JPH0730461U - 電気コネクタ及びその固定部材 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】電気コネクタを基板へ容易に固定できる電気コ
ネクタ用固定部材を提供する。 【構成】電気コネクタのプラスチック製ハウジング１４
の下部凹所１６内には、基板の挿入孔へ挿入されるべき
プラスチック製筒状部材４が位置している。この筒状部
材４の外径は、基板の挿入孔の内径よりも僅かに小さ
い。従って筒状部材４は基板の挿入孔へ零挿入力で挿入
できる。筒状部材４は押しピン２のピン部８を挿入させ
るべき中空部分２２を有し、この中空部分２２の下方の
内径は、押しピン２のピン部８の先端の外径よりも小さ
い。従って押しピン２のピン部８が筒状部材４の中空部
分２２へ完全に挿入されると、筒状部材４の外径が拡大
し、筒状部材４が基板の挿入孔へ固着される。

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】

本考案は電気コネクタ及びその固定部材に関し、更に詳しくは、基板に対して ハウジングの固定が容易な電気コネクタ及びその固定部材に関する。

【０００２】

【従来の技術】

プリント回路基板に実装するための電気コネクタは、そのプラスチック製ハウ ジングを基板に固定するための複数の脚を有している。このような脚の一種とし て、ハウジングの両端に一体成形された弾性変形可能な一対のプラスチック製の 脚が公知である。このプラスチック脚は、基板の挿入孔よりも大きな径を有し、 基板の挿入孔に強制的に挿入された後には、その径が初期径へ弾性的に復帰する ことにより、ハウジングを基板へ固定する。

【０００３】 他の公知の脚として、ハウジングの両端に固定された一対の二叉状の金属脚が ある。この金属脚の二叉状部分は、基板の挿入孔よりも大きな幅を有し、上述の プラスチック脚と同様に、基板の挿入孔への挿入後に初期形状へ復帰することに より、挿入孔へ固定される。また、二叉状部分の先端には係止爪が設けられ、こ の係止爪が基板の裏面へ係止することにより、ハウジングの基板への固定を一層 に確実にする。

【０００４】

【考案が解決しようとする課題】

これらプラスチック脚または金属脚の不都合は、脚を基板の挿入孔へ強制的に 挿入するには大きな力が必要であるうえに、一対の脚を同時に挿入孔へ挿入する 必要があるため、その作業は容易ではないことである。

【０００５】 特にプラスチック脚においては、挿入孔への挿入の際に過度な応力を受けて変 形し易いという不都合がある。一方、金属脚においては、金属よりも柔らかいプ リント回路基板の挿入孔近傍または挿入孔の内壁が、係止爪により傷つき易い。

【０００６】 更に実装空間の観点からは、プラスチック脚または金属脚は基板の下面へ突出 するので、基板の下方に空間を確保する必要がある。これは近年のノートブック コンピュータ等における薄型化の要請に反することである。

【０００７】 本考案の目的は、これらの脚を使用した電気コネクタに代わる電気コネクタ及 びその固定部材を提供することである。即ち、本考案の一つの目的は、基板の挿 入孔に対して低挿入力で挿入でき、基板を傷付けることがない電気コネクタ及び その固定部材を提供することである。上述の利点に加えて、基板の下方に空間を 確保する必要がない電気コネクタ用固定部材を提供することも本考案の課題の一 部である。

【０００８】

【課題を達成するための手段】

本考案の一つの観点によれば、電気コネクタの射出成型ハウジングを基板の挿 入孔を通じて基板へ固定するための固定部材が提供される。この固定部材は、 ピンと、基板の挿入孔に対して実質的に同軸に挿入されるように電気コネクタ のハウジングに一体成型され、基板の挿入孔に対して実質的に同軸にピンを受け 入れるための中空部分を有する筒状部材とを備える。

【０００９】 筒状部材の外径は、筒状部材が基板の挿入孔へ零挿入力または低挿入力で挿入 されるように、基板の挿入孔の内径よりも小さくされ、筒状部材の中空部分の少 なくとも一部の内径は、ピンが筒状部材の中空部分に完全に挿入された際に、筒 状部材の径が拡大されて筒状部材が基板の挿入孔に固定されるように、ピンの外 径よりも小さくされ、更に筒状部材は、ピンの挿入方向に沿った割りにより複数 に区画された外周部と、これら複数の外周部を筒状部材の先端で連結する連結部 材とを有する。

