JPH0730333U - 過給機付エンジンの排気制御弁小開装置 - Google Patents

過給機付エンジンの排気制御弁小開装置

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JPH0730333U
JPH0730333U JP6195993U JP6195993U JPH0730333U JP H0730333 U JPH0730333 U JP H0730333U JP 6195993 U JP6195993 U JP 6195993U JP 6195993 U JP6195993 U JP 6195993U JP H0730333 U JPH0730333 U JP H0730333U
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JP
Japan
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control valve
exhaust control
valve
exhaust
actuator
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竜達 関
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Subaru Corp
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Fuji Jukogyo KK
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 (修正有) 【目的】 並列に複数のターボ過給機を有する内燃機関
の排気制御弁に関し、同弁の信頼性を向上し、小開時に
所定開度小開してセカンダリターボ過給機を確実に予備
回転させる。 【構成】 排気制御弁53を小開するダイヤフラム式の
同弁小開作動用アクチュエータ77を備え、同アクチュ
エータに作用する吸気系の制御圧を切り換える小開用切
換ソレノイド弁を配設し、小開作動用アクチュエータに
より作動する第2のリンク機構150を、排気制御弁作
動用アクチュエータ54により作動し排気制御弁を全閉
あるいは全開する第1のリンク機構140に並設し、第
2のリンク機構は、小開用切換ソレノイド弁により小開
作動用アクチュエータに吸気系の制御圧を供給して、第
1のリンク機構における排気制御弁の弁軸133と一体
的なレバ−142を押圧し、排気制御弁作動用アクチュ
エータによる排気制御弁の全閉状態で強制的に同弁を所
定の開度だけ小開するレバ−152を備える。

Description

【考案の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】
本考案は、エンジンの吸,排気系にプライマリターボ過給機とセカンダリター ボ過給機とを並列に配置し、セカンダリターボ過給機側の吸,排気系に配設され た吸気制御弁,排気制御弁を開閉することによりセカンダリターボ過給機の過給 作動を制御する過給機付エンジンに関し、詳しくは、プライマリターボ過給機の み作動のシングルターボ状態下においてセカンダリターボ過給機の過給作動開始 に備え、排気制御弁を小開させてセカンダリターボ過給機を予備回転させる過給 機付エンジンの排気制御弁小開装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
エンジンの吸,排気系にプライマリターボ過給機とセカンダリターボ過給機と を並列に配置し、セカンダリターボ過給機に接続される吸,排気系に吸気制御弁 と排気制御弁とをそれぞれ配設し、エンジン運転領域が低速域のときには両制御 弁を共に閉弁してセカンダリターボ過給機の過給作動を停止させてプライマリタ ーボ過給機のみを過給作動させ、高速域のときには両制御弁を共に全開して両タ ーボ過給機を過給作動させることで、低速域から高速域に亘り出力性能の向上を 可能とする過給機付エンジンが知られている。
【0003】 ここで、両制御弁の閉弁によるプライマリターボ過給機のみ過給作動のシング ルターボ状態から、両制御弁を共に全開して両ターボ過給機作動のツインターボ 状態に移行させると、プライマリターボ過給機のタービンに流入する排気ガス流 量が短時間に大幅に低下し、且つセカンダリターボ過給機が本格的に過給作動を 行う回転数に達するまでにある程度の時間を要することから過給圧が一時的に低 下してトルクショックを生じる。
【0004】 これに対処するに特開平3−213621号公報には、排気制御弁に全開用ア クチュエータと小開用アクチュエータとの2つのアクチュエータを連設し、プラ イマリターボ過給機のみ過給作動するシングルターボ状態から全開用アクチュエ ータにより排気制御弁を全開として両ターボ過給機作動によるツインターボ状態 とする切換前に、小開用アクチュエータにいずれかのターボ過給機のタービン上 流の排気ガスを導入し、排気圧力により小開用アクチュエータを作動させて排気 制御弁を小開させ、排気の一部をセカンダリターボ過給機のタービンに導入しセ カンダリターボ過給機を予備回転させて回転数を高めた状態で全開用アクチュエ ータにより排気制御弁を全開させることで、切換時の過給圧の一時的低下による トルクショックの発生を低減する技術が開示されている。
【0005】
【考案が解決しようとする課題】
しかし、上記先行例では、排気制御弁を小開させるための小開用アクチュエー タに常に排気圧力を導入する構成であることから、小開用アクチュエータに排気 ガスを導くための排気ガス通路、及び小開用アクチュエータの熱的信頼性を確保 するためアクチュエータへの排気ガス通路中に介装し排気ガスを冷却すると共に 排気脈動を緩衝するための排気ガスクーラ等を必要とし、構成が複雑化する。ま た、経年使用により排気ガス中のカーボン等が小開用アクチュエータ内部に蓄積 したり、小開用アクチュエータに至る排気ガス通路を閉塞し、排気制御弁の小開 作動不能となる虞がある。さらに排気制御弁の小開時の開度が排気圧力の変動に より変化して、排気制御弁の小開開度が変動しセカンダリターボ過給機の適正な 予備回転数を常時得ることができないという不都合がある。
【0006】 本考案は上記事情に鑑み、排気制御弁の小開作動に排気ガスを用いることなく 信頼性を向上することができ、排気制御弁の小開時には排気制御弁を常に所定の 開度だけ小開してセカンダリターボ過給機を確実に予備回転させることが可能な 過給機付エンジンの排気制御弁小開装置を提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するため、本考案による過給機付エンジンの排気制御弁小開装 置は、エンジンの吸,排気系にプライマリターボ過給機とセカンダリターボ過給 機とを並列に配置し、共に全閉のときにはセカンダリターボ過給機の過給作動を 停止させてプライマリターボ過給機のみ作動のシングルターボ状態とし、共に全 開のときにはセカンダリターボ過給機を過給作動させて両ターボ過給機の過給作 動によるツインターボ状態とする吸気制御弁,排気制御弁を、セカンダリターボ 過給機に接続される吸,排気系にそれぞれ配設し、シングルターボ状態からツイ ンターボ状態への切換前に所定の排気制御弁小開領域にあるときには上記排気制 御弁を小開させてセカンダリターボ過給機を予備回転させると共に、上記排気制 御弁を作動させるダイヤフラム式の排気制御弁作動用アクチュエータを、排気制 御弁の弁体と一体的な弁軸に第1のリンク機構を介して連結し、上記排気制御弁 作動用アクチュエータに内装されたスプリングの付勢力により排気制御弁を閉弁 すると共に、該アクチュエータに制御圧を供給することで排気制御弁を開弁する 過給機付エンジンにおいて、圧力室を有し上記排気制御弁を小開させるダイヤフ ラム式の排気制御弁小開作動用アクチュエータを備え、このアクチュエータの圧 力室に作用するエンジンの吸気系からの制御圧を切換える排気制御弁小開用切換 ソレノイド弁を配設し、上記排気制御弁小開作動用アクチュエータにより作動さ れる第2のリンク機構を上記第1のリンク機構に並設し、上記第2のリンク機構 は上記排気制御弁小開用切換ソレノイド弁により排気制御弁小開作動用アクチュ エータの圧力室に制御圧を供給することで、第1のリンク機構における排気制御 弁の弁軸と一体的なレバーを押圧し、排気制御弁作動用アクチュエータによる排 気制御弁の全閉状態で強制的に排気制御弁を所定の開度だけ小開させるレバーを 備える。
【0008】 また、第2のリンク機構のレバーは、排気制御弁小開作動用アクチュエー夕の ロッドに連設され、ロッドの突出または後退により揺動し、且つレバーの揺動範 囲に排気制御弁の小開位置を規制するストッパを配設する。
【0009】 更に、プライマリターボ過給機のみを過給作動させるシングルターボ状態下で エンジン運転状態に基づき運転領域が予め設定された排気制御弁小開制御領域内 にあるか否かを判断し、排気制御弁小開制御領域内にあると判断されるとき上記 排気制御弁小開用切換ソレノイド弁にON信号を出力して排気制御弁小開作動用 アクチュエータの圧力室にエンジンの吸気系からの正圧を供給させて排気制御弁 を小開させる制御装置を備える。
