JPH0731797B2 - 磁気記録媒体 - Google Patents

磁気記録媒体

Info

Publication number
JPH0731797B2
JPH0731797B2 JP60053394A JP5339485A JPH0731797B2 JP H0731797 B2 JPH0731797 B2 JP H0731797B2 JP 60053394 A JP60053394 A JP 60053394A JP 5339485 A JP5339485 A JP 5339485A JP H0731797 B2 JPH0731797 B2 JP H0731797B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
magnetic
radiation
resin
layer
acid
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Expired - Lifetime
Application number
JP60053394A
Other languages
English (en)
Other versions
JPS61214129A (ja
Inventor
徹 下沢
善明 斉藤
正治 西松
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
TDK Corp
Original Assignee
TDK Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by TDK Corp filed Critical TDK Corp
Priority to JP60053394A priority Critical patent/JPH0731797B2/ja
Priority to US06/841,223 priority patent/US4702959A/en
Priority to DE3609261A priority patent/DE3609261C2/de
Publication of JPS61214129A publication Critical patent/JPS61214129A/ja
Publication of JPH0731797B2 publication Critical patent/JPH0731797B2/ja
Anticipated expiration legal-status Critical
Expired - Lifetime legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Paints Or Removers (AREA)
  • Magnetic Record Carriers (AREA)

