JPH0730237Y2 - プレス装置のワークテーブル装置 - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 ［考案の目的］ （産業上の利用分野） 本考案は、プレス装置のワークテーブル装置に係り、特
に被加工板材がプレス作業部に対して移動されることに
より被加工板材の所定位置にプレス加工を行う型式のプ
レス装置に用いられるワークテーブル装置に係る。

（従来の技術） NC制御式等のタレットパンチプレスは、ワーククランプ
手段によりワークテーブル上にて被加工板材を把持し、
この被加工板材を上部タレット及び下部タレットに取付
けられたパンチとダイとによるプレス作業部（プレス作
業位置）に対し移動させることにより、被加工板材の所
定位置にパンチプレス加工を行うようになっている。

上述の如きプレス装置に於ては、被加工板材がプレス作
業部に対し移動する際に、これと下部タレット上に配置
された金型（ダイ）との接触により、被加工板材の裏面
に傷が付く虞れがある。

このため従来は、エアー式フリーベアリングによりワー
クテーブル上の被加工板材を支持すること、ワークテー
ブル自体に保護シートを掛けること、下部タレットの前
方位置に流体圧シリンダ装置により上下動されるウレタ
ンローラを配設してこれにより被加工板材を支持するこ
と等が考えられている。

（考案が解決しようとする課題） エアー式フリーベアリングの場合は、金型との接触によ
って被加工板材の裏面に傷、即ち裏傷が生じることは回
避されるが、しかしフリーベアリング自体が上下動する
ものではないために、プレスによる打痕傷が被加工板材
に発生し、またこのエアー式フリーベアリングに於て
は、エアー消費量が多く、またエアー吹出口に目詰り等
が生じると、被加工板材の支持が適切に行われなくな
り、裏傷発生防止の効果も生じなくなる虞れがある。ワ
ークテーブルにシートを掛ける場合は、そのシートと被
加工物との接触によりシートが摩損し、耐久性に問題が
残る。

ウレタンロールの場合は、裏傷及び打痕傷の発生が防止
され、しかも耐久性にも問題を生じないが、しかしその
ウレタンロールの上下動は流体圧シリンダにより行われ
ているためプレスに対する追随性が悪く、また、一本の
ウレタンロールにて被加工板材を支持するため、その板
材支持範囲が極めて狭いという欠点がある。

本考案は、上述の如き不具合に鑑み、他に障害を生じる
ことなく裏傷と打痕傷の発生を確実に防止することがで
きる改良されたプレス装置のワークテーブル装置を提供
することを目的としている。

［考案の構成］ （課題を解決するための手段） 上述の如き目的は、本考案によれば、プレス作業部の周
囲にこれに近接して設けられ上下方向に移動可能なワー
クテーブルと、プレスラム上下動用の駆動手段と駆動連
結されプレスラムの上下動に同期して前記ワークテーブ
ルを上下方向に移動させるラム同期テーブル駆動手段
と、選択的に前記ワークテーブルをプレスラムの上下動
に無関係に降下させるテーブル降下手段とを有すること
を特徴とするプレス装置のワークテーブル装置によって
達成される。

（作用） 上述の如き構成によれば、ワークテーブルがプレスラム
の上下動に同期して上下方向に移動され、これによりプ
レス作業部近傍に於て被加工板材は、ワークテーブル上
に於ける移動時には持上げられて金型と接触することを
回避され、プレス作業時にはその持上げを解除されて金
型上面と接触する所定のプレス加工位置にもたらされ
る。

またワークテーブルは、テーブル降下手段により選択的
に、例えばワーククランプ手段がワークテーブルと干渉
する虞れがある時にはプレスラムの上下動に無関係に降
下される。

（実施例） 以下に添付の図を参照して本考案の実施例を詳細に説明
する。

第２図は本考案によるワークテーブル装置を備えたタレ
ット型パンチプレスを示しており、第３図はそのワーク
テーブル部分を示している。タレット型パンチプレスは
門型のフレーム１を有し、フレーム１には複数個のパン
チ（図示省略）を取付けられる上部タレット３と複数個
のダイ（図示省略）を取付けられる下部タレット５とが
各々互いに同心に回転可能に取付けられている。

