JPH07228888A - 高度不飽和脂肪酸の精製方法 - Google Patents

高度不飽和脂肪酸の精製方法

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JPH07228888A
JPH07228888A JP4525194A JP4525194A JPH07228888A JP H07228888 A JPH07228888 A JP H07228888A JP 4525194 A JP4525194 A JP 4525194A JP 4525194 A JP4525194 A JP 4525194A JP H07228888 A JPH07228888 A JP H07228888A
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fatty acid
unsaturated fatty
highly unsaturated
alkane
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JP4525194A
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Seishi Nokihara
清史 軒原
Kitsufue Mihaeru
キッフェ ミハエル
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Shimadzu Corp
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Abstract

(57)【要約】 【構成】微生物により生産された高度不飽和脂肪酸をメ
タノールに溶解させ、次いで炭素原子数6〜8のアルカ
ンを添加することにより該アルカンとメタノールとから
構成される2層を形成させ、2層間における分配を利用
して高度不飽和脂肪酸をアルカン層に濃縮して精製する
ことを特徴とする高度不飽和脂肪酸の精製方法、並びに
この精製方法により部分精製された高度不飽和脂肪酸。 【効果】本発明の方法によれば、微生物の産生する高度
不飽和脂肪酸を、短時間で簡易かつ容易にしかも極めて
安全に濃縮精製することができる。また、こうして得ら
れる部分精製高度不飽和脂肪酸は、医薬品または機能性
食品の優れた素材を提供する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は微生物により生産された
高度不飽和脂肪酸を部分精製する簡易な方法、及び該方
法により得られる部分精製高度不飽和脂肪酸に関する。
【0002】
【従来の技術・発明が解決しようとする課題】高度不飽
和脂肪酸は、様々な生理活性を持つことが知られてい
る。例えば、ドコサヘキサエン酸(以下、DHAと略記
することがある)は、記憶、学習能の改善、視力低下抑
制、抗腫瘍作用、免疫抑制作用等の薬理効果があるとし
て最近注目を集めている。また、エイコサペンタエン酸
(以下にEPAと略記することがある)は、血栓溶解作
用、抗動脈硬化作用、血圧降下作用等の薬理作用を持
つ。これらの高度不飽和脂肪酸は医薬品として用いられ
ることが期待される重要な脂肪酸である。
【0003】現在、これらの高度不飽和脂肪酸の供給源
は主として魚油または海洋微細藻類であるが、魚油由来
のDHAは魚臭が強く品質が悪いのに対し、海洋微細藻
類由来のDHAは、魚臭がなく、良質なDHAである。
しかし、海洋微細藻類の生産性が高くないため、優れた
精製法が要望されている。
【0004】従来、高度不飽和脂肪酸を魚油や海洋微細
藻類から分離精製するには、尿素付加法、分子蒸留法、
溶剤分別法、クロマトグラフィー法(例えば、特開平4
−95048)、銀塩との錯体形成による抽出法(特開
平4−103558、特開平4−159398)等が知
られているが、これらの方法を工業的に採用するには、
種々の欠点がある。即ち、尿素付加法は、得られる高度
不飽和脂肪酸の純度が低く、分子蒸留法は重合や異性化
が生じ変性し易い。また、溶剤分別法はクロロホルム等
のハロゲン化炭化水素を使用するため得られるDHA等
が食品や医薬の原料として不適当となる。さらに、クロ
マトグラフィー法は時間と費用がかかり非効率的であ
る。銀塩を用いる方法は、銀化合物が高価である。
【0005】本発明の目的は、微生物により産生された
高度不飽和脂肪酸を有機溶媒相互間に形成される2層へ
