JPH07310430A - 布製型枠 - Google Patents

布製型枠

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JPH07310430A
JPH07310430A JP6103738A JP10373894A JPH07310430A JP H07310430 A JPH07310430 A JP H07310430A JP 6103738 A JP6103738 A JP 6103738A JP 10373894 A JP10373894 A JP 10373894A JP H07310430 A JPH07310430 A JP H07310430A
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JP
Japan
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weft
joining
warp
fabric
ground
Prior art date
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Withdrawn
Application number
JP6103738A
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English (en)
Inventor
Yoshiomi Hotta
義臣 堀田
Minoru Ishida
稔 石田
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Asahi Chemical Industry Co Ltd
Original Assignee
Asahi Chemical Industry Co Ltd
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 (修正有) 【目的】 セメントミルク、モルタルなどの流動性に富
んだ水硬性スラリーに加え、砕石などの骨材を含有する
ため流動性が悪く注入作業性に難点のあるコンクリート
スラリーの注入をも容易にする上、注入材の漏出がない
布製型枠の提供。 【構成】 地組織の緯糸と仮接合用緯糸とが一対の緯糸
単位をなす緯糸を少なくとも一部含む上下層織物から構
成され、織物層間を接合する接合用経糸5,6によって
上下層織物1,1′の所定の位置に解除性接合部が形成
されてなる二重織物であって、該接合用経糸が該上下層
織物に交互にかつ少なくとも一本以上の該仮接合用緯糸
と組織されてなる布製型枠。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、布製型枠に関する。更
に詳しくはセメントミルク、モルタルなどの流動性に富
んだ水硬性スラリーに加え、砕石などの骨材を含有する
ため流動性が悪く注入作業性に難点のあるコンクリート
スラリーの注入をも容易にする上、注入材の漏出がない
布製型枠に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来、粉粒体、液体、気体あるいはそれ
らの混合物を充填するための布製型枠の代表的なものと
しては、本出願人が先に出願した特開昭61−1793
37号公報が知られている。これは、層間を接合する接
合用経糸を含んでなる布製型枠において、前記接合用経
糸と緯糸との間の複数の接合部中の所定の接合部だけ
を、物理的外力、熱的あるいは化学的処理によって接合
用経糸を実質的に損傷することなく接合用経糸との接合
部を解除することのできる糸で形成し、布製型枠に前記
物理的外力、熱的あるいは化学的処理を施すことによ
り、前記布製型枠の層間を所定の間隔に引き離すという
ものであった。
【0003】
【発明が解決すべき課題】前記布製型枠の出現は、それ
