JPH07312125A - 電線サプライ装置 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 電線ドラムが高速回転しても、ピントルによ
って確実に電線ドラムが支持され、がたつきの発生を防
止することのできる電線サプライ装置を提供する。 【構成】 前記電線サプライ装置１は、電線ドラムＡの
軸穴ｂに嵌合するピントル２０と、このピントル２０を
回転可能に支持するピントル保持部１０と、ピントル２
０を回転させる駆動手段としての電動機とから構成され
ている。前記ピントル２０には、電線ドラムＡの軸穴ｂ
の内周面に当接するチャック爪２６と電線ドラムＡの鍔
Ｃに対向する押圧片２７とからなる略Ｌ字形のチャック
部材２５が軸支されており、前記電線ドラムＡがピント
ル２０によって挟持されると、まず、前記押圧片２７が
鍔Ｃの端面によって押され、それにともなって前記チャ
ック爪２６がわずかに回転してその先端が軸穴ｂの内周
面に当接し、電線ドラムＡが一定の状態に固定される。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】この発明は、撚線機等に電線を供
給するための電線サプライ装置、特に、電線ドラムをが
たつきなく確実に保持できる電線サプライ装置に関す
る。

【０００２】

【従来の技術】電線サプライ装置は、図６に示すよう
に、左右１対の支持アーム５１ａ、５１ｂの先端に電線
ドラムＡの軸穴ｂに嵌合するピントル５２ａ、５２ｂを
それぞれ回転可能に取り付けたものが一般的であり、一
方の支持アーム５１ａに設けられたレバー５３を操作す
ることにより、その支持アーム５１ａに取り付けられた
ピントル５２ａが出退するようになっている。

【０００３】従って、まず、一方のピントル５２ａを退
避させた状態で電線ドラムＡの軸穴ｂに他方側のピント
ル５２ｂを嵌合させ、その後前記レバー５３を操作して
前記ピントル５２ａを突出させると、ピントル５２ａが
軸穴ｂに嵌合するとともに電線ドラムＡを押圧し、両ピ
ントル５２ａ、５２ｂ間に電線ドラムＡが固定されるよ
うになっている。

【０００４】

【発明が解決しようとする課題】ところで、一般の電線
サプライ装置は、省スペースの観点から、上述したよう
に、電線ドラムＡを単にピントル５２によって挟み込む
だけの構造になっているので、電線ドラムＡが高速回転
すると、使用している電線ドラムＡの軸穴ｂが磨耗し、
電線ドラムＡにがたつきが発生するようになる。

【０００５】この様にして、一旦電線ドラムＡにがたつ
きが発生すると、そのがたつきに起因してピントルを支
持しているベアリング等も破損し、例えば、この電線サ
プライ装置から撚線機等に素線を供給している場合に
は、供給している素線張力が一定しないといった問題も
生じる。

【０００６】そこで、この発明の課題は、電線ドラムが
高速回転しても、ピントルによって確実に電線ドラムが
支持され、がたつきの発生を防止することのできる電線
サプライ装置を提供することにある。

【０００７】

【課題を解決するための手段】上記の課題を解決するた
め、この発明は、電線ドラムの両端側から、その電線ド
ラムの軸穴に嵌合して電線ドラムを挟持するピントル
と、このピントルを回転自在に支持するピントル保持部
とを備えた電線サプライ装置において、前記ピントル
に、前記電線ドラムの軸穴の周面に対して当接、離反自
在なチャック爪と、前記電線ドラムの端面に当接するこ
とにより前記チャック爪を軸穴の周面に押圧する押圧片
とからなるチャック部材を取り付けたのである。

【０００８】また、前記チャック爪及び前記押圧片の当
接面に、それぞれ弾性パットを固着しておくとよい。

【０００９】前記チャック部材としては、相互の当接面
のなす角度が９０度以下になるように、前記チャック爪
と押圧片とが連結された略Ｌ字形の部材を用い、その連
結部分を前記ピントルに軸支することによって取り付け
ることができる。

【００１０】

【作用】以上のように構成された電線サプライ装置は、
軸穴にピントルを嵌合させて電線ドラムを挟持すると、
電線ドラムの端面に前記押圧片が当接して前記チャック
爪が電線ドラムの軸穴の内周面に当接し、軸穴の内周面
を押圧する。

【００１１】特に、相互の当接面のなす角度が電線ドラ
ムの軸穴の内周面と端面とのなす角度より小さくなるよ
うにチャック爪と押圧片とを連結した略Ｌ字形のチャッ
ク部材をピントルに軸支したものにあっては、ピントル
によって電線ドラムを挟持すると、前記押圧片が電線ド
ラムの端面によって押されて僅かに回転し、これによっ
てチャック爪も同様に回転してその先端部が電線ドラム
の軸穴の内周面に押しつけられる。

