JPH07320110A - 金属片識別装置 - Google Patents

金属片識別装置

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JPH07320110A
JPH07320110A JP11327694A JP11327694A JPH07320110A JP H07320110 A JPH07320110 A JP H07320110A JP 11327694 A JP11327694 A JP 11327694A JP 11327694 A JP11327694 A JP 11327694A JP H07320110 A JPH07320110 A JP H07320110A
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JP
Japan
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metal piece
gap
weighting function
sensor
coin
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Application number
JP11327694A
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English (en)
Inventor
Kikuo Kawasaki
紀久雄 川崎
Mitsuhiro Nakamura
光宏 中村
Takahiro Suzuki
孝宏 鈴木
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Fuji Electric Co Ltd
Original Assignee
Fuji Electric Co Ltd
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【目的】硬貨1の表面の凹凸までの距離を検出するコイ
ルセンサ4A〜4Dの出力波形から、特徴量計算手段7
Aにより各種の特徴量を求め硬貨を識別する際、硬貨の
姿勢や,硬貨・センサ間のギャップ変動の影響を除き、
識別精度を向上する。 【構成】予め既知の金種別の硬貨1を複数回、硬貨通路
2内に通過させ、そのつど各種の特徴量を求め、特徴量
の種類別に変動する特徴量を変数としてその発生頻度を
重みで示す重み付け関数8Aをメモリ8に格納してお
く。次に被識別硬貨1を硬貨通路2に通し、各種の特徴
量を求め、この特徴量とこれに対応する重み付け関数8
Aとから重み付け計算手段7Bを介し重みを求め、特徴
量ごとの重みを仮定した金種ごとに集計し、この重み総
和をスレショルド値と比較し、スレショルド値を越える
こととなった仮定の金種を当該硬貨の正しい金種とす
る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は自動販売機などで使用さ
れる硬貨選別装置のように、コイルセンサを使用して金
属片の形状を識別する装置に関する。なお、以下各図に
おいて同一の符号は同一もしくは相当部分を示す。
【0002】
【従来の技術】図1は本発明の一実施例としての4セン
サ型の硬貨選別装置の構成図であるが、以下この図を流
用して従来の技術を説明する。なお、同図(A)は装置
全体の構成図、同図(B)は硬貨通路のセンサ部分の横
断面図である。また、従来においては同図中の手段7
A,7B及び関数8Aは存在していない。
【0003】同図において1は硬貨(以下では一般化し
て金属片ともいう)、2は硬貨通路、3は硬貨の通過方
向である。次に4(4A〜4D)は硬貨通路2の硬貨表
面と対向する壁面2a,2bに設けられたコイルセンサ
とも呼ばれるセンサで、硬貨1より径が小さいいわゆる
壺形のフェライトコアにコイルを入れたものとして構成
されている。このセンサ4A〜4Dは交番磁界を発生し
ている。この硬貨選別装置は硬貨1の特徴、例えば材質
・大きさ・厚さなどを抽出する。このためセンサはこの
それぞれの特徴に対して1つずつ配置され、夫々別々の
検出回路5(5A〜5D)に接続されている。一般には
これらのセンサ4は金属片(硬貨)1の片面や両面側に
配置され、その接続方式(同相,逆相)や検出回路方式
が異なるものが使用されている。
【0004】図1の例では、センサ4A,4Bは夫々硬
貨通路壁面2a,2b上に(つまり硬貨1の両面側に)