Description

【発明の詳細な説明】 産業上の利用分野 本発明は強磁性粒子が垂直に配向し、塗布型磁気記録層
を有する磁気記録媒体に関し、特に磁気記録層が六方晶
系板状(六角板状)バリウムフェライト磁性粉を含み、
バックコート層が特定のバインダーよりなり、それらの
電気抵抗が特定されたものとからなる磁気記録媒体に関
する。
従来の技術及び発明が解決しようとする問題点 現在、磁気記録媒体は、オーディオ、ビデオ、コンピュ
ーター、磁気ディスク等の分野で広範囲に使用されるよ
うになっており、又将来ビデオフロッピー等の分野で利
用されるものと予想されるが、それに伴い、磁気記録媒
体に記録する情報量も年々増加の一途をたどり、そのた
め磁気記録媒体に対しては記録密度の向上が益々要求さ
れるようになってきている。
従来より、磁気テープなどの磁気記録媒体では、磁気記
録層中の針状磁性粉を長手方向に配向させる等して、磁
気特性を向上させているが、針状磁性粉を長手方向に配
向させたものは低周波帯域では高い出力が得られる反面
高密度記録には限界があるものであった。
又、このため最近では磁性粉末が平板状であり、垂直方
向に磁化容易軸を有するバリウムフェライト磁性粉末を
磁気記録層に使用した磁気記録媒体が提案されている
(特開昭57−195328号公報)。
しかし、これらのバリウムフェライト磁性粉末を使用し
たものでは、短波長記録特性は良好な反面、消去特性が
劣るという欠点がある。そしてバリウムフェライト自体
は電気抵抗が1016Ω/cm2以上と高く、そのためバリウム
フェライトにカーボンブラック等の導電性物質が併用し
て用いられていない場合、磁気記録媒体はヘッドにはり
ついたり、又、塗布工程等の製造工程中にガイドローラ
ー、カレンダーローラー等にはりつきが生じ、激しい場
合には放電ノイズが発生するため、通常は導電性物質を
併用して用いることが考えられ、カーボンブラックを入
れてその電気抵抗を下げているのが現状である。しかし
ながら、前記のように電気抵抗が高いので、通常のカー
ボンブラックでは電気抵抗は下げることはできるが、未
だ充分ではなかった。
又、現在、磁気記録媒体のうち、磁気ディスクは、コン
ピュータ及び磁気カメラの分野で広範囲に使用されるよ
うになってきた。それに伴い、磁気ディスクに記録すべ
き情報量も年々増加し、高密度記録能を有する磁気ディ
スクが益々要求されるようになっている。
高記録密度化が進む程ドロップアウトの問題が顕著とな
ってくる。則ち磁気ヘッドを用いる現在の記録方式にお
いては、ディスク又はテープ−ヘッド間のスペーシング
損失は54.2d/λ〔dB〕(d:ディスク−ヘッド間距離、
λ:記録波長)で表わされる。この式からわかるよう
に、記録密度の高い短波長記録においては、スペーシン
グによる出力低下の割合が長波長のそれより著しく大き
くなる。従って小さな異物がディスク又はテープ上にあ
っても、それがドロップアウトとして検出されることに
なるのである。
ドロップアウトの原因として考えられるのは、繰返し応
力がかかることによる塗膜の劣化から生ずる磁気ディス
クの塗膜表面の磁性粉脱落物あるいは走行中にベースが
削り取られることにより発生する削片やホコリ等が静電
的にベース面に付着し更にそれが塗膜面に転移したもの
が挙げられる。これらを防止するため、前者の原因に対
しては塗膜の強靭化を計るべく幾つかの工夫が為されそ
して後者の原因に対しては、磁気ディスク又はテープの
磁性面と反対の支持体表面(バック面)に、カーボンブ
ラックあるいはグラファイト等を有機結合材とともに混
練した塗料を塗布したり、帯電防止剤を塗布する等によ
りベースの帯電現象を少くする方法あるいは酸化硅素等
を有機結合材とともに混練した塗料を塗布し、ベースの
強靭化をはかりベースの削れを少くなる方法等が考案さ
れている。これらの処理により、くり返し走行に対する
ドロップアウト増加の傾向はかなり抑えることができ
る。しかしながら、そのレベルは、現状ではまだ完全と
は言えず、さらに少なくする必要がある。
問題点を解決するための手段 本発明者等は上記の点を改善すべく、更に研究を重ねた
結果、磁気記録層が粒径0.2μm以下、板状比6以上の
六方晶系板状バリウムフェライトを含むものではバリウ
ムフェライト自体が前記のように電気抵抗が1016Ω/cm2
以上と高く磁気記憶層の電気抵抗も1010Ω/cm2以上とな
り電磁変換特性は良くなるものの、種々の問題が生ずる
が、磁気記録層の電気抵抗が1010Ω/cm2以上であっても
バックコート層の電気抵抗を1010Ω/cm2以下とすること
により、意外にも磁気記録層にごみやほこりがつき難く
なり、従って、ドロップアウトが激減し、シンチング現
象がなくなり、粘着性もなくなること、又、バインダー
を放射線硬化型にすることにより、裏型転写がないの
で、ドロップアウトが防止できること、さらには磁気テ
ープの場合、バックコート層のヤング率を特定の範囲の
ものとすることにより、バックコート面が強靭となるた
め耐久性を増し、バック面のもろさによる削れがなくな
ること、更にバックコート層の表面粗度を特定の数値以
下にすることにより、電磁変換特性の低下のないものと
なり、耐摩耗性が改善されること、又、カールも少なく
なること見出し、本発明に到達したものである。
すなわち、本発明は非磁性基材の一方の面に粒径0.2μ
m以下、板状比6以上の六方晶系板状バリウムフェライ
ト磁性粉を含む磁気記録層、他方の面にバックコート層
を設けた磁気記録媒体において、磁気記録層が電気抵抗
が1010Ω/cm2以上であり、バックコート層のバインダー
が放射線硬化型樹脂よりなり、その電気抵抗が1010Ω/c
m2以下であることを特徴とする磁気記録媒体に関する。
磁気記録層に用いられる六方晶系板状バリウムフェライ
トは化学式BaO・6Fe2O3で表わされ、この外、この化学
式のBa及びFeの一部がTi,Cr,Co,Zn,In,Mn,Cu,Ge,Nb,Ca,
Sr,Pb,Ni等の金属で置換されたものが包含される。
バリウムフェライト磁性粉は直径0.2μ以下、好ましく
は0.15μm以下、更に好ましくなは0.1μm以下、板状
比6以上、さらに好ましくは7以上である。バリウムフ
ェライトは六方晶系板状であるため、針状磁性粉と比べ
て表面粗度への影響が大きくなり、上記の径よりも大き
くなったり、板状比が小さくなると表面粗度の低下が激
しく好ましくない。粒径が前記のような範囲にある場合
は垂直成分が充分に利用され、かつ磁性層の表面平滑性
が良好となり、ノイズも充分に低く、高密度記録が達成
できる。
バリウムフェライトの製法としては、セラミック法、共
沈−焼成法、水熱合成法、フラックス法、ガラス結晶化
法、アルコキシド法、プラズマジェット法等があり、い
ずれの方法も利用できる。
本発明において、バリウムフェライト磁性粉を含有する
磁気記録層は、バリウムフェライト自体の電気抵抗が10
16Ω/cm2以上と非常に高く、それ故、磁気記録層の電気
抵抗は1010Ω/cm以上のものである。磁気記録層の電気
抵抗が1010Ω/cm2以上となると、帯電により、ごみ、ほ
こりがつき易く、ドロップアウトが発生し易く、磁性層
の電気抵抗が1010Ω/cm2より低い場合は上記のような現
象はない。
本発明のバックコート層はバインダーが放射線硬化型樹
脂よりなるものでなくてはならない。
バック面形成においては、バック面を磁性面より先に形
成すると磁性面を形成した後のカレンダー処理による表
面平滑化の際にバック面の凹凸が磁性面に転写して磁性
塗膜の平滑化が十分になされない。そのため、バックコ
ート処理は、磁性塗膜を支持体上に形成した後、その支
持体の裏面になされるのが普通である。バック層は走行
回数を増してもドロップアウトが増加しないよう強靭で
あることが要求されるから、通常、熱硬化型樹脂が結合
剤として使用される。その場合、バック層が塗布された
後、テープは巻き取られ、熱硬化処理が施されることに
なる。しかし、塗布が終わった時点においては、バック
層中ではまだ硬化反応が始まっておらずその塗膜は弱
く、しかもバック面と磁性面とは密着状態であるため、
バック層塗膜中に充填されたカーボンブラック、グラフ
ァイト、あるいは他の無機充填剤を含んだバック面塗膜
表面は、それが接触している反対側の磁性層表面に転移
し易く、その転移したものがドロップアウトやヘッド目
づまりの原因となっていることがわかった。またこの現
象は熱可塑性樹脂であっても同様な現象が起こりうると
考えられる。
本発明は、バック層形成工程での上記のような不具合を
解消するため、放射線感応樹脂(放射線の照射で硬化し
うる樹脂)を結合材として、他のバックコートの添加剤
と混練した塗料でバック層を形成した後活性エネルギー
線源により放射線を照射し、硬化処理を施すか、あるい
はそのまま表面処理を行った後硬化処理を施し、バック
層中に三次元架橋を生じさせ、強靭な塗膜とした後、そ
のテープを巻き取ることにより、上記のような原因によ
るドロップアウトを減少させるものである。この方法に
よればテープが巻き取られるのは塗膜の架橋反応が終了
した後であるから巻き取りによりバック層が磁性層に密
着してもバック層から磁性層への転移は起きない。
更に重要なこととして、磁気ディスクではカールの問題
がある。片面型の磁気ディスクにおいては、このカール
は、塗膜と支持体の力学的バランスがとれないために生
ずると考えられる。つまり、塗膜のヤング率が支持体の
ヤング率より大きいため、塗膜側にそりが生ずる。カー
ルは、ヘッドタッチ、走行性に悪影響を与えるので、で
きるだけ小さくした方が好ましい。そこで磁性層と反対
側の支持体上にカーボンブラック、グラファイト、ある
いは他の無機充填剤を含んだバック面塗膜を設け、磁性
面、ベース・バック面の力学的バランスをとることによ
り、ヘッドタッチ及び走行性で問題となるディスクのそ
りを改善することが考えられるが、熱硬化の場合、ロー
ル状態で熱処理をするため、その巻き方向にカールが生
じたり、又、ベースの収縮を招きカールを助長すること
になる。しかし電子線硬化の場合、オンラインで硬化で
きるため熱硬化の場合の問題はなく有利にカールの改善
ができる。
斯様に、支持体の一方の面にバリウムフェライト磁性粉
を含む磁性層を有する磁気ディスク又はテープにおい
て、バック面にバックコート層を設け、しかも結合材と
して放射線感応硬化性樹脂を用いることによりディスク
のそりの問題とドロップアウトの問題が一挙に解決でき
るのである。
そして、本発明のバックコート層の電気抵抗は1010Ω/c
m2以下でなければならない。バックコート層の電気抵抗
が1010Ω/cm2より高い場合には工程走行中、摩擦帯電に
よるはりつきが生じ、磁性層、バック層のはりつきを生
じたり、組込工程中でははりつき、ごみ付着を生じたり
し、ドロップアウトの原因となる。片面が低いとはりつ
きを生じない。リールツウリールタイプのビデオテー
プ、オーディオテープ等の場合には磁気記録層の削れが
発生し、ドロップアウトが生じ、又その他の磁気特性も
著しく悪化する。
電気抵抗を1010Ω/cm2以下とするためには、無機顔料で
ある、1)導電性のあるカーボンブラック、グラファイ
ト、また2)無機充填剤としてSiO2、TiO2、Al2O3、Cr2
O3、SiC、CaO、CaCO3、酸化亜鉛、ゲーサイト、αFe
2O3、タルク、カオリン、CaSO4、窒化硼素、フッ化黒
鉛、二硫化モリブデン、ZnS等、またこの他、次のよう
な微粒子顔料(エアロジルタイプ、コロイダルタイ
プ):SiO2、Al2O3、TiO2、ZrO2、Cr2O3、Y2O3、CeO2、F
e3O4、Fe2O3、ZrSiO4、Sb2O5、SnO2等を添加する方法が