までの各種の多層織編物よりなる布製型枠、更には特公
昭49−48206号公報にいう上層と下層を結合する
交互経糸を地経糸よりも過長化しループ状に滞留させて
織成した多層織物よりなる布製型枠などに比べ、セメン
トミルクやモルタルなどに代表される流動性の高い材料
の充填に於いては高厚層化層厚均一性充填時の面
収縮の低減化充填後の表面の平坦性向上の面において
格段に良好な結果を提供することができるようになっ
た。しかしながら、近年、施工コスト低減の観点から施
工コストの中で大きなウェートを占める注入材の材料費
を抑制するために、従来比較的多く用いられたセメント
ミルクやモルタルに変わって砕石などの骨材を含んだ流
動性の低いコンクリートスラリーが多く用いられるよう
になってきている。このため初期の層間間隔が比較的薄
い前記の布製型枠に於いては、仮接合用緯糸に低強度糸
を用いた場合にはコンクリートスラリーの注入がスムー
ズに行えず均一な厚みに充填できないという問題があっ
た。また、仮接合用緯糸に水溶性繊維や水溶性紙をスリ
ットしたテープヤーンまたは前記テープヤーンに撚をか
けて糸状にしたものなどを用いた場合には注入する水硬
性スラリー中の水分との接触によって仮接合用緯糸が速
やかに溶出してしまうために容易に層間間隔が拡張され
る。このためコンクリートスラリーの注入は可能になる
ものの、同時に上層および下層の織物組織中に配列され
た仮接合用緯糸までもが溶出してしまうために図5に示
すように、層間間隔拡張部分では1つの経糸開口内に非
解放性緯糸が2本並んで配列されたいわゆる同口緯入れ
の状態となるために組織点の数が1/2に減る極めてル
ーズな織物組織となり、圧入されたコンクリートスラリ
−がこの部分から漏出してしまうという問題があった。
このため、前記の布製型枠はコンクリートスラリー等、
流動性の低い注入材を用いる施工には問題があった。
【0004】
【課題を解決するための手段】本発明は、前記の問題点
を解決するために鋭意研究を重ねて完成された改良発明
であり、本発明の目的は、地組織の緯糸と仮接合用緯糸
とが一対の緯糸単位をなす緯糸を少なくとも一部含む上
下層織物から構成され、織物層間を接合する接合用経糸
によって上下層織物の所定の位置に解除性接合部が形成
されてなる二重織物であって、該接合用経糸が該上下層
織物に交互にかつ少なくとも一本以上の該仮接合用緯糸
と組織されてなることを特徴とする布製型枠によって達
成される。
【0005】本発明の布製型枠は、上層織物と下層織物
の間にタテ、ヨコ所定間隔をもって上下層の層間を部分
的に接合する接合用経糸によって接合一体化した二重織
物よりなる。本発明において接合用経糸は、図1に示す
ように上層織物と下層織物の層間を所定の間隔を保って
接合する機能を担い、地の経糸とは別の接合専用経糸で
あり、本発明においては、接合用経糸は布製型枠の初期
状態においては、上下織物層中の仮接合用緯糸と交互に
組織を形成したいわゆる折り畳み構造を採っているとと
もに、水または各種水溶液または生物分解性物質または
熱などによる処理を事前に施したり、或いはまた、セメ
ントミルク、モルタル、コンクリートなどのいわゆる水
硬性スラリーの注入充填によって、仮接合用緯糸との組
織点が解除され、この結果、上下層の層間が拡張され
て、所定の層厚を有する布製型枠を形成する。
【0006】接合用経糸は、層間拡張後、少なくとも水
硬性スラリーの硬化が完全に完了し、硬化成形物の形状
が全く変化しなくなる迄は、上下織物層の層間を所定の
間隔に保つ機能を有する。接合部においては、接合用経
糸は上下織物層に所望の設計に基ずき交互に織込まれ、
各層において仮接合用緯糸とのみ交互に組織を形成し、
地の緯糸とは組織を形成することなく複数の接合部を形
成する。該接合部における接合用経糸と仮接合用緯糸と
の交錯は、仮接合用緯糸1本以上をもって組織される。
このため、仮接合用緯糸との組織点を解除することによ
って上下織物層の層間間隔を所望の間隔に拡張できるの
