JPH07299347A - 造粒コーティング方法および装置 - Google Patents

造粒コーティング方法および装置

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JPH07299347A
JPH07299347A JP9436794A JP9436794A JPH07299347A JP H07299347 A JPH07299347 A JP H07299347A JP 9436794 A JP9436794 A JP 9436794A JP 9436794 A JP9436794 A JP 9436794A JP H07299347 A JPH07299347 A JP H07299347A
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drum
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exhaust air
treated
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JP9436794A
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Shigemichi Takei
成通 武井
Tetsuo Yamagata
哲生 山形
Toshihiko Sanbe
俊彦 三部
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Freund Corp
Original Assignee
Freund Corp
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 熟練者の経験や勘と同等なレベルの自動制御
により被処理物を処理できる造粒コーティング装置を提
供する。 【構成】 実質的に水平な回転軸の回りで回転されるド
ラムを備え、予め定められた運転条件および運転プログ
ラムに基づいて制御される造粒コーティング装置であ
る。該装置は、被処理物が処理されるドラム内の処理状
態を認識する処理状態認識部18と、この処理状態認識
部18によって規定される複数の数値の各時点における
現実値とあらかじめ入力された標準値との差異を指標と
して運転条件の目標値、上限値、下限値および運転プロ
グラムのうち少なくとも1つを自動的に修正して制御す
る制御部19とを有している。制御部19における処理
は、必要とされる複数の指標を前件部とし、運転条件の
うち必要とされる条件を後件部とする所定のファジィ制
御規則に基づいて行われる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、造粒コーティング技
術、特にファジィ理論を応用した所定の制御技術により
粉粒体の造粒、コーティングなどを行う造粒コーティン
グ技術に関するものである。
【0002】
【従来の技術】コーティングパンなどの回転容器、流動
層、あるいは回転皿などが用いられた転動装置などの造
粒コーティング装置によって医薬品、食品、化学品など
の粉粒体の造粒やコーティングを行う技術は古くから実
用化されている。このような造粒やコーティングに関す
る技術においては、手動による運転制御が長く行われて
いたが、近年は、省力化、GMP(Good Manufacturing
Practice )対応、品質管理上等の要請により自動制御
が取り入れられ、無人化工場を指向した全自動制御に進
みつつある。
【0003】これらの自動制御は、単に運転条件の実行
値を設定値に合わせるだけのものから、所与の運転条件
の結果形成された装置系内状態を表す物性値(たとえば
排気風温度や被処理物の揮発分含有量など)を、標準の
数値と比較して運転条件にフィードバックするもの、さ
らには、この運転プログラムを固定的なものとせず、系
内の状態が所定の値となったときに次工程に移行するよ
うに設定したものや、これらを組み合わせたものなど種
々の方法があり、また、異常発生時に自動的にこれに対
処する制御を含むものもある。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】これら従来の制御装置
では、運転プログラムおよび運転条件はほぼ固定されて
おり、これを運転中に修正変更することがあっても、そ