【0010】
【作用】
上記構成により、シングルターボ状態下の所定の排気制御弁小開領域にあると きには、排気制御弁作動用アクチュエータに内装されたスプリングの付勢力によ り第1のリンク機構を介して排気制御弁を全閉した状態で、エンジンの吸気系か らの制御圧が排気制御弁小開用切換ソレノイド弁を介して排気制御弁小開作動用 アクチュエータの圧力室に供給され、この排気制御弁小開作動用アクチュエータ により第2のリンク機構が作動されて、第2のリンク機構のレバーにより第1の リンク機構における排気制御弁の弁軸と一体的なレバーが押圧されて強制的に排 気制御弁が所定の開度だけ小開される。
【0011】 そして、排気制御弁の小開位置は、第2のリンク機構のレバーの揺動範囲を規 制するストッパに、第2のリンク機構のレバーが当接することで確実に規制され る。 また、制御装置により、プライマリターボ過給機のみを過給作動させるシング ルターボ状態下でエンジン運転状態に基づき運転領域が予め設定された排気制御 弁小開制御領域内にあると判断されたときに排気制御弁小開用切換ソレノイド弁 にON信号が出力され、該切換ソレノイド弁を介してエンジンの吸気系からの正 圧が排気制御弁小開作動用アクチュエ一夕の圧力室に供給されて、排気制御弁小 開作動用アクチュエータが作動し排気制御弁が小開される。
【0012】
【実施例】
以下、本考案の一実施例を図面に基づいて説明する。図1において、本考案が 適用される過給機付エンジンの全体構成について説明する。符号1は水平対向式 エンジン(本実施例においては4気筒エンジン)のエンジン本体であり、クラン クケース2の左右のバンク3,4に、燃焼室5、吸気ポート6、排気ポート7、 点火プラグ8、動弁機構9等が設けられている。そして左バンク3側に#2,# 4気筒を、右バンク4側に#1,#3気筒を備える。またこのエンジン短縮形状 により左右バンク3,4の直後に、プライマリターボ過給機40とセカンダリタ ーボ過給機50がそれぞれ配設されている。排気系として、左右バンク3,4か らの共通の排気管10が両ターボ過給機40,50のタービン40a,50aに 連通され、タービン40a,50aからの排気管11が1つの排気管12に合流 して触媒コンバータ13、マフラ14に連通される。
【0013】 プライマリターボ過給機40は、低中速域で過給能力の大きい小容量の低速型 であり、これに対してセカンダリターボ過給機50は、中高速域で過給能力の大 きい大容量の高速型である。このためプライマリターボ過給機40の方が容量が 小さいことで、排気抵抗が大きくなる。
【0014】 吸気系として、エアクリーナ15に接続する吸気管16から2つに分岐した吸 気管17a,17bがそれぞれ両ターボ過給機40,50のブロワ40b,50 bに連通され、このブロワ40b,50bからの吸気管18,19がインターク ーラ20に連通される。そしてインタークーラ20からスロットル弁21を有す るスロットルボデー27を介してチャンバ22に連通され、チャンバ22から吸 気マニホールド23を介して左右バンク3,4の各気筒に連通されている。また アイドル制御系として、エアクリーナ15の直下流の吸気管16と吸気マニホー ルド23の間のバイパス通路24に、アイドル制御弁(ISCV)25と負圧で 開く逆止弁26が、アイドル時や減速時に吸入空気量を制御するように設けられ る。
【0015】 燃料系として、吸気マニホールド23のポート近傍にインジェクタ30が配設 され、燃料ポンプ31を有する燃料タンク32からの燃料通路33が、フィルタ 34、燃料圧レギュレータ35を備えてインジェクタ30に連通される。燃料圧 レギュレータ35は、吸気圧力に応じて調整作用するものであり、これによりイ ンジェクタ30に供給する燃料圧力を吸気圧力に対して常に一定の高さに保ち、 噴射信号のパルス幅により燃料噴射制御することが可能になっている。点火系と して、各気筒の点火プラグ8毎に連設する点火コイル8aにイグナイタ36から の点火信号が入力するように接続されている。
【0016】 プライマリターボ過給機40の作動系について説明する。プライマリターボ過 給機40は、タービン40aに導入する排気エネルギによりブロワ40bを回転 駆動し、空気を吸入圧縮して常に過給するように作動する。タービン側にはダイ アフラム式のプライマリウエストゲート弁作動用アクチュエータ42を備えたプ ライマリウエストゲート弁41が設けられる。アクチュエータ42の圧力室には ブロワ40bの直下流からの制御圧通路44がオリフィス48を有して連通し、 過給圧が設定値以上に上昇すると応答良くプライマリウエストゲート弁41を開 くように連通される。また制御圧通路44は更に過給圧をブロワ40bの上流側 にリークするプライマリウエストゲート制御デューティソレノイド弁43に連通 し、このデューティソレノイド弁43により所定の制御圧を生じてアクチュエー タ42に作用し、プライマリウエストゲート弁41の開度を変化して過給圧制御 する。ここでプライマリウエストゲート制御デューティソレノイド弁43は、後 述する電子制御装置100からのデューティ信号により作動し、デューティ信号 のデューティ比が小さい場合は高い制御圧でプライマリウエストゲート弁41の 開度を増して過給圧を低下し、デューティ比が大きくなるほどリーク量の増大に より制御圧を低下し、プライマリウエストゲート弁41の開度を減じて過給圧を 上昇する。
【0017】 一方、スロットル弁急閉時のブロワ回転の低下や吸気騒音の発生を防止するた め、ブロワ40bの下流としてスロットル弁21の近くのインタークーラ20の 出口側と、ブロワ40bの上流との間にバイパス通路46が連通される。そして このバイパス通路46にエアバイパス弁45が、スロットル弁急閉時に通路47 によりマニホールド負圧を導入して開き、ブロワ下流に封じ込められる加圧空気 を迅速にリークするように設けられる。
【0018】 セカンダリターボ過給機50の作動系について説明する。セカンダリターボ過 給機50は同様に排気によりタービン50aとブロワ50bが回転駆動して過給 するものであり、タービン側にセカンダリウエストゲート弁作動用アクチュエー タ52を備えたセカンダリウエストゲート弁51が設けられている。またタービ ン50aの上流の排気管10には、ダイアフラム式の排気制御弁作動用アクチュ エータ54を備えた下流開き式の排気制御弁53が設けられ、ブロワ50bの下 流には同様のダイアフラム式の吸気制御弁作動用アクチュエータ56を備えたバ タフライ式の吸気制御弁55が設けられ、ブロワ50bの上、下流の間のリリー フ通路58にダイアフラム式の過給圧リリーフ弁57が設けられる。
【0019】 これら各弁の圧力動作系について説明する。先ず、負圧源のサージタンク60 がチェック弁62を有する通路61により吸気マニホールド23に連通して、ス ロットル弁全閉時に負圧を貯え且つ脈動圧を緩衝する。また過給圧リリーフ弁5 7を開閉する過給圧リリーフ弁用切換ソレノイド弁SOL.1、吸気制御弁55 を開閉する吸気制御弁用切換ソレノイド弁SOL.2、排気制御弁53を開閉す る第1と第2の排気制御弁用切換ソレノイド弁SOL.3,4、及びセカンダリ ウエストゲート弁51を開閉するセカンダリウエストゲート弁用切換ソレノイド 弁70を有する。
【0020】 また排気制御弁53を常に所定の開度に小開する手段として、排気制御弁小開 用切換ソレノイド弁S0L.5を介して制御圧が供給されることにより作動する ダイヤフラム式の排気制御弁小開作動用アクチュエータ77を有する。そして排 気制御弁小開作動用アクチュエータ77により作動される第2のリンク機構15 0が、排気制御弁作動用アクチュエータ54と排気制御弁53を連結する第1の リンク機構140を強制的に所定の小開位置に作動するよう第1のリンク機構1 40に並設される。各切換ソレノイド弁70,SOL.1〜5は、電子制御装置 100からのON・OFF信号によりサージタンク60から負圧通路63を介し ての負圧、吸気制御弁下流に連通する正圧通路64,65からの正圧、大気圧等 を選択し、各制御圧通路72,66〜69,78によりアクチュエータ側に導い てセカンダリウエストゲート弁51、過給圧リリーフ弁57、及び両制御弁55 ,53を作動する。
【0021】 上記過給圧リリーフ弁用切換ソレノイド弁SOL.1は、通電がOFFされる と、正圧通路65側を閉じて負圧通路63側を開き、制御圧通路66を介して過 給圧リリーフ弁57のスプリングが内装された圧力室に負圧を導くことでスプリ ングの付勢力に抗して過給圧リリーフ弁57を開く。また、ONされると、逆に 負圧通路63側を閉じて正圧通路65側を開き、過給圧リリーフ弁57の圧力室 に正圧を導くことで過給圧リリーフ弁57を閉じる。
【0022】 吸気制御弁用切換ソレノイド弁SOL.2は、OFFされると、大気ポートを 閉じて負圧通路63側を開き、制御圧通路67を介してアクチュエータ56のス プリングが内装された圧力室に負圧を導くことでスプリングの付勢力に抗して吸 気制御弁55を閉じる。また、ONされると、負圧通路63側を閉じて大気ポー トを開き、アクチュエータ56の圧力室に大気圧を導くことで圧力室内のスプリ ングの付勢力により吸気制御弁55を開く。