採用される。これら微粒子顔料の粒径は200Å未満、さ
らに好ましくは150Å以下のものである。これら微粒子
顔料は、例えばSiO2の場合、無水硅酸の超微粒子コロ
イド溶液(スノーテックス、水系、メタノールシリカゾ
ル等、日産化学)、精製四塩化ケイ粗の燃焼によって
製造される超微粒子状無水シリカ(標準品100Å)(ア
エロジル、日本アエロジル株式会社)などが挙げられ
る。又、前記の超微粒子コロイド溶液及びと同様の
気相法で製造される超微粒子状の酸化アルミニウム、並
びに酸化チタン及び前述の微粒子顔料が使用され得る。
この様な無機顔料の使用量は1)に関してはバインダー
100重量部に対して20〜200重量部、又2)に関しては10
〜300重量部が適当であり、無機顔料量があまり多くな
ると、塗膜がもろくなり、かえってドロップアウトが多
くなるという欠点がある。
本発明のバックコート層で用いる放射線硬化型樹脂と
は、放射線によりラジカルを発生し架橋構造を生じるよ
うな、分子鎖中に不飽和二重結合を2個以上含むもので
あり、これはまた熱可塑性樹脂を放射線感応変性するこ
とによっても可能である。
放射線感応変性の具体例としては、ラジカル重合性を有
する不飽和二重結合を示すアクリル酸、メタクリル酸あ
るいはそれらのエステル化合物のようなアクリル系二重
結合、ジアリルフタレートのようなアリル系二重結合、
マレイン酸、マレイン酸誘導体等のマレイン酸系二重結
合等の放射線照射による架橋あるいは重合乾燥する基を
分子中に導入することである。
その他放射線照射により架橋重合する不飽和二重結合で
あれば用いる事が出来る。
放射線硬化性樹脂に変性できる熱可塑性樹脂を以下に示
す。
(1)塩化ビニール系共重合体 塩化ビニール−酢酸ビニール−ビニールアルコール共重
合体、塩化ビニール−ビニールアルコール共重合体、塩
化ビニール−ビニールアルコール−プロピオン酸ビニー
ル共重合体、塩化ビニール−酢酸ビニール−マレイン酸
共重合体、塩化ビニール−酢酸ビニル−ビニルアルコー
ル−マレイン酸共重合体、塩化ビニール−酢酸ビニール
−末端OH側鎖アルキル基共重合体、たとえばUCC社製VRO
H、VYNC、VYBGX、VERR、VYES、VMCA、VAGH等が挙げら
れ、このものに後述の手法により、アクリル系二重結
合、マレイン酸系二重結合、アクリル系二重結合を導入
して放射線感応変性を行う。
(2)飽和ポリエステル樹脂 フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、コハク酸、ア
ジピン酸、セバシン酸のような飽和多塩基酸と、エチレ
ングリコール、ジエチレングリコール、グリセリン、ト
リメチロールプロパン、1,2プロピレングリコール、1,3
ブタンジオール、ジプロピレングリコール、1,4−ブタ
ンジオール、1,6ヘキサンジオール、ペンタエリスリッ
ト、ソルビトール、グリセリン、ネオペンチルグリコー
ル、1,4シクロヘキサンジメタノールのような多価アル
コールとのエステル結合により得られる飽和ポリエステ
ル樹脂又はこれらのポリエステル樹脂をSO3Na等で変性
した樹脂(例えばバイロン53S)が例として挙げられ、
これらも同様にして放射線感応変性を行う。
(3)ポリビニルアルコール系樹脂 ポリビニルアルコール、ブチラール樹脂、アセタール樹
脂、ホルマール樹脂及びこれらの成分の共重合体で、こ
れら樹脂中に含まれる水酸基に対し後述の手法により放
射線感応変性を行う。
(4)エポキシ系樹脂、フェノキシ系樹脂 ビスフェノールAとエピクロルヒドリン、メチルエピク
ロルヒドリンの反応によるエポキシ樹脂、例えばシェル
化学製(エピコート152、154、828、1001、1004、100
7)、ダウケミカル製(DEN431、DER732、DER511、DER33
1)、大日本インキ製(エピクロン400、800)、更に上
記エポキシの高重合度樹脂であるUCC社製フェノキシ樹
脂(PKHA、PKHC、PKHH)、臭素化ビスフェノールAとエ
ピクロルヒドリンとの共重合体、大日本インキ化学工業
製(エピクロン145、152、153、1120)等があり、又こ
れらにカルボン酸基を含有するものも含まれる。これら
樹脂中に含まれるエポキシ基を利用して放射線感応変性
を行う。
(5)繊維素誘導体 各種のものが用いられるが、特に効果的なものは硝化
綿、セルローズアセトブチレート、エチルセルローズ、
ブチルセルローズ、アセチルセルローズ等が好適であ
る、樹脂中の水酸基を活用して後述の方法により放射線
感応変性を行う。
その他、放射線感応変性に用いることのできる樹脂とし
ては、多官能ポリエステル樹脂、ポリエーテルエステル
樹脂、ポリビニルピロリドン樹脂及び誘導体(PVPオレ
フィン共重合体)、ポリアミド樹脂、ポリイミド樹脂、
フェノール樹脂、スピロアセタール樹脂、水酸基を含有
するアクリルエステル及びメタクリルエステルを重合成
分として少くとも一種含むアクリル系樹脂等も有効であ
る。
さらに上記放射線感応変性熱可塑性樹脂に熱可塑性エラ
ストマーもしくはプレポリマーをブレンドすることによ
り、一層強靭な塗膜とすることができる。さらに、下記
に述べるように、これらエラストマーあるいはプレポリ
マーが、同様に放射線感応性に変性された場合は、より
効果的である。以下に、上記放射線感応樹脂と組み合わ
せることのできるエラストマー又はプレポリマーを挙げ
る。
(1)ポリウレタンエラストマーもしくはプレポリマー ポリウレタンの使用は耐摩耗性、及び基体フィルム、例
えばPETフィルムへの接着性が良い点で特に有効であ
る。ウレタン化合物の例としては、イソシアネートとし
て、2,4−トルエンジイソシアネート、2,6−トルエンジ
イソシアネート、1,3−キシレンジイソシアネート、1,4
−キシレンジイソシアネート、1,5−ナフタレンジイソ
シアネート、m−フェニレンジイソシアネート、p−フ
ェニレンジイソシアネート、3,3′−ジメチル−4,4′−
ジフェニルメタンジイソシアネート、4,4′−ジフェニ
ルメタンジイソシアネート、3,3′−ジメチルビフェニ
レンジイソシアネート、4,4′−ビフェニレンジイソシ
アネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、イソフォ
ロンジイソシアネート、ジシクロヘキシルメタンジイソ
シアネート、デスモジュールL、デスモジュールN等の
各種多価イソシアネートと、綿状飽和ポリエステル(エ
チレングリコール、ジエチレングリコール、グリセリ
ン、トリメチロールプロパン、1,4−ブタンジオール、
1,6−ヘキサンジオール、ペンタエリスリット、ソルビ
トール、ネオペンチルグリコール、1,4−シクロヘキサ
ンジメタノールの様な多価アルコールと、フタル酸、イ
ソフタル酸、テレフタル酸、コハク酸、アジピン酸、セ
バシン酸の様な飽和多塩基酸との縮重合によるもの)、
線状飽和ポリエーテル(ポリエチレングリコール、ポリ
プロピレングリコール、ポリテトラメチレングリコー
ル)やカプロラクタム、ヒドロキシル含有アクリル酸エ
ステル、ヒドロキシル含有メタクリル酸エステル等の各
種ポリエステル類の縮重合物より成るポリウレタンエラ
ストマー、プレポリマーが有効である。
これらのウレタンエラストマーの末端のイソシアネート
基又は水酸基と、アルリル系二重結合又はアクリル系二
重結合等を有する単量体とを反応させることにより、放
射線感応性に変性することは非常に効果的である。又、
末端に極性基としてOH、COOH等を含有するものも含む。
(2)アクリロニトリル−ブタジエン共重合エラストマ
ー シンクレアペトロケミカル社製ポリBDリタイッドレンジ
として市販されている端末水酸基のあるアクリロニトリ
ルブタジエン共重合体プレポリマーあるいは日本ゼオン
社製ハイカー1432J等のエラストマーは、特にブタジエ
ン中の二重結合が放射線によりラジカルを生じ架橋及び
重合させるエラストマー成分として適する。
(3)ポリブタジエンエラストマー シンクレアペトロケミカル社製ポリBDリタイッドレジン
R−15等の低分子量末端水酸基を有するプレポリマーが
特に熱可塑性樹脂との相溶性の点で好適である。R−15
プレポリマーにおいては分子末端が水酸基となている
為、分子末端にアクリル系不飽和二重結合を付加するこ
とにより放射線感応性を高めることが可能であり、バイ
ンダーとして更に有利となる。
またポリブタジエンの環化物、日本合成ゴム製CBR−M90
1も熱可塑性樹脂との組合せによりすぐれた性質を有し
ている。
その他、熱可塑性エラストマー及びそのプレポリマーの
系で好適なものとしては、スチレン−ブタジエンゴム、
塩化ゴム、アクリルゴム、イソプレンゴム及びその環化
物(日本合成ゴム製CIR701)があり、エポキシ変性ゴ
ム、内部可塑化飽和線状ポリエステル(東洋紡バイロン
#300)等のエラストマーも下記に述べる放射線感応変
性処理を施こすことにより有効に利用できる。
次に、放射線硬化型ポリマー合成例を説明する。
a)塩化ビニール酢酸ビニール共重合体系樹脂のアクリ
ル変性体(放射線感応変性樹脂)の合成OH基を有する一
部ケン化塩ビ−酢ビ共重合体(平均重合度n=500)750
部とトルエン1250部、シクロヘキサノン500部を51の4
つ口フラスコに仕込み加熱溶解し、80℃昇温後トリレン
ジイソシアネートの2−ヒドロキシエチルメタクリレー
トアダクト※を61.4部加え、更にオクチル酸スズ0.012
部、ハイドロキノン0.012部を加え80℃でN2気流中、NCO
反応率が90%となるまで反応せしめる。反応終了後冷却
し、メチルエチルケトン1250部を加え希釈する。
〔※トリレンジイソシアネート(TDI)の2−ヒドロキ
シエチルメタクリレート(2HEMA)アダクトの製法 TDI348部をN2気流中11の4つ口フラスコ内で80℃に加熱
後、2−エチレンメタクリレート260部、オクチル酸ス
ズ0.07部、ハイドロキノン0.05部を反応缶内の温度が80
〜85℃となるように冷却コントロールしながら滴下終了
後80℃で3時間撹拌し反応を完結させる。反応終了後取
り出して冷却後白色ペースト状のTDIの2HEMAを得た。〕 b)ブチラール樹脂アクリル変性体の合成(放射線感応
変性樹脂) ブチラール樹脂積水化学製BM−S100部をトルエン191.2
部、シクロヘキサノン71.4部と共に51の4つ口フラスコ
に仕込み加熱溶解し80℃昇温後TDIの2HEMAアダクト※を
7.4部加え、更にオクチル酸スズ0.015部、ハイドロキノ
ン0.015部を加え、80℃でN2気流中NCO反応率が90%以上
となるまで反応せしめる。反応終了後冷却し、メチルエ
チルケトンにて希釈する。
c)飽和ポリエステル樹脂アクリル変性体の合成(放射
線感応変性樹脂) 飽和ポリエステル樹脂(東洋紡製バイロンRV−200)、1
00部をトルエン116部、メチルエチルケトン116部に加熱
溶解し80℃昇温後TDIの2HEMAアダクト※を3.55部加え、
オクチル酸スズ0.007部、ハイドロキノン0.007部を加
え、80℃、N2気流中NCO反応率が90%以上となるまで反
応せしめる。
d)◎エポキシ樹脂アクリル変性体の合成(放射線感応
変性樹脂) エポキシ樹脂(シエル化学製エピコート1007)、400部
をトルエン50部、メチルエチルケトン50部に加熱溶解
後、N,N−ジメチルベンジルアミン0.006部、ハイドロキ
ノン0.003部を添加し80℃とし、アクリル酸69部を滴加
し80℃で酸価5以下となるまで反応せしめる。
◎フェノキシ樹脂アクリル変性体の合成(放射線感応変
性樹脂) OH基を有するフェノキシ樹脂(PKHH:UCC社製 分子量3
0,000)600部、メチルエチルケトン1800部を31の4ッ口