【００１２】また、チャック爪及び押圧片の当接面に、
弾性パットを固着したものでは、チャック爪及び押圧片
の当接面と電線ドラムの軸穴の内周面及び端面とが完全
に密着し、スリップすることがない。

【００１３】

【実施例】以下、実施例について図面を参照して説明す
る。図１に示すように、この電線サプライ装置１は、撚
線機に裸電線を供給するためのものであり、８００φの
電線ドラムＡをセッティングできるようになっている。
この電線ドラムＡは、セッティング用の軸穴ｂを備えた
筒状の巻芯部材Ｂの両端に鍔Ｃが設けられたものであ
る。

【００１４】前記電線サプライ装置１は、同図に示すよ
うに、前記電線ドラムＡの軸穴ｂに嵌合するピントル２
０と、このピントル２０を回転可能に支持するピントル
保持部１０と、ピントル２０を回転させる駆動手段とし
ての電動機（図示せず）とから構成されている。

【００１５】前記ピントル保持部１０は、前記電線ドラ
ムＡの長さＬより広めの間隔をあけて設置された左右一
対のスタンド部材１１と、このスタンド部材１１の上端
部に設けられたピントル２０の支持部１２とから構成さ
れている。

【００１６】前記支持部１２は、図２に示すように、前
記ピントル２０に取り付けられた回転軸１３を回転自在
に支持する軸受け１４によって構成されており、この軸
受け１４にはラジアルベアリング１４ａ及び電線ドラム
を挟持したときの反力を吸収してピントルの回転を円滑
にするためスラストベアリング１４ｂが設けられてい
る。

【００１７】また、一方の支持部１２には、電線ドラム
Ａをこの電線サプライ装置に着脱する際に前記軸受け１
４を軸方向に進退させて前記ピントル２０を出没させる
進退機構１５が設けられている。この進退機構１５は、
前記軸受け１４に固定された円柱状のスライダ１５ａ
と、このスライダ１５ａをその周方向に回転可能かつ前
記ピントル２０の出没方向にスライド自在に支持するス
ライド部材１５ｂと、前記スライダ１５ａに、その回転
中心から半径方向にのびるように前記軸受１４に固定さ
れた操作レバー１５ｃとから構成されている。

【００１８】前記支持部１２のフレーム１２ａには、そ
の外側から内側に向かって下方から上方に延びる溝１２
ｂ（図１参照）が形成されており、前記操作レバー１５
ｃはこの溝１２ｂから突出している。従って、オペレー
タが、この操作レバー１５ｃを下方位置から上方位置に
持ち上げると、操作レバー１５ｃ及びこの操作レバー１
５ｃが固定されているスライダ１５ａ及び軸受１４が回
転しながら内側にスライドしてピントル２０が突出し、
逆に、操作レバー１５ｃを上方位置から下方位置に下げ
ると、ピントル２０が引っ込むようになっている。

【００１９】なお、ピントル２０によって電線ドラムＡ
を挟持するためにはかなりの力が必要になるので、上方
に持ち上げたときの操作レバー１５ｃは、エアシリンダ
３０によって引っ張ることにより固定し、電線ドラムＡ
に対する挟持力を常時与えるロック機構が設けられてい
る。

【００２０】即ち、図５に示すように、前記エアシリン
ダ３０のピストンロッド３１にはフック３２が、一方前
記操作レバー１５ｃにはそのフック３２に係止される被
係止部材１５ｄがそれぞれ取り付けられており、オペレ
ータが、同図に一点鎖線で示す位置から実線で示す位置
まで前記操作レバー１５ｃを持ち上げ、前記フック３２
を被係止部材１５ｄに掛けた後、エアシリンダ３０を作
動させて矢印の方向にピストンロッドを引っ張ると、電
線ドラムＡがピントル２０に確実に挟持さけるようにな
っている。

【００２１】また、このような進退機構１５が設けられ
ていないほうの支持部１２側には前記回転軸１３にプー
リー１６が取り付けられており、このプーリー１６と前
記電動機の回転軸に取り付けられたプーリー（図示せ
ず）との間にかけ渡されたベルト（図示せず）によって
電動機の回転力がピントル２０に伝達されるようになっ
ている。

【００２２】前記ピントル２０は、図２及び図３に示す
ように、中心には前記回転軸１３が固定された円盤状の
部材であり、前記電線ドラムＡの鍔Ｃの端面に当接する
当接部２１と前記軸穴ｂに嵌合する嵌合部２２とから構
成されている。また、前記電動機３０によって回転力が
付与されるほうのピントル２０には、半径方向に張り出
す舌片２３が連設されており、この舌片２３には、前記
電線ドラムＡの鍔Ｃに形成された凹部ｃ（図１参照）に
嵌合する係止ピン２４が設けられている。

