JPH07304070A

JPH07304070A - 射出成形品の孔あけ装置

Info

Publication number: JPH07304070A
Application number: JP9894095A
Authority: JP
Inventors: Hajime Nakano; 野一中; Hirotake Kudou; 藤拓毅工
Original assignee: Pigeon Corp
Current assignee: Pigeon Corp
Priority date: 1995-04-24
Filing date: 1995-04-24
Publication date: 1995-11-21

Abstract

(57)【要約】【構成】本発明の射出成型品の孔あけ装置は、成形品
に対応する空隙を接合部に設けた開閉可能な上型及び下
型と、該金型によって形成される空隙の貫通孔形成位置
に設けられたゲートと、該ゲート内に進退可能に支持さ
れたポンチとを有し、該ポンチは先端を空隙内に突出さ
せることができると共に該空隙に突出したポンチを後退
させるポンチ駆動機構を備えており、そして、該ポンチ
には、該ポンチ駆動機能によって該ポンチが後退した状
態ではゲートから溶融した熱可塑性樹脂が空隙内に流入
可能であり、かつ前進したポンチにより該溶融した熱可
塑性樹脂の流入が停止するように樹脂流入停止機構が形
成されている。【効果】本発明の装置によれば、射出成形と成形体と
の孔あけを同時に行うことができる。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の技術分野】本発明は、熱可塑性樹脂からなる射
出成形品の孔あけ装置に関し、特に射出成形時に孔を同
時に形成することができる装置に係る。

【０００２】

【従来技術】従来、例えばシリコーンゴムのような高弾
性を有する熱可塑性樹脂の射出成形品の厚さ方向に貫通
する微細な貫通孔を形成する場合、高弾性熱可塑性樹脂
を冷却固化させて金型から取り出し、取り出された射出
成形品の所定位置に、ポンチを用いて打ち抜きにより所
望の大きさの貫通孔を形成していた。

【０００３】しかしながら、このような従来の孔あけ方
法にあっては、熱可塑性樹脂の中で弾性が極めて大きい
高弾性熱可塑性樹脂から形成された射出成形品は、高弾
性熱可塑性樹脂が高い弾性を有し圧力を付与することに
より変形するため、ポンチを打ち込んで孔を形成する
と、圧力によって成形体が変形するために、孔の外側と
内側とで径や形が大きく異なり、均一でない孔ができる
という問題点があった。即ち、高弾性熱可塑性樹脂で形
成された半球中空状の形態を有する哺乳瓶の乳首のよう
な高弾性熱可塑性樹脂成形体にミルクを吸い出し可能な
程度の微細な貫通孔を形成しようとすると、高弾性熱可
塑性樹脂に有する弾性のために、ポンチを打ち込むと、
打ち込まれたポンチにより成形された高弾性熱可塑性樹
脂成形品の形態が変化し、ポンチを打ち込む側表面の孔
の形状と、ポンチが打ち出される側、即ち、乳首で説明
すると、凸状に膨らんだ乳首を形成する高弾性熱可塑性
樹脂膜の頂部表面の孔の形状および直径と、頂部裏面の
項の形状および直径とが異なってしまうのである。従っ
て、使用するポンチと形成される貫通孔の形状および直
径が一致せず不均一な孔が形成されるという問題があっ
たのである。また、乳首のような中空半円球状の射出成
形体の頂部近傍に貫通孔を形成するのに硬化後にポンチ
を用いようとしても、この中空半球状の形態に対応した
治具が必要となり、既存の孔あけ装置をこうした中空半
円球状の射出成形体の孔あけ用に改良する必要がある。

【０００４】かかる問題点に着目すると、金型の成形品
に対応する空隙に、予め上記孔に対応して中子を設ける
ことが考えられる。ところが、空隙内に中子を突出させ
て一体的に設けると、射出過程において溶融樹脂の流れ
が上記中子によって二分され、そのため成形品にウェル
ドラインが発生したり、時として焼けや内部応力が発生
し、成形品の強度低下や外観を悪くするという問題点が
ある。

【０００５】

【発明の目的】本発明は、このような問題点に鑑みてな
されたものであり、溶融状態にある高弾性熱可塑性樹脂
を金型に充填した後、固化する前にポンチを当該溶融樹
脂に貫通することにより、上記問題点を解決することを
目的としている。即ち、弾性高い熱可塑性樹脂を用い
て、ウエルドラインなどを発生させることなく、例えば
乳首のような半球状の形状を有する半球外殻の頂部に均
一な貫通孔を形成しながら、高弾性の熱可塑性樹脂から
なる曲面状の成形体を製造する装置を提供することを目
的としている。

