JPH07312325A - コンデンサー - Google Patents

コンデンサー

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JPH07312325A
JPH07312325A JP7114958A JP11495895A JPH07312325A JP H07312325 A JPH07312325 A JP H07312325A JP 7114958 A JP7114958 A JP 7114958A JP 11495895 A JP11495895 A JP 11495895A JP H07312325 A JPH07312325 A JP H07312325A
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JP
Japan
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film
capacitor
sheet
sulfide
temperature
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Pending
Application number
JP7114958A
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English (en)
Inventor
Kakichi Teramoto
嘉吉 寺本
Takeya Mizuno
斌也 水野
Hiroshi Iizuka
洋 飯塚
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Kureha Corp
Original Assignee
Kureha Corp
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Filing date
Publication date
Application filed by Kureha Corp filed Critical Kureha Corp
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 高温領域及び低周波領域における誘電正接
(tanδ)が小さく、高温における体積固有抵抗(ρ
v )が大きいポリフェニレンスルフィドフィルムを誘電
体材料として用いた誘電損失の小さいコンデンサーを提
供する。 【構成】 重合助剤を用いないで製造されたポリフェニ
レンスルフィド樹脂のフィルム又はシート状成形物を少
くとも一方向に延伸したフィルムであって、10〜10
8 Hz、−50〜200℃のtanδが1%未満、15
0℃でのρvが1×1015Ω・cm以上であるものを誘
電体材料としたコンデンサーである。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、優れた誘電正接を示す
少なくとも一方向に延伸されたポリフェニレンスルフィ
ドフィルムを誘電体層として用いたコンデンサーに関
し、更に詳しくは、周波数10〜108 Hzで−50〜200 ℃の
温度での誘電正接(tanδ) が 1%未満で、 150℃の温度
での体積固有抵抗(ρv )が 1×1015Ω・cm以上の少な
くとも一方向に延伸されたポリフェニレンスルフィドフ
ィルムを誘電体材料として用いたコンデンサーに関す
る。
【0002】
【従来の技術】近年、テレビ、ラジオ、テープレコーダ
ーなどの小型化にともない、これらに使用されるコンデ
ンサーの小型化、高性能化、チップ化が特に要望されて
いる。
【0003】コンデンサー用の誘電材料としては、紙、
合成樹脂フィルムが使用されており、合成樹脂フィルム
としてのポリ弗化ビニリデンフィルムは誘電率が高いの
で、コンデンサー誘電体として使用すると、ポリエステ
ルフィルム、ポリプロピレンフィルム等を使用した場合
に比べて、1/3 以下に小型化することが可能となった
が、比較的高い誘電正接(tanδ) を示し、且つ低い体積
固有抵抗と絶縁破壊電圧を示す。更にポリ弗化ビニリデ