【００２３】また、このピントル２０には、図２及び図
３に示すように、前記嵌合部２２から当接部２１にわた
って３カ所に切欠部が形成されており、この切欠部には
前記嵌合部２２に軸支されるチャック部材２５が取り付
けられている。

【００２４】このチャック部材２５は、図４に示すよう
に、電線ドラムＡの軸穴ｂの内周面に当接するチャック
爪２６と電線ドラムＡの鍔Ｃに対向する押圧片２７とか
らなる略Ｌ字形の部材であり、チャック爪２６の当接面
２６ａと押圧片２７の押圧面２７ａとのなす角度θが９
０度より若干小さく設定されている。また、このチャッ
ク部材２５は、前記チャック爪２６と押圧片２７の連結
部分が嵌合部２２に軸支されており、図３及び図４に実
線で示す状態から一点鎖線で示す状態まで、わずかの範
囲で動くことができるようになっている。また、前記チ
ャック部材２５は、前記押圧片２７の押圧面にウレタン
ゴムによって形成された弾性パット２７ａが固着されて
おり、前記電線ドラムＡの鍔Ｃの端面との密着性を高め
ている。

【００２５】従って、前記電線ドラムＡがピントル２０
によって挟持されると、まず、前記押圧片２７が鍔Ｃの
端面によって押され、それにともなって前記チャック爪
２６がわずかに回転してその先端が軸穴ｂの内周面に当
接し、電線ドラムＡが一定の状態に固定される。

【００２６】なお、このチャック部材２５では、押圧片
２７のみに弾性パット２７ａを設けているが、図４に示
すように、チャック爪２６の当接面に同様の弾性パット
２６ａを設けておいてもよい。

【００２７】

【発明の効果】以上のように、この発明の電線サプライ
装置は、ピントルによって電線ドラムを挟持すると、チ
ャック部材のチャック爪が電線ドラムの軸穴の内周面に
当接して確実に押圧するので、電線ドラムが高速回転し
てもピントルと電線ドラムがスリップしにくく、また、
かりにその軸穴が磨耗したとしてもがたつくことがな
い。従って、ピントルを支持しているベアリングの破損
が防止され、素線張力が一定の状態で撚線機等に電線を
供給することができる。

【００２８】特に、チャック爪及び押圧片の当接面に弾
性パットを固着しておくと、電線ドラムとチャック部材
とが確実に密着し、さらにスリップ防止効果を高めるこ
とができる。

【図面の簡単な説明】

【図１】この発明にかかる一実施例を示す概略図であ
る。

【図２】同上のピントル保持部の詳細を示す断面図であ
る。

【図３】同上のピントルを示す正面図である。

【図４】同上のチャック部材を示す側面図である。

【図５】同上のピントルのロック機構を示す側面図であ
る。

【図６】従来例を示す概略図である。

【符号の説明】

１０ ピントル保持部 ２０ ピントル ２１ 当接部 ２２ 嵌合部 ２３ 舌片 ２４ 係止ピン ２５ チャック部材 ２６ チャック爪 ２７ 押圧片 ３０ エアシリンダ

Claims (4)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 電線ドラムの両端側から、その電線ドラ
   ムの軸穴に嵌合して電線ドラムを挟持するピントルと、
   このピントルを回転自在に支持するピントル保持部とを
   備えた電線サプライ装置において、 前記ピントルに、前記電線ドラムの軸穴の周面に対して
   当接、離反自在なチャック爪と、前記電線ドラムの端面
   に当接することにより前記チャック爪を軸穴の周面に押
   圧する押圧片とからなるチャック部材を取り付けたこと
   を特徴とする電線サプライ装置。
2. 【請求項２】 前記チャック部材は、相互の当接面のな
   す角度が電線ドラムの軸穴の内周面と端面とのなす角度
   より小さくなるように、前記チャック爪と押圧片とが連
   結された略Ｌ字形の部材であり、その連結部分が前記ピ
   ントルに軸支されている請求項１に記載の電線サプライ
   装置。
3. 【請求項３】 前記チャック爪及び前記押圧片の当接面
   に、それぞれ弾性パットを固着した請求項１または２に
   記載の電線サプライ装置。
4. 【請求項４】 前記ピントルを電線ドラムの挟持位置と
   着脱位置との間で進退させるピントルの進退機構と、前
   記ピントルを電線ドラムの挟持位置でロックするピント
   ルのロック機構とを備えた請求項１，２又は３に記載の
   電線サプライ装置。