JP2003200272A - 金属接合体の製造方法 - Google Patents

金属接合体の製造方法

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JP2003200272A
JP2003200272A JP2002138923A JP2002138923A JP2003200272A JP 2003200272 A JP2003200272 A JP 2003200272A JP 2002138923 A JP2002138923 A JP 2002138923A JP 2002138923 A JP2002138923 A JP 2002138923A JP 2003200272 A JP2003200272 A JP 2003200272A
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JP2002138923A
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Koji Horio
浩次 堀尾
Kazunari Kito
一成 鬼頭
Shigeyuki Inagaki
繁幸 稲垣
Yutaka Yagi
豊 八木
Keizo Ishijima
圭三 石島
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Daido Steel Co Ltd
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Daido Steel Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 FeとNiとの少なくともいずれかを主成分
とする金属を接合する際に、入熱集中の少ない液相拡散
接合手法を採用するとともに、得られる金属接合体の接
合界面の接合継手特性を改善でき、ひいてはより高強度
の接合体を得ることができる金属接合体の製造方法を提
供する。 【解決手段】 Bを含有するインサート材3を用い、F
e及び/又はNiを主成分とする被接合部材の間に介挿
して液相拡散接合する。この接合工程において、液相4
が存在している状態で第一及び第二の被接合部材1,2
を、当該液相4が圧縮される向きに加圧することによ
り、得られる金属接合体の接合界面の接合継手特性が大
幅に改善され、より高強度の接合体を得ることができ
る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は金属接合体の製造方
法に関し、特に、インサート材を用いた液相拡散による
接合体の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】Fe基あるいはNi基の耐熱合金は、航
空機部品や自動車部品あるいはボイラー配管等に広く使
用されているものであるが、近年部品形状の複雑化や長
尺配管への要望が高まるにつれ、部品同士の接続技術が
重要視されている。従来、こうした耐熱合金の接続方法
としては、工業的には主としてアーク溶接が用いられ、
具体的には、Cr等の活性金属の酸化を抑制するため
に、不活性ガスによるシールド雰囲気中で溶接を行な
う、ガスシールドアーク溶接法(例えばTIG溶接法)
が用いられてきた。アーク溶接は、アーク放電による発
生熱を利用して接合部を加熱・溶融し、さらにそのアー
ク中で溶接棒を溶融して溶接金属を形成しつつ接合を行
なうものである。
【0003】しかし、ガスシールドアーク溶接法には、
以下のような欠点がある。すなわち、接合部への入熱集
中が大きいため歪みが生じやすく、たとえば延性が不足
しがちな鋳造材料では歪発生に伴う溶接割れや、活性金
属の蒸発等に起因すると思われるブローホール欠陥など
を生じやすく、品質が安定しにくい側面がある。
【0004】これらの接合品の抱える問題を解決する新
しい接合方法として近年、拡散接合法が実用レベルに至
るまで開発が進められてきている。拡散接合は、母材を
溶融させずに固相状態のままで接合する方法であり、固
相拡散接合と液相拡散接合とに大別される。固相拡散接
