JPH07316832A - 打抜性に優れる絶縁被膜を有する電磁鋼板の製造方法 - Google Patents

打抜性に優れる絶縁被膜を有する電磁鋼板の製造方法

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JPH07316832A
JPH07316832A JP11232694A JP11232694A JPH07316832A JP H07316832 A JPH07316832 A JP H07316832A JP 11232694 A JP11232694 A JP 11232694A JP 11232694 A JP11232694 A JP 11232694A JP H07316832 A JPH07316832 A JP H07316832A
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resin
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water
electromagnetic steel
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Katsuro Yamaguchi
口 勝 郎 山
Yuka Komori
森 ゆ か 小
Hideo Kobayashi
林 秀 夫 小
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Kawasaki Steel Corp
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Abstract

(57)【要約】 【目的】打抜性、耐熱性に優れた絶縁被膜を有する電磁
鋼板を安価に提供する。 【構成】表面に電気絶縁性の被膜を有する電磁鋼板の製
造方法であって、少なくとも1種類の2価金属を含むク
ロム酸塩系水溶液と、ないしは2価または3価金属を含
むリン酸塩系水溶液と、有機還元剤、ないしは促進剤と
を含有する処理液を電磁鋼板表面に塗布し、引続いて水
溶性樹脂または水分散した樹脂を塗布した後に、該塗布
された被膜を焼付け処理することを特徴とする打抜性に
優れる絶縁被膜を有する電磁鋼板の製造方法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、打抜性に優れた絶縁被
膜を有する電磁鋼板を製造する方法に関するものであ
る。
【0002】
【従来の技術】モーター、発電機および変圧器などの電
気機器用鉄心は、電磁鋼板の表面に、まず渦電流を防止
する電気絶縁被膜を形成したのち、所定の形状に打抜
き、ついでそれらを多数枚積層してその端面を溶接した
り、あるいはカシメ法によって固定して組立てられる。
このようにモーターなどの鉄心として利用される電磁鋼
板は、必ず所定の形状に打抜かれるので、打抜加工性が
優れることが強く要求される。
【0003】この電磁鋼板の打抜性は、その表面に被覆
した絶縁被膜の性状に大きく左右され、特に有機樹脂を
利用した被膜は、打抜性が大きく向上することが知られ
ている。たとえば、リン酸塩やクロム酸塩などの無機質
被膜を形成した電磁鋼板の打抜性は、金型一研磨当たり
約10万回程度の打抜回数であるのに対し、リン酸塩又
はクロム酸塩と有機樹脂との複合被膜の場合は150万
回以上の格段に優れた打抜性が得られる。このように現
在では有機樹脂の潤滑作用を利用した絶縁被膜の製造技
術が主流となっている。その製造方法はリン酸塩、クロ
ム酸塩あるいはリン酸塩とクロム酸塩の水溶液に樹脂エ
マルジョンを混合した処理液を電磁鋼板の表面に塗布焼
付けして、無機と有機樹脂からなる複合被膜を形成する