【００１０】 好ましくは、電気コネクタの前記ハウジングの下面側に凹所が形成され、この 凹所内には前記筒状部材が位置している。 筒状部材は、基板の挿入孔を通じて基板の下面側へ突出しないように設計し得 る。

【００１１】 本考案の他の観点によれば、基板の挿入孔を通じて基板へ固定されるべき電気 コネクタが提供される。この電気コネクタは、ピンを備えることと、複数の接触 端子を含み、上面と下面とを有し、これら上面と下面との間に通路が形成されて いると共に、少なくとも下面側に凹所が形成された射出成型ハウジングを備え、 このハウジングの下面側の凹所内には、基板の挿入孔に対して実質的に同軸に挿 入されるようにハウジングに一体成型された筒状部材が位置し、この筒状部材は 、基板の挿入孔に対して実質的に同軸にピンを受け入れるように通路に連通する 中空部分を有することと、筒状部材の外径は、筒状部材が基板の挿入孔へ零挿入 力または低挿入力で挿入されるように、基板の挿入孔の内径よりも小さくされ、 筒状部材の中空部分の少なくとも一部の内径は、ピンが通路を介して筒状部材の 中空部分に完全に挿入された際に、筒状部材の径が拡大されて前記筒状部材が基 板の挿入孔に固定されるように、前記ピンの外径よりも小さくされ、更に前記筒 状部材は、前記ピンの挿入方向に沿った割りにより複数に区画された外周面と、 これら複数の外周面を筒状部材の先端で連結する連結部材とを有することとから なる。

【００１２】 本考案において、「電気コネクタ」とは、射出成型されたハウジングを有し、 例えば基板対基板接続コネクタのように基板へ実装されるべきコネクタを意味す るものとする。

【００１３】

【作用】

本考案の電気コネクタ及びその固定部材によれば、先ず筒状部材を基板の挿入 孔へ挿入する際には、筒状部材の外径が基板の挿入孔の内径よりも小さいので、 筒状部材は基板の挿入孔へ零挿入力または低挿入力で挿入される。

【００１４】 一方、筒状部材の中空部分の少なくとも一部の内径は、筒状部材に挿入される ピンの外径よりも小さい。従って、筒状部材を基板の挿入孔へ挿入した後、ピン を筒状部材の中空部分に完全に挿入すると、筒状部材の径が拡大され、筒状部材 が基板の挿入孔に固定される。

【００１５】

【実施例】

図１に示すように、本考案の電気コネクタ用固定部材は、押しピン２と、この 押しピンが挿入されるべき筒状部材４とを備える。押しピン２は、頭６と、この 頭から延出されたピン部８を有する。ピン部８の基端と先端１０との間の部分、 例えば中央部分には、ピン部と同心状に形成された凸部１２が設けられている。 ピン部８の先端１０は外径φ1 を有する。

【００１６】 筒状部材４は、電気コネクタの射出成型プラスチックハウジング１４の下面側 の下部凹所１６内に位置するように、コネクタハウジング１４と一体的に成型さ れている。コネクタハウジング１４の上面側には、押しピン２の頭６を受け入れ るための上部凹所１８が設けられ、下部凹所１６と上部凹所１８とは、押しピン ２のピン部８を挿通させるための通路２０により連通されている。この通路２０ の内径φ2 は、ピン部８の先端１０の外径φ1 よりも僅かに大きくされている。

【００１７】 筒状部材４の内部には、コネクタハウジング１４の通路２０に連通する中空部 分２２が設けられている。中空部分２２のうち、押しピン２のピン部８が挿入さ れる大径部２２ａの内径は、通路２０と同様にφ2 である。

【００１８】 中空部分２２の大径部分２２ａの下方に位置する細径部２２ｂの内径φ3 は、 大径部２２ａの内径φ2 及びピン部８の先端１０の外径φ1 よりも遥かに小さく されている。

