JPH07324033A - 固形製剤およびその製造方法 - Google Patents

固形製剤およびその製造方法

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JPH07324033A
JPH07324033A JP9791495A JP9791495A JPH07324033A JP H07324033 A JPH07324033 A JP H07324033A JP 9791495 A JP9791495 A JP 9791495A JP 9791495 A JP9791495 A JP 9791495A JP H07324033 A JPH07324033 A JP H07324033A
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JP
Japan
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vitamin
parts
latex
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Withdrawn
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JP9791495A
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English (en)
Inventor
Tatsuo Asogawa
達雄 麻生川
Yoshitomi Kakiguchi
芳富 垣口
Ichi Aoyama
いち 青山
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Takeda Pharmaceutical Co Ltd
Original Assignee
Takeda Chemical Industries Ltd
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 高温、高湿度下でも、さらにはミネラルとの
共存下でも、高い安定性を維持しつつビタミンC類を固
形製剤に含有させる。 【構成】 粉粒状のビタミンC類を、流動助剤とゴム成
分とで構成されたゴム層で被覆する。流動助剤には、平
均粒径0.1〜100μm程度の二酸化ケイ素、タルク
などが含まれる。前記ゴム層は流動助剤を含むラテック
スで形成でき、ラテックスは、アクリル系共重合体など
の合成ラテックス、天然ラテックス又はこれらの混合物
であってもよい。さらに、ビタミンC類とゴム層との間
には、油脂状物質が介在していてもよい。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、高温、高湿度下でもビ
タミンC(L−アスコルビン酸)類を安定に含む固形製
剤及びその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】ビタミンC類は、他のビタミン、アミノ
酸、ミネラル成分などと混合して医薬、食品、飼料分野
などにおいて広く用いられている。このようなビタミン
C類を固形剤として製剤化する場合、例えば、高温加熱
処理がしばしば行なわれる。特に、飼料分野では押出し
成形などによるペレット化工程において100℃前後の
高温、高湿度下に晒される。しかし、ビタミンC類は高
温、高湿度下の条件、特にミネラル成分の共存下では、
分解が著しい。そのため、含量の低下に伴って、ビタミ
ンC類を有効に活用できなくなる。
【0003】このような課題を解決するため、製剤面か
ら種々の試みが提案されている。例えば、特開昭62−
77320号公報、特開昭64−3119号公報には、
L−アスコルビン酸又はその塩を、硬化油脂、グリセリ
ン脂肪酸エステルなどを含む被覆剤組成物で被覆するこ
とが開示されている。しかし、前記組成物で被覆して
も、得られた製剤の耐熱性が低いため、L−アスコルビ
ン酸又はその塩は、高温、高湿度下で分解が著しく、安
定化が困難である。さらに、前記押出し成形などによる
ペレット化工程においては、製剤に剪断力又は大きな力
が作用するため、固形製剤が破壊される。そして、固形
製剤が破壊すると、高温、高湿度下での分解と相まっ
て、ビタミンC類の残存率がさらに低下する。
【0004】日本薬学会114年会の講演要旨集には、
平均粒径10μm以下のアスコルビン酸を、ワースター
流動層中、アクリル系高分子ラテックスでコーティング
すると、20〜50μmの造粒物が高い収率で得られる
ことが報告されている。この文献には、流動層での円滑
な流動を維持するため、600〜710μmのガラスビ
ーズが流動層の媒体として使用されている。しかし、高
分子ラテックスでコーティングすると、固形製剤の耐水
性が低下する。そのため、高温、高湿下で、L−アスコ
ルビン酸の安定性は、必ずしも十分でない。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】従って、本発明の目的
は、高温、高湿度下でも、高い安定性を維持しつつビタ
ミンC類を含有する固形製剤及びその製造方法を提供す
ることにある。
【0006】本発明の他の目的は、温湿度だけでなく剪
断力が作用する過酷な条件下でも、ビタミンC類の分解
を抑制し、高い安定性で含有できる固形製剤及びその製
造方法を提供することにある。
【0007】本発明のさらに他の目的は、ミネラルなど
と共存させても、ビタミンC類の高い安定性を維持でき
る固形製剤及びその製造方法を提供することにある。
【0008】本発明の別の目的は、前記の如き優れた特
性を有する固形製剤を、簡単な操作で効率よく得ること
ができる方法を提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、前記目的
を達成するため鋭意検討した結果、粉粒状であって、流
動性を保持又は改善する助剤(以下、流動助剤と称す
る)を含むゴム層でビタミンC類を被覆したり、予め低