【０００６】

【発明の概要】本発明の射出成形体の孔あけ装置は、成
形品に対応する空隙を接合部に設けた開閉可能な上型及
び下型と、該金型によって形成される空隙の貫通孔形成
位置に設けられたゲートと、該ゲート内に進退可能に支
持されたポンチとを有し、該ポンチは先端を空隙内に突
出させることができると共に該空隙に突出したポンチを
後退させるポンチ駆動機構を備えており、そして、該ポ
ンチには、該ポンチ駆動機能によって該ポンチが後退し
た状態ではゲートから溶融した熱可塑性樹脂が空隙内に
流入可能であり、かつ前進したポンチにより該溶融した
熱可塑性樹脂の流入が停止する樹脂流入停止機構が形成
されていることを特徴としている。

【０００７】本発明の射出成形体の孔あけ装置は、特に
高弾性を有する熱可塑性樹脂、例えばシリコーンゴムの
ような高弾性熱可塑性樹脂を用いて、例えば哺乳瓶に取
り付けられる乳首のような中空半円球状など立体的な成
形体に、例えば上記乳首の例で示せば、哺乳瓶に充填し
たミルク等を吸い出し可能な程度の大きさの貫通孔を形
成するのに特に好適である。

【０００８】

【作用】本発明の装置では、ポンチを挿入する貫通孔
が、樹脂を流入させるゲートとしても作用する。この装
置を用いて、まずポンチを後退させて、金型に設けた成
形品の空隙に溶融した熱可塑性樹脂を充填した後、ポン
チを前進させて溶融状態にある熱可塑性樹脂の流入を止
めるとともに、空隙内に充填された溶融状態にある熱可
塑性樹脂中にポンチを突出させ溶融樹脂に貫通させ、こ
の樹脂が固化した後ポンチを後退させて金型をあけて成
型品を取り出すことにより、射出成形と孔の形成を同時
に行うことができる。しかも、熱可塑性樹脂の流入ゲー
トからポンチを突出させるので、樹脂の流入跡が、ポン
チの突出によって目立たなくなる。

【０００９】

【実施例】次に、本発明の実施例について図面を参照し
て具体的に説明する。図１および図２は、本発明の一実
施例の要部を示す説明図である。

【００１０】本実施例は、湯道１８内に配置したポンチ
１９により、湯道１８の開閉と成形品への孔あけ加工と
を共に行ない得るようにしたものである。まず、構成を
説明すると、図１及び図２において、付番２０は、金型
の上型であり、付け番２３は、金型の下型であり、上型
２０の接合部には半球形の凹部３３を設けるとともに、
下型２３の接合部で前記凹部３３と対応する位置には、
凹部３３より小さい半球形の凸部３４を設け、これら凹
部３３及び凸部３４により、成形品に対応した半球殻形
の空隙２２を形成している。従って、上下両型２０，２
３は、開閉可能に構成されている。

【００１１】さらに、上型２０には、空隙２２の所定位
置である中央部分に一端が開口する貫通孔（ゲート）２
１を設け、この貫通孔（ゲート）２１には、先部１９ａ
が空隙２２内に突出するポンチ１９を摺動可能に挿入し
ている。かかるポンチ１９の他端には、図示しないが当
該ポンチ１９を進退させるためのポンチ駆動機構を設け
ており、加熱溶融した熱可塑性樹脂を金型内に充填した
後、当該ポンチ駆動機構が作動してポンチ１９の先部１
９ａが空隙２２内に突出する。

【００１２】上記ポンチ駆動機構としては、例えば流体
圧力により駆動されるシリンダ装置や電磁力により作動
する電磁ソレノイド等の各種のアクチュエータを使用す
ることができる。

【００１３】また、下型２３には、前記貫通孔２１に対
して同心として一端を空隙２２に開口した連通孔１０を
設け、この連通孔１０には、先端を空隙２２に臨ませた
ピン１１を摺動可能に挿入している。ピン１１の軸方向
の中途部にはフランジ１２を設けており、このフランジ
１２に一端が着座するスプリング１３により、当該ピン
１１を常時空隙２２側に付勢している。

【００１４】かかる状態では、ピン１１の先端面は凸部
３４の表面と略同一平面上にあり、また、突出してきた
ポンチ１９の先端面に当接する。付番１４は、スプリン
グ１３の脱落を防止するカバーである。

【００１５】そして、本発明においては、ポンチ１９
は、上型２０に設けた、図において上方に開口する湯道
１８内に摺動可能に配設しており、図示しないポンチ駆
動機構の作動により、下型２３に対して前進し且つ後退
する。

【００１６】かかるポンチ１９は、前進時、その先部１
９ａがゲート２１を貫通して空隙２２内に突出し、その
先端面が、下型２３に設けた半球形の凸部３４に当接す
る。さらに、ポンチ１９の先部１９ａの内側には球形部
１９ｂを設けており、前進時には、湯道１８の内側に設
けた球面座２４に着座する。この球形部１９ｂと球面座
２４とによって樹脂流入停止機構が構成される。