である。
【0007】接合用経糸の素材としては、仮接合用緯糸
を除く上下層の織物と同様に、水または各種水溶液、生
物分解性物質または200℃未満での加熱処理などによ
って溶解、分解、溶融、さらには著しい強力低下や著し
い伸度増加などを起こさない繊維、例えばポリアミド、
ポリエステル、芳香族ポリアミド、全芳香族ポリエステ
ル、高分子量ポリエチレン、ポリビニルアルコール、高
分子量ポリビニルアルコール、ポリアクリロニトリルな
どの合成繊維や金属、ガラス、炭素系などの無機繊維な
どを用いることが出来るが、水硬性スラリーの注入圧に
よって破断することなく、且つ、上下層の層間間隔を保
持すべき点から、高強度、低伸度、高弾性率のいわゆる
高強力高弾性繊維を採用することは特に好ましい。ただ
し、本発明に於いては上記の要件を満たせば特にこれら
繊維に限定されない。繊維形態についても、長繊維糸、
紡績糸のいずれを用いてもよく、また繊維形状も通常の
円形断面糸、異形断面糸、発泡糸、コンジュゲート糸な
どを用いることができ、また単繊維繊度についても、使
用上特に限定されるものではなく、さらにそれらの繊維
を単独あるいは複合して使用することもでき、また物理
加工、化学加工などを施した加工糸として用いてもよ
い。繊度、配列ピッチ、配列パターン、配列本数などに
ついては、注入圧によって破断せず、所定の層厚を保持
でき、且つ傾斜地盤上での施工に於ても接合用経糸の上
下層織物の地組織内での滑動による下膨れ現象が起こら
なければよく、特に制約されない。接合用経糸の上下層
織物の地組織内での滑動防止の点から表面に凹凸を有す
る糸、あるいは表面が毛羽で覆われた糸、あるいは樹脂
加工、ゴム加工等を施した加工糸を用いることは特に好
ましい。
【0008】一般に、繊度は1000d〜30000d
より好ましくは2000d〜20000d、配列ピッチ
は1mm〜15mmより好ましくは3mm〜10mm、
配列パターンは格子状または千鳥状、配列本数は3本〜
30本より好ましくは5本〜20本/1接合部当り*各
層、撚形態は有撚糸とするのが経験上から好ましい。接
合用経糸の設計パターンによって決定される二重織物の
初期層間間隔は、3mm〜50mmより好ましくは10
mm〜30mmとするのがよい。3mm未満ではコンク
リートスラリーのように骨材を含有した流動性の低い充
填材を注入する場合において注入性に問題があるととも
に、接合用経糸を密集化させたりすることができなくな
り、製品の品質面で十分なものを得ることができない。
また50mmを超えると製織面でいくつかの問題がでて
くるためである。
【0009】本発明において、接合部とは接合用経糸が
上下織物層中の仮接合用緯糸と交錯すなわち組織してい
る部分を云い、所定の位置とは絶対的に固定された特定
の位置を意味するものではなく、布製型枠の設計に際し
てその都度決める任意の位置のことであり、布製型枠の
設計のたびに変わる可能性のあるものである。本発明で
用いられる水硬性スラリーとしては、流動性に富んだセ
メントミルクやモルタル、また砕石などの骨材を含有す
るため流動性に難のあるコンクリートスラリー、更には
石膏などである。このうち、コンクリートスラリーにつ
いては、骨材粒径サイズ1mm〜30mmのものが用い
られる。
【0010】本発明において、仮接合用緯糸とは所定の
初期厚みを有する二層構造の織物を織成するに際して
は、所定厚みを出すため図1に示すように上層織物と下
層織物の間に計画的に折り畳んだ状態で供給される接合
用経糸を一時的に上層織物および下層組織と結合させる
役目を持つと共に、例えば施工時の注入材充填に際して
は図3に示すように水硬性スラリーなどの注入材や水な
どとの接触によって速やかに溶出して接合用経糸を拘束
状態から解放し、層間間隔を所定厚みに容易に拡張させ
る役目を持つ緯糸を云う。したがって、仮接合用緯糸に
は所定厚みを出すために接合用経糸を所定の開口ライン
