JPH07292474A - 薄膜製造方法 - Google Patents

薄膜製造方法

Info

Publication number
JPH07292474A
JPH07292474A JP8513194A JP8513194A JPH07292474A JP H07292474 A JPH07292474 A JP H07292474A JP 8513194 A JP8513194 A JP 8513194A JP 8513194 A JP8513194 A JP 8513194A JP H07292474 A JPH07292474 A JP H07292474A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
sputtering
substrate
target
thin film
contact hole
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Granted
Application number
JP8513194A
Other languages
English (en)
Other versions
JP3573218B2 (ja
Inventor
Yoshiyuki Kadokura
好之 門倉
Joji Hiroishi
城司 広石
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Ulvac Inc
Original Assignee
Ulvac Inc
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Ulvac Inc filed Critical Ulvac Inc
Priority to JP08513194A priority Critical patent/JP3573218B2/ja
Publication of JPH07292474A publication Critical patent/JPH07292474A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP3573218B2 publication Critical patent/JP3573218B2/ja
Anticipated expiration legal-status Critical
Expired - Lifetime legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Internal Circuitry In Semiconductor Integrated Circuit Devices (AREA)
  • Physical Vapour Deposition (AREA)
  • Electrodes Of Semiconductors (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【目的】 ボトムカバッレッジがよい薄膜を成膜でき、
基板上に設けられたコンタクトホール等の穴や溝に配線
材料を良好に充填できる薄膜製造方法を提供する。 【構成】 本発明は、配線材料から成るターゲット10
と、薄膜が成膜される基板1との間の間隔であるスパッ
タリング距離Lを、前記ターゲット10の有効半径(T/2)と
前記基板の有効半径(S/2)とを加えた値に、前記基板1に
設けられたコンタクトホール3のアスペクト比(R)を掛け
合わせて得られる値である算出距離以上の大きさになる
ように制御してスパッタリングを行い、薄膜7を製造す
ることを特徴とし、ボトムカバレッジのよい薄膜を製造
することができる。また、薄膜が成膜された基板のリフ
ローイングを行えば、コンタクトホール3内を配線材料
で充填することができる。なお、前記スパッタリング距
離を、スパッタリングが行われる際の圧力下での平均自
由行程以下にしておけば、一層効果的である。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、半導体装置等の電子機
器の製造に際して用いられる薄膜製造方法にかかり、特
