3dという。
このドア開口部2は、スライドドア4によって開閉される。従って、このスライドドア4も、上辺部4aと下辺部4bと前側縦辺部4cと後ろ側縦辺部4dからなるほぼ矩形を有している。このスライドドア4の、乗員が操作しやすい高さであって前端部寄りの位置には、開閉操作用のドアハンドル6が配置されている。
なお、図示は省略したがスライドドア4の上辺部4aの前側にはアッパローラが配置され、下辺部4bの前側にはロアローラが配置され、後ろ側縦辺部4dの高さ方向中央付近にセンタローラが配置され、それぞれドア開口部2の上辺部2aに沿って設けたアッパレール、下辺部2bに沿って設けたロアレール、両レール間の高さで当該ドア開口部2の後ろ側縦辺部2d付近から後方へ向けて配置したセンタレールに回転自在に係合されて、当該スライドドア4が車両前後方向であってその面に沿う方向にスライド自在に支持されている。この点は、従来構成と同様であり(図6参照)、本実施形態において特に変更を要しない。なお、図2および図3には、アッパレール10のみが示されている。
本例では、このドリップシール5の後部側が、スライドドア4の後ろ側の見切り部よりもさらに後ろ側に延長されている点に大きな特徴を有している。ここで、本例のスライドドア4は、助手席用のドアとして比較的開口面積の大きな大開口のドア開口部2を開閉するために大型に設定されるとともに、その上部前側の角部が傾斜した外形(斜辺部4e)を有している。このため、スライドドア4の上辺部4aの前側に配置したアッパローラは、下辺部4bの前側に配置したロアローラに対して後ろ側にずれた位置に配置されている。その結果、アッパローラがロアローラに対してずれて配置された距離だけアッパレール10はロアレールよりも後ろ側へずれて配置されている。このずれた分は、スライドドア4を閉止した状態で当該スライドドア4の後ろ側縦辺部4d(後端部)からはみ出した状態となる。この状態は図2に示されている。なお、図1ではアッパレール10の図示が省略されている。以下、アッパレール10の後部であって、スライドドア4の後端部からはみ出る範囲を延長部10aという。この延長部10aは、ガーニッシュと称されるカバー体11によって覆われている。
なお、図6に示した通常のスライドドア(斜辺部4eを有しない矩形のスライドドア)であれば、上下のガイドローラは、車両前後方向についてほぼ同じ位置に配置され、従って図6に示すように上下のガイドレール53,54も車両前後方向(図示左右方向)にずれることなく配置される。従って、スライドドア51を閉止した状態で上下のガイドレール53,54は当該スライドドア51の見切り範囲内に収まる状態に配置されている。
ドリップシール5で受けられた雨水等Wは、車両後ろ側に案内されてカバー体11により遮蔽された延長部5aの後端部(ドリップレール5の後端部)5bから流下される。
次に、スライドドア4の後ろ側には、通常クォータガラスと呼ばれるガラス窓12が配置されている。このガラス窓12は、ガラス板13をウレタン接着剤により車両開口部に接着してなるもので、開閉できないいわゆるはめ殺しのガラス窓となっている。以下、ガラス板13と車両開口部との間に沿って塗布されたウレタン接着剤を接合部14という。この接合部14が、特許請求の範囲に記載した接合部の一実施形態に相当する。ドリップシール5の後端部5bは、この接合部14の上方に位置している。このため、当該後端部5bから流下した雨水等Wは、この接合部14で受けられる。図2に示すように、後端部5bから流下した雨水等Wが受けられる部位の車両前側にはブロック体15が取り付けられて堰き止められている。このため、接合部14上に流下した雨水等Wは車両前側には流れず、車両後ろ側(図2において白抜きの矢印で示す方向)に流される。なお、雨水等Wを車両後ろ側にスムーズに流すため、接合部14は車両後ろ側に若干下る方向に沿って配置されている。