まで確実に引き上げておく機能と、水硬性スラリーなど
の各種水溶液や水などとの接触によって速やかに溶解す
る機能または生物分解性物質との接触によって速やかに
分解される機能または加熱処理によって容易に溶融する
機能などの消失性機能が要求される。このような消失性
機能を有する繊維または糸状物として、水または各種水
溶液用としては水溶性ビニロンなどの水溶性繊維をはじ
め水溶性紙をスリットしたテープヤーンまたは前記テー
プヤーンに撚をかけて糸状に加工したものなどを用いる
ことができるが、水溶性ビニロンを用いることは織成の
しやすさや前記機能の安定性などの面から特に好まし
い。また、水溶性ビニロンにも各種のタイプがあるの
で、溶解性能や粘着性、温湿度によるヤング率変化など
を考慮して選択するのが望ましい。生物分解性機能を有
する繊維または糸状物としては、蛋白質系繊維などを例
示することができる。
【0011】また、加熱処理によって容易に溶融する機
能を有する繊維または糸状物としては、例えば、ポリエ
チレンやポリプロピレンなどのポリオレフィン系繊維な
どに代表される低融点繊維がある。仮接合用緯糸の一般
的な強度としては、好ましくは1.0g/d以上より好
ましくは3.0g/d以上であるが必ずしもこれに限定
されるものではない。1.0g/d未満の低強度では接
合用経糸を所定位置まで引き上げ、保持することが難し
いためである。繊度としては、好ましくは200d〜1
000d程度より好ましくは300d〜600d程度で
あるが必ずしもこれに限定されるものではない。
【0012】200d未満程度に細くなると接合用経糸
を所定位置まで引き上げ、保持することが難しいし、1
000d以上に太くなると溶解性または融解性または分
解性が低下するためである。糸の供給形態は無撚、有撚
の如何を問わず、溶解性または融解性または分解性や製
織性、層厚保持性などから総合的に判断して適宜選定す
るのがよい。
【0013】本発明においては、仮接合用緯糸は水硬性
スラリーなどの各種水溶液や水による処理、または酵素
などの生物分解性物質による処理、または加熱処理など
の手段を用いて除去される。この処理には、水硬性ス
ラリーの注入による方法(予め、前記3方法の内の何れ
かの方法で布製型枠を処理することなく、布製型枠内に
直接水硬性スラリーを注入し、水硬性スラリーとの接触
による溶解または水硬性スラリーの注入圧力によって層
間間隔を拡層する方法)布製型枠を予め前記3方法の
内の何れか1つの任意の方法で処理し、水硬性スラリー
を注入する前に層間間隔を拡層しておく方法の2つの方
法があり、必要に応じて何れの方法をも選択することが
できる。
【0014】なお、水溶性ビニロンを水または各種水溶
液で処理する場合には、処理液温度が高いほど溶解速度
が大きくなるので、高温サイドで処理するのが望まし
い。一方、地の緯糸は、水または各種水溶液、生物分解
性物質または200℃以下の加熱処理などによって溶
解、分解、溶融や著しい強力低下を起こさない繊維、例
えばポリアミド、ポリエステル、芳香族ポリアミド、全
芳香族ポリエステル、高分子量ポリエチレン、ポリビニ
ルアルコール、高分子量ポリビニルアルコール、ポリア
クリロニトリルなどの合成繊維や金属、ガラス、炭素系
などの無機繊維などを用いることが出来るが、水硬性ス
ラリーの注入圧によって破断することがないよう高強
度、高弾性率のいわゆる高強力高弾性繊維を採用するこ
とは特に好ましい。ただし、本発明に於いては上記の要
件を満たせば特にこれら繊維に限定されない。繊維形態
についても、長繊維糸、紡績糸があり、また繊維形状も
通常の円形断面糸、異形断面糸、発泡糸、コンジュゲー
ト糸などがあり、また単繊維繊度についても種々あり、
使用上特に限定するものではなく、それらの繊維を単独
あるいは複合して使用することができ、また物理加工、
化学加工などを施した加工糸として用いてもよい。
【0015】本発明においては、接合部を解除すること