に基板上に設けられた微細なコンタクトホール等の穴や
溝を配線材料で充填する薄膜製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】半導体製造工程では、特に超LISでは
多層配線が行われており、この多層配線薄膜の間の絶縁
膜にコンタクトホールを開け、薄膜間の多層配線同士を
接続したり、絶縁薄膜の下にある配線金属材料の薄膜を
外部電極に接続したりする等のため、薄膜に設けられた
コンタクトホール等の穴や溝内に配線金属材料を充填す
る技術が必須となっており、このような、コンタクトホ
ールに金属を充填する技術として、従来はCVD法が用い
られてきた。このCVD法は、基板上にガスを導入し、導
入されたガスの反応により膜を堆積させるものであり、
微細な穴でも埋めることができる点で、微細なコンタク
トホールに適用した場合に有効であるとされていた。
【0003】しかしながらCVD法によると、基板表面で
反応して所望の配線金属材料を基板上に析出させられる
ガスの存在が不可欠である。
【0004】例えば、シリコン基板上にTiN膜を成長
させたい場合には、Ti膜を成長できるようなガスをS
i基板表面導入し、化学反応によりTiを析出させ、シ
リコン基板上に堆積させる原料ガスが必要となるが、そ
の様な原料ガスはいまのところ発見されていない。この
Ti膜はTiN/Ti/Siのサンドイッチ構造とし
て、特にシリコン基板を使用した集積回路にとって必要
な薄膜であるため、従来はこれを成膜するために、物理
的な方法であるスパッタリング方法が用いられていた。
【0005】この一般的なスパッタリング方法による成
膜工程を説明すると、成膜させたい物質から成るターゲ
ット、又は成膜させたい物質の一成分を含むターゲット
を真空槽内のターゲット電極上に置き、真空槽内を真空
状態とした後アルゴン等のスパッタガスを導入し、前記
電極に負電圧を印加して放電を生じせしめ、この放電に
より発生したプラズマ中の電離ガス分子(イオン)で前
記ターゲット表面から薄膜材料物質であるターゲット粒
子を叩き出す。こうしてターゲットから叩き出されたタ
ーゲット粒子は、余弦則によって様々な方向に飛び出し
ていくが、それらのうち、前記ターゲットと対向して配
置された基板に到達したものが堆積するとそこに薄膜を
形成する。
【0006】このようなスパッタリング方法で、コンタ
クトホール内に金属薄膜を形成する場合を図7(a)で説
明すると、101はシリコン基板であり、コンタクトホ
ール1051、1052を有しており、該コンタクトホー
ル1051、1052の底面1021、1022の下には、
図示しない拡散層が設けられてて、該拡散層と前記基板
101の表面とを配線金属材料の薄膜を形成して、電気
的に接続するものである。
【0007】ところで、近年は半導体加工加工にも、増
々微細化技術が要求されており、占有面積を小さくする
ために、薄膜に開けられる前記コンタクトホール105
1、1052等の穴や溝の側壁は、その底面から略直角に
立ち上がっるようになっており、しかも開口部を小さく
したことからアスペクト比も大きくなっている。このよ
うなコンタクトホール1051、1052に対して、図示
しないターゲットから叩き出されたターゲット粒子(タ
ーゲットを構成する原子、またはそのクラスター。ター
ゲットがチタンから構成されていればチタン原子、及び
そのクラスターとなる。)103は、矢印で示すよう
に、種々の方向から入射する。
【0008】その結果、図7(b)に示すように基板1に
対して斜め方向から入射してきた前記ターゲット粒子1
03は前記コンタクトホール105の開口部周辺に堆積
し、ここでオーバーハング106を形成する。従って、
コンタクトホール底面102に到達するターゲット粒子
は少数となり、その部分の配線金属材料の薄膜の厚みが
減少し、所望膜厚を確保できないという不都合が生じて
いた。
【0009】このような従来のスパッタリング方法によ
る不都合は、配線金属材料の薄膜を成膜する場合の他、
Ti等のバリアメタルの薄膜を形成する際に発生し、い
ずれの場合でもコンタクトホール底面のボトムカバレッ
ジは悪かった。
【0010】かかる不都合は、スパッタされたターゲッ