【００１７】而して、ニードルバルブの機能を有するポ
ンチ１９を用いた金型で成形品を製造する場合は、ま
ず、第２図に示すように、ポンチ１９を後退させてゲー
ト２１を開放し、湯道１８から空隙２２内に溶融した熱
可塑性樹脂を射出して、当該空隙２２内に溶融樹脂を充
填する。

【００１８】その充填直後には、図２に示すように、ポ
ンチ１９を前進させてゲート２１を閉じるとともに、先
部１９ａを空隙２２内に突出して未だ溶融状態にある熱
可塑性樹脂に当該先部１９ａを貫通させる。これによ
り、射出成形時、成形品に孔加工を同時に施すことがで
きる。

【００１９】なお、本実施例は、射出過程ではゲート部
分における溶融樹脂の凝固作用が最も遅れることを利用
したものである。次に、本実施例の動作について説明す
る。

【００２０】成形品を製造する場合は、まずポンチ１９
を後退させた状態でゲートに溶融した熱可塑性樹脂が流
入可能なようにしておく。次いで、図示しない加熱装置
で加熱溶融した熱可塑性樹脂をノズルから金型内に射出
し、上型２０と下型２３との接合することによ規制され
る空隙２２内に、後退したポンチ１９により流路が確保
されたゲート２１から溶融状態の熱可塑性樹脂を充填す
る。

【００２１】しかる後、ポンチ駆動機構を作動してポン
チ１９の先部１９ａを空隙５内に突出させ、その先端を
ピン１１の先端に当接して、当該ポンチ１９を溶融状態
にある熱可塑性樹脂の肉厚方向に貫通させる。このポン
チ１９の前進により、溶融状態にある熱可塑性樹脂の空
隙内への供給が停止される。このポンチ１９の貫通状態
を保持して、熱可塑性樹脂を冷却して凝固させる。

【００２２】空隙２２内の熱可塑性樹脂が固まった後、
ポンチ駆動機構を作動してポンチ１９の先部１９ａを上
型２０内に後退し、金型を開いて成形品を取り出す。こ
れにより、射出成形時、成形過程において同時に孔を成
形品に形成することができる。

【００２３】なお、本発明の装置では、種々の熱可塑性
樹脂を使用することができるが、特にシリコーンゴム、
ＳＥＢＳ、ＳＢＳ、ＳＩＳ、ＳＥＰＳのように高弾性で
軟質な樹脂あるいはエラストマー、即ち、熱可塑性樹脂
をはじめとして熱可塑性エラストマー等を用いた成形に
も使用することができる。

【００２４】また、本発明の装置を用いて成形される成
形体の形状および用途等についても特に制限はないが、
微細な貫通孔を有する成形体、例えば先端に貫通孔を有
する中空で略半球状の乳首等を成形するのに有用であ
る。

【００２５】

【発明の効果】本発明の孔あけ装置は、樹脂の流入口
と、貫通孔を形成するポンチの挿入口とが同一であり、
ポンチの進退によって、樹脂の流入を制御すると共に、
成形体への貫通孔の形成を行うことができる。しかも、
本発明の装置を使用することにより、射出過程において
溶融状態にある熱可塑性樹脂の流れが分断されることが
なく、従って製造された射出成形品にウェルドラインが
発生したり、焼けや内部応力が発生することがなく、強
度が高く且つ外観の奇麗な成形品を製造することができ
る。

【図面の簡単な説明】

【図１】図１は、本発明の一実施例を示す要部説明図で
あり、ポンチの突出した状態を示す説明図である。

【図２】図２は、上記の要部説明図において、ポンチが
後退状態を示す説明図である。

【符号の説明】

１１・・・ピン１２・・・フランジ１３・・・スプリング１４・・・カバー１８・・・湯道１９・・・ポンチ１９a・・・ポンチの先部１９ｂ・・・球形部２０・・・上金型２１・・・貫通孔（ゲート）２２・・・空隙２３・・・下金型２４・・・球面座３３・・・凹部３４・・・凸部

Claims

【特許請求の範囲】

【請求項１】成形品に対応する空隙を接合部に設けた
開閉可能な上型及び下型と、該金型によって形成される
空隙の貫通孔形成位置に設けられたゲートと、該ゲート
内に進退可能に支持されたポンチとを有し、該ポンチは
先端を空隙内に突出させることができると共に該空隙に
突出したポンチを後退させるポンチ駆動機構を備えてお
り、そして、該ポンチには、該ポンチ駆動機能によって
該ポンチが後退した状態ではゲートから溶融した熱可塑
性樹脂が空隙内に流入可能であり、かつ前進したポンチ
により該溶融した熱可塑性樹脂の流入が停止する樹脂流
入停止機構が形成されていることを特徴とする射出成形
品の孔あけ装置。