により、その接合部から遊離した接合用経糸は、上下層
間を所望の間隔に引き離すことが可能となる。引き離さ
れた上下層間厚みは、初期(織成時)の上下層間厚みの
最低2倍以上を有するものとなり、これは接合法形態、
接合部形態によって大きく左右され、それらを適宜選定
することにより、初期(織成時)の数倍〜数十倍あるい
は数百倍の所望厚みを得ることも可能となる。
【0016】なお、本発明の布製型枠は、初期(織成
時)の上下層間厚みが小さくても、解除によって引き離
される上下層間厚みを極大化せしめることが可能とな
る。本発明では、図1に示すように、接合部においては
接合用経糸は上下織物層の仮接合用緯糸とのみ交互に組
織を形成し、地の緯糸とは組織を形成しないとともに、
地の経糸は、地の緯糸と仮接合用の緯糸を一対の緯糸単
位として組織する構造を有することが重要である。
【0017】即ち、従来の如く、接合部において地組織
構成用の経糸が仮接合用緯糸とのみ組織する構造にあっ
ては、仮接合用緯糸を溶解または分解または溶融処理に
よって除去することにより、仮接合用緯糸との間で形成
されていた組織点が消滅し、この結果、接合部において
は地組織の組織点が1/2に減少する。このため、図5
に示すように地組織の1つの経糸開口内に、隣接する経
糸開口内から滑動してきた地の緯糸が加わって2本の地
の緯糸が並んで配列されたいわゆる同口組織の状態とな
り、ルーズな組織を形成することとなり、注入中の充填
材が注入圧の作用によって前記した同口組織部分から漏
出するという問題があったが、本発明では、接合部にお
いて地組織構成用の経糸が地の緯糸と仮接合用の緯糸を
一対の緯糸単位として組織する構造を採っているため、
仮接合用緯糸を溶解または分解または溶融処理によって
除去した後においても、1つの経糸開口内には必ず地の
緯糸が残存するために組織点の減少がなく堅固な組織状
態を保持することができる。
【0018】このため、本発明の布製型枠は容易に拡層
できる上、注入圧が作用しても充填材の漏出などの問題
がないのである。このような織物を製造するに当たって
は、通常の多段開口織機あるいは多段織機を用いて製造
する。すなわち、開口操作あるいは多段の開口装置設置
により、上下層間隔を保持して織るものであり、接合用
経糸は地の経糸とは別の供給源より行い、接合部と上下
層交互に接合する箇所では糸送り量をその都度調整して
供給する。
【0019】以上の如き構成よりなる本発明の布製型枠
は織物の段階で、あるいは一定の大きさに仕上げられた
中間製品の段階で、あるいは充填物充填時の製品製造段
階で接合部における交錯(組織)を解除して層間を所望
の間隔に引き離すことができる。どの段階で解除するか
は織構成、使用目的、用途等に応じて適宜選定すればよ
く、特に限定するものではない。
【0020】また、本発明の布製型枠の織組織は平織、
綾織、朱子織あるいはそれらの変化組織であってもよ
い。また、本発明の布製型枠を構成する接合部中の所定
の解除される接合部(以下解除性接合部という)は、タ
テ、ヨコ方向ともに密にあるいは一方向のみ密にあるい
は両方向ともに疎になるように配置してもよく、また、
解除性接合部を解除するに当たっては、タテ、ヨコ方向
ともに部分的にあるいは、一方向のみ全面的にあるいは
部分的に解除可能な構成としてもよく、また、解除形態
は全面均一にあるいは不均一に解除可能な構成としても
よい。従って解除後の形態は、全面ほぼ均一な厚みのフ
ラット性を有するもの、あるいは全面が不均一な凹凸形
状を有するものを得ることが出来るが、形態上特に限定
するものではない。それらの条件は使用目的、使用内
容、用途に応じて適宜選定し構成するものである。
【0021】また、本発明の布製型枠は、他の織物、編
物、不織布、ネット等を重ね合わせて一体化したり、あ
るいは他部材を取付けたり、あるいは物理加工、化学加
工等を施して、取扱い性の向上、製品機能の向上などを