互に対向して配置され、センサ4C,4Dは壁面2a上
に(つまり硬貨1の片面側に)配置されている。6(6
A〜6D)は夫々検出回路5A〜5Dで検出された波形
をサンプリングするA/Dコンバータ、7は夫々このA
/Dコンバータ6A〜6Dがサンプリングした波形デー
タを取込み、硬貨の凹凸などを表す特徴量等を計算し、
硬貨1の識別結果を出力するCPUである。また、8は
CPU7のこの計算のためのデータベース等を記憶する
メモリである。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】ところで、従来は硬貨
1の形状を識別するためには硬貨1とセンサ4とのギャ
ップを一定にする機構が必要であった。また、ギャップ
を一定にできない場合、波形の補正が必要であるが、セ
ンサのギャップ特性は線形でないものが多く、単純にギ
ャップの変化による波形変化を波形の増幅で補正しよう
としても波形に歪みが発生して識別性能が低下する場合
があった。また、金属片に摩耗,変形などが生じると正
しい識別や高精度な識別が困難であった。
【0006】また、金属片の微細な形状を検出するには
金属片の凹凸よりも十分小さいセンサが必要であった
が、センサを小さくすることは同時にギャップの変動に
も敏感になるため更にギャップに対する補正が難しくな
る。本発明はこれらの欠点を補い金属片の識別性能を向
上し、 金属片の特徴量の、金属片の通過速度のばらつき,
通過ルートによるばらつき,計算誤差,量子化誤差,ギ
ャップによる変動が加わっても識別性能を落とさずに金
属片を識別する手段、 また、金属片に摩耗・変形があっても識別が困難に
ならない識別手段を備え、 金属片の特徴量の抽出の仕方に新しい方法を用いる 金属片識別装置を提供することを課題とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】前記の課題を解決するた
めに、請求項1の金属片識別装置は、種類を識別すべき
平板状の金属片(1など)が通過する金属片通路(硬貨
通路2など)と、前記通路の壁面(2a,2bなど)に
前記金属片の表面に対向するように配置され、通過中の
金属片の表面の凹凸までの距離を検出する複数のセンサ
(4A〜4Dなど)と、前記センサから得られる信号波
形を一定時間ごとにサンプリングする回路(A/Dコン
バータ6A〜6Dなど)と、サンプリングされた信号波
形データを用いて前記金属片の形状を表す各種の特徴量
を計算する特徴量計算手段(7Aなど)と、予め前記金
属片通路に、既知の種類別の金属片を夫々複数回通過さ
せてそのつど得た前記特徴量から、金属片,センサ,特
徴量の夫々の種類別に、特徴量を変数としてその発生頻
度に相当する重みを表す重み付け関数(8Aなど)を求
めて記憶する手段(メモリ8など)と、識別すべき金属
片を前記金属片通路に通過させて得た前記各種の特徴量
と、この各特徴量に夫々対応する前記重み付け関数とか
ら当該の金属片の種類を仮定して特徴量の種類ごとの重
みを求め、この重みを特徴量の全種類について加算して
なる重みの総和を求める重み付け加算手段(重み付け計
算手段7Bなど)と、この重みの総和を仮定した金属片
の種類別に比較し、当該の金属片の種類を識別する識別
手段(CPU7など)とを備えたものとする。
【0008】また、請求項2の金属片識別装置では、請
求項1に記載の金属片識別装置において、前記重み付け
関数は、前記金属片通路を通過させる既知の種類の金属
片の姿勢を種々に変化させて求められたものであるよう
にする。また、請求項3の金属片識別装置は、請求項1
または2に記載の金属片識別装置において、前記重み付
け関数を求める際に用いられる既知の種類の金属片に
は、摩耗または(及び)変形のある金属片が含まれるも
のであるようにする。
【0009】また、請求項4の金属片識別装置では、請
求項1ないし3の何れかに記載の金属片識別装置におい
て、前記重み付け関数は前記既知の種類の金属片の表面
とセンサとのギャップを複数の種類別に変化させて求め
られたものであり、識別すべき金属片について前記特徴
量計算手段を介し求められる特徴量のうち、ギャップ推
定用の特徴量とこの特徴量を変数とするギャップ推定用
の関数から当該金属片の推定ギャップに最も近いギャッ
プを前記複数種類のギャップから選択するギャップ選択
手段と、識別すべき金属片のサンプリング信号波形を、
そのレベルが前記の選択されたギャップに対応する大き
さとなるように増幅または減衰させて補正し、前記特徴