合法は、母材同士を直接突き合わせて塑性変形ができる
だけ生じない程度に加圧し、接合面間に生じる原子の拡
散を利用して接合する接合法をいう。固相拡散接合は簡
便である反面、接合面の平滑化や清浄化が不十分である
と接合欠陥を生じやすいほか、十分な拡散接合状態を得
るのに長時間を要する欠点がある。
【0005】他方、液相拡散接合法は、接合する母材よ
りも低い融点を有するインサート材をシート状あるいは
粉末状等にして接合母材間に介在させ、インサート材の
融点以上接合母材の融点以下に加熱してインサート材を
溶融して液相を発生させるとともに、インサート材中の
含有成分を母材中へと拡散させることによって母材同士
を接合する接合方法である。この方法では、接合面の凹
凸に液相が浸透するため空隙等の欠陥が残留しにくく、
液相接触により接合面が清浄化される効果も期待できる
ので、固相拡散接合法のように端面処理を精密に行なわ
なくとも欠陥の少ない接合構造が得られる利点がある。
また、液相を経由するため成分拡散速度が大きく、処理
が短時間で済むのも好都合である。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】しかし、上記の液相拡
散接合法を用いる場合、被接合材の融点以下で液相発生
可能なインサート材を用いる必要があることから、接合
金属部分の耐熱性確保に問題を生ずることが多かった。
また、液相を用いていても固相拡散の場合ほどではない
が、接合界面等に残留した気泡等の残留が破壊起点とし
て作用する場合があり、より高強度の接合体を得るには
必ずしも満足のできるものではなかった。
【0007】本発明の課題は、耐熱合金をはじめとし
た、FeとNiとの少なくともいずれかを主成分とする
金属を接合する際に、入熱集中の少ない液相拡散接合手
法を採用するとともに、得られる金属接合体の接合界面
の接合継手特性を改善でき、ひいてはより高強度の接合
体を得ることができる金属接合体の製造方法を提供する
ことにある。
【0008】
【課題を解決するための手段及び作用・効果】上記の課
題を解決するために、本発明の金属接合体の製造方法
は、FeとNiとの少なくともいずれかを主成分とする
金属により第一及び第二の被接合部材を構成し、第一の
被接合部材の固相線温度をTS1、第二の被接合部材の
固相線温度をTS2(ただし、TS1≧TS2とする)
とし、また、インサート材として、FeとNiとの少な
くともいずれかを主成分とし、かつ、Bを1〜15質量
%含有した合金からなり、液相線温度TL1がTL1<
TS2となるように調整されたものを使用し、第一の被
接合部材と第二の被接合部材とをインサート材を介して
重ね合わせ、その状態でTL1<TB<TS2となるよ
うに設定された接合温度TBにて加熱し、インサート材
を選択的に溶融させて液相を発生させることにより、第
一の被接合部材と第二の被接合部材とを液相拡散接合す
る接合工程を含み、該接合工程において、液相中のB濃
度を第一及び第二の被接合部材側への拡散に基づき減少
させ、当該液相をなす溶融インサート材を、液相線温度
の上昇を伴いつつ凝固させるとともに、液相が存在して
いる状態で第一及び第二の被接合部材を、当該液相が圧
縮される向きに加圧することを特徴とする。
【0009】上記方法では接合される2つの被接合部材
のうち、固相線温度の高いものを第一の被接合部材、低
いものを第二の被接合部材として定義するが、2つの部
材が同材質であってもよく、この場合はいずれか任意の
一方を第一の被接合部材、他方を第二の被接合部材とみ
なすことで、本発明を同様に適用可能である。また、本
明細書において「主成分」とは、最も重量含有率の高い
成分を称し、「FeとNiとの少なくともいずれかを主
成分とする」とは、FeとNiの合計重量含有率が、他
のいずれの成分単独の重量含有率よりも高くなっている
ことを意味する。
【0010】本発明においてインサート材は、Fe及び
/又はNiを主成分とする被接合部材との冶金的あるい
は化学的な親和性が良好なものとなるよう、同様にFe
及び/又はNiを主成分とする合金にて構成され、さら
に、液相線温度TL1が第二の被接合部材の固相線温度
TS2よりも低くなるように組成調整されたものが使用
