JPH07317860A - オートテンショナ - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 装置の大型化、重量増加、並びにコストアッ
プを招くことなく、油面の傾きによる圧力室内へのエア
ーの流入を防止できる構成とすることを目的とする。 【構成】 内部に一端が閉塞されたシリンダ孔１０ａを
形成するシリンダボディ１０と、シリンダ孔内を小間隙
を保ちながら軸方向にスライド可能に挿嵌され、内部に
作動油と空気とを封入したリザーバ室２０を形成し、更
にその先端に配設されたバルブによりリザーバ室を密封
可能とした出力ロッド１２と、出力ロッドを突出させる
方向に付勢するロッド付勢手段１５とを有し、シリンダ
孔の一端と出力ロッドとによりリザーバ室に連通孔を介
して連通する圧力室１９を区画し、出力ロッドが圧力室
の容積を増加させる方向に移動するときにバルブを開い
て連通孔を連通させる構成としたことを特徴とするオー
トテンショナ。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は、エンドレスの歯付きベ
ルトやチェーン等の巻き掛け伝導部材の張力を設定値に
保持するオートテンショナに関する。

【０００２】

【従来の技術】内燃機関に組み込まれたベルト伝動装置
においては、機関運転時の機関本体の熱膨張によるプー
リの心間距離の変化やトルク変動によってベルト（巻き
掛け伝動部材）のテンションが変化するため、普通、ベ
ルトに接触されたテンションローラに所定のテンション
を付与してベルトの張力を一定に保つようにするオート
テンショナが知られている。

【０００３】上記オートテンショナの従来技術として
は、例えば実公平３−１３６４７号公報に開示される技
術が知られている。図２は、この技術に開示されるオー
トテンショナの断面図である。同図において、オートテ
ンショナは、図中下部に閉塞端を有するシリンダボディ
１００の内側上部に、シリンダ孔１０１内に充填した作
動油及び空気の密封用オイルシール１０２が取り付けら
れ、このオイルシール１０２をスライド自在に貫通する
ロッド１０３の図中下端部には、シリンダ孔１０１の内
周面と小間隙を保ってスライド自在のピストン１０４が
接続され、このピストン１０４及びロッド１０３には、
ピストン１０４の図中下方に形成された圧力室１０５と
ピストン１０４の図中上方に設けられたリザーバ室１０
６とを連通させる通路１０７が形成され、ピストン１０
４には、圧力室１０５の圧力がリザーバ室１０６の圧力
より低くなったとき通路１０７を開放するチェックバル
ブ１０８が取り付けられ、リザーバ室１０６内にはロッ
ド１０３に突出性を付与するスプリング１０９を、圧力
室１０５内にはピストン１０４を図中上方へ付勢するリ
ターンスプリング１１０を組み込んだものである。又、
ロッド１０３の図中上端は、テンションローラ１１１が
回動自在に取り付けられ且つ回動軸１１２を中心に回動
自在に取り付けられた回動部材１１３の図中下面に当接
し、ベルト１１４を付勢している。

【０００４】

【発明が解決しようとする課題】オートテンショナにお
いては、圧力室内にエアーが介在している場合、エアー
が圧縮性を有していることから、カム等のトルク変動に
起因するベルトの張力変化にてエアーが圧縮、膨張を繰
り返してしまう。このため、装置が制振力を確保でき
ず、ベルトがばたつくことになって異音やベルトの寿命
低下に繋がる。

【０００５】上記構成の従来技術においては、シリンダ
ボディのシリンダ孔内にリザーバ室が形成される構成と
なっていて、リザーバ室内の作動油面をバルブ位置から
離れるように設定し、オートテンショナを傾斜した状態
で機関に組付けていたり、運搬時や取り付け作業時等の
油面が傾くときにもエアーが圧力室内に流入しないよう
にしなければならない。これを実現するために、シリン
ダボディの軸方向長さを大きく設定したり、リザーバ室
内にたくさんの作動油を封入したりして、オートテンシ
ョナの取り付け角度の制限を大きくすることができる
が、装置の大型化、重量増加、コストアップを招くこと
になる。

【０００６】これらの問題を解決するため、シリンダ孔
の内径を小さく設定して作動油を少し増加させるだけで
バルブから作動油面までの距離を大きくできる構成とす
ることが考えられるが、シリンダ孔内にはロッド及びリ
ターンスプリングが配設されているためにシリンダ孔の
内径を小さくするには限界があり設計の自由度が小さ
い。