融点油脂状物質で被覆したビタミンC類を、微粒子状の
流動助剤を含むゴム層で被覆すると、ビタミンC類の安
定性を顕著に改善できることを見いだし、この知見に基
づいてさらに検討を重ね、本発明を完成するに至った。
【0010】すなわち、本発明の固形製剤は、ビタミン
C類が、流動助剤とゴム成分とを含むゴム層で被覆され
ている。この固形製剤において、ゴム層が、流動助剤を
含むラテックスで形成されていてもよい。前記ラテック
スは、合成ラテックス、天然ラテックス、又はこれらの
混合物であってもよい。ラテックスの混合物を用いる
と、ペレット製造時の耐熱性、耐湿性、耐圧性を改善で
き、また保存時の耐熱性を改善できる。流動助剤は、耐
熱性、耐湿性を付与又は改善するとともに、製造時の流
動性を付与又は改善するのに有用な助剤である。流動助
剤は、有機又は無機粉粒体で構成でき、好ましくはビタ
ミンC類の平均粒径の1/10以下の平均粒径を有して
いる。流動助剤の平均粒径は0.1〜100μm程度で
あってもよい。
【0011】ビタミンC類の安定性をさらに高めるた
め、前記ビタミンC類は、油脂状物質で予め処理又は被
覆され、耐湿性が付与又は改善されていてもよい。すな
わち、ビタミンC類とゴム層との間に油脂状物質が介在
していてもよい。
【0012】ビタミンC類を含む前記固形製剤は、ビタ
ミンC類を、流動助剤を含むラテックスで被覆処理する
ことにより製造できる。前記被覆処理には種々の方法が
採用でき、例えば、被覆処理は流動層下で行ってもよ
い。
【0013】なお、本明細書において、ラテックス中の
成分がゴム弾性を有するか否かをとわず、流動助剤を含
むラテックスにより形成される層をゴム層という。ま
た、ラテックスと流動助剤を含む乳化懸濁液を、単にラ
テックスと称することがある。さらに、油脂状物質の種
類によっては明確な融点を示さず、特定の温度で軟化す
る場合がある。本明細書においては、「融点」とはこの
ような油脂状物質の軟化点も含む意味に用いる。また、
アクリル系モノマーおよびメタクリル系モノマーを、単
に(メタ)アクリル系モノマーと称する場合がある。
【0014】以下に、本発明を詳細に説明する。
【0015】ビタミンC類は、本発明の固形製剤の芯
(核)となる物質である。ビタミンC類には、例えば、
L−アスコルビン酸及びその塩が含まれる(以下、これ
らを、単にビタミンC類と称する場合がある)。L−ア
スコルビン酸の塩としては、例えば、ナトリウム塩、カ
リウム塩などのアルカリ金属塩、カルシウム塩などのア
ルカリ土類金属塩が挙げられる。
【0016】ビタミンC類は、通常、微粉末状、粉状ま
たは粒状のいずれの形態でも使用できるが、粉粒状の形
態で使用するのが好都合であり、比較的粒径が大きいの
が好ましい。ビタミンC類の粒径は、例えば、平均粒径
30〜1200μm、好ましくは50〜1000μm、
さらに好ましくは100〜500μm(例えば、100
〜400μm)程度である。
【0017】前記ビタミンC類を被覆するゴム層を形成
するためのラテックスは、天然ラテックス、擬ラテック
スを含めた合成ラテックスのいずれも使用できる。この
ようなラテックスを用いると、固形製剤の耐熱性を改善
できるとともに、ゴム弾性により固形製剤の耐圧性を改
善できる。合成ラテックスには、通常、乳化重合によっ
て得られる重合体又はセルロース及びその誘導体などの
高分子化合物を主成分として含むラテックスが含まれ
る。ラテックスは、通常、乳液状のものが扱い易く好適
であるが、粉末などの固体状であっても使用時に、溶媒
中に乳化分散させて乳液として使用してもよい。
【0018】合成ラテックスの種類は、固形製剤の耐熱
性及び耐圧性を損なわない限り特に制限されず、重合性
単量体、例えば、エチレンなどのオレフィン系モノマ
ー、酢酸ビニルなどのビニルエステル系モノマー、アク
リル酸、メタクリル酸又はこれらの誘導体などの(メ
タ)アクリル系モノマー、及びスチレンなどのスチレン
系モノマーから選択された少なくとも一種を単量体成分
として含む単独又は共重合体であってもよい。このよう
なラテックスのゴム成分には、例えば、エチレン−酢酸
ビニル共重合体、ポリ酢酸ビニル、エチレン−(メタ)
アクリル酸エステル共重合体、アクリル系共重合体が例
示される。
【0019】好ましい合成ラテックスには、アクリル系
共重合体ラテックスが含まれる。このアクリル系共重合
体は、種々の(メタ)アクリル系モノマー、例えば、
(メタ)アクリル酸;(メタ)アクリル酸メチル、(メ
タ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸ブチル、
(メタ)アクリル酸イソブチル、(メタ)アクリル酸ヘ
キシル、(メタ)アクリル酸オクチル、(メタ)アクリ
ル酸2−エチルヘキシルなどの(メタ)アクリル酸アル
キルエステル;N,N−ジメチルアミノエチル(メタ)
アクリレート、N,N−ジエチルアミノエチル(メタ)
アクリレート、(メタ)アクリル酸 塩化トリメチルア
ンモニウムエチルエステル、(メタ)アクリル酸 塩化
トリエチルアンモニウムエチルエステルなどの塩基性窒
素含有(メタ)アクリル酸エステル;(メタ)アクリル
酸2−ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸2−ヒド
ロキシプロピルなどのヒドロキシル基を有する(メタ)
アクリル酸エステルなどを用いて得ることができる。
【0020】好ましいアクリル系共重合体ラテックスに
は、(メタ)アクリル酸−(メタ)アクリル酸エステル
共重合体、アクリル酸エステル−メタクリル酸エステル
共重合体を含むラテックス、特にゴム弾性が有効に発現
するアクリル酸エチルを単量体成分として含む共重合体
を含有するラテックスが含まれる。このような共重合体
のラテックスには、例えば、メタクリル酸、メチルメタ
クリレート、エチルアクリレート、トリメチルアンモニ
オ エチルメタクリレートから選択された少なくとも二
種を単量体成分とする共重合体を含むラテックス[例え