ンフィルムは、耐熱性が悪く、熱収縮率が大きく、蒸
着、メタリコンリード付け、リフロー半田付等の工程中
の高温操作によりフィルムが収縮しシワが発生したりす
る欠点を有している。
【0004】また、ポリイミドフィルムは耐熱性に優れ
ているものの、製造コストが極めて高く、溶融製膜が困
難であり、且つ、温度膨張係数が大きい欠点がある。
【0005】そこで、小型コンデンサー、特にチップ型
コンデンサーのベースフィルムとして、耐熱性、機械的
特性及び寸法安定性に優れたポリアリーレンチオエーテ
ルフィルムが今日迄に提案されている(特開昭55-3496
8)。しかしながら、これらの従来のフィルムは重合助
剤として多量の有機酸塩を用いた反応系で製造された樹
脂から作られたものであり、誘電正接(tanδ) が大き
く、且つ体積固有抵抗が小さいなどの欠点があるので、
このポリアリーレンチオエーテルフィルムを用いたコン
デンサーは誘電損失率が大きいという問題がある。
【0006】すなわち、小型コンデンサー用ベースフィ
ルムとしては、以下に示すような特性を有することが必
要となる。
【0007】(1) 力学的強度に優れていること。
【0008】(2) 寸法安定性に優れていること。
【0009】(3) 熱収縮率が小さいこと。
【0010】(4) 耐熱性に優れていること。
【0011】(5) 難燃性であること。
【0012】(6) 吸水率が小さいこと。
【0013】(7) 耐薬品性に優れていること。
【0014】(8) 誘電率が高く、且つ広い温度範囲及
び周波数範囲で安定していること。
【0015】(9) 誘電正接(tanδ)が小さいこと。
【0016】(10) 体積固有抵抗が大きいこと。
【0017】(11) 絶縁破壊強度が大きいこと。
【0018】(12) 滑り性が良好なこと。
【0019】(13) フィルム厚さが均一であること。
【0020】特に、フィルムの誘電正接(tanδ) はコン
デンサーの寿命に大きく関与する。すなわち誘電正接(t
anδ) の大きいフィルムをベースフィルムとして使用し
たコンデンサーは、発生する誘電損失が熱に変換し、コ
ンデンサーが熱くなる。この発熱によりコンデンサーの
劣化が促進され、ついにはコンデンサーが破壊される。
【0021】結晶融点の高いポリフェニレンスルフィド
フィルムは高温度域まで誘電正接(tanδ) が小さい値を
示すと期待されるが、従来のポリフェニレンスルフィル
ドフィルムは期待される値を示さなかったり、上述の必
要とするコンデンサーベースフィルムとしての特性を満
足しないものである。
【0022】例えば、ベースフィルムとして従来のポリ
フェニレンフィドフィルムを用いたコンデンサーを高温
で使用した場合には、特に低周波領域において誘電正接
(tanδ) の急激な上昇を起すことがある。この現像の主
たる原因は多量の有機酸塩を用いた反応系で工業生産さ
れるポリアリーレンチオエーテルから得られる当該フィ
ルムが有害な不純物(ある種のイオン性不純物と推察さ
れる。)を有意量含有しているためと推論される。
【0023】本発明者等は、上述のコンデンサー用ベー
スフィルムとしての必要特性すべてを満足し、特に高温
領域で、且つ低周波領域での誘電正接(tanδ) が小さ
く、且つ高温領域での体積固有抵抗(ρv )が大きいポ
リフェニレンスルフィドフィルムを用いた誘電損失の小
さいコンデンサーについて研究の結果、重合助剤として
有機酸塩を実質的に用いないで製造されたポリフェニレ
ンスルフィド樹脂からなるフィルム状又はシート状成形
物を少なくとも一方向に延伸したフィルムであって、周
波数10〜108 Hz で−50〜200 ℃の温度での誘電正接(t
anδ) が 1%未満で 150℃における体積固有抵抗
(ρv )が 1×1015Ω・cm以上のポリフェニレンスルフ
ィドフィルムが上述のコンデンサー用ベースフィルムの
要求される特性をすべて満足し且つこのポリフェニレン
スルフィドフィルムを誘電体フィルムとして用いたコン
デンサーの誘電損失が小さいことを見出し、その知見に
基づいて本発明を成すに至った。
【0024】
