JPH0732166A - 鋳鉄と鋼との拡散接合方法 - Google Patents

鋳鉄と鋼との拡散接合方法

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JPH0732166A
JPH0732166A JP8778791A JP8778791A JPH0732166A JP H0732166 A JPH0732166 A JP H0732166A JP 8778791 A JP8778791 A JP 8778791A JP 8778791 A JP8778791 A JP 8778791A JP H0732166 A JPH0732166 A JP H0732166A
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Shizuo Mukai
静雄 迎
Akihiro Asada
明弘 浅田
Kazumasa Nishio
一政 西尾
Hirohisa Masumoto
広久 益本
Mitsuru Yano
満 矢野
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 鋳鉄と鋼との拡散接合方法において、従来不
可能だった大きな接合強度が得られる方法を提供する。 【構成】 鋳鉄(球状黒鉛鋳鉄)と鋼とを加圧した状態
で800〜1000℃で1〜120分間加熱することに
より拡散接合する際に、前記鋳鉄及び前記鋼のうち少な
くともいずれか一方の接合面に、あらかじめ拡散性の良
好な金属のメッキ層を施す。このような金属として、N
i、Cu、純鉄が挙げられる。 【効果】 鋳鉄と鋼との拡散接合において、Niメッキを
施すことにより、球状黒鉛鋳鉄と同程度の接合強度が得
られる。このように拡散接合した複合部材は、自動車用
部品その他の構造用部品に好適である。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は鋳鉄と鋼との拡散接合方
法に関し、特に被接合材と同等の接合強度を得ることが
できる鋳鉄と鋼との拡散接合方法に関する。
【0002】
【従来の技術】鋳鉄は、一般に複雑な形状の部品でも一
体的に形成することができ、かつ機械的強度が高いとい
う利点を有するが、靱性に劣る。一方機械構造用鋼のよ
うな鋼は、良好な機械的強度及び靱性を有するが、鍛造
により複雑な形状に形成するのは困難である。そこで、
複雑形状を有する部品のうち特に靱性が要求される部分
を機械構造用鋼のような鋼により形成し、また靱性が要
求されない部分を鋳鉄により形成することができれば、
安価で軽量な部品を得ることができる。このような複合
部品は特に自動車等の構造用部品として有効である。
【0003】従来から鋳鉄又は鋼製の同種又は異種の部
材を強固に接合する手段として、溶接法が広く採用され
ている。しかしながら、溶融溶接法によると、接合時に
溶解が起り、溶接母材及び/又は溶着金属にマルテンサ
イトや炭化物が析出し、硬度が極度に高くなって接合部
が脆くなり、割れや加工不良等の原因となる。
【0004】予熱及び後熱の熱処理を行うことにより、
マルテンサイト及び炭化物の生成を抑制することはでき
るが、工業的にコスト高になったり、熱処理による歪み
が生じる等の問題がある。
【0005】また、必要な材料を溶射により肉盛りする
方法もあるが、接合強度が弱く、また多量の容射により
他材質の厚い層を作るにはコストが高過ぎ、工業的には
価値がない。
【0006】以上の情況下において、同材料又は異材料
の鋳鉄同志又は鋳鉄と鋼の両材料を接触させ、真空中又
は保護雰囲気中で両材料を常温にて拘束し、又は接触部
に圧力を加えて1〜30分間700〜950℃で加熱す
ることを特徴とする鋳鉄の拡散接合方法(特開昭62−
40981号)が提案された。この拡散接合において、
両材料の間にNi、Cu、純鉄等の箔を挿入することによ
り、接合強度が向上している。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、自動車
部品等の小型軽量化の傾向に伴い、小型化、薄肉化して
も十分に大きな強度を発揮するように、一層大きな接合
強度が得られる拡散接合方法が望まれている。
【0008】従って、本発明の目的は、鋳鉄と鋼との拡
散接合方法において、従来不可能だった大きな接合強度
が得られる方法を提供することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】上記目的に鑑み鋭意研究
の結果、本発明者等は、鋳鉄と鋼との接触面のいずれか