【００１９】 ハウジング１４内には例えば基板対基板接続用の複数の接触端子（図示せず） が配列されている。 図２に示すように、筒状部材４は実質的に円柱状であるが、この円柱は、それ ぞれ押しピン２の挿入方向に沿った四つの割り２４により区画された四つの断面 円弧状の柱２６と、これら四つの柱を筒状部材４の下端面の中央で連結する円盤 ２８とを有する。各々の柱２６は、中空部分２２の大径部２２ａ及び細径部２２ ｂに対応して、上部と下部とで肉厚が異なる。

【００２０】 円盤２８は、コネクタハウジング１４の射出成型時に溶融したプラスチックを 四つの柱２６へ流れ込み易くする働きをなす他、四つの柱２６を一体的に保持す ることにより、四つの柱２６が互いに独立して存在するよりも大きな機械的強度 を確保し、運送や取扱い期間中に異物との接触により不所望な力を受けても破損 しない抵抗力が得られる。

【００２１】 図３に示すように、電気コネクタのプリント回路基板への取り付けに先立って 、押しピン２はコネクタハウジング１４の上部凹所１８及び通路２０を通じて、 筒状部材４の中空部分２２に仮挿入、即ち不完全に挿入される。この不完全挿入 状態では、押しピン２の凸部１２の外径がコネクタハウジング１４の通路２０の 内径φ2 と干渉する。この干渉の程度は、運送や取扱い期間中に受ける振動また は衝撃に起因する押しピン２の脱落が防止されるように設定する。

【００２２】 押しピン２がコネクタハウジング１４及び筒状部材４へ不完全に挿入された状 態においては、押しピン２のピン部８の先端１０は、中空部分２２の細径部２２ ｂ（内径φ3 ）の直前に位置している。

【００２３】 電気コネクタをプリント回路基板へ取り付ける工程においては、筒状部材４を プリント回路基板３０の挿入孔３２へ挿入する。この筒状部材４の外径φ4 は、 プリント回路基板３０の挿入孔３２の内径φ5 よりも僅かに小さくされているの で、筒状部材４は挿入孔３２へ低挿入力、好ましくは零挿入力で挿入できる。

【００２４】 次いで、適宜な押し棒（図示せず）で押しピン２の頭６を押すことにより、図 ４に示すように押しピン２のピン部８を筒状部材４の中空部分２２へ完全に挿入 させる。

【００２５】 押しピン２の先端１０（外径φ1 ）が中空部分２２の細径部２２ｂ（内径φ3 ）へ挿入されると、外径φ1 が内径φ3 よりも大きいため、筒状部材４の四つの 柱２６は、筒状部材４の横断面で見て、中心から離れる方向へ押し広げられる。 この際、四つの柱２６を連結している円盤２８は四つの柱２６の変形に追従でき ず、図４に断面で示すように破断する。

【００２６】 四つの柱２６は外方へ押されるが、基板３０の挿入口３２の内壁からの反力に より、四つの柱２６及びピン部８は内方へ圧縮される。この際、プラスチック製 の柱２６には初期体積を保持しようとする弾性力が蓄積されるので、筒状部材４ は、その外径が拡がることにより、基板３０の挿入孔３２に固定される。

【００２７】 筒状部材４は、図４に示したように基板３０の下面へ突出しない構造を採り得 る。従って基板３０の下方には、筒状部材４のための空間を確保する必要がない 。しかしながら、基板３０の下方に空間を確保可能な場合には、図５に示すよう に、一層に大きな固着力を得るために、筒状部材４の下端を基板３０の下面へ突 出させてもよい。

【００２８】 上述の実施例においては、連結部材２８がプラスチック製の円板状であり、破 断するものとしたが、連結部材２８の材料、形状及び特性は、それらに限定され るものではない。例えば、連結部材２８ひいてはコネクタハウジング１４の材料 として、大きな伸び率を有する樹脂（例えばガラス無添加またはガラス含有率が 低い樹脂等）を使用し、連結部材２８の形状を十字形その他としてもよい。この 場合、押しピン２の先端１０が中空部分２２の細径部２２ｂへ挿入されても、連 結部材２８は、破断することなく、薄厚に延伸することが可能である。

