JPH0731026Y2 - 流体漏洩防止部材 - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本考案は、継手と管とのネジ接合
部を被覆する流体漏洩防止部材に関するものである。

【０００２】

【従来の技術】従来から、継手と管とのネジ接合部を被
覆する流体漏洩防止部材として、溶接あるいは接着剤等
によるものが一般に使用されている。

【０００３】

【考案が解決しようとする課題】しかしながら、かかる
従来の継手と管とのネジ接合部を被覆する流体漏洩防止
部材にあっては、溶接によるものは、溶接箇所で収縮に
よる変形をおこし易いので、溶接方法、溶接材料及び溶
接機器と相俟って設計施工の面から最適条件を選定する
ことが困難であり、一方、接着剤によるものは、ネジ接
合部の金属表面層に付着力をつけるため表面処理を施す
など手間がかかるとともに、接着箇所が経時変化して劣
化するという問題がある。

【０００４】本考案は、上述の実情に鑑み、ガス等の流
体の漏洩を有効に防止ししかも施工を簡便に行い得るよ
うにした、継手と管とのネジ接合部の流体漏洩防止部材
を提供することを目的としてなしたものである。

【０００５】

【課題を解決するための手段】本考案は、継手と管との
ネジ接合部に、内周面が前記継手と前記管との外周に合
せて形成されたシール用軟質ゴムバンドを嵌装するとと
もに、該シール用軟質ゴムバンドの外周面に、円周方向
に所定の間隔を隔ててフックを突設した締付用金属バン
ドを被嵌し、該締付用金属バンドの両フック間に形状記
憶合金より形成した締付金具を、形状記憶合金が常温に
なったときに前記シール用軟質ゴムバンドが緊締される
よう係止したものであり、又継手と管とのネジ接合部
に、内周面が前記継手と前記管との外周に合せて形成さ
れたシール用軟質ゴムバンドを嵌装するとともに、該シ
ール用軟質ゴムバンドの外周面に、円周方向に所要の間
隔を隔てて前記管の径方向外方へ向く締付工具係合片を
突設した締付用金属バンドを被嵌し、該締付用金属バン
ドの一方の締付工具片よりも円周方向端部側に、前記管
の軸線と平行な軸線に対して回動可能な連結部材を枢着
し、前記締付用金属バンドの他方の締付工具係合片より
も円周方向端部側に前記連結部材が係合し得る連結部材
係合片を取付けても良い。

【０００６】

【作用】締付用金属バンドの固定に形状記憶合金を用い
た場合は、形状記憶合金が常温になると、該形状記憶合
金が塑性変形し、締付用金属バンドが締付けられる。又
絞付用金属バンドの固定に連結部材を用いた場合は、締
付工具により締付工具係合片を引き寄せるように締付け
用金属バンドを引張り、連結部材を連結部材係合片に係
合させる。このためシール用軟質ゴムバンドが圧縮され
てネジ接合部に密着し、該ネジ接合部からの流体の漏洩
を完全に防止できる。

【０００７】

【実施例】以下、本考案の実施例を添付図面に基づいて
説明する。

【０００８】図１〜図４は本考案の一実施例を示す。

【０００９】図４に示すように、継手１と管２とのネジ
接合部３には、流体の漏洩がある場合に、流体漏洩防止
部材４が取付けられる。

【００１０】図１に示すように、流体漏洩防止部材４
は、略環状に形成され且つ継手１と管２に密着して嵌装
するよう、内周面に厚肉部５と薄肉部６を有ししかも円
周方向の１個所を外周側から内周側に向けて斜めに切断
したシール用軟質ゴムバンド７と、円周方向両端部が部
分的に重なり合って環状に形成され且つ両端部近傍に夫
々フック８，８が円周方向へ所要の間隔を隔て且つ径方
向外方へ突出するよう取付けられたステンレス製薄板の
締付用金属バンド９と、閉曲線状に形成され且前記締付
用金属バンド９の両フック８，８に跨って係止される形
状記憶合金製の締付金具１０とを備えている。