フラスコに仕込み、加熱溶解し、80℃昇温後、トリレン
ジイソシアネートの2ヒドロキシエチルメタクリレート
アダクトを6.0部加え、更にオクチル酸スズ0.012部、ハ
イドロキノン0.012部を加え、80℃でN2気流中、NCO反応
率が90%となるまで反応せしめる。このフェノキシ変性
体の分子量は35,000、1分子当りの二重結合は1個であ
る。
e)ウレタンエラストマーアクリル変性体の合成(放射
線硬化性エラストマー) 端末イソシアネートのジフェニルメタンジイソシアネー
ト(MDI)系ウレタンプレポリマー(日本ポリウレタン
製ニッポラン3119)250部、2HEMA32.5部、ハイドロキノ
ン0.07部、オクチル酸スズ0.009部を反応缶に入れ、80
℃に加熱溶解後TDI43.5部を反応缶内の温度が80〜90℃
となるように冷却しながら滴下し、滴下終了後80℃で反
応率95%以上となるまで反応せしめる。
f)ポリエーテル系末端ウレタン変性エラストマーアク
リル変性体(放射線硬化性エラストマー)の合成 日本ポリウレタン社製ポリエーテルPTG−500、250部、2
HEMA32.5部、ハイドロキノン0.007部、オクチル酸スズ
0.009部を反応缶に入れ、80℃に加熱溶解後TDI43.5部を
反応缶内の温度が80〜90℃となるように冷却しながら滴
下し、滴下終了後80℃で反応率95%以上となるまで反応
せしめる。
g)ポリブタジエンエラストマーアクリル変性体の合成
(放射線硬化性エラストマー) シンクレアペトロケミカル社製低分子量末端水酸基ポリ
ブタジエンポリBDリクイットレンジR−15、250部、2HE
MA32.5部、ハイドロキノン0.007部、オクチル酸スズ0.0
09部を反応缶に入れ、80℃に加熱溶解後TDI43.5部を反
応缶内の温度が80〜90℃となるように冷却しながら滴下
し、滴下終了後80℃で反応率95%以上となるまで反応せ
しめる。
また高分子には放射線照射により崩壊するものと分子間
に架橋を起こすものが知られている。分子間に架橋を起
こすものとしては、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポ
リスチレン、ポリアクリル酸エステル、ポリアクリルア
ミド、ポリ塩化ビニル、ポリエステル、ポリビニルピロ
リドンゴム、ポリビニルアルコール、ポリアクロレイン
がある。この様な架橋剤ポリマーであれば上記のような
変性を特に施さなくても、架橋反応が起るので、前記変
性体の他に、これらの樹脂はそのまま放射線架橋用バッ
クコート樹脂として使用可能である。
更にまた、この方法によれば溶剤を使用しない無溶剤型
の樹脂であっても短時間で硬化することができるので、
この様な樹脂をバックコート用として用いることができ
る。又、官能基としては、水酸基としてアルコール系、
フェノール系、リン酸系、カルボン酸基として芳香族
系、脂肪族系、スルホン酸基、アミン基、アンモニウム
基等を含有するものも含まれる。
放射線硬化製樹脂組成物として好ましいものは(A)放
射線により硬化性をもつ不飽和二重結合を2個以上有す
る、分子量5,000〜100,000のプラスチック状化合物、
(B)放射線により硬化性をもつ不飽和二重結合を1個
以上有するか、又は放射線硬化性を有しない、分子量3,
000〜100,000のゴム状化合物、および(C)放射線によ
り硬化性をもつ不飽和二重結合を1個以上有する、分子
量200〜3,000の化合物を、(A)20〜70重量%、(B)
20〜80重量%、(C)10〜40重量%の割合で用いた組合
せである。これにより、塗膜の破断強度が上り、塗膜の
強化が為され、バックコート削れが少なく、バックコー
ト層から磁性層への無機充填剤粉末の移転がないためド
ロップアウトの少ない、かつ、ロール状に巻き取った形
での硬化の際の巻きしまりのない、長さ方向で均一の特
性を有する磁気記録媒体が得られる。
更に、熱硬化型の場合、硬化時の巻きしまりによるバッ
クコート面の裏型転移のため、熱硬化中のジャンボロー
ルの内側、外側での電磁変換特性の差が問題となる。
これに対して、放射線硬化型樹脂の場合、製造上、連続
硬化が可能であり、硬化時間も短かく、上記の裏型転写
がないのでドロップアウトが防止でき、その上、放射線
硬化処理がオンライン上で処理できるので、省エネルギ
ー対策、製造時の人員の減少にも役立ち、コストの低減
にもつながる。特性面では熱硬化時の巻きしまりによる
ドロップアウトの外に、ロール状に巻かれたときの内外
径の個所の圧力のちがいにより磁気テープの長さ方向の
距離による出力差が生じることもなくなる。
前記(A)、(B)及び(C)からなる放射線硬化型樹
脂バインダーにおいて、(A)だけでは柔軟性がなくも
ろく、(B)だけでは弾性の欠けたものであり、
(A)、(B)を組合せることにより破壊エネルギー大
となるが、脆性エネルギーを大とするには限度があり、
また(A)、(B)だけでは硬度が低いためか、高温多
湿下で粘着性を生じ静摩擦が高くなった。これに対し、
(A)、(B)に更に(C)を組合せることにより、架
橋性が増大し、バインダーの引張り強度大、破断エネル
ギー、脆性エネルギーが大となり、バックコートケズレ
もなく、硬化度が高い強靭な塗膜になる。そのため50
℃、80%、5日間の高温保存下においたところ、粘着を
生ぜず、摩擦係数も低く、画像ひずみを生じなかった。
これは(C)を加えることによりバックコート膜の架橋
性が増し、硬化度が増したためである。(A)、(B)
に更に(C)を加えることにより、(A)、(B)のみ
よりなる組成の場合に比べ、(A)成分が低分子量の方
迄使えるようになった。これは(A)成分よりなるプラ
スチック状のものを、(C)成分を導入することにより
可塑性を向上させた硬化度の向上となるため、粘弾性に
富んだ脆性エネルギーの大なる塗膜となったものであ
る。
本発明の放射線硬化型樹脂バインダーにおいて、(A)
の分子量5,000未満、(B)の分子量3,500未満では塗膜
が固くなってバックコート削れが激しく、電磁変換特性
も低下し、また(B)の分子量100,000を超えると分散
不良のため電磁変換特性が低下すると共に、(B)が放
射線硬化性の場合にはその特性が低下して強度低下を生
じる。(C)については、分子量が3,000を超えると架
橋性が低下し、塗膜の強度が低下する。(A)は10,000
〜80,000、(B)は3,000〜80,000、(C)は200〜2,50
0が好ましい分子量範囲で、(B)は放射線硬化性のも
のが、架橋性を上げ、塗膜強度が大となるので好まし
い。
(A)、(B)、(C)の配合比率は、(A)が20〜70
重量%、好ましくは30〜70重量%、(B)が20〜80重量
%、好ましくは20〜60重量%、(C)が10〜40重量%、
好ましくは10〜30重量%である。
本発明の(A),(B),(C)の化合物の分子量は次
の様な測定方法による数平均分子量によっている。
※GPCによるバインダーの平均分子量測定 GPC(Gel Permetion Chromatography)とは試料中の
分子を移動相中のその大きさに基いて分離する方法で、
分子ふるいの役をする多孔質ゲルをカラムに充填し液体
クロマトグラフィーを行なう方法である。平均分子量を
算出する標準試料として分子量既知のポリスチレンを使
いその溶出時間から検量線を作成する。これよりポリス
チレン換算の平均分子量を計算する。
与えられた高分子量物質中に分子量Miである分子がNi個
あったとすると で表わせる。
本発明の(A)、(B)、(C)の化合物における不飽
和二重結合は1分子当り(A)は2以上、好ましくは5
以上、(B)は1以上、好ましくは5以上、(C)は1
以上、好ましくは3以上である。
本発明の放射線硬化性バインダー用組成物の特に好まし
い組合せとしては、(A)の化合物が一部ケン化した塩
化ビニール−酢酸ビニール共重合体、カルボン酸が導入
された塩化ビニール−酢酸ビニール共重合体、フェノキ
シ樹脂にポリイソシアネート化合物を反応させて得られ
たイソシアネート基を有する化合物に、イソシアネート
基との反応性を有する官能基をもつアクリル化合物ある
いはメタクリル化合部を反応させてなる化合物であり、
(B)の化合物がポリオールにイソシアネート化合物を
反応させて得られた、イソシアネート化合物又はポリオ
ール(ポリウレタンエラストマー)に、反応性を有する
官能基をもつアクリル化合物あるいはメタクリル化合物
を反応させてなる化合物であり、(C)は多官能(メ
タ)クリレートモノマー、オリゴエステルアクリレート
または(B)の低分子量化合物というものである。
本発明のバックコートの架橋に使用する活性エネルギー
線としては、放射線加速器を線源とした電子線、Co60を
線源としたα−線、Sr90を線源としたβ−線、X線発生
器を線源としたX線あるいは紫外線等が挙げられる。
特に照射線源としては吸収線量の制御、製造工程ライン
への導入、電離放射線の遮蔽等の見地から放射線加熱器
により放射線を使用する方法が有利である。
バックコート層を硬化する際に使用する放射線特性とし
ては、透過力の面から加速電圧100〜750KeV、好ましく
は150〜300KeVの放射線加速器を用い吸収線量を0.5〜20
メガラッドになるように照射するのが好都合である。
本発明のバック層放射線硬化に際しては、米国エナージ
ーサイエンス社にて製造されている低線量タイプの放射
線加速器(エレクトロカーテンシステム)等がテープコ
ーティング加工ラインへの導入、加速器内部の2次X線
の遮蔽等に極めて有利である。
勿論、従来より放射線加速材として広く活用されている
ところのファンデグラフ型加速器を使用してもよい。
また放射線架橋に際しては、N2ガス、Heガス等の不活性
ガス気流中で放射線をバックコート層に照射することが
重要であり、空気中で放射線を照射することは、バイン
ダー成分の架橋に際し放射線照射により生じたO3等の影
響でポリマー中に生じたラジカルが有利に架橋反応に働
くことを阻害するので極めて不利である。したがって、
活性エネルギー線を照射する部分の雰囲気は、特に酸素
濃度が最大で5%である、N2、He、CO2等の不活性ガス
雰囲気に保つことが重要となる。
磁気記録媒体において、磁気テープ等のディスク、リー
ル巻きのものにあっては、バックコート層は、電気抵抗
1010Ω/cm2以下で且つヤング率E′が200〜1500kg/m
m2、その表面粗度がリール巻きのものではカットオフ0.
17mmでR20.0,20μm以下であることが必要である。
E′(ヤング率)は導電性充填剤、無機充填剤、バック
コート用樹脂により種々に変えることができ、表面粗度
は導電性充填剤、無機充填剤の粒径及び分散方法により
変えることができる。なお、分散方法は分散剤、分散
機、分散時間により変えることができる。
E′(ヤング率)が200Kg/mm2以下では破断強度の点で
劣り、リール巻きのものでは耐久走行中バック面のケズ
レが発生し、1500Kg/mm2以上では固すぎて、磁性面を削
ってしまうため好ましくない。ディスクタイプのもので
も、塗布後、工程走行し、巻取り、組込みに際し上記の
ものはケズレが出、好ましくない。またリール巻きのも
のはバックコート層の表面粗度がカットオフ0.17mmでR2
0,0.20μm以上であると、電磁変換特性が低下し、シン
チング現象、バックコート面の削れ、粘着性が生じ、ド
ロップアウトも大となる。
本発明の磁気記録層には従来、磁気記録媒体用に利用さ
れている熱可塑性、熱硬化性又は反応型樹脂やこれらの
混合物が使用されるが、得られる塗膜強度の点から硬化
型、特に放射線硬化型の樹脂が好ましい。
熱可塑性樹脂としては軟化温度が150℃以下、平均分子
量が10,000〜200,000、重合度が200〜2,000程度のもの