の分配を利用して簡易かつ安全に濃縮精製する方法を提
供することである。本発明の他の目的は、こうして得ら
れた部分精製高度不飽和脂肪酸を、医薬品または機能性
食品の素材として提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、海洋微細
藻類から高度不飽和脂肪酸を分離精製する工業的に有利
な方法を開発するため鋭意研究を進めたところ、有機溶
媒相互間で2層を形成するn−ヘプタンとメタノールを
用い、より極性の小さなn−ヘプタンと極性の大きなメ
タノールとの間で高度不飽和脂肪酸の分配が可能となる
ことを見いだした。即ち、高度不飽和脂肪酸はメタノー
ルよりもn−ヘプタンにより多く溶解するため、n−ヘ
プタンとメタノールの混合溶液で高度不飽和脂肪酸を抽
出した後静置すると2層を形成し、高度不飽和脂肪酸は
n−ヘプタンにより多く分配する。この分配の差を利用
して高度不飽和脂肪酸を簡易かつ容易に精製することが
できることを発見し、さらに研究を進めて本発明を完成
するに至った。
【0007】すなわち、本発明の要旨は、微生物により
生産された高度不飽和脂肪酸をメタノールに溶解させ、
次いで炭素原子数6〜8のアルカンを添加することによ
り該アルカンとメタノールとから構成される2層を形成
させ、2層間における分配を利用して高度不飽和脂肪酸
をアルカン層に濃縮して精製することを特徴とする高度
不飽和脂肪酸の精製方法、並びにこの方法により部分精
製された高度不飽和脂肪酸に関する。
【0008】本発明における高度不飽和脂肪酸とは、特
に限定されるものではないが、通常不飽和結合4〜6個
を有する炭素原子数18〜22の脂肪酸を意味する。具
体的には、不飽和結合6個を有し炭素原子数22のドコ
サヘキサエン酸(DHA)、不飽和結合5個を有し炭素
原子数20のエイコサペンタエン酸(EPA)、不飽和
結合4個を有し炭素原子数18のcis−6,9,1
2,15−オクタデカテトラエン酸等が挙げられる。
【0009】本発明で対象とされる、前記のような高度
不飽和脂肪酸は、微生物により生産されたものである。
ここでいう微生物とはこれらの高度不飽和脂肪酸の産生
能を有するものであれば特に限定されるものではない
が、海洋微細藻類、海洋微生物等が挙げられる。例え
ば、本発明者らの一人がDHA生産性海洋微細藻類とし
て発見したハプト藻に属するイソクリシス・ガルバナ
(Isochrysis galbana)、ツノケイ
藻に属するカエトセロス・グラシリス(Chaetoc
eros gracilis)、カエトセロス・カルシ
トランス(Chaetoceros calcitra
ns)、クリプト藻に属するクリプトモナス属菌(Cr
yptomonas sp.)、その他パブロバ属菌
(Pavlovalutheri)およびクリコスファ
エラ属菌(Cricosphaeracartera
e)などを適当な条件下で培養して得られる藻体や菌体
中に含まれるものが挙げられる。また、エイコサペンタ
エン酸生産菌として知られる海洋微生物、例えばシュー
ドモナス属菌、アルテロモナス属菌、シーワネラ属菌等
の培養菌体中に含まれるもの(特開平4−10355
8)等が挙げられる。
【0010】上記の菌体(以下、藻体を含めて菌体とい
う)中に含まれる高度不飽和脂肪酸は通常脂質の構成成
分として存在するので、まず菌体から脂質を抽出し、得
られた脂質をケン化して高度不飽和脂肪酸を遊離させた
後、本発明の精製方法に付するのが好ましい。菌体から
脂質を抽出するには、通常の方法によれば足り、特に限
定されるものではない。例えば、高度不飽和脂肪酸を含
む凍結乾燥菌体を適量のメタノール中に懸濁し、氷冷下
にNissei AM-77ホモゲナイザーによりホモゲナイズし、
必要があればこれを数回繰り返した後、得られる懸濁液
を合わせ、遠心分離(通常、約12000rpm×30
分)によりセルデブリスからなる沈澱物を除き、脂質を
含む上清画分を取得する。
【0011】脂質成分をケン化する方法も特に限定され
るものではなく、例えば次のように行うことができる。
上記のようにして得られた脂質を含む上清画分を例にと
れば、上清画分のメタノールを留去し、得られる残留物
を適量のエタノールに溶かし、1M−水酸化カリウム、
水酸化ナトリウム等のアルカリ水溶液を適量添加し、約
80℃において約1時間程加温する。ケン化の終了後、
塩酸を添加して中和し、溶媒を留去する。この残留物を
メタノールに溶かし、遠心分離(通常、約12000r