される。その液相線温度の調整は、具体的にはBを上記
範囲内で適量添加することによりなされる。
【0011】これにより、第一の被接合部材と第二の被
接合部材とをインサート材を介して重ね合わせ、その状
態でTL1<TB<TS2となるように設定された接合
温度TBにて加熱すれば、インサート材が選択的に溶融
して液相が発生する。第一の被接合部材と第二の被接合
部材とは、この液相を介した相互拡散により接合がなさ
れる。他方、インサート材は、液相線温度TL1を低下
させるために、必要量のBの添加を行なっているが、該
Bは軽元素であり、被接合部材の主体をなすFeあるい
はNiへの拡散係数も高いため、液相拡散処理時にイン
サート材をなす他の構成成分よりも被接合部材側へ優先
的に拡散する。その結果、液相をなす溶融インサート材
は、上記被接合部材側へ拡散によるB濃度の減少に伴
い、液相線温度の上昇を伴いつつ凝固する。その結果、
最終的に得られる接合体は、液相(インサート材)に基
づく接合金属層の液相線温度が、接合前のインサート材
よりも明らかに向上し、高温接合強度に優れたものとな
る。
【0012】そして、本発明の金属接合体の製造方法に
おいては、上記接合工程において、液相が存在している
状態で第一及び第二の被接合部材を、当該液相が圧縮さ
れる向きに加圧することにより、得られる金属接合体の
接合界面の接合継手特性が大幅に改善され、より高強度
の接合体を得ることができる。すなわち、液相存在状態
で加圧を行なうことにより、被接合部材の界面に液相が
浸透しやすくなる結果、破壊起点として作用しうる気泡
等の残留を効果的に抑制でき、また、加圧により成分拡
散自体も促進されるので、接合部の曲げ強度あるいは耐
衝撃性といった性能が向上する。また、接合処理後冷却
する際に、接合部に割れ等の不具合が発生する頻度も低
減でき、品質の安定化と製造歩留まりの向上にも寄与す
る。
【0013】なお、インサート材中のBの含有率が1質
量%以下では液相線温度TL1が高くなりすぎ、良好な
接合を行なうことが困難となる。また、Bの含有量が1
5質量%を超えると、インサート材に基づく接合金属層
へのB残留濃度が高くなりすぎ、高温接合強度が不足す
る不具合につながる。従って、インサート材中のBの含
有率は1〜15質量%の範囲で調整され、より望ましく
3〜7質量%とするのがよい。
【0014】第一及び第二の被接合部材は、Crを必須
成分として含有するFe基又はNi基の耐熱合金とする
ことができる。これらの耐熱合金は、添加元素の種類や
添加量が相当多く、TIG溶接のように被接合部材自体
の溶融を伴う接合方法では、成分偏析等が生じやすく、
これに溶接特有の温度幅の広い熱履歴及び高温からの冷
却の影響が加わって、溶接割れ等の欠陥や接合強度の低
下及びバラツキを本来的に生じやすい背景がある。しか
しながら、本発明によれば、接合自体はTIG溶接より
は大幅に低い温度にて行なわれる液相拡散接合が採用さ
れるため、偏析の影響も小さく、熱履歴の温度幅が小さ
い。また、接合時に液相が加圧されることで気泡残留等
の問題も軽減され、液相と被接合部材との間の成分拡散
も促進される。その結果、割れ等の欠陥が抑制され、さ
らに接合体の性能向上やバラツキ抑制による品質安定化
といった本発明の効果が特に顕著に達成される。特に、
被接合部材がこうした耐熱合金の鋳造体にて構成されて
いる場合、被接合部材自体がSi等の流動性改善成分の
添加により延性が多少低くなっていることもあり、接合
処理時に割れ等が特に生じやすいが、本発明の適用によ
りこのような耐熱合金の鋳造体の接合も問題なく行なう
ことができる。
【0015】第一の被接合部材及び第二の被接合部材を
構成する耐熱合金は、主成分をなすNi又はFeの含有
量の上限値が60質量%以下であり、必須成分としての
Cr、かつ、副成分として、Al、W、Ti、V、N
b、Mo、Co、Zr、Ta、Si及び希土類元素より
選ばれる1種又は2種以上を適量含有したものを使用で
きる。各成分の添加可能範囲は、例えば以下の通りであ
る。Cr:0.01〜40質量%;Al:0.01〜3
0質量%;W:0.01〜30質量%;Ti:0.01
〜30質量%;V:0.01〜30質量%;Nb:0.