ば、レーム ファルマ(Rohm Pharma )社製の「オイド
ラギット」(商品名),樋口商会より入手可能]が含ま
れる。
【0021】前記合成ラテックス、特にアクリル系共重
合体ラテックスのガラス転移温度は、ラテックスの造膜
性、固形製剤の耐圧性などを損なわない範囲、例えば、
−20℃〜60℃、好ましくは−15℃〜50℃程度の
範囲から選択できる。
【0022】前記合成ラテックスは、慣用の乳化重合法
により得ることができるとともに、合成樹脂を、必要に
応じて乳化剤、塩基などを用いて、溶媒中に分散するこ
とにより調製できる。アクリル系共重合体などの合成ラ
テックスのpHは、分散安定性を損なわない範囲で適当
に選択できる。pH2〜9程度のアクリル系共重合体ラ
テックスは、ビタミンC類の安定化の点で好適である。
【0023】合成ラテックスのうち、前記アクリル系共
重合体ラテックスは、例えば、RohmPharma 社から「オ
イドラギット L30D(メタクリル酸−アクリル酸エ
チル共重合体)」と「オイドラギット RS30D(ア
クリル酸エチル−メタクリル酸メチル−メタクリル酸
塩化トリメチルアンモニウムエチルエステル共重合
体)」として入手でき、セルロース及びその誘導体を含
むラテックスは、旭化成(株)から「アクアコートHM
C(エチルセルロース含有ラテックス)」として、日本
カラコン(株)から「シュワリース(エチルセルロース
及び可塑剤含有ラテックス)」として、信越化学工業
(株)から「エコートAQOAT(ヒドロキシプロピル
メチルセルロースアセテート含有ラテックス)」として
入手できる。
【0024】天然ラテックスには、例えば、グアガム、
チルクガム、バラゴム、ソルバ、ジェルトン、ソルビン
バ、ツヌー、チルテ、チクブルなどの樹木ラテックスな
どが含まれる。天然ラテックスのpHは、ラテックスの
分散安定性が維持できる限り特に制限されないが、例え
ば、9〜11程度である。
【0025】前記合成ラテックスと天然ラテックスと
は、それぞれ単独で用いてもよいが、ペレット製造時の
ゴム層の耐熱性および耐圧性、および保存時の耐熱性保
持のためには、合成ラテックスと天然ラテックスとを混
合して用いるのが有用である。合成ラテックスと天然ラ
テックスとを混合して用いる場合、合成ラテックスと天
然ラテックスとの割合は広い範囲から選択できる。ラテ
ックスは、例えば、固形分換算で、ラテックス全量に対
して少なくとも10重量%、好ましくは25〜100重
量%、さらに好ましくは50〜100重量%程度の合成
ラテックスを含んでいる前記ラテックスのゴム成分の量
は、固形分換算で、ビタミンC類100重量部に対して
1〜1000重量部、好ましくは5〜500重量部、さ
らに好ましくは10〜400重量部程度であり、10〜
300重量部程度である場合が多い。
【0026】前記ゴム層は、流動助剤を含むラテックス
で形成されている。流動助剤は、粉粒体の凝集を抑制
し、流動性を維持又は改善する作用を有する粉粒体で構
成できる。粉粒状の流動助剤は前記ビタミンC類よりも
小さな平均粒径を有する粉体である場合が多い。流動助
剤の平均粒径は、例えば、0.1〜100μm、好まし
くは0.1〜50μm程度である。さらに好ましくは
0.1〜10μm程度であり、0.1〜5μm(例え
ば、1〜5μm)程度の粉体である場合が多い。
【0027】流動助剤の平均粒径は、ビタミンC類の平
均粒径の1/10以下(例えば、1/1000〜1/1
0)、好ましくは1/500〜1/20、さらに好まし
くは1/300〜1/50程度である。
【0028】このような流動助剤としては、医薬や、食
品分野で利用されている安全性の高い有機又は無機粉粒
体を使用できる。流動助剤としては、例えば、二酸化ケ
イ素、含水無晶形酸化ケイ素、無水ケイ酸、軽質無水ケ
イ酸、メタケイ酸、ケイ酸塩(例えば、ケイ酸カルシウ
ム、ケイ酸アルミニウム、ケイ酸アルミニウムカリウ
ム、ケイ酸アルミニウムカルシウム、ケイ酸マグネシウ
ム、ケイ酸マグネシウムカルシウムなどのケイ酸塩、タ
ルク、バーミキュライト、ケイソウ土、カオリン、ベン
トナイト、クレー、マイカなどの鉱物など)、アルミン
酸マグネシウム、リン酸カルシウム、炭酸カルシウム、
炭酸マグネシウム、硫酸バリウム、アルミナ、酸化チタ
ンなどの無機粉粒体、結晶セルロース、エチルセルロー
ス、ポリメタクリル酸メチル、シリコーン樹脂などの有
機粉粒体などが挙げられる。これらの流動助剤の表面
は、疎水性化合物や疎水性ポリマーなどで改質してもよ
い。これらの流動助剤は単独で又は二種以上混合して使
用できる。
【0029】これらのうちケイ素化合物、例えば、二酸
化ケイ素、ケイ酸およびケイ酸塩から選択された少なく
とも1つの粉体を用いると、造粒原料の流動性の改善だ
けでなく、ラテックスにより形成されるゴム層に、高い
耐熱性およ耐湿性を付与する点で好ましい。特に好まし
い流動助剤としては、二酸化ケイ素、タルクなどのケイ
酸塩が含まれ、これらの流動助剤は併用してもよい。ま
た、好ましい流動助剤は、ゴム層に耐水性を付与するた
め、疎水性粉体又は溌水性粉体を含んでいる。このよう
な疎水性又は溌水性粉体には、タルクなどのように層状
の結晶構造を有する無機粉粒体が含まれる。二酸化ケイ
素などの親水性粉体とタルクなどの疎水性粉体又は溌水
性粉体とを流動助剤として併用すると、特に凝集が抑制
され、かつ良好な被覆が達成される点で好ましい。
【0030】流動助剤の使用量は、固形製剤の流動性を
損なわない範囲で選択でき、例えば、ゴム成分100重
量部に対して、5〜500重量部(例えば、5〜250
重量部程度)、好ましくは10〜125重量部、さらに
好ましくは20〜100重量部程度であり、10〜10
0重量部程度である場合が多い。
【0031】ビタミンC類に対するゴム層の被覆量は、
ゴム成分や流動助剤の種類とその量に応じて、ビタミン
C類の安定性が損なわれない範囲で選択できる。ゴム層
の被覆量は、例えば、ビタミンC類100重量部に対し
て、10〜1000重量部、好ましくは50〜800重