で、例えば塩化ビニール−酢酸ビニール共重合体(カル
ボン酸導入のものも含む)、酸化ビニル−酢酸ビニル−
ビニルアルコール共重合体(カルボン酸導入のものも含
む)、塩化ビニール−塩化ビニリデン共重合体、塩化ビ
ニール−アクリロニトリル共重合体、アクリル酸エステ
ル−アクリロニトリル共重合体、アクリル酸エステル−
塩化ビニリデン共重合体、アクリル酸エステル−スチレ
ン共重合体、メタクリル酸エステル−アクリロニトリル
共重合体、メタクリル酸エステル−塩化ビニリデン共重
合体、メタクリル酸エステル−スチレン共重合体、ウレ
タンエラストマー、ナイロン−シリコン系樹脂、ニトロ
セルロース−ポリアミド樹脂、ポリフッ化ビニル、塩化
ビニリデン−アクリロニトリル共重合体、ブタジエン−
アクリロニトリル共重合体、ポリアミド樹脂、ポリビニ
ールブチラール、セルロース誘導体(セルロースアセテ
ート、セルロースダイアセテート、セルローストリアセ
テート、セルロースプロピオネート、ニトロセルロース
等)、スチレン−ブタジエン共重合体、ポリエステル樹
脂、クロロビニルエーテルアクリル酸エステル共重合
体、アミノ樹脂、各種の合成ゴム系の熱可塑性樹脂及び
これらの混合物が使用される。
熱硬化性樹脂又は反応型樹脂としては、塗布液の状態で
は200,000以下の分子量であり、塗布、乾燥後に加熱す
ることにより、縮合、付加等の反応により分子量は無限
大のものとなる。又、これらの樹脂のなかで、樹脂が熱
分解するまでの間に軟化又は溶融しないものが好まし
い。具体的には例えばフェノール樹脂、エポキシ樹脂、
ポリウレタン硬化型樹脂、尿素樹脂、メラミン樹脂、ア
ルキッド樹脂、シリコン樹脂、アクリル系反応樹脂、エ
ポキシ−ポリアミド樹脂、ニトロセルロースメラミン樹
脂、高分子量ポリエステル樹脂とイソシアネートプレポ
リマーの混合物、メタクリル酸塩共重合体とジイソシア
ネートとプレポリマーの混合物、ポリエステルポリオー
ルとポリイソシアネートの混合物、尿素ホルムアルデヒ
ド樹脂、低分子量グリコール/分子量ジオール/トリフ
ェニルメタントリイソシアネートの混合物、ポリアミ
ン、樹脂、及びこれらの混合物である。
而して特に好ましいものは、繊維素樹脂(硝化綿等)、
塩化ビニル−酢酸ビニル−ビニルアルコール共重合体、
ウレタンの組合せからなる熱硬化性樹脂(硬化剤使
用)、或いは塩化ビニル−酢酸ビニル−ビニルアルコー
ル共重合体(カルボン酸導入のものも含む)、又はアク
リル変性塩化ビニル−酢酸ビニル−ビニルアルコール共
重合体(カルボン酸導入のものも含む)及びウレタンア
クリレートからなる放射線硬化系樹脂からなるものであ
り、放射線硬化系樹脂については前記の好ましい組合せ
の外に、ラジカル重合性を有する不飽和二重結合を示す
アクリル酸、メタクリル酸、あるいはそれらのエステル
化合物のようなアクリル系二重結合、ジアリルフタレー
トのようなアリル系二重結合、マレイン酸、マレイン酸
誘導体等の不飽和結合等の、放射線照射による架橋ある
いは重合乾燥する基を熱可塑性樹脂の分子中に含有また
は導入した樹脂等を用いることができる。その他、使用
可能なバインダー成分としては、単量体としてアクリル
酸、メタクリル酸、アクリルアミド等がある。二重結合
のあるバインダーとしては、種々のポリエステル、ポリ
オール、ポリウレタン等をアクリル二重結合を有する化
合物で変性することもできる。更に必要に応じて多価ア
ルコールと多価カルボン酸を配合することによって種々
の分子量のものもできる。放射線感応樹脂として上記の
ものはその一部であり、これらは混合して用いることも
できる。さらに好ましいのは(A)放射線により硬化性
をもつ不飽和二重結合を2個以上有する、分子量5,000
〜100,000のプラスチック状化合物、(B)放射線によ
り硬化性をもつ不飽和二重結合を1個以上有するか、又
は放射線硬化性を有しない、分子量3,000〜100,000のゴ
ム状化合物、および(C)放射線により硬化性をもつ不
飽和二重結合を1個以上有する、分子量200〜3,000の化
合物を、(A)20〜70重量%、(B)20〜80重量%、
(C)10〜40重量%の割合で用いた組合せである。
上記(A)、(B)、(C)の化合物のオリゴマー、ポ
リマーの分子量はバックコート層の項で述べた測定方法
による数平均分子量によっている。
放射線硬化型樹脂を用いた場合、硬化時間が短かく、巻
き取り後のバックコート表面の充填剤等の磁性層への転
移がないので、好適である。一方、熱硬化性樹脂の場
合、硬化時の巻きしまりによるバックコート綿の裏型転
移のため、熱硬化中のジャンボロールの内側、外側での
電磁変換特性の差が問題となる。
なお、熱硬化系樹脂に使用される硬化剤としては通常用
いられるものは全て用い得るが、特にイソシアネート系
硬化剤が好ましく、それらの例としては大日本インキ化
学工業株式会社製のクリスポン4565、4560、日本ポリウ
レタン工業株式会社製のコロネートL及び武田薬品工業
株式会社製のタケネートXL−1007を挙げることができ
る。
又、本発明の磁気記録層及びバックコート層には通常用
いられる無機顔料、潤滑剤、その他分散剤、帯電防止剤
等を常法に従って用いることができる。
無機顔料としては先に述べたようなものが用いられる。
潤滑剤としては従来この種バックコート層に用いられる
潤滑剤としてシリコンオイル、弗素オイル、脂肪酸、脂
肪酸エステル、パラフィン、流動パラフィン、界面活性
剤等を用いることができるが、脂肪酸および/又は脂肪
酸エステルを用いるのが好ましい。
脂肪酸としてはカプリル酸、カプリン酸、ラウリン酸、
ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、ベヘン
酸、オレイン酸、エライジン酸、リノール酸、リノレン
酸、ステアロール酸等の炭酸数12以上の脂肪酸(RCOO
H、Rは炭素数11以上のアルキル基)であり、脂肪酸エ
ステルとしては、炭酸数12〜16個の一塩基性脂肪酸と炭
酸数3〜12個の一価のアルコールからなる脂肪酸エステ
ル類、炭酸数17個以上の一塩基性脂肪酸と該脂肪酸の炭
酸数と合計して炭素数が21〜23個より成る一価のアルコ
ールとから成る脂肪酸エステル等が使用され、又前記脂
肪酸のアルカリ金属又はアルカリ土類金属からなる金属
石鹸、レシチン等が使用される。
シリコーンとしては脂肪酸変性よりなるもの、一部フッ
粗変性されているものが使用される。アルコールとして
は高級アルコールよりなるもの、フッ素としては電解置
換、テロメリゼーション、オリゴメリゼーション等によ
って得られるものが使用される。
潤滑剤の中では放射線硬化型のものも使用して好都合で
ある。これらは強磁性薄膜への裏型転写を抑えるため、
ドロップアウトの防止、ロール状に巻かれたときの内外
径の個所による出力差の減少の他、オンライン上での製
造が可能である等の利点を持つ。
放射線硬化型潤滑剤としては、滑性を示す分子鎖とアク
リル系二重結合とを分子中に有する化合物、例えばアク
リル酸エステル、メタクリル酸エステル、ビニル酢酸エ
ステル、アクリル酸アミド系化合物、ビニルアルコール
エステル、メチルビニルアルコールエステル、アリルア
ルコールエステル、グリセライド等があり、これらの潤
滑剤を構造式で表すと、 CH2=CHCOOR、 CH2=CH−CH2COOR、 CH2=CHCONHCH2OCOR、 RCOOCH2−CH=CH2等で、ここでRは直鎖又は分枝状の飽
和もしくは不飽和炭化水素基で、炭素数は7以上、好ま
しくは12以上23以下であり、これらは弗素置換体とする
こともできる。弗素置換体としては CnF2n+1−、CnF2n+1(CH2)m−(但し、m=1〜
5)、 CnF2n+1CH2CH2NHCH2CH2−、 等がある。
これら放射線硬化型潤滑剤の好ましい具体例としては、
ステアリン酸メタクリレート(アクリレート)、ステア
リルアルコールのメタクリレート(アクリレート)、グ
リセリンのメタクリレート(アクリレート)、グリコー
ルのメタクリレート(アクリレート)、シリコーンのメ
タクリレート(アクリレート)等が挙げられる。
潤滑剤の入っていないバックコート層は摩擦係数が高い
ため画像のゆらぎが生じ、ジッターが発生し易いと共
に、特に高温走行下で摩擦係数が高いため磁気記録層の
削れが発生し易く、巻きみだれを生じ易いものである。
分散剤としては有機チタンカップリング剤、シランカッ
プリング剤や界面活性剤が、使用される。
帯電防止剤としてはカーボンブラックなどの導電性微粉
末;サポニンなどの天然界面活性剤;アルキレンオキサ
イド系、グリセリン系、グリシドール系などのノニオン
界面活性剤;高級アルキルアミン類、第4級アンモニウ
ム塩類、ピリジンその他の複素環類、ホスホニウム又は
スルホニウム類などのカチオン界面活性剤;カルボン
酸、スルホン酸、硫酸エステル基、燐酸エステル基等の
酸性基を含むアニオン界面活性剤;アミノ酸類、アミノ
スルホン酸類、アミノアルコールの硫酸または燐酸エス
テル類等の両性活性剤などが使用される。
又、バリウムフェライト磁性粉末と有機バインダーとの
混合割合はバリウム/バインダー=1/1〜9/1、好ましく
は2/1〜8/1である。
その他の添加剤の量については0.1〜20重量部といった
常法に従って行なうことができる。
なお、本発明の磁気記録層及びバックコート層の厚みは
それぞれ0.1〜10μmの範囲が一般的である。
磁気記録層及びバックコート層の塗布に使用される溶媒
は、例えばアセトン、メチルエチルケトン、メチルイソ
ブチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン系;メタノ
ール、エタノール、プロパノール、ブタノール等のアル
コール系;酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチル、乳酸
エチル、酢酸グリコールモノエチルエーテル等のエステ
ル系;エーテル、グリコールジメチルエーテル、グリコ
ールモノエチルエーテル、ジオキサン等のグリコールエ
ーテル系;ベンゼン、トルエン、キシレン等のタール系
(芳香族炭化水素);メチレンクロライド、エチレンク
ロライド、四塩化炭素、クロロホルム、エチレンクロル
ヒドリン、ジクロルベンゼン等の塩素化炭化水素、その
他テトラヒドロフラン、ジメチルホルムアミド等が使用
される。
又、本発明に使用される非磁性基材としては、ポリエチ
レンテレフタレート等のポリエステル類、ポリプロピレ
ン等のポリオレフィン類、セルローストリアセテート等
のセルロース誘導体、ポリイミド、ポリカーボネート、
ポリサルホン、ポリエチレンナフタレート、芳香族アラ
ミド、芳香族ポリエステル、アルミニウム、ガラス等が
使用されるが、これらに限定されるものではない。中で
も特にポリエステル、ポリイミド等が好ましい。
本発明の磁気記録媒体は通常の方法で製造され得る。例
えば磁性粉、バインダー、その他の添加剤の混合分散液
を非磁性基材上に塗布し、乾燥させながら垂直配向磁場
で磁性粒子を非磁性基材面に垂直に配向させる。その後
直ちにバインダーを硬化又は架橋せしめ、所望の磁気記
録媒体を得る。なお磁気記録層には、磁性層の下にアン
ダーコート層を設けることもできる。
また必要に応じトップコート層も設けることもできる。
配向方法としては永久磁石、直流磁場、交流磁場が代表
的なものとして用いられ、それらのものの各種組合せ等
も、例えば垂直と水平の組合せ、永久磁石又は直流磁場
と交流磁場の組合せ、機械的配向や機械的配向と上記の
組合せ等種々のものが用いられる。
そして磁場外で磁性粒子が反磁場のために配向したもの
が、乱れ、配向性の低下を生じないよう、磁場内で乾燥
