JPH07316584A - 高度不飽和脂肪酸の精製方法 - Google Patents
高度不飽和脂肪酸の精製方法Info
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- JPH07316584A JPH07316584A JP13645294A JP13645294A JPH07316584A JP H07316584 A JPH07316584 A JP H07316584A JP 13645294 A JP13645294 A JP 13645294A JP 13645294 A JP13645294 A JP 13645294A JP H07316584 A JPH07316584 A JP H07316584A
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Abstract
(57)【要約】
【構成】天然由来の高度不飽和脂肪酸をメタノールに溶
解させ、さらにアルカンを添加することにより該アルカ
ンとメタノールとから構成される2層を形成させ、2層
間における分配を利用して高度不飽和脂肪酸をアルカン
層に濃縮し、次いで該濃縮高度不飽和脂肪酸と吸着剤と
を混合して精製することを特徴とする高度不飽和脂肪酸
の精製方法、並びにこの精製方法により精製された高度
不飽和脂肪酸。 【効果】本発明の方法によれば、天然由来の高度不飽和
脂肪酸を、短時間で簡易かつ容易にしかも極めて安全に
濃縮精製することができる。また、こうして得られる精
製高度不飽和脂肪酸は、医薬品または機能性食品の優れ
た素材となる。
解させ、さらにアルカンを添加することにより該アルカ
ンとメタノールとから構成される2層を形成させ、2層
間における分配を利用して高度不飽和脂肪酸をアルカン
層に濃縮し、次いで該濃縮高度不飽和脂肪酸と吸着剤と
を混合して精製することを特徴とする高度不飽和脂肪酸
の精製方法、並びにこの精製方法により精製された高度
不飽和脂肪酸。 【効果】本発明の方法によれば、天然由来の高度不飽和
脂肪酸を、短時間で簡易かつ容易にしかも極めて安全に
濃縮精製することができる。また、こうして得られる精
製高度不飽和脂肪酸は、医薬品または機能性食品の優れ
た素材となる。
Description
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は天然由来の高度不飽和脂
肪酸を精製する簡易な方法、及び該方法により得られる
精製高度不飽和脂肪酸に関する。
肪酸を精製する簡易な方法、及び該方法により得られる
精製高度不飽和脂肪酸に関する。
【0002】
【従来の技術・発明が解決しようとする課題】高度不飽
和脂肪酸は、様々な生理活性を持つことが知られてい
る。例えば、ドコサヘキサエン酸(以下、DHAと略記
することがある)は、記憶、学習能の改善、視力低下抑
制、抗腫瘍作用、免疫抑制作用等の薬理効果があるとし
て最近注目を集めている。また、エイコサペンタエン酸
(以下、EPAと略記することがある)は、血栓溶解作
用、抗動脈硬化作用、血圧降下作用等の薬理作用を持
つ。これらの高度不飽和脂肪酸は医薬品として用いられ
ることが期待される重要な脂肪酸である。
和脂肪酸は、様々な生理活性を持つことが知られてい
る。例えば、ドコサヘキサエン酸(以下、DHAと略記
することがある)は、記憶、学習能の改善、視力低下抑
制、抗腫瘍作用、免疫抑制作用等の薬理効果があるとし
て最近注目を集めている。また、エイコサペンタエン酸
(以下、EPAと略記することがある)は、血栓溶解作
用、抗動脈硬化作用、血圧降下作用等の薬理作用を持
つ。これらの高度不飽和脂肪酸は医薬品として用いられ
ることが期待される重要な脂肪酸である。
【0003】現在、これらの高度不飽和脂肪酸は化学合
成が困難であるため、主として魚油又は海洋微細藻類か
ら供給される。魚油由来のDHAは魚臭が強く品質が悪
いのに対し、海洋微細藻類由来のDHAは魚臭がほとん
どなく、食品添加物などとして用いるには特に良質なD
HAである。しかし、海洋微細藻類の生産性が高くない
ため、高密度培養法とともに効率のよい精製法が要望さ
れている。
成が困難であるため、主として魚油又は海洋微細藻類か
ら供給される。魚油由来のDHAは魚臭が強く品質が悪
いのに対し、海洋微細藻類由来のDHAは魚臭がほとん
どなく、食品添加物などとして用いるには特に良質なD
HAである。しかし、海洋微細藻類の生産性が高くない
ため、高密度培養法とともに効率のよい精製法が要望さ
れている。
【0004】従来、高度不飽和脂肪酸を魚油や海洋微細
藻類から分離精製するには、尿素付加法、分子蒸留法、
溶剤分別法、クロマトグラフィー法(例えば、特開平4
−95048号公報)、銀塩との錯体形成による抽出法
(特開平4−103558号公報、特開平4−1593
98号公報)等が知られているが、これらの方法を工業
的に採用するには種々の欠点がある。即ち、尿素付加法
は、得られる高度不飽和脂肪酸の純度が低く、分子蒸留
法は重合や異性化が生じ変性し易い。また、溶剤分別法
はクロロホルム等のハロゲン化炭化水素を使用するため
得られるDHA等が食品や医薬の原料として不適当とな
る。さらに、クロマトグラフィー法は時間と費用がかか
り非効率的である。銀塩を用いる方法は、一部回収でき
るにせよ銀化合物が高価であること及び食品・医薬品原
料への金属の混入を避けたいことから工業的に用いるこ
とは難しい。これらの欠点を解決すべく、本出願人は、
有機溶媒相互間に形成される2層への分配を利用し、工
業的に効率よく、短時間で容易に高度不飽和脂肪酸を得
る方法を発明した(特願平6−45251号)。しかし
該発明のみでは、上記の欠点は解決できたものの、非目
的物や色素などの夾雑物を完全には除去できないという
側面を伴っていた。