01〜30質量%;Mo:0.01〜30質量%;C
o:0.01〜30質量%;Zr:0.01〜10質量
%;Ta:0.01〜30質量%;Si:0.01〜3
0質量%;希土類元素:0.01〜30質量%。
【0016】インサート材は、Fe及び/又はNiを主
成分とし、必須成分としてのBを1〜15質量%含有す
るものである。また、副成分としてCr、W、Mo、C
o、Si以下より選ばれる1種又は2種以上を適量含有
させることができる。各成分の添加可能範囲は、例えば
以下の通りである。Cr:0.01〜25質量%;W:
0.01〜25質量%;Mo:0.01〜25質量%;
Co:0.01〜25質量%;Si:0.01〜10質
量%。
【0017】図1及び図2は、接合工程の一例を模式的
に示すものである。第一の被接合部材1と第二の被接合
部材2とは、棒材あるいは管材として構成されており、
図2(a)に示すように、インサート材層3を挟み込ん
だ状態で端面同士が突き合わされている。そして、図1
に示すように、その端面を被接合面として軸線方向に加
圧しながら、突合せ部の周囲に配置された誘導加熱コイ
ル5により突合せ部を前記した接合温度TBに加熱する
ことにより、接合を行なう。各部材1,2は、突合せ側
と反対側の端部が加圧装置のチャック4,4に保持し、
図示しない油圧シリンダにより両チャック4,4を接近
方向に付勢することにより加圧することができる。
【0018】接合工程において上記の加圧は、図2
(b)に示すように、インサート材3に基づく液相4の
一部が、第一及び第二の被接合部材1,2の突合せ面1
a,2aにおいて、面内方向外方へ押し出される程度に
調整することが、加圧による液相4の接合界面への浸透
効果を高め、ひいては接合部の曲げ強度あるいは耐衝撃
性等の性能向上を図る上でより望ましい。なお、(c)
に示すように、上記のような加圧により得られる接合金
属部5は、液相の押出に伴い、第一及び第二の被接合部
材1,2の外周面上に突出した凸条部5aを形成する。
この凸条部5aは、必要に応じてグラインダ研削等によ
り除去してもよいし、特に除去の必要のない場合はその
まま残して接合体を使用に供してもよい。
【0019】また、加圧に際しての加圧力は、5〜25
MPaに調整することが望ましい。加圧力が5MPa未
満では、液相の接合界面への浸透効果が十分に得られ
ず、接合部の曲げ強度あるいは耐衝撃性といった機械的
性能の不足につながる場合がある。他方、25MPaを
超えると、突合せ界面から外方へ押し出される液相の量
が多くなりすぎ、接合金属部5の厚さが不足して、同様
に機械的性能の不足につながる場合がある。また、接合
体が挫屈もしくは厚潰する場合がある。
【0020】また、接合工程においては、接合温度TB
を1150〜1250℃の範囲に調整するのがよい。接
合温度TBが1150℃未満では接合部における液相拡
散が十分に進行せず、機械的性能の不足につながる場合
がある。他方、1250℃を超えると、被接合部材の溶
融が進行し、接合部に欠陥等が残留しやすくなって、同
様に機械的性能の不足につながる場合がある。さらに、
接合温度での加熱時間は30秒以上確保されるように調
整するのがよい。加熱時間が30秒未満では拡散が十分
に進行せず、機械的性能の不足につながる場合がある。
また、過度に長時間の加熱は拡散効果が飽和し、無駄が
多くなるため、例えば60秒程度の加熱にとどめること
が望ましい。
【0021】また、液相拡散接合は、酸素分圧が50k
Pa以下に制限された雰囲気にて行なうことが望まし
い。耐熱合金の場合、被接合部材あるいはインサート材
にはCr等の酸化抑制成分が含有されている。こうした
酸化抑制成分は、固体状態では不働態被膜の形成により
部材の耐酸化性を向上させる上で大きな効果がある。し
かしながら、液相中に含有されている場合は酸素との反
応活性が高いため、酸化欠陥の発生による機械的性能の
不足や、得られる接合金属部の酸化抑制成分の含有量が
目減りして、高温耐食性が不足することにつながる。従
って、こうした不具合を抑制するために、液相拡散接合
の雰囲気中の酸素分圧を10kPa以下に制限するこ
と、より望ましくは5kPa以下に制限することが望ま
しい。酸素分圧の下限値に制限はなく、コストとの兼ね
合いで適宜設定する。このように酸素分圧を制限する方
法としては、減圧雰囲気を用いる方法と、不活性ガス雰
囲気を用いる方法とのいずれを用いてもよく、また、両
者の併用として減圧下にて不活性ガスを流通する方法を
採用することも可能である。
【0022】上述のように、酸素分圧の大きさを制限す
ることで、液相拡散接合の過程における、Cr等の酸化