ト粒子が種々の方向からコンタクトホールへ入射するこ
とに起因しており、そこで従来技術より、図8に示すよ
うなコリメータ125を使用したコリメータスパッタリ
ング方法が提案されていた(米国特許第4,824,544号明
細書参照)。
【0011】このコリメータスパッタリング方法とは、
真空槽内のターゲット122と基板121の間に、コリ
メータ125を配置してスパッタリングを行い、前記基
板121上に薄膜を堆積させるスパッタリング方法であ
り、前記コリーメータ125は、板124に貫通穴12
3フィルター状に開けられて構成されているため、前記
ターゲット122から叩き出されたターゲット粒子のう
ち、垂直やそれに近い方向から入射するものだけが該コ
リメータ125を通過でき、斜め方向から入射するもの
は該コリメータ125に付着するので、これにより、前
記基板121上に斜め方向から入射するターゲット粒子
を取り除いてボトムカバレッジを向上させるものであ
る。
【0012】しかしながら、ターゲットから叩き出され
たターゲット粒子のうちの大部分が前記コリメータ12
5に付着することになるのでスパッタリングレート(成
膜速度)が低下してしまう。しかも、該コリメータ12
5に付着したターゲット粒子は薄膜を形成し、それが剥
離するとダストやパーティクルとなってしまう。そして
基板等に落下するので、製品歩留まりの低下や半導体素
子の故障原因になる等の不都合を生じていた。
【0013】特に、基板上のコンタクトホール内を、ア
ルミ(Al)や、シリコン添のアルミ等の配線金属で充填
しようとする場合には、チタン(Ti)等のバリアメタル
を成膜する場合に比べて、基板上には膜厚の厚い薄膜を
成膜しなければならないため、前記コリメータに付着す
るターゲット粒子の量が増し、その結果剥離する薄膜の
量も増加するので、著しく歩留まりが低下してしまって
いた。このような不都合はコリメータを頻繁に交換すれ
ば回避し得るが、コリメータの交換を行うためには真空
槽内を大気に曝さざるを得ず、交換毎に大気圧下の状態
から高真空の状態になるまで長時間真空ポンプを動作さ
せなければならないため、現実的な解決方法としては採
用できなかった。
【0014】一方、このようなターゲット粒子のコリメ
ータへの付着を放置した場合には、前記貫通穴123内
に薄膜が堆積し続ける。特にターゲットに配線材料を使
用した場合にはこの堆積が甚だしいため、貫通穴の径が
徐々に小さくなり、成膜速度が一層低下するばかりでな
く、甚だしい場合にはコリメータが塞がれたり、それに
到らずとも、コリメータの厚みと穴径で決まるコリメー
タ自体が有するアスペクト比が変化する等の不都合を生
じていた。このように、配線材料の成膜にはコリメータ
スパッタリング方法は不向きであるとされていた。
【0015】一方、コリメータを用いない従来のスパッ
タリング方法を使用して、配線材料を基板上に成膜する
場合には、コンタクトホール周辺には、図7(b)で示し
たバリアメタルのオーバーハング量とは比較にならない
ほど多量のオーバーハングが形成されてしまう。
【0016】そして配線材料をコンタクトホール内に充
填させるために、加熱によるリフローイングを行う場合
には、前記オーバーハングの影響により、図7(c)に示
すようにコンタクトホール中にボイド1071を生じて
しまう場合があり、完全な充填を行うことができなかっ
た。逆に、オーバーハングを生じないように、配線材料
薄膜を薄く成膜した場合にはコンタクトホール底面に堆
積したものの膜厚が特に薄くなるため、リフローイング
時に膜厚の厚い基板表面上の薄膜に吸い取られてしま
い、コンタクトホール内に配線材料がなくなってしまう
という事態を生じることが知られている。
【0017】なお、バイアスを掛けてスパッタリングを
行った場合でも、かかる不都合を解消することができ
ず、図7(d)に示すように、同様にボイド1072が発
生してしまう。
【0018】このうように、コリメータを用いないスパ
ッタリング方法では、コンタクトホールを配線材料で完
全に埋め込むことはできなかった。
【0019】ところで、従来技術で用いられていたスパ
ッタリング装置では、ターゲットと基板の間の間隔であ
るスパッタリング距離は、数cmから10cm程度までに設