【0023】 セカンダリウエストゲート弁用切換ソレノイド弁70は、電子制御装置100 により点火進角量等に基づきハイオクガソリン使用と判断されたときのみOFF され、レギュラーガソリン使用と判断されたときにはONされる。そしてセカン ダリウエストゲート弁用切換ソレノイド弁70は、OFFされると、吸気制御弁 55の上流に連通する通路71を閉じて大気ポートを開き、大気圧を制御圧通路 72によりアクチュエータ52に導入することで、アクチュエータ52内に配設 されたスプリングの付勢力によりセカンダリウエストゲート弁51を閉じる。ま た、ONされると、大気ポートを閉じて通路71を開き、両ターボ過給機40, 50の作動時のセカンダリターボ過給機50下流の過給圧がアクチュエータ52 に導かれ、この過給圧に応じてセカンダリウエストゲート弁51を開き、レギュ ラーガソリン使用時にはハイオクガソリン使用時に比べて相対的に過給圧が低下 される。
【0024】 また、第1の排気制御弁用切換ソレノイド弁SOL.3からの制御圧通路68 が排気制御弁作動用アクチュエータ54の正圧室54aに、第2の排気制御弁用 切換ソレノイド弁SOL.4からの制御圧通路69がアクチュエータ54のスプ リングを内装した負圧室54bにそれぞれ連通されている。そして両切換ソレノ イド弁SOL3,4が共にOFFのとき、第1の排気制御弁用切換ソレノイド弁 SOL.3は正圧通路64側を閉じて大気ポートを開き、第2の排気制御弁用切 換ソレノイド弁SOL.4は負圧通路63側を閉じて大気ポートを開くことで、 アクチュエータ54の両室54a,54bが大気開放され、負圧室54bに内装 されたスプリングの付勢力により排気制御弁53を全閉する。また、両切換ソレ ノイド弁SOL.3,4が共にONのとき、それぞれ大気ポートを閉じ、第1の 排気制御弁用切換ソレノイド弁SOL.3は正圧通路64側を開き、第2の排気 制御弁用切換ソレノイド弁SOL.4は負圧通路63側を開くことで、アクチュ エータ54の正圧室54aに正圧を、負圧室54bに負圧を導き、スプリングの 付勢力に抗して排気制御弁53を全開する。
【0025】 排気制御弁小開用切換ソレノイド弁SOL.5は、OFFされると、正圧通路 64側を閉じて大気ポートを開き、制御圧通路78を介して大気圧をアクチュエ ータ77の圧力室に導くことでアクチュエータ77に内装されているスプリング の付勢力によりリンク機構150を後退する。またONされると、大気ポートを 閉じて正圧通路64側を開き、アクチュエータ77の圧力室に正圧を導くことで スプリングの付勢力に抗してリンク機構150を突出し、リンク機構140を所 定の小開位置に作動して、全閉状態の排気制御弁53を強制的に小開するように 構成される。
【0026】 各種のセンサについて説明する。エンジン吸気系に差圧センサ80と絶対圧セ ンサ81が設けられる。差圧センサ80は通路76a,76bにより吸気管19 の吸気制御弁上,下流に連通して、常に吸気制御弁55の上流と下流との差圧を 検出する。また大気ポートを備えた吸気管圧力/大気圧切換ソレノイド弁73を 有し、この切換ソレノイド弁73が通路74,75により吸気マニホールド23 と絶対圧センサ81とに連通される。そして電子制御装置100のON・OFF 信号により絶対圧センサ81を大気ポートに連通して大気圧を検出し、または吸 気マニホールド23に連通して吸気管圧力(実過給圧)を検出する。
【0027】 エンジン本体1においては、ノックセンサ82が取付けられ、左右両バンク3 ,4を連通する冷却水通路に水温センサ83が臨まされ、排気管10にO2 セン サ84が臨まされている。スロットル弁21にはスロットル開度センサとスロッ トル全閉を検出するアイドルスイッチとを内蔵したスロットルセンサ85が連設 され、エアクリーナ15の直下流に吸入空気量センサ86が配設される。また、 エンジン本体1に支承されたクランクシャフト1aにクランクロータ90が軸着 され、このクランクロータ90の外周に、電磁ピックアップ等からなるクランク 角センサ87が対設されている。更に、動弁機構9におけるカムシャフトに連設 するカムロータ91に、電磁ピックアップ等からなる気筒判別用のカム角センサ 88が対設されている。
【0028】 次に、図2に基づき電子制御系の構成について説明する。 電子制御装置(ECU)100は、ターボ過給機作動個数切換制御、過給圧制 御、燃料噴射制御、点火時期制御等を行うメインコンピュータ101と、ノック 検出処理専用のサブコンピュータ102との2つのコンピュータを中心として構 成され、各部に所定の安定化電源を供給する定電圧回路103や駆動回路104 等の周辺回路が組込まれている。
【0029】 上記定電圧回路103は、電源リレー97のリレー接点を介してバッテリ95 に接続されており、このバッテリ95に、上記電源リレー97のリレーコイルが イグニッションスイッチ96を介して接続されている。また、バッテリ95には 、定電圧回路103が直接接続され、さらに燃料ポンプリレー98のリレー接点 を介して燃料ポンプ31が接続されている。すなわち、定電圧回路103は、エ ンジンを運転する際、イグニッションスイッチ96がON操作され、電源リレー 97のリレー接点が閉となったとき、制御用電源を供給し、また、イグニッショ ンスイッチ96がOFFされたときでも後述するバックアップRAM108にバ ックアップ用の電源を供給する。
【0030】 上記メインコンピュータ101は、CPU105,R0M106,RAM10 7,イグニッションスイッチ96がOFFされたときでも定電圧回路103から バックアップ電源が供給されてデータを保持するバックアップRAMl08,カ ウンタ・タイマ群109,シリアル通信インターフェイス(SCI)112及び I/Oインターフェイス110がバスライン111を介して接続されたマイクロ コンピュータである。尚、上記カウンタ・タイマ群は、フリーランニングカウン タ、カム角センサ88からのカムパルス信号の入力計数用カウンタ(気筒判別の 際に用いる)、クランク角センサ87からのクランクパルス信号の入力間隔計数 用カウンタ(エンジン回転数算出の際に用いる)、プログラムにおける各ジョブ の定期割込みを発生させるための定期割込みタイマ、及びシステム異常監視用の ウォッチドグタイマ等を便宜上総称するものであり、上記メインコンピュータ1 01においては、その他、各種のソフトウエアカウンタ・タイマ群が用いられる 。
【0031】 また、上記サブコンピュータ102も、上記メインコンピュータ101と同様 に、CPU113,R0M114,RAM115,カウンタ・タイマ群116, I/Oインターフェイス117、及びSCI118をバスライン119を介して 接続したマイクロコンピュータであり、上記メインコンピュータ101とサブコ ンピュータ102とは、SCI112,118を介してシリアル通信ラインによ り互いに接続されている。
【0032】 上記メインコンピュータ101のI/Oインターフェイス110には、入カポ ートに、ノックセンサ82以外の各種センサ80,81,83〜88,車速セン サ89,イグニッションスイッチ96,スタータスイッチ92,及びバッテリ9 5が接続されている。また、I/Oインターフェイス110の出力ポートには、 イグナイタ36が接続され、駆動回路104を介してISCV25,インジェク タ30,各切換ソレノイド弁70,73,SOL.l〜5,デューティソレノイ ド弁43、及び燃料ポンプリレー98のリレーコイルが接続されており、さらに 、イグニッションスイッチ96がONからOFFされた後も、所定時間の間、電 源を保持させるためセルフシャット信号線がイグニッションスイッチ96と電源 リレー97のリレーコイルとの間に接続されている。
【0033】 一方、サブコンピュータ102のI/Oインターフェイス117には、入カポ ートに、クランク角センサ87,カム角センサ88が接続されると共に、ノック センサ82がアンプ120,周波数フィルタ121,A/D変換器122を介し て接続されており、ノックセンサ82からのノック検出信号がアンプ120で所 定のレベルに増幅された後に周波数フィルタ121で必要な周波数成分が抽出さ れ、A/D変換器122にてデジタル信号に変換されてサブコンピュータ102 に入力される。
【0034】 そして、イグニッションスイッチ96がONされると、電源リレー97がON してECU100に電源が投入され、定電圧回路103を介して各部に定電圧が 供給され、メインコンピュータ101は各種制御を実行し、サブコンピュータ1 02はノック検出処理を実行する。すなわち、メインコンピュータ101におい ては、CPU105が、ROM106にメモリされているプログラムに基づき、 I/Oインターフェイス110を介して各種センサ80,81,83〜89から の検出信号、及びスイッチ92,96からの信号、バッテリ電圧Vв等を入力処 理し、RAM107及びバックアップRAM108に格納された各種データ、R 0Ml06にメモリされている固定データに基づき各種制御量を演算する。そし て駆動回路104により燃料ポンプリレー98をONし燃料ポンプ31を通電し て駆動させると共に、駆動回路104を介して各切換ソレノイド弁70,73, SOL.1〜5にON・OFF信号を、デューティソレノイド弁43にデューテ ィ信号を出力してターボ過給機作動個数切換制御、及び過給圧制御を行い、演算 した燃料噴射パルス幅に相応する駆動パルス幅信号を所定のタイミングで該当気 筒のインジェクタ30に出力して燃料噴射制御を行い、また、演算した点火時期 に対応するタイミングでイグナイタ36に点火信号を出力して点火時期制御を実 行し、ISCV25に制御信号を出力してアイドル回転数制御等を実行する。