抑制成分の酸素との反応活性度を抑制することが可能で
あるが、他の方法として、次のような方法をとることも
できる。液相拡散接合を行なうにあたって、予め、酸化
防止の役割を担うフラックスを、第一の被接合部材およ
び第二の接合部材の外周面におけるインサート材側の端
部を含む領域に少なくとも塗布させておく方法である。
つまり、図3(a)の模式図に示すように、インサート
材を介して隣接する、第一の被接合部材1と第二の被接
合部材2との外周面にフラックス層10を塗布形成させ
た後、液相拡散接合を行なう。その結果、該フラックス
層10の介在により、液相拡散接合の過程における、C
r等の酸化抑制成分の酸素との反応活性度を効果的に抑
制することが可能となる。また、図3(b)に示すよう
に、第一の被接合部材1および第二の被接合部材2が管
材である場合、それらの内周面におけるインサート材側
の端部を含む領域に、フラックス層10を、さらに形成
させてもよい。
【0023】上記したフラックス層の層厚としては、
0.20mm程度あれば十分であり、他方、フラックス
層の層厚が過度に大きくなると、フラックス層自体に垂
れ等が発生し、フラックスがインサート材の外周面また
は、その内側に浸透する等の不具合が発生しやすい。そ
こで、フラックス層の層厚の上限値としては、1mm程
度とすることが望ましい。また、被接合部材の外周面に
おけるフラックス層の形成領域の長さLは、10mm程
度あれば十分であり、他方、その長さLを過度に大きく
しても、フラックス層の果たす効果は飽和するので、例
えば、20mm程度を、長さLの上限値とすることが望
ましい。
【0024】上記のフラックス層を塗布形成させる際に
用いるフラックスとしては、酸化防止に寄与し、被接合
部材がエッチングされる等の不具合が発生しない、被接
合部材との反応度が低いものであれが、特に限定されな
いが、硼酸、硼酸カリウムおよび硼酸ナトリウムのうち
1種または2種以上を溶媒とした水溶液を例示すること
ができる。このなかでも、硼酸、硼酸カリウムおよび硼
酸ナトリウムを溶媒とした水溶液が好適である。なお、
ここでいう水溶液は、媒質が過飽和の状態であるペース
ト状のものも概念として内包する。
【0025】ここまでに述べたように、フラックス層を
形成することで、被接合部材を液相拡散接合する過程で
発生する、Cr等の酸化抑制成分の酸素との反応を抑制
することが可能となる。その結果、液相拡散接合を行な
う雰囲気中の酸素分圧の大きさを、過度に制限する必要
がなく、その上限値を100kPaとすることができ
る。一方、その下限値は、特には限定されないが、10
kPa以下に減圧させるためには、減圧雰囲気を作り出
すための窒素ガスや、不活性ガス雰囲気を作り出すため
の不活性ガスを多量に必要とするので、作業効率や作業
コストの観点より、酸素分圧の大きさの下限値を10k
Pa程度とするのが好適である。勿論、液相拡散接合の
過程における、Cr等の酸化抑制成分の酸素との反応
を、より効果的に抑制させる意味で、酸素分圧の大きさ
を10kPa以下に制限することを妨げるものではな
い。
【0026】次に、インサート材としては、厚さが20
〜100μmの範囲内にある箔状又は鱗片状形態をなす
ものを使用するのがよい。箔状のインサート材の場合、
厚みが20μm未満のものはその製造が難しく、一方、
100μmを超える厚みを有するものであると、溶融し
たインサート材からの接合母材側への成分拡散が十分に
進行しないため好ましくない。また、粉末からなるイン
サート材の場合は、粒径が10μm未満のものは取り扱
いが難しく、一方、100μmを超える粒径を有するも
のであると同じく溶融したインサート材が接合母材側へ
十分に拡散しないため好ましくない。
【0027】
【実施例】以下、本発明の効果確認のために行なった実
験結果について説明する。 (実施例1)まず、第一及び第二の被接合部材として、
表1の組成の耐熱鋳造合金からなる外径120mm、内
径100mm、長さ1000mmの管材を、遠心鋳造法
による鋳造体として作製した。この管材の端面を研削盤
によりほぼ平行となるように加工仕上げし、さらにアセ
トン洗浄を行なった。なお、別途作成した試料を用い
て、示唆熱分析による被接合部材をなす耐熱鋳造合金の
固相線温度TS(=TS1=TS2)を測定したとこ
ろ、1220℃であった。
【0028】
【表1】
【0029】他方、インサート材として、表2に示す組
成のもの(B濃度は2〜18質量%の種々の値に設定し
ている)を、膜厚40μmの合金箔として用意した。別
途作成した試料を用いて、示唆熱分析によるインサート
材の液相線温度TL1を測定したところ、1100〜1