【発明が解決しようとする問題点】本発明は、フィルム
コンデンサーの高温領域における誘電損失の問題を解決
し、高温領域及び低周波領域における誘電正接(tanδ)
が小さく且つ、高温における体積固有抵抗(ρv )が大
きいポリフェニレンスルフィドフィルムを誘電体材料と
して用いた誘電損失の小さいコンデンサーを提供するこ
とにある。
【0025】
【問題点を解決する手段】本発明のコンデンサーは、誘
電体材料として、重合助剤として有機酸塩を実質的に用
いないで製造されたポリフェニレンスルフィド樹脂から
なるフィルム状又はシート状成形物であって、周波数10
〜108 Hz で−50〜200 ℃の温度での誘電正接(tanδ)
が 1%未満で 150℃での体積固有抵抗(ρv )が 1×10
15Ω・cm以上のポリフェニレンスルフィドフィルムを使
用することによって、誘電損失の著しく改良されたコン
デンサーである。
【0026】本発明で使用するポリフェニレンスルフィ
ド樹脂(以下PPS樹脂と略称す)としてはパラフェニ
レンスルフィドポリマー及びパラフェニレンスルフィド
ユニットを主たる構成部分とする共重合体を例示し得
る。共重合体におけるパラフェニレンスルフィドユニッ
ト以外の構成部分としては、メタフェニレンスルフィド
ユニット、P.P′−ジフェニレンスルフォンスルフィ
ドユニット、P.P′−ジフェニレンスルフィドユニッ
ト及びP.P′−ジフェニレンエーテルスルフィドユニ
ットを例示し得る。
【0027】パラフェニレンスルフィドポリマーは線状
で高分子量のものが好ましく、その製造方法としては重
合助剤(有機酸塩、弗化物等)を実質的に用いないで線
状の高分子量ポリマーを得る方法が好ましい(特開昭 6
1-7332、特開昭61-23627、特開昭61-14228等公報参
照)。例えば、有機アミド溶媒中、アルカリ金属硫化物
1モル当り 0.5〜2.4 モルの水が存在する状態で、アル
カリ金属硫化物とジハロ芳香族化合物とを 180〜235 ℃
の温度で反応させて溶融粘度5〜300 ポイズのポリアリ
ーレンスルフィドをジハロ芳香族化合物の転化率50〜98
モルで生成させ、次いでアルカリ金属硫化物1モル当り
2.5〜7.0 モルの水が存在する状態となるように水を加
えると共に 245〜290 ℃の温度下で更に反応させること
による方法が挙げられる。
【0028】また、パラフェニレンスルフィドユニット
とメタフェニレンスルフィドユニットを構成成分とする
パラフェニレンスルフィドブロックコポリマーとして
は、例えばパラフェニレンスルフィド繰返し単位(A) と
メタフェニレンスルフィド繰返し単位(B) とから実質的
になり、繰返し単位(A) が平均20〜5000個結合したブロ
ックとして分子鎖中に存在し、繰返し単位(A) のモル分
率が0.50〜0.98の範囲にあると共に 310℃、剪断速度 2
00(秒)-1の条件で測定した溶融粘度(η* )が50〜10
0,000 ポイズであり、且つガラス転移点20〜80℃で、結
晶融点が 250〜285 ℃の物性を有するブロックコポリマ
ーが挙げられる。
【0029】ブロックコポリマーを製造する方法として
は、 (I) パラジハロベンゼンおよびアルカリ金属硫化
物を含む非プロトン極性有機溶媒を加熱して、パラフェ
ニレンスルフィド繰返し単位(A) の重合度が平均20〜5,
000 個のパラフェニレンスルフィドポリマーを含む反応
液(C) を生成させる第一の工程と、この反応液(C) に実
質的にメタジハロベンゼンからなるジハロ芳香族化合物
を添加してアルカリ金属硫化物および非プロトン極性有
機溶媒の存在下に加熱してブロック重合する第二の工程
とから成る製造方法、及び(II) メタジハロベンゼンか
らなるジハロ芳香族化合物およびアルカリ金属硫化物を
含む非プロトン極性有機溶媒を加熱して、メタフェニレ
ンスルフィド繰返し単位(B) からなり平均重合度が2以
上で
【0030】
【数1】
【0031】(ただし、Yは生成ブロックコポリマーの
繰返し単位(A) のモル分率であって、0.50〜0.98の値で
ある)であるメタフェニレンスルフィドポリマーを含む
反応液(E) を生成させる第一の工程と、この反応液(E)
