JPH0730241B2 - ポリカーボネート樹脂組成物 - Google Patents

ポリカーボネート樹脂組成物

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JPH0730241B2
JPH0730241B2 JP63008424A JP842488A JPH0730241B2 JP H0730241 B2 JPH0730241 B2 JP H0730241B2 JP 63008424 A JP63008424 A JP 63008424A JP 842488 A JP842488 A JP 842488A JP H0730241 B2 JPH0730241 B2 JP H0730241B2
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Description

【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本発明は無機充填剤を含むポリカーボネート樹脂組成
物、より詳しくはポリオルガノシロキサンとポリアルキ
レンオキサイドとのブロック共重合体で処理された無機
充填剤を含むポリカーボネート樹脂組成物に関する。
〔従来の技術〕
ポリカーボネート樹脂からなる成形品は衝撃強度が高
く、吸湿率が低く、熱に安定で、電気的特性がすぐれ、
成形収縮率が低い等の利点を有し、機械部品、電気部
品、家庭用品、写真フィルムベース等その利用範囲は広
い。成形品の利用目的に応じ、さらに成形収縮率を下げ
る、弾性率を上げる、光拡散効果を得る等の改良を行う
必要が生じる。この目的のために無機充填剤を配合する
ことが一般的な方法として行われる。
しかしながら、無機充填剤が酸性またはアルカリ性を示
すものが多く、ポリカーボネートに配合した場合、成形
時等の加熱条件下でポリカーボネートの分解を促進し、
成形品の機械的強度の低下、黄変等を引き起す。グラス
ファイバーも配合可能ではあるが表面平滑性を損ね、収
縮率の異方性が生じる等の欠点を有している。
〔問題点を解決するための手段〕
本発明者は、前述の欠点を除去するための研究を重ねた
結果、無機充填剤を特定の変性ポリオルガノシロキサン
で処理して配合することにより、ポリカーボネートの分
解が著しく抑制され、成形品の機械的特性が保持される
ことを見出し、本発明を完成した。
すなわち、本発明は、無機充填剤を含むポリカーボネー
ト樹脂組成物において、前記無機充填剤が、該無機充填
剤に対して0.1〜10重量%の、加水分解性の基あるいは
官能基を有さない直線状のポリオルガノシロキサンとポ
リアルキレンオキサイドとのブロック共重合体でコーテ
ィング処理されたものであることを特徴とするものであ
る。
本願発明においてポリカーボネート樹脂は炭酸とグリコ
ールまたは二価フェノールとのポリエステルであり、一
般式 −〔−O−R−O−CO−〕n−(Rは二価の脂肪族また
は芳香族基)で表される。グリコールまたはビスフェノ
ールと炭酸エステルとの反応、若しくはグリコールまた
はビスフェノールにアルカリの存在でホスゲンを作用さ
せることにより製造される。グリコールとしてはトリメ
チレングリコール、テトラメチレングリコール、ペンタ
メチレングリコール、ヘキサメチレングリコール、デカ
メチレングリコール、ジエチレングリコール、p−キシ
リレングリコール、p−キシリレングリコール等を挙げ
ることができる。ビスフェノールとしてはビス(4−オ
キシフェニル)メタン(4,4′−ジオキシジフェニルメ
タン、1,1−ビス(4−オキシフェニル)エタン(4,4′
−ジオキシジフェニル−1,1−エタン)、2,2−ビス
(4′−オキシフェニル)プロパン、1,1−ビス(4−
オキシフェニル)ブタン−(4,4′−ジオキシジフェニ
ル−1,1−ブタン)、1,1−ビス(4−オキシフェニル)
イソブタン(4,4′−ジオキシジフェニル−1,1−イソブ
タン)1,1−ビス(4−オキシフェニル)シクロヘキサ
ン(4,4′−ジオキシジフェニル−1,1−シクロヘキサ
ン)、2,2−ビス(4−オキシフェニル)プロパン−
(4,4′−ジオキシジフェニル−2,2−プロパン)、2,2
−ビス(4−オキシフェニル)ブタン(4,4′−ジオキ
シジフェニル−2,2−ブタン)等を挙げることができ
る。好ましいビスフェノールは2,2−ビス(4′−オキ
シフェニル)プロパン、すなわちビスフェノールAであ
る。ポリカーボネート樹脂は、他の樹脂たとえばPE、PE
TP、PBTP、ABS、PMMA、又はフッ素樹脂をブレンドされ
たものでもよい。
本願発明において使用される無機充填剤は特に限定され
ないが、たとえばクレー、タルク、マイカ、ウォラスト
ナイト、炭酸カルシウム、硫酸バリウム、酸化チタン等
がある。無機充填剤が炭酸カルシウム、クレイおよびチ
タンであるとき、特に炭酸カルシウムであるときに本発