定されているのが普通であり、一方、8インチウェハー
に対応できるように、ターゲットの径は大きくなってお
り、従って、前記スパッタリング距離はターゲットの直
径や基板の直径よりも短くなっていることとなる。この
ため、例えばターゲット周辺から基板上に入射するター
ゲット粒子の入射角は小さくなり、甚だしい斜め方向か
ら入射することになる。このような斜め方向から入射す
るターゲット粒子の量は、大口径のターゲットを用いた
り、成膜速度を向上させるためにターゲットと基板の間
のスパッタリング距離を短くした場合には特に多量にな
り、そのため一層コンタクトホール周辺のオーバーハン
グ量が増大し、ボトムカバレッジが低下する等の不具合
を生じてしまうという問題があった。
【0020】なお、本発明にいう「配線材料」は、アル
ミ金属の他、シリコンや銅が添加されたアルミ金属も含
み、更に、バリアメタルとして用いられるチタン金属等
も含むものとする。
【0021】
【発明が解決しようとする課題】本発明は上記従来技術
の不都合を解消するために創作されたもので、その目的
は、剥離薄膜の発生等の問題を生ずることなく、オーバ
ーハングが生じず、良好なボトムカバッレッジを得るこ
とができる薄膜製造方法を提供することにあり、また、
基板上に設けられたコンタクトホール等の穴や溝に配線
材料を良好に充填できる薄膜製造方法を提供することに
ある。
【0022】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決するため
に、請求項1記載の発明は、真空槽内に配線材料から成
るターゲットと、表面にコンタクトホールが設けられた
基板とを対向させて略平行に配置し、前記真空槽内にス
パッタリングガスを導入して所定のスパッタリング圧力
を保持し、前記スパッタリングガスで前記ターゲットを
スパッタしてターゲット粒子を叩き出し、前記基板上に
前記ターゲット粒子を堆積させて薄膜を製造する薄膜製
造方法であって、前記ターゲットと前記基板の間の間隔
であるスパッタリング距離を、前記ターゲットの有効半
径と前記基板の有効半径とを加えた値に、前記基板に設
けられたコンタクトホールのアスペクト比を掛け合わせ
て得られる値である算出距離以上の大きさになるように
制御してスパッタリングを行うことを特徴とし、請求項
2記載の発明は、請求項1記載の薄膜製造方法におい
て、前記スパッタリング距離を、前記スパッタリング圧
力の下での平均自由行程以下の大きさにしたことを特徴
とし、請求項3記載の発明は、請求項1又は請求項2記
載の薄膜製造方法で薄膜が成膜された基板を加熱し、前
記薄膜のリフローイングを行うことを特徴とし、請求項
4記載の発明は、請求項1乃至請求項3記載の薄膜製造
方法であって、前記コンタクトホールに予めバリアメタ
ル薄膜を成膜しておくことを特徴とする。
【0023】
【作用】真空槽内に配線材料から成るターゲットと、表
面にコンタクトホールが設けられた基板とを対向させて
略平行に配置し、前記真空槽内にスパッタリングガスを
導入し、真空槽内のガスの圧力であるスパッタガス圧力
を所定の値に保持して前記スパッタリングガスで前記タ
ーゲットをスパッタしてターゲット粒子を叩き出せば、
前記基板上に到達したターゲット粒子がそこに付着し、
堆積するので、スパッタリングの際に導入するスパッタ
リングガスに適当なものを選んだり、化学的に不活性な
スパッタリングガスに反応性のガスを添加する等によ
り、所望の組成から成る薄膜を製造することができる。
【0024】しかしながら、高アスペクト比の薄膜を製
造しようとする場合には、ターゲット粒子がコンタクト
ホール内壁に付着してしまうため、ボトムカバレッジが
悪化したり、コンタクトホール開口部周辺にオーバーハ
ングを生じる等の不都合が著しくなる。
【0025】このような不都合を図9を用いて説明す
る。図9(a)を参照し、ターゲット108から叩き出さ
れたターゲット粒子が、基板101に入射するときの入
射角をωxとする。
【0026】図9(a)に示したように、ターゲット10
8からターゲット粒子がスパッタリングされて叩き出さ
れ得る有効半径内の領域の最外周の点Q0から、所望特
性を有する素子が得られる基板の有効半径内の領域の最