させ、反磁場が働いてもそれらの影響が出ないよう、磁
場内である程度、乾燥させ、磁性粉が動かないようにす
る必要がある。
実施例 実施例にて本発明をさらに詳細に説明するが、本発明は
これらに限定されるものでないことは言うまでもない。
磁性層1(放射線硬化型磁性層) 重量部 バリウムフェライト(径0.1μ、厚み0.01μ、Hc800Oe) 120部 α−Al2O3粉末(0.5μ粉状) 2部 溶剤(MEK/トルエン50/50) 100部 上記組成物をボールミル中にて3時間混合し、六方晶系
板状バリウムフェライトを良く湿潤させる。次に 塩ビ−酢ビ−ビニルアルコール共重合体(マレイン酸含
有)分子量40,000 6部(固形分換算) アクリル二重結合導入塩酢ビ共重合体(マレイン酸含
有)分子量20,000 12部(固形型分換算) アクリル二重結合導入ポリエーテルウレタンエラストマ
ー分子量40,000 9部(固型分換算) ペンタエリスリトールトリアクレート 3部 溶剤(MEK/トルエン50/50) 200部 ステアリン酸 4部 ステアリン酸ブチル 2部 のバインダーの混合物を良く混合溶解させる。これを先
の磁性粉処理を行なったボールミル中に投入し再び42時
間混合分散させる。
この様にして得られた磁性塗料を33μのポリエステルフ
ィルム上に塗布し、永久磁石(3000ガウス)上で乾燥さ
せながら垂直配向させ、その後赤外線ランプ又は熱風に
より溶剤を乾燥させた後、表面平滑化処理後、ESI社製
エレクトロカーテンタイプ電子線加速装置を使用して、
加速電圧KeV、電極電流20mA、全照射量5Mradの条件下で
N2雰囲気下にて電子線を照射し、塗膜を硬化させた。
磁性層1において六方晶系板状バリウムフェライトの板
状比を変えると第1図のように垂直配向度が変化する。
板状比6未満のものは垂直配向度が悪く、6以上になる
と板状比が大となるため垂直配向し易い。
また第1表に示すように粒径0.1μm以下のものが電特
上好ましいが、実用に耐え得る範囲では粒径0.2μm迄
のものが使用できる。
磁性層2(熱硬化型磁性層) 重量部 バリウムフェライト磁性粉(径0.1μ、厚み0.015μ、Hc
1000Oe) 120部 α−Al2O3粉末(0.5μ粉状) 2部 分散剤(大豆油精製レシチン) 3部 溶剤(MEK/トルエン50/50) 100部 上記組成物をボールミル中にて3時間混合し、六方晶径
板状バリウムフェライトを分散剤により良く湿潤させ
る。次に 塩化ビニル酢酸ビニル共重合体(ユニオンカーバイト社
製VAGH) 15部 熱可塑性ウレタン樹脂(日本ポリウレタン社製ニッポラ
ン3022) 15部 溶剤(MEK/トルエン50/50 200部 潤滑剤(高級脂肪酸変性シリコンオイル) 3部 の混合物を良く混合溶解させる。
これを先の磁性粉処理を行なったボールミル中に投入
し、再び42時間分散させる。分散後、磁性塗料中のバイ
ンダーの水酸基を主体とした官能基と反応し架橋結合し
得るイソシアネート化合物(バイエル社製デモスジュー
ルL)を5部(固形分換算)、上記ボールミル仕込塗料
に20分で混合を行なった。
磁性塗料を33μのポリエステルフィルム上に塗布し、交
流磁場(3000ガウス)上で乾燥させながら垂直配向さ
せ、赤外線ランプまたは熱風により溶剤を乾燥させた
後、表面平滑化処理後、80℃に保持したオーブン中にロ
ールを48時間保持し、イソシアネートによる架橋反応を
促進させた。
(2)バックコート層の形成 比較バックコート層(熱硬化型) 重量部 カーボンブラック30mμ 50 硬化剤コロネートL 20 潤滑剤ステアリン酸変性シリコーン 4 ステアリン酸ブチル 2 硝化綿 40 塩化ビニル−酢酸ビニル−ビニルアルコール共重合体
(積水化学製、エスレックA) 30 ポリウレタンエラストマー(B.Fグッドリッチ社製、エ
ステン5703) 30 混合溶剤(MIBK/トルエン) 250 の音号物を良く混合溶解させる。
この塗料をポリエステルフィルム上に塗布し、赤外線ラ
ンプまたは熱風により溶剤を乾燥させた後、表面平滑化
処理後、80℃に保持したオーブン中にロールを48時間保
持し、イソシアネートによる架橋反応を促進させた。
バックコート層1 重量部 グラファイト化カーボンブラック#400B30mμ 50 (A)アクリル変性塩ビ−酢ビ−ビニルアルコール共重
合体 分子量45,000 50 (B)アクリル変性ポリウレタンエラストマー分子量
20,000 50 ステアリン酸 2 ステアリン酸ブチル 2 混合溶剤(MIBK/トルエン=1/1) 300 上記混合物をボールミル中5時間分散させ、磁性面が形
成されているポリエステルフィルムの裏面に乾燥厚1μ
になるように塗布し、エレクトロカーテンタイプ電子線
加速装置を用いて加速電圧150KeV、電極電流10mA、吸収
線量5Mrad、N2ガス中で電子線をバックコート層に照射
した。
バックコート層2 重量部 カーボンブラック20mμ 50 アクリル変性塩化ビニル−酢酸ビニル−ビニルアルコー
ル共重合体(分子量3万) 40 アクリル変性ポリウレタンエラストマー分子量20,00040 多官能アクリレート分子量1,000 20 ステアリン酸 4 ステアリン酸ブチル 2 混合溶剤(MIBK/トルエン) 250 これらをバックコート層1と同様に処理製造した。
バックコート層3 重量部 CaCO380mμ 25 カーボンブラック30mμ 25 アクリル変性塩ビ−酢ビ−ビニルアルコール共重合体分
子量30,000 30 アクリル変性ポリウレタンエラストマー分子量50,00030 アクリル変性フェノキシ樹脂分子量35,000 20 多官能アクリル分子量500 20 ステアリン酸 4 溶剤(MEK/トルエン=1/1) 300 これらを上記と同様に処理、製造した。
これら各層の特性を第2表に示す。
上記磁性層1とバック層2とを組合せた磁気記録媒体に
ついて、バック層における、顔料のバインダーに対する
割合を変更し、そのE′(ヤング率)、電気抵抗、バッ
ク面粗度を調整し、それに伴う各特性の変化をみた結果
を第3表、第4表に示す。第3表は33μベースに塗布し
たものであり、第4表は11μベースに塗布し、8m/mデッ
キにて評価したものである。
第3表、第4表から、磁性層の電気抵抗1010Ω/cm2以上
であり、バック面が電気抵抗1010Ω/cm2以下、E′が20
0〜1500Kg/mm2、その表面粗度がカットオフ0.17mmでR2
0、0.20以下である範囲(No.3〜7)のものが全特性に
わたって良好なことが判る。
又、特にディスクタイプのものではバック層なしのもの
はカールが激しく使用出来なかったが、上記のバック層
有のものは、カールも少なく実用上問題がなかった。
次いで、上記の磁性層1、2と比較バック層、バック
層、1、2、3とを適当に組合せ、その形成順序を変え
て磁気記録媒体を製造した。ただし、この場合は各層の
形成ごとにカレンダー加工を実施した。各特性の測定結
果を第5表、第6表に示す。第5表は第33μベースに塗
布したもの、第6表は11μベースに塗布したものであ
る。表中、、は形成順序を示す。
第5表、第6表より次のことが判る。即ち、ドロップア
ウトは、磁性層、バック層のいずれか一方が放射線硬化
型の場合(A、B)は両層共に熱硬化型の場合(比較
例)よりも、裏型転写がないため良好となり、またその
ため出力も大きくなる。磁性面及びバックコート面が放
射線硬化の場合(C)には電磁変換特性等の点でさらに
すぐれている。表中のグループを比較例と比べると、巻
きしまりによる悪影響がなく、ロール状に巻いたテープ
の外側と内側での電磁変換特性の差が少なくなっている
ことが判る。この傾向はA、Bに対してCがすぐれてい
る点で同様である。さらにCのグループでは連続走行中
に硬化が行なわれるために巻きしまりによる影響が全く
ない。
上記のものは塗膜に脂肪酸が入っているため摩擦も下が
っており、高温走行下で画像ゆれのないすぐれたもので
ある。
次に上記の第5表におけるビデオテープの表面粗度につ
いて検討した。磁性層1とバク層2の組合せ、ベース厚
33μ、バリウムフェライト粒径0.08μm、板厚0.01μの
場合を例にとって磁性層表面粗度とC/N(dB)の関係を
第2図に示す。第2図はビデオテープを3.8m/secで駆動
し、中心周波数7MHz、RF信号で記録、再生した場合のS/
N比(相対値)を示す。これから判るように、磁性層の
表面粗度が0.08μm以下で、S/N比を高く保つことがで
きる。他の組合せの場合も全く同様であった。
上記のビデオテープについて、磁性層の表面粗度が0.08
μm以下で且つバックコート層の表面粗度が0.05〜0.6
μmの範囲にあるものについて、第3図に示す結果を得
た。
更に巻きしまりを測定したところ、40℃、80%RHでは全
て良好であった。
なお、上記の各特性の測定は次のようにして行なった。
1)工程走行 33μベースに塗布したものを工程中50本のガイドローラ
ーをテープスピード200m/分で走行させ、バック面のケ
ズレ、ジャンボロールの巻姿、ガイドロールでの付着、
ゴム付着を調べた。
2)電磁変換特性 ビデオフロッピー 中心周波数7MHz、RF信号で記録、再生した場合のC−S/
N比(相対値)を示す。回転数3600rpm、相対速度0.6m/s
ecとした。
8m/m 8m/mデッキで中心周波数5MHzで記録・再生した場合のC
−S/N比(相対値)を示す。相対速度3.8m/secである。
3)8m/mデッキ巻姿 8m/mデッキを用いて、テープ全長を早送りした後早戻し
を行ない、残り50mの所で停止し、更に早戻しを最後ま
で行なう。然る後、テープの巻き状態を目視により観察
した。テープ層間にすき間がなく巻き状態が良好な場合
を○とし、テープ層間にすき間が発生した場合を×とし
た。
4)8m/mバックコート面削れ 一般市販の8m/mデッキを用い、50回走行させた後カセッ
トケース内の汚れを観察した。○は汚れがない状態、×
は汚れがひどい状態を示す。
5)ヤング率 粘弾性スペクトロメーター(岩木製作所、東洋ボードウ
ィン、東洋精工社)での20℃での測定値による。
6)表面粗度 タリステップ(TAYLOR−HOBSON社製)を用いて得たチャ
ートから20点平均法で求めた。カットオフ0.17mm、針圧
0.1×2.5μを用いた。
発明の効果 本発明は、六方晶径板状バリウムフェライト磁性粉を含
む磁気記録層、バックコート層を有する磁気記録媒体に
おいて、バックコート層のバインダーが放射線硬化型樹
脂よりなり、その電気抵抗1010Ω/cm2以下とすることに
より、バリウムフェライト磁性粉により短波長記録特性
の良好さに加えて、ごみやほこりがつき難く、裏型転写
がなく、ドロップアウトが少なくなり、シンチング現
象、粘性もなくすぐれた磁気記録媒体が得られ、磁気デ
ィスクの場合はそりがなく、又磁気テープの場合は、更
にバックコート層のヤング率を200〜1500kg/mm2とし、
又バックコート層の表面粗度をカットオフ0.17mm,R20が
0.20μm以下にすることにより、バックコート面の耐久
性が増し、ケズレがなくなり、耐摩耗性が改善され、電
磁変換特性のすぐれた磁気テープが得られる。
又、垂直に配向した磁気記録媒体は面内配向記録媒体に
比べて、反磁場が起こりにくく、磁気記録媒体として好
適であるが、本発明のすぐれた磁気記録媒体はデジタル
オーディオテープ、フロッピーディスク、ビデオフロッ
ピーなどの高密度記録媒体に適したものである。
【図面の簡単な説明】
第1図はバリウムフェライトの板状比と垂直配向度との
関係を示すグラフであり、第2図は磁気記録媒体の磁性
層の表面粗度とC/Nの関係を示すグラフであり、第3図
はバック層表面粗度とC/Nの関係を示すグラフである。

