JP3437005B2 - 異種金属材料の摩擦圧接方法および異種金属接合材 - Google Patents

異種金属材料の摩擦圧接方法および異種金属接合材

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JP3437005B2 JP8273495A JP8273495A JP3437005B2 JP 3437005 B2 JP3437005 B2 JP 3437005B2 JP 8273495 A JP8273495 A JP 8273495A JP 8273495 A JP8273495 A JP 8273495A JP 3437005 B2 JP3437005 B2 JP 3437005B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】この発明は、Al合金材と鉄系材
とを接合する異種金属材料の摩擦圧接方法、およびこの
方法により接合された異種金属接合材に関するものであ
る。
【0002】
【従来の技術】自動車、車両等の輸送機器部品、FA機
器部品、船舶トランジションジョイントには、Al合金
材と鉄系材とを接合一体化した複合材が多く用いられて
いる。このような異種金属材料を接合する方法として
は、2つの金属材料を突合わせ方向に加圧しながら相対
的に回転させ、突合わせ面およびその近傍に発生する摩
擦熱により金属を軟化させて圧接する摩擦圧接方法が知
られている。
【0003】Al系材と鉄系材との摩擦圧接において、
Al系材が純Alの場合は適正な圧接条件を設定するこ
とにより良好な接合性が得られるが、Al系材がAl−
Mg系等のAl合金の場合は、鉄系材との接合界面に脆
い金属間化合物が形成しやすく、接合性が低下する傾向
がある。そこで、特にAl合金材と鉄系材との接合にお
いては、継手強度の向上を目的として、これらの異種金
属材料の接合界面にA1050等の純Al材をインサー
ト材として介在させ、圧接後にも純Al層を残存させる
圧接方法が報告されている(軽金属溶接 vol.32,No.1
(1994),3 )。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかし、インサート材
として純Alを用いると、接合部に引張応力や剪断応力
が加わった場合純Al相当の継手強度しか得られず、複
合材の用途によっては強度が不足するという問題点があ
った。
【0005】この発明は、前記問題点を解消することを
目的として、Al合金材と鉄系材との接合において、良
好な接合強度が得られる異種金属材料の摩擦圧接方法
および異種金属接合材を提供しようとするものである。
【0006】
【課題を解決するための手段】この発明の異種金属材料
の摩擦圧接方法は、前記目的を達成するために、Al合
金材(1)と鉄系材(2)との接合面をインサート材
(3)を介して突合わせ、突合わせ方向に加圧しながら
相対的に回転させることによりこれらの金属材料(1)
(2)を接合する摩擦圧接方法において、前記インサー
ト材(3)が、Si;0.5〜20wt%、Zn;3〜1
5wt%、Mg;0.5〜3wt%、Mn;0.1〜2wt
%、Cu;3〜6wt%のうちの1種または2種以上を含
有し、あるいはさらにTi;0.005〜0.2wt%、
B;0.001〜0.1wt%の少なくともいずれかを含
有し、残部がAlおよび不純物であるAl合金からなる
ことを特徴とするものである。
【0007】前記インサート材(3)におけるSi含有
量が10〜15wt%であることが好ましい。
【0008】前記インサート材(3)におけるCu含有
量が4〜5wt%であることが好ましい。
【0009】前記インサート材(3)におけるTi含有
量が0.01〜0.1wt%であることが好ましい。
【0010】前記インサート材(3)におけるB含有量
が0.005〜0.05wt%であるであることが好まし
い。
【0011】前記金属材料(1)(2)の接合後におけ
る前記インサート材(3)の厚さが1〜10mmであるこ
とが好ましい。さらに、前記インサート材(3)の厚さ
が4〜6mmであるがことが好ましい。
【0012】この発明の異種金属接合材は、Al合金材
(1)と鉄系材(2)とが、これら の金属材料(1)
(2)の接合面をインサート材(3)を介して突合わせ
て接合された異種金属接合材であって、請求項1〜7の
