JPH07308563A - 分散剤およびその製造法 - Google Patents

分散剤およびその製造法

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JPH07308563A JP6128385A JP12838594A JPH07308563A JP H07308563 A JPH07308563 A JP H07308563A JP 6128385 A JP6128385 A JP 6128385A JP 12838594 A JP12838594 A JP 12838594A JP H07308563 A JPH07308563 A JP H07308563A
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 電気電子分野にて用いる分散剤およびその製
造法。 【構成】 構成単位として(メタ)アクリル酸からなる
重合体の4級アンモニウム塩からなる分散剤。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、分散剤、特に電気電子
分野にて用いる分散剤およびその製造法に関する。さら
に詳しくは、フェライト、セラミックコンデサー等のエ
レクトロセラミック製造時やカラーテレビ・ブラウン管
に用いる蛍光体スラリー製造時等に用いる電気電子分野
向け分散剤およびその製造法に関する。
【0002】
【従来の技術】エレクトロセラミック等の電気電子分野
製品に対する分散剤としては、焼結工程で灰分として残
るようなNa、K、Ca、Mgのようなアルカリ(土
類)金属を成分の一部として含有しているような分散剤
は電気的特性上問題が指摘されている。そのため、アン
モニアやアルカノールアミンで中和した分散剤(公開特
許昭59−22639号公報、公開特許昭61−101
449号公報等)が提案され、用いられている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】エレクトロセラミック
等に用いる分散剤として提案されているポリアクリル酸
をアンモニアやアルカノールアミン等で中和したポリア
クリル酸塩は、アルカリ(土類)金属に由来する電気的
特性に関する問題が無いものの、分散剤の基本的性能で
ある分散性能に欠点を有している。すなわちポリアクリ
ル酸をアンモニアやアルカノールアミン等の弱塩基で中
和しているため、カルボン酸イオンの水溶液中における
解離が充分でなく、結果として工業的に用いられている
ポリアクリル酸Na塩の分散性能と比較して低い分散性
能しか得られない問題をかかえていた。また分散性能の
問題以外に、電気電子分野で問題となるフッ素、塩素等
のハロゲン元素等を極小化する製造工程上の問題をも有
していた。
【0004】
【課題を解決するための手段】本発明者らは上記問題点
を解決するため鋭意検討した結果、従来とは異る4級ア
ンモニウム塩系の分散剤が、分散性能の低下を引き起こ
す事なく、また電気特性低下の発生原因となるNa、
K、Ca、Mg等のようなアルカリ(土類)金属やフッ
素、塩素等のハロゲン元素等を極小化できる、優れた分
散剤を見いだし本発明に到達した。すなわち本発明は、
構成単位として(メタ)アクリル酸(a)からなる重合
体(A)の4級アンモニウム塩(B)からなる分散剤;
ならびに3級アミンを炭酸ジエステルと反応させて得た
4級アンモニウム炭酸塩(C)と、重合体(A)とのア
ニオン交換反応によって得ることを特徴とする重合体の
4級アンモニウム塩(B)からなる分散剤の製造法であ
る。
【0005】本発明の構成単位として(メタ)アクリル
酸(a)からなる重合体(A)としては、(メタ)アク
リル酸(a)および必要により他のビニル単量体(b)
との共重合物が挙げられる。他のビニル単量体(b)と
しては、(メタ)アクリル酸エステル{例えばメチル
(メタ)アクリル酸エステル、エチル(メタ)アクリル
酸エステル、ブチル(メタ)アクリル酸エステル、プロ