量部、さらに好ましくは100〜500重量部程度であ
り、20〜500重量部程度である場合が多い。
【0032】ビタミンC類は、前記のように、ゴム層で
直接被覆されていてもよいが、ビタミンC類とゴム層と
の間に被覆剤による処理層(又は被覆層)が介在してい
てもよい。また、前記ゴム層はさらに他の被覆剤により
処理又は被覆してもよい。さらに、流動助剤を含有する
ラテックスによる被覆処理は、油脂状物質などによる被
覆処理を併用して行ってもよい。
【0033】特に、ビタミンC類とゴム層との間に油脂
状物質を介在させると、ビタミンC類の水分による分解
をさらに抑制でき、安定性、とりわけ耐水性を顕著に改
善できる。そのため、油脂状物質などの被覆剤でビタミ
ンC類を処理又は被覆した後、前記流動助剤を含むラテ
ックスで被覆処理をするのが好ましい。なお、ビタミン
C類とゴム層との間に介在する油脂状物質は、不連続層
又は連続層を形成してもよい。
【0034】油脂状物質には、常温で固体で、加熱によ
り溶融又は軟化する物質、例えば、融点20〜100
℃、好ましくは50〜90℃、さらに好ましくは70〜
90℃程度の物質が含まれる。このような油脂状物質
は、安全性の高い物質、例えば、通常、医薬や食品用添
加剤として認められている化合物であればよいが、油脂
状を呈し、かつ低融点で塑性変形し易い物質が好まし
い。特に好ましい油脂状物質は微粉末化可能な物質であ
る。油脂状物質は、後述するアルキレンオキサイドの重
合体やポリアルキレンオキサイド誘導体などのように親
水性又は水溶性であってもよく、炭化水素、ロウ類や脂
肪酸エステルなどのように脂溶性又は水不溶性であって
もよい。好ましい油脂状物質は、固形製剤の耐湿性を高
めることができる脂溶性又は水不溶性である。
【0035】前記油脂状物質には、例えば、炭化水素、
高級脂肪酸又はその塩、高級アルコール、ロウ類、硬化
油、脂肪酸エステル、多価アルコールの高級アルコール
エーテル、およびアルキレンオキサイドの単独又は共重
合体などが例示される。
【0036】炭化水素としては、炭素数17〜60程度
の脂肪族炭化水素、例えば、n−ヘプタデカン、n−オ
クタデカン、n−ノナデカン、n−エイコサン、n−ヘ
ンエイコサン、n−ドコサン、n−トリコサン、n−テ
トラコサン、n−ペンタコサン、n−トリアコンタン、
n−テトラコンタン、n−ペンタコンタン、n−ヘキサ
コンタンなどの直鎖又は分岐鎖状炭化水素、およびこれ
らの混合物などが挙げられる。
【0037】高級脂肪酸としては、飽和脂肪酸および不
飽和脂肪酸のいずれであってもよく、例えば、カプリン
酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステア
リン酸、アラキン酸、ベヘン酸、リグノセリン酸、セロ
チン酸、モンタン酸などの飽和脂肪酸、エライジン酸、
イソオレイン酸、エルカ酸などの不飽和脂肪酸、天然油
脂から採取される高級脂肪酸およびそれらの混合物など
が挙げられる。高級脂肪酸の炭素数は、例えば、10〜
40、好ましくは10〜30程度であり、炭素数12〜
22程度の飽和高級脂肪酸が繁用される。高級脂肪酸
は、例えば、ナトリウム塩、カリウム塩などのアルカリ
金属塩、カルシウム塩などのアルカリ土類金属塩などの
塩としても使用できる。
【0038】高級アルコールは、飽和アルコール及び不
飽和アルコールのいずれであってもよく、例えば、ラウ
リルアルコール、テトラデシルアルコール、ミリスチル
アルコール、セチルアルコール、ステアリルアルコー
ル、アラキルアルコール、天然油脂から採取される高級
アルコール及びそれらの混合物などが含まれる。高級ア
ルコールの炭素数は、例えば、10〜35程度であり、
炭素数16〜22程度の飽和高級アルコールが繁用され
る。
【0039】ロウ類としては、パラフィンワックス、カ
ルナウバロウ、カンデリラロウ、ミツロウ、モンタンワ
ックス、鯨ロウ、セラックロウ、マイクロクリスタリン
ワックス、ペトロラタムなどが挙げられる。
【0040】硬化油としては、例えば、ヒマシ油、ナタ
ネ油、綿実油、大豆油、ヤシ油、パーム核油、パーム油
などの硬化植物油や、牛脂、鯨油などの硬化動物油など
が挙げられる。
【0041】脂肪酸エステルは、パルミチン酸セチル、
パルミチン酸セリル、パルミチン酸ミリシル、セロチン
酸セリル、メリシン酸メリシルなどの一価の高級アルコ
ールと脂肪酸とのエステル(ロウエステル)であっても
よい。脂肪酸エステルは、通常、1分子内に2以上のヒ
ドロキシル基を有する多価アルコールと脂肪酸とのエス
テルである場合が多い。前記多価アルコールとしては、
例えば、エチレングリコール、プロピレングリコールな
どのアルキレングリコール;ジエチレングリコール、ト
リエチレングリコール、ポリエチレングリコール、ジプ
ロピレングリコール、トリプロピレングリコール、ポリ
プロピレングリコール、これらの共重合体などのポリア
ルキレングリコール;グリセリン、ポリグリセリン、ペ
ンタエリスリトールなどの多価アルコール;ソルビトー
ル、ショ糖、ラフィノースなどの糖類;1,5−ソルビ
タン、1,4−ソルビトール、3,6−ソルビタンなど
のソルビトールの分子内脱水化合物;ジエタノールアミ
ン、トリエタノールアミンなどのジ又はトリアルカノー
ルアミンなどが例示される。前記脂肪酸としては、例え
ば、酢酸、プロピオン酸、酪酸、ペラルゴン酸、ラウリ
ン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ヘプタデシル酸、
ステアリン酸、ベヘン酸、ノナデカン酸、ウンデシレン
酸などの飽和脂肪酸、オレイン酸、ソルビン酸、リノー
ル酸、リノレン酸、アラキドン酸、ステアロール酸など
の不飽和脂肪酸が挙げられる。
【0042】多価アルコールの脂肪酸エステルの具体例
としては、例えば、分子量400〜900程度のソルビ
タン脂肪酸エステル(例えば、ソルビタンモノステアレ
ート、ソルビタントリステアレート、ソルビタンモノオ
レート、ソルビタンセスキステアレート、ソルビタンモ
