JPH0810475Y2 - タレットパンチプレス機 - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本考案は、例えばパンチ加工等のように、上部フレー
ム及び下部フレームに上下１対の工具が設けられた工作
機械に関する。

〔従来の技術〕

ここでは、工作機械の一例として、タレットパンチプ
レス機を例にとって説明する。

板材をパンチ加工する際には、作業の効率化を図るた
めにタレットパンチプレス機が多く用いられている。

このタレットパンチプレス機は、上部フレームと下部
フレームがスロート部を介してコ字状に備えられ、その
上部フレームに、パンチ工具の装着された上部タレット
が、下部フレームに、各パンチ工具に対応するダイ工具
の装着された下部タレットがそれぞれ備えられている。
そして、板材のパンチ加工時には、上部タレット及び下
部タレットをタレット軸廻りに回転させて、その下降の
種類に応じたパンチ工具とダイ工具とをパンチ加工位置
に位置させた後、上部フレームに設けられたクランク機
構、ラム等の駆動装置によりパンチを上下に駆動し、パ
ンチ工具とダイ工具との間で板材を加工するようにして
いる。

〔考案が解決しようとする課題〕

従来のタレットパンチプレス機は、前述のように、上
部フレームにラム、クランク機構及びモータ等から成る
駆動装置が備えられ、この駆動装置により上部タレット
の工具を上下に駆動させるように構成されている。した
がって、上部フレームの上下寸法が非常に大きくなり、
機械全体の高さが高くなりすぎる欠点がある。

また、一般に上部フレームの前端部側がパンチ加工位
置となっており、その前端部側に駆動装置が配置されて
いるにも拘らず、上部フレームが後方側でスロート部に
より片持ち状に支持されている。このため、スロート部
の負担が非常に大である。したがって、上部フレームの
強度は勿論のこと、スロート部を剛強な構造にしない限
り、駆動装置を含む上部フレーム側の荷重に耐えられ
ず、スロート部に撓みが発生する等の問題がある。

一方、下部フレーム側は、下部タレットの他に、固定
テーブル、移動テーブルが設けられ、またその移動テー
ブルの駆動装置が組込まれているので、最低限、一定の
高さを確保しなければならず、これを低くすることによ
って機械全体の高さを抑えることはできない。しかし、
下部タレットの下側は、通常、デッドスペースとなって
いる。

本考案の目的は、工作機械の下部フレームにおけるデ
ッドスペースを有効に利用して、装置全体の高さを低く
抑え、かつ上部フレーム及びこれを支持するスロート部
等の負担を軽減することのできる工作機械を提供するこ
とにある。

〔課題を解決するための手段〕

本考案に係るタレットパンチプレス機は、本体フレー
ムと上部タレットと下部タレットと駆動手段とを備えて
いる。本体フレームは、下部フレームと、下部フレーム
の上方に配置された上部フレームと、上下のフレームの
後部を連結するスロート部とを有し、側面視コ字状であ
る。上部タレットは、上部フレームの前部に回転可能に
設けられ、複数の上部工具を装着可能である。下部タレ
ットは、上部タレットに対向して下部フレームの前部に
回転可能に設けられ、複数の下部工具を上下動自在に装
着可能である。駆動手段は、下部フレームに設けられ、
下部工具を上下駆動してパンチ動作させる手段である。

〔作用〕

本考案においては、加工時には、下部フレームに設け
られた駆動手段により下部タレットに装着された下部工
具を上下駆動して、上部タレットに装着された上部工具
との間で板材をパンチ加工する。

ここでは、駆動手段が下部フレーム側に設けられてい
るので、下部フレーム側のデッドスペースを有効に利用
できる。また、上部フレームに駆動手段が配置されてい
ないので、上部フレームの高さを低くでき、装置全体の
高さが低くなる。さらに、上部フレームの重量を減少で
きるので、上部フレーム及びスロート部に作用する荷重
を減少でき、これらの負担を軽減できる。

〔実施例〕

以下、本考案の実施例を図に基づいて説明する。ここ
では、パンチプレス機を一例として説明する。

まず第３図によりパンチプレス機全体の概略構成を説
明する。

本実施例のパンチプレス機１は、主に下部フレーム
２、上部フレーム３、及びこれらを後方で支持するスロ
ート部４から構成されている。前記下部フレーム２に
は、ガイドレール5,6が配設され、このガイドレール5,6
に沿って移動可能なキャリッジ７及び左右の移動テーブ
ル8,9が設けられている。また、前記左右の移動テーブ
ル8,9の間には固定テーブル10が設けられている。前記
キャリッジ７には、板材Ｗを保持するワークホルダー
（図示せず）がスライド自在に装着されている。

次に、タレット支持構造及びパンチ加工部の詳細を第
１図及び第２図により説明する。

第１図において、上部フレーム３の下側には、タレッ
ト軸11を介して上部タレット12が回転自在に取付けられ
ている。上部タレット12は、スプロケット13及びチェー
ン14を介してモータ（図示せず）により回転駆動される
ようになっている。前記上部タレット12には、外周縁側
に周方向に等間隔をおいて複数種類のパンチ工具15が配
置されている。各パンチ工具15は、第２図に示すよう
に、パンチホルダ16にストリッパ17と共に取付けられ、
またパンチホルダ16は前記上部タレット12にボルト18等
で固定されている。