れはたとえばスプレー回数の増減や設定温度の変更程度
にとどまっていた。
【0005】また、これらの修正も、単一の物性値から
単一の運転条件への修正処置であって、各種物性値が複
合された状況を判断して複数の運転条件の修正に反映さ
せるような方式は採用されていなかった。
【0006】さらに、異常時の対応に関しても、特開平
5−39268号公報に開示されているように、少なく
とも2つの条件の組み合わせに基づいて対処方法を自動
的に選択する装置も本発明者らによって提案されている
が、この場合、異常の程度を推定して処置を施すような
考え方は含まれていない。
【0007】その上、旧来の手動による制御において
は、熟練作業者が被処理物を手ですくって、その手触り
や外観から、たとえば、「液温を少し上げて液速度を僅
かに落とす」という判断や、「給気風温度をかなり上げ
て風量を少し減らして仕上がりを良くする」という判断
などを行って運転していたが、従来の自動制御システム
では、このような計数化しにくい項目を制御の指標とし
たり、「少し」「僅かに」などという定量的でない運転
条件の修正を実施することには馴染まない。
【0008】ところが、実際には、このような熟練者の
経験と勘による手動制御の方が従来方式の自動制御より
良好な仕上がりや高収率をもたらすことが多く、現在で
もこのような勘所は熟練者の判断に頼っている。
【0009】このように、従来の自動制御による造粒コ
ーティング装置は、真に柔軟な対処によって熟練者が行
うような制御を実行するシステムではなく、完全自動
化、無人化によって高収率で一層良好な仕上がりの製品
を得ることはできなかった。
【0010】そこで、本発明の目的は、熟練者の経験や
勘と同等なレベルをもって自動制御により被処理物を処
理することのできる造粒コーティングについての技術を
提供することにある。
【0011】本発明の前記ならびにその他の目的と新規
な特徴は、本明細書の記述および添付図面から明らかに
なるであろう。
【0012】
【課題を解決するための手段】本願において開示される
発明のうち、代表的なものの概要を説明すれば、次の通
りである。
【0013】すなわち、本発明の造粒コーティング方法
は、実質的に水平な回転軸の回りで回転されるドラム内
における被処理物の処理状態の各時点における現実値を
求め、この現実値と標準値との差異を指標として必要と
される複数の指標を前件部とし、運転条件のうち必要と
される条件を後件部とする所定のファジィ制御規則に基
づき、運転条件の目標値、上限値、下限値および運転プ
ログラムのうち少なくとも1つを制御するものである。
この場合、排気風温度、排気風量、排気風湿度、被処理
物の温度、被処理物の重量、被処理物の形状、被処理物
の揮発分含有量、被処理物の表面状態、被処理物の化学
組成、被処理物の装置内における運動状態、被処理物の
機械的性質の中から選択された少なくともいずれか1つ
をドラム内の処理状態の現実値として求め、給気風温
度、給気風量、給気風湿度、ドラム回転数、スプレー液
温、スプレー液量、スプレー圧力、スプレー回数、排気
風量、ドラム内気圧、ポーズ時間、乾燥時間の中から選
択された少なくともいずれか1つを制御することができ
る。
【0014】また、本発明の造粒コーティング装置は、
実質的に水平な回転軸の回りで回転されるドラムを備
え、予め定められた運転条件および運転プログラムに基
づいて制御される造粒コーティング装置である。該装置
は、被処理物が処理されるドラム内の処理状態を認識す
る処理状態認識手段と、この処理状態認識手段によって
規定される複数の数値の各時点における現実値とあらか
じめ入力された標準値との差異を指標として運転条件の
目標値、上限値、下限値および運転プログラムのうち少
なくとも1つを自動的に修正して制御する制御手段とを
有するものである。制御手段における処理は、必要とさ
れる複数の指標を前件部とし、運転条件のうち必要とさ
れる条件を後件部とする所定のファジィ制御規則に基づ
いて行われるものである。
【0015】なお、指標として現実値そのものを用いて
もよいが、運転の目標値が定まっている以上、結局これ
も現実値と目標値との差を指標とすることと実質的な差
はない。
【0016】処理状態認識手段によって規定されるドラ
ム内の処理状態は、排気風温度、排気風量、排気風湿
度、被処理物の温度、被処理物の重量、被処理物の形