【００２９】

【考案の効果】

以上説明したように本考案の電気コネクタ及びその固定部材によれば、筒状部 材を基板の挿入孔に零挿入力または低挿入力で挿入でき、しかも基板の挿入孔内 壁または挿入孔近傍を傷付けることがない。更に、基板の挿入孔へ挿入すべき筒 状部材は必ずしも基板の下面へ突出させる必要がないので、基板が搭載された機 器においては基板の下方側の空間の有効利用または省空間化を図り得る。

【図面の簡単な説明】

【図１】押しピンが筒状部材へ未だ挿入されていない状
態における本考案の一実施例の電気コネクタ用固定部材
を一部破断して示す側面図である。

【図２】図１の筒状部材をコネクタハウジングの下側か
ら見た斜視図であり、コネクタハウジングの一部を切り
欠いて示す図である。

【図３】図１に対応して押しピンが筒状部材へ仮挿入さ
れた状態における部材を示す側面図である。

【図４】押しピンが筒状部材へ完全に挿入された状態に
おける部材及び基板を一部破断して示す側面図であり、
筒状部材が基板の下方へ突出しない設計の部材を示す。

【図５】図４に対応して筒状部材が基板の下方へ突出す
る設計の部材を示す側面図である。

【符号の説明】

２…押しピン（ピン）、４…筒状部材、６…頭、８…ピ
ン部、１４…射出成型ハウジング、１６…下部凹所、１
８…上部凹所、２０…通路、２２…中空部分、２４…割
り、２６…柱、２８…円盤（連結部材）。

Claims (4)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】 電気コネクタの射出成型ハウジングを基
   板の挿入孔を通じて基板へ固定するための固定部材であ
   って、 ピンと、 基板の挿入孔に対して実質的に同軸に挿入されるように
   電気コネクタのハウジングに一体成型され、基板の挿入
   孔に対して実質的に同軸に前記ピンを受け入れるための
   中空部分を有する筒状部材とを備え、 前記筒状部材の外径は、前記筒状部材が基板の挿入孔へ
   零挿入力または低挿入力で挿入されるように、基板の挿
   入孔の内径よりも小さくされ、前記筒状部材の中空部分
   の少なくとも一部の内径は、前記ピンが前記筒状部材の
   中空部分に完全に挿入された際に、前記筒状部材の径が
   拡大されて前記筒状部材が基板の挿入孔に固定されるよ
   うに、前記ピンの外径よりも小さくされ、更に前記筒状
   部材は、前記ピンの挿入方向に沿った割りにより複数に
   区画された外周部と、これら複数の外周部を前記筒状部
   材の先端で連結する連結部材とを有する電気コネクタ用
   固定部材。
2. 【請求項２】 電気コネクタの前記ハウジングの下面側
   に凹所が形成され、この凹所内には前記筒状部材が位置
   している請求項１記載の電気コネクタ用固定部材。
3. 【請求項３】 前記筒状部材が、基板の挿入孔を通じて
   基板の下面側へ突出しないように設計されている請求項
   １または２に記載の電気コネクタ用固定部材。
4. 【請求項４】 基板の挿入孔を通じて基板へ固定される
   べき電気コネクタであって、 ピンを備えることと、 複数の接触端子を含み、上面と下面とを有し、これら上
   面と下面との間に通路が形成されていると共に、少なく
   とも下面側に凹所が形成された射出成型ハウジングを備
   え、このハウジングの下面側の凹所内には、基板の挿入
   孔に対して実質的に同軸に挿入されるようにハウジング
   に一体成型された筒状部材が位置し、この筒状部材は、
   基板の挿入孔に対して実質的に同軸に前記ピンを受け入
   れるように上記通路に連通する中空部分を有すること
   と、 前記筒状部材の外径は、前記筒状部材が基板の挿入孔へ
   零挿入力または低挿入力で挿入されるように、基板の挿
   入孔の内径よりも小さくされ、前記筒状部材の中空部分
   の少なくとも一部の内径は、前記ピンが前記通路を介し
   て前記筒状部材の中空部分に完全に挿入された際に、前
   記筒状部材の径が拡大されて前記筒状部材が基板の挿入
   孔に固定されるように、前記ピンの外径よりも小さくさ
   れ、更に前記筒状部材は、前記ピンの挿入方向に沿った
   割りにより複数に区画された外周部と、これら複数の外
   周部を前記筒状部材の先端で連結する連結部材とを有す
   ることとからなる電気コネクタ。