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】非磁性基材の一方の面に粒径0.2μm以
    下、板状比6以上の六方晶系板状バリウムフェライト磁
    性粉を含む磁気記録層、他方の面にバックコート層を設
    けた磁気記録媒体において、磁気記録層が電気抵抗が10
    10Ω/cm2以上であり、バックコート層のバインダーが放
    射線硬化型樹脂よりなり、その電気抵抗が1010Ω/cm2
    下であることを特徴とする磁気記録媒体。
  2. 【請求項2】バック層がE′(ヤング率)200〜1500kg/
    mm2、その表面粗度がカットオフ0.17mmでR20,0.20μm
    以下である特許請求の範囲第1項記載の磁気記録媒体。
JP60053394A 1985-03-19 1985-03-19 磁気記録媒体 Expired - Lifetime JPH0731797B2 (ja)

Priority Applications (3)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP60053394A JPH0731797B2 (ja) 1985-03-19 1985-03-19 磁気記録媒体
US06/841,223 US4702959A (en) 1985-03-19 1986-03-19 Magnetic recording medium
DE3609261A DE3609261C2 (de) 1985-03-19 1986-03-19 Magnetisches Aufzeichnungsmedium

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP60053394A JPH0731797B2 (ja) 1985-03-19 1985-03-19 磁気記録媒体