量計算手段に与える手段とを備え、前記重み付け加算手
段は、前記識別すべき金属片の重みの総和を、前記の補
正されたサンプリング信号波形データから求められた各
種の特徴量と、前記の選択されたギャップに対応する重
み付け関数とを用いて求めるものであるようにする。
【0010】また、請求項5の金属片識別装置では、請
求項4に記載の金属片識別装置において、前記ギャップ
推定用の関数は重み付け関数であり、前記ギャップ選択
手段は、該重み付け関数と前記ギャップ推定用の特徴量
から求められる重みが最大となる重み付け関数に関わる
ギャップを選択するものであるようにする。
【0011】また、請求項6の金属片識別装置では、請
求項1ないし5の何れかに記載の金属片識別装置におい
て、前記特徴量計算手段は、前記サンプリングされた信
号波形中の所定の1または複数のサンプリング信号レベ
ルと所定の1または複数のサンプリング経過時間との少
なくとも複数の所定の組合せの各々ごとに求めた該サン
プリング信号レベルと該サンプリング経過時間との積
を、前記組合せの所定の相互間で比較した比率(面積比
など)を少なくとも特徴量とするものであるようにす
る。
【0012】また、請求項7の金属片識別装置では、請
求項4ないし6の何れかに記載の金属片識別装置におい
て、前記センサには前記金属片通路の両側の壁面に夫々
配置されたもの(以下両側センサという)が含まれてお
り、この両側センサからのサンプリング信号に基づき前
記ギャップ選択手段によって夫々選択された当該金属片
の両面のギャップを、前記金属片通路の幅から引いた値
を特徴量とする手段を備えたものであるようにする。
【0013】
【作用】本発明では金属片の距離と金属片の凹凸を検出
できるセンサとして、硬貨より径が小さい壺形のフェラ
イトコアにコイルを入れたセンサを用いる。このセンサ
の出力波形は、金属片表面のセンサがセンシングする通
過ルート,金属片とセンサのギャップの大きさのばらつ
きによって、同じ金属片の波形でも異なって検出され
る。本発明において、ある金属片を識別する場合の手順
は以下の通りである。
【0014】(1)予め前記のセンサ出力から識別した
い各種の金属片の通過ルートのばらつきの影響を含む複
数の特徴量を計算するが、特に金属片とセンサのギャッ
プa 1 ,a2 ,a3 ,・・・am ごとに、各特徴量の大
きさと、その検出頻度との関係を求め、この実測データ
を基に特徴量を変数とし、その出現頻度を図6に示すよ
うな特徴量の関数としての重みで表す重み付け関数を作
成しておく。なお、この重み付け関数は金属片の種類,
特徴量の種類,センサの数,ギャップの種類の夫々ごと
に存在する。なお、各特徴量は金属片の通過速度の変動
要因に左右され難いもので構成されている。また、金属
片の摩耗・変形が起こってもその影響を吸収できるよう
に重み付け関数の重みの頻度分布を図7に示すように広
げて作成しておく。また、各ギャップ時のサンプリング
信号レベルも予め記憶しておく。これは波形の正規化に
利用する。
【0015】(2)識別したい金属片を金属片通路に通
過させ、このときのセンサ波形から上記特徴量を計算す
る。 (3)この特徴量の1部からギャップの情報を抽出し、
このときの金属片のギャップを予め用意した複数のギャ
ップの中から金属片の推定ギャップに最も近いan とみ
なす。
【0016】(4)実測のセンサ波形の信号レベルは、
(3)項で求めたギャップan の場合のサンプリング信
号レベルと少し異なるので、センサ実測波形の信号レベ
ルを該信号レベルと一致させるように実測波形を増幅ま
たは減衰して正規化する。 (5)上記の正規化した波形から各特徴量を抽出し、こ
の各特徴量と夫々の特徴量に対応する既知の種類の金属
片(例えば50円)についての、ギャップanの重み付
け関数を用いて実際に金属片がギャップan を取ったか
のように特徴量ごとの重み付けを行う(つまり重みを求
める)。
【0017】(6)(5)項のように重み付けを行った
各特徴量ごとの重みの総和を既知の金属片の種類ごとに
求め、重みの総和がスレショルドレベルを越えた場合
に、識別対象の金属片はその重み付け関数に対応する種
類の金属片と同種類であると識別する。 (7)また、(6)項のように重みの総和があるスレシ
ョルドレベルを越えた金属片の種類が複数個あった場合
には、重みの総和が最大の場合の重み付けを行った金属
片の種類と同種類であるとする。
【0018】以上の手順を用いることにより金属片を識
別する。
【0019】