フレーム１にはラム駆動軸７及びラム駆動軸７の回転に
よって上下動されるラム９とが設けられており、ラム９
には上部タレット３に設けられているパンチ（図示省
略）を打圧するストライカ11が取付けられている。タレ
ット型パンチプレスに於ては、ストライカ11がこれに対
応する位置にある上部タレット３のパンチ（図示省略）
を打圧することにより該パンチと下部タレット５のダイ
（図示省略）とによりパンチプレスが行われる。従っ
て、ストライカ11の中心線がプレス中心Cpとなり、この
部分がプレス作業部（プレス作業位置）である。

フレーム１には、固定のセンターワークテーブル13と、
センターワークテーブル13の両側に配置され案内レール
15に案内されて図にて左右方向に往復動可能な可動のサ
イドワークテーブル17と、固定のリヤワークテーブル19
と、プレス作業部、即ち下部タレット５の周囲にこれに
近接して設けられた昇降可能な補助ワークテーブル21と
が設けられている。

サイドワークテーブル17にはキャリッジ23が連結されて
おり、キャリッジ23には被加工板材の把持を行うワーク
クランプ装置25が紙面に直交する方向、謂ゆるＸ軸方向
に移動可能に設けられている。

本考案によるワークテーブルは、この実施例に於ては、
補助ワークテーブル21であり、補助ワークテーブル21の
支持構造は第１図に良く示されている。

補助ワークテーブル21は一端部を枢軸27により固定のセ
ンターワークテーブル13に連結されてこれより上下方向
に回転可能に支持されている。補助ワークテーブル21の
裏面（下底面）にはＬ形のカムフォロワー29が固定され
ており、カムフォロワー29は引張りばね31により偏心カ
ム33に押付けられている。偏心カム33はカム軸35に取付
けられ、カム軸35は一端を枢軸37によってフレーム１よ
り枢支された揺動レバー39の中間部と係合し、これより
回転可能に支持されている。揺動レバー39は、他端にて
流体圧シリンダ装置41のピストンロッド43の先端と係合
し、ピストンロッド43の上下動に応じて枢軸37を中心と
して図示されている如き平常位置とこれより下方へ回動
変位した下降位置との間に揺動するようになっている。

補助ワークテーブル21は、偏心カム33の回転に応じて枢
軸27を中心として揺動し、揺動レバー39が平常位置にあ
る時には図示されている如くパスラインPLに整合する通
常水平位置とこれより跳ね上った上昇位置との間に回動
するようになっている。

カム軸35にはタイミングベルトプーリ45が取付けられて
おり、タイミングベルトプーリ45には無端のタイミング
ベルト47が係合している。タイミングベルト47はタイミ
ングベルトプーリ45と第２図に示すごとく、フレーム１
に装着されたタイミングベルトプーリ49との間に掛渡さ
れている。タイミングベルトプーリ49はタイミングベル
ト式伝動装置51及び53によってラム駆動軸７と同期状態
にて駆動連結されている。

上述の如き構成によれば、ラム駆動軸７の回転によりラ
ム９が上下動すると共にラム駆動軸７の回転がタイミン
グベルト式伝動装置53、51及びタイミングベルトプーリ
49、タイミングベルト47、タイミングベルトプーリ45を
もってカム軸35へ伝達され、これによりカム軸35がラム
駆動軸７の回転に同期して、換言すればラム９の上下動
に同期して回転するようになる。カム軸35の回転によっ
て偏心カム33が回転し、この偏心カム33の回転によって
補助ワークテーブル21が枢軸27を中心として上下方向に
回動するようになる。

これによりラム９及びストライカ11が上昇位置にある時
には補助ワークテーブル21は図示されている如き状態、
即ちパスラインPLに整合する通常位置より跳ね上った上
昇位置へ移動し、これによって補助ワークテーブル21上
の被加工板材（図示省略）がパスライン位置より持上げ
られるようになる。これによりこの状態にてキャリッジ
23及びワーククランプ装置25によって被加工板材がワー
クテーブル上にて移動されてもその裏面が下部タレット
５上のダイに当接することがなく、被加工板材はダイよ
り傷付けられることなく移動するようになる。尚、この
持上げ量は１〜3mm程度であってよい。