【0035】 また、サブコンピュータ102においては、エンジン回転数Nとエンジン負荷 (例えば基本燃料噴射パルス幅Tp〔=K×Q/N,Kはインジェクタ特性補正 定数、Qは吸入空気量〕を用いる)とに基づいてノックセンサ82からの信号の サンプル区間(クランク角区間)を設定し、このサンプル区間に達したとき、ノ ックセンサ82からの信号をA/D変換器122により高速にA/D変換して振 動波形を忠実にデジタルデータに変換させ、このデジタルデータに基づきノック の発生を判定する。
【0036】 サブコンピュータ102のI/Oインターフェイス117の出力ポートは、メ インコンピュータ101のI/Oインターフェイス110の入カポートに接続さ れており、サブコンピュータ102でのノック判定結果がI/Oインターフェイ ス117に出力される。そして、メインコンピュータ101は、サブコンピュー タ102からノック発生有りの判定結果が出力されると、SCI112を介して シリアル通信ラインによりノックデータを読み込み、このノックデータに基づい て直ちに該当気筒の点火時期を遅角させ、ノックを回避する。
【0037】 また、メインコンピュータ101のI/Oインターフェイス110には、コネ クタから構成されるリードメモリスイッチ123及びテストモードスイッチ12 4が接続されている。そして、工場のラインエンドやディーラ等においてテスト モードスイッチ124をON(コネクタ接続状態)とすることで、メインコンピ ュータ101及びサブコンピュータ102が通常の制御モードから予め設定され たテストモードに切換わり、テストモード制御を実行することにより、種々の検 査、点検を行うことが可能になっている。またリードメモリスイッチ123をO N(コネクタ接続状態)すると、図示しない外部装置を接続した際など、メイン コンピュータ101あるいはサブコンピュータ102内のデータが外部装置に送 出され、外部装置によるデータ表示等により故障診断することが可能になってい る。
【0038】 次に図3及び図4に基づき、排気制御弁53、排気制御弁作動用と排気制御弁 小開作動用のアクチュエータ54,77及び第1,第2のリンク機構140,1 50について具体的に説明する。先ず、排気制御弁53は、排気管を兼ねた筒状 の弁本体130を有し、この弁本体130に矢印のように排気が流入し、弁本体 130の内部の弁ポート131を有する弁座132の直下流に弁軸133が設け られる。弁軸133にはアーム134を介して弁体135が取付けられ、弁軸1 33が時計方向に回転すると、図3の実線のように弁体135が弁座132に接 して弁ポート131を全閉し、反時計方向に回転すると、図4に示すように弁体 135が弁座132から離れ排気流に対して下流開きに全開するように構成され る。
【0039】 上記排気制御弁53の弁本体130の下流側端部はボルト136によりセカン ダリターボ過給機50に結合され、このボルト136で共締めされるステー13 7により排気制御弁作動用アクチュエータ54が設置され、アクチュエータ54 が第1のリンク機構140を介して排気制御弁53の弁軸133に連結される。 またステー137には他のステー138が装着され、このステー138により排 気制御弁小開作動用アクチュエータ77が排気制御弁作動用アクチュエータ54 に隣接して略平行に設置される。
【0040】 第1のリンク機構140は、アクチュエータ54から斜め下方に延びるロッド 141を有し、このロッド141がピン143によりレバー142に回転自在に 連結し、レバー142が弁軸133に一体結合して、ロッド141の後退により 弁軸133を時計方向に回転して排気制御弁53を閉弁し、ロッド141の突出 により弁軸133を反時計方向に回転して開弁する。また図4のように弁本体1 30には全開位置を規制するストッパ144が突設され、全開時にレバー142 の端部の舌片145がストッパ144に当接するように構成される。ここで弁軸 133と一体的なレバー142を強制的に回転することで任意に開弁可能である ため、レバー142には係合片146がく字形に突設される。
【0041】 排気制御弁小開作動用アクチュエータ77により作動される第2のリンク機構 150は、逆く字形のレバー152が弁本体130にピン153により回転自在 に取付けて排気制御弁53の全閉位置付近で第1のリンク機構140におけるレ バー142の係合片146と係合するように設けられ、このレバー152の一端 がピン154によりアクチュエータ77からのロッド151に連結される。また レバー152の他端には舌片155が突設され、弁本体130側に排気制御弁5 3の全閉を妨げない範囲で舌片155の揺動を規制するストッパ156と、舌片 155が当接することにより排気制御弁小開位置を規制するストッパ157とが 配設される。
【0042】 即ち、ロッド151が図3の実線のように後退すると、舌片155がストッパ 156に当たって規制し、この状態でロッド141が同図の実線のように後退し たとき排気制御弁53の弁体135が弁座132に接して排気制御弁53は全閉 する。この状態からロッド151のみが突出すると、レバー152が同図の二点 鎖線のように揺動して係合片146とレバー142を押圧し、弁軸133と弁体 135を強制的に反時計方向に回転して排気制御弁53を小開する。このとき舌 片155がストッパ157に当たって、常に所定の小開開度に規制する。またロ ッド141が図4のように突出すると、レバー152とは無関係にレバー142 が回転して排気制御弁53を開弁し、全開位置で舌片145がストッパ144に 当たって規制するようになっている。
【0043】 次に、上記ECU100による過給機作動個数切換制御を、図5〜図8のター ボ切換制御ルーチンに示すフローチャートに従って説明する。このターボ切換制 御ルーチンは、イグニッションスイッチ96をONした後に設定時間(例えば1 0ms)毎に実行される。イグニッションスイッチ96のONによりECU10 0に電源が投入されると、システムがイニシャライズ(各フラグ,各カウント値 をクリア)され、先ず、ステップS1でツインターボモード判別フラグF1の値 を参照する。そして、このツインターボモード判別フラグF1がクリアされてい ればステップS2へ進み、セットされていればステップS50へ進む。このツイ ンターボモード判別フラグF1は、現制御状態がプライマリターボ過給機40の みを過給作動させるシングルターボモードのときクリアされ、両ターボ過給機4 0,50を過給作動させるツインターボモードのときにセットされる。
【0044】 以下の説明では、先ずシングルターボモードについて説明し、次いでシングル →ツイン切換制御、ツインターボモード、最後にツイン→シングル切換制御につ いて説明する。イグニッションスイッチ96をONした直後、及び現制御状態が シングルターボモードの場合、F1=0であるためステップS2へ進む。
【0045】 ステップS2では、エンジン回転数Nに基づきターボ切換判定値テーブルを補 間計算付で参照してシングル→ツイン切換判定基本値Tp2Bを設定する。この シングル→ツイン切換判定基本値Tp2Bは、標準大気圧(760mmHg)に おいて、シングルターボ状態からツインターボ状態への切換えを判断する為のも のである。図11に示すように、上記ターボ切換判定値テーブルには、エンジン 回転数Nとエンジン負荷(本実施例では基本燃料噴射パルス幅)Tpとの関係か らシングルターボモードからツインターボモードへ切換えるシングル→ツイン切 換判定ラインL2と、その逆にツインターボモードからシングルターボモードへ 切換えるツイン→シングル切換判定ラインL1を標準大気圧下において予め実験 等から求め、シングルターボ領域とツインターボ領域とが設定されている。そし て、各ラインL2,L1に対応してそれぞれシングル→ツイン切換判定基本値T p2B、及びツイン→シングル切換判定基本値Tp1Bが、エンジン回転数Nを パラメータとしたテーブルとして予めROM102の一連のアドレスに格納され ている。
【0046】 ここでシングル→ツイン切換判定ラインL2は、切換時のトルク変動を防止す るため図15に示すエンジン出力特性のシングルターボ時のトルク曲線TQ1と ツインターボ時のトルク曲線TQ2とが一致する点Cに設定する必要がある。こ のため図11に示すように、低,中回転数域での高負荷からエンジン回転数Nの 上昇に応じて低負荷側に設定される。また同図に示すように、ターボ過給機作動 個数の切換時の制御ハンチングを防止するため、ツイン→シングル切換判定ライ ンL1は、シングル→ツイン切換判定ラインL2に対して低回転数側に比較的広 い幅のヒステリシスを有して設定される。