【０００７】本発明は、装置の大型化、重量増加、並び
にコストアップを招くことなく、油面の傾きによる圧力
室内へのエアーの流入を防止できる構成とすることを技
術的課題とする。

【０００８】

【課題を解決するための手段】上記した技術的課題を解
決するため本発明において講じた技術的手段は、内部に
一端が閉塞されたシリンダ孔を形成するシリンダボディ
と、シリンダ孔内を小間隙を保ちながら軸方向にスライ
ド可能に挿嵌され、内部に作動油と空気とを封入したリ
ザーバ室を形成し、更にその先端に配設されたバルブに
よりリザーバ室を密封可能とした出力ロッドと、出力ロ
ッドを突出させる方向に付勢するロッド付勢手段とを有
し、シリンダ孔の一端と出力ロッドとによりリザーバ室
に連通孔を介して連通する圧力室を区画し、出力ロッド
が圧力室の容積を増加させる方向に移動するときにバル
ブを開いて連通孔を連通させる構成としたことである。

【０００９】

【作用】本発明においては、出力ロッドに巻き掛け伝動
部材からのテンションが掛かりこのテンションがロッド
付勢手段の付勢力に勝ると、圧力室内の作動油は小間隙
を通ってリザーバ室内に流入しながら出力ロッドが圧力
室内の容積を減少させる方向に移動される。このとき、
小間隙で絞りが形成されることとなるために、出力ロッ
ドは低速度で移動する。一方、巻き掛け伝動部材の張力
が減少すると、ロッド付勢手段の付勢力により出力ロッ
ドが圧力室内の容積が増加する方向に付勢され、これに
よって圧力室内の作動油圧が減少して、これとリザーバ
室内の作動油圧との圧力差が所定以上になるとバルブが
開き、リザーバ室の作動油が連通孔を通って絞られずれ
圧力室内に流入される。このとき出力ロッドは、リザー
バ室の作動油が絞られずれ圧力室内に流入されるために
すばやく移動され、巻き掛け伝動部材の張力減少に追従
することができ、常に一定のテンションを巻き掛け伝動
部材に付与することができる。

【００１０】

【実施例】本発明に係る一実施例を図面に基づいて説明
する。

【００１１】図１に示されるように、シリンダボディ１
０は、機関のハウジングに固定される固定部１４に圧入
されて、内部にはシリンダ孔１０ａが形成されていて、
このシリンダ孔１０ａ内に出力ロッド１２がシール部材
１１を介して液密的且つ軸方向にスライド自在に挿嵌さ
れている。

【００１２】出力ロッド１２は、シリンダ孔１０ａ内を
小間隙を有してスライドするようになっていて、小間隙
と内部に形成されるリザーバ室２０とが径方向孔１２ａ
によって連通させられている。

【００１３】出力ロッド１２の図中下端には、リザーバ
室２０と後述する圧力室１９とを絞りを形成することな
く連通させる連通孔１３ａが形成された弁座部材１３が
圧入されていて、連通孔１３ａの開口にスプリング１８
により常時付勢されたボール弁体１６が当接することに
より連通孔１３ａを遮断する構成であって、弁座部材１
３とボール弁体１６とによりバルブを構成している。
尚、スプリング１８のボール弁体１６と反対側の端部
は、弁座部材１３に圧入されたリテーナ１７により支持
されている。

【００１４】出力ロッド１２の図中上端には、その一端
が回動中心２２を中心に回動自在に取り付けられ他端に
巻き掛け伝動部材となるベルト２５に当接するテンショ
ンローラ２４が回動自在に取り付けられた回動部材２３
の図中下面に当接すると共に、リザーバ室２０を密封す
る突出部２１が圧入されている。尚、１５は、突出部２
１及びシリンダボディ１０に形成されたフランジ２１
ａ、１０ｂに両端を支持されたロッド付勢部材となる圧
縮コイルスプリングを示す。