ピル(メタ)アクリル酸エステル、シクロヘキシル(メ
タ)アクリル酸エステル等};(メタ)アクリル酸以外
のα,β−不飽和カルボン酸{例えばマレイン酸、イタ
コン酸、クロトン酸等};α,β−不飽和カルボン酸ア
ミド{例えば(メタ)アクリルアミド、イタコン酸アミ
ド、クロトン酸アミド等};他のビニル単量体類{例え
ば酢酸ビニル、、プロピオン酸ビニル、ビニルピロリド
ン等}等およびこれらの混合物が挙げられる。これら他
のビニル単量体(b)のうち好ましいものとして(メ
タ)アクリル酸エステル、(メタ)アクリル酸以外の
α,β−不飽和カルボン酸である。
【0006】本発明の重合体(A)は、(メタ)アクリ
ル酸(a)および必要により他のビニル単量体(b)と
から構成されるものである。重合体(A)の構成比とし
ては、(メタ)アクリル酸(a)が40〜100重量
%、他のビニル単量体(b)が0〜60重量%であり、
好ましくは(a)が70〜100重量%、他のビニル単
量体(b)が0〜30重量%である。重合体(A)の組
成として、好ましくは(メタ)アクリル酸および必要に
より(メタ)アクリル酸エステル、(メタ)アクリル酸
以外のα,β−不飽和カルボン酸との重合体である。特
に好ましい組成としては、アクリル酸、メタクリル酸の
ホモポリマーまたは共重合体である。重合体の重量平均
分子量は、通常1,000〜50,000である。
【0007】本発明の重合体(A)を得る方法として
は、通常一般に用いられている重合方法でよく、特に限
定されない。例えば水、水溶性アルコール(メタノー
ル、エタノール、プロピルアルコール、ブチルアルコー
ル等)等の溶媒中に、重合開始剤を含む(メタ)アクリ
ル酸等の単量体を所定の温度下に添加し、数時間溶液重
合を行うことで得ることができる。
【0008】重合開始剤としてはアゾ系開始剤、パーオ
キサイド系開始剤、ヒドロパーオキサイド系開始剤等が
挙げられる。開始剤の使用量は、全単量体の重量に対し
て0.001〜5重量%である。これら重合開始剤は、
分解の難易によって重合温度を適当に選択する必要があ
り、通常0〜180℃の範囲で選択して重合される。重
合時間は、1〜24時間である。
【0009】本発明の4級アンモニウム塩(B)を構成
する4級アンモニウムは3級アミンの4級化物である。
この3級アミンとしては、脂肪族アミン(例えばトリメ
チルアミン、トリエチルアミン、トリ−n−プロピルア
ミン、トリ−n−ブチルアミン、ジエチル−1−プロピ
ルアミン等);脂環式アミン類(例えばN−メチルピロ
リジン、N−エチルピロリジン、N−メチルピペリジ
ン、N−エチルピペリジン、N−メチルヘキサメチレン
イミン、N−エチルヘキサメチレンイミン、N−メチル
モルホリン、N−ブチルモルホリン、N,N’−ジメチ
ルピペラジン、N,N’−ジエチルピペラジン、1,5
−ジアザビシクロ[4,3,0]−5−ノネン、1,8
−ジアザビシクロ[5,4,0]−7−ウンデセン
等);含窒素ヘテロ環芳香族類(例えばピリジン、4−
ジメチルアミノピリジン、ピコリン類、N−メチルイミ
ダゾール、N−メチルベンズイミダゾール、キノリン、
4,4’−ジピリジル等)が挙げられる。これらの中で
好ましいものとしては、脂肪族アミンであり、特に好ま
しいものとしてはトリメチルアミン、トリエチルアミン
である。
【0010】本発明における4級アンモニウム塩(B)
の含有しているハロゲン原子およびアルカリ(土類)金
属のそれぞれの量は10ppm以下、好ましくは3pp
m以下である。10ppmをこす場合には、ノイズ発生
等の電気特性の低下、錆の発生および長期耐久試験にお
ける性能劣化等、精密電気電子機器に対する大きな問題
を生じる。
【0011】本発明の4級アンモニウム塩(B)の製造
方法としては、水酸化4級アンモニウムと重合体(A)
とを反応させる方法があるが、この方法では水酸化4級
アンモニウム製造時にハロゲン化物およびアルカリ(土
類)金属が多量に混入し、この除去が困難である。本発
明の分散剤は、ハロゲン化物およびアルカリ(土類)金