にパラジハロベンゼンを添加してアルカリ金属硫化物お
よび非プロトン極性有機溶媒の存在下に加熱してブロッ
ク重合する第二の工程とから成る製造方法を例示し得
る。本発明のコンデンサーのベースフィルムとしての特
性を有するポリフェニレンスルフィドフィルムは、上述
の方法によって得られた樹脂を次に述べる方法のいずれ
かを選択して製造することが可能である。
【0032】(1) PPS樹脂 100重量に対して、メル
トフローレート 100以下( 260℃、g/10分)、好まし
くは 0.3〜70のポリ(4−メチルペンテン−1)及び/
又は無機質粉末滑剤(炭カル,カオリン,タルク,クレ
イ,マイカ,シリカ,アルミナ,酸化チタン等)を0.05
〜10重量部、好ましくは 0.2〜5 重量部、及び有機滑剤
(ステアリン酸等の脂肪酸及び/又はその塩等)を0.05
〜10重量部、好ましくは0.2〜5 重量部を均一に混合
し、押出機で溶融混練した後、T−ダイを具備した押出
機を用いてフィルム状又はシート状成形物を成形し、得
られた成形物を急冷して実質的に非晶質のフィルム又は
シートを得る。ついで、得られた非晶質のフィルム又は
シートをロール法又はテンター法により80〜120 ℃の温
度下で少なくとも1軸延伸し、延伸されたフィルムまた
はシートを緊張下に 200〜280 ℃、3秒以上数10分以下
で熱固定する。
【0033】(2) PPS樹脂をT−ダイを具備した押
出機を用いてフィルム状又はシート状成形物を成形し、
得られた成形物を少なくとも10℃/秒以上の冷却速度で
急冷して非晶質のフィルム又はシートを得る。得られた
非晶質フィルム又はシートを緊張下に 150〜300 ℃好ま
しくは 200〜280 ℃で 0.5〜20秒間、好ましくは1〜5
秒間熱処理し、次いでロール法又はテンター法により80
〜120 ℃で少なくとも1方向に延伸し、得られた延伸フ
ィルム又はシートを緊張下で 200〜280 ℃で熱固定す
る。
【0034】(3) パラフェニレンスルフィドブロック
コポリマー樹脂を溶融してT−ダイを具備した押出機を
用いてフィルム状又はシート状成形物を成形し、得られ
た成形物を急冷した後、得られた実質的に非晶質のフィ
ルム又はシートをロール法又はテンター法で、下記式で
示される特定温度で少なくとも1方向に延伸し、延伸さ
れたフィルム又はシートを緊張下に 200〜280 ℃、3秒
以上数10分以下で熱固定する。
【0035】96−50X<T< 116−66.7X (式中、Tは延伸温度(℃)を示し、Xはメタフェニレ
ンスルフィド繰返し単位のモル分率を示す。) (4) パラフェニレンスルフィドブロックコポリマー樹
脂を溶融してT−ダイを具備した押出機を用いてフィル
ム状又はシート状成形物を成形し、得られた成形物を急
冷した後ロール法又はテンター法により85〜110 ℃の温
度で少なくとも1方向に延伸し、延伸されたフィルム又
はシートを緊張下に 250〜275 ℃で且つ下記式で示され
る温度で3秒以上90分以下で熱固定する。
【0036】200+15 logη* ≦THS≦ 182.5+22.5 lo
* (式中、THSは熱固定温度を示し、η* は 310℃
で剪断速度 200(秒)-1の条件下で測定した溶融粘度を
示す。) 上述の方法で得られたフィルムは、周波数が10〜108
z の範囲で−50〜200℃の温度範囲での誘電正接(tanδ)
が 1%未満で、且つ 150℃の温度における体積固有抵
抗(ρv )が 1×1015Ω・cm以上を示すフィルムであ
り、その厚さが1〜30μmのフィルムである。
【0037】本発明のコンデンサーは、かような特性を
有するポリフェニレンスルフィド延伸フィルムをそのま
ま又はコロナ放電処理等の表面活性化処理をフィルムの
片面又は両面に施した表面処理フィルムをコンデンサー
の誘電体フィルムとして用いる。
【0038】次に、本発明のコンデンサーの構成の一例
を述べる。
【0039】得られた延伸フィルムを一対の電極箔(例
えばアルミニウム箔)と交互に重ね合せて巻回し、コン
デンサ素子を作成する。この場合、一対の電極の間に