【実施例】以下図1ないし図14に基づいて本発明の実
施例を説明する。本発明では図1において、CPU7内
にその機能を分担する主要手段としての特徴量計算手段
7Aと共に重み付け計算手段7Bが設けられ、またメモ
リ8内には重み付け関数8Aが格納される。
【0020】いま硬貨(金属片)1がセンサ4(4A〜
4D)の部分を通過すると、この各センサ4A〜4Dの
出力波形は夫々検出回路5(5A〜5D)を経てA/D
コンバータ6(6A〜6D)によってサンプリングされ
デジタル化される。CPU7はこの各A/Dコンバータ
6A〜6Dのサンプリング波形(データ)を取込み、特
徴量計算手段7Aを介し金属片1の凹凸などの形状を表
す複数の特徴量を計算する。
【0021】図4はセンサ4の検出波形の説明図で、同
図(A)は金属片1(1A)の形状と、この金属片の通
路通過時におけるセンサ4との配置の関係を示し、同図
(B)はこのときの波形を示す。即ち、図1に示した金
属片通路2に金属片1Aを投入すると、金属片1Aは図
4(A)のようにセンサ4の横を通りすぎる。このとき
金属片に図のような凹凸があると、センサ4につながれ
た検出回路5は図4(B)のようにその凹凸に近い波形
を検出することができる。
【0022】図5はCPU7の特徴量計算手段7Aによ
る特徴量の計算例の説明図である。即ち、図5(A)は
センサ検出波形に表れる金属片の凹凸に基づく脈動部分
の面積(交叉斜線部分)S1と金属片のセンサからの距
離を表す面積(斜線部)S2との面積比S1/S2を求
めて特徴量#1とする例を示すが、このような計算では
金属片1Aの通過速度に影響されない金属片1Aの彫り
の深さに比例した特徴量を得ることができる。
【0023】また、図5(B)はセンサ検出波形中の脈
動部分の前方側の面積(交叉斜線部)S3と後方側の面
積(斜線部)S4との面積比S3/S4を求めて特徴量
#2とする例を示すが、このような計算では金属片1A
の通過速度に影響されない金属片1Aの中央の模様の中
心からの偏差が抽出できる。このように図5の例に限ら
ず、波形のピークの高さやへこみの大きさなど複数の特
徴量が計算できる。
【0024】図1の金属片識別装置で未知の金属片の種
類を識別するに当たっては、予め識別結果となるべき既
知の種類の金属片を複数回、この装置の硬貨通路2を通
過させてCPU7により特徴量を求め、バラつく特徴量
の値とその発生頻度とから重み付け用のデータベースと
しての重み付け関数8Aを作成してメモリ8に記憶して
おく。
【0025】ここで、メモリ8に格納される重み付け関
数8Aの計算方法について説明する。図5で述べたよう
な特徴量は、センサ4に対する金属片1Aの通過ルート
によってばらつきが生じる。これは金属片1Aが通路を
通過する前の向きが定まっていないことや、通過時に金
属片に回転や片寄が起こるためである。そのため金属片
1Aは特徴量がある一定の値であると判断するよりも、
特徴量がある範囲の値であれば、金属片1Aらしいと判
断したほうが都合がよい。そこで特徴量に対し重み付け
関数により重み付けを行い、金属片1Aらしさを評価す
る。
【0026】図6(A)は或る特徴量に対する重み付け
関数の例を示し、横軸はその特徴量の大きさを表し縦軸
は重みを表す。また、図6(B)はこの重み付け関数の
もととなる実測の特徴量の測定値の分布を示す。実測特
徴量の最大値と最小値の間は重みが1以上となってい
る。つまりここでは重み1以上を金属片1Aらしいと
し、1未満を1Aらしくないとしている。この関数は金
属片の特徴量の出現する頻度順に値を大きくしたり、明
らかに金属片1Aでないときはマイナスの重みをつける
ようにする。また、検出回路の誤差やCPUの計算誤差
・量子化誤差による誤認識(金属片1Aでないと判断す
ること)を少なくするために検出回路の誤差やCPUの
計算誤差・量子化誤差の大きさを計算し、同図(A)の
斜線部のように0以上1未満の重みとして付け加えてい
る。
【0027】図7は金属片の摩耗,変形などを考慮した
重み付け関数の例を示す。即ち、図7では金属片1Aが
摩耗や変形などの要因で金属片1Aでないと誤判断され
にくいように重み0の領域を付け加えている。このよう
にして、例えば金属片に0.1mm程度の摩耗が予測さ
れるならば、0.1mm分のへこみの少ない金属片のへ
こみの特徴量は重みを0にする。
【0028】これらの重み付け関数8Aは、予め図1と
同様のシステムで識別結果となるべき既知の種類の金属
片(またはこの金属片と同種の金属片)を、通過ルート