ノパルミテートなど);分子量1000〜1500程度
のポリオキシアルキレンソルビタン脂肪酸エステル(例
えば、ポリオキシエチレンソルビタンパルミテートな
ど);ポリオキシアルキレンソルビトール脂肪酸エステ
ル(例えば、ポリオキシエチレンソルビトールヘキサス
テアレート、ポリオキシエチレンソルビトールヘキサオ
レエート、ポリオキシエチレンソルビトールトリステア
レート、ポリオキシエチレンソルビトールテトララウレ
ートなど);ポリオキシアルキレンソルビトール密ロウ
誘導体(例えば、ポリオキシエチレンソルビトール密ロ
ウ誘導体など);ポリオキシアルキレンラノリン誘導体
(例えば、ポリオキシエチレンラノリン誘導体など);
アルキレングリコール脂肪酸エステル、例えば、分子量
200〜700程度のプロピレングリコール脂肪酸エス
テル(例えば、プロピレングリコールモノパルミテー
ト、プロピレングリコールモノステアレート、プロピレ
ングリコールドラウレート、プロピレングリコールジミ
リステート、プロピレングリコールジパルミテート、プ
ロピレングリコールジステアレートなど)、分子量50
0〜1200程度のエチレングリコール脂肪酸エステル
(例えば、エチレングリコールモノラウレート、エチレ
ングリコールモノパルミテート、エチレングリコールモ
ノマーガレット、エチレングリコールモノステアレー
ト、エチレングリコールジラウレート、エチレングリコ
ールジミリステート、エチレングリコールジパルミテー
ト、エチレングリコールジマーガレットなど);分子量
3500〜4000程度のポリオキシアルキレンヒマシ
油誘導体(例えば、ポリオキシエチレンヒマシ油誘導体
など);分子量1900〜2200程度のポリオキシア
ルキレン脂肪酸エステル(例えば、ポリオキシエチレン
ステアレート、ポリオキシエチレンオレエート、ポリオ
キシエチレンパルミテート、ポリオキシエチレンリノレ
ートなど);分子量300〜600程度のグリセリン脂
肪酸エステル(例えば、グリセリンモノアセテート、グ
リセリンモノプロピオネート、グリセリンモノカプリレ
ート、グリセリンモノラウレート、グリセリンモノミリ
ステート、グリセリンモノパルミテート、グリセリンモ
ノステアレート、グリセリンモノオレエート、グリセリ
ンモノリノレートなどのグリセリンモノ脂肪酸エステ
ル、グリセリンジカプリレート、グリセリンジラウレー
ト、グリセリンジミリステート、グリセリンジパルミテ
ート、グリセリンジステアレートなどのグリセリンジ脂
肪酸エステル、グリセリントリカプリレート、グリセリ
ントリラウレート、グリセリントリミリステート、グリ
セリントリパルミテート、グリセリントリステアレート
などのグリセリントリ脂肪酸エステル);ポリグリセリ
ン脂肪酸エステル;分子量400〜1300程度のショ
糖脂肪酸エステル(例えば、ショ糖モノラウレート、シ
ョ糖モノミリステート、ショ糖モノパルミテート、ショ
糖モノステアレート、ショ糖ジステアレート、ショ糖ト
リミリステート、ショ糖トリパルミテート、ショ糖トリ
ステアレートなど)などが挙げられる。
【0043】多価アルコールの高級アルコールエーテル
には、前記例示の多価アルコールと高級アルコール(例
えば、前記例示の高級アルコールの他、オレイルアルコ
ール、オクチルアルコール、デシルアルコースなど)と
のエーテルが含まれる。
【0044】前記エーテルの具体例としては、例えば、
ポリオキシエチレン高級アルコールエーテル(例えば、
ポリオキシエチレンラウリルアルコールエーテル、ポリ
オキシエチレンセチルアルコールエーテル、ポリオキシ
エチレンステアリルアルコールエーテル、ポリオキシエ
チレンオレイルアルコールエーテル、ポリオキシエチレ
ンオクチルアルコールエーテル、ポリオキシエチレンデ
シルアルコールエーテルなど);ポリオキシプロピレン
ポリオキシエチレン高級アルコールエーテル(例えば、
ポリオキシプロピレンポリオキシエチレンセチルアルコ
ールエーテル、ポリオキシプロピレンポリオキシエチレ
ンステアリルアルコールエーテル、ポリオキシプロピレ
ンポリオキシエチレンオレイルアルコールエーテル、ポ
リオキシプロピレンポリオキシエチレンオクチルアルコ
ールエーテル、ポリオキシプロピレンポリオキシエチレ
ンラウリルアルコールエーテルなど)が挙げられる。
【0045】アルキレンオキサイドの重合体は、例え
ば、エチレンオキサイド、プロピレンオキサイド、トリ
メチレンオキサイド、テトラヒドロフランなどのアルキ
レンオキサイドの単独重合体であってもよく、共重合体
であってもよい。好ましいアルキレンオキサイドには、
エチレンオキサイドが含まれている。
【0046】アルキレンオキサイドの単独重合体として
は、分子量1000〜50000、好ましくは、150
0〜30000程度のポリアルキレンオキサイド(例え
ば、ポリエチレングリコール6000)などが挙げられ
る。
【0047】アルキレンオキサイドの共重合体として
は、上記2以上のアルキレンオキサイドの共重合体が含
まれ、分子量は1000〜50000程度である。共重
合体はランダム共重合体であってもよくブロック共重合
体であってもよい。共重合体としては、エチレンオキサ
イドと他のアルキレンオキサイドとの共重合により得ら
れるオキシエチレン単位を含む共重合体、特にエチレン
オキサイドとプロピレンオキサイドとの共重合体が繁用
される。前記共重合体としては、例えば、ポリ(エチレ
ンオキサイド−プロピレンオキサイド)共重合体(例え
ば、フロイント産業(株)製PER−101、旭電化
(株)製プルロニックF68)などが挙げられる。共重
合体におけるオキシエチレン単位の含量は、例えば、5
0〜95重合%、好ましくは60〜90重量%程度であ
る。
【0048】好ましいアルキレンオキサイドの重合体に
は、エチレンオキサイドの単独又は共重合体、特にポリ
エチレングリコールが含まれる。
【0049】これらの油脂状物質は単独で又は二種以上
併用してもよい。なお、二種以上の油脂状物質を混合物
として使用する場合、前記20〜100℃の温度で固形