は、延伸フィルムを少なくとも1枚以上重ね合わせて用
いるのが好ましいが、2枚以上重ねる場合には全ての誘
電体フィルムが本発明のポリフェニレンスルフィド延伸
フィルムである必要はなく、例えば誘電体シートを3枚
使用するコンデンサの場合においては、電極箔に接する
2枚を本発明のポリフェニレンスルフィド延伸フィルム
としその2枚の中間に従来のポリフェニレンスルフィド
延伸フィルム又は絶縁薄紙などを用いた3層構成の誘電
体とすることが出来る。本発明のコンデンサは、上記の
ような金属箔を電極として用いるもの以外に、金属をフ
ィルムに蒸着した蒸着膜を電極とするいわゆる金属化フ
ィルムコンデンサの形態をとることも出来る。
【0040】このようなコンデンサ素子に絶縁油等の含
浸剤を真空下で含浸させて、最終的なコンデンサを作
る。用いられる含浸剤としては、石油の分留から得られ
る鉱油系絶縁油;アルキルベンゼン、アルキルナフタリ
ン、ジアリルアルカン、ジアリルエタン等の芳香族炭化
水素からなる合成絶縁油;シリコーン油、ポリブテン油
及びワックス類等の低誘電率物質のみならず、ひまし
油、フタル酸エステル、リン酸エステル、フッ化シリコ
ーン油、及びフッ素芳香族系油等の高誘電率物質等が挙
げられる。これらは単独で用いる以外に、2種以上混合
して用いてもよく、又、安定剤などを少量添加して用い
ることも出来る。
【0041】
【発明の効果】本発明のコンデンサーは、重合助剤とし
て有機酸塩を実質的に用いないで製造されたポリフェニ
レンスルフィド樹脂からなるフィルム状又はシート状成
形物を少なくとも一方向に延伸したフィルムであって、
誘電体フィルムとして周波数10〜108 Hz で−50〜200
℃の温度での誘電正接(tanδ) が 1%未満で、 150℃の
温度における体積固有抵抗(ρv )が 1×1015Ω・cm以
上で且つ前述のコンデンサーベースフィルムとしての要
求事項をすべて満足したポリフェニレンスルフィドフィ
ルムを用いているので、広い周波数領域で且つ広い温度
範囲でも誘電正接が小さく、コンデンサーの複合誘電
率、コロナ開始電圧及び短時間破壊電圧の特性に優れ
た、且つ長期間安定なコンデンサーである。
【0042】
【実施例】以下実施例をもって本発明を説明する。これ
ら実施例は例示的なものであって、本発明はこれら実施
例に限定されるものではない。
【0043】尚、実施例1〜4で使用したポリフェニレ
ンスルフィドは、重合助剤として有機酸塩を実質的に用
いないで製造されたものである。
【0044】以下に、誘電正接、体積固有抵抗、コンデ
ンサーの複合誘電率及び短時間破壊電圧の測定法を示
す。
【0045】(1) 誘電正接 試料フィルムの両面にアルミニウムを真空蒸着し電極を
形成させたものを測定用試料に用い、レオグラフ(東洋
精機(株)製)及びLCRメーター(YHP社製)によ
り、所定の温度及び周波数域において測定した。
【0046】(2) 体積固有抵抗(Ω・cm) 上記と同じくフィルムの両面にアルミニウムを蒸着した
ものを測定用試料として、超絶縁計(東亜電波(株)
製、SM−5E型)により 150℃において 250VDC印
加後1分後の抵抗値(Rv)から計算により求めた。
【0047】(3) コンデンサーの複合誘電率
【0048】
【数2】
【0049】ここで複合誘電率
【0050】
【数3】
【0051】とは試料コンデンサ(含浸後)の静電容量
を20℃ 1KHz で測定し、コンデンサの電極面積、及び電
極間の誘電体の厚みを測定し、常法により次の式を用い
て求めたものである。
【0052】
【数4】
【0053】但し、C :電気容量( pF)、ε0 :真
空の誘電率(=0.0885)( pF/cm)、S :面積(cm
2 )、t :厚さ(cm)、 (4) コロナ開始電圧(V) 低周波部分放電測定器(大日本電線社製)により、50
pps、測定感度10pcにおいて測定した部分放電の
始まる電圧をコロナ開始電圧として求めた。
【0054】(5) 短時間破壊電圧(VDC) コンデンサの両端子間に約 100V/sec の昇圧速度で直
流電圧を印加し、破壊した時の電圧をもって短時間破壊
電圧とした。