明の効果の発現が著しい。これらの無機充填剤は単独ま
たは二種以上の組合せにおいて使用することができる。
また、これらの使用量は特に限定されるものではない
が、ポリカーボネート樹脂と無機充填剤との重量比が9
9.5:0.5〜50:50であるのが好ましい。
本願発明においては無機充填剤をポリオルガノシロキサ
ンとポリアルキレンオキサイドとのブロック共重合体で
コーティング処理する。このようなブロック共重合体自
体は公知であり、たとえば特公昭59−35572号公報に記
載されている下記式で表わされるものが挙げられる。
(III) R″rSi〔O(RSiO)x・RSi- -Y-O(CnHnO)zR′〕4-r (IV) {〔Y(RSiO)x・RSiYO〕・〔(CnHnO)z〕}d (V) R(RSiO)xRSi-YO- -(CnHnO)zY-(RSiO)x・SiR 上記各式中、R及びR″は1価の炭化水素基特に低級ア
ルキル基を表わし、R′は水素原子又は有機封鎖基好ま
しくは低級アルキル基を表わし、YはSi−C結合によっ
て隣接Si原子に且つO原子によってポリオキシアルキレ
ンブロックに結合している2価の有機基を表わし、x、
yおよびdは1以上の正数であり、zは少なくとも4の
正数であり、rは1又は2の整数であり、nは2〜4の
整数である。
下記平均式で表わされるポリオルガノシロキサン−ポリ
オキシアルキレン共重合体の界面活性剤も挙げられる。
(I) R′〔(RSiO)x〕a・〔(CnHnO)y〕bR″ (II) R′rSi〔O(RSiO)x・(RSiO)・(CnHnO)yR″〕4-r (III) RSiO・(RSiO)x〔RSi{O(CnHnO)yR″}O〕z・SiR 上記各式中、R及びR′は1価の炭化水素基、特に低級
アルキル基を表わし、R″は水素原子又は有機封鎖基、
好ましくは低級アルキル基を表わし、a、b、xおよび
zは1以上の正数を表わし、yは少なくとも4の正数で
あり、rは1又は2の整数であり、nは2〜4の整数で
ある。該共重合体のオルガノシロキサン成分はジメチル
シロキサン、ジフェニルシロキサンおよびメチルフェニ
ルシロキサンから選ばれる一種または二種以上が好まし
く、ポリアルキレンオキサイドの成分はポリエチレンオ
キサイド、ポリプロピレンオキサイドおよびポリブチレ
ンオキサイドから選ばれる一種または二種以上が好まし
い。
前記共重合体のうち、特に好ましいものは、式 (式中、RはHまたは低級アルキル基、Yはアルキレン
基特にプロピレン基、m+nは15以上1500以下の整数、
pは1〜3の整数である。)で表わされる共重合体であ
る。
本発明の無機充填剤のコーティング処理方法は特に制限
的でなく、通常使用されるいかなる処理方法を適用する
ことも可能である。例えば浸漬による方法、スプレイす
る方法等を適用することができる。また前記共重合体の
一定量を取り前記無充填剤と均一に撹拌混合することも
できる。
本発明のポリカーボネート樹脂組成物は、慣用の添加
物、たとえば染料、顔料、安定剤、難燃剤、滑剤等を更
に含有することができる。
〔発明の効果〕
本発明において無機充填剤のコーティング処理剤がポリ
カーボネート樹脂の分解抑制についてどのような作用を
するのか、その作用機構自体は明らかでない。しかしな
がら該コーティング処理剤はポリカーボネート樹脂と無
機充填剤との密着性、相溶性を高揚すると共に、無機充
填剤表面に強固に付着してその分解剤としての作用をブ
ロックする働きをするものと推定される。
本発明によればポリカーボネート樹脂の分解が抑制され
て、機械的強度が高くかつその色調も安定な成形品を作
ることができる無機充填剤含有ポリカーボネート樹脂組
成物が提供される。
以下において実施例により本発明を更に具体的に説明す
る。
実施例および比較例 試験方法 (1)メルトフローインデックス測定(MI) ペレット7gを取り、乾燥機において120℃で2時間乾燥
して試料とする。メルトフローインデクサを使用し、温
度300℃で押出速度をJIS K7210に従って測定する。
(2)アイゾットインパクト試験 ペレットを120℃で2時間乾燥した後、シリンダー温度2
80℃で噴出成形して試験片(0.125インチ×0.5インチ×
2.5インチ)を作成する。試験はASTM D 256に従って
行われる。
(3)溶融トルク測定 試料65gを東洋精機製ラボプラストミルにて温度300℃で
混練し、トルクの経時変化を測定する。
無機充填剤のコーティング処理 以下に述べる実施例及び比較例において、無機充填剤の
コーティング処理は次のように行った。
コーティング処理剤を無機充填剤に対して1重量%の割
合で計量し、メタノール水溶液(水:メタノール=9:
1)で希釈して、該コーティング処理剤の10倍(体積)
希釈液を調製する。該希釈液を、110℃で2時間予備乾
燥した無機充填剤に撹拌しながら加え、さらに均一なコ
ーティングがされるまで十分に撹拌を行う。このように
処理された無機充填剤を110℃で6時間乾燥する。