藻類から分離精製するには、尿素付加法、分子蒸留法、
溶剤分別法、クロマトグラフィー法(例えば、特開平4
−95048号公報)、銀塩との錯体形成による抽出法
(特開平4−103558号公報、特開平4−1593
98号公報)等が知られているが、これらの方法を工業
的に採用するには種々の欠点がある。即ち、尿素付加法
は、得られる高度不飽和脂肪酸の純度が低く、分子蒸留
法は重合や異性化が生じ変性し易い。また、溶剤分別法
はクロロホルム等のハロゲン化炭化水素を使用するため
得られるDHA等が食品や医薬の原料として不適当とな
る。さらに、クロマトグラフィー法は時間と費用がかか
り非効率的である。銀塩を用いる方法は、一部回収でき
るにせよ銀化合物が高価であること及び食品・医薬品原
料への金属の混入を避けたいことから工業的に用いるこ
とは難しい。これらの欠点を解決すべく、本出願人は、
有機溶媒相互間に形成される2層への分配を利用し、工
業的に効率よく、短時間で容易に高度不飽和脂肪酸を得
る方法を発明した(特願平6−45251号)。しかし
該発明のみでは、上記の欠点は解決できたものの、非目
的物や色素などの夾雑物を完全には除去できないという
側面を伴っていた。
【0005】本発明の目的は、天然由来の高度不飽和脂
肪酸を、有機溶媒相互間に形成される2層への分配、及
びそれに続く非目的物や色素などの夾雑物の活性炭、ク
レイ及びシリカゲルを含有する吸着剤による除去により
簡易かつ安全に濃縮精製する方法を提供することにあ
る。本発明の他の目的は、こうして得られた精製高度不
飽和脂肪酸又は当該誘導体を、医薬品または機能性食品
の素材として提供することである。
肪酸を、有機溶媒相互間に形成される2層への分配、及
びそれに続く非目的物や色素などの夾雑物の活性炭、ク
レイ及びシリカゲルを含有する吸着剤による除去により
簡易かつ安全に濃縮精製する方法を提供することにあ
る。本発明の他の目的は、こうして得られた精製高度不
飽和脂肪酸又は当該誘導体を、医薬品または機能性食品
の素材として提供することである。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、天然由来
の高度不飽和脂肪酸を精製する工業的に有利な方法を開
発するため鋭意研究を進めたところ、有機溶媒相互間で
2層を形成するn−ヘプタンとメタノールを用い、より
極性の小さなn−ヘプタンと極性の大きなメタノールと
の間で高度不飽和脂肪酸の分配が可能となることを見い
だした(特願平6−45251号)。即ち、高度不飽和
脂肪酸はメタノールよりもn−ヘプタンにより多く溶解
するため、n−ヘプタンとメタノールの混合溶液で高度
不飽和脂肪酸を抽出した後静置すると2層を形成し、高
度不飽和脂肪酸はn−ヘプタンにより多く分配する。こ
の分配の差を利用して高度不飽和脂肪酸を簡易かつ容易
に精製することができることを発見した。
の高度不飽和脂肪酸を精製する工業的に有利な方法を開
発するため鋭意研究を進めたところ、有機溶媒相互間で
2層を形成するn−ヘプタンとメタノールを用い、より
極性の小さなn−ヘプタンと極性の大きなメタノールと
の間で高度不飽和脂肪酸の分配が可能となることを見い
だした(特願平6−45251号)。即ち、高度不飽和
脂肪酸はメタノールよりもn−ヘプタンにより多く溶解
するため、n−ヘプタンとメタノールの混合溶液で高度
不飽和脂肪酸を抽出した後静置すると2層を形成し、高
度不飽和脂肪酸はn−ヘプタンにより多く分配する。こ
の分配の差を利用して高度不飽和脂肪酸を簡易かつ容易
に精製することができることを発見した。
【0007】さらに、本出願人は、前記の精製方法のみ
では非目的物や色素などの夾雑物を完全には除去できな
いという側面を解決すべく研究を進めたところ、活性
炭、クレイ及びシリカゲルを含有する吸着剤が効果的に
夾雑物を吸着することを見いだした。即ち、有機溶媒相
互間の分配の差を利用して得た粗精製高度不飽和脂肪酸
に、活性炭、クレイ及びシリカゲルを含有する吸着剤を
添加し攪拌する。夾雑物の吸着が完了したのち、遠心分
離又は濾過で不溶物を除去し、精製高度不飽和脂肪酸を
得る。このように非目的物や色素などの夾雑物を吸着に
よって除去することにより、高度不飽和脂肪酸を大量処
理においてより効率よく精製でき、かつ得られたものが
産業的に利用価値の高い無色無臭のものであることを発
見し、さらに研究を進めて本発明を完成するに至った。
では非目的物や色素などの夾雑物を完全には除去できな
いという側面を解決すべく研究を進めたところ、活性
炭、クレイ及びシリカゲルを含有する吸着剤が効果的に
夾雑物を吸着することを見いだした。即ち、有機溶媒相
互間の分配の差を利用して得た粗精製高度不飽和脂肪酸
に、活性炭、クレイ及びシリカゲルを含有する吸着剤を
添加し攪拌する。夾雑物の吸着が完了したのち、遠心分
離又は濾過で不溶物を除去し、精製高度不飽和脂肪酸を
得る。このように非目的物や色素などの夾雑物を吸着に
よって除去することにより、高度不飽和脂肪酸を大量処
理においてより効率よく精製でき、かつ得られたものが
産業的に利用価値の高い無色無臭のものであることを発
見し、さらに研究を進めて本発明を完成するに至った。
【0008】すなわち、本発明の要旨は、(1) 天然
由来の高度不飽和脂肪酸をメタノールに溶解させ、さら
に炭素原子数6〜8のアルカンを添加することにより該
アルカンとメタノールとから構成される2層を形成さ
せ、2層間における分配を利用して高度不飽和脂肪酸を
アルカン層に濃縮し、次いで該濃縮高度不飽和脂肪酸と
吸着剤とを混合して精製することを特徴とする高度不飽
和脂肪酸の精製方法、(2) 前記(1)記載の精製方
法により精製された高度不飽和脂肪酸、に関する。
由来の高度不飽和脂肪酸をメタノールに溶解させ、さら
に炭素原子数6〜8のアルカンを添加することにより該