パンチプレスのためにラム９及びストライカ11が降下す
ると、これに伴い補助ワークテーブル21が元の通常位置
に降下し、これによって補助ワークテーブル21上の被加
工板材はパスライン位置にて下部タレット５上のダイ上
に載置され、この状態にてパンチプレスが行われるよう
になる。これにより被加工板材に打痕傷が生じることが
回避される。

上述の如く、被加工板材の移動時には補助ワークテーブ
ル21がパスラインPLに整合する通常位置より上昇するこ
とにより、被加工板材の裏傷の発生が防止されるが、こ
の状態にてワーククランプ装置25が補助ワークテーブル
21上に進入しようとすると、この両者が互いに干渉し合
うことになる。

この様なことから、この時には、即ち、ワーククランプ
装置25が補助ワークテーブル21上に位置しようとする時
には、流体圧シリンダ装置45により揺動レバー39が枢軸
37を中心として平常位置より第１図で見て反時計廻り方
向へ所定角度回動される。この揺動レバー39の回動によ
りカム軸35の支持位置が図にて下方へ変位し、これに伴
い偏心カム33が下降し、カムフォロワー29と共に補助ワ
ークテーブル21が引張りばね31のばね力により下方へ変
位するようになる。

これにより補助ワークテーブル21が偏心カム33によって
上昇位置にもたらされていても補助ワークテーブル21は
パスラインPLに整合する通常位置より下方に位置するよ
うになり、補助ワークテーブル21とワーククランプ装置
25との干渉が回避されるようになる。

以上に於ては、本考案を特定の実施例について詳細に説
明したが、本考案は、これに限定されるものではなく、
本考案の範囲内にて種々の実施例が可能であることは当
業者にとって明らかであろう。

［考案の効果］ 上述の如き実施例の説明より理解されるように、本考案
によるワークテーブル装置に於ては、補助ワークテーブ
ルの如きワークテーブルがプレスラムの上下動に同期し
て上下方向に移動され、これによりプレス作業部近傍に
於て被加工板材は、ワークテーブル上に於ける移動時に
は持上げられて金型と接触することを回避されて裏傷の
発生を回避され、これに対しプレス作業時にはその持上
げを解除されて金型上面と接触する所定のプレス加工位
置にもたらされて打痕傷の発生を回避される。

またワークテーブルが上昇位置にあることによって、こ
れとワーククランプ手段とが干渉する虞れがある時に
は、プレスラムの上下動に無関係にワークテーブルが降
下されるから、ワークテーブルとワーククランプ手段と
が干渉することがなく、ワーククランプ手段の移動範囲
が制限されることがない。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案によるプレス装置のワークテーブル装置
の一つの実施例を示す断面図、第２図は本考案によるワ
ークテーブル装置が組込まれるタレット型パンチプレス
の一つの実施例を示す概略構成図、第３図はタレット型
パンチプレスのワークテーブル部分を示す平面図であ
る。 １……フレーム、３……上部タレット ５……下部タレット、７……ラム駆動軸 21……補助ワークテーブル 25……ワーククランプ装置 33……偏心カム、35……カム軸 39……揺動レバー 43……流体圧シリンダ装置 45……タイミングベルトプーリ 47……タイミングベルト 49……タイミングベルトプーリ 51、53……タイミングベルト式伝動装置

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】プレス作業部の周囲にこれに近接して設け
   られ上下方向に移動可能なワークテーブルと、プレスラ
   ム上下動用の駆動手段と駆動連結されプレスラムの上下
   動に同期して前記ワークテーブルを上下方向に移動させ
   るラム同期テーブル駆動手段と、選択的に前記ワークテ
   ーブルをプレスラムの上下動に無関係に降下させるテー
   ブル降下手段とを有することを特徴とするプレス装置の
   ワークテーブル装置。