少なくとも一方に、両者に対して良好な拡散性を有する
金属のメッキ層をあらかじめ施しておくと、拡散接合に
より非常に大きな接合強度が得られることを発見し、本
発明に想到した。
【0010】すなわち、鋳鉄と鋼とを拡散接合させる本
発明の方法は、鋳鉄と鋼とを加圧した状態で800〜1
000℃で1〜120分間加熱することにより拡散接合
するもので、前記鋳鉄及び前記鋼のうち少なくともいず
れか一方の接触面に、あらかじめ拡散性の良好な金属の
メッキ層を施すことを特徴とする。
【0011】
【作用】本発明の拡散接合方法においては、少なくとも
いずれか一方の接触面にあらかじめ拡散性の良好な金属
メッキ層が施されているので、その金属が十分に加熱拡
散し、両者の接合が強固になるものと考えられる。
【0012】本発明の拡散接合方法に使用することがで
きる鋳鉄としては、球状黒鉛鋳鉄やねずみ鋳鉄等の種々
の鋳鉄が挙げられ、また、球状黒鉛鋳鉄としては、フェ
ライト系球状黒鉛鋳鉄やパーライト系球状黒鉛鋳鉄等の
いずれでもよい。一方鋼としては、機械的強度が大きい
とともに、十分な靱性を有するものであれば、いずれの
ものも使用可能である。このような鋼の例として機械構
造用鋼があるが、例えば、S45C、SS41等が挙げ
られる。
【0013】良好な接合強度を得るためには、鋳鉄及び
鋼の接合面は、できるだけ平滑であるのが好ましい。い
ずれか一方の接合面でも表面が粗いと、接合界面に沿っ
て未接合部(Void)が多く生じ、そこが亀裂の発生及び
伝播経路になるものと考えられる。接合面の表面粗さ
(Rz)は、約5μm以下であるのが好ましい。
【0014】このような平滑な接合面のいずれか一方
に、良好な拡散性を有する金属のメッキ層を施す。この
ような金属としては、Ni、Cu、純鉄等が挙げられるが、
Niが特に好ましい。メッキ層の厚さは、一方の接合面の
みに形成した場合、2〜500μmとする。この場合、
メッキ層の厚さが2μm未満であると、金属のメッキ層
の拡散による接合強度の向上効果が十分に得られない。
また500μmを超えると、メッキ層が拡散により消失
せず、メッキ層自身で破壊するおそれがある。好ましい
メッキ層の厚さは5〜100μmである。なお、両接合
面にメッキ層を施した場合には、両メッキ層の合計厚さ
が上記範囲内であればよい。
【0015】本発明の拡散接合は、少なくともいずれか
一方にメッキ層を施した鋳鉄部材及び鋼部材を接触した
状態で、一定時間加熱することにより行う。接合界面に
空隙部が生じないようになるために、両部材を加圧する
のが好ましい。加圧力は、表面粗さによっても異なる
が、一般に0.1〜5 kg/mm2 である。0.1 kg/mm2
未満であると、空隙部が発生するおそれが大きく、また
5 kg/mm2 を超えると被接合材の変形のおそれがある。
【0016】拡散接合温度は、一般に800〜1000
℃である。800℃未満であると、メッキ層の拡散が十
分でなく、また1000℃を超えると、被接合部材の熱
変形等が生じる。好ましい拡散接合温度は800〜98
0℃である。
【0017】なお、拡散接合時間は、上記温度及び圧力
の条件下において、1〜120分であればよい。1分未
満であるとメッキ層の拡散が十分でなく、また120分
を超えても、接合強度の向上効果は頭打ちである。
【0018】なお、本発明の拡散接合方法は、真空中あ
るいは保護雰囲気中、例えば窒素ガス、アルゴンガス中
で行う。これは、大気中あるいは酸化性気体中ては加熱
時に接合部が酸化して、十分な接合が出来ないからであ
る。
【0019】本発明の拡散接合方法により接合された鋳
鉄と鋼との接合強度は著しく高い。例えば、球状黒鉛鋳
鉄と機械構造用鋼をNiメッキ層により拡散接合した場
合、650〜750MPaもの接合強度(引張強さ)が
得られる。
【0020】
【実施例】本発明を以下の実施例により詳細に説明す
る。実施例1、比較例1、2 供試材料として、表1に示す組成の球状黒鉛鋳鉄(FC
D40)及び機械構造用鋼(S45C)を用い、図1に
示す高周波誘導加熱式拡散接合装置により、接合実験を
行った。なお、図1の装置は、真空容器1と、台2と、
接合部材Sを押圧するプランジャー3と接合部材Sを加
熱するための高周波誘導コイル4と、接合部の温度を計
測する熱電対5とを有する。装置の各開口部は密閉さ
れ、開口部6より真空引きされるようになっている。
【0021】接合材は、直径10mmの各材料を長さ40
mmに切削加工後、接合の直前に接合面の端面仕上げをエ
メリー紙を用いて行い、接合面の平均表面粗さを約0.