方法が大いに利用されている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上述し
た有機樹脂を含有する絶縁被膜は耐熱性に難点があり、
加熱処理によって絶縁性、密着性および耐食性が低下す
るという問題がある。すなわち、鉄心用の電磁鋼板は、
鉄心としての成形加工時または成形加工後に発生する加
工歪みを除去して磁気特性を向上させるために、歪取焼
鈍が施される場合が多い。この歪取焼鈍は通常700〜
800℃の温度で加熱されるので、絶縁被膜中の有機樹
脂が熱分解し、その一部はガス化する。このために、絶
縁被膜がポーラスになり絶縁性、密着性および耐食性が
大きく低下する。特に高温多湿の環境下では耐食性の低
下によって早期に発錆する問題が生じるので現在でも耐
食性を重視する鉄心用には純無機質被膜が多く利用され
ている。
【0005】上述した打抜性と耐熱性が二律背反すると
いう問題を解決する手段として、例えば特公昭49−6
743号公報に開示されている技術は、クロム酸系、リ
ン酸系またはクロム酸−リン酸系の処理液を塗布、焼付
した絶縁被膜に有機リン酸エステル含有の高級カルボン
酸を主体とする潤滑性を有する組成物を塗布し、打抜性
を改善するとともに耐熱性も高い電磁鋼板を提供するも
のである。この方法では、上層の有機樹脂組成物は常温
で下層被膜の表面に塗布されるだけで焼付け処理は行わ
れない。そのため鋼板との付着力が弱く、この絶縁被膜
が施された電磁鋼板をスリット加工あるいは打抜加工す
る際、テンションパット等での鋼板の締付けによって、
上層に塗布された有機樹脂が容易に除去され、テンショ
ンパットに堆積すると言った問題があった。また特公昭
62−22241号公報に開示されている技術は、電磁
鋼板の表面にリン酸塩系の処理液を塗布、焼付した後に
更にその上に水溶性有機樹脂または水エマルジョン樹脂
を塗布、焼付した二層コートの絶縁被膜を形成する方法
に関するものであるが、この方法は上層の有機被膜も焼
付処理を行なうため、下層被膜との付着力は改善され、
上述したような問題はおこらない。しかし、下層被膜と
上層被膜はそれぞれ別々に2回の塗布、焼付が必要で、
工業的には製造工程が煩雑で、製造コストも高くなる。
又、リン酸塩系の下層被膜はガラス質の平滑な構造を有
しているため上層の有機被膜とのなじみ性が弱く、打抜
作業においてその剪断部分で上層の有機被膜が剥離しや
すいと言った問題があった。
【0006】従って、本発明の目的は上述した問題を解
決し、打抜性に優れ、歪取焼鈍等の加熱処理においても
公知の純無機質被膜同様に耐食性が低下することのな
い、絶縁被膜を有する電磁鋼板を安価に製造する方法を
提供するものである。
【0007】すなわち本発明は、表面に電気絶縁性の被
膜を有する電磁鋼板の製造方法であって、少なくとも1
種類の2価金属を含むクロム酸塩系水溶液と、有機還元
剤とを含有する処理液を電磁鋼板表面に塗布し、引続い
て水溶性樹脂または水分散した樹脂を塗布した後に、該
塗布された被膜を焼付け処理する打抜性に優れる絶縁被
膜を有する電磁鋼板の製造方法。
【0008】表面に電気絶縁性の被膜を有する電磁鋼板
の製造方法であって、少なくとも1種類の2価または3
価金属を含むリン酸塩系水溶液と、促進剤とを含有する
処理液を電磁鋼板表面に塗布し、引続いて水溶性樹脂ま
たは水分散した樹脂を塗布した後に、該塗布された被膜
を焼付け処理する打抜性に優れる絶縁被膜を有する電磁
鋼板の製造方法。
【0009】前記水溶性樹脂または水分散した樹脂が微
分熱重量測定において試料を一定の昇温速度で加熱した
際の重量変化量が極大を示すピーク温度が400℃以上
である打抜性に優れる絶縁被膜を有する電磁鋼板の製造
方法。
【0010】前記水溶性樹脂または水分散した樹脂が少