いずれかに記載の摩擦圧接方法により接合されてなるこ
とを特徴とするものである。
【0013】この発明の方法において、Al合金材
(1)とは、純Alを除く2000系、3000系、4
000系、5000系、6000系、7000系の各種
Al合金材であり、鉄系材(2)とは、純鉄材あるい
は、炭素鋼、合金鋼等の各種鉄合金材である。
【0014】また、インサート材(3)としてAl合金
を使用するのは、被接合材との濡れ性を良くして、高い
接合強度を得るためである。また、被接合材となるAl
合金材の組成によって、高い接合強度を得られるインサ
ート材のAl合金の種類が異なり、最も高い接合強度の
得られる添加元素は表1に示すとおりである。
【0015】
【表1】
【0016】これらの添加元素は、Si、Zn、Mg、
Mn、Cuについては1種または2種以上を含有してい
れば接合強度を高めることができ、特にCuの場合はT
i、Bの併用によって金属組織が微細化されて接合強度
を高めることができる。前記各添加元素の含有量は、少
量過ぎても多量過ぎても上記効果に乏しくなる。従っ
て、インサート材(3)として使用するAl合金中のS
i含有量は0.5〜20wt%、Zn含有量は3〜15wt
%、Mg含有量は0.5〜3wt%、Mn含有量は0.1
〜2wt%、Cu含有量は3〜6wt%、Ti含有量は0.
005〜0.2wt%、B含有量は0.001〜0.1wt
%とする必要がある。Si含有量の好ましい下限値は1
0wt%、上限値は15wt%である。Zn含有量の好まし
い下限値は8wt%、上限値は10wt%である。Mg含有
量の好ましい下限値は1.5wt%、上限値は2wt%であ
る。Mn含有量の好ましい下限値は0.3wt%、上限値
は1wt%である。Cu含有量の好ましい下限値は4wt
%、上限値は5wt%である。Ti含有量の好ましい下限
値は0.01wt%、上限値は0.1wt%である。B含有
量の好ましい下限値は0.005wt%、上限値は0.0
5wt%である。
【0017】また、前記インサート材(3)の厚さは、
圧接後の厚さを基準として設定することが好ましい。即
ち、インサート材(3)を圧接後に厚さ1〜8mmの範囲
に残存させることにより、最も良好な接合強度が得られ
る。これは、1mm未満ではインサート材(3)が接合界
面全体に一様に残存しないためであり、一方8mmを超え
るとインサート材(3)が押し出されずに界面に残留す
るためにインサート材(3)そのものの強度に支配され
るためであって、いずれも接合強度が低下するからであ
る。特に4〜6mmとなるように設定するのが良い。この
ような圧接後のインサート材(3)の厚さの制御は、圧
接前の厚さやアプセット圧力の調整によって行う。
【0018】
【作用】この発明の摩擦圧接方法においては、インサー
ト材(3)として所定量の元素を添加したAl合金を使
用しているため、Al合金材(1)と鉄系材(2)とが
高い接合強度が圧接される。
【0019】また、圧接後のインサート材(3)を厚さ
1〜10mmの範囲に残存させることにより、最も高い接
合強度が得られる。
【0020】
【実施例】次に、この発明の異種金属材料の摩擦圧接方
法の具体的実施例について説明する。
【0021】接合に供するAl合金材としてA2017
Al合金、A3003Al合金、A4343Al合金、
A5056Al合金、A6061Al合金、A7003
Al合金からなる直径10mm×長さ100mmの6種類の
丸棒と、鉄系材としてS45C炭素鋼からなる直径10
mm×長さ100mmの丸棒とを使用した。また、実施例の
インサート材として後掲の表2に示す合金組成で直径1
0mm×厚さ5mmまたは9mmのものを用意した。また、比
較例のインサート材としてA1050純Alからなる同
寸法のものを用意した。
【0022】図1に示すように、Al合金材(1)と鉄
系材(2)との接合界面に後掲の表2に示す組成および
厚さのインサート材(3)を挟み、摩擦圧力70MP
a,アプセット圧力180MPa、摩擦時間0.5秒、
回転数2000rpm、ブレーキ時間0.8秒の条件で
摩擦圧接した。
【0023】そして、圧接した各継手について、インサ
ート材(3)の厚さを測定するとともに、JIS Z3
121(突合せ溶接部の試験方法)およびJIS Z2
201(金属材料引張試験片)に基づき引張強さを測定
した。これらの結果を表2に示す。
【0024】
【表2】