35μmと一定にした後に、アセトン中にて超音波洗浄
を行った。温度検出は、接合部より約2mmの位置に点溶
接をおこなった白金−白金ロジウム熱電対により行っ
た。 表1
【0022】 組成(重量%) Si Mn FCD40 3.69 3.14 0.18 0.058 0.006 S45C 0.4 0.2 0.8 0.01 0.01
【0023】 組成(重量%) Cr Cu Mg Fe FCD40 0.03 − 0.043 残部 S45C − − − 残部
【0024】機械構造用鋼の接合面にNiメッキを厚さ約
10μmに施した後、球状黒鉛鋳鉄の接合面と接触させ
た状態で、図1の装置内に設置した。接合性に及ぼす接
合条件の影響について検討を行うために、接合温度TB
を730〜980℃の範囲で、接合時間tB を0.2k
s〜6ksの範囲で変化させると共に、接合圧力PB
1MPa〜18MPaの範囲で変化させた。接合温度ま
での加熱は、毎分1000℃一定で行うと共に、接合圧
力は接合温度の到達直後に加え、その後室温まで冷却中
加え続けた。接合後の冷却は可能な限り急速に行った。
【0025】比較例として、両接合材を直接接合する場
合(比較例1)、及びNi箔(厚さ10μm)をはさんだ
場合(比較例2)について、それぞれ上記と同じ条件で
拡散接合実験を行った。
【0026】図2は、球状黒鉛鋳鉄と機械構造用鋼の接
合における接合強度と接合温度との関係を示す。接合時
間tB 及び接合圧力PB は、それぞれ1.8ks及び6
MPaと一定であった。
【0027】直接接合の場合(比較例1)、厚さ10μ
mのNi箔を接合部に挿入した接合の場合(比較例2)、
及び約10μmのNiメッキを施した機械構造用鋼との接
合の場合(実施例1)とも、図2に見られるように、接
合温度が730℃では、120MPa以下の著しく低い
接合強度しか得られなかったが、いずれの接合において
も接合温度の上昇とともに接合強度は増加し、接合温度
が820℃では400MPa以上の引張強さが得られる
ようになった。接合温度が820℃以上では、直接接合
(比較例1)、Ni箔を挿入した接合(比較例2)そして
Niメッキを利用した接合(実施例1)の順に高い接合強
度が得られた。なお、接合温度が820℃のとき、Ni箔
を利用した接合材では複数本(4〜5本)の接合試験片
のなかで1本だけが球状黒鉛鋳鉄の引張強さに匹敵する
接合強度が得られたが、Niメッキを利用した接合材で
は、接合温度が910℃以上で機械構造用鋼の引張強さ
に匹敵する接合強度を示した。
【0028】図3は、接合強度と接合時間との関係を示
す(接合温度:820℃、接合圧力:6MPa)。接合
時間が0.2ksではいずれの組合せの接合強度もほぼ
等しい値を示し、接合時間の経過と共に接合強度が増加
した。図3より明らかなように、Niメッキを利用した場
合、接合強度は接合時間の経過と共に大幅に増加し、接
合時間が6ksのとき、試験した接合材のすべてが球状
黒鉛鋳鉄の母材の強さに匹敵する接合強度を示した。ま
た、直接接合材及びNi箔を用いた接合材の接合強度も接
合時間の経過と共に増加したが、Niメッキを利用した接
合材の方が高い接合強度が得られた。
【0029】図4は、接合強度に及ぼす接合圧力の影響
を示す(接合温度:820℃、接合時間:1.8k
s)。図4より明らかなように、いずれの場合も接合圧
力の増加とともに接合強度は上昇した。接合強度はいず
れの接合圧力においても、Niメッキを行った接合材が最
も高い値を示した。また、Niメッキを利用した場合、接