前記下部フレーム２の上側には、タレット軸19を介し
て下部タレット20が回転自在に取付けられている。下部
タレット20は、スプロケット21及びチェーン22を介して
モータ（図示せず）により前記上部タレット12と、一体
的に回転駆動されるようになっている。前記下部タレッ
ト20には、上部タレット12の各パンチ工具15と上下相対
応する位置にダイ装着孔23が上下方向に貫通して形成さ
れている。そして、各ダイ装着孔23には、第２図に示す
ように、ダイホルダ24に連結され、かつ前記各パンチ工
具15に対応する種類のダイ工具25が上下スライド自在に
内嵌されている。各ダイホルダ24は、ダイ工具25によっ
て打抜かれた板材Ｗのスラグを排出するスラグ排出通路
26と、下端のラム係合部27とを有しており、抜止め具28
で下方に脱落不能に抜止めされている。なお、前記スラ
グ排出通路26は、下部タレット20側に形成されたスラグ
排出通路29に連結され、このスラグ排出通路29を経てス
ラグがスラグ容器（図示せず）へと落下するようになっ
ている。

前記下部フレーム２には、下部タレット20の下側に駆
動装置30が設けられている。駆動装置30は、パンチ加工
位置Ａのダイ工具25を上下に駆動するためのものであ
る。この駆動装置30は、パンチ加工位置Ａの上下軸線上
で上下にスライド自在に設けられたラム31、ラム31に連
結されたクランク機構32、フライホイール33及びモータ
（図示せず）等により構成され、モータによりクランク
機構32を介してラム31を上下動させるようになってい
る。前記ラム31の上端には係合凹部34が形成されてお
り、この係合凹部34にパンチ加工位置Ａのダイホルダ24
のラム係合部27が係脱自在に係合するようになってい
る。なお、第１図中、35はワーク支承面である。

次に、作用効果を説明する。

板材Ｗのパンチ加工に際しては、先ず上部タレット12
及び下部タレット20を、それぞれタレット軸11,19廻り
に回転させ、所定のパンチ工具15及びダイ工具25をパン
チ加工位置Ａに位置させる。このとき、加工位置Ａに移
動してきたダイ工具25を支持するダイホルダ24は、駆動
装置30のラム31に係合する。

次に、板材Ｗをワーク支承面35上に載置した後、駆動
装置30のモータによりクランク機構32を介してラム31を
上下に作動させる。すると、ラム31の上下動によってダ
イホルダ24と一体にダイ工具25が上下動し、パンチ工具
15との間で板材Ｗにパンチ孔を打抜く。そして、板材Ｗ
から打抜かれたスラグは、ダイホルダ24のスラグ排出通
路26から下部タレット20のスラグ排出通路29を経て、図
示しないスラグ容器へと落下する。

このような構成の本実施例では、下部タレット20のダ
イ工具25を駆動する駆動装置30を下部タレット20下側の
下部フレーム12に設けているので、そのデッドスペース
を有効に利用できる。このため上部フレーム３の上下寸
法を従来に比較して小さくすることができ、装置全体の
高さを低くして安定性を良くすることが可能である。ま
た重量物である駆動装置30が下部フレーム２にあるの
で、上部フレーム３及びこれを支持するスロート部４の
負担を軽減できる。

〔他の実施例〕

（ａ）前記実施例では、下部タレット20にダイ工具25を
装着したものを例示しているが、本考案はこれに限定さ
れるものではなく、下部タレット20にパンチ工具15を上
下にスライド自在に設け、このパンチ工具15をラム31に
より上下駆動するようにしても良い。

但し、この場合には、板材Ｗの打抜き加工であれば、
スラグが上部タレット12のダイ工具25側に残るので、そ
れを排除する手段を別に設ける必要がある。したがっ
て、これは、スラグの発生しない板材のパンチ加工、例
えば、凹部の成形等に用いる方が望ましい。

〔考案の効果〕

以上のように、本考案によれば、駆動手段が下部フレ
ーム側に設けられているので、下部フレーム側のデッド
スペースを有効に利用できる。また、上部フレームに駆
動手段が配置されていないので、上部フレームの高さを
低くでき、装置全体の高さが低くなる。さらに、上部フ
レームの重量を減少できるので、上部フレーム及びスロ
ート部に作用する荷重を減少でき、これらの負担を軽減
できる。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案の一実施例としてのタレットパンチプレ
ス機の要部断面図、第２図はその全体斜視図、第３図は
そのダイ工具駆動部分の断面図である。 ２…下部フレーム、３…上部フレーム、12…上部タレッ
ト、15…パンチ工具、20…下部タレット、24…ダイホル
ダ、25…ダイ工具、30…駆動装置、31…ラム、32…クラ
ンク機構。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】板材をパンチ加工するタレットパンチプレ
   ス機であって、 下部フレームと、前記下部フレームの上方に配置された
   上部フレームと、前記上下のフレームの後部を連結する
   スロート部とを有し、側面視コ字状の本体フレームと、 前記上部フレームの前部に回転可能に設けられ、複数の
   上部工具を装着可能な上部タレットと、 前記上部タレットに対向して前記下部フレームの前部に
   回転可能に設けられ、複数の下部工具を上下動自在に装
   着可能な下部タレットと、 前記下部フレームに設けられ、前記下部工具を上下駆動
   してパンチ動作させる駆動手段と、 を備えたタレットパンチプレス機。