図ることが出来、使用上特に限定するものではない。そ
れらの条件は使用目的、使用内容、用途等に応じて適宜
選定し採用すればよいものである。
【0022】
【作用】本発明の布製型枠は、接合用経糸により所定の
位置が接合された部分を有する水硬性スラリーを充填す
るための二重織物であり、その接合部においては上下層
の織物を構成する緯糸は、地の緯糸と仮接合用緯糸とか
ら構成されており、水溶性繊維または生物分解性繊維ま
たは低融点繊維および水不溶性で生物難分解性または融
点が200℃以上の繊維で構成されており、一方、接合
用経糸は上下織物層の仮接合用緯糸と交互に組織を形成
し、地の緯糸とは組織を形成しないとともに接合部にお
いては地の経糸は、地の緯糸と仮接合用の緯糸を一対の
緯糸単位として組織する構造であるため、流動性に富む
セメントミルク、モルタルはもとより、砕石などの骨材
を含有するために流動性が悪く、これまでの布製型枠で
は注入作業性に難があったコンクリートスラリーの注入
をも極めて容易にする上、注入材の漏出が全くない。
【0023】
【実施例】本発明になる布製型枠の接合部の解除機能の
一例として、水溶解方式による解除機能について以下に
添付図面を用いて説明するが、本発明は本実施例になん
ら制約を受けるものではない。上層織物1と下層織物
1′とを初期(織成時)厚みtをもって、タテ,ヨコ所
定間隔に層間を接合する接合用経糸5,6を有して、上
層織物1および下層織物1′を通じて部分的に織込ま
れ、上下織物層1,1′において、緯糸と交錯して複数
の解除性接合部1a,1b…,2a,2b…を形成す
る。解除性接合部1a,1b…,2a,2b…における
接合用経糸5,6と緯糸との交錯は、緯糸1本以上をも
って組織するが、この上下織物層1,1′における各交
錯(組織)形態、交錯数(すなわち接合部の長さに当
る)等は、種々あり特に限定するものではなく、その都
度、適宜選定するが、無解除の接合部を形成する接合用
経糸5,6と地緯糸3,3′との交錯は、地緯糸3,
3′を1本以上をもって行う。この交錯数は、解除後の
厚みの出し方および接合本数の設定の仕方で決める。
【0024】一方、解除性接合部を形成する接合用経糸
5,6と水溶性緯糸4,4′との交錯は、水溶性緯糸
4,4′を1〜20本をもって行うのが好ましい。1本
未満では交錯されず、21本以上では水溶性緯糸4,
4′が多くなるため溶解解除にやや時間が掛かる上、解
除後の上下層接合が斜行するので形態上好ましくない。
本発明においては、少なくとも一方の層1あるいは1′
において、複数個の解除性接合部1a,1b…あるいは
2a,2b…の内、所定の解除性接合部内の接合用経糸
5,6と交錯する緯糸には、易水溶性の水溶性緯糸4,
4′を用い、他部の緯糸には地緯糸3,3′を用いる。
【0025】本発明では、この接合用経糸5,6と水溶
性緯糸4,4′とが交錯(組織)する解除性接合部にお
いては、水溶性緯糸4,4′を全て溶解して交錯(組
織)を解除することにより、接合用経糸5,6を該接合
部の層から遊離化せしめる。一方、接合用経糸5,6と
地緯糸3,3′とが交錯(組織)する接合部において
は、交錯(組織)を無解除とし、初期の状態で維持せし
める。従って、前者の水溶性緯糸4,4′の溶解によっ
て遊離化した接合用経糸5,6は自ら、あるいは解除さ
れた層と反対層の接合部を滑動して隣接する接合用経糸
5,6に供されて、あるいは前者,後者を併用した形を
もって上下層織物1,1′を所望の間隔(厚み)Tに引
き離すことが可能となる。このTは、水溶性緯糸4,
4′の配置、接合法によって種々異なり、また、初期
(織成時)厚みtによっても大きく変わり、また、使用
用途によっても変わるため、特に限定するものではない
が、本発明の構成によれば、T≒(N+1)・tあるい
はT≒(2N+1)・t(但し、Nは水溶性緯糸4,
4′使用の接合部の数で上下層を引き離そうとする部分
における上下層に発生する接合部の総計をもって表わ