なくとも架橋構造を形成しうる熱硬化性樹脂を含むもの
である打抜性に優れる絶縁被膜を有する電磁鋼板の製造
方法。
【0011】
【作用】本発明の特徴は、リン酸塩及び/又はクロム酸
塩系処理液を電磁鋼板の表面に塗布したのちに、水溶性
樹脂あるいは水エマルジョン性樹脂をその上に塗布し焼
付けすることにより、下層には無機質リッチの被膜を、
上層には有機質リッチの2層構造からなる被膜を1回の
焼付工程で製造することにある。
【0012】本発明で用いるリン酸塩及び/又はクロム
酸塩系処理液とは従来の無機系被膜の処理液に相当し、
リン酸塩系処理液としては、例えばマグネシウム、カル
シウム、アルミニウム、亜鉛のリン酸塩又はリン酸にマ
グネシウム、カルシウム、アルミニウム、亜鉛などの2
価又は3価の酸化物、水酸化物、炭酸塩を溶解した1種
又は2種以上の混合物であって、それらに耐熱性を向上
させるために硼酸、コロイド状シリカ、コロイド状アル
ミナなどの1種又は2種以上を添加し、更には被膜形成
促進剤として硝酸アルミや非イオン性の界面活性剤を配
合したものである。
【0013】クロム酸塩系処理液としてはマグネシウ
ム、カルシウム、亜鉛の重クロム酸塩又はクロム酸にマ
グネシウム、カルシウム、亜鉛などの2価の酸化物、水
酸化物、炭酸塩を溶解したものの1種又は2種以上の混
合物であって、更には6価クロムの還元剤として、エチ
レングリコール、グリセリン、ショ糖などの多価アルコ
ールと耐熱性向上剤として硼酸、コロイド状シリカ、コ
ロイド状アルミナなどの1種又は2種以上を添加したも
のである。
【0014】尚、本発明は無機質被膜で処理した電磁鋼
板の打抜性を向上させるのが第1の目的であるが、上記
した無機系処理液に水エマルジョン樹脂を配合したいわ
ゆる半有機系処理液を用いることも可能である。上述し
た配合の処理液を電磁鋼板の表面に均一に塗布する塗布
方法は特に限定されないが、ロールコーター法、エアー
ナイフ法、浸漬法、リンガーロール法、エアスプレー法
等、従来公知の種々の方法が用いられる。
【0015】本発明方法では、電磁鋼板表面に上述の処
理液を塗布した後、すぐに、または熱風で水分を蒸発乾
燥した後、引続いてその上に、以下で説明する水溶性樹
脂または水分散した樹脂を塗布する。
【0016】本発明で用いる水溶性樹脂または水分散し
た樹脂は、微分熱重量測定において試料を一定の昇温速
度で加熱する際の重量変化量の極大ピーク温度が400
℃以上、好ましくは410℃以上である樹脂に限定され
る。即ち、樹脂を塗布した後の焼付け処理する際の温度
に耐える樹脂でなければならない。前記極大ピーク温度
が400℃未満では焼付処理する際に、表層の樹脂被膜
の熱分解がおこり、本発明の目的とする打抜性の向上効
果が損なわれる。
【0017】ここで微分熱重量測定(DTG)における
重量変化量の極大ピーク温度は、試料を不活性雰囲気中
で一定の昇温速度、例えば毎分20℃の割合で加熱し、
温度に対する試料の重量減少量を測定し、重量変化量d
G/dt(ただしGは試料の重量、tは時間)が極大を
示す温度を極大ピーク温度という。物質の熱化学的挙動
の測定法としては、熱重量測定(TG)、微分熱重量測
定(DTG)、示差熱分析(DTA)等があるが、本発
明に用いる樹脂は、この極大ピーク温度をパラメーター
とすることによって熱化学的性能の評価が可能である。
この極大ピーク温度の測定は、市販の示差熱熱重量同時
測定装置、例えば(株)第二精工舎製モデルSSC/5
60GHを使用し、試料約10mgをとり、30℃より
毎分20℃の昇温速度で550℃まで昇温させ、得られ
るDTGのグラフから極大ピーク温度を決定することが
できる。
【0018】このような樹脂は、いかなるものであって