状、被処理物の揮発分含有量、被処理物の表面状態、被
処理物の化学組成、被処理物の装置内における運動状
態、被処理物の機械的性質の中から選択されたものであ
り、制御される運転条件は、給気風温度、給気風量、給
気風湿度、ドラム回転数、スプレー液温、スプレー液
量、スプレー圧力、スプレー回数、排気風量、ドラム内
気圧、ポーズ時間、乾燥時間の中から選択されたもので
あるのが実用的である。
【0017】前件部として採用される「処理状態認識手
段によって規定される複数の数値」とは、たとえば排気
風温度や錠剤などの被処理物の重量のように数値として
確定できるものは、その数値を採用することができる。
また、被処理物の表面状態のように数値として表現が困
難なものは、被処理物の反射率、表面粗度、粘着力など
のうちの少なくとも1つの物性について数値化して用い
ることができる。画像解析の結果などを数値化して利用
することも好ましい。
【0018】
【作用】上記のような構成の造粒コーティング装置によ
れば、所定のファジィ制御規則に基づき、計数化しにく
い項目や定量的でない運転条件も制御されるので、熟練
者の経験や勘と同等なレベルで被処理物を処理すること
が可能になる。
【0019】したがって、従来の自動制御ではなし得な
かった柔軟且つ微妙な運転を実施することができ、全自
動化、無人化した操業においても、職人芸的な仕上がり
で、収率良く製品を得ることができる。
【0020】
【実施例】以下、本発明の実施例を、図面に基づいて詳
細に説明する。
【0021】図1は本発明の一実施例である造粒コーテ
ィング装置を示す概略図、図2はその造粒コーティング
装置の制御システムを示すブロック図、図3はその造粒
コーティング装置による処理工程を示すフローチャート
図、図4はその造粒コーティング装置スプレー操作を示
すフローチャート図、そして図5から図8はメンバーシ
ップ関数を用いたファジィ推論を示す説明図である。
【0022】図1に示すように、本実施例による造粒コ
ーティング装置は通気型錠剤コーティング装置の構造を
有し、粒体コーティング機1はモータMで回転される実
質的に水平な回転軸を有し、粒体集積層2を気体が流通
する構造のいわゆるコーティングパンと呼ばれるドラム
3と、このドラム3の粒体集積層2にコーティング液を
スプレーするノズル4aが設けられた噴霧装置4とを備
えている。
【0023】噴霧装置4にコーティング液を供給するた
めのシステムとして、溶解槽5と液ポンプ6とが設けら
れている。また、噴霧装置4には、スプレー用の圧縮空
気がスプレーエア供給路7を経て供給される。
【0024】ドラム3内に熱風、冷風などの気体を供給
するシステムとして、給気フィルタ8と、給気ファン9
と、ヒータ10と、除湿器11と、給気フィルタ12
と、給気ダンパ13と、バイパスダンパ14とが備えら
れている。一方、ドラム3からの排気を行うためのシス
テムとしては、排気ダンパ15と、集塵機16と、排気
ファン17とを備えている。
【0025】次に、本実施例の造粒コーティング装置を
制御する制御システムについて、図2を参照しながら説
明する。
【0026】本装置の制御システムは排気風温度や排気
風量などといったドラム3内における被処理物の処理状
態を認識する処理状態認識部(処理状態認識手段)18
と、この処理状態認識部18からの信号によって所定の
制御を行う制御部(制御手段)19とからなっている。
【0027】すなわち、たとえば排気風温度、排気風
量、排気風湿度、被処理物の温度、被処理物の装置内に
おける運動状態などは、排気風温度センサや排気風量セ
ンサなどのセンサである処理状態認識部18に検出され
て数値化される。また、たとえば被処理物の重量、被処
理物の形状、被処理物の水分含有量(揮発分含有量)、
被処理物の表面状態、被処理物の化学組成、被処理物の
機械的性質などは入力装置によってRAMである処理状
態認識部18に数値化して入力する。
【0028】処理状態認識部18における被処理物を含
む装置内の各状態の数値は現実値として制御部19に送
られ、この制御部19によって運転条件が制御される。
【0029】つまり、制御部19の内蔵メモリのような
内部記憶手段には、処理状態認識部18が認識する項目
に対応したそれぞれの標準値、すなわち所定の運転プロ
グラムにおける各数値の経時的な値が予め入力されてい
る。そして、これらの標準値と、実際に所与の運転条件