接合部14上に流下した雨水等Wは、当該接合部14に沿って車両後ろ側に流されて、スライドドア4の後ろ側見切り部から十分に離れたガラス窓12の後部付近で路面上に排水される。
しかも、ドリップシール5は、スライドドア4の後ろ側見切り部よりも後方へ延長されて配置され、この延長部5aから流下させた雨水等Wをガラス窓12の接合部14を利用してさらに車両後ろ側に流す構成であるので、車両ルーフRから流下した雨水等Wをスライドドア4の後ろ側見切り部(ウエザーストリップ3の後ろ側縦辺部3d)から車両後ろ側へ十分離れた位置で排水することができる。このため、スライドドア4の後ろ側縦辺部4dに対するウエザストリップ3の後ろ側縦辺部3dの接触部に対しても雨水等Wの付着を確実に防止することができ、これによりウエザーストリップ3の後ろ側縦辺部3dとスライドドア4の後ろ側縦辺部4dとの間の氷結を確実に防止してスライドドア3が氷結により開かなくなるといったトラブルを従来よりも一層確実に防止することができる。
また、スライドドア4の後ろ側見切り部からはみ出た延長部5aがカバー体11に覆われているので、車両側部の見栄えを損なうおそれがない。
また、開閉できないタイプのガラス窓12の接合部14を利用する構成を例示したが、スライドさせて、あるいは回動させて開閉するタイプのガラス窓の接合部(この場合シール)を利用する構成としてもよい。ガラス窓の接合部とは、車両ボディに対するガラス板の接着部の他、ウエザーストリップ等のシールゴムを用いたシール部も含めた広範な範囲で適用することができる。
さらに、スライドドアを支持するアッパレールがロアレールに対して車両後ろ側にずれている場合に適用する構成を例示したが、ずれることなく前後端部が揃った上下のガイドレールを備えたスライドドアに適用することもできる。この場合、ドリップレール5の延長部を遮蔽する専用のカバーを用いればよい。
2…ドア開口部
2a…上辺部、2b…下辺部、2c…前側縦辺部、2d…後ろ側縦辺部
3…ウエザーストリップ
3a…上辺部、3b…下辺部、3c…前側縦辺部、3d…後ろ側縦辺部
4…スライドドア
4a…上辺部、4b…下辺部、4c…前側縦辺部、4d…後ろ側縦辺部
5…ドリップシール
6…ドアハンドル
10…アッパーレール
11…カバー体
12…ガラス窓
13…ガラス板
14…接合部(ウレタン接着部)
15…ブロック体
50…車両
51…スライドドア
52…ドア開口部
53…アッパーレール
54…ロアレール
55…センタレール
56…ウエザーストリップ
56a…上辺部、56b…前側縦辺部、56c…後ろ側縦辺部
57…ドリップシール
58…ドアハンドル
Claims (2)
- 車両のドア開口部に対して面方向にスライドさせて開閉するスライドドアの防水構造であって、
前記スライドドア用のウエザーストリップの上辺部の上側に沿って、車両ルーフから流下した雨水等を受けるためのドリップシールが取り付けられて、前記ウエザーストリップの上辺部と前記スライドドアとの間に対する防水がなされるとともに、
前記ドリップシールの後部側を、前記スライドドアの後ろ側の見切り部よりもさらに後ろ側に延長し、かつ前記ドア開口部の後ろ側に配置されたガラス窓の上方まで延長して、該ドリップシールの後端側から流下した雨水等を前記ガラス窓の車両ボディに対する接合部で受けて車両の後ろ側へ流下させる構成とした防水構造。 - 請求項1記載の防水構造であって、
前記スライドドアの上部をスライド支持するアッパレールが、前記スライドドアを閉じた状態において該スライドドアの後ろ側見切り部からさらに後方に延びて前記ガラス窓の上方に至る長さで設けられ、該アッパレールの延長部分と前記ドリップシールの後端側をカバー体で覆った構成とした車両用スライドドアの防水構造。
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