アルカンとメタノールとから構成される2層を形成さ
せ、2層間における分配を利用して高度不飽和脂肪酸を
アルカン層に濃縮し、次いで該濃縮高度不飽和脂肪酸と
吸着剤とを混合して精製することを特徴とする高度不飽
和脂肪酸の精製方法、(2) 前記(1)記載の精製方
法により精製された高度不飽和脂肪酸、に関する。
【0009】本発明における高度不飽和脂肪酸とは、特
に限定されるものではないが、通常不飽和結合4〜6個
を有する炭素原子数18〜22の脂肪酸を意味する。具
体的には、不飽和結合6個を有し炭素原子数22のドコ
サヘキサエン酸(DHA)、不飽和結合5個を有し炭素
原子数20のエイコサペンタエン酸(EPA)、不飽和
結合4個を有し炭素原子数18のcis−6,9,1
2,15−オクタデカテトラエン酸(以下、C18:4と略
記することがある。)等が挙げられる。
に限定されるものではないが、通常不飽和結合4〜6個
を有する炭素原子数18〜22の脂肪酸を意味する。具
体的には、不飽和結合6個を有し炭素原子数22のドコ
サヘキサエン酸(DHA)、不飽和結合5個を有し炭素
原子数20のエイコサペンタエン酸(EPA)、不飽和
結合4個を有し炭素原子数18のcis−6,9,1
2,15−オクタデカテトラエン酸(以下、C18:4と略
記することがある。)等が挙げられる。
【0010】本発明で対象とされる、前記のような高度
不飽和脂肪酸は、天然由来のものである。ここで天然由
来とは特に限定されるものではないが、例えば微生物や
魚油等に由来するものである。ここでいう微生物とはこ
れらの高度不飽和脂肪酸の産生能を有するものであれば
特に限定されるものではないが、海洋微細藻類、海洋微
生物等が挙げられる。例えば、本発明者らの一人がDH
A生産性海洋微細藻類として発見したハプト藻に属する
イソクリシス・ガルバナ(Isochrysis ga
lbana)、ツノケイ藻に属するカエトセロス・グラ
シリス(Chaetoceros gracili
s)、カエトセロス・カルシトランス(Chaetoc
eros calcitrans)、クリプト藻に属す
るクリプトモナス属菌(Cryptomonas s
p.)、その他パブロバ属菌(Pavlova lut
heri)およびクリコスファエラ属菌(Cricos
phaera carterae)などを適当な条件下
で培養して得られる藻体や菌体中に含まれるものが挙げ
られる。また、エイコサペンタエン酸生産菌として知ら
れる海洋微生物、例えばシュードモナス属菌、アルテロ
モナス属菌、シーワネラ属菌等の培養菌体中に含まれる
もの(特開平4−103558号公報)等が挙げられ
る。
不飽和脂肪酸は、天然由来のものである。ここで天然由
来とは特に限定されるものではないが、例えば微生物や
魚油等に由来するものである。ここでいう微生物とはこ
れらの高度不飽和脂肪酸の産生能を有するものであれば
特に限定されるものではないが、海洋微細藻類、海洋微
生物等が挙げられる。例えば、本発明者らの一人がDH
A生産性海洋微細藻類として発見したハプト藻に属する
イソクリシス・ガルバナ(Isochrysis ga
lbana)、ツノケイ藻に属するカエトセロス・グラ
シリス(Chaetoceros gracili
s)、カエトセロス・カルシトランス(Chaetoc
eros calcitrans)、クリプト藻に属す
るクリプトモナス属菌(Cryptomonas s
p.)、その他パブロバ属菌(Pavlova lut
heri)およびクリコスファエラ属菌(Cricos
phaera carterae)などを適当な条件下
で培養して得られる藻体や菌体中に含まれるものが挙げ
られる。また、エイコサペンタエン酸生産菌として知ら
れる海洋微生物、例えばシュードモナス属菌、アルテロ
モナス属菌、シーワネラ属菌等の培養菌体中に含まれる
もの(特開平4−103558号公報)等が挙げられ
る。
【0011】また、ここでいう魚油とは上述の高度不飽
和脂肪酸を含有するものであれば特に限定されるもので
はないが、マグロ、ブリ、サバ、カツオ、イワシ等の魚
油が挙げられる。上記の魚の眼窩脂肪中には上述の高度
不飽和脂肪酸が大量に存在するため、当該眼窩脂肪由来
の魚油を用いるのが好ましい。
和脂肪酸を含有するものであれば特に限定されるもので
はないが、マグロ、ブリ、サバ、カツオ、イワシ等の魚
油が挙げられる。上記の魚の眼窩脂肪中には上述の高度
不飽和脂肪酸が大量に存在するため、当該眼窩脂肪由来
の魚油を用いるのが好ましい。
【0012】上記の菌体(以下、藻体を含めて菌体とい
う)中に含まれる高度不飽和脂肪酸は通常脂質の構成成
分として存在するので、まず菌体から脂質を抽出し、得
られた脂質をケン化して高度不飽和脂肪酸を遊離させた
後、本発明の精製方法に付するのが好ましい。菌体から
脂質を抽出するには、通常の方法によれば足り、特に限
定されるものではない。例えば、高度不飽和脂肪酸を含
む凍結乾燥菌体を適量のメタノール中に懸濁し、氷冷下
にNissei AM-77ホモジナイザーによりホモジナイズし、
必要があればこれを数回繰り返した後、得られる懸濁液
を合わせ、遠心分離(通常、約12000r.p.m.
×30分)により沈澱物を除き、脂質を含む上清画分を
取得する。
う)中に含まれる高度不飽和脂肪酸は通常脂質の構成成
分として存在するので、まず菌体から脂質を抽出し、得
られた脂質をケン化して高度不飽和脂肪酸を遊離させた
後、本発明の精製方法に付するのが好ましい。菌体から
脂質を抽出するには、通常の方法によれば足り、特に限
定されるものではない。例えば、高度不飽和脂肪酸を含
む凍結乾燥菌体を適量のメタノール中に懸濁し、氷冷下
にNissei AM-77ホモジナイザーによりホモジナイズし、
必要があればこれを数回繰り返した後、得られる懸濁液
を合わせ、遠心分離(通常、約12000r.p.m.