で運転したときの現実値とを比較し、その差を指標とし
て前件部とし、必要とされる条件を後件部とする所定の
ファジィ制御規則で、電気的に接続された溶解槽5、液
ポンプ6、ヒータ10、除湿器11、給気ダンパ13、
排気ダンパ15、圧縮空気用バルブ20、運転プログラ
ム21、モータMなどが調整される。そして、液ポンプ
6の回転数を変化させることでスプレー液量の、溶解槽
5に付属されたジャケット5aの加熱手段によってスプ
レー液温の、圧縮空気用バルブ20によってスプレーの
圧力の、ヒータ10によって給気風温度の、除湿器11
によって給気風湿度の、給気ダンパ13によって給気風
量の、排気ダンパ15によって排気風量の、給気ダンパ
13と排気ダンパ15のバランスによってドラム3内の
気圧の、モータMによってドラム3の回転数の、それぞ
れの目標値、上限値、下限値および運転プログラムによ
ってポーズ時間および乾燥時間が制御されるようになっ
ている。なお、このような種々の運転条件の全部ではな
く、この中の一部あるいは1つの運転条件を制御するこ
とも可能であり、また、目標値、上限値や下限値、運転
プログラムの何れか1つ、あるいはいくつかを制御する
ようにしてもよい。さらに、各数値の経時的な標準値
は、特定の被処理物の所望の処理を行うそれぞれの場合
について個別に決定することは必ずしも要せず、たとえ
ば「錠剤の糖衣コーティング」という程度の枠毎に定め
ればよい。
【0030】このような制御システムのもとに運転され
る造粒コーティング装置は、図3に示すような処理工程
によって被処理物の処理を行う。
【0031】すなわち、ドラム3内に被処理物が投入さ
れた後にステップS1で下掛・中掛および/または上掛
の選択を行い、操作盤に設けられたスタートスイッチを
入れると、それがステップS2で検出されてステップS
3の自動運転が起動されて被処理物が予熱され、ステッ
プS4においてドラム3が回転する。
【0032】次に、ステップS5が実行され、噴霧装置
4のノズル4aから粒体集積層2に向けて圧縮空気とと
もにコーティング液がスプレーされる。予め設定された
量の液体がスプレーされたことがステップS6で判断さ
れると、ステップS7においてスプレー操作を停止す
る。スプレーが停止されるとともに給気ダンパ13をポ
ーズ位置に設定することにより、ドラム3は回転した状
態のもとでコーティング液が噴霧されることなく、多量
の粒状の被処理物のそれぞれにコーティング液がまんべ
んなく付着するように、たとえば約10分間のポーズ操
作つまり休止操作がなされる。
【0033】ポーズ操作の終了がステップS8で判断さ
れたならば、ステップS9では給気ダンパ13が開放さ
れて乾燥空気がドラム3内に供給される。この乾燥空気
の供給時間は、たとえば約8分間に設定されており、こ
の乾燥空気供給操作の終了がステップS10で検出され
て、ステップS11で乾燥空気の供給が停止される。
【0034】このように、噴霧装置4によってコーティ
ング液を供給する操作と、ドラム3を所定の時間だけ回
転状態に保持するポーズ操作と、乾燥空気を粒体集積層
2に貫流させて被処理物を乾燥させる乾燥操作とからな
る1サイクルが完了する。ここで、本実施例のように錠
剤などを被処理物として糖衣コーティングを行う場合に
は、ドラム3内の被処理物に対して多数回、たとえば2
0回程度前記サイクルを繰り返すことになる。したがっ
て、ステップS12で所定の液量が噴霧されたことが判
断されるまで、ステップS5〜S11が繰り返し実行さ
れる。
【0035】所定のサイクル繰り返したことがステップ
S12で判断されたならば、ドラム3内から被処理物を
取り出した後に、ドラム3を停止させることにより、1
バッチの処理が完了する。
【0036】このように、本実施例の造粒コーティング
装置においては、図3に示すフローの全工程が自動的に
実行されるようになっているが、以下にその中の中掛工
程における自動運転によるスプレー操作を図4にしたが
って説明する。
【0037】図4に示すように、スプレー操作は、前工
程の錠剤予熱操作の終了に続いて行われるが、最初に、
たとえば事前に設定した必要項目のデータを自動転送す
ることにより実行される。すなわち、このデータ設定
は、液ポンプ6から噴霧装置4に圧送されるコーティン
グ液の流量の目標値の設定の他に、その流量の上限およ
び下限の設定も含まれている。また、圧縮空気源からス