【0025】表2の結果から明らかなように、インサー
ト材として各種Al合金を使用した各実施例は、純Al
を使用した比較例よりも引張強さに優れていることを確
認しえた。
【0026】
【発明の効果】以上のように、この発明にかかる異種金
属材料の摩擦圧接方法は、Al合金材と鉄系材との接合
面をインサート材を介して突合わせ、突合わせ方向に加
圧しながら相対的に回転させることによりこれらの金属
材料を接合する摩擦圧接方法において、前記インサート
材が、Si;0.5〜20wt%、Zn;3〜15wt%、
Mg;0.5〜3wt%、Mn;0.1〜2wt%、Cu;
3〜6wt%のうちの1種または2種以上を含有し、ある
いはさらにTi;0.005〜0.2wt%、B;0.0
01〜0.1wt%の少なくともいずれかを含有し、残部
がAlおよび不純物であるAl合金からなるから、接合
強度に優れた複合材が得られる。
【0027】前記摩擦圧接方法において、特に、前記金
属材料の接合後に前記インサート材の厚さを1〜10mm
とすることにより、最も接合強度に優れた複合材が得ら
れる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の実施例において、摩擦圧接方法を示
す正面図である。
【符号の説明】
1…Al合金材 2…鉄系材 3…インサート材
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 平7−32137(JP,A) 特開 平6−198460(JP,A) 特開 平6−658(JP,A) 特開 平5−138371(JP,A) 特開 昭54−64052(JP,A) 特表 平5−509261(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) B23K 20/12

Claims (8)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 Al合金材(1)と鉄系材(2)との接
    合面をインサート材(3)を介して突合わせ、突合わせ
    方向に加圧しながら相対的に回転させることによりこれ
    らの金属材料(1)(2)を接合する摩擦圧接方法にお
    いて、前記インサート材(3)が、Si;0.5〜20
    wt%、Zn;3〜15wt%、Mg;0.5〜3wt%、M
    n;0.1〜2wt%、Cu;3〜6wt%のうちの1種ま
    たは2種以上を含有し、あるいはさらにTi;0.00
    5〜0.2wt%、B;0.001〜0.1wt%の少なく
    ともいずれかを含有し、残部がAlおよび不純物である
    Al合金からなることを特徴とする異種金属材料の摩擦
    圧接方法。
  2. 【請求項2】 前記インサート材(3)におけるSi含
    有量が10〜15wt%である請求項1に記載の異種金属
    材料の摩擦圧接方法。
  3. 【請求項3】 前記インサート材(3)におけるCu含
    有量が4〜5wt%である請求項1または2に記載の異種
    金属材料の摩擦圧接方法。
  4. 【請求項4】 前記インサート材(3)におけるTi含
    有量が0.01〜0.1wt%である請求項1〜3のいず
    れかに記載の異種金属材料の摩擦圧接方法。
  5. 【請求項5】 前記インサート材(3)におけるB含有
    量が0.005〜0.05wt%である請求項1〜4のい
    ずれかに記載の異種金属材料の摩擦圧接方法。
  6. 【請求項6】 前記金属材料(1)(2)の接合後にお
    ける前記インサート材(3)の厚さが1〜10mmである
    請求項1〜5のいずれかに記載の異種金属材料の摩擦圧
    接方法。
  7. 【請求項7】 前記インサート材(3)の厚さが4〜6
    mmである請求項6に記載の異種金属材料の摩擦圧接方
    法。
  8. 【請求項8】 Al合金材(1)と鉄系材(2)とが、
    これらの金属材料(1)(2)の接合面をインサート材
    (3)を介して突合わせて接合された異種金属接合材で
    あって、請求項1〜7のいずれかに記載の摩擦圧接方法
    により接合されてなることを特徴とする異種金属接合
    材。
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