ペレットの製造 以下に述べる実施例及び比較例において、ペレットの製
造は次のように行った。
ポリカーボネート樹脂に所定量の無機充填剤を加え、高
速ブレンダーで約5分間撹拌混合を行う、このように調
製されたポリカーボネート樹脂組成物を、一軸押出機
(50mm)によって、温度270℃で押出し、ペレットを製
造する。
実施例1〜2 表1に示したコーティング処理剤で処理した炭酸カルシ
ウム1.5重量部とポリカーボネート樹脂(対数粘度0.48;
ジオキサン中、30℃)100重量部からペレット(サンプ
ルA、B)を製造した。サンプルA、Bについてメルト
フローインデックス測定を行い表5に示す結果を得た。
次にアイゾットインパクト試験を行った。試験結果は表
5に示す通りである。
また試験片について、色調変化、すなわち白色から黄色
への変化の度合を観察した。観察の結果は表5の最下欄
に示す通りである。
比較例1−1〜1−5 コーティング処理を行わない炭酸カルシウムまたは表2
に示したコーティング処理剤で処理した炭酸カルシウム
を含むポリカーボネート樹脂組成物からペレット(サン
プルD、E、F、G、H)を製造した。
また無機充填剤を含まないポリカーボネート樹脂からペ
レット(サンプルC)を製造し、これをブランク試験に
供した。
これらサンプルC、D、E、F、G、Hについてメルト
フローインデックス測定、アイゾットインパクト試験及
び色調変化の観察を行った。結果を表5に示す。
表5から明らかな如く本発明の樹脂組成物はいずれにお
いても優れた結果を示している。なお、実施例1と比較
例1−3との比較において、メルトフローインデックス
はほぼ同等の結果を示しているが、アイゾットインパク
ト試験においては実施例1が優れた結果を示している。
実施例3〜6 表3に示したコーティング処理剤で処理した無機充填剤
10重量部とポリカーボネート樹脂90重量部から樹脂組成
物を作り、溶融トルク測定を行った。測定の結果は表6
に示す通りである。
表 3 無機充填剤 コーティング処理剤 実施例3 炭酸カルシウム SILWET L−7604 実施例4 ウォラストナイト 〃 実施例5 クレー 〃 実施例6 酸化チタン 〃 比較例3〜6 表4に示したコーティング処理を行わない無機充填剤を
用いて実施例3〜6と同様にして溶融トルク測定を行っ
た。測定の結果は表6に示す通りである。
また無機充填剤を含まないポリカーボネートについても
測定を行い、ブランクとして他の測定結果と比較した。
表 4 無機充填剤 コーティング処理剤 比較例3 炭酸カルシウム − 比較例4 ウォラストナイト − 比較例5 クレー − 比較例6 酸化チタン −

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】無機充填剤を含むポリカーボネート樹脂組
    成物において、前記無機充填剤が、無機充填剤に対して
    0.1〜10重量%の、加水分解性の基あるいは官能基を有
    さない直線状のポリオルガノシロキサンとポリアルキレ
    ンオキサイドとのブロック共重合体でコーティング処理
    されたものであることを特徴とするポリカーボネート樹
    脂組成物。
  2. 【請求項2】前記無機充填剤がクレー、タルク、マイ
    カ、ウォラストナイト、炭酸カルシウム、硫酸バリウム
    および酸化チタンからなる群から選ばれた一種又は二種
    以上である特許請求の範囲第1項記載のポリカーボネー
    ト樹脂組成物。
  3. 【請求項3】前記無機充填剤が炭酸カルシウム、クレイ
    および酸化チタンからなる群から選ばれた一種又は二種
    以上である特許請求の範囲第1項記載のポリカーボネー
    ト樹脂組成物。
  4. 【請求項4】前記無機充填剤が炭酸カルシウムである特
    許請求の範囲第1項記載のポリカーボネート樹脂組成
    物。
  5. 【請求項5】前記ポリカーボネート樹脂と前記無機充填
    剤との重量比が99.5:0.5〜50:50である特許請求の範囲
    第1項乃至第3項のいずれか1項に記載のポリカーボネ
    ート樹脂組成物。
  6. 【請求項6】前記ポリオルガノシロキサンとポリアルキ
    レンオキサイドとのブロック共重合体のポリオルガノシ
    ロキサン成分がジメチルシロキサン、ジフェニルシロキ
    サンおよびメチルフェニルシロキサンからなる群から選
    ばれた一種又は二種以上であり、ポリアルキレンオキサ
    イド成分がポリエチレンオキサイド、ポリプロピレンオ
    キサイドおよびポリブチレンオキサイドからなる群から
    選ばれた一種又は二種以上である特許請求の範囲第1項
    乃至第4項のいずれか1項に記載のポリカーボネート樹
    脂組成物。
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