×30分)により沈澱物を除き、脂質を含む上清画分を
取得する。
【0013】魚油を用いる場合は、上述の魚の眼窩脂肪
を取り出し、適量のメタノール中に懸濁する。遠心分離
(通常、約12000r.p.m.×30分)により沈
澱物を除き、脂質を含む上清画分を取得する。
を取り出し、適量のメタノール中に懸濁する。遠心分離
(通常、約12000r.p.m.×30分)により沈
澱物を除き、脂質を含む上清画分を取得する。
【0014】脂質成分をケン化する方法も特に限定され
るものではなく、例えば次のように行うことができる。
上記のようにして得られた脂質を含む上清画分を例にと
れば、上清画分のメタノールを留去し、得られる残留物
を少量のn−ペンタンで数回洗浄し、高脂溶性物を除去
する。ここで、特開昭60−133094号公報では高
脂溶性物を除去する溶媒としてヘキサン:エーテル
(1:1、v/v)を用いているが、エーテル(ジエチ
ルエーテル)には過酸化物が混在していることが多く、
この過酸化物が目的とする高度不飽和脂肪酸を酸化させ
ることがあるため、高度不飽和脂肪酸を精製する過程に
おいて、上記溶媒の使用は適さない。
るものではなく、例えば次のように行うことができる。
上記のようにして得られた脂質を含む上清画分を例にと
れば、上清画分のメタノールを留去し、得られる残留物
を少量のn−ペンタンで数回洗浄し、高脂溶性物を除去
する。ここで、特開昭60−133094号公報では高
脂溶性物を除去する溶媒としてヘキサン:エーテル
(1:1、v/v)を用いているが、エーテル(ジエチ
ルエーテル)には過酸化物が混在していることが多く、
この過酸化物が目的とする高度不飽和脂肪酸を酸化させ
ることがあるため、高度不飽和脂肪酸を精製する過程に
おいて、上記溶媒の使用は適さない。
【0015】高脂溶性物を除去した残留物を少量のアセ
トンで数回抽出し、リン脂質を含む分離アセトン溶液を
まとめて濃縮乾固する。ただちにこれと適量のメタノー
ルを含む水酸化ナトリウム等のアルカリ水溶液とを混合
し、約80℃で約1時間窒素気流中で撹拌下、加温す
る。ケン化の終了後、塩酸を添加して酸性とする。
トンで数回抽出し、リン脂質を含む分離アセトン溶液を
まとめて濃縮乾固する。ただちにこれと適量のメタノー
ルを含む水酸化ナトリウム等のアルカリ水溶液とを混合
し、約80℃で約1時間窒素気流中で撹拌下、加温す
る。ケン化の終了後、塩酸を添加して酸性とする。
【0016】次に、本発明の骨子である高度不飽和脂肪
酸の精製方法について述べる。前記のようにしてケン化
して得られる高度不飽和脂肪酸を含むメタノール溶液に
アルカンを添加し、攪拌した後静置すると2層系が形成
される。1回の抽出操作におけるアルカンの添加量は、
メタノール溶液とするのに用いたメタノール量に対して
通常2〜8倍量である。この範囲より少ないと抽出の効
率が悪くなり、この範囲より多くても見合った効果は得
られない。抽出操作は常法のとおりで、振盪したのち静
置し、2層に分液させたのちアルカン層を取得する。メ
タノール層には、さらに新たなアルカンを添加し抽出操
作を繰り返す。抽出回数は特に限定されるものではない
が、通常3〜8回であり、メタノール層から高度不飽和
脂肪酸がほとんど検出できなくなった時点で終了する。
酸の精製方法について述べる。前記のようにしてケン化
して得られる高度不飽和脂肪酸を含むメタノール溶液に
アルカンを添加し、攪拌した後静置すると2層系が形成
される。1回の抽出操作におけるアルカンの添加量は、
メタノール溶液とするのに用いたメタノール量に対して
通常2〜8倍量である。この範囲より少ないと抽出の効
率が悪くなり、この範囲より多くても見合った効果は得
られない。抽出操作は常法のとおりで、振盪したのち静
置し、2層に分液させたのちアルカン層を取得する。メ
タノール層には、さらに新たなアルカンを添加し抽出操
作を繰り返す。抽出回数は特に限定されるものではない
が、通常3〜8回であり、メタノール層から高度不飽和
脂肪酸がほとんど検出できなくなった時点で終了する。
【0017】本発明に用いられる炭素原子数6〜8のア
ルカンとしては、メタノールと混合して2層を形成する
ものであれば何れでもよく、例えばn−ヘキサン、シク
ロヘキサン、n−ヘプタン、石油エーテル(留分50〜
80℃)およびn−オクタンからなる群より選択される
1種以上が挙げられる。これらは、アルカン過剰の割合
でメタノールと混合した場合に攪拌後静置すると2層を
形成し得る性質を有する。また、石油エーテル(留分5
0〜80℃)を用いてもよい。具体的には、上記のアル
カンをそれぞれ単独で使用してもよく、混合溶媒として
使用してもよい。混合溶媒としては、n−ヘキサンとn
−ヘプタンまたはn−オクタン、シクロヘキサンとn−
ヘプタンまたはn−オクタン、あるいはn−ヘプタンと
n−オクタンの混合溶媒等が挙げられる。用いる溶媒の
種類及び混合割合は、精製しようとする目的の高度不飽
和脂肪酸の種類や共存する不純物の性質に応じて、適宜
変更可能である。また、効果と経済性の観点から安価な
石油エーテルを用いて抽出回数を増やしてもよい。
ルカンとしては、メタノールと混合して2層を形成する
ものであれば何れでもよく、例えばn−ヘキサン、シク
ロヘキサン、n−ヘプタン、石油エーテル(留分50〜
80℃)およびn−オクタンからなる群より選択される
1種以上が挙げられる。これらは、アルカン過剰の割合
でメタノールと混合した場合に攪拌後静置すると2層を
形成し得る性質を有する。また、石油エーテル(留分5
0〜80℃)を用いてもよい。具体的には、上記のアル
カンをそれぞれ単独で使用してもよく、混合溶媒として
使用してもよい。混合溶媒としては、n−ヘキサンとn
−ヘプタンまたはn−オクタン、シクロヘキサンとn−
ヘプタンまたはn−オクタン、あるいはn−ヘプタンと
n−オクタンの混合溶媒等が挙げられる。用いる溶媒の
種類及び混合割合は、精製しようとする目的の高度不飽
和脂肪酸の種類や共存する不純物の性質に応じて、適宜
変更可能である。また、効果と経済性の観点から安価な
石油エーテルを用いて抽出回数を増やしてもよい。
【0018】収量の点からでは、n−ヘキサン=n−ヘ
プタン=n−オクタン>石油エーテルの順で効率がよ
い。抽出物の精製度からではn−ヘキサン=n−ヘプタ
ン=n−オクタン>石油エーテルの順である。したがっ
て、抽出の効率の点からでは、不純物の混入量によるが
一般にはn−ヘキサン=n−ヘプタン=n−オクタン>
石油エーテルの順となる。n−オクタンは上述のアルカ
ンにおいて、相対的に高価なため、実用上n−ヘキサン
=n−ヘプタン>石油エーテルの順となる。
プタン=n−オクタン>石油エーテルの順で効率がよ
い。抽出物の精製度からではn−ヘキサン=n−ヘプタ