す)となる。たとえば、t=20mm,N=6とすると
前者のTは140mm,後者のTは260mmと初期
(織成時)厚みtに比べて厚層化する。更に、tまたは
Nを増すことにより、Tは極厚層化し、従来出来なかっ
た十数cm,数十cmあるいは数百cmの厚み(T)の
ものが可能となるのである。
【0026】この水溶性緯糸4,4′を溶解して、解除
性接合部の交錯(組織)を解除する方法としては、織成
後の織物段階であるいは縫製等によって一定の大きさに
仕上げられた中間製品の段階で、水を散布するかあるい
は水の中に浸せきするなどの方法によって行う。あるい
は、製品製造段階の水硬性スラリーの充填によって行
う。
【0027】この場合、代表的な水溶性繊維である水溶
性ビニロンは、処理水の水温が高い程溶解度が高くなる
性質を有しているので、この点を考慮に入れるのが望ま
しい。また、本発明の布製型枠を構成するに当たって
は、地緯糸3,3′と接合用経糸5,6とが交錯した接
合部内において、該接合用経糸5,6が反対層に転換す
る部分の緯糸は、地緯糸3,3′強力よりも高い、好ま
しくは、地緯糸3,3′強力の2倍以上の強力を有する
補強用緯糸7,7′をもって構成する。この補強用緯糸
7,7′が地緯糸3,3′よりも低いと、水溶性緯糸
4,4′を溶解して解除性接合部の交錯(組織)を解除
する際、補強用緯糸7,7′が破断され、しいては地緯
糸3,3′の破断にも至り所望の上下層間隔を得ること
が出来なくなることがあり、好ましくない。この補強用
緯糸7,7′は地緯糸3,3′強力よりも高ければ使用
上特に限定されるものではなく、糸種により、あるいは
デニールにより、あるいは組織により補強することがで
きる。たとえば、地緯糸3,3′がポリアミド840d
であれば補強用緯糸7,7′はポリアミド840d/2
またはポリアミド1890d使いとすることは好まし
い。
【0028】また、接合用経糸5,6の地組織内での滑
動を防止するために、両際の地経糸の糸密度を高くした
り、あるいは無解除部の接合部における地緯糸3,3′
の糸密度を高くしたり、あるいは無解除部の接合部にお
いて接合用経糸5,6と地緯糸3,3′を平織構成した
り、あるいは樹脂、ゴム等を用いた接着加工等を単独あ
るいは複合して行うことにより、接合用経糸5,6の地
組織内での滑動を抑制することができるが、本目的を達
成し得るものであれば何れの方法、手段を用いてもよ
く、これらに限定されるものではない。
【0029】次に、本発明による布製型枠の態様の一例
を以下に具体的に説明する。図1において、接合用経糸
5は、上下層織物を通じて1,1′初期(織成時)厚み
tをもって交互に織込む。すなわち、接合用経糸5は、
各層1,1′の緯糸と部分的に交錯して、上層織物1側
では、1a,1b,1c …の複数の解除性接合部を、下層
織物1′側では2a,2b,2c …の複数の解除性接合部
をもって構成する。これら解除性接合部において、接合
用経糸5と交錯する緯糸は、上層織物1側の1a,1b,
1cおよび下層織物1′側の2a,2b,2cでは水溶性緯
糸4,4′をそれぞれ1本用い、また、他の接合部1d
では地緯糸3,3′をそれぞれ複数本用い、さらには、
接合用経糸5が反対層に転換する部分の地緯糸には補強
用緯糸7,7′をもって構成する。図2は、その平面図
を示したものであり、接合用経糸5は、実線、破線で示
す如く上下層織物1,1′の長さ方向に幅方向に所定間
隔をもって配列し、かつ太実線で示す部分において水溶
性緯糸4,4′と、また、補強用緯糸7,7′と交錯し
て構成されている。この布製型枠を高厚み化するに当っ
ては、水溶性緯糸4,4′を用いた解除性接合部すなわ
ち、上層織物1側の1a,1b,1cおよび下層織物1′
側の2a,2b,2cの水溶性緯糸4,4′を溶解するこ
とにより、接合用経糸5は、その解除性接合部の層から
遊離し、図3に示す如く、遊離化した接合用経糸5は、
自ら上下層織物1,1′間を所望の間隔Tに引き離すこ