プレーエア供給路7を経て噴霧装置4に圧送されるスプ
レーエア圧力の目標値の設定ならびにその上限および下
限の設定も行われる。さらに、このデータ設定は、ドラ
ム3の目標回転数およびその上限ならびに下限の設定、
目標とされる給気風温度およびその上限ならびに下限の
設定、目標とされる給気風量およびその上限ならびに下
限の設定、目標とされる排気風量およびその上限ならび
に下限の設定、スプレーの回数および運転時間ならびに
1回についての液噴霧量の設定も含まれている。
【0038】このようなデータ設定状態で、給気につい
ては給気ファン9を継続運転し、給気ダンパ13を閉
じ、バイパス回路を通る給気風量および給気風温度を設
定値に保つ。また、排気については、排気ファン17を
継続運転し、排気ダンパ15を閉じて、バイパス回路を
通る排気風量を設定値に保つ。さらに、コーティング液
の供給については、液ポンプ6を継続運転し、液流量を
設定値に保つ。また、バイパスダンパ14は開放してお
く。
【0039】モータMによりドラム3を回転させて、そ
の回転数を設定値に保った状態でスプレーエア圧力を調
節し、スプレーシリンダを開いて噴霧装置4のノズル4
aから粒体集積層2に向けてコーティング液をスプレー
する。
【0040】そして、スプレー時間または液噴霧量が設
定値に達した時点でスプレーシリンダを閉じてスプレー
操作が終了するものである。
【0041】これが従来の自動コーティングシステムで
あるが、本発明においてはそれぞれの運転条件の設定値
を固定したものとせず、被処理物の処理状態に応じてフ
ァジィ制御を応用して修正しつつ制御するようになって
いる。その際、制御の指標としては、前記した現実値と
目標値との差が用いられる。
【0042】たとえば、このようなスプレー操作におい
て、前記した現実値と標準値との差異である指標が、ど
のように運転条件にフィードバックすれば良好な製品が
得られるかを説明する。
【0043】まず、前記指標を前件部(If)、運転条件
を後件部(Then)とするIf〜Then形式に表現したファジ
ィ制御規則として、これを必要な数だけ作成する。すな
わち、錠剤の糖衣コーティングにおいて、中掛け工程を
実行している際、この制御規則は、 A1 :If 排気風温度がやや高く、錠剤の含水量がや
や多いときは Then 給気風温度はそのまま維持し、給気風量を少し多
くする A2 :If 排気風温度がやや低く、錠剤の含水量がや
や多いときは Then 給気風温度を少し高くし、給気風量をそのまま維
持する A3 :If 表面粗度がやや大きく、錠剤重量がやや大
きい場合は Then 1回当たりのスプレー量をやや少なくする A4 :If 表面粗度がやや大きく、錠剤重量がやや小
さい場合は Then 1回当たりのスプレー量をやや多くする A5 :If 表面粗度がやや大きく、錠剤の重量が適切
な場合は Then ポーズ(展延)時間をやや長くする ・・・・・・・ An となる。
【0044】このようなファジィ制御規則を計量化し
て、スプレー操作の制御を実行するため、「適当」「か
なり多い」「少ない」などの表現をファジィ変数として
メンバーシップ関数を作成する。この際、ファジィ変数
の作成とメンバーシップ関数の作成は、熟練者の経験に
基づいて行うことが好ましい。メンバーシップ関数は図
5〜図8に示すような三角形型が使い易いが、釣り鐘形
などのように曲線状でも良く、また離散形としてもよ
い。
【0045】たとえば、前記A1 の制御規則において、
前件部の排気風温度については、図5のようなメンバー
シップ関数を設定し、錠剤の水分含有量については図6
のようなメンバーシップ関数とする。図5において、現
実の排気風温度が標準温度より2℃高い場合、メンバー
シップ関数のdの「やや高い」が適用され、その適合度
は0.76となる。一方、図6において、錠剤の水分含有量
が標準値より1.3 %高い場合、同様にメンバーシップ関
数のdの「やや高い」が適用され、その適合度は0.64と
なる。そして、0.76>0.64であるから、適合度は小さい
方の0.64を採用する。これは、MAX-MIN 合成と呼ばれる
演算の一部で最も一般的な合成法であるが、他の合成法
によってもよい。
【0046】後件部としては、給気風温度の変更は含ま
れないが、「給気風量を少し多くする」ことが要請され
る。給気風量に関する「やや多い」というメンバーシッ