【００１１】流体漏洩防止部材４を取付ける場合には、
前記シール用軟質ゴムバンド７を、切断部を開いた状態
でネジ接合部３の外周にセットして、厚肉部５が管２の
外周に密着し、薄肉部６が継手１の外周に密着するよう
嵌装し、両切断部を重ね合せ、締付用金属バンド９を重
ね合せ部を開いた状態で前記シール用軟質ゴムバンド７
の外周面に被嵌して両端部を重ね合せ、締付用金属バン
ド９のフック８へ締付金具１０を係止する。締付金具１
０は、フック８に係止する際には、加熱されて図２に示
すように略矩形状であるが、常温まで温度が下降すると
可逆的に塑性変形して図３に示すようにフック８，８間
の部分がへこんだ略８の字形の元の形状に戻り、両フッ
ク８，８を締付用金属バンド９の重ね代が増加する方向
へ引張る。このため、締付用金属バンド９は締付られ
て、シール用軟質ゴムバンド７が圧縮されてネジ接合部
３に密着し、その結果、ネジ接合部３からの流体の漏洩
は完全に防止される。

【００１２】図５は、図５及び図６に示す締付工具１４
を用いて締付けるようにした本考案の流体漏洩防止部材
の他の実施例を示し、図中、図１〜図４に示すものと同
一の物には同一符号が付してある。

【００１３】締付用金属バンド９の円周方向両端部近傍
には夫々後述の締付工具１４の第一リンク１９及び第二
リンク２０の下端が係合し得る締付工具係合片１１，１
２を内周方向へ所要間隔を隔て且つ径方向へ突出して固
定するとともに、前記締付工具係合片１１よりも締付用
金属バンド９の端部側に管２の軸線と平行な軸線に対し
て揺動自在なステンレスリング等からなる連結部材１３
を取付け、前記締付工具係合片１２よりも締付用金属バ
ンド９の端部側に前記連結部材１３が係合し得る連結部
材係合片１２’を取付けて構成される。

【００１４】前記締付用金属バンド９を締付ける締付工
具１４はハンドル１５により作動するリンク機構１６に
より構成される。

【００１５】該リンク機構１６は、側面形状が略Ｌ字状
をし、且つ折り曲げ部が互に離れるよう配置され、中途
部と上端部が軸１８により相互に軸支される二股状の第
一リンク１９と第二リンク２０とにより形成される。

【００１６】上端にハンドル１５が固定され、且つ中途
部に雄ねじが刻設された垂直軸１７には軸２２が水平且
つ回転可能に支持され、軸２２の中途部に形成した大径
部２１には前記第一リンク１９の上端部が螺合されてい
る。

【００１７】又、前記第二リンク２０の折り曲げ部に軸
２３が水平且つ回転可能に支持され、軸２３には前記垂
直軸１７の下部が連結されている。

【００１８】次に、上記実施例の作動を説明する。

【００１９】前記締付用金属バンド９の両端部に突出し
て固定した締付工具係合片１１，１２の側面に前記締付
工具１４の第一リンク１９及び第二リンク２０の両端部
をやや堅く抱くように当接し、続いて、前記ハンドル１
５の垂直軸１７を軸２２，２３間の距離が大きくなるよ
うに回動すると、前記リンク機構１６は前記軸１８を介
して回動し前記第一リンク１９と第二リンク２０とは互
に引き寄せられて締付工具係合片１１，１２間の距離が
縮められてゆき、該締付工具係合片１１，１２間の距離
が所定の間隔になったら前記締付用金属バンド９の先端
に揺動自在に設けられた連結部材１３を前記連結部材係
合片１２’にロックする。前記連結部材１３が前記連結
部材係合片１２’にロックされたら、今度は、前記ハン
ドル１５を前記軸２２，２３間の距離が小さくなるよう
前記垂直軸１７を回動すると、前記第一リンク１９と第
二リンク２０とは前記締付工具係合片１１，１２の側面
から引き離されて前記締付工具１４を取り外すことがで
き、同時に前記締付用金属バンド９自体の弾撥力によっ
て前記連結部材１３を介して前記締付工具係合片１１，
１２同志が引っ張り合って締め付けるため、前記シール
用軟質ゴムバンド７は圧縮されて前記ネジ接合部３に密
着し、流体の漏洩は完全に防止できる。