ン=n−オクタン>石油エーテルの順である。したがっ
て、抽出の効率の点からでは、不純物の混入量によるが
一般にはn−ヘキサン=n−ヘプタン=n−オクタン>
石油エーテルの順となる。n−オクタンは上述のアルカ
ンにおいて、相対的に高価なため、実用上n−ヘキサン
=n−ヘプタン>石油エーテルの順となる。
【0019】上記のアルカンとメタノールとを混合攪拌
した後静置すると2層を形成する。上層は主としてアル
カン層であり、下層は主としてメタノール層であるが、
アルカンは一部メタノールに溶解し、メタノールは一部
アルカンに溶解するため、両層とも混合溶媒となる。従
って、高度不飽和脂肪酸の分配は、実際はこれらの混合
溶媒に対する溶解度の差により決定されることになる。
した後静置すると2層を形成する。上層は主としてアル
カン層であり、下層は主としてメタノール層であるが、
アルカンは一部メタノールに溶解し、メタノールは一部
アルカンに溶解するため、両層とも混合溶媒となる。従
って、高度不飽和脂肪酸の分配は、実際はこれらの混合
溶媒に対する溶解度の差により決定されることになる。
【0020】アルカンまたはメタノールに例えば鉱酸や
酢酸を添加して溶液を酸性として抽出を行うと一層効率
的な抽出を行うことができる場合がある。電離していた
高度不飽和脂肪酸が酸に戻り、アルカン/メタノールの
分配比が高くなるからである。鉱酸や酢酸の添加量は当
該溶液が酸性になればよく、特に限定されるものではな
い。
酢酸を添加して溶液を酸性として抽出を行うと一層効率
的な抽出を行うことができる場合がある。電離していた
高度不飽和脂肪酸が酸に戻り、アルカン/メタノールの
分配比が高くなるからである。鉱酸や酢酸の添加量は当
該溶液が酸性になればよく、特に限定されるものではな
い。
【0021】上記の本発明の精製方法によれば、従来用
いられてきた有害とされるクロロホルム、メチレンクロ
ライド等のハロゲン化炭化水素溶媒を使用する必要がな
いというメリットがある。
いられてきた有害とされるクロロホルム、メチレンクロ
ライド等のハロゲン化炭化水素溶媒を使用する必要がな
いというメリットがある。
【0022】得られた脂肪酸混合物に吸着剤を加え、夾
雑物を除去する方法も特に限定されるものではなく、例
えば次のようにして行うことができる。上記のようにし
て得られた、脂肪酸混合物を含む残留物をアルコールに
溶解させ、活性炭、クレイ及びシリカゲルを含む吸着剤
を添加し、攪拌する。添加する前に、あらかじめクレイ
及びシリカゲルは用いるアルコールで洗浄しておく。攪
拌を行う温度は特に限定されるものではないが、通常室
温で行えば充分である。撹拌時間は6〜48時間の範囲
が好ましく、8〜20時間の範囲がさらに好ましい。撹
拌終了後、遠心分離又は濾過により不溶物を除く。この
時、不溶物が除去できればよいのであって、遠心分離の
回転数及び回転時間は特に限定されない。上清を濃縮し
て無色無臭のオイルを得る。
雑物を除去する方法も特に限定されるものではなく、例
えば次のようにして行うことができる。上記のようにし
て得られた、脂肪酸混合物を含む残留物をアルコールに
溶解させ、活性炭、クレイ及びシリカゲルを含む吸着剤
を添加し、攪拌する。添加する前に、あらかじめクレイ
及びシリカゲルは用いるアルコールで洗浄しておく。攪
拌を行う温度は特に限定されるものではないが、通常室
温で行えば充分である。撹拌時間は6〜48時間の範囲
が好ましく、8〜20時間の範囲がさらに好ましい。撹
拌終了後、遠心分離又は濾過により不溶物を除く。この
時、不溶物が除去できればよいのであって、遠心分離の
回転数及び回転時間は特に限定されない。上清を濃縮し
て無色無臭のオイルを得る。
【0023】本発明において吸着剤として用いる物質に
ついても、高度不飽和脂肪酸中の夾雑物を選択的に吸着
するものであれば特に限定されるものではなく、活性
炭、クレイ、シリカゲル、珪藻土、アルミニウムオキサ
イド等が挙げられる。具体的には、上記物質を単独で用
いても効果は小さく、数種類の物質を混合して用いると
効果が発揮される。好ましい組み合わせとしては活性炭
・クレイ・シリカゲルといったものが挙げられ、活性炭
・クレイ・シリカゲルの重量比を2:1:1として用い
ると特に好ましい結果が得られる。
ついても、高度不飽和脂肪酸中の夾雑物を選択的に吸着
するものであれば特に限定されるものではなく、活性
炭、クレイ、シリカゲル、珪藻土、アルミニウムオキサ
イド等が挙げられる。具体的には、上記物質を単独で用
いても効果は小さく、数種類の物質を混合して用いると
効果が発揮される。好ましい組み合わせとしては活性炭
・クレイ・シリカゲルといったものが挙げられ、活性炭
・クレイ・シリカゲルの重量比を2:1:1として用い
ると特に好ましい結果が得られる。
【0024】ここで、活性炭としては活性炭powde
r(WAKO 037−02115、和光純薬製)など
が、クレイとしてはClay activated S
tandard(WAKO 033−03555、和光
純薬製)などが、シリカゲルとしてはWakogel
C200(Silica Gel、WAKO 233−
00077、和光純薬製)などが挙げられる。
r(WAKO 037−02115、和光純薬製)など
が、クレイとしてはClay activated S
tandard(WAKO 033−03555、和光
純薬製)などが、シリカゲルとしてはWakogel
C200(Silica Gel、WAKO 233−
00077、和光純薬製)などが挙げられる。
【0025】前記の精製方法において、アルカン層また
はメタノール層中の高度不飽和脂肪酸の濃度を測定する
には、逆相HPLC法が便利である。例えば、次のよう
な測定条件により微量測定が可能である。島津製作所製
LC8A調製用液体クロマトグラフ装置を用い、カラ
ム:SynProPep RP-C18, 4.6 ×150mm 、流速(圧力):
0.4ml/min(50kgf/cm2 )、溶媒:メ
タノール/水(0.1%酢酸)=90:10の一液溶
出、検出:212nmのUVの諸条件で測定する。各ピ
ークは、DHA等の標準品のクロマトグラフィー上の溶
出時間の比較とマススペクトルにより同定することがで
きる。
はメタノール層中の高度不飽和脂肪酸の濃度を測定する
には、逆相HPLC法が便利である。例えば、次のよう
な測定条件により微量測定が可能である。島津製作所製
LC8A調製用液体クロマトグラフ装置を用い、カラ
ム:SynProPep RP-C18, 4.6 ×150mm 、流速(圧力):
0.4ml/min(50kgf/cm2 )、溶媒:メ
タノール/水(0.1%酢酸)=90:10の一液溶
出、検出:212nmのUVの諸条件で測定する。各ピ