【0047】 次いで、ステップS3へ進み、大気圧(絶対圧値)ALTに基づき大気圧補正 係数テーブルを補間計算付で参照して、シングル→ツイン大気圧補正係数KTW NALT(0<KTWNALT≦1.0)を設定する。図10(d)に示すよう に、この大気圧補正係数テーブルには、標準大気圧(760mmHg)を1.0 とし、大気圧が低下するに従って小さい値のシングル→ツイン大気圧補正係数K TWNALTが格納されている。
【0048】 そして、ステップS4で、上記シングル→ツイン切換判定基本値Tp2Bをシ ングル→ツイン大気圧補正係数KTWNALTで補正して、シングル→ツイン切 換判定値Tp2を設定する。
【0049】 次いで、ステップS5へ進み、上記シングル→ツイン切換判定値Tp2と現在 の基本燃料噴射パルス幅Tp(以下「エンジン負荷」)とを比較し、Tp<Tp 2の場合、ステップS6へ進み、Tp≧Tp2の場合には、ステップS30へ分 岐してシングルターボ状態からツインターボ状態に切換える為のシングル→ツイ ン切換制御に移行する。
【0050】 上記シングル→ツイン切換判定値Tp2は、上記シングル→ツイン大気圧補正 係数KTWNALTにより大気圧ALTが低いほど小さい値に補正される。この ため、大気圧ALTが低くなるに従い、シングル→ツイン切換判定値Tp2によ る、プライマリターボ過給機40のみ過給作動のシングルターボ状態から両ター ボ過給機40,50過給作動のツインターボ状態への切換えを判断するためのシ ングル→ツイン切換判定ラインL2が、図12に示す実線の標準大気圧の場合に 対して、一点鎖線のように低負荷,低回転側に補正される。
【0051】 これにより、エンジン運転領域がシングル→ツイン切換判定ラインL2を境に シングルターボ領域側からツインターボ領域側に移行するタイミングが早められ 、シングルターボモードからシングル→ツイン切換制御への移行が早められてシ ングルターボ状態からツインターボ状態への切換えが早められる。
【0052】 過給圧制御を絶対圧により行う場合は、大気圧ALTの低い高地走行等、大気 圧が低いほど目標過給圧と大気圧との差圧が大きくなり、所定の目標過給圧を得 ようとすればターボ過給機の回転数が相対的に高くなる。この結果、エンジン運 転状態を表すエンジン回転数Nと負荷Tpとの増大に伴うプライマリターボ過給 機40の回転数上昇率も高くなる。そして、プライマリターボ過給機40のみ過 給作動のシングルターボ状態では、排気ガスの殆どがプライマリターボ過給機4 0に導入されるため、大気圧が低いほどプライマリターボ過給機40が過回転状 態となるエンジン運転領域が低負荷,低回転側に拡大される。前述のように、プ ライマリターボ過給機40を低速型の小容量とした場合にはこれが顕著となる。 そこで、大気圧ALTが低いほどエンジン運転状態に基づくシングルターボモー ドからシングル→ツイン切換制御に移行するタイミングを早め、後述する排気制 御弁53の全開制御時期を早めることで、排気制御弁53の全開によりプライマ リターボ過給機40に導入される排気流をセカンダリターボ過給機50に分散さ せて、プライマリターボ過給機40の過回転を防止するのである。これにより、 プライマリターボ過給機40は、排気圧および排気流の上昇により過回転状態と なり臨界回転数に達することによるサージングの発生が大気圧ALTの変化に拘 らず防止され、損傷が防止される。
【0053】 また、同じエンジン運転状態であっても気圧変動によりシングルターボ状態下 においてプライマリターボ過給機40の回転数上昇率が変化しセカンダリターボ 過給機50作動開始による運転フィーリングが変化するが、大気圧ALTが低い ほどツインターボ状態への切換えを早めることで、大気圧変化(例えば、高地走 行と低地走行)に拘らずセカンダリターボ過給機50作動開始に伴う運転フィー リングを略同じにすることができる。
【0054】 一方、上記ステップS5で、Tp<Tp2であり、ステップS6へ進んだ場合 には、シングルターボモード制御を行う。ステップS6へ進むと、排気制御弁小 開判別フラグF2の値を参照する。この排気制御弁小開判別フラグF2は、現運 転領域が排気制御弁53の小開によりセカンダリターボ過給機50を予備回転さ せる排気制御弁小開制御モード領域内のときセットされ、領域外のときクリアさ れる。
【0055】 従って、イグニッションスイッチ96をONした直後はイニシャルセットによ り、また、前回ルーチン実行時に運転領域が排気制御弁小開制御モード領域外の ときは、F2=0であるため、ステップS7へ進み、ステップS7〜S9の条件 判断により現在の運転領域が排気制御弁小開制御モード領域内に移行したかを判 断する。
【0056】 この排気制御弁小開制御モード領域への移行判定は、図9に示すように、エン ジン回転数Nと吸気管圧力(過給圧)Pとの関係で、シングル→ツイン切換判定 ラインL2よりも低回転低負荷側、すなわちシングルターボモード下において、 設定値N2(例えば2650rpm),P2(例えば1120mmHg)で囲ま れた領域で、且つスロットル開度THが設定値TH2(例えば30deg)以上 のとき、領域内に移行したと判定する。
【0057】 即ち、ステップS7でエンジン回転数Nと設定値N2とを比較し、ステップS 8で吸気管圧力Pと設定値P2とを比較し、ステップS9でスロットル開度TH と設定値TH2とを比較する。そして、N<N2,或いはP<P2,或いはTH <TH2の場合にステップS10へ進み、現運転領域が排気制御弁小開制御モー ド領域外にあると判断して、排気制御弁小開判別フラグF2をクリアする。一方 、N≧N2且つP≧P2且つTH≧TH2の場合にはステップS11へ進み、現 運転領域が排気制御弁小開制御モード領域に移行したと判断して排気制御弁小開 判別フラグF2をセットする。
【0058】 そして、ステップS12へ進んで、過給圧リリーフ弁用切換ソレノイド弁S0 L.1をOFFし、ステップS13で吸気制御弁用切換ソレノイド弁S0L.2 をOFFする。またステップS14で第1の排気制御弁用切換ソレノイド弁SO L.3をOFFし、ステップS15で第2の排気制御弁用切換ソレノイド弁SO L.4をOFFする。次いでステップS16へ進むと、排気制御弁小開判別フラ グF2の値を参照し、F2=0の場合は、ステップS17で排気制御弁小開用切 換ソレノイド弁S0L.5もOFFする。その後、ステップS18〜20で上記 ツインターボモード判別フラグF1、後述する差圧検索フラグF3、制御弁切換 時間カウント値C1をそれぞれクリアした後、ルーチンを抜ける。
【0059】 従って、シングルターボモード下で、且つ排気制御弁小開制御モード領域外の 低回転,低負荷の運転領域では、各切換ソレノイド弁SOL.1〜5の全てがO FFする。そこで過給圧リリーフ弁57は、過給圧リリーフ弁用切換ソレノイド 弁SOL.1のOFFによりサージタンク60からの負圧が圧力室に導入される ことでスプリングの付勢力に抗して開弁し、吸気制御弁55は、吸気制御弁用切 換ソレノイド弁SOL.2のOFFによりアクチュエータ56の圧力室に負圧が 導入されることで、スプリングの付勢力に抗して逆に閉弁する。
【0060】 また排気制御弁小開作動用アクチュエータ77は、排気制御弁小開用切換ソレ ノイド弁S0L.5のOFFによりアクチュエータ77の圧力室に大気圧が導入 されることで、アクチュエータ77に内装されたスプリングの付勢力により第2 のリンク機構150のロッド151とレバー152が図3の実線のように後退し 、このとき舌片155がストッパ156に当たって排気制御弁53の全閉を妨げ ない位置で規制される。更に、両排気制御弁用切換ソレノイド弁SOL.3,4 のOFFによりアクチュエータ54の両室54a,54bに大気圧が導入される ことで、スプリングの付勢力により第1のリンク機構140のロッド141が図 3の実線のように後退し、このため排気制御弁53はレバー142により弁軸1 33と弁体135が時計方向に回転して閉弁し、弁体135が弁座132に接し て全閉する。
【0061】 そして排気制御弁53の閉弁により、セカンダリターボ過給機50への排気の 導入が遮断されて、セカンダリターボ過給機50が不作動となり、プライマリタ ーボ過給機40のみが作動するシングルターボ状態となる。また吸気制御弁55 の閉弁により、プライマリターボ過給機40からの過給圧の吸気制御弁55を介 してのセカンダリターボ過給機50側へのリークが防止され、過給圧の低下が防 止される。尚、このシングルターボモード下で、或は後述するツインターボモー ド下においては、過給圧フィードバック制御は、ここでは詳述しないがプライマ リウエストゲート弁41のみを用いて行われ、目標過給圧と絶対圧センサ81に より検出される実過給圧とを比較し、その比較結果に応じて、例えばPI制御に よりデューティソレノイド弁43に対するONデューティ(デューティ比)を演 算し、このONデューティのデューティ信号をデューティソレノイド弁43に出 力することにより実行する。
