JPH073246Y2 - ２軸２段圧縮装置の単段切換装置 - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 （産業上の利用分野） 本考案は、主としてスクリュー形圧縮機を並設した２軸
２段圧縮装置の単段切換装置、詳しくは駆動装置をもつ
低段側圧縮機と、同じく駆動装置をもつ高段側圧縮機と
を備えた２軸２段圧縮装置において、前記高，低段側圧
縮機の両者を駆動する２段圧縮運転と、前記高段側圧縮
機のみを駆動する単段圧縮運転とを切換可能とした単段
切換装置に関する。

（従来の技術） 従来、この種２軸２段圧縮装置の単段切換装置として、
例えば実公昭57-17111号公報に記載されたものが知られ
ており、この公報記載のものは、第２図に示したごと
く、駆動装置（２）をもつ低段側圧縮機（１）と、駆動
装置（４）をもつ高段側圧縮機（３）とを備え、前記低
段側圧縮機（１）の吸入口（1a）に吸入管（５）を接続
し、前記低段側圧縮機（１）の吐出口（1b）を前記高段
側圧縮機（３）の吸入口（3a）に連絡管（６）を介して
接続すると共に、前記吸入管（５）と連絡管（６）との
間に、前記低段側圧縮機（１）を側路するバイパス管
（７）を接続する一方、このバイパス管（７）に負荷条
件に応じて開閉される電磁弁（DV）を介装させるように
している。

斯くして、負荷条件が高圧縮比の場合には、前記電磁弁
（DV）を閉動作させ、かつ前記高，低段圧縮機（１）
（３）を共に駆動させることにより、同図の実線矢印で
示したごとく、前記吸入管（５）からの冷媒を、低段側
圧縮機（１）→連絡管（６）→高段側圧縮機（３）の経
路で移流させ、これら高，低段側圧縮機（１）（３）の
両者で２段圧縮運転を行うのである。

また、負荷条件が低圧縮比の場合には、前記電磁弁（D
V）を開動作させ、かつ前記低段側圧縮機（１）を停止
させることにより、同図の点線矢印で示したごとく、前
記吸入管（５）からの冷媒を、バイパス管（７）→連絡
管（６）→高段側圧縮機（３）の経路で移流させ、この
高段側圧縮機（３）のみで単段圧縮運転を行うのであ
る。

（考案が解決しようとする課題） ところで、前記高，低段側圧縮機（１）（３）による２
段圧縮運転と、この高段側圧縮機（３）のみによる単段
圧縮運転とを行う場合で、前記冷媒の移流経路を切換え
るにあたって、以上のごとく、電磁弁（DV）を用いてい
るため、該電磁弁（DV）を開閉制御するための複雑な電
気回路を設ける必要があり、しかも圧縮装置全体が大容
量ユニットの場合で、前記吸入管（５）の口径が大とさ
れたようなときには、前記電磁弁（DV）として大型のも
のを必要として、コストが高くなるか、もしくは必要と
されるサイズの大型電磁弁が市販されていない場合に
は、実施できないなどの問題があった。

本考案は、以上のような問題に鑑みてなしたものであ
り、その目的は、従来の電磁弁に代えて逆止弁を使用す
ることにより、構造簡単でコストを大幅に低減すること
ができる２軸２段圧縮装置の単段切換装置を提供しよう
とするものである。

（課題を解決するための手段） 上記目的を達成するために、本考案では、駆動装置
（２）をもつ低段側圧縮機（１）と、駆動装置（４）を
もつ高段側圧縮機（３）とを備え、前記低段側圧縮機
（１）の吸入口（1a）に吸入管（５）を接続し、前記低
段側圧縮機（１）の吐出口（1b）を前記高段側圧縮機
（３）の吸入口（3a）に連絡管（６）により接続すると
共に、前記吸入管（５）と連絡管（６）との間に前記低
段側圧縮機（１）を側路するバイパス管（７）を接続し
た２軸２段圧縮装置の単段切換装置において、前記吸入
管（５）における前記バイパス管（７）の接続部位の下
流側に第１逆止弁（11）を設けると共に、前記バイパス
管（７）に、前記第１逆止弁（11）の啓開圧力より小さ
い圧力損失をもつ第２逆止弁（12）を設けたことを特徴
とするものである。

（作用） しかして以上のごとき２軸２段圧縮装置において、前記
高，低段側圧縮機（１）（３）を用いた２段圧縮運転
と、この高段側圧縮機（３）のみを用いた単段圧縮運転
とを行う場合には、前記吸入管（５）や連絡管（６）な
どを移流する冷媒の圧力差に基づく前記各逆止弁（11）
（12）の開閉動作により、前記冷媒の移流経路が自動的
に切換えられるのであるが、詳しくは後で記述するの
で、以下は簡単に説明する。