プ関数は、たとえば図7に示すようなものであるとす
る。このメンバーシップ関数において、適合度0.64に相
当する高さでカットされた斜線部の位置が実行すべき運
転条件となり、給気風量が前記規則A1 のみにしか依存
しなければ、この斜線部の重心Gを求め、重心Gの給気
風量軸座標の値である13.5m 3 /分とする。給気風量が
他の規則にも依存するときに、その規則による給気風量
のメンバーシップ関数が「やや少ない」で、その適合度
が0.25であるとすると、たとえば図8のメンバーシップ
関数の左の山がこれに相当し、これら2つの後件部メン
バーシップ関数の合成はその最大値を採用し、図8の斜
線部となる。この斜線部の重心Gの給気風量軸座標は1
3.2m3/分であるので、修正した運転条件としては13.2m
3/分を採用する。
【0047】これ以外の運転条件も同様にして、設定し
た全てのファジィ制御規則に基づいて、目標値、上限
値、下限値、さらには特定の状態がどのような数値にな
ったときに次工程に移行するかなどという運転プログラ
ムの内、少なくとも1つを自動的に修正して制御するも
のである。なお、ファジィ制御の推論法は、上記の方法
以外にもいくつか知られており、上記方法に限定される
ものではない。また、後件部において重心Gの求め方は
MAX を用いたが、乗算による方法でもよい。
【0048】以上に説明した演算は、ファジィ変数と、
それに対応するメンバーシップ関数とを設定してコンピ
ュータにより並列処理することにより実行でき、その結
果として、修正された運転条件のもとで自動的に被処理
物の処理が行われる。
【0049】そして、このような造粒コーティング装置
によれば、熟練者が行う経験や勘を取り入れた自動制御
によって装置を運転することができるので、従来の自動
制御ではなし得なかった柔軟且つ微妙な運転を実施する
ことができる。したがって、全自動化、無人化した操業
においても、職人芸的な仕上がりで、収率良く製品を得
ることができる。
【0050】以上、本発明者によってなされた発明を実
施例に基づき具体的に説明したが、本発明は前記実施例
に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲
で種々変更可能であることは言うまでもない。
【0051】たとえば、本実施例に示す造粒コーティン
グ装置は通気型錠剤コーティング装置の構造を有してい
るが、実質的に水平な回転軸の回りを回転するドラム3
に、錠剤のみならず顆粒や木の実などを入れてこれらに
糖衣、フィルムコーティング、チョコレートコーティン
グなどを施すコーティングパンの運転に適用することが
できる。
【0052】また、対象となる被処理物も医薬、食品、
飼料、化粧品、セラミックス、トナーなど種々のものを
適用することができ、特に制限はない。
【0053】
【発明の効果】本願において開示される発明のうち、代
表的なものによって得られる効果を簡単に説明すれば以
下の通りである。
【0054】(1).すなわち、本発明の造粒コーティング
の技術によれば、所定のファジィ制御規則に基づき、計
数化しにくい項目や定量的でない運転条件までもが制御
されるので、熟練者の経験や勘と同等なレベルをもって
自動制御により被処理物を処理することが可能になる。
【0055】(2).したがって、熟練者が行う経験や勘を
取り入れた自動制御によって装置を運転することで、従
来の自動制御ではなし得なかった柔軟且つ微妙な運転を
実施することができ、全自動化、無人化した操業におい
ても、職人芸的な仕上がりで、収率良く製品を得ること
ができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例である造粒コーティング装置
を示す概略図である。
【図2】その造粒コーティング装置の制御システムを示
すブロック図である。
【図3】その造粒コーティング装置による処理工程を示
すフローチャート図である。
【図4】その造粒コーティング装置スプレー操作を示す
フローチャート図である。
【図5】メンバーシップ関数を用いたファジィ推論を示
す説明図である。
【図6】メンバーシップ関数を用いたファジィ推論を示
す説明図である。
【図7】メンバーシップ関数を用いたファジィ推論を示
す説明図である。
【図8】メンバーシップ関数を用いたファジィ推論を示
す説明図である。
【符号の説明】