外周にあるコンタクトホールであって、前記点Q0
は、基板及びターゲットの中心軸線を挟んで対称の位置
にあるコンタクトホールQ1に入射する場合がターゲッ
ト粒子が最も斜め方向からコンタクトホール内に飛び込
むことになり、そのときの前記入射角ωxを最大入射角
ω0とすると、 ω0 ≧ ωx …… (1) なる関係が成立する。
【0027】そして、この最大入射角ω0で入射してく
るターゲット粒子が、前記コンタクトホール111の穴
径a及びその深さbとの比で決まるアスペクト比(アス
ペクトレシオ) b/a との間に、 b/a > tan(ω0) …… (2) なる関係がある場合には、前記ターゲット粒子が前記コ
ンタクトホール111内に入射すると、図9(b)のよ
うに、該コンタクトホール111の側壁112に付着し
てしまう。
【0028】そこで、前記(2)式の逆の関係、即ち、 b/a ≦ tan(ω0) …… (3) なる関係が成立するようにすれば、前記コンタクトホー
ル111内に入射するターゲット粒子を底面113に堆
積させることができることになる。
【0029】ところで、前記基板有効直径Sの最外周に
位置するコンタクトホールに関して、上式が成立するた
めには、ターゲット有効直径をTとし、互いに略平行に
配置されたターゲットと基板との間の間隔であるスパッ
タリング距離をLxとして、該Lxを、 Lx > {(T/2) + (S/2)}・b/a …… (4) なる関係に保つようにしてスパッタリングを行えばよ
い。即ち、前記ターゲットの有効半径(T/2)と前記基
板の有効半径(S/2)とを加えた値に、前記基板に設け
られたコンタクトホールのアスペクト比b/aを掛け合
わせて得られる値を算出距離とし、スパッタリング距離
Lxを、前記算出距離以上の大きさになるように制御し
てスパッタリングを行えば、前記コンタクトホール側壁
に付着するターゲット粒子を減少させることができるの
で、ボトムカバレッジのよい薄膜を製造することができ
る。
【0030】また、前記ターゲット108から叩き出さ
れたターゲット粒子が、スパッタガスを構成する分子と
衝突すると、衝突したターゲット粒子は散乱されるの
で、ターゲット粒子の飛行方向が変わってしまう。従っ
て、前記基板101に入射する方向に飛来してきたター
ゲット粒子が散乱されると基板101に入射しないよう
な場合が生じたり、ターゲット108から垂直に叩き出
されたターゲット粒子が斜め方向から基板101に入射
してしまったりする。
【0031】このような衝突が起こるまでにターゲット
粒子が飛行し得る距離を統計的に平均したものは、平均
自由行程λと呼ばれており、真空槽内部に存するガスの
圧力、即ちスパッタリング圧力p(Torr)との間で、次の
関係が成り立つことが知られている。
【0032】 λ 〜 10ー1/p (mm) …… (5) この平均自由行程λは、スパッタリング圧力を 5×1
-1Pa以上に設定する従来のスパッタリング装置で
は、5cm程度の値となり、この値は従来のスパッタリン
グ装置におけるターゲットと基板との間のスパッタリン
グ距離にほぼ等しい。従って、真空槽内を飛行するター
ゲット粒子は、スパッタガス分子と一回衝突するしかな
いかのうちに基板に到達できていた。
【0033】しかしながら、成膜速度を向上させるた
め、スパッタリング圧力を上昇させると、平均自由行程
λは小さくなり、その値がスパッタリング距離より小さ
くなると、ターゲット粒子は多数回散乱されてしまうた
め、基板に到達できないものの量が増し、スパッタリン
グレート(成膜速度)が低下してしまう。
【0034】そこで、スパッタリング距離をスパッタリ
ング圧力下でのターゲット粒子の平均自由行程よりも短
くなるように制御すれば、ターゲット粒子が散乱される
ことがなくなるので、かかる不都合を回避することがで
きる。
【0035】なお、さらに基板電極に高周波バイアス電
圧を印加する高周波バイアス電源を設ければ、バイアス
電圧を印加することによってボトムカバレッを向上させ
ることが可能である。
【0036】
【実施例】以下図面を参照して本発明の実施例を説明す
る。
【0037】図10に、本発明に使用できるスパッタリ