130℃であった。
【0030】
【表2】
【0031】該インサート材箔を上記管材の端面形状に
合わせて切り抜き成形し、管材の端面間に挟み込むとと
もに、図1に示す形態にて管材を突き合わせた状態で油
圧により種々の圧力に加圧した。そして、Arガスを2
0リットル/分の流量で常時流通させてガスシールドを
施した状態で、突合せ部を誘導加熱コイル5(出力:2
00kW、電源周波数:3kHz)により種々の接合温
度TBに加熱し、種々の保持時間保持することにより拡
散接合処理を行った。なお、接合温度TBの測定は誘導
加熱コイル5と管材との隙間に挿入した熱電対により測
定し、接合体は各条件下でそれそれ5本ずつ作製した。
得られた接合体の評価として、JIS:G0567(1
998年)に準拠して、接合継手の高温引張試験(II
−8試験片、温度1000℃)を行った。具体的には、
曲げ試験後の接合体についてミクロ組織を観察し、欠陥
の有無を確認するとともに、欠陥のないものを高温引張
試験に供して、試験後の破損形態を調べた。表3にその
結果を示す。
【0032】
【表3】
【0033】この結果によると、インサート材としてB
濃度が本発明の範囲内に属するものを使用し、接合温度
及び加圧力を適正化することにより、欠陥のない良好な
接合部が得られていることがわかる。なお、B濃度の高
い番号2の試験品では、EPMA(Electron Probe Mic
ro Analysis)による分析を行ったとき、接合界面にB
を含有した金属間化合物が認められ、接合強度が低下す
る不具合を生ずることを確認している。
【0034】(実施例2)実施例1と同様の条件で管材
を作成した。さらに、表4に示す組成とした以外は実施
例1と同様の条件で、管材の端面形状に合わせて切り抜
き成形したインサート材箔を作成した。なお、別途作成
した試料を用いて、示唆熱分析によるインサート材の液
相線温度TL1を測定したところ、1120℃であっ
た。
【0035】
【表4】
【0036】次に、実施例1と同様にして、上記作成し
たインサート材箔を管材の端面間に挟み込むとともに、
管材を突き合わせた状態で油圧により10MPaの圧力
を加圧した。この際、管材の外周面におけるインサート
材箔側の端部を含む領域に、図3(a)の模式図に示す
ように、フラックス層を塗布形成した。また、該フラッ
クス層をなすフラックスは、硼酸、硼酸カリウムおよび
硼酸ナトリウムを溶媒とした水溶液とするとともに、層
厚を0.20mm程度とし、長さLを10mm程度とし
た。そして、このような状態で、実施例1に比べて、A
rガスの流量を低減させ、種々の酸素濃度からなる雰囲
気に調整するとともに、突合せ部を誘導加熱コイル5
(出力:200kW、電源周波数:3kHz)により接
合温度TB(=1200℃)に加熱し、保持時間を60
秒として拡散接合処理を行なった。なお、接合温度TB
の測定は実施例1と同様の方法にて測定し、接合体は、
各酸素濃度の雰囲気条件下でそれぞれ6本ずつ作成し
た。得られた接合体の評価を実施例1と同様の方法で行
なった。その結果を表5に示す。
【0037】
【表5】
【0038】表5の結果より、フラックス層を形成する
ことで、液相拡散接合を行なう際の、雰囲気中の酸素分
圧を表1の条件よりも高めた場合においても、本発明に
属する表3の試験品と同等の欠陥のない良好な接合部が
得られることが確認された。このことは、フラックス層
を形成することで、液相拡散接合の過程における、Cr
等の酸化抑制成分の酸素との反応が十分に抑制されてい
ることを示している。また、液相拡散接合を行なう際の
雰囲気中の酸素分圧が120kPa以上とされる試験品
13および14では、欠陥が発生してしまうことが確認
された。このことより、フラックス層を形成した場合に
おける、液相拡散接合を行なう際の雰囲気中の酸素分圧
は100kPa以下とする必要があることが分かった。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の金属接合体の製造方法に係る工程説明
図。
【図2】その接合概念を模式的に示す図。
【図3】本発明におけるフラックス層の形成形態を示す
模式図。
【符号の説明】
1 第一の被接合部材 2 第二の被接合部材 3 インサート材 10 フラックス層
フロントページの続き (72)発明者 稲垣 繁幸 愛知県名古屋市南区大同町二丁目30番地 大同特殊鋼株式会社技術開発研究所内 (72)発明者 八木 豊 愛知県名古屋市港区竜宮町10番地 大同特 殊鋼株式会社築地工場内 (72)発明者 石島 圭三 愛知県名古屋市港区竜宮町10番地 大同特 殊鋼株式会社築地工場内 Fターム(参考) 4E067 AA02 AA09 AA11 AC07 AD03 AD04 BA05 DC03 DC06 DC07 EA06 EA07