先ず、負荷条件が高圧縮比の場合で、前記高，低段側圧
縮機（１）（３）を用いて２段圧縮運転を行うときに
は、前記第１逆止弁（11）が開動作され、かつ前記第２
逆止弁（12）が閉動作されて、前記吸入管（５）の冷媒
が、前記低段側圧縮機（１）から前記連絡管（６）及び
前記高段側圧縮機（３）へと移流され、これら高，低段
側圧縮機（１）（３）の両者で前記冷媒が２段圧縮され
るのである。

また、負荷条件が低圧縮比の場合で、前記高段側圧縮機
（３）のみを用いて単段圧縮運転を行うときには、前記
第１逆止弁（11）が閉動作され、かつ前記第２逆止弁
（12）が開動作されて、前記吸入管（５）の冷媒が、前
記バイパス管（７）から前記連絡管（６）及び前記高段
側圧縮機（３）へと移流され、この高段側圧縮機（３）
のみで前記冷媒が単段圧縮されるのである。

（実施例） 実施例について、図面を参照して説明する。

第１図は２軸２段圧縮装置の配管図を示しており、該図
において、（１）はモータから成る駆動装置（２）を備
えたスクリュー形の低段側圧縮機（１）、（３）は同じ
くモータから成る駆動装置（４）を備えたスクリュー形
の高段側圧縮機であって、前記低段側圧縮機（１）の吸
入口（1a）に吸入管（５）を接続し、かつ前記低段側圧
縮機（１）の吐出口（1b）を、前記高段側圧縮機（３）
の吸入口（3a）に連絡管（６）を介して接続すると共
に、前記吸入管（５）と前記連絡管（６）との間に前記
低段側圧縮機（１）を側路するバイパス管（７）を接続
している。

又、前記高段側圧縮機（３）の吐出口（3b）には、凝縮
器（８）と膨張弁（９）及び蒸発器（10）をそれぞれ接
続すると共に、この蒸発器（10）の冷媒流出側に前記吸
入管（５）を接続させている。

しかして以上のごとき２軸２段圧縮装置において、前記
高，低段側圧縮機（１）（３）の両者を用いた２段圧縮
運転と、この高段側圧縮機（３）のみを用いた単段圧縮
運転とを切換える単段切換装置を、次のようにして構成
したのである。

即ち、前記蒸発器（10）から前記低段側圧縮機（１）に
至る前記吸入管（５）の中間部位で、前記バイパス管
（７）の接続部位よりも下流側に、第１逆止弁（11）を
介装させると共に、前記バイパス管（７）の中間部位
に、前記第１逆止弁（11）の啓開圧力よりも小さい圧力
損失をもった第２逆止弁（12）を介装させたのである。

前記第１及び第２逆止弁（11）（12）は、例えばボール
弁やバタフライ弁又はスプール弁などを用いるのであ
り、これらボール弁などに使用されるスプリング圧を調
節することにより、前記第１逆止弁（11）が開放開始す
るときの差圧、即ち、前記第１逆止弁（11）の啓開圧力
を大となし、また前記第２逆止弁（12）の圧力損失を前
記第１逆止弁（11）の啓開圧力より小となすのである。

次に、以上のごとく構成された単段切換装置の作用につ
いて説明する。

前記各逆止弁（11）（12）は、前記吸入管（５）や連絡
管（６）などを移流する冷媒の前後圧力差に基づいて開
閉動作されるのであり、前記各逆止弁（11）（12）の切
換動作を説明するに先立って、第１図に示した各部の圧
力符号について説明する。

（P1）は前記吸入管（５）内を移流される冷媒の圧力、
（P2）は前記低段側圧縮機（１）の吐出口（1b）側から
吐出された吐出領域における冷媒の圧力、また（P3）は
前記低段側圧縮機（１）の吸入口（1a）側における冷媒
の圧力をそれぞれ示している。

しかして前記２軸２段圧縮装置の負荷条件が高圧縮比の
場合で、前記低段側圧縮機（１）と高段側圧縮機（３）
の両者を共に用いて２段圧縮運転を行うときには、前記
低段側圧縮機（１）の駆動に伴って、その吐出口（1b）
側から吐出された冷媒の圧力（P2）が、前記吸入管
（５）内を移流される冷媒の圧力（P1）よりも大とな
り、また、この圧力（P1）は、前記低段側圧縮機（１）
の吸入口（1a）近くにおける圧力（P3）よりも大とな
り、従って前記各圧力（P1）（P2）（P3）の関係は、 P2＞P1＞P3 となる。

以上のことから、前記第１逆止弁（11）が圧力差の関係
で自動的に開動作され、また前記第２逆止弁（12）が自
動的に閉動作されて、同図の実線矢印で示したように、
前記吸入管（５）の冷媒が、第１逆止弁（11）→低段側
圧縮機（１）→連絡管（６）→高段側圧縮機（３）へと
移流され、これら高，低段側圧縮機（１）（３）の両者
で、前記冷媒が２段圧縮されるのである。