もよいが、架橋構造を形成しうる熱硬化性樹脂を含有す
るものが好ましい。このような樹脂は、均質な一層で微
粒子を構成してもよいが複層構造をとって微粒子を構成
してもよい。複層構造は、少なくとも、一層を構成する
樹脂が、微分熱重量測定において、一定の昇温速度で加
熱する際の重量変化量の極大ピーク温度が400℃以上
であればよい。
【0019】樹脂の熱分解性をコントロールするのには
微粒子内部に架橋構造を生成させればよい。したがっ
て、熱硬化性樹脂を利用すればよいが、熱可塑性樹脂で
あっても前記の条件を満足するものであれば使用でき
る。
【0020】また、本発明は、クロム酸塩またはリン酸
塩とエマルジョン樹脂との混合被膜を同時に形成せず、
別々に2層とするので、用いる有機樹脂が特別に耐クロ
ム酸性またはリン酸性を有しなくてもよい。
【0021】本発明に利用できる架橋構造を形成する熱
硬化性樹脂としてフェノール樹脂(フェノール・ホルム
アルデヒド樹脂、キシレノール・ホルムアルデヒド樹
脂、クレゾール・ホルムアルデヒド樹脂、レゾルシン・
ホルムアルデヒド樹脂等)、エポキシ樹脂(ビスフェノ
ール型エポキシ樹脂、脂環式エポキシ樹脂、ノボラック
型エポキシ樹脂、脂肪族エポキシ樹脂、エポキシ化ウレ
タン樹脂等)、フルフラール樹脂、ウレタン樹脂、不飽
和ポリエステル樹脂、アミノ樹脂、ポリイミド樹脂、ポ
リアミドイミド樹脂等が該当するが、これらの樹脂以外
でも架橋構造を有するものが利用できる。
【0022】水溶性樹脂または水分散した樹脂の塗布方
法は、はけ、ロール等の塗布手段が鋼板表面に接触しな
い非接触の状態で塗布する。好ましくは、高圧スプレー
で噴霧しながら所定量を塗布する。処理液が2層に塗布
された鋼板は引続き乾燥炉の中で、板温が250〜40
0℃の温度範囲内で焼付処理が施され、絶縁被膜が形成
される。
【0023】このように本発明法では、1回の焼付工程
によって、2層構造の絶縁被膜が形成されるわけである
が被膜の付着量は蛍光X線分析装置を用い、そのX線強
度から下層被膜と上層被膜の付着量を測定する。下層の
無機質被膜の付着量は、焼付焼鈍後の量で、0.3g/
2 よりも少ないと歪取焼鈍後の層間抵抗や耐食性が満
足されず、一方6g/m2 よりも多いと被膜の密着性が
劣化するので0.3〜6g/m2 とするのが望ましい。
【0024】一方、上層の有機質被膜の付着量は、焼付
焼鈍後の量で、0.02g/m2 より少ないと打抜性の
向上効果が弱く、1.8g/m2 以上では溶接性が悪く
なるので0.02〜1g/m2 程度とするのが好まし
い。上記範囲の付着量は処理液の濃度を制御することに
より達成され、例えば、リン酸塩及び/又はクロム酸塩
系の無機質被膜を0.3〜6g/m2 の範囲に制御する
ためには処理液の比重を変えて塗布すればよく、又有機
被膜は水で希釈し濃度を変えて塗布する。又、この有機
被膜は鋼板の片面のみに処理しても、それなりに打抜性
は向上する。なお本発明において、素材である電磁鋼板
の組成はとくに限定されるものではなく、従来公知のも
のいずれもが適合する。
【0025】
【実施例】次に本発明を実施例を用いて具体的に説明す
るが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0026】(実施例1)板厚0.5mmのSi0.1
0%含有の電磁鋼板の表面に、乾燥付着量0.8g/m
2 を目標に下記組成の処理液Aの水溶液を溝付ロールで
均一に塗布した後、引続きこの上に乾燥付着量が0.0
5g/m2 、0.5g/m2 、1.0g/m2 のそれぞ
れを目標に下記組成の処理液Bを乾燥付着量に応じた濃
度としてスプレーで噴霧量を調整して塗布し、400℃
の乾燥炉で60秒間焼付けした。比較例1として処理液
Aのみを塗布し同様に焼付けした。得られた被膜の特性