Claims (13)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 FeとNiとの少なくともいずれかを主
    成分とする金属により第一及び第二の被接合部材を構成
    し、第一の被接合部材の固相線温度をTS1、第二の被
    接合部材の固相線温度をTS2(ただし、TS1≧TS
    2とする)とし、 また、インサート材として、FeとNiとの少なくとも
    いずれかを主成分とし、かつ、Bを1〜15質量%含有
    した合金からなり、液相線温度TL1がTL1<TS2
    となるように調整されたものを使用し、 前記第一の被接合部材と前記第二の被接合部材とを前記
    インサート材を介して重ね合わせ、その状態でTL1<
    TB<TS2となるように設定された接合温度TBにて
    加熱し、前記インサート材を選択的に溶融させて液相を
    発生させることにより、前記第一の被接合部材と前記第
    二の被接合部材とを液相拡散接合する接合工程を含み、 該接合工程において、前記液相中のB濃度を前記第一及
    び第二の被接合部材側への拡散に基づき減少させ、当該
    液相をなす溶融インサート材を、液相線温度の上昇を伴
    いつつ凝固させるとともに、前記液相が存在している状
    態で前記第一及び第二の被接合部材を、当該液相が圧縮
    される向きに加圧することを特徴とする金属接合体の製
    造方法。
  2. 【請求項2】 前記第一及び第二の被接合部材は、Cr
    を必須成分として含有するFe基又はNi基の耐熱合金
    である請求項1記載の金属接合体の製造方法。
  3. 【請求項3】 前記第一の被接合部材と前記第二の被接
    合部材とが前記耐熱合金の鋳造体として構成されている
    請求項2記載の金属接合体の製造方法。
  4. 【請求項4】 前記加圧は、前記液相の一部が、前記第
    一及び第二の被接合部材の突合せ面において、面内方向
    外方へ押し出される程度に調整される請求項1ないし3
    のいずれか1項に記載の金属接合体の製造方法。
  5. 【請求項5】 前記加圧は、加圧力を5〜25MPaに
    調整して行なわれるものである請求項4記載の金属接合
    体の製造方法。
  6. 【請求項6】 前記接合工程において、前記接合温度T
    Bが1150〜1250℃の範囲に調整される請求項2
    ないし5のいずれか1項に記載の金属接合体の製造方
    法。
  7. 【請求項7】 前記接合工程において、前記接合温度で
    の加熱時間が30秒以上となるように調整される請求項
    2ないし6のいずれか1項に記載の金属接合体の製造方
    法。
  8. 【請求項8】 前記接合工程において、前記液相拡散接
    合を酸素分圧が10kPa以下に制限された雰囲気にて
    行なう請求項2ないし7のいずれか1項に記載の金属接
    合体の製造方法。
  9. 【請求項9】 前記接合工程において、前記第一の被接
    合部材および前記第二の接合部材の外周面における前記
    インサート材側の端部を含む領域には、少なくともフラ
    ックスを塗布させた状態で、前記液相拡散接合を行なう
    請求項2ないし7のいずれか1項に記載の金属接合体の
    製造方法。
  10. 【請求項10】 前記フラックスは、硼酸、硼酸ナトリ
    ウム、硼酸カリウムのうち1種または2種以上を媒質と
    して含有する水溶液とされる請求項9記載の金属接合体
    の製造方法。
  11. 【請求項11】 前記接合工程において、前記液相拡散
    接合を酸素分圧が100kPa以下とされた雰囲気で行
    なう請求項9又は10に記載の金属接合体の製造方法。
  12. 【請求項12】 前記インサート材として、厚さが20
    〜100μmの範囲内にある箔状又は鱗片状形態をなす
    ものが使用される請求項1ないし11のいずれか1項に
    記載の金属接合体の製造方法。
  13. 【請求項13】 前記インサート材として、平均粒径が
    10〜100μmの範囲内にある粉末状形態をなすもの
    が使用される請求項1ないし12のいずれか1項に記載
    の金属接合体の製造方法。
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