をまんべんなく網羅できる回数だけ硬貨通路に通過させ
て特徴量を求め、さらにこの結果に上記誤差要因を加味
して作成する。このようにして各特徴量について作成し
た各重み付け関数は、サンプルとした金属片がその金属
片の種類を代表するものとして適当なものであってサン
プル回数が十分多ければ、かならず識別結果となるべき
既知の金属片から取得した各特徴量の重み付けの値はそ
れぞれ1以上となる。
【0029】但し、これらの特徴量別の重み付け関数
は、金属片のギャップが変化するとセンサの感度が変化
し波形が変わるため変化する。そのため予め異なるギャ
ップごとの重み付け関数を用意しておく必要がある。但
し、変化する無数のギャップに対して重み付け関数を用
意することはできないため、次のような方法を用いる。
図8と図9は、金属片1Aがセンサ4の前を通過する際
におけるセンサ4とのギャップ(即ち、通路壁面2aに
垂直な方向の距離)が夫々小さい場合と大きい場合の、
センサ4と金属片1Aの位置関係(各図(A))及びセ
ンサ波形(各図(B))を対比して示す。即ち、通常ギ
ャップが増加すると、図8(B)の波形から図9(B)
の波形のようにセンサ4の感度が下がるため波高は小さ
くなる。この図9(B)の波形を図8(B)の大きさに
拡大すると、同じ金属片1Aのセンサに対する通過ルー
トが同じであればほとんど重なる。つまり、波高をある
一定の値に拡大または縮小することで、ギャップに影響
されずに識別ができる。
【0030】しかし、実際にはギャップの増加に対する
サンプリング信号レベルの低下率はセンサ4の非線型特
性などによって完全に比例しないために、図9(B)を
拡大した波形は図8(B)に比べ歪みを持ち完全に重な
らない。この歪みは抽出する特徴量に誤差を及ぼす原因
となり、識別性能の低下を招きかねない。そのため、こ
の誤差によって性能が低下しない範囲で波形の拡大縮小
を行う必要がある。本発明では各特徴量に表れる誤差を
検出回路の誤差,CPUの計算・サンプリング誤差の範
囲内に抑え、この範囲内で拡大縮小することを提案して
いる。
【0031】即ち、本発明では1つの識別種類の金属片
の各特徴量に対し、予め定めたn+1種類のギャップa
0 ,a1 ,a2 ,a3 ,・・・an についての重み付け
関数を用意する。この重み付け関数は金属片の識別の全
種類分必要である。このようにして重み付け関数は、金
属片の識別の種類別(γ1 とする),特徴量の種類別
(γ2 とする),センサの数別(γ3 とする),ギャッ
プの種類別(γ4 とする)に存在するので、この関数の
数はγ1 ×γ2 ×γ3 ×γ4 となる。
【0032】そして、図1の装置は未知の種類の金属片
1の識別時に、この金属片について取得した特徴量から
上述の重み付け関数8Aを用いて、その重みを計算し、
金属片の種類を識別する。図2とこれに続く図3は図1
の装置による未知の種類の金属片の識別動作を示すフロ
ーチャートで、101〜111はそのステップを示す。
以下では簡単のために金属片の識別の種類を50円と5
00円の2(=γ1 )種、計算する特徴量を3(=
γ2 )種類(表1参照)、センサを4A,4Bの2(=
γ3 )個、予め用意する重み付け関数に関わるギャップ
をa0 ,a1 の2(=γ4 )種、従って重み付け関数の
数=γ1 ×γ2 ×γ3 ×γ4 =2×3×2×2=24個
とした場合を例にとり、図1を参照しつつ図2,図3を
説明する。
【0033】
【表1】
【0034】識別すべき(未知の種類の)金属片1を硬
貨通路2に投入すると、CPU7はセンサ4A,4Bの
出力波形を夫々A/Dコンバータ6A,6Bを介して検
出する(101)。CPU7は先ず金属片種類番号i=
1とし、この例では50円の波形であると仮定する(1
02,102A)。そしてA/Dコンバータ6A,6B
の各出力波形の特徴量の1部としてその波高値を求め、
ギャップがa0 に近いか,a1 に近いかを比較する。そ
してa0 に近いと判断したとする(103)。
【0035】図13はこのギャップの推定と次のステッ
プで述べる(ギャップ正規化による)波形の増幅の説明
図である。即ち、同図(A)は、例えばA/Dコンバー
タ6A(従ってセンサ4A)の50円硬貨投入時の出力
波形の波高値(縦軸)とギャップ(横軸)との関係を示
すものとする。同図(E)の太線波形は実際の波形で、
同図(B),(C),(D)の各波形は被識別金属片が
50円であるとして、夫々ギャップa2 ,a1 ,a0
あるときに検出されるべき波形である。よって実波形の