pm×30分)により不溶物を除く。
【0012】本発明に用いられる炭素原子数6〜8のア
ルカンとしては、メタノールと混合して2層を形成する
ものであれば何れでもよく、例えばn−ヘキサン、シク
ロヘキサン、n−ヘプタン、およびn−オクタンからな
る群より選択される1種以上が挙げられる。これらは、
アルカン過剰の割合でメタノールと混合した場合に攪拌
後静置すると2層を形成し得る性質を有する。また、石
油エーテルを用いてもよい。具体的には、上記のアルカ
ンをそれぞれ単独で使用してもよく、混合溶媒として使
用してもよい。混合溶媒としては、n−ヘキサンとn−
ヘプタンまたはn−オクタン、シクロヘキサンとn−ヘ
プタンまたはn−オクタン、あるいはn−ヘプタンとn
−オクタンの混合溶媒等が挙げられる。混合割合は、精
製しようとする目的の高度不飽和脂肪酸の種類や共存す
る不純物の性質に応じて、適宜変更可能である。
【0013】上記のアルカンとメタノールとを混合攪拌
した後静置すると2層を形成する。上層は主としてアル
カン層であり、下層は主としてメタノール層であるが、
アルカンは一部メタノールに溶解し、メタノールは一部
アルカンに溶解するため、両層とも混合溶媒となる。従
って、高度不飽和脂肪酸の分配は、実際はこれらの混合
溶媒に対する溶解度の差により決定されることになる。
【0014】次に、本発明の骨子である高度不飽和脂肪
酸の精製方法について述べる。前記のようにしてケン化
して得られる高度不飽和脂肪酸を含む試料をまず適量の
メタノールに溶解する。こうして得られるメタノール溶
液にアルカンを添加し、攪拌した後静置すると2層系が
形成される。1回の抽出操作におけるアルカンの添加量
は、メタノール溶液とするのに用いたメタノール量に対
して通常1〜6倍量である。抽出操作は常法のとおり
で、振盪したのち静置し、2層に分液させたのちアルカ
ン層を取得する。メタノール層には、さらに新たなアル
カンを添加し抽出操作を繰り返す。抽出回数は特に限定
されるものではないが、通常3〜10回であり、メタノ
ール層から高度不飽和脂肪酸が検出できなくなった時点
で終了する。アルカンまたはメタノールに例えば鉱酸や
酢酸を添加して溶液を酸性として抽出を行うと一層効率
的な抽出を行うことができる場合がある。電離していた
高度不飽和脂肪酸が酸に戻り、アルカン/メタノールの
分配比が高くなるからである。鉱酸や酢酸の添加量は通
常メタノールの5%以下、好ましくは0.1〜2%であ
る。上記の本発明の精製方法によれば、従来用いられて
きた有害なクロロホルム、メチレンクロライド等のハロ
ゲン化炭化水素溶媒を使用する必要がないというメリッ
トがある。
【0015】前記の精製方法において、アルカン層また
はメタノール層中の高度不飽和脂肪酸の濃度を測定する
には、逆相HPLC法が便利である。例えば、次のよう
な測定条件により微量測定が可能である。島津製作所社
製LC8A調製用液体クロマトグラフ装置を用い、カラ
ム:SynProPep RP-C18, 4.6 ×150mm 、流速(圧力):
0.4ml/min、溶媒:メタノール/水(0.1%
酢酸)=90:10の一液溶出、検出:212nmのU
Vの諸条件で測定する。各ピークは、DHA等の標準品
のクロマトグラフィー上の溶出時間の比較とマススペク
トルにより同定することができる。
【0016】本発明の精製方法は上記のように簡易、迅
速、低コストかつ安全な方法であり、得られる高度不飽
和脂肪酸の純度は著しく高くなる。
【0017】本発明の精製方法により得られる高度不飽
和脂肪酸の構成成分は、原料となる海洋微細藻類や海洋
微生物の菌体中の高度不飽和脂肪酸の構成成分により定
まるものであり、本発明の精製方法は特定の高度不飽和
脂肪酸を選択的に濃縮することを目的とするものではな
い。
【0018】
【実施例】以下、実施例により本発明をさらに詳しく説
明するが、本発明はこれらの実施例等によりなんら限定
されるものではない。
【0019】実施例1 DHA含量の高いハプト藻Isochrysis ga
lbana UTEX LB2307の乾燥菌体の調製 本発明者らの一人が先に発見した高DHA含量のハプト
藻Isochrysis galbana UTEX LB2307
をフォトバイオリアクターを用いて培養し、藻体を得
た。ここにフォトバイオリアクターとは、例えば次のよ
うな培養装置をいう。即ち、アクリル製カラム(70m
m×900mm)を培養器とし、そこに外径1mmの側