ング装置の一例を示す。図10を参照し、200はスパ
ッタリング装置であり、真空槽205、スパッタガス導
入口206、及び真空排気口207を備えており、前記
真空槽205内には、チタン(Ti)金属で構成されるタ
ーゲット電極209と、基板210の装着される基板ホ
ルダ211とが対向して配置されている。
【0038】前記ターゲット電極209は、高周波フィ
ルタ212を介して直流電源213の一方の電極に接続
されており、該直流電源213の他方の電極は前記真空
槽205に接続されている。
【0039】前記ターゲット電極209はまた、整合回
路214を介して高周波電源215の一方の電極に接続
されており、該高周波電源215の他方の電極は、前記
ターゲット電極209と同様に、前記真空槽205に接
続されている。
【0040】なお、前記ターゲット電極209の裏面に
は、マグネトロンスパッタを行えるように、磁石216
が配置されている。
【0041】前記ターゲット電極209には、直径25
0mmの大きさのターゲット208が配置されており、一
方、前記基板ホルダ211は最大200mm程度の寸法
の基板が装着可能に構成されており、該基板ホルダ21
1には直径150mmの基板が前記ターゲット208と略
平行に配置されている。
【0042】このスパッタリング装置200では、前記
ターゲット208と前記基板210との距離(スパッタ
リング距離)は、使用可能な基板の最大直径よりも大き
な値である300mm乃至1000mmに設定できるように
構成されている。
【0043】前記真空槽201内は真空排気口7を介し
て真空ポンプ(図示していない)が接続され、該真空槽
210内を真空状態とした後、スパッタガス導入口6か
らアルゴンガスを導入できるように構成されており、前
記図示しない真空ポンプの排気速度と前記スパッタガス
導入口から導入されるアルゴンガス流量とを調整すれ
ば、スパッタリングの際の前記真空槽201内の圧力で
あるスパッタリング圧力を所望の圧力に保持することが
可能である。
【0044】このスパッタリング装置200を用いた本
発明の実施例(第1実施例)について説明する。本第1実
施例では、前記真空槽205内にアルゴンガスをスパッ
タガスとして導入し、該真空槽205内の圧力が2×1
-2から5×10-2Pa台の状態に安定した後、前記直
流電源213と前記高周波電源215を起動させた。
【0045】前記ターゲット電極209には、前記直流
電源213から約−400Vの直流負電圧(負電圧)を印
加したところ、スパッタリングによる成膜の際には、約
10Aのスパッタ電流が流れたのが認められた。また、
前記ターゲット電極209には、高周波電源215か
ら、1.5kWの高周波電力を、100MHzの周波数
で印加した。
【0046】このように、前記直流電源213と前記高
周波電源215により、高周波一直流結合バイアスによ
ってマグネトロン放電を発生せしめ、これによりスパッ
タガスをイオン化すると、前記イオン化されたスパッタ
ガスは前記ターゲット208に印加されている負電圧で
加速され、前記ターゲット208に入射するので、該タ
ーゲット208表面をスパッタすると、前記ターゲット
208表面からはターゲット粒子が叩き出される(いわ
ゆる高周波スパッタリング)。
【0047】前記ターゲット粒子は余弦則によって種々
の方向へ飛行するが、それらのうちで前記基板210へ
向かい、前記基板210上に到達したものが付着し、堆
積すると薄膜が形成される。
【0048】ところで一般に、前記ターゲット208と
前記基板210とは中心軸線が一致するように配置され
るので、前記スパッタリング距離217が100mmにな
るように設定した場合には、前記ターゲット208の有
効直径と前記基板210の有効直径とを実寸法と等しく
見積もると、前記最大入射角ω0は約11.3degとな
る。
【0049】ところで、平均自由行程λとスパッタリン
グ圧力pとの間には、(5)式を再掲すると、 λ 〜 10ー1/p (mm) ……再掲(5) なる関係があり、スパッタリング距離が一定の時は、ス
パッタリング圧力pが高い程ターゲット粒子の平均自由
行程λは短くなる。従って、散乱現象が多発して、スパ
ッタリングレートが低下する他、ボトムカバレッジが悪