を以下の方法で測定し、結果を表1に示す。 処理液A 30%第1リン酸マグネシウム 100重量部 無水クロム酸 10重量部 硼酸 1重量部 20%コロイダルシリカ 6重量部 硝酸アルミニウム 5重量部
【0027】処理液B 処理液Bは、下記の原料と製造方法で製造した。攪拌
機、還流コンデンサー、滴下ロートおよび温度計を取り
つけた1.5Lの反応容器に下記の原料を仕込み溶解し
た。 脱イオン水 3240部 エマルゲン031(花王(株)ノニオン乳化剤) 10.0部 ネオゲンR(第一工業製薬(株)アニオン乳化剤) 4.0部 次いで、第1段目の乳化重合として下記の混合物を滴下
ロートに入れた。 ビスフェノールA型エポキシ樹脂 100部 アクリル酸ブチル 200部 メタクリル酸メチル 100部 アクリル酸 8.0部 窒素ガスを流入しつつ、撹拌下に、反応装置内の温度を
60℃に昇温し、脱イオン水に溶解した2%濃度の過硫
酸カリウム水溶液を40部添加し、次いで滴下ロートに
入れたエポキシ樹脂とアクリル酸ブチル、メタクリル酸
メチルおよびアクリル酸の単量体の混合物の20%を加
えた。重合熱による温度上昇をウォーターバスにより制
御し、内温を80℃に保ちつつ、続いてエポキシ樹脂・
単量体混合物の残りと2%過硫酸カリウム水溶液80部
を2時間かけて滴下し、重合した。さらに80℃で2時
間保持した後、室温まで冷却して200メッシュ濾布で
濾過し、取り出して種粒子となる乳化重合体を得た。こ
のものは不揮発分濃度50.3wt%、pH2.8であ
った。同様な1.5Lの反応装置に上記で得た乳化重合
体452部および水125部を仕込んだ。次に第2段目
の乳化重合として、下記のエチレン性不飽和単量体を調
整し滴下ロートに入れた。 アクリル酸エチル 60部 メタクリル酸メチル 30部 ジメチルアミノエチルメタクリレート 2.0部 アクリル酸 1.0部 窒素ガスを流入しつつ、撹拌しながら反応装置内温を7
0℃に昇温し、別の滴下ロートに準備した2%過硫酸カ
リウム水溶液60部および上記単量体混合液を滴下して
重合した。これらの滴下は内温を70℃に保ちつつ2時
間で行なった。さらに、同温度で2時間保持後、室温ま
で冷却して200メッシュ濾布で濾過し、本発明に用い
る重合体エマルジョンを得た。得られた重合体エマルジ
ョンの樹脂固型分は48wt%であった。また熱分解ピ
ーク温度は423℃であった。
【0028】 1)電気絶縁性:JIS C2550第2法によって、電
気抵抗値を測定した。 2)密着性:10mmφの180度屈曲後、セロテープに
転写した被膜の剥離程度を下記基準で評価した。 ◎ 被膜は全く剥離しないもの ○ わずかに被膜が剥離したもの △ かなり被膜が剥離したもの × 著しく被膜が剥離したもの 3)耐食性:塩水噴霧試験で点錆が発生するまでの時間を
測定した。 4)打抜性:15mmφスチールダイスにより、かえり高
さが50μmになるまでの打抜回数を測定した。なお、
クリアランス5%、打抜油は出光ニューパンチングオイ
ルを使用した。
【0029】表1の結果から、処理液Aにさらに処理液
Bを用いることにより電磁鋼板の打抜性は著しく改善さ
れ、処理液Bの付着量の増加によってさらに向上する。
また、電気絶縁性、耐食性も同様に向上することがわか
る。
【0030】(実施例2)板厚0.5mmのSi3.0
%を含有する珪素鋼板の表面に乾燥付着量が2.5g/
2 目標になるように下記組成の処理液Cの水溶液を溝
付ロールで均一に塗布した後、引続きこの上に乾燥付着
量が0.8g/m2 目標に下記組成の処理液Dをスプレ
ーで噴霧して塗布し、350℃の乾燥炉で40秒間焼付
けした。比較例2として、前述のごとく処理液Cを塗布
した後にアクリル−酢酸ビニルエマルジョン樹脂を配合