【0062】 一方、上記ステップS11で、現運転領域が排気制御弁小開制御モード領域内 にあると判断されて排気制御弁小開判別フラグF2がセットされた場合には、ス テップS12〜S16を介してステップS21へ進み、排気制御弁小開用切換ソ レノイド弁S0L.5のみをONする。そこで排気制御弁小開作動用アクチュエ ータ77の圧力室には正圧が導入され、アクチュエータ77に内装されたスプリ ングの付勢力に抗し、この正圧により第2のリンク機構150のロッド151が 突出してレバー152が図3の二点鎖線のように揺動する。このため排気制御弁 作動用アクチュエータ54のスプリングの付勢力で閉弁作用する第1のリンク機 構140では、第2のリンク機構150のレバー152により係合片146を介 してレバー142が押圧され、これにより排気制御弁53は弁軸133、弁体1 35が同図の二点鎖線のように反時計方向に回転して強制的に小開される。そし てこの場合に、レバー152の舌片155がストッパ157に当たって、レバー 152、142等の作動量と共に排気制御弁53の弁体135の小開開度が一定 に規制される。
【0063】 こうしてシングルターボモード下での排気制御弁小開制御モード領域において は、排気制御弁53ではその作動用アクチュエータ54により閉弁する状態にお いて、排気制御弁小開作動用アクチュエータ77とリンク機構150により、図 13のように常に所定の開度だけ確実に小開される。そこで排気の一部がセカン ダリターボ過給機50のタービン50aにも導入し、セカンダリターボ過給機5 0が確実に予備回転してツインターボへの移行に備えられる。
【0064】 この排気制御弁小開状態では、セカンダリターボ過給機50が回転し吸気制御 弁55が閉弁されているため、セカンダリターボ過給機50のブロワ50b下流 と吸気制御弁55との間に過給圧が封じ込められるが、このとき過給圧リリーフ 弁57の開弁によりこの過給圧をリークさせ、予備回転の円滑化を図っている。
【0065】 また、シングルターボモード下において運転領域が排気制御弁小開制御モード 領域内にあり、排気制御弁小開判別フラグがセット(F2=1)された場合には 、前記ステップS6からステップS22へ進み、ステップS22ないしS24の 条件判断により現在の運転領域が排気制御弁小開制御モード領域外に移行したか の判断がなされる。
【0066】 この領域外への移行判定は、排気制御弁小開切換時の制御ハンチングを防止す るため、図9に示すように、前記設定値N2,P2,TH2よりも低い値の設定 値N1(例えば2600rpm),P1(例えば1070mmHg),TH1( 例えば25deg)により行う。そしてステップS22で、エンジン回転数Nと 設定値N1とを比較し、ステップS23で吸気管圧力(過給圧)Pと設定値P1 とを比較し、ステップS24でスロッル開度THと設定値TH1とを比較し、N <N1,或はP<P1,或はTH<TH1の場合、現運転領域が排気制御弁小開 制御モード領域外に移行したと判断して前述のステップS10へ進み、排気制御 弁小開判別フラグF2をクリアする。これにより、排気制御弁小開制御が解除さ れる。また、N≧N1且つP≧P1且つTH≧TH1の場合には、現運転領域が 領域内のままであると判断して前記ステッブS11へ進み、排気制御弁小開判別 フラグF2をF2=1の状態に保持し、排気制御弁小開制御を継続する。
【0067】 以上のように、シングルターボモード下では、エンジン本体1からの排気のほ とんどがプライマリターボ過給機40に導入されて、タービン40aによりブロ ワ40bを回転駆動する。そこでブロワ40bにより空気を吸入圧縮し、この圧 縮空気がインタークーラ20で冷却され、スロットル弁21の開度で流量調整さ れ、チャンバ22,吸気マニホールド23を介して各気筒に高い充填効率で供給 されて過給作用する。そしてこのシングルターボモードによりプライマリターボ 過給機40のみが作動するシングルターボ状態では、図15の出力特性に示すよ うに、低,中回転数域で高い軸トルクのシングルターボ時のトルク曲線TQ1が 得られる。
【0068】 次に、シングル→ツイン切換制御について説明する。前記ステップS5でTp ≧Tp2、即ち、現在の運転領域がシングルターボ領域からツインターボ領域( 図12参照)に移行したと判断されると、ステップS30へ分岐してプライマリ ターボ過給機40のみ作動のシングルターボ状態から両ターボ過給機40,50 作動のツインターボ状態へ切換えるためのシングル→ツイン切換制御を実行する 。
【0069】 先ずステップS30で、過給圧リリーフ弁用切換ソレノイド弁SOL.1に対 する通電状態を判断し、ステップS32で第1の排気制御弁用切換ソレノイド弁 SOL.3に対する通電状態を判断し、両切換ソレノイド弁SOL.1,3が共 にONの場合は、そのままステップS34へ進む。また各切換ソレノイド弁SO L.1,3がOFFの場合は、ステップS31,S33でそれぞれ切換ソレノイ ド弁SOL.1,3をONしてステップS34へ進む。
【0070】 そこで過給圧リリーフ弁57は、過給圧リリーフ弁用切換ソレノイド弁SOL .1のONにより正圧通路65からの正圧が圧力室に導入されることで、この正 圧及びスプリングの付勢力により図13のように直ちに閉弁して、リリーフ通路 58が遮断される。また第1の排気制御弁用切換ソレノイド弁SOL.3のON によりアクチュエータ54の正圧室54aに正圧が導入されることで、リンク機 構140のロッド141が徐々に突出する。このためレバー142はリンク機構 150のレバー152から分離して無関係に揺動し、これにより排気制御弁53 では弁体135の開度が図13のように更に増大する。そこでセカンダリターボ 過給機50の回転数が上昇されると共に、セカンダリターボ過給機50のブロワ 50b下流と吸気制御弁55との間の過給圧が次第に上昇され、ツインターボモ ードへの移行に備えられる。
【0071】 ステップS34では、差圧検索フラグF3の値を参照する。シングル→ツイン 切換制御に移行後、初回のルーチン実行時には、F3=0であるためステップS 35へ進む。そして車速VSPに基づき排気制御弁開ディレー時間設定テーブル を補間計算付で参照して、シングル→ツイン切換制御移行後の排気制御弁53の 全開制御(第2の排気制御弁用切換ソレノイド弁SOL.4をOFFからONに する)時期を定める排気制御弁開ディレー時間T1を設定し、ステップS36で 車速VSPに基づき吸気制御弁開ディレー時間設定テーブルを補間計算付で参照 して、上記排気制御弁53の全開制御後に吸気制御弁55の開弁制御(吸気制御 弁用切換ソレノイド弁SOL.2をOFFからONにする)開始時期の条件を定 めるための吸気制御弁開ディレー時間T2を設定する。更に、ステップS37で 、吸気制御弁55の上流圧PUと下流圧PDとの差圧(差圧センサ80の読込み 値)DPS(=PU−PD)に基づきテーブルを参照して、吸気制御弁55の開 弁制御開始時期を定めるための吸気制御弁開差圧DPSSTを設定する。
【0072】 図10(a)に排気制御弁開ディレー時間設定テーブルの概念図を、同図(b )に吸気制御弁開ディレー時間設定テーブルの概念図をそれぞれ示す。図に示す ように車速VSPが高いほど、排気制御弁開ディレー時間T1及び吸気制御弁開 ディレー時間T2を短くして、排気制御弁53を全開させるタイミング及び吸気 制御弁55を開けるタイミング、即ち、ツインターボモードに切換わるタイミン グを早め、車速に拘らず加速応答性を均一化させ、ドライバビリティの向上を図 るようにしている。
【0073】 また、図10(c)に吸気制御弁開差圧設定テーブルの概念図を示す。同図に 示すように、エンジン運転状態がシングルターボ領域から前記シングル→ツイン 切換判定ラインL2(シングル→ツイン切換判定値Tp2)を境としてツインタ ーボ領域(図12参照)に移行した直後の差圧DPSがマイナス側にあるほど、 即ち、吸気制御弁55の上流圧PUに対し下流圧PDが高く、高過給状態である ほど吸気制御弁開差圧DPSSTをマイナス側とし、吸気制御弁55を開けるタ イミングを早め、加速応答性を向上させる。
【0074】 そして、これらディレー時間T1,T2及び吸気制御弁開差圧DPSSTを設 定した後は、ステップS38に進んで差圧検索フラグF3をセットして、ステッ プS39へ進む。ステップS39では、第2の排気制御弁用切換ソレノイド弁S OL.4に対する通電状態を判断することで、既に排気制御弁53に対する全開 制御が開始されているかを判断し、SOL.4=ONであり、既に排気制御弁全 開制御が開始されている場合にはステップS44へジャンプする。一方、SOL .4=OFFの場合には、排気制御弁全開制御実行前であるためステップS40 へ進み、制御弁切換時間カウント値C1と上記排気制御弁開ディレー時間T1と を比較し、シングル→ツイン切換制御移行後、排気制御弁開ディレー時間T1が 経過したかを判断する。