【0055】上記の (3)〜(5) 項に関して、測定値は、
特にことわりのない限り試料5個の平均値でもって表わ
した。
【0056】実施例 1 20リットル耐圧重合缶にNMP(N−メチルピロリド
ン)8.0kg およびNa2 S・5H2 O 20.0モルを仕込
み、約 200℃まで昇温加熱して水分を溜出させた(H2
Sとして排出されて損失となったS分は仕込みNa2
・5H2 Oの 1.4モル%、缶内の水分量27モル)。次い
でp−DCB(p−ジクロルベンゼン)20.1モルおよび
NMP 3.1kgを仕込み、N2 置換後、 210℃で10時間重
合させ、さらに水53モルを加えて 260℃で5時間反応さ
せた。反応終了後、反応混合液を瀘別し、熱水洗及び減
圧乾燥してポリ−p−フェニレンスルフィドを得た。
【0057】かようにして得られたポリ−p−フェニレ
ンスルフィドの 310℃、200sec-1での溶融粘度は3200ポ
イズであった。
【0058】このポリ−p−フェニレンスルフィド 100
重量部に対してポリ(4−メチルペンテン−1)[三井
石油化学(株)製、メルトフローレート(ASTM1298)が
260℃ 5kgで22g/10分(メルトフローレート22)]
0.6重量部をヘンシェルミキサーでブレンドし、かよう
にして得られたブレンド物を温度 310℃に維持された押
出機で約2mmφの棒状に押出してペレット化した。得ら
れたペレットを 150℃に2時間保持して結晶化した。結
晶化処理されたペレットを、T−ダイを有する押出機か
らシート状に押出し、厚み約 100μmのシートを作成し
た。得られたシートを2軸延伸機(T.M.Long社製)によ
り、 105℃で 3.5×3.5 倍に同時2軸延伸をした。かよ
うにして得られた延伸フィルムを金属フレームに全周固
定し、 260℃のギヤーオーブン中で5分間熱処理をし
た。
【0059】得られたフィルムの誘電正接(tanδ) 及び
体積固有抵抗を第1表に示す。
【0060】実施例 2 20リットル耐圧重合缶にNMP(N−メチルピロリド
ン)8.0kg およびNa2 S・5H2 O 21.0モルを仕込
み、約 204℃まで昇温加熱して水分を溜出させた(S分
損失量= 2.7モル%,缶内水分量=26.4モル)。次いで
m−DCB(m−ジクロルベンゼン)19.8モルおよびN
MP3.12kgを仕込み(混合液中のNa2 S濃度は計算上
1.343モル/kgである)、N2 置換後、 220℃で2時間
重合させ、 230℃で8時間反応させて、反応混合液(A
液)を調製し、これを缶から抜出して保存した。
【0061】A液の少量をサンプリングし生成m−フェ
ニレンスルフィドプレポリマーの重合度を測定(GPC
法)したところ重合度は30であった。
【0062】20リットル耐圧重合缶にNMP 7.0kgおよ
びNa2 S・5H2 O17.0モルを仕込み約 200℃まで昇
温加熱して水分を溜出させた(S分損失量= 2.7モル
%、缶内水分量=18.3モル)。次いで、p−DCB(p
−ジクロルベンゼン)16.87 モル、水6.51モル、および
NMP2.38kg及びA液 1.45 kgを仕込み、N2 置換をし
て 210℃で10時間反応させた後、水を 1.24 kgを加え 2
60℃で5時間反応させた。
【0063】反応終了後、反応混合液を濾別し、熱水洗
および減圧乾燥して、ブロックコポリマーを回収した。
【0064】赤外線分析によりブロックに属するP−フ
ェニレンスルフィド繰返し単位のモル分率(X)を測定
すると0.10であり、溶融粘度(η* )は3700ポイズであ
った。溶融粘度は高化式フローテスターを用いて 310℃
で剪断速度 200(秒)-1の条件で測定した値である。
【0065】かようにして得られたp−フェニレンスル
フィドとm−フェニレンスルフィドとのブロックコポリ
マー 100重量部に対し、ポリ(4−メチルペンテン−
1)[三井石油化学(株)製、メルトフローレートが 2
60℃、5kgで26g/10分(メルトフローレート26)]5
重量部をブレンドし、実施例1と同様な方法で厚み約 1
00μmのシートを得た。このシートを2軸延伸機(T.M.