合圧力18MPaで、すべて球状黒鉛鋳鉄の母材強さに
匹敵する接合強度が得られた。しかし、Ni箔を用いた接
合材の強度は、接合圧力を18MPaとしても、球状黒
鉛鋳鉄の強度に匹敵する値は得られなかった。 以上の
ことから、Niメッキを用いて接合を行った場合、接合温
度が820℃でも、接合圧力を大きくするか接合時間を
長くすることで、球状黒鉛鋳鉄の母材強度に匹敵する接
合強度が得られることが明らかである。
【0030】次に、接合界面近傍のミクロ組織の観察お
よびEPMAによる元素の分布状態の解析を行った。図
5に、それぞれ直接接合(a) 、Ni箔を用いた接合(b) 、
及びNiメッキを用いた接合(c) における接合界面近傍の
ミクロな金属組織を示す。
【0031】直接接合材では、球状黒鉛鋳鉄と機械構造
用鋼の接合界面が明瞭に観察された。それに対して、接
合部に厚さ10μmのNi箔を挿入した場合及び機械構造
用鋼側に約10μmのNiメッキを施した接合材では、Ni
と球状黒鉛鋳鉄あるいは機械構造用鋼の旧接合界面は観
察されなかった。また、EMPAによる線分析の結果、
接合界面近傍では球状黒鉛鋳鉄および機械構造用鋼側へ
のNiの拡散が観察された。
【0032】次に、引張破断試験を行ったところ、引張
破断は、接合温度が820℃以上でいずれの接合条件で
も、一部球状黒鉛鋳鉄中から生じていたが、FCD40
中から破断する割合は、直接接合、Ni箔を用いた接合そ
してNiメッキを利用した接合の順に多かった。
【0033】図6は引張破断面の電子顕微鏡写真を示
す。直接接合材およびNi箔を用いた接合材の双方とも、
破断面上には、接合前の研削傷に相当する平行に並んだ
凹凸が観察された。Ni箔を用いた接合材の破断は、Ni箔
と球状黒鉛鋳鉄との接合界面、球状黒鉛鋳鉄中、Ni箔と
機械構造用鋼との接合界面の3箇所から生じていた。こ
れに対して、Niメッキを利用した接合材の引張破断は、
主に球状黒鉛鋳鉄中から生じていた。
【0034】接合温度が910℃では、Niメッキを利用
した接合材が最も高い接合強度を示した。これは、Niは
機械構造用鋼側へ拡散していないが、機械構造用鋼の表
面よりエピタキシャルな成長をしたために、機械構造用
鋼の接合面の結晶とNiの結晶が密着し、その結果、メッ
キ処理を施した機械構造用鋼との接合強度が、Niと球状
黒鉛鋳鉄との接合強度のみに支配されるためであると考
えられる。これに対して、Ni箔を用いた接合では、Ni箔
と球状黒鉛鋳鉄およびNi箔と機械構造用鋼の接合がとも
に必要なことから、接合温度が980℃までは、機械構
造用鋼の母材の強度に匹敵する接合強度が得られないも
のと考えられる。
【0035】次に、直接接合およびNiメッキを施した場
合について、接合面の表面粗さの接合性に及ぼす影響を
検討した。図7は、球状黒鉛鋳鉄側の接合面の表面粗さ
Rzを約1.5μmおよび約5μmとし、機械構造用鋼
の接合面の表面粗さを約0.35μmと一定としたとき
の接合強度と接合温度の関係を示す。
【0036】図7に見られるように、いずれの接合にお
いても接合面の表面が平滑なほど高い接合強度が得られ
た。接合温度が910℃以下では、Niメッキを行った機
械構造用鋼と接合した場合の方が高い値が得られた。い
ずれの条件においても接合温度の上昇とともに接合強度
は増加するが、接合面の表面粗さが5μm(エメリー
紙:#100により研磨)では、接合温度を980℃と
しても接合強度は約520MPaと、機械構造用鋼の母
材強さの約70%しか得られないことが明らかになっ
た。
【0037】このように接合面の表面が粗い場合、高い