ークは、DHA等の標準品のクロマトグラフィー上の溶
出時間の比較とマススペクトルにより同定することがで
きる。
【0026】本発明の精製方法は上記のように簡易、迅
速、低コスト、大量処理において効率よくかつ安全な方
法であり、無色無臭の産業的に利用価値の高く、純度が
著しく高い高度不飽和脂肪酸得られる。
速、低コスト、大量処理において効率よくかつ安全な方
法であり、無色無臭の産業的に利用価値の高く、純度が
著しく高い高度不飽和脂肪酸得られる。
【0027】本発明の精製方法により得られる高度不飽
和脂肪酸の構成成分は、原料となる海洋微細藻類や海洋
微生物の菌体中、及び魚油中の高度不飽和脂肪酸の構成
成分により定まるものであり、本発明の精製方法は特定
の高度不飽和脂肪酸を選択的に濃縮することを目的とす
るものではない。
和脂肪酸の構成成分は、原料となる海洋微細藻類や海洋
微生物の菌体中、及び魚油中の高度不飽和脂肪酸の構成
成分により定まるものであり、本発明の精製方法は特定
の高度不飽和脂肪酸を選択的に濃縮することを目的とす
るものではない。
【0028】
【実施例】以下、製造例及び実施例により本発明をさら
に詳しく説明するが、本発明はこれらの実施例等により
なんら限定されるものではない。
に詳しく説明するが、本発明はこれらの実施例等により
なんら限定されるものではない。
【0029】製造例1 DHA含量の高いハプト藻Isochrysis ga
lbana UTEX LB2307の乾燥菌体の調製 本発明者らの一人が先に発見した高DHA含量のハプト
藻Isochrysis galbana UTEX LB2307
を培養し、藻体を得た。培養方法については特願平6−
45251号にあるように、フォトバイオリアクターを
用いてもよく、タンク培養でもよい。
lbana UTEX LB2307の乾燥菌体の調製 本発明者らの一人が先に発見した高DHA含量のハプト
藻Isochrysis galbana UTEX LB2307
を培養し、藻体を得た。培養方法については特願平6−
45251号にあるように、フォトバイオリアクターを
用いてもよく、タンク培養でもよい。
【0030】ここにフォトバイオリアクターとは、例え
ば次のような培養装置をいう。即ち、アクリル製カラム
(70mm×900mm)を培養器とし、そこに外径1
mmの側面から光が分散する処理を施した光ファイバー
が1mm間隔で661本挿入してある。ファイバーの両
端は結束してある。光源はキセノンランプ(300W、
ラフォーレエンジニアリング社製)を用い、結束した光
ファイバーの一端から光を導入する。ファイバーに入射
した光は、ファイバー表面から光を放ちながらファイバ
ーの中を通って行く(Matsunaga T, Takeyama H, Sudo
H, Oyama N, Ariura S, Takano H, Hirano M, BurgessJ
G, Sode K, Nakamura N (1991) Glutamate production
from CO2 by marinecya-nobacterium Synechococcus s
p. usinga novel biosolar reactor employing light-d
iffusing optical fibers. ApplBiochem Biotechnol 28
/29:157-167)。ファイバー表面の光強度はキセノンラ
ンプの光量を変化させることによって制御することがで
きる。キセノンランプ光源装置は電圧によって光量を変
化させることが可能である。培養液へのガス供給は、リ
アクターの底に取り付けた2つのノズル(φ2mm)を
用いて、800ml/minの速度で行なう。
ば次のような培養装置をいう。即ち、アクリル製カラム
(70mm×900mm)を培養器とし、そこに外径1
mmの側面から光が分散する処理を施した光ファイバー
が1mm間隔で661本挿入してある。ファイバーの両
端は結束してある。光源はキセノンランプ(300W、
ラフォーレエンジニアリング社製)を用い、結束した光
ファイバーの一端から光を導入する。ファイバーに入射
した光は、ファイバー表面から光を放ちながらファイバ
ーの中を通って行く(Matsunaga T, Takeyama H, Sudo
H, Oyama N, Ariura S, Takano H, Hirano M, BurgessJ
G, Sode K, Nakamura N (1991) Glutamate production
from CO2 by marinecya-nobacterium Synechococcus s
p. usinga novel biosolar reactor employing light-d
iffusing optical fibers. ApplBiochem Biotechnol 28
/29:157-167)。ファイバー表面の光強度はキセノンラ
ンプの光量を変化させることによって制御することがで
きる。キセノンランプ光源装置は電圧によって光量を変
化させることが可能である。培養液へのガス供給は、リ
アクターの底に取り付けた2つのノズル(φ2mm)を
用いて、800ml/minの速度で行なう。
【0031】フォトバイオリアクターにおける培養条件
は以下のとおりである。まず、Isochrysis
galbana UTEX LB2307を以下に説明するEppl
eyの培地で前培養する。得られた菌体を新たに調製し
た3リットルのEppleyの培地を培養液としてフォ
トバイオリアクターを用いて25℃、72時間培養す
る。培養液へのガス供給は800ml/minの速度で
行ない、培養液のpHはCO2 の供給量を調節すること
によりpH7に維持する。培養時の光強度は6時間目ま
で1.3μEm-2s-1、それ以降は3.8μEm-2s-1
で行なう。上記の条件で培養した後、得られた培養液を
遠心分離し、凍結乾燥した。3リットルの培養液から
0.6gの凍結乾燥菌体が得られた。
は以下のとおりである。まず、Isochrysis
galbana UTEX LB2307を以下に説明するEppl
eyの培地で前培養する。得られた菌体を新たに調製し
た3リットルのEppleyの培地を培養液としてフォ
トバイオリアクターを用いて25℃、72時間培養す
る。培養液へのガス供給は800ml/minの速度で
行ない、培養液のpHはCO2 の供給量を調節すること
によりpH7に維持する。培養時の光強度は6時間目ま
で1.3μEm-2s-1、それ以降は3.8μEm-2s-1
で行なう。上記の条件で培養した後、得られた培養液を
遠心分離し、凍結乾燥した。3リットルの培養液から
0.6gの凍結乾燥菌体が得られた。
【0032】培養液はEppleyの培地(Eppley R.