面から光が分散する処理を施した光ファイバーが1mm
間隔で661本挿入してある。ファイバーの両端は結束
してある。光源はキセノンランプ(300W、ラフォー
レエンジニアリング社製)を用い、結束した光ファイバ
ーの一端から光を導入する。ファイバーに入射した光
は、ファイバー表面から光を放ちながらファイバーの中
を通って行く(Matsunaga T, Takeyama H, Sudo H, Oya
ma N, Ariura S, Takano H, Hirano M, BurgessJG, Sod
e K, Nakamura N (1991) Glutamate production from C
O2 by marinecya-nobacterium Synechococcus sp. usin
ga novel biosolar reactor employing light-diffusin
g optical fibers. ApplBiochem Biotechnol 28/29:157
-167)。ファイバー表面の光強度はキセノンランプの光
量を変化させることによって制御することができる。キ
セノンランプ光源装置は電圧によって光量を変化させる
ことが可能である。培養液へのガス供給は、リアクター
の底に取り付けた2つのノズル(φ2mm)を用いて、
800ml/minの速度で行なう。
【0020】フォトバイオリアクターにおける培養条件
は以下のとおりである。まず、光強度は培養中、一定の
範囲に制御される。一定の範囲とは、ファイバー表面の
光強度を3〜5μEm-2-1の範囲で制御することを意
味する。培養温度は、28℃、培養時間は5日間であ
る。培地はEppleyの培地(Eppley R Wら、J. Ex
p. Marine Biology and Ecology 1,191 (1967))を用
いるのが便利である。Eppleyの培地は、海水90
0mlと蒸留水100ml中に50.5mg KN
3 、8.7mg K2 HPO4 、1mlの微量金属混
液、1mlのビタミン混液から成る。微量金属混液の組
成は、蒸留水1リットルに19.6mg CuSO4
5H2 O、44.0mg ZnSO4 ・7H2 O、2
0.0mg CoCl2 ・6H2 O、360mg Mn
Cl2 ・4H2 O、12.6mg Na2 MoO4 ・2
2 O、10mg Fe−EDTAであり、ビタミン混
液の組成は、200mgチアミン、1mgビオチン、
0.2mgビタミンB12である。種培養は、前培養した
培養液を遠心分離し、得られた細胞を用いる。
【0021】上記の条件で5日間培養した後、得られた
培養液を6000Gで10分間遠心分離し、pH9のホ
ウ酸緩衝液で洗浄し、凍結乾燥した。70リットルの培
養液から26gの凍結乾燥菌体が得られた。
【0022】実施例2 Isochrysis galbana UTEX LB2307の
乾燥菌体からの高度不飽和脂肪酸の抽出および精製 (1)高度不飽和脂肪酸の抽出 Isochrysis galbana UTEX LB2307の
乾燥菌体500mgを10mlのメタノール/クロロホ
ルム混液(2:1,v/v)に懸濁し、NisseiAM-77ホ
モゲナイザーを用いて、11000RPM、10分間の
条件で2回摩砕した。得られた懸濁液を12000RP
Mで30分間遠心分離し、上清のメタノール溶液を得
た。
【0023】(2)抽出された脂質のケン化 上記のようにして得られたメタノール溶液のメタノール
を留去した後、残留物に9.5mlのエタノールと0.
5mlの1Mの水酸化カリウム水溶液を添加し、80℃
に加温して1時間攪拌した。その後、塩酸で中和し、次
いで溶媒を留去した。得られた残留物をメタノールに溶
解し、12000RPMで30分間遠心分離を行い、不
溶物を除いた後メタノールを留去して高度不飽和脂肪酸
を含む残留物(摩砕・ケン化物)を得た。
【0024】(3)n−ヘキサン/メタノールまたはn
−ヘプタン/メタノール間の分配による高度不飽和脂肪
酸の精製 乾燥菌体の摩砕・ケン化物145mgを10mlのメ
タノールに溶解した。この溶液のHPLCの溶出パター
ンを図1に示す。図1は、精製前の摩砕・ケン化物中に
含まれる高度不飽和脂肪酸の割合が34%程度にすぎ
ず、66%が不純物であることを示す。尚、HPLC
は、島津製作所製LC8A調製用液体クロマトグラフ装
置を用い、試料10μl、カラムSynProPep RP-C18, 4.