である限り、1種以上の油脂状物質の融点は20℃未満
であってもよく、100℃を越えてもよい。
【0050】前記油脂状物質のうち、硬化油(硬化植物
油)、高級脂肪酸、ロウ類、脂肪酸エステル、多価アル
コールの高級アルコールエーテル、アルキレンオキサイ
ドの単独又は共重合体、特にアルキレンオキサイドの単
独又は共重合体が繁用される。特に、油脂状物質は、硬
化ヒマシ油などの硬化油を含むのが好ましい。硬化油の
割合は、油脂状物質全体の10〜100重量%、好まし
くは25〜100重量%、さらに好ましくは50〜10
0重量%程度である。
【0051】油脂状物質の使用量は、ビタミンC類10
0重量部に対して、1〜1000重量部(例えば、10
〜500重量部)、好ましくは2〜100重量部(例え
ば、2〜40重量部)、さらに好ましくは5〜30重量
部程度である。
【0052】油脂状物質でビタミンC類を予め被覆する
と、流動助剤を含むラテックスの使用量を著しく低減し
ても、ビタミンC類を確実かつ高度に安定化できる。ビ
タミンC類を予め油脂状物質で処理又は被覆した固形製
剤形剤において、ゴム層の割合は、例えば、ビタミンC
類100重量部に対して、1〜200重量部(例えば、
1〜100重量部)、好ましくは2〜70重量部、さら
に好ましくは5〜50重量部程度であり、5〜30重量
部程度である場合が多い。
【0053】なお、前記ゴム層、油脂状物質などによる
処理層や被覆層は、種々の添加剤、例えば、炭酸カルシ
ウム、リン酸カルシウムなどの無機粉末や、糖類(例え
ば、ショ糖、乳糖、マンニトール、マルトース)、セル
ロース類(例えば、エチルセルロース、ヒドロキシプロ
ピルメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロー
ス、ヒドロキシプロピルメチルセルロースフタレートな
ど)、タンパク質(例えば、卵白、ゼイン、ゼラチンな
ど)、樹脂(例えば、エレニ樹脂、ダンマル樹脂、グア
ヤク樹脂など)、樹脂酸エステル(例えば、シェラック
など)、安息酸などの有機粉末、酸化防止剤(例えば、
L−システィン、グリセリン、亜硫酸ナトリウム、亜硫
酸水素ナトリウム、ピロ亜硫酸ナトリウムなど)、紫外
線吸収剤どの安定化剤、トリアセチン(グリセリントリ
アセタート)などの可塑剤、防腐剤、緩衝剤、着色剤、
マスキング剤、界面活性剤などを含んでいてもよい。
【0054】本発明の固形製剤は、ビタミンC類(好ま
しくは粉粒状のビタミンC類)を、流動助剤を含むラテ
ックスで被覆処理することにより得ることができる。被
覆処理は、慣用の方法、例えば、転動コーティング、ス
プレーコーティングなどの方法、好ましくは流動層下で
コーティングする方法により行なうことができる。すな
わち、ビタミンC類により形成された流動層に、ラテッ
クスと流動助剤を含有する乳化懸濁液を噴霧して被覆
し、乾燥させることにより粉粒状の固型製剤を得ること
ができる。
【0055】特に、流動層コーティング法において、凝
集物が生成するのを抑制するためには、ワースター法
(ボトムスプレー法)、又はタンジェンシャルスプレー
による転動流動法が好ましい。すなわち、ワースター法
では、内筒を備えたワースター型装置を用い、上昇気流
により内筒の下部からビタミンC類を吸い込んで、乳化
懸濁液を噴霧しながら内筒内を上昇させ、内筒の頂部か
ら拡大部で失速させて落下させ、循環させる方法により
被覆処理するのが好ましい。底部に堆積した粒子は、バ
ブリングにより流動化し、順次内筒内に吸い込まれる。
このようなワースター型流動層を利用した流動層コーテ
ィング法は、通常の流動層コーティング法(トップスプ
レー法)などに比べてより高い線速の循環流を起こさ
せ、より激しい粒子運動を生じるため、凝集をよく抑制
できるとともに、噴霧コーティングと乾燥とを分離して
行なうことができる利点がある。
【0056】タンジェンシャルスプレー方式を用いた転
動流動法においては、例えば、ビタミンC類は、回転体
の表面で転動され、転動した粒状物は、気流により浮遊
される。この方法では、粒状物は回転する回転体の遠心
力により旋回状又は渦巻状に転動されるとともに、気流
により浮遊して流動層を形成する。また、ラテックス組
成物は前記粒状物の流れに対して接線方向に噴霧され
る。このようなタンジェンシャルスプレー方式を用いる
と、噴霧されたラテックス組成物が粒状物に付着し易く
なるので、粒状物と噴霧されたラテックス組成物との接
触効率を高めることができる。転動流動法においては、
粒状物の転動と流動とを行なうことができる種々の転動
流動装置、例えば、「マルチプレックス」(パウレック
ス(株)製)や「スパイラルフロー」(フロイント産業
(株)製)などを用いることができる。
【0057】前記乳化懸濁液の組成は、各成分の前記割
合に応じて選択でき、通常、ラテックス(固形分換算)
5〜50重量%(好ましくは8〜20重量%)程度、流
動助剤3〜50重量%(好ましくは5〜20重量%)程
度である場合が多い。
【0058】なお、ラテックス以外の被覆剤、例えば、
油脂状物質を用いて被覆処理する場合には、例えば、乾
式及び湿式の如何を問わず、転動コーティング法、スプ
レーチリング(噴霧冷却)法、ハイブリダイゼーション
法なども利用できる。
【0059】このような方法により得られる固形製剤
は、例えば、50〜2000μm、好ましくは100〜
1500μm、さらに好ましくは200〜1000μm
程度であり、200〜700μm程度の粒状物、特に顆
粒剤である場合が多い。
【0060】本発明の固形製剤の形態は、上記のような
顆粒状であってもよく、ペレット状、タブレット状、フ
レーク状などであってもよい。なお、必要に応じて、慣
用の成分、例えば、賦形剤、結合剤、崩壊剤、崩壊助
剤、保存剤、着色剤などを用い、上記粒体を製剤化して
もよい。
【0061】このようにして得られた本発明の製剤は、
高温、高湿度下でも安定性に優れているので、単独で又
は他のビタミン、アミノ酸、ミネラル成分などと混合し
て医薬、食品、飼料分野などにおいて広く利用できる。