波高値からこの場合、被識別金属片が50円であるとす
れば、現実の推定ギャップaはa0 とa1 の間にある。
そこでこの例では、a0 に近いと判断するものとする
(なお、この動作を便宜上ギャップの正規化という)。
【0036】図14は金属片の種類やセンサ別にギャッ
プ推定用の特徴量(縦軸)を変数とするギャップa0
1 ,a2 ,a3 、別の重み付け関数f0 ,f1
2 ,f 3 が予め用意されている場合のギャップ推定方
法の説明図である。即ち、CPU7は各センサ4A,4
Bからの出力波形からギャップ推定用の特徴量Tg を夫
々計算し、重み付け計算手段7Bを介し重み付け関数f
0 〜f3 から夫々重みを求める。この例では関数f0
1 からの重みが最も大きく、推定ギャップaはa 0
1 の間にある。よって推定ギャップaはa0 に近いも
のとする。なお、T g0は推定ギャップをa0 としたとき
の(正規化後)の前記特徴量である。
【0037】次にCPU7は図13(A)の特性を参照
して、A/Dコンバータ6A,6Bからの出力波形をそ
の波高値が夫々50円が正しくギャップa0 を取ったと
きに出る波高値と同じ高さになるように増幅する。つま
り図13の場合、(E)の太線波形を増幅して(D)の
波形を得るようにする。そして、この増幅されたセンサ
4A,4B別の波形から特徴量(この例ではセンサごと
に3種)を計算する(104)。ここで計算される特徴
量は、前記表1のT1 〜T3 をセンサ4A,4B別に区
別するものとして、センサ4AについてT1A,T2A,T
3Aであり、センサ4BについてT1B,T2B,T3Bである
ものとする。
【0038】次にCPU7の重み付け計算手段7Bは、
50円のギャップa0 のときの特徴量T1A〜T3Bについ
ての夫々の重み付け関数8Aをメモリ8から選択し(1
05)、この重み付け関数8Aを用いて各特徴量T1A
2A,T3A、T1B,T2B,T 3Bについての夫々の重みO
1A,O2A,O3A、O1B,O2B,O3Bを計算する(10
6)。そして、この重みO1A〜O3Bの総和を計算する
(107)。この場合、重みの総和は5.8であったと
する。
【0039】次にこの重みの総和がスレショルドレベル
を越えたか否かを判断する(108)。この例では特徴
量が3種×2センサであるのでスレショルドレベル=6
であり、50円の識別時の重みの総和5.8はスレショ
ルドレベルを越えていない、つまり50円ではないとし
てこのステップを抜ける(108,分岐N)。よってス
テップ110を経てステップ102Aに戻り、あらため
て金属片種類番号i=2とし、この例では被識別金属片
のセンサ波形が100円の波形であると仮定して、前述
と同様にステップ103〜108の手順を繰返す。この
繰返しによって求められた100円識別時の重みの総和
が6.2であるとすれば、この重み総和6.2はスレシ
ョルドレベル6を越えており(108,分岐Y)、被識
別金属片は100円であると識別される(109)。
【0040】なお、金属片種類番号kとなるまで、つま
り全金種についての識別を行っても、重みの総和がスレ
ショルドレベルを越えないときは(108,分岐N→1
10,分岐N)、被識別金属片に該当する金種がないと
判定する(111)。図10,図11は、金属片種類番
号#iの重み付け関数と重みの総和計算の説明図であ
る。この例はセンサが4A,4Bの2つで、ギャップを
0 〜an のn+1個に分割し、特徴量を#1〜#mの
m個計算する場合の例である。なお、この例ではセンサ
4Aとセンサ4Bは対向して配置してある。この重み付
け関数は前述のように金属片の種別の全種類分必要であ
る。また、この例ではセンサ4A,4Bについてギャッ
プ推定用重み付け関数による推定ギャップはa2 であ
り、重みの総和はギャップa2 の重み付け関数について
求められる。
【0041】このように図2,図3の処理を行うこと
で、被識別金属片がどのようなギャップを持ってセンサ
4の前を通過してもその金属片の種類を高精度に識別す
ることができる。図9,図10の例のように対向したセ
ンサ4A,4Bのギャップ推定値がともに同じギャップ
2 であれば、センシングした金属片は金属片種類番号
#iのものと同じ厚さであることが判定される。このよ
うにギャップの大きさの推定を行うことで、金属片の厚
さの測定も行うことができる。
【0042】図12は本発明の実施例としての外径の異
なる円板状金属片1A,1Bの外径の測定方法の説明図