6 ×150mm 、流速(圧力)0.4ml/min(50k
gf/cm2 )、溶媒メタノール/水(0.1%酢酸)
=90:10、室温の諸条件で行い、検出は島津製作所
製SPD−6A UV分光検出計を使用した(以下、同
様の条件である)。次いで40mlのn−ヘキサンを加
え、よく振り混ぜたのち静止し、2層に分離させた後、
上層であるn−ヘキサン層を分取し、メタノール層には
再度40mlのn−ヘキサンを加え2回目の抽出を行っ
た。同様にして合計3回の抽出を行い、抽出液を合わ
せ、HPLCで抽出液の成分を分析した。その結果を図
2に示す。図1と図2とを比較するとn−ヘキサン/メ
タノール間の分配により、不純物の量が減少し、高度不
飽和脂肪酸の精製がかなり進んだことが分かる。図2に
おける高度不飽和脂肪酸の割合は、約57%であり、不
純物の割合は約43%に低下した。上記のn−ヘキサン
層の溶媒を留去し、残留物として部分精製高度不飽和脂
肪酸60mgを得た。
【0025】乾燥菌体の摩砕・ケン化物145mgを
10mlのメタノールに溶解し、n−ヘキサンの代わり
にn−ヘプタンを用いてと同様な操作を6回繰り返し
た。得られたn−ヘプタン溶液を合わせ、HPLCで抽
出液の成分を分析した。その結果を図3に示す。さら
に、6回抽出後のメタノール層を1%酢酸で酸性とし、
再度40mlのn−ヘプタンで4回抽出した。抽出液を
合わせ、HPLCで抽出液の成分を分析した。その結果
を図4に示す。図3と図4とはほとんど同一の結果を示
しており、n−ヘプタン層中の高度不飽和脂肪酸の割合
はいずれも約75〜76%であり、不純物は24〜25
%にすぎなかった。上記の6回抽出液、および6回抽出
後酸性下にさらに4回抽出して得た抽出液の溶媒を留去
し、残留物として、DHAとcis−6,9,12,1
5−オクタデカテトラエン酸をほぼ当量含む部分精製高
度不飽和脂肪酸42mgを得た。なお、再度の抽出操作
の後のメタノール層には、DHAもcis−6,9,1
2,15−オクタデカテトラエン酸もほとんど検出され
なかった。
【0026】乾燥菌体の摩砕・ケン化物145mgを
1%の酢酸を含む15mlのメタノールに溶解し、各2
5mlのn−ヘプタンで5回抽出を行った。n−ヘプタ
ン層を合わせ、HPLCで抽出液の成分を分析した。そ
の結果を図5に示す。また、抽出後のメタノール層の成
分をもHPLCで分析した。その結果を図6に示す。図
5は、抽出液中の高度不飽和脂肪酸の割合が約65%で
あり、不純物は約35%にすぎないことを示す。一方、
抽出後のメタノール溶液中の高度不飽和脂肪酸の割合
は、図6でみる限り約15%にすぎなかった。上記のn
−ヘプタン層の溶媒を留去し、残留物として、DHAと
cis−6,9,12,15−オクタデカテトラエン酸
をほぼ当量含む部分精製高度不飽和脂肪酸60mgを得
た。
【0027】実施例3 n−オクタン/メタノール分配系による高度不飽和脂肪
酸の精製 乾燥菌体の摩砕・ケン化物145mgを10mlのメタ
ノールに溶解し、n−オクタン各40mlを用いて実施
例2(3)と同様な操作を6回繰り返した。得られた
n−オクタン溶液を合わせ、溶媒を留去して35mgの
部分精製高度不飽和脂肪酸を得た。
【0028】実施例4 n−オクタン/n−ヘプタン(1:1)/メタノール分
配系による高度不飽和脂肪酸の精製 乾燥菌体の摩砕・ケン化物145mgを10mlのメタ
ノールに溶解し、n−オクタン/n−ヘプタン(1:
1)混合溶液各40mlを用いて実施例2(3)と同
様な操作を6回繰り返した。得られたn−オクタン/n
−ヘプタン(1:1)混合溶液を合わせ、溶媒を留去し
て40mgの部分精製高度不飽和脂肪酸を得た。
【0029】実施例5 石油エーテル/メタノール分配系による高度不飽和脂肪
酸の精製 乾燥菌体の摩砕・ケン化物145mgを10mlのメタ
ノールに溶解し、石油エーテル各40mlを用いて実施
例2(3)と同様な操作を6回繰り返した。得られた
石油エーテル溶液を合わせ、溶媒を留去して36mgの
部分精製高度不飽和脂肪酸を得た。
【0030】本発明の実施の態様としては、上記の実施