W. ら、J. Exp. Marine Biology andEcology 1,191 (1
967))を用いるのが便利である。Eppleyの培地
は、海水900mlと蒸留水100ml中に50.5m
g KNO3 、8.7mg K2 HPO4 、1mlの微
量金属混液、1mlのビタミン混液から成る。微量金属
混液の組成は、蒸留水1リットルに19.6mg Cu
SO4 ・5H2 O、44.0mg ZnSO4 ・7H2
O、20.0mg CoCl2 ・6H2 O、360mg
MnCl2 ・4H2 O、12.6mg Na2 MoO
4 ・2H2 O、10g Fe−EDTAであり、ビタミ
ン混液の組成は、200mgチアミン、1mgビオチ
ン、0.2mgビタミンB12である。
W. ら、J. Exp. Marine Biology andEcology 1,191 (1
967))を用いるのが便利である。Eppleyの培地
は、海水900mlと蒸留水100ml中に50.5m
g KNO3 、8.7mg K2 HPO4 、1mlの微
量金属混液、1mlのビタミン混液から成る。微量金属
混液の組成は、蒸留水1リットルに19.6mg Cu
SO4 ・5H2 O、44.0mg ZnSO4 ・7H2
O、20.0mg CoCl2 ・6H2 O、360mg
MnCl2 ・4H2 O、12.6mg Na2 MoO
4 ・2H2 O、10g Fe−EDTAであり、ビタミ
ン混液の組成は、200mgチアミン、1mgビオチ
ン、0.2mgビタミンB12である。
【0033】Isochrysis galbana U
TEX LB2307のタンクによる培養を行なった.以下にその
培養条件を記述する。8リットルのEppleyの培地
で前培養したIsochrysis galbana U
TEX LB2307を5リットルのEppleyの培地の入った
5個のフラットボトルに接種する。培養温度は25℃
で、300〜500ml/minの速度でガス供給す
る。光源は市販の蛍光灯を用い、培養時の光強度は、2
4時間目までは60μEm-2s-1で、それ以降は150
μEm-2s-1で行なう。
TEX LB2307のタンクによる培養を行なった.以下にその
培養条件を記述する。8リットルのEppleyの培地
で前培養したIsochrysis galbana U
TEX LB2307を5リットルのEppleyの培地の入った
5個のフラットボトルに接種する。培養温度は25℃
で、300〜500ml/minの速度でガス供給す
る。光源は市販の蛍光灯を用い、培養時の光強度は、2
4時間目までは60μEm-2s-1で、それ以降は150
μEm-2s-1で行なう。
【0034】9日間培養した後、得られた培養液を12
000r.p.m.で連続遠心分離(RS20 IV、
Tomy Seiko Co.Ltd.、Tokyo、
Japanを使用)し、凍結乾燥する。35リットルの
培養液から8.1gの凍結乾燥菌体を得た。
000r.p.m.で連続遠心分離(RS20 IV、
Tomy Seiko Co.Ltd.、Tokyo、
Japanを使用)し、凍結乾燥する。35リットルの
培養液から8.1gの凍結乾燥菌体を得た。
【0035】実施例1 Isochrysis galbana UTEX LB2307の
乾燥菌体からの高度不飽和脂肪酸の抽出および精製 製造例で調製したIsochrysis galban
a UTEX LB2307の乾燥菌体1.5gを30mlのクロロ
ホルム/メタノール混液(2:1、v/v)に懸濁し、
Nissei AM-77ホモジナイザーを用いて、11000r.
p.m.で20分間摩砕した。得られた懸濁液を120
00r.p.m.で30分間遠心分離し、上清のメタノ
ール溶液を得た。
乾燥菌体からの高度不飽和脂肪酸の抽出および精製 製造例で調製したIsochrysis galban
a UTEX LB2307の乾燥菌体1.5gを30mlのクロロ
ホルム/メタノール混液(2:1、v/v)に懸濁し、
Nissei AM-77ホモジナイザーを用いて、11000r.
p.m.で20分間摩砕した。得られた懸濁液を120
00r.p.m.で30分間遠心分離し、上清のメタノ
ール溶液を得た。
【0036】上記のようにして得られたメタノール溶液
を乾固し、767mgの残留物を得た。該残留物を各
2.5mlのn−ペンタンで3回洗浄し、高脂溶性物を
除去した。得られた残留物を20mlのアセトンで2回
洗浄、リン脂質を含む分離アセトン溶液をまとめて濃縮
乾固し、24mgの残留物を得た。残留物は淡褐色で臭
気のある固形物であった。
を乾固し、767mgの残留物を得た。該残留物を各
2.5mlのn−ペンタンで3回洗浄し、高脂溶性物を
除去した。得られた残留物を20mlのアセトンで2回
洗浄、リン脂質を含む分離アセトン溶液をまとめて濃縮
乾固し、24mgの残留物を得た。残留物は淡褐色で臭
気のある固形物であった。
【0037】該残留物をただちに5mlのメタノール/
2M NaOH(95:5、v/v)と混合し、窒素気
流中で80℃、1時間攪拌した。その後、室温まで冷却
したのち2mlの1M HClを加えて酸性とした。こ
こで、当該溶液の一部を取り出してHPLC分析を行っ
た。図1にHPLCの溶出パターンを示す。図1より、
この段階では抽出を行っただけで精製が進んでおらず、
求める不飽和脂肪酸以外の非目的物が多く残存している
ことが分かった。また、当該溶液の残りを各12mlの
n−ヘプタンで5回抽出した。得られたn−ヘプタン溶
液をまとめて濃縮乾固し、11mgの残留物を得た。こ
の残留物は淡橙色で臭気のあるタール状のものであっ
た。該残留物の一部をメタノールに溶解し、HPLC分
析を行った。図2にHPLCの溶出パターンを示す。該
残留物の主成分はDHA(3.8%)とC18:4(25.
4%)であった。%は212nmでの吸光度の面積比で
ある。図1と図2とを比較すると、n−ヘプタンによる
抽出で保持時間12分までに現れる不純物が顕著に減少
していることが分かった。
2M NaOH(95:5、v/v)と混合し、窒素気
流中で80℃、1時間攪拌した。その後、室温まで冷却
したのち2mlの1M HClを加えて酸性とした。こ
こで、当該溶液の一部を取り出してHPLC分析を行っ
た。図1にHPLCの溶出パターンを示す。図1より、
この段階では抽出を行っただけで精製が進んでおらず、
求める不飽和脂肪酸以外の非目的物が多く残存している
ことが分かった。また、当該溶液の残りを各12mlの
n−ヘプタンで5回抽出した。得られたn−ヘプタン溶
液をまとめて濃縮乾固し、11mgの残留物を得た。こ
の残留物は淡橙色で臭気のあるタール状のものであっ
た。該残留物の一部をメタノールに溶解し、HPLC分
析を行った。図2にHPLCの溶出パターンを示す。該
残留物の主成分はDHA(3.8%)とC18:4(25.