で、同図(A)はセンサ配置を、同図(B),(C)は
夫々金属片1A,1Bに対するセンサ波形を示す。即
ち、金属片の外径測定を行うためには図12(A)のよ
うに複数のセンサ4A〜4Dを配置し、さらにこのセン
サの配置間隔は予め最も識別したい種類の金属片の外径
の大きさに合わせておく。図12(B),(C)のセン
サ波形は簡単のために方形波のように描いてある。セン
サ4Aとセンサ4Cは金属片1Aの大きさの金属片がセ
ンサ前を通過した場合に、同図(B)のようにセンサ4
Aとセンサ4Cの波形のエッジが時点t1で重なるよう
にセットする。また、センサ4Cとセンサ4Dは金属片
1Aより小さい金属片1Bがセンサ前を通過した場合
に、同図(C)のようにセンサ4Cとセンサ4Dのセン
サ波形のエッジが時点t4 で重なるようにセットする。
このようにすることで、波形エッジの重なる金属片の大
きさを金属片の通過速度に無関係に正確に求めることが
できる。
【0043】また、精度は落ちるがこの配置からその他
の大きさの金属片の外径に対しても、この外径が金属片
1Aより大,金属片1Aと金属片1Bの間,金属片1B
より小という情報も得ることができる。これらの金属片
は先の金属片よりも重要度の低いもの、または他の特徴
量でも十分な識別性能が得られるものに対応させればよ
い。
【0044】
【発明の効果】本発明によればセンサ出力波形から得ら
れる特徴量の値を変数とし、その発生頻度を重みで示し
た重み付け関数を金属片の種類,特徴量の種類,センサ
数,ギャップの種類の夫々ごとに求めて置き、未知の金
属片の特徴量から上記の重み付け関数を用いて重みの総
和を求め、金属片の種類を判別するようにしたので、以
下の効果が得られる。
【0045】・金属片のセンシングルートのばらつきに
よらず高精度な識別ができる。 ・金属片が摩耗・変形してもある範囲内ならば識別する
ことがきる。 ・金属片が通路を通過する際、ギャップが生じても識別
性能を低下させることなく識別ができる。 ・金属片のギャップの大きさを推定することができ、同
時に金属片の厚さを識別できる。このことにより、形状
が同じでも厚さが異なる金属片の誤認識が少なくなる。
【0046】・金属片の彫りの深さ模様の大きさを通過
速度に関係なく推定できる。 ・金属片の外径を重要な物だけには高精度に識別でき
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例としての装置の構成を示すブ
ロック図
【図2】図1の金属片識別動作を示すフローチャート
【図3】図2に続くフローチャート
【図4】図1のセンサ波形の説明図
【図5】図1の特徴量抽出動作の説明図
【図6】図1の重み付け関数の説明図
【図7】金属片の摩耗,変形などを考慮した図1の重み
付け関数の例を示す図
【図8】ギャップが小さい場合の図1のセンサの波形を
示す図
【図9】ギャップが大きい場合の図1のセンサの波形を
示す図
【図10】図1の重み算出動作の説明図
【図11】図10に続く説明図
【図12】図1の金属片外径検出動作の説明図
【図13】図1のギャップ推定動作と正規化の説明図
【図14】ギャップ推定用重み付け関数を用いた図1の
ギャップ推定動作の説明図
【符号の説明】
1(1A,1B) 金属片(硬貨) 2 硬貨通路 2a,2b 硬貨通路壁面 3 硬貨通路方向 4(4A〜4D) センサ 5(5A〜5D) 検出回路 6(6A〜6D) A/Dコンバータ 7 CPU 7A 特徴量計算手段 7B 重み付け計算手段 8 メモリ 8A 重み付け関数

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】種類を識別すべき平板状の金属片が通過す
    る金属片通路と、 前記通路の壁面に前記金属片の表面に対向するように配
    置され、通過中の金属片の表面の凹凸までの距離を検出
    する複数のセンサと、 前記センサから得られる信号波形を一定時間ごとにサン
    プリングする回路と、 サンプリングされた信号波形データを用いて前記金属片
    の形状を表す各種の特徴量を計算する特徴量計算手段
    と、 予め前記金属片通路に、既知の種類別の金属片を夫々複
    数回通過させてそのつど得た前記特徴量から、金属片,
    センサ,特徴量の夫々の種類別に、特徴量を変数として
    その発生頻度に相当する重みを表す重み付け関数を求め
    て記憶する手段と、 識別すべき金属片を前記金属片通路に通過させて得た前
    記各種の特徴量と、この各特徴量に夫々対応する前記重