特に魚貝類、甲殻類などの水産飼料、動物飼料用の添加
物として利用するのに有用である。例えば、魚用配合飼
料のペレット化工程のように、高温、高湿度下で、剪断
力が作用したり、他のビタミン類やミネラルが共存する
系での混練工程に供しても、ビタミンC類(L−アスコ
ルビン酸又はその塩)を分解させることなく有効に利用
できる。
【0062】
【発明の効果】本発明の固形製剤は、流動助剤を含むゴ
ム層で被覆されているので、高温、高湿度下でも、高い
安定性を維持しつつビタミンC類を含有できる。また、
温湿度だけでなく剪断力が作用する過酷な条件下でも、
分解を抑制しつつ、ビタミンC類を高い安定性で含有で
きる。そのため、ペレット化工程などに供しても、ビタ
ミンC類の高い安定性を維持できる。さらには、ミネラ
ルなどと共存させても、ビタミンC類の高い安定性を維
持できる。なお、油脂状物質でビタミンC類を予め処理
又は被覆すると、ビタミンC類の安定性をさらに高める
ことができる。
【0063】本発明の方法では、被覆という簡単な操作
で、前記の如き優れた特性を有する固形製剤を効率よく
得ることができる。
【0064】
【実施例】以下に、実施例、比較例に基づいて本発明を
さらに詳しく説明するが、本発明はこれらの実施例によ
り限定されるものではない。
【0065】実施例1 ワースター装置[(株)パウレック製、FD−3S型]
にL−アスコルビン酸(平均粒径300μm)500重
量部を仕込み、合成ラテックス[Rohm Pharma社製,オ
イドラギットL30D−55]70重量部、天然ラテッ
クス(パラゴム)50重量部、二酸化ケイ素(平均粒径
2.3μm)44重量部、タルク(平均粒径1.5μ
m)50重量部及び水500重量部を含有する乳化懸濁
液を、L−アスコルビン酸に噴霧コーティングした。コ
ーティング条件は、給気風量0.5m3 /分、給気温度
75℃、噴霧空気量80NL/分、噴霧液量15ml/
分、排気温度44〜50℃である。噴霧開始後、約90
分間で噴霧は終了した。平均粒子径360μmの被覆顆
粒剤を得た。
【0066】実施例2 実施例1の乳化懸濁液に代えて、合成ラテックス(オイ
ドラギットL30D−55)120重量部、トリアセチ
ン10重量部、タルク(平均粒径1.5μm)30重量
部及び水500重量部からなる乳化懸濁液を用い、実施
例1と同様にして、L−アスコルビン酸に噴霧コーティ
ングした。噴霧開始後、約75分間で噴霧は終了した。
平均粒子径440μmの被覆顆粒剤を得た。
【0067】実施例3 実施例1の乳化懸濁液に代えて、下記組成の乳化懸濁液
を用い、L−アスコルビン酸に実施例1と同様にして噴
霧コーティングした。噴霧開始後、約60分間で噴霧は
終了した。平均粒子径350μmの被覆顆粒剤を得た。
【0068】 合成ラテックス(オイドラギットL30D−55) 40重量部 天然ラテックス(パラガム) 30重量部 エチルセルロース 20重量部 タルク(平均粒径1.5μm) 40重量部 水 500重量部 実施例4 実施例1の乳化懸濁液に代えて、合成ラテックス(オイ
ドラギットL30D−55)40重量部、天然ラテック
ス(パラガム)30重量部、二酸化ケイ素(平均粒径
2.3μm)30重量部、タルク(平均粒径1.5μ
m)30重量部及び水500重量部からなる乳化懸濁液
を用い、実施例1と同様にして、L−アスコルビン酸に
噴霧コーティングした。噴霧開始後、約60分間で噴霧
は終了した。平均粒子径320μmの被覆顆粒剤を得
た。
【0069】実施例5 実施例1の乳化懸濁液に代えて、合成ラテックス(オイ
ドラギットL30D−55)20重量部、天然ラテック
ス(パラガム)15重量部、二酸化ケイ素(平均粒径
2.3μm)10重量部、タルク(平均粒径1.5μ
m)10重量部及び水250重量部からなる乳化懸濁液
を用い、実施例1と同様にして、L−アスコルビン酸に
噴霧コーティングした。噴霧開始後、約30分間で噴霧
は終了した。平均粒子径340μmの被覆顆粒剤を得
た。
【0070】実施例6 転動コーティング装置[(株)深江工業、ハイスピード
ミキサー]にL−アスコルビン酸(平均粒径300μ
m)500重量部と硬化ヒマシ油55重量部を仕込み、
装置のジャケットを90℃に加温させて原料を88〜9
0℃に昇温させ、転動させながらL−アスコルビン酸の
表面を硬化ヒマシ油で被覆した。その後、硬化ヒマシ油
とL−アスコルビン酸との溶融混合物を冷却することに
より、硬化ヒマシ油でコーティングしたコーティング品
を得た。
【0071】コーティング品500重量部をワースター
装置に仕込み、合成ラテックス(オイドラギットL30
D−55)25重量部、天然ラテックス(パラゴム)2
0重量部、二酸化ケイ素(平均粒径2.3μm)15重
量部、タルク(平均粒径1.5μm)15重量部及び水
250重量部からなる乳化懸濁液を、コーティング品に
噴霧コーティングした。コーティング条件は、給気風量
0.6m3 /分、給気温度70℃、噴霧空気量80NL
/分、噴霧液量15ml/分、排気温度43〜50℃で
ある。噴霧開始後、約30分間で噴霧は終了した。平均
粒子径470μmの被覆顆粒剤を得た。
【0072】実施例7 実施例1の乳化懸濁液に代えて、合成ラテックス(シュ
ワリース)18重量部、タルク(平均粒径1.5μm)
6重量部、水400重量部を含む懸濁液を用い、実施例
1と同様にして、L−アスコルビン酸に噴霧コーティン
グした。噴霧開始後、約50分間で噴霧は終了した。平
均粒子径370μmの被覆顆粒剤を得た。
【0073】比較例1 L−アスコルビン酸(平均粒径300μm)に何の処理
も施すことなく試験に供した。
【0074】比較例2 温度調節可能なウォーターバス中に設置したステンレス
製バットに、L−アスコルビン酸(平均粒径300μ
m)250重量部、硬化大豆油125重量部、グリセリ
ン脂肪酸エステル(商品名ポエムP−100,理研ビタ
ミン製,蒸留モノグリセリンを90%以上含有)125
重量部を仕込み、80℃にて溶融混合物を調製する。こ