4%)であった。%は212nmでの吸光度の面積比で
ある。図1と図2とを比較すると、n−ヘプタンによる
抽出で保持時間12分までに現れる不純物が顕著に減少
していることが分かった。
【0038】HPLC分析は以下のように行った。島津
製作所製LC8A調製用液体クロマトグラフ装置を用
い、試料注入量は10μl、カラムはSynProPep RP-C1
8, 4.6×150mm 、流速(圧力)は0.4ml/min
(50kgf/cm2 )、溶媒はメタノール/水(0.
1%酢酸)=90:10、室温の諸条件で行い、検出は
島津製作所製SPD−6A UV分光検出計を使用し、
212nmの吸光度を測定した(以下、同様の条件で分
析を行った。)。
製作所製LC8A調製用液体クロマトグラフ装置を用
い、試料注入量は10μl、カラムはSynProPep RP-C1
8, 4.6×150mm 、流速(圧力)は0.4ml/min
(50kgf/cm2 )、溶媒はメタノール/水(0.
1%酢酸)=90:10、室温の諸条件で行い、検出は
島津製作所製SPD−6A UV分光検出計を使用し、
212nmの吸光度を測定した(以下、同様の条件で分
析を行った。)。
【0039】該残留物を5mlのメタノールに溶かし、
ここに15mgの活性炭、7.5mgのクレイ及び7.
5mgのシリカゲルを加えた。但し、クレイ及びシリカ
ゲルはあらかじめ重量比1:1で混合し、メタノールで
よく洗浄したものを用いた。活性炭は活性炭powde
r(WAKO 037−02115、和光純薬製)、ク
レイはClay activated Standar
d(WAKO 033−03555、和光純薬製)、シ
リカゲルはWakogel C200(Silica
Gel、WAKO 233−00077、和光純薬製)
を用いた。該混合物を室温で48時間撹拌したあと10
000〜15000r.p.m.で10分間遠心分離
し、不溶物を除去、上清を得た。得られた上清を濃縮
し、6.8mgの無色無臭のオイルを得た。該オイルの
一部をメタノールに溶解し、HPLC分析を行った。図
3にHPLCの溶出パターンを示す。該オイルの主成分
はDHA(13%)とC18:4(33%)であった。%は
212nmでの吸光度の面積比である。活性炭、クレイ
及びシリカゲルの添加により、DHAとC18:4の純度が
高まり、色素や臭気が除かれていることがわかった。
ここに15mgの活性炭、7.5mgのクレイ及び7.
5mgのシリカゲルを加えた。但し、クレイ及びシリカ
ゲルはあらかじめ重量比1:1で混合し、メタノールで
よく洗浄したものを用いた。活性炭は活性炭powde
r(WAKO 037−02115、和光純薬製)、ク
レイはClay activated Standar
d(WAKO 033−03555、和光純薬製)、シ
リカゲルはWakogel C200(Silica
Gel、WAKO 233−00077、和光純薬製)
を用いた。該混合物を室温で48時間撹拌したあと10
000〜15000r.p.m.で10分間遠心分離
し、不溶物を除去、上清を得た。得られた上清を濃縮
し、6.8mgの無色無臭のオイルを得た。該オイルの
一部をメタノールに溶解し、HPLC分析を行った。図
3にHPLCの溶出パターンを示す。該オイルの主成分
はDHA(13%)とC18:4(33%)であった。%は
212nmでの吸光度の面積比である。活性炭、クレイ
及びシリカゲルの添加により、DHAとC18:4の純度が
高まり、色素や臭気が除かれていることがわかった。
【0040】
【発明の効果】本発明の方法によれば、天然由来の高度
不飽和脂肪酸を、短時間で簡易かつ容易にしかも極めて
安全に濃縮精製することができる。また、こうして得ら
れる精製高度不飽和脂肪酸は、無色無臭という優れた性
質を有するため、医薬品または機能性食品の優れた素材
となる。
不飽和脂肪酸を、短時間で簡易かつ容易にしかも極めて
安全に濃縮精製することができる。また、こうして得ら
れる精製高度不飽和脂肪酸は、無色無臭という優れた性
質を有するため、医薬品または機能性食品の優れた素材
となる。
【図1】図1は、Isochrysis galban
aから得た脂質のケン化物のHPLC分析の溶出曲線を
示す図である。
aから得た脂質のケン化物のHPLC分析の溶出曲線を
示す図である。
【図2】図2は、Isochrysis galban
aから得た脂質のケン化物のn−ヘプタン抽出物のHP
LC分析の溶出曲線を示す図である。
aから得た脂質のケン化物のn−ヘプタン抽出物のHP
LC分析の溶出曲線を示す図である。
【図3】図3は、Isochrysis galban
aから得た脂質のケン化物のn−ヘプタン抽出物を吸着
剤処理したもののHPLC分析の溶出曲線を示す図であ
る。
aから得た脂質のケン化物のn−ヘプタン抽出物を吸着
剤処理したもののHPLC分析の溶出曲線を示す図であ
る。
Claims (2)
- 【請求項1】 天然由来の高度不飽和脂肪酸をメタノー
ルに溶解させ、さらに炭素原子数6〜8のアルカンを添
加することにより該アルカンとメタノールとから構成さ
れる2層を形成させ、2層間における分配を利用して高
度不飽和脂肪酸をアルカン層に濃縮し、次いで該濃縮高
度不飽和脂肪酸と吸着剤とを混合して精製することを特
徴とする高度不飽和脂肪酸の精製方法。 - 【請求項2】 請求項1記載の精製方法により精製され
た高度不飽和脂肪酸。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP13645294A JPH07316584A (ja) | 1994-05-25 | 1994-05-25 | 高度不飽和脂肪酸の精製方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP13645294A JPH07316584A (ja) | 1994-05-25 | 1994-05-25 | 高度不飽和脂肪酸の精製方法 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH07316584A true JPH07316584A (ja) | 1995-12-05 |
Family
ID=15175449
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP13645294A Pending JPH07316584A (ja) | 1994-05-25 | 1994-05-25 | 高度不飽和脂肪酸の精製方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JPH07316584A (ja) |
Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2002501030A (ja) * | 1998-01-21 | 2002-01-15 | ピーター・ドナルド・コリン | ナマコカロテノイド脂質画分産物およびその使用方法 |
JP2008182962A (ja) * | 2007-01-30 | 2008-08-14 | Nikken Sohonsha Corp | イコサペンタエン酸及びドコサヘキサエン酸の生産方法 |
-
1994
- 1994-05-25 JP JP13645294A patent/JPH07316584A/ja active Pending
Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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