【0075】 そこでC1<T1のディレー時間経過前のときにはステップS41へ進み、制 御弁切換時間カウント値C1をカウントアップしてルーチンを抜ける。そしてC 1≧T1になると、ステップS42へ進んで第2の排気制御弁用切換ソレノイド 弁SOL.4をONさせる。そこで排気制御弁作動用アクチュエータ54の負圧 室54bに負圧が導入することで、この負圧によりリンク機構140のロッド1 41が更に突出し、排気制御弁53は図13のように直ちに全開する。このとき レバー142の舌片145がストッパ144に当たって、この全開位置に規制さ れる(図4参照)。
【0076】 その結果、セカンダリターボ過給機50の回転数がより上昇されてブロワ50 bと吸気制御弁55との間のセカンダリターボ過給機50によるコンプレッサ圧 (過給圧)も上昇し、図13に示すように、吸気制御弁55の上流と下流との差 圧DPSが上昇する。その後、ステップS43へ進み、排気制御弁全開制御後の 時間を計時するため制御弁切換時間カウント値C1をクリアし、ステップS44 へ進む。
【0077】 そして、前記ステップS39またはステップS43からステップS44へ進む と、排気制御弁全開制御(SOL.4OFF→ON)後の時間を表すカウント値 C1と吸気制御弁開ディレー時間T2とを比較し、C1<T2の場合には、吸気 制御弁55開弁条件が成立していないと判断して、ステップS41でカウント値 C1をカウントアップしてルーチンを抜ける。またC1≧T2の場合には、開弁 条件成立と判断してステップS45へ進み、現在の差圧DPSと吸気制御弁開差 圧DPSSTとを比較し、吸気制御弁55の開弁開始時期に達したかを判断する 。
【0078】 そして、DPS<DPSSTの時には開弁開始時期に達していないと判断して ルーチンを抜け、DPS≧DPSSTの時には吸気制御弁55の上流圧PUと下 流圧PDとが略等しくなり、すなわちセカンダリターボ過給機50のブロワ50 bと吸気制御弁55との間のセカンダリターボ過給機50による過給圧が上昇し てプライマリターボ過給機40による過給圧と略等しくなり、吸気制御弁開弁開 始時期に達したと判断してステップS46へ進み、吸気制御弁用切換ソレノイド 弁SOL.2をONして、吸気制御弁55を開弁させる。
【0079】 この結果、セカンダリターボ過給機50からの過給が実質的に開始され、ツイ ンターボ状態となる。そしてステップS47へ進み、シングル→ツイン切換制御 の終了により、次回ツインターボモードへ移行させるべくツインターボモード判 別フラグF1をセットしてルーチンを抜ける。尚、以上のシングル→ツイン切換 制御によるシングルターボモードからツインターボモードへの切換わり状態を、 図13のタイムチャートに示す。
【0080】 上述のように、シングル→ツイン切換制御においては、先ず、過給圧リリーフ 弁57を閉弁すると共に、排気制御弁53を開弁し、セカンダリターボ過給機5 0の予備回転数を上昇させ、その後、セカンダリターボ過給機50の予備回転数 を上昇させるに必要な時間を排気制御弁開ディレー時間T1により与え、このデ ィレー時間T1経過後に排気制御弁53を全開にする。そしてセカンダリターボ 過給機50のブロワ50bと吸気制御弁55間のセカンダリターボ過給機50に よる過給圧が上昇して差圧DPSが上昇し、排気制御弁全開制御後、吸気制御弁 開ディレー時間T2により排気制御弁53が全開されるまでの作動遅れ時間を補 償し、ディレー時間T2経過後、吸気制御弁55の上流と下流との差圧DPSが 吸気制御弁開差圧DPSSTに達した時点で吸気制御弁55を開弁する。これに よって、プライマリターボ過給機40のみ作動のシングルターボ状態から両ター ボ過給機40,50作動によるツインターボ状態への切換わりがスムーズに行わ れ、さらに、吸気制御弁55の上流圧PUと下流圧PDとが略等しくなった時点 で吸気制御弁55を開弁してセカンダリターボ過給機50からの過給を開始させ るので、ツインターボ状態への切換え時に発生する過給圧の一時的な低下による トルクショックの発生が有効かつ確実に防止される。
【0081】 次に、ツインターボモードについて説明する。シングル→ツイン切換制御の終 了によりツインターボモード判別フラグF1がセットされると、或いは前回ルー チン実行時にツインターボモードであった場合、今回ルーチン実行時、F1=1 によりステップS1からステップS50に分岐する。
【0082】 そしてステップS50で、エンジン回転数Nに基づきターボ切換判定値テーブ ルを補間計算付で参照してツイン→シングル切換判定基本値Tp1Bを設定し( 図11参照)、ステップS51へ進んで、大気圧(絶対圧値)ALTに基づき大 気圧補正係数テーブルを補間計算付で参照して、ツイン→シングル大気圧補正係 数KSGLALTを設定する。図10(d)に示すように、上記大気圧補正係数 テーブルには、前述のシングル→ツイン大気圧補正係数KTWNALTと同様に 、標準大気圧以上を1.0とし、大気圧ALTが低下するに従い、小さい値のツ イン→シングル大気圧補正係数KSGLALTが格納されている。
【0083】 そして、ステップS52で、上記ツイン→シングル切換判定基本値Tp1Bを ツイン→シングル大気圧補正係数KSGLALTで補正して、ツインターボモー ドからシングルターボモードへの切換えを判断する為のツイン→シングル切換判 定値Tp1を設定する。
【0084】 上記ツイン→シングル大気圧補正係数KSGLALTが大気圧ALTが低下す るに従い小さな値に設定される為、ツイン→シングル切換判定値Tp1によるツ イン→シングル切換判定ラインL1が、図12に実線で示す標準大気圧の場合に 対し、前述のシングル→ツイン切換判定ラインL2と同様に、大気圧ALTが低 いほど図の一点鎖線で示すように低負荷低回転側に補正される。その結果、シン グルターボ状態からツインターボ状態への切換えを判断するためのシングル→ツ イン切換判定ラインL2と、ツインターボ状態からシングルターボ状態への切換 えを判断するためのツイン→シングル切換判定ラインL1とに、大気圧ALTの 変化に拘らず常に略−定の適正なヒステリシスを設定することが可能となり、タ ーボ過給機作動個数切換えの制御ハンチングを有効且つ確実に防止でき、さらに 、ツインターボ状態からシングルターボ状態への切換えに伴う運転フィーリング を大気圧ALTの変化に拘らず略同じとすることができる。
【0085】 次いで、ステップS53へ進み、エンジン負荷Tpと上記ツイン→シングル切 換判定値Tp1とを比較し、Tp≧Tp1の場合、現在の運転状態がツインター ボ領域であるためステップS54で判定値検索フラグF4をクリアし、ステップ S55でシングルターボ領域に移行後の経過時間をカウントするためのシングル ターボ領域継続時間カウント値C2をクリアした後、ステップS61へジャンプ し、ステップS61ないしS64で過給圧リリーフ弁用切換ソレノイド弁SOL .1、吸気制御弁用切換ソレノイド弁SOL.2、第1,第2の排気制御弁用切 換ソレノイド弁SOL.3,4をそれぞれONさせ、過給圧リリーフ弁57を閉 弁に、吸気制御弁55及び排気制御弁53を共に全開に保持する。
【0086】 その後ステップS65で排気制御弁小開用切換ソレノイド弁S0L.5をOF Fし、排気制御弁小開作動用アクチュエータ77の圧力室に大気圧を導入する。 このためアクチュエータ77に内装されたスプリングの付勢力により第2のリン ク機構150はロッド151やレバー152が後退して、ストッパ156により 規制される初期状態に戻る。次いでステップS66へ進み、ツインターボモード 判別フラグF1をセットして、ステップS20へ戻り、制御弁切換時間カウント 値C1をクリアした後、ルーチンを抜ける。
【0087】 このツインターボモード下では、過給圧リリーフ弁57の閉弁、吸気制御弁5 5の開弁、排気制御弁53の全開により、プライマリターボ過給機40に加えて セカンダリターボ過給機50が本格作動し、両ターボ過給機40,50の過給作 動によるツインターボ状態となり、両ターボ過給機40,50の過給による圧縮 空気が吸気系に供給され、図15の出力特性に示すように、高回転数域で高い軸 トルクのツインターボ時のトルク曲線TQ2が得られる。
【0088】 一方、上記ステップS53でTp<Tp1、すなわち現在の運転領域がシング ルターボ領域(図12参照)に移行したと判断されると、ステップS56へ進み 、判定値検索フラグF4の値を参照し、F4=0の場合にはステップS57へ進 み、F4=1の場合にはステップS59へジャンプする。
【0089】 上記判定値検索フラグF4は、ツインターボモードで且つエンジン負荷Tpが ツイン→シングル切換判定ラインL1(Tp1)を境にエンジン運転状態がツイ ンターボ領域内のときにクリアされる(ステップS54)。従って、Tp<Tp 1後、初回のルーチン実行に際してはステップS57へ進み、エンジン負荷Tp に基づきシングルターボ領域継続時間判定値テーブルを補間計算付で参照してシ ングルターボ領域継続時間判定値T4を設定する。この設定値T4は、エンジン 運転状態がツインターボ領域からシングルターボ領域へ移行した後、所定時間経 過後にプライマリターボ過給機40のみ作動のシングルターボモードに切換える ための基準値である。