接合強度が得られない原因について検討を行うために、
接合界面近傍のミクロ組織の観察を行った。その結果、
接合面が粗い場合には旧接合界面に沿って未接合部(Vo
id)が多く観察された。このために未接合部が引張試験
の際に亀裂の発生及び伝播経路となり、高い接合強度が
得られないものと推察される。
【0038】次に、Ni箔およびNiメッキを利用した接合
材の疲労試験を行った。その結果を図8に示す。接合は
820℃×1.8ks×6MPa×0.3μmの条件で
行った。図8より明らかなように、いずれの接合材も接
合と同じ熱処理を行った球状黒鉛鋳鉄のS−N曲線とほ
ぼ同じ曲線を示す。疲労限は約260MPaであった。
【0039】以上のことから、接合強度は接合温度の上
昇にともない高くなるが、球状黒鉛鋳鉄の表面粗さは接
合性に大きく影響を及ぼすことが明らかになった。
【0040】次に、接合強度に及ぼす後熱処理の影響に
ついて評価した。その結果を図9に示す。接合はNiメッ
キを利用した方法を用い、予め820℃×1ks×18
MPaの条件で接合後、820℃で追加熱を行った。図
9に見られるように、接合後、2ks(約33分)以上
の保持を行うと、すべて球状黒鉛鋳鉄中より引張破断を
生じるようになった。追加熱材の引張強さは拡散接合装
置を用いて820℃×1.8ks×6MPaの条件で接
合を行ったままの値(約640MPa)よりも低い値で
あるが、これは熱処理後の冷却速度が拡散接合装置を用
いた場合よりも若干緩やかなことから、低下した(約6
00MPa)ものである。
【0041】接合装置および接合コストの低減策として
は、接合雰囲気の真空度を低減させるか、接合雰囲気を
不活性ガス雰囲気あるいは窒素ガス雰囲気にすることが
考えられるので、接合雰囲気の真空度の接合強度に及ぼ
す影響について検討した。
【0042】図10は、Niメッキの場合における接合強
度と接合雰囲気の真空度の関係を示す。図10に見られ
るように、接合温度が820℃では真空度が10-2To
rrとなると、10-4Torrで接合を行った際の約9
0%まで接合強度が低下し、接合強度は真空度の低下と
共に低下する。しかしながら、接合温度が910℃では
10-2Torrで接合を行っても、10-4Torrで接
合を行った場合とほぼ等しい値が得られることが明らか
になった。
【0043】以上の実験の結果、次のことが明らかにな
った。 (1) 直接接合、接合部にNi箔を挿入した接合、及び機械
構造用鋼にNiメッキを施した接合における接合性を比較
すると、接合温度が820℃以上ではNiメッキを施した
機械構造用鋼と接合を行った場合に、最も高い接合界面
強度が得られた。
【0044】(2) Niメッキを利用した機械構造用鋼と球
状黒鉛鋳鉄の接合は、接合時間を1.8ks、接合圧力
6MPa及び接合面の表面粗さがRzで約0.35μm
のとき、接合温度を910℃以上とすると、機械構造用
鋼の引張強さに匹敵する接合強度が得られた。
【0045】(3) Niメッキを利用した接合は、接合温度
が820℃のとき接合圧力が18MPa以上あるいは接
合時間を6ks以上で行うことで、球状黒鉛鋳鉄の引張
強さに匹敵する接合強度が得られた。
【0046】(4) Niメッキを用いて拡散接合を行った場
合、球状黒鉛鋳鉄の母材とほぼ同じ疲労強度が得られ
た。
【0047】
【発明の効果】以上詳述した通り、鋳鉄と鋼との拡散接
合において、Niメッキを施すことにより、著しく良好な
接合強度が得られる。このように拡散接合した鋳鉄と機
械構造用鋼からなる複合部材は、自動車用部品その他の