とが可能となるのである。図3に示す高厚化した織物の
層間隔Tは初期の厚みtに対し約7倍となる。一方、接
合部の内、地緯糸3,3′を使用して構成した接合部1
dは何ら変化せず、初期の接合状態を保持している。
【0030】
【発明の効果】本発明の布製型枠は、前述のように構成
されているので、以下に示す特徴、効果がある。 (1) 織物層間を容易かつ均等にして所望の間隔に引き
離し、厚層化することが可能である。
【0031】(2) 砕石等の骨材を含有した流動性の悪
いコンクリートスラリーも容易に注入することが出来
る。 (3) 注入材の漏出がない。 (4) 層間を接合する接合用経糸は、織物の厚層化にか
かわらず、層に対してほぼ垂直に立てることが出来るた
め、注入材の充填に際しては充填縮みがなく、表面がほ
ぼフラットなものが得られる。
【0032】(5) 層間を接合する接合用経糸と層とは
摩擦抵抗が高いため、滑りにくく、均一な厚みのものを
得ることが出来る。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の布製型枠の織成後(層間が引き離され
る前の状態)の織物組織の縦断面の一例を模式的に示し
た図である。
【図2】本発明の布製型枠の平面の一例を模式的に示し
た図である。
【図3】本発明の布製型枠の層間が引き離された状態に
おける織物組織の縦断面の一例を模式的に示した図であ
る。
【図4】従来の布製型枠の織成後(層間が引き離される
前の状態)の織物組織の縦断面の一例を模式的に示した
図である。
【図5】従来の布製型枠の層間が引き離された状態にお
ける織物組織の縦断面の一例を模式的に示した図であ
る。
【符号の説明】
1 上層織物 1′下層織物 3 地緯糸(上層織物) 3′地緯糸(下層織物) 4 水溶性緯糸(上層織物) 4′水溶性緯糸(下層織物) 5,6 接合用経糸 7 補強用緯糸(上層織物) 7′補強用緯糸(上層織物) 1a〜1d 上層接合部 2a〜2c 下層接合部 t 織成後の層間隔(厚み) T 水溶性緯糸溶解後の層間隔(厚み)

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 地組織の緯糸と仮接合用緯糸とが一対の
    緯糸単位をなす緯糸を少なくとも一部含む上下層織物か
    ら構成され、織物層間を接合する接合用経糸によって上
    下層織物の所定の位置に解除性接合部が形成されてなる
    二重織物であって、該接合用経糸が該上下層織物に交互
    にかつ少なくとも一本以上の該仮接合用緯糸と組織され
    てなることを特徴とする布製型枠。
JP6103738A 1994-05-18 1994-05-18 布製型枠 Withdrawn JPH07310430A (ja)

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Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN102787584A (zh) * 2012-07-26 2012-11-21 宁波市胜源技术转移有限公司 一种复合土工模袋布
JP2015163745A (ja) * 2009-01-29 2015-09-10 コンクリート キャンバス テクノロジー リミテッドConcrete Canvas Technologyltd. 含浸布
KR20170091852A (ko) * 2016-02-02 2017-08-10 정운식 토목섬유

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CN102787584B (zh) * 2012-07-26 2014-07-09 宁波市胜源技术转移有限公司 一种复合土工模袋布
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