【0090】 図10(e)にシングルターボ領域継続時間判定値テーブルの概念図を示す。 エンジン負荷Tpに応じて設定されるシングルターボ領域継続時間判定値T4は 、例えば最大2.3sec、最小0.6secに設定され、エンジン負荷Tpの 値が大きく高負荷であるほど小さい値に設定される。これによりエンジン運転状 態がツインターボ領域からシングルターボ領域に移行後、ツインターボモードか らシングルターボモードに切換わるまでの時間がエンジン負荷が高いほど早めら れ、ツインターボ状態での軸トルクの低い部分での運転が防止され、再加速性が 向上する。
【0091】 次いで、ステップS58で判定値検索フラグF4をセットした後、ステップS 59へ進む。そしてステップS59で、シングルターボ領域継続時間カウント値 C2をカウントアップした後、ステップS60で上記判定値T4とカウント値C 2とを比較し、C2<T4のときには前記ステップS61へ進み、ツインターボ モードを維持する。一方、C2≧T4のときには、ステップS67へ進み、カウ ント値C2をクリアした後ステップS10へ戻り、ツインターボモードからシン グルターボモードに切換わる。これにより、各切換ソレノイド弁SOL.1〜4 がOFFとなり、過給圧リリーフ弁57が開弁され、吸気制御弁55及び排気制 御弁53が共に閉弁されることで、両ターボ過給機40,50が作動するツイン ターボ状態からプライマリターボ過給機40のみ作動のシングルターボ状態に切 換わる。
【0092】 この時の切換わり状態をタイムチャートで示すと、図14の通りとなる。この ように、ツインターボモードからシングルターボモードへの切換わりは、エンジ ン運転領域がツインターボ領域からシングルターボ領域へ移行後(Tp<Tp1 )、その状態が設定時間継続した時(C2≧T4)行われることになり、シフト チェンジ等に伴いエンジン回転数Nが一時的に低下することによる不要な過給機 の切換わりが未然に防止される。
【0093】
【考案の効果】
以上説明したように本考案によれば、シングルターボ状態下の所定の排気制御 弁小開領域にあるときには、排気制御弁作動用アクチュエータに内装されたスプ リングの付勢力により第1のリンク機構を介して排気制御弁を全開した状態で、 エンジンの吸気系からの制御圧が排気制御弁小開用ソレノイド弁を介して排気制 御弁小開作動用アクチュエータの圧力室に供給され、この排気制御弁小開作動用 アクチュエータにより第2のリンク機構が作動されて、第2のリンク機構のレバ ーにより第1のリンク機構における排気制御弁の弁軸と一体的なレバーが押圧さ れて強制的に排気制御弁が所定の開度だけ小開されるので、排気制御弁を確実に 小開してセカンダリターボ過給機を確実に予備回転させることができ、且つ排気 制御弁作動用アクチュエータによる排気制御弁の開弁を損なうことがない。また 、アクチュエータの作動には吸気系の制御圧を用いるので、信頼性が向上する。
【0094】 また、排気制御弁の小開位置は、第2のリンク機構のレバーの揺動範囲を規制 するストッパに、第2のリンク機構のレバーが当接することで確実に規制される ので、排気制御弁の小開時には、排気制御弁を常に所定の開度だけ小開した状態 に固定することができる。
【0095】 さらに、制御装置により、プライマリターボ過給機のみを過給作動させるシン グルタ一ボ状態下でエンジン運転状態に基づき運転領域が予め設定された排気制 御弁小開制御領域内にあると判断されたときに排気制御弁用切換ソレノイド弁に ON信号が出力され、該切換ソレノイド弁を介してエンジンの吸気系からの正圧 が排気制御弁小開作動用アクチュエータの圧力室に供給されて、排気制御弁小開 作動用アクチュエータが作動し排気制御弁が小開されるので、シングルターボ状 態下の排気制御弁小開制御領域で、両ターボ過給機過給動作によるツインターボ 状態への移行に備えてセカンダリターボ過給機を確実に予備回転させることがで き、プライマリターボ過給機のみ過給作動のシングルターボ状態から両ターボ過 給機作動によるツインターボ状態への切換時のトルクショックを確実に低減する ことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本考案に係る過給機付エンジンの全体構成図で
ある。
【図2】制御装置の回路図である。
【図3】排気制御弁小開装置の実施例を一部断面して示
す正面図である。
【図4】同実施例の排気制御弁全開状態を示す正面図で
ある。
【図5】ターボ切換制御ルーチンを示すフローチャート
である。
【図6】ターボ切換制御ルーチンを示すフローチャート
である。
【図7】ターボ切換制御ルーチンを示すフローチャート
である。
【図8】ターボ切換制御ルーチンを示すフローチャート
である。
【図9】排気制御弁小開領域の説明図である。
【図10】(a)は排気制御弁開ディレー時間設定テー
ブル、(b)は吸気制御弁開ディレー時間設定テーブ
ル、(c)は吸気制御弁開差圧設定テーブル、(d)は
大気圧補正係数テーブル、(e)はシングルターボ領域
継続時間判定値テーブルをそれぞれ示す図である。
【図11】ターボ切換判定値テーブルの説明図である。
【図12】各判定値の大気圧補正状態を示す説明図であ
る。
【図13】シングルターボモードからツインターボモー
ドへの切換わり状態を示すタイムチャートである。
【図14】ツインターボモードからシングルターボモー
ドへの切換わり状態を示すタイムチャートである。
【図15】シングルターボ時とツインターボ時との出力
特性を示す説明図である。
【符号の説明】
40 プライマリターボ過給機 50 セカンダリターボ過給機 53 排気制御弁 54 排気制御弁作動用アクチュエータ 55 吸気制御弁 77 排気制御弁小開作動用アクチュエータ 100 制御装置 133 弁軸 135 弁体 140 第1のリンク機構 142,152 レバー 150 第2のリンク機構 151 ロッド 157 ストッパ SOL.5 排気制御弁小開用切換ソレノイド弁

Claims (3)

    【実用新案登録請求の範囲】
  1. 【請求項1】 エンジンの吸,排気系にプライマリター
    ボ過給機とセカンダリターボ過給機とを並列に配置し、
    共に全閉のときにはセカンダリターボ過給機の過給作動
    を停止させてプライマリターボ過給機のみ作動のシング
    ルターボ状態とし、共に全開のときにはセカンダリター
    ボ過給機を過給作動させて両ターボ過給機の過給作動に
    よるツインターボ状態とする吸気制御弁,排気制御弁
    を、セカンダリターボ過給機に接続される吸,排気系に
    それぞれ配設し、シングルターボ状態からツインターボ
    状態への切換前に所定の排気制御弁小開領域にあるとき
    には上記排気制御弁を小開させてセカンダリターボ過給
    機を予備回転させると共に、上記排気制御弁を作動させ
    るダイヤフラム式の排気制御弁作動用アクチュエータ
    を、排気制御弁の弁体と一体的な弁軸に第1のリンク機
    構を介して連結し、上記排気制御弁作動用アクチュエー
    タに内装されたスプリングの付勢力により排気制御弁を
    閉弁すると共に、該アクチュエータに制御圧を供給する
    ことで排気制御弁を開弁する過給機付エンジンにおい
    て、 圧力室を有し上記排気制御弁を小開させるダイヤフラム
    式の排気制御弁小開作動用アクチュエータを備え、この
    アクチュエータの圧力室に作用するエンジンの吸気系か
    らの制御圧を切換える排気制御弁小開用切換ソレノイド
    弁を配設し、上記排気制御弁小開作動用アクチュエータ
    により作動される第2のリンク機構を上記第1のリンク
    機構に並設し、上記第2のリンク機構は上記排気制御弁
    小開用切換ソレノイド弁により排気制御弁小開作動用ア
    クチュエータの圧力室に制御圧を供給することで、第1
    のリンク機構における排気制御弁の弁軸と一体的なレバ
    ーを押圧し、排気制御弁作動用アクチュエータによる排
    気制御弁の全閉状態で強制的に排気制御弁を所定の開度
    だけ小開させるレバーを備えることを特徴とする過給機
    付エンジンの排気制御弁小開装置。
  2. 【請求項2】 第2のリンク機構のレバーは、排気制御
    弁小開作動用アクチュエー夕のロッドに連設され、ロッ
    ドの突出または後退により揺動し、且つレバーの揺動範
    囲に排気制御弁の小開位置を規制するストッパを配設す
    ることを特徴とする請求項1記載の過給機付エンジンの
    排気制御弁小開装置。
  3. 【請求項3】 プライマリターボ過給機のみを過給作動
    させるシングルターボ状態下でエンジン運転状態に基づ
    き運転領域が予め設定された排気制御弁小開制御領域内
    にあるか否かを判断し、排気制御弁小開制御領域内にあ
    ると判断されるとき上記排気制御弁小開用切換ソレノイ
    ド弁にON信号を出力して排気制御弁小開作動用アクチ
    ュエータの圧力室にエンジンの吸気系からの正圧を供給
    させて排気制御弁を小開させる制御装置を備えることを
    特徴とする請求項1あるいは請求項2記載の過給機付エ
    ンジンの排気制御弁小開装置。
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