属の混入を避けることができる3級アミンを炭酸ジエス
テルと反応させて得た4級アンモニウム炭酸塩(C)と
重合体(A)とを反応させる製造法が特に好ましい。
【0012】本発明の製造法において使用する3級アミ
ンおよび重合体(A)は前記のものがあげられる。
【0013】本発明の製造法において使用する炭酸ジエ
ステルとしては、炭酸ジメチル、炭酸ジエチル、炭酸エ
チルメチル、炭酸ジプロピル等が挙げられるが、好まし
いものはアルキル基の炭素数の少ない炭酸ジメチルであ
る。
【0014】本発明の4級アンモニウム塩(B)の具体
例としてテトラアルキルアンモニウム塩が挙げられる。
4級アンモニウムを構成する4つのアルキル基が同一の
場合、得られる4級アンモニウム有機酸塩の結晶性が高
く樹脂成分や溶剤への溶解性が低下し、作業性が低下す
る問題が生じる。従って好ましくは、全て同一のアルキ
ル基ではなく、少なくともどれか一つ異なるアルキル基
を有するテトラアルキルアンモニウム塩である。特に好
ましくは、1つのアルキル基がメチル基で他の3つのア
ルキル基がメチル基以外のアルキル基であるテトラアル
キルアンモニウム塩である。
【0015】本発明の製造法における3級アミンと炭酸
ジエステルとのモル比は、1:(0.3〜4.0)であ
る。反応溶媒としては、必要により使用しても良く、例
えばメタノールやエタノールが挙げられる。反応温度と
しては、30〜150℃である。
【0016】4級アンモニウム炭酸塩(C)と重合体
(A)とのアニオン交換反応は、溶媒の存在下または非
存在下で行えばよく、発生する炭酸ガスを反応系から適
時除くことにより本発明の4級アンモニウム塩(B)を
得ることが出来る。反応後、必要により反応溶媒を留去
し固状分散剤、また水溶液や有機溶媒{例えばメタノー
ル、エタノール、アセトン、(ポリ)エチレングリコー
ル、(ポリ)プロピレングリコール、γ−ブチロラクト
ン、N−メチルピロリドン等}に溶解させて液状分散剤
として用いることができる。
【0017】4級アンモニウム炭酸塩(C)と重合体
(A)とのアニオン交換反応において、4級アンモニウ
ム炭酸塩(C)1モルに対して重合体(A)0.8〜
5.0モルが好ましく、得られた4級アンモニウム有機
酸塩の10重量%水溶液のpHが6.5〜7.5になる
ようなモル比でアニオン交換反応を行った配合が特に好
ましい。
【0018】本発明の分散剤を用いた具体例として、セ
ラミック生シートやテレビブラウン管用の蛍光体スラリ
ーの製造が挙げられる。何れの場合も、対象となるスラ
リーに対して本発明の分散剤を添加し、ボールミル等の
混練機を用いて混和して用いることができる。
【0019】
【実施例】以下、実施例により本発明を具体的に説明す
るが、本発明の範囲はこれらの実施例によって限定され
るものではない。実施例におけるクロルは、JIS−1
527記載の無機塩化物測定法に準じて測定を行った。
またナトリウムは、パーキンエルマー社製のICP発光
分光分析装置を用いて他のアルカリ(土類)金属を含め
た測定を行った。
【0020】実施例1 攪拌式オートクレーブにトリエチルアミン(1モル)、
炭酸ジメチル(1.5モル)及び溶媒としてメタノール
(2.0モル)を仕込み、反応温度110℃にて12時
間反応させメチルトリエチルアンモニウムメチルカーボ
ネートのメタノール溶液を得た。アクリル酸/マレイン
酸共重合体(モル比100/30、重量平均分子量50
00)の40重量%水溶液に、上記メチルトリエチルア
ンモニウムメチルカーボネートのメタノール溶液をpH
が7.0になるように仕込んだ。炭酸ガスおよびメタノ
ールを除き、水を加えることでアクリル酸/マレイン酸
共重合体・メチルトリエチルアンモニウム塩の35重量
%水溶液(分散剤−1)を得た。分散剤−1のクロル含
有量は1ppm以下であり、ナトリウム含有量も1pp
m以下であった。また他のハロゲンおよびアルカリ(土
類)金属は見いだされなかった。
【0021】実施例2 トリエチルアミンをトリメチルアミンに変更した以外