1 粒体コーティング機 2 粒体集積層 3 ドラム 4 噴霧装置 4a ノズル 5 溶解槽 5a ジャケット 6 液ポンプ 7 スプレーエア供給路 8 給気フィルタ 9 給気ファン 10 ヒータ 11 除湿器 12 給気フィルタ 13 給気ダンパ 14 バイパスダンパ 15 排気ダンパ 16 集塵機 17 排気ファン 18 処理状態認識部(処理状態認識手段) 19 制御部(制御手段) 20 圧縮空気用バルブ 21 運転プログラム G 重心 M モータ

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 実質的に水平な回転軸の回りで回転され
    るドラム内における被処理物の処理状態の各時点におけ
    る現実値を求め、この現実値と標準値との差異を指標と
    して必要とされる複数の指標を前件部とし、運転条件の
    うち必要とされる条件を後件部とする所定のファジィ制
    御規則に基づき、運転条件の目標値、上限値、下限値お
    よび運転プログラムのうち少なくとも1つを制御するこ
    とを特徴とする造粒コーティング方法。
  2. 【請求項2】 排気風温度、排気風量、排気風湿度、被
    処理物の温度、被処理物の重量、被処理物の形状、被処
    理物の揮発分含有量、被処理物の表面状態、被処理物の
    化学組成、被処理物の装置内における運動状態、被処理
    物の機械的性質の中から選択された少なくともいずれか
    1つをドラム内の処理状態の現実値として求め、給気風
    温度、給気風量、給気風湿度、ドラム回転数、スプレー
    液温、スプレー液量、スプレー圧力、スプレー回数、排
    気風量、ドラム内気圧、ポーズ時間、乾燥時間の中から
    選択された少なくともいずれか1つを制御することを特
    徴とする請求項1記載の造粒コーティング方法。
  3. 【請求項3】 実質的に水平な回転軸の回りで回転され
    るドラムを備え、予め定められた運転条件および運転プ
    ログラムに基づいて制御される造粒コーティング装置で
    あって、 前記ドラム内における被処理物の処理状態を認識する処
    理状態認識手段と、 前記処理状態認識手段によって規定される複数の数値の
    各時点における現実値とあらかじめ入力された標準値と
    の差異を指標とし、必要とされる複数の指標を前件部と
    し、運転条件のうち必要とされる条件を後件部とする所
    定のファジィ制御規則に基づき、運転条件の目標値、上
    限値、下限値および運転プログラムのうち少なくとも1
    つを自動的に修正して制御する制御手段とを有すること
    を特徴とする造粒コーティング装置。
  4. 【請求項4】 前記処理状態認識手段によって規定され
    るドラム内の処理状態は、排気風温度、排気風量、排気
    風湿度、被処理物の温度、被処理物の重量、被処理物の
    形状、被処理物の揮発分含有量、被処理物の表面状態、
    被処理物の化学組成、被処理物の装置内における運動状
    態、被処理物の機械的性質の中から選択された少なくと
    もいずれか1つであり、 前記制御手段によって制御される運転条件は、給気風温
    度、給気風量、給気風湿度、ドラム回転数、スプレー液
    温、スプレー液量、スプレー圧力、スプレー回数、排気
    風量、ドラム内気圧、ポーズ時間、乾燥時間の中から選
    択された少なくともいずれか1つであることを特徴とす
    る請求項3記載の造粒コーティング装置。
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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
EP1213051A1 (de) * 2000-12-08 2002-06-12 Basf Aktiengesellschaft Verfahren zur Überwachung und Regelung eines industriellen Granulationsprozesses
WO2011114588A1 (ja) * 2010-03-19 2011-09-22 株式会社パウレック コーティング装置及びコーティング方法

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