例のほか、以下の態様のものがある。 (1) 微生物により生産された高度不飽和脂肪酸をメ
タノールに溶解させ、次いで炭素原子数6〜8のアルカ
ンを添加することにより該アルカンとメタノールとから
構成される2層を形成させ、2層間における分配を利用
して高度不飽和脂肪酸をアルカン層に濃縮して精製する
ことを特徴とする高度不飽和脂肪酸の精製方法におい
て、2層間における分配を酸性下で行うことを特徴とす
る高度不飽和脂肪酸の精製方法。この方法によれば、本
発明の高度不飽和脂肪酸の精製をさらに効率的に行うこ
とが可能となる。メタノール中で電離している高度不飽
和脂肪酸が酸に戻り脂溶性が高くなるからである。
【0031】
【発明の効果】本発明の方法によれば、微生物の産生す
る高度不飽和脂肪酸を、短時間で簡易かつ容易にしかも
極めて安全に濃縮精製することができる。また、こうし
て得られる部分精製高度不飽和脂肪酸は、医薬品または
機能性食品の優れた素材を提供する。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は、Isochrysis galban
aの凍結乾燥菌体の摩砕・ケン化物のメタノール溶液の
LC−8A 調製用液体クロマトグラフィーを示す図で
ある。
【図2】図2は、Isochrysis galban
a凍結乾燥菌体の摩砕・ケン化物を10mlメタノール
に溶解しn−ヘキサン各40mlで3回抽出した場合の
抽出液のLC−8A 調製用液体クロマトグラフィーを
示す図である。
【図3】図3は、Isochrysis galban
a凍結乾燥菌体の摩砕・ケン化物を10mlメタノール
に溶解しn−ヘプタン各40mlで6回抽出した場合の
抽出液のLC−8A 調製用液体クロマトグラフィーを
示す図である。
【図4】図4は、Isochrysis galban
a凍結乾燥菌体の摩砕・ケン化物を10mlメタノール
に溶解しn−ヘプタン各40mlで6回抽出した後、さ
らにメタノール層に1%酢酸を添加し、n−ヘプタン各
40mlで4回抽出した場合の抽出液のLC−8A 調
製用液体クロマトグラフィーを示す図である。
【図5】図5は、Isochrysis galban
a凍結乾燥菌体の摩砕・ケン化物を15mlの1%酢酸
含有メタノールに溶解しn−ヘプタン各25mlで5回
抽出した場合の抽出液のLC−8A 調製用液体クロマ
トグラフィーを示す図である。
【図6】図6は、Isochrysis galban
a凍結乾燥菌体の摩砕・ケン化物を15mlの1%酢酸
含有メタノールに溶解しn−ヘプタン各25mlで5回
抽出した場合のメタノール層のLC−8A 調製用液体
クロマトグラフィーを示す図である。

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 微生物により生産された高度不飽和脂肪
    酸をメタノールに溶解させ、次いで炭素原子数6〜8の
    アルカンを添加することにより該アルカンとメタノール
    とから構成される2層を形成させ、2層間における分配
    を利用して高度不飽和脂肪酸をアルカン層に濃縮して精
    製することを特徴とする高度不飽和脂肪酸の精製方法。
  2. 【請求項2】 1回の抽出操作におけるアルカンの使用
    量がメタノールの使用量に対して1〜6倍量である請求
    項1記載の精製方法。
  3. 【請求項3】 請求項1又は2記載の精製方法により部
    分精製された高度不飽和脂肪酸。
JP4525194A 1994-02-17 1994-02-17 高度不飽和脂肪酸の精製方法 Pending JPH07228888A (ja)

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US8143383B2 (en) 2001-01-25 2012-03-27 Abbott Laboratories Δ-6 desaturase and uses thereof
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