した下記の処理液Eをスプレーで噴霧して塗布して35
0℃、40分焼付けした。得られた被膜の特性とその
後、750℃で2時間乾燥N2 中で焼鈍した時の被膜特
性を測定した。結果を表2に示す。 処理液C 30%重クロム酸マグネシウム 130重量部 無水クロム酸 16重量部 エチレングリコール 10重量部 硼酸 10重量部 処理液D レゾール型フェノール樹脂の水溶液(熱分解ピーク温度
416℃) 処理液E アクリル−酢酸ビニル(熱分解ピーク温度360℃)水
エマルジョン樹脂(固型分50%)の処理液
【0031】表2の結果から、実施例2の打抜性試験は
打抜油を使用しなかったが、極めて良好な打抜性を示
し、打抜油を使用した比較例2と同等の特性である。ま
た、熱分解ピーク温度が360℃のエマルジョン樹脂を
塗布した比較例2の被膜は焼付過程で被膜の樹脂成分が
分解し、打抜油なしでは良好な打抜性は得られず、更に
歪取焼鈍を施すと表層の樹脂被膜の損傷が激しく、電気
絶縁性、密着性、耐食性が劣化した。
【0032】
【0033】
【発明の効果】本発明方法では1回の焼付工程で、2層
構造の絶縁被膜が形成され、下層には歪取焼鈍の加熱に
耐える無機質被膜を形成し、上層には潤滑性に優れた有
機質被膜が形成されるので、打抜性は格段に向上し、打
抜作業の際に使用する潤滑油を用いなくても従来技術に
みられるクロム酸塩とエマルジョン樹脂の混合被膜と同
等の特性が得られる。また、上層の有機質被膜が打抜加
工後の歪取焼鈍によって分解する場合でも、下層の無機
質被膜は700〜800℃の歪取焼鈍温度でも分解する
ことはなく、電気絶縁性、耐食性、密着性などの被膜特
性は従来公知の無機質被膜と同等の性能を維持できる。
すなわち、本発明方法は、無機質被膜と有機質被膜の長
所を併せ持った絶縁被膜を有する電磁鋼板を安価な方法
で製造することができる。

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】表面に電気絶縁性の被膜を有する電磁鋼板
    の製造方法であって、少なくとも1種類の2価金属を含
    むクロム酸塩系水溶液と、有機還元剤とを含有する処理
    液を電磁鋼板表面に塗布し、引続いて水溶性樹脂または
    水分散した樹脂を塗布した後に、該塗布された被膜を焼
    付け処理することを特徴とする打抜性に優れる絶縁被膜
    を有する電磁鋼板の製造方法。
  2. 【請求項2】表面に電気絶縁性の被膜を有する電磁鋼板
    の製造方法であって、少なくとも1種類の2価または3
    価金属を含むリン酸塩系水溶液と、促進剤とを含有する
    処理液を電磁鋼板表面に塗布し、引続いて水溶性樹脂ま
    たは水分散した樹脂を塗布した後に、該塗布された被膜
    を焼付け処理することを特徴とする打抜性に優れる絶縁
    被膜を有する電磁鋼板の製造方法。
  3. 【請求項3】前記水溶性樹脂または水分散した樹脂が微
    分熱重量測定において試料を一定の昇温速度で加熱した
    際の重量変化量が極大を示すピーク温度が400℃以上
    である請求項1または2に記載の打抜性に優れる絶縁被
    膜を有する電磁鋼板の製造方法。
  4. 【請求項4】前記水溶性樹脂または水分散した樹脂が少
    なくとも架橋構造を形成しうる熱硬化性樹脂を含むもの
    である請求項1ないし3のいずれかに記載の打抜性に優
    れる絶縁被膜を有する電磁鋼板の製造方法。
JP11232694A 1994-05-26 1994-05-26 打抜性に優れる絶縁被膜を有する電磁鋼板の製造方法 Withdrawn JPH07316832A (ja)

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