Long社製)により、95℃で 3.5×3.5 倍に同時2軸延伸
をした。得られた延伸フィルムを金属フレームに全周固
定し、 260℃のギヤーオーブン中で5分間熱処理をし
た。
【0066】得られたフィルムの誘電正接及び体積固有
抵抗を第1表に示す。
【0067】実施例 3 実施例1において得られたポリ−p−フェニレンスルフ
ィドを温度 310℃に維持された押出機で約2mmφの棒状
に押出しペレット化した。得られたペレットをT−ダイ
を有する押出機から樹脂温度 320℃でシート状に押出
し、87℃のキャスティングロール上で冷却し厚み約 100
μmのシートを作成した。
【0068】このシートを15×15cmに切り出し、金属フ
レームに全周固定し、 260℃のギヤーオーブン中で約2
秒間熱処理した。
【0069】熱処理後空冷したシートはその表面が結晶
化しており、この状態での表面の中心線平均粗さ(R
a)は 0.045μmであった。空冷されたシートを2軸延
伸機(T.M.Long 社製)により、95℃で 3.5×3.5 倍に同
時2軸延伸をし、厚さ9μmのフィルムを得た。
【0070】得られたフィルムの誘電正接及び体積固有
抵抗を第1表に示す。
【0071】実施例 4 実施例2において得られたパラフェニレンスルフィドブ
ロックコポリマーを温度 300℃に維持された押出機で約
2mmφの棒状に押出しペレット化した。得られたペレッ
トをT−ダイを有する押出機から、樹脂温度 320℃でシ
ート状に押出し、75℃のキャスティングロール上で冷却
し厚み約 100μmのシートを作成した。
【0072】このシートを15×15cmに切り出し、金属フ
レームに全周固定し、 260℃のギヤーオーブン中で約2
秒間熱処理した。
【0073】熱処理後空冷したシートはその表面が結晶
化しており、この状態での表面の中心線平均粗さ(R
a)は 0.045μmであった。空冷されたシートを2軸延
伸機(T.M.Long社製)により95℃で 3.5×3.5 倍に同時
2軸延伸をし、厚さ9μmのフィルムを得た。
【0074】得られたフィルムの誘電正接及び体積固有
抵抗を第1表に示す。
【0075】比較例 20リットル耐圧重合缶にNMP 4.9kg、硫化ナトリウ
ム 2.5kg、および重合助剤として、酢酸リチウム二水
和物 2.0kg、そして水 360gを仕込んだ。
【0076】約 205℃に約1時間20分かけて昇温加熱し
て、水分を溜出させた後、NMP 1.6kg、p−DCB
3.0kgを仕込み、N2 置換後、 265℃まで昇温して3
時間重合させた。
【0077】反応終了後、反応混合液を濾別し、熱水洗
及び減圧乾燥してポリp−フェニレンスルフィドを得
た。
【0078】このポリマーの 310℃での溶融粘度は約20
00ポイズであった。
【0079】このようにして得られたポリp−フェニレ
ンスルフィドを温度 310℃に維持された押出機で約2m
mφの棒状に押出しペレット化した。
【0080】得られたペレットをT−ダイを具備する押
出機により 320℃でシート状に押出し、88℃のキャステ
ィングロール上で冷却し厚み約 100μmのシートを作成
した。
【0081】得られたシートを2軸延伸機(T.M.L
ong社製)を用いて、 105℃で 3.5×3.5 倍に同時2
じく延伸して厚さ約9μmのフィルムを得た。
【0082】このフィルムを金属フレームに全集固定
し、 230℃で1分間熱処理して透明なフィルムを得た。
【0083】得られたフィルムの誘電正接及び体積固有
抵抗の測定結果を第1表に示す。
【0084】
【表1】
【0085】表1からも判るように、重合助剤として酢
酸リチウム二水和物を使用した比較例のフィルムは、高
温(特に 200℃)での誘電正接が非常に大きく、1%を
越える値を示したが、本発明のフィルムの誘電正接は、
高温においても1%未満と小さい値を示した。また、 1
50℃における体積固有抵抗の値についても、比較例のフ
ィルムは、本発明のフィルムと比較して約1桁程度低い
値を示した。
【0086】実施例 5 実施例1〜4で得られたフィルムをそれぞれ2枚とアル
ミニウム箔1枚を1組とし、この2組を重ねて巻いてコ
ンデンサ素子を作成した後、80℃、10-2Torrの真空下で
アルキルナフタリンを含浸せしめ、静電容量約 0.5μF
のコンデンサを作成した。
【0087】これらの試料について、誘電損失、複合誘
電率及び短時間破壊電圧を夫々測定し、その結果を次の
第2表に示した。
【0088】
【表2】

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 重合助剤として有機酸塩を実質的に用い
    ないで製造されたポリフェニレンスルフィド樹脂からな
    るフィルム状又はシート状成形物を少なくとも一方向に
    延伸したフィルムであって、周波数10〜108 Hzで−50〜
    200 ℃の温度での誘電正接(tanδ) が 1%未満で、 150
    ℃の温度での体積固有抵抗(ρv )が1×1015Ω・cm以
    上であるポリフェニレンスルフィドフィルムを誘電体材
    料としたコンデンサー。
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Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2020072204A (ja) * 2017-10-31 2020-05-07 王子ホールディングス株式会社 樹脂フィルム、金属層一体型樹脂フィルム、及び、フィルムコンデンサ

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JPS617332A (ja) * 1984-06-20 1986-01-14 Kureha Chem Ind Co Ltd 高分子量ポリアリ−レンスルフイドの製造法

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