    み付け関数とから当該の金属片の種類を仮定して特徴量
    の種類ごとの重みを求め、この重みを特徴量の全種類に
    ついて加算してなる重みの総和を求める重み付け加算手
    段と、 この重みの総和を仮定した金属片の種類別に比較し、当
    該の金属片の種類を識別する識別手段とを備えたことを
    特徴とする金属片識別装置。
  2. 【請求項2】請求項1に記載の金属片識別装置におい
    て、 前記重み付け関数は、前記金属片通路を通過させる既知
    の種類の金属片の姿勢を種々に変化させて求められたも
    のであることを特徴とする金属片識別装置。
  3. 【請求項3】請求項1または2に記載の金属片識別装置
    において、 前記重み付け関数を求める際に用いられる既知の種類の
    金属片には、摩耗または(及び)変形のある金属片が含
    まれるものであることを特徴とする金属片識別装置。
  4. 【請求項4】請求項1ないし3の何れかに記載の金属片
    識別装置において、 前記重み付け関数は前記既知の種類の金属片の表面とセ
    ンサとのギャップを複数の種類別に変化させて求められ
    たものであり、 識別すべき金属片について求められる特徴量のうち、ギ
    ャップ推定用の特徴量とこの特徴量を変数とするギャッ
    プ推定用の関数から当該金属片の推定ギャップに最も近
    いギャップを前記複数種類のギャップから選択するギャ
    ップ選択手段と、 識別すべき金属片のサンプリング信号波形を、そのレベ
    ルが前記の選択されたギャップに対応する大きさとなる
    ように増幅または減衰させて補正し、前記特徴量計算手
    段に与える手段とを備え、 前記重み付け加算手段は、前記識別すべき金属片の重み
    の総和を、前記の補正されたサンプリング信号波形デー
    タから求められた各種の特徴量と、前記の選択されたギ
    ャップに対応する重み付け関数とを用いて求めるもので
    あることを特徴とする金属片識別装置。
  5. 【請求項5】請求項4に記載の金属片識別装置におい
    て、 前記ギャップ推定用の関数は重み付け関数であり、 前記ギャップ選択手段は、該重み付け関数と前記ギャッ
    プ推定用の特徴量から求められる重みが最大となる重み
    付け関数に関わるギャップを選択するものであることを
    特徴とする金属片識別装置。
  6. 【請求項6】請求項1ないし5の何れかに記載の金属片
    識別装置において、 前記特徴量計算手段は、前記サンプリングされた信号波
    形中の所定の1または複数のサンプリング信号レベルと
    所定の1または複数のサンプリング経過時間との少なく
    とも複数の所定の組合せの各々ごとに求めた該サンプリ
    ング信号レベルと該サンプリング経過時間との積を、前
    記組合せの所定の相互間で比較した比率を少なくとも特
    徴量とするものであることを特徴とする金属片識別装
    置。
  7. 【請求項7】請求項4ないし6の何れかに記載の金属片
    識別装置において、 前記センサには前記金属片通路の両側の壁面に夫々配置
    されたもの(以下両側センサという)が含まれており、 この両側センサからのサンプリング信号に基づき前記ギ
    ャップ選択手段によって夫々選択された当該金属片の両
    面のギャップを、前記金属片通路の幅から引いた値を特
    徴量とする手段を備えたことを特徴とする金属片識別装
    置。
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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2008003672A (ja) * 2006-06-20 2008-01-10 Laurel Seiki Kk 円盤状金属用識別装置
KR100887875B1 (ko) * 2007-11-23 2009-03-06 강용식 유사주화 선별 장치 및 방법

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JP2008003672A (ja) * 2006-06-20 2008-01-10 Laurel Seiki Kk 円盤状金属用識別装置
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