は、実施例1と同じ操作を行ない、アクリル酸/マレイ
ン酸共重合体・テトラメチルアンモニウム塩の35重量
%水溶液(分散剤−2)を得た。分散剤−2のクロル含
有量は1ppmであり、ナトリウム含有量は1ppm以
下であった。また他のハロゲンおよびアルカリ(土類)
金属は見いだされなかった。
【0022】実施例3 アクリル酸重合体(重量平均分子量4000)の40重
量%水溶液に、実施例1で合成したメチルトリエチルア
ンモニウムメチルカーボネートのメタノール溶液をpH
が7.0になるように仕込んだ。炭酸ガスおよびメタノ
ールを除き、水を加えることでアクリル酸・メチルトリ
エチルアンモニウム塩の40重量%水溶液(分散剤−
3)を得た。分散剤−3のクロル含有量は1ppm以下
であり、ナトリウム含有量も1ppm以下であった。ま
た他のハロゲンおよびアルカリ(土類)金属は見いださ
れなかった。
【0023】比較例1 アクリル酸/マレイン酸共重合体(モル比100/3
0、重量平均分子量5000)の40重量%水溶液を、
水酸化ナトリウムの50重量%水溶液でpHが7.0に
なるように仕込み、中和を行った。水を加えることでア
クリル酸/マレイン酸共重合体・Na塩の35重量%水
溶液(分散剤−A)を得た。分散剤−Aのクロル含有量
は120ppmであり、ナトリウム含有量は6.8重量
%であった。
【0024】比較例2 アクリル酸重合体(重量平均分子量4000)の40重
量%水溶液中に、水溶液中のpHが7.0になるように
アンモニアガスを吹き込んだ。ついで、水を加えること
でアクリル酸重合体・アンモニウム塩の35重量%水溶
液(分散剤−B)を得た。分散剤−Bのクロル含有量は
6ppmであり、ナトリウム含有量は4ppmであっ
た。
【0025】分散性能評価 アルミナ100重量部、水25重量部および分散剤
(1、2、3、A、B)をボールミル中に投入し、10
時間混練し、そのスラリー粘度を測定し表1の結果を得
た。
【0026】
【表1】
【0027】表1から判るように本発明の分散剤を使用
したスラリーは、粘度が低く分散性が優れている。ま
た、ナトリウムやカルシウムに代表されるようなアルカ
リ(土類)金属を含んでいないことから、製品における
電気的トラブルの発生を見なかった。一方、比較例1で
作成した分散剤−Aは、分散性能は良いものの、ナトリ
ウムを一成分として含有していることから、焼成後も消
失することなく製品中に残ることになり、コンデンサと
しての基本的電気性能を示すことが出来なかった。それ
に対して、比較例2で作成した分散剤−Bは、電気性能
はよいものの、アンモニア中和であることから粘度が高
く分散性能に問題がみられた。
【0028】
【発明の効果】本発明の分散剤は、エレクトロセラミッ
クや蛍光体スラリーだけでなく、電気電子分野において
分散剤を必要とする多くの用途に、電気的特性を損なう
事なく用いることができる。

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 構成単位として(メタ)アクリル酸
    (a)からなる重合体(A)の4級アンモニウム塩
    (B)からなる分散剤。
  2. 【請求項2】 重合体(A)の4級アンモニウム塩
    (B)が、含有しているハロゲン原子およびアルカリ
    (土類)金属が、それぞれ10ppm以下である請求項
    1記載の分散剤。
  3. 【請求項3】 重合体(A)の4級アンモニウム塩
    (B)が、重合体(A)のテトラアルキルアンモニウム
    塩である請求項1または2記載の分散剤。
  4. 【請求項4】 3級アミンを炭酸ジエステルと反応さ
    せて得た4級アンモニウム炭酸塩(C)と、構成単位と
    して(メタ)アクリル酸(a)からなる重合体(A)と
    のアニオン交換反応によって得ることを特徴とする重合
    体の4級アンモニウム塩(B)からなる分散剤の製造
    法。
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