【００２０】なお、本考案の実施例においては、流体漏
洩防止部材を補修に用いて説明したが、設備の新設時
に、全てのネジ接合部に当初から流体漏洩防止部材を取
付けるようにしても良いこと、本考案の流体漏洩防止部
材はガスを初めとして水、蒸気等種々の流体の漏洩の防
止に適用できること、流体漏洩防止部材を取付ける管が
縦向きの管の場合は、締付用金属バンドがずり落ちない
程度に締付け得るよう、締付金具や連結部材の寸法を決
定する必要があること、その他本考案の要旨を逸脱しな
い範囲内で種々変更を加え得ること、等は勿論である。

【００２１】

【考案の効果】本考案の流体漏洩防止部材によれば、請
求項１においては形状記憶合金により形成される締付金
具で締付用金属バンドが締付られ、又、請求項２におい
ては締付工具によって締付工具係合片を連結部材でロッ
クすることで締付用金属バンドが締付けられるのでシー
ル用軟質ゴムバンドは均一に圧縮され、ネジ接合部に密
着するので流体の漏洩を有効に防止でき、更に、施工も
簡便である。

【図面の簡単な説明】

【図１】本考案の流体漏洩防止部材を部品に分解した状
態を示す斜視図である。

【図２】本考案の流体漏洩防止部材において、フック間
に加熱された締付金具を取付けた状態を示す斜視図であ
る。

【図３】本考案の流体漏洩防止部材において、フック間
に取付けた締付金具が常温になった状態を示す斜視図で
ある。

【図４】本考案の流体漏洩防止部材をネジ接合部に取付
けた状態を示す側面図である。

【図５】本考案の流体漏洩防止部材の他の実施例であっ
て、締付用金属バンドの締付治具を締付工具で締付けて
いる状態を示す側面図である。

【図６】図５に示す締付工具のＶＩ−ＶＩ方向矢視図で
ある。

【符号の説明】

１ 継手 ２ 管 ３ ネジ接合部 ７ シール用軟質ゴムバンド ８ フック ９ 締付用金属バンド １０ 締付金具 １１ 締付工具係合片 １２ 締付工具係合片 １３ 連結部材

フロントページの続き (72)考案者 浜崎 茂 東京都港区芝５丁目29番19号 財団法人日 本ガス機器検査協会内 (72)考案者 三室 公厚 東京都台東区東上野２丁目19番３号 ガス ミックス工業株式会社内

Claims (2)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】 継手と管とのネジ接合部に、内周面が前
   記継手と前記管との外周に合せて形成されたシール用軟
   質ゴムバンドを嵌装するとともに、該シール用軟質ゴム
   バンドの外周面に、円周方向に所定の間隔を隔てて前記
   管の径方向外方へ向くフックを突設した締付用金属バン
   ドを被嵌し、該締付用金属バンドの両フック間に形状記
   憶合金より形成した締付金具を、形状記憶合金が常温に
   なったときに前記シール用軟質ゴムバンドが緊締される
   よう係止したことを特徴とする流体漏洩防止部材。
2. 【請求項２】 継手と管とのネジ接合部に、内周面が前
   記継手と前記管との外周に合せて形成されたシール用軟
   質ゴムバンドを嵌装するとともに、該シール用軟質ゴム
   バンドの外周面に、円周方向に所要の間隔を隔てて前記
   管の径方向外方へ向く締付工具係合片を突設した締付用
   金属バンドを被嵌し、該締付用金属バンドの一方の締付
   工具片よりも円周方向端部側に、前記管の軸線と平行な
   軸線に対して回動可能な連結部材を枢着し、前記締付用
   金属バンドの他方の締付工具係合片よりも円周方向端部
   側に前記連結部材が係合し得る連結部材係合片を取付け
   たことを特徴とする流体漏洩防止部材。