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JPS61214129A JPS61214129A (ja) 1986-09-24
JPH0731797B2 true JPH0731797B2 (ja) 1995-04-10

Family

ID=12941604

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP60053394A Expired - Lifetime JPH0731797B2 (ja) 1985-03-19 1985-03-19 磁気記録媒体

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JPH0731797B2 (ja)

Family Cites Families (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPS58174184A (ja) * 1983-03-30 1983-10-13 Hitachi Ltd 密閉形冷媒圧縮機

Also Published As

Publication number Publication date
JPS61214129A (ja) 1986-09-24

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP2500934B2 (ja) 磁気記録媒体
JP3862898B2 (ja) 磁気記録媒体及び磁気記録媒体の製造方法
US4547419A (en) Magnetic recording medium
US4702959A (en) Magnetic recording medium
US4639389A (en) Magnetic recording medium
JPH0650563B2 (ja) 磁気記録媒体
JPH0731797B2 (ja) 磁気記録媒体
GB2130121A (en) Magnetic recording medium and method for producing the same
JPH0533447B2 (ja)
JPH0679375B2 (ja) 磁気記録媒体
JPH0731804B2 (ja) 磁気記録媒体
JPH07114013B2 (ja) 磁気記録媒体
JPS62121927A (ja) 磁気記録媒体
JPH0644341B2 (ja) 磁気記録媒体
JPS60163228A (ja) 磁気記録媒体
JPH0760507B2 (ja) 磁気記録媒体
JPH0762882B2 (ja) 磁気記録方法
JPH0762897B2 (ja) 磁気記録ディスク
JPH079694B2 (ja) 磁気記録媒体
JPS62125537A (ja) 磁気記録媒体の製造方法
JPH077498B2 (ja) 磁気記録媒体
JPH07109642B2 (ja) 磁気記録再生システム
JPH0760506B2 (ja) 磁気記録媒体
JPH0619828B2 (ja) 磁気記録媒体
JPS62256221A (ja) 磁気記録媒体