の混合物を簡易スプレーチリング装置にて噴霧冷却させ
て、平均粒子径192μmの被覆顆粒剤を得た。
【0075】比較例3 転動コーティング装置にL−アスコルビン酸(平均粒径
300μm)500重量部と硬化大豆油55重量部を仕
込み、装置のジャケットを73℃に加温させて70〜7
2℃に昇温させ、転動させながらL−アスコルビン酸の
表面を硬化大豆油で被覆した。その後、硬化大豆油とL
−アスコルビン酸との溶融混合物を冷却させることによ
り、硬化大豆油で被覆した顆粒剤(平均粒径400μ
m)を得た。
【0076】試験例1 実施例、比較例の顆粒剤の安定性を調べるため、下記組
成のビタミン混合品(オリエンタル酵母(株)製,ハー
パービタミンプレミックス)とミネラル混合品(オリエ
ンタル酵母(株)製,ハーパーミネラルプレミックス)
との接触試験を行った。
【0077】 [ハーパービタミンプレミックスの組成] 成 分 割 合(単位:mg) ビタミンA・アセテート 50万IU 93.2(46,600IU) ビタミンD3 4,000万IU 0.5825(23,300IU) ビタミンE・アセテート 1,200.0 ビタミンK3 6.0 ビタミンB1 塩酸塩 59.0 ビタミンB2 59.0 ビタミンB6 塩酸塩 29.0 ビタミンB12 0.2 D−ビオチン 1.0 葉酸 2.0 パントテン酸カルシウム 235.0 コニチン酸 294.0 イノシトール 1,176.0 乳糖 96,257.0175 合 計 100,000 [ハーパーミネラルプレミックスの組成] 成 分 割 合(単位:mg) CaHPO4 ・2H2 O 0.43 KH2 PO4 34.31 NaCl 25.06 クエン酸鉄 0.623 MgSO4 4.8764 ZnCl2 0.02 MnSO4 ・4〜5H2 O 0.121 CuSO4 ・5H2 O 0.156 KI 0.0005 CaCO3 29.29 (NH4 6 MO7 24・4H2 O 0.0025 セルロースパウダー 5.1036 合 計 99.993 試験方法:ビタミン混合品とミネラル混合品とを重量比
1:1で混合したミックス品に、実施例、比較例の顆粒
剤を混合し、100℃、湿度100%で2時間保存した
後、高速液体クロマトグラフィーを用いてL−アスコル
ビン酸の残存率を測定する。結果を表1に示す。
【0078】
【表1】 表1に示されるように、実施例の製剤は、高温、高湿度
下において、ビタミン、ミネラルが共存していても、L
−アスコルビン酸を十分安定に保たせ得る組成物である
ことが明らかである。

Claims (19)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ビタミンC類が、流動助剤とゴム成分と
    を含むゴム層で被覆されている固形製剤。
  2. 【請求項2】 ゴム層が、流動助剤を含むラテックスで
    形成されている請求項1記載の固形製剤。
  3. 【請求項3】 ラテックスが、合成ラテックスと天然ラ
    テックスとの混合物である請求項2記載の固形製剤。
  4. 【請求項4】 ラテックスが、固形分換算で、ラテック
    ス全量に対して少なくとも10重量%の合成ラテックス
    を含んでいる請求項3記載の固形製剤。
  5. 【請求項5】 合成ラテックスがアクリル系共重合体で
    ある請求項3記載の固形製剤。
  6. 【請求項6】 ゴム成分の量が、ビタミンC類100重
    量部に対して1〜1000重量部である請求項1記載の
    固形製剤。
  7. 【請求項7】 流動助剤が、ビタミンC類の平均粒径の
    1/10以下である平均粒径を有する有機又は無機粉粒
    体である請求項1記載の固形製剤。
  8. 【請求項8】 流動助剤が、ケイ素化合物である請求項
    1記載の固形製剤。
  9. 【請求項9】 流動助剤が、二酸化ケイ素、ケイ酸およ
    びケイ酸塩から選択された少なくとも一種を含むケイ素
    化合物である請求項8記載の固形製剤。
  10. 【請求項10】 流動助剤が二酸化ケイ素とタルクとを
    含む請求項1記載の固形製剤。
  11. 【請求項11】 ゴム成分100重量部に対する流動助
    剤の量が5〜500重量部である請求項1記載の固形製
    剤。
  12. 【請求項12】 ビタミンC類が粉粒状であり、ゴム層
    が流動助剤としての平均粒径0.1〜100μmの粉体
    を含み、前記ビタミンC類100重量部に対するゴム層
    の割合が10〜1000重量部であるとともに、前記ゴ
    ム成分100重量部に対する流動助剤としての粉体の割
    合が10〜100重量部である請求項1記載の固形製
    剤。
  13. 【請求項13】 ビタミンC類とゴム層との間に油脂状
    物質が介在する請求項1記載の固形製剤。
  14. 【請求項14】 油脂状物質が融点20〜100℃を有
    する請求項13記載の固形製剤。
  15. 【請求項15】 油脂状物質が硬化油を含む請求項13
    記載の固形製剤。
  16. 【請求項16】 ビタミンC類100重量部に対する油
    脂状物質の割合が1〜1000重量部である請求項13
    記載の固形製剤。
  17. 【請求項17】 ビタミンC類100重量部に対するゴ
    ム層の割合が1〜200重量部である請求項13記載の
    固形製剤。
  18. 【請求項18】 ビタミンC類を、流動助剤を含むラテ
    ックスで被覆処理する固形製剤の製造方法。
  19. 【請求項19】 被覆処理を流動層下で行う請求項18
    記載の固形製剤の製造方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2002212446A (ja) * 2000-12-27 2002-07-31 Rohm & Haas Co 多機能粒状ペレット助剤およびプロセス

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