【００１５】圧力室１９は、シリンダ孔１０ａとバルブ
と出力ロッド１２とにより区画されている。

【００１６】次に、本実施例の作動について説明する。

【００１７】出力ロッド１２にベルト２５からのテンシ
ョンが掛かり、このテンションが圧縮コイルスプリング
１５の付勢力に勝ると、圧力室１９内の作動油は小間隙
を通ってリザーバ室２０に流入しながら出力ロッド１２
が圧力室１９内の容積を減少させる方向（図中下方）に
移動される。このとき、小間隙で絞りが形成されること
となるために、出力ロッド１２は低速度で移動する。

【００１８】一方、ベルト２５の張力が減少すると、圧
縮コイルスプリング１５の付勢力により出力ロッド１２
が圧力室１９内の容積が増加する方向（図中上方）に付
勢されているため、圧力室１９内の作動油圧が減少し
て、これとリザーバ室内の作動油圧との圧力差がスプリ
ング１８の付勢力以上になるとボール弁体１６が弁座部
材１３の連通孔１３ａ開口から離れて、リザーバ室２０
の作動油が連通孔１３ａを通って絞られずれ圧力室１９
内に流入される。このとき出力ロッド１２は、リザーバ
室２０の作動油が絞られずれ圧力室１９内に流入される
ためにすばやく移動され、ベルト２５の張力減少に追従
することができ、常に一定のテンションを巻き掛け伝動
部材に付与することができる。

【００１９】本実施例においては、リザーバ室２０が出
力ロッド１２内に形成されているためにリザーバ室２０
の断面積を自由に小さく設定することができて、作動油
を少し増加させるだけでバルブから作動油面までの距離
を大きくすることができる。

【００２０】このように、シリンダボディ１０の軸方向
長さを大きくしたり、作動油をたくさん流入させずに圧
力室１９内へエアーが流入することを防止できる構成で
あって、オートテンショナの取り付け角度の制限の拡大
やシリンダボディの大きさ等の設計の自由度を向上でき
る。又、これによってシリンダボディ１０及び出力ロッ
ド１２の高さを小さく設定することができるようにな
り、装置を小型化できる。

【００２１】又、シリンダボディ１０から突出している
出力ロッド１２にリザーバ室２０が形成されているため
に、作動油面が高くでき、圧力室１９内へエアーが流入
することを防止できる。

【００２２】

【発明の効果】本実施例においては、リザーバ室が出力
ロッド内に形成されているためにリザーバ室の断面積を
自由に小さく設定することができて、作動油を少し増加
させるだけでバルブから作動油面までの距離を大きくす
ることができる。このように、シリンダボディの軸方向
長さを大きくしたり、作動油をたくさん流入させずに圧
力室内へエアーが流入することを防止できる構成であっ
て、オートテンショナの取り付け角度の制限の拡大やシ
リンダボディの大きさ等の設計の自由度を向上できる。
又、これによってシリンダボディ及び出力ロッドの高さ
を小さく設定することができるようになり、装置を小型
化できる。又、本発明においては、シリンダボディから
突出した出力ロッドにリザーバ室が形成されているため
に、作動油面が高く、圧力室内へのエアー流入の抑制効
果も大きい。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明に係るオートテンショナの断面図を示
す。

【図２】従来のオートテンショナの断面図を示す。

【符号の説明】

１０・・・シリンダボディ １０ａ・・・シリンダ孔 １２・・・出力シリンダ １３・・・弁座部材 １３ａ・・・連通孔 １５・・・圧縮コイルスプリング（ロッド付勢手段） １６・・・ボール弁体 １９・・・圧力室 ２０・・・リザーバ室 ２４・・・テンションローラ ２５・・・ベルト（巻き掛け伝動部材）

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 内部に一端が閉塞されたシリンダ孔を形
   成するシリンダボディと、前記シリンダ孔内を小間隙を
   保ちながら軸方向にスライド可能に挿嵌され、内部に作
   動油と空気とを封入したリザーバ室を形成し、更にその
   先端に配設されたバルブにより前記リザーバ室を密封可
   能とした出力ロッドと、前記出力ロッドを突出させる方
   向に付勢するロッド付勢手段とを有し、前記シリンダ孔
   の一端と前記出力ロッドとにより前記リザーバ室に連通
   孔を介して連通する圧力室を区画し、前記出力ロッドが
   前記圧力室の容積を増加させる方向に移動するときに前
   記バルブを開いて前記連通孔を連通させる構成としたこ
   とを特徴とするオートテンショナ。