また、前記２軸２段圧縮装置の負荷条件が低圧縮比の場
合で、前記低段側圧縮機（１）を停止させ、かつ前記高
段側圧縮機（３）のみを駆動させて単段圧縮運転を行う
ときには、この高段側圧縮機（３）の駆動に伴って、そ
の吸入口（3a）側つまり前記連絡管（６）やバイパス管
（７）側の圧力（P2）が低下して、 P1＞P2 となり、従って、前記第２逆止弁（12）が開動作される
のである。

一方、低段側圧縮機（１）は駆動されないので、その前
後差圧はなくなり、 P3≒P2 となって、前記第２逆止弁（12）の圧損をΔP2とする
と、 ΔP2＝P1−P2（≒P1−P3） となる。

しかして、前記差圧（ΔP2）に対して、前記第１逆止弁
（11）のスプリング圧によって設定される啓開圧力の差
圧（ΔP1）を、 ΔP1＞ΔP2 となるように、予め調節しておけば、ΔP1＞P1−P3であ
るから、前記第１逆止弁（11）が閉動作され、前記第２
逆止弁（12）のみが開動作されるのである。

以上のように、前記高段側圧縮機（３）のみを駆動させ
て単段圧縮運転を行うときに、前記第２逆止弁（12）の
みを開動作させて、前記第１逆止弁（11）を閉動作状態
に保持することにより、前記吸入管（５）から停止状態
にある前記低段側圧縮機（１）側に冷媒を供給して、該
低段側圧縮機（１）に内装したスクリューロータを空転
させたり、また前記低段側圧縮機（１）のシール部材な
どを前記冷媒で損傷したりするのを確実に防止できるの
である。

しかして、以上のごとき単段圧縮運転を行うときには、
前記第１逆止弁（11）が閉動作された状態で、前記第２
逆止弁（12）のみが自動的に開動作させることから、同
図の点線矢印で示したように、前記吸入管（５）の冷媒
が、第２逆止弁（12）→バイパス管（７）→連絡管
（６）→高段側圧縮機（３）へと移流され、この高段側
圧縮機（３）でもって前記冷媒が単段圧縮されるのであ
る。

また、前記高，低段側圧縮機（１）（３）の両者を停止
させたときには、直ぐに P2＞P1,P3＞P1 となることから、前記各逆止弁（11）（12）が閉動作さ
れて、前記各圧縮器（１）（３）への冷媒供給が停止さ
れるのである。

尚、第１図の実施例においては、前記高段側圧縮機
（３）の吐出側に接続された前記凝縮器（８）と蒸発器
（10）との間に、中間冷却器（13）を設けると共に、こ
の中間冷却器（13）の冷媒流入側と凝縮器（８）の出口
とを、中間に膨張弁（14）をもった流入管（15）を介し
て接続する一方、前記中間冷却器（13）の冷媒流出側
を、中間に電磁弁（16）をもった流出管（17）を介して
前記連絡管（６）に接続させ、前記中間冷却器（13）で
冷却された冷媒の一部を前記連絡管（６）へと供給する
ようにしている。

（考案の効果） 以上説明したように、本考案にかかる２軸２段圧縮装置
の単段切換装置は、低段側圧縮機（１）に接続した吸入
管（５）で、バイパス管（７）の接続部位における下流
側に、第１逆止弁（11）を設けると共に、前記バイパス
管（７）に、前記第１逆止弁（11）の啓開圧力より小さ
い啓開圧力をもった第２逆止弁（12）を設けたから、従
来の電磁弁を用いるものに比べて、構造を著しく簡単と
することができ、コストを大幅に低減できるに至ったの
である。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案の単段切換装置を備えた２軸２段圧縮装
置の配管図、第２図は従来例を示す配管図である。 （１）……低段側圧縮機 （1a）……吸入口 （1b）……吐出口 （２）……駆動装置 （３）……高段側圧縮機 （3a）……吸入口 （４）……駆動装置 （５）……吸入管 （６）……連絡管 （７）……バイパス管 （11）……第１逆止弁 （12）……第２逆止弁

───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)考案者 山口 典英 大阪府摂津市西一津屋１番１号 ダイキン 工業株式会社淀川製作所内

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】駆動装置（２）をもつ低段側圧縮機（１）
   と、駆動装置（４）をもつ高段側圧縮機（３）とを備
   え、前記低段側圧縮機（１）の吸入口（1a）に吸入管
   （５）を接続し、前記低段側圧縮機（１）の吐出口（1
   b）を前記高段側圧縮機（３）の吸入口（3a）に連絡管
   （６）により接続すると共に、前記吸入管（５）と連絡
   管（６）との間に前記低段側圧縮機（１）を側路するバ
   イパス管（７）を接続した２軸２段圧縮装置の単段切換
   装置であって、前記吸入管（５）における前記バイパス
   管（７）の接続部位の下流側に第１逆止弁（11）を設け
   ると共に、前記バイパス管（７）に、前記第１逆止弁
   （11）の啓開圧力より小さい圧力損失をもつ第２逆止弁
   （12）を設けたことを特徴とする２軸２段圧縮装置の単
   段切換装置。