構造用部品に好適である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の拡散接合方法を実施するのに用いるこ
とができる高周波誘導加熱式接合装置を示す概略断面図
である。
【図2】拡散接合した接合材の引張強さと接合温度との
関係を表すグラフである。
【図3】拡散接合した接合材の引張強さと接合時間との
関係を表すグラフである。
【図4】拡散接合した接合材の引張強さと接合圧力との
関係を表すグラフである。
【図5】拡散接合した接合材の接合部断面における金属
組織を表す電子顕微鏡写真(×1500)であり、(a)
は直接接合の場合、(b) はNi箔を用いた場合及び(c) は
Niメッキを用いた場合を示す。
【図6】拡散接合した接合材の引張破断面における金属
組織を表す電子顕微鏡写真(×450)であり、(a) は
直接接合の場合、(b) はNi箔を用いた場合及び(c) はNi
メッキを用いた場合を示す。
【図7】拡散接合した接合材の引張強さに及ぼす表面粗
さの影響を表すグラフである。
【図8】拡散接合した接合材の疲労強度を表すグラフで
ある。
【図9】拡散接合した接合材の接合界面に及ぼす後熱処
理の影響を表すグラフである。
【図10】拡散接合した接合材の引張強さに及ぼす接合
雰囲気(真空度)の影響を表すグラフである。
【符号の説明】
1 真空容器 2 土台 3 プランジャー 4 高周波誘導コイル 5 熱電対 6 開口部 S 供試材
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (71)出願人 591081158 益本 広久 福岡県八女郡立花町大字谷川603−1−1 (71)出願人 591081169 矢野 満 大分県大分市大字寒田1136−6 (72)発明者 迎 静雄 北九州市小倉南区朽網西5−43−7 (72)発明者 浅田 明弘 福岡県久留米市西町242番地の7 (72)発明者 西尾 一政 福岡県北九州市八幡西区穴生4丁目9番9 号 (72)発明者 益本 広久 福岡県八女郡立花町大字谷川603−1−1 (72)発明者 矢野 満 大分市大字寒田1136−6

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 鋳鉄と鋼とを加圧した状態で800〜1
    000℃で1〜120分間加熱することにより拡散接合
    する方法において、前記鋳鉄及び前記鋼のうち少なくと
    もいずれか一方の接合面に、あらかじめ拡散性の良好な
    金属のメッキ層を施すことを特徴とする方法。
  2. 【請求項2】 請求項1に記載の鋳鉄と鋼との拡散接合
    方法において、前記拡散性の良好な金属のメッキ層とし
    て、Niメッキ層を用いることを特徴とする方法。
  3. 【請求項3】 請求項1に記載の鋳鉄と鋼との拡散接合
    方法において、前記鋳鉄が球状黒鉛鋳鉄であり、前記鋼
    が機械構造用鋼であることを特徴とする方法。
JP8778791A 1991-03-27 1991-03-27 鋳鉄と鋼との拡散接合方法 Pending JPH0732166A (ja)

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Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
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