化するという不都合がある。
【0050】一方、スパッタガスの圧力を1×10-2
a前後にした場合には、前記真空槽205内を飛行する
ターゲット粒子の平均自由行程λは、前記スパッタリン
グ距離217よりも十分に長くなり、前記ターゲット粒
子がスパッタガス分子と衝突する確率も低くなるので、
散乱されることもなく、その結果、ほぼ垂直にターゲッ
トから叩き出されたターゲット粒子はそのまま前記基板
210に入射する。
【0051】このように、低圧力下でスパッタリングを
行う場合は、前記基板210に設けられたコンタクトホ
ール等の穴や溝の開口付近に堆積するターゲット粒子の
量は減少し、コンタクトホール底部に堆積する薄膜の膜
厚は、基板表面上に堆積する薄膜の膜厚とほぼ同じ厚さ
にすることができる。
【0052】なお、この実施例において、スパッタリン
グガスをアルゴンガスから窒素ガス(N2)に替えれば、
TiN薄膜を成膜することができる。
【0053】また、前記ターゲット208をチタン金属
からアルミ(Al)金属や、シリコン(Si)が添加された
アルミ金属等の配線金属に替えることも可能であり、そ
の場合も図13(a)のように、基板2511上のコンタ
クトホール2521底面にボトムカバレッジのよい薄膜
を成膜することがでる。そして、このような低融点の配
線材料をボトムカバレッジよく成膜した場合には、リフ
ローイングを行ってもコンタクトホール底面の薄膜が基
板表面上の薄膜に吸い取られることはなく、図13(b)
で示すように基板2512のコンタクトホール253内
に配線材料を十分に充填することができる。
【0054】なお、従来のスパッタリング装置のスパッ
タリング圧力は3×10-1Pa程度であるので、この条
件下でのスパッタリングと、本実施例のようにスパッタ
リング圧力を3×10-2Paとしてボトムカバレッジを
向上させた場合とで、前記スパッタリング距離217と
成膜速度との関係の比較を下記の表で例示する。
【0055】
【表1】
【0056】この表に示されるように、スパッタリング
距離217が77mmの時に、1×10ー1Paと3×10
-2Paの圧力の間で成膜速度に大差はないが、これは、
その圧力での平均自由行程がスパッタリング距離と同程
度の大きさだからである。
【0057】一方、前記スパッタリング距離217がそ
れ以上大きくなると、両圧力での成膜速度に差が見られ
るようになり、例えばスパッタリング距離217が30
0mmの時は、成膜速度に差が見られている。
【0058】このように、スパッタリング圧力を低く設
定することにより、ターゲット粒子の散乱によるスパッ
タリング速度の低下を防止でき、また、散乱により、基
板に対して斜めに入射するターゲット粒子を低減するこ
とができる。従って、成膜速度を大きくすることができ
るばかりでなく、ボトムカバレッジの向上も図れること
になる。
【0059】図11は本発明の実施に使用できる他のス
パッタリング装置の例であり、図10のスパッタリング
装置に対応した部分は図10と同じ符号で示してある。
このスパッタリング装置220では、基板210の表面
と、そこに設けられたコンタクトホール等の穴やトレン
チ内に堆積した薄膜をリフローイングさせ、完全に充填
されるように、基板ホルダ211に基板加熱用のヒータ
221が組み込まれており、このヒータ221は外部ヒ
ータ電源222から電力を供給されるように構成されて
いる。従って、本スパッタリング装置220によれば、
スパッタリング装置の他に、拡散炉等の加熱装置を使用
することなくリフローイングを行うことができ、これに
より、基板を大気雰囲気に曝すことなく、リフローイン
グを行うことができる。
【0060】図12は、本発明に用いることができる、
更に別のスパッタリング装置を示したものであり、図1
0のスパッタリング装置に対応した部分は、図10と同
じ符号をもって示してある。このスパッタリング装置2
40では、基板210が配置された基板ホルダ211
に、整合回路231を介して高周波バイアス電源232
が接続され、前記基板ホルダ211に印加される高周波
電圧により、基板210に設けられたコンタクトホール
等の穴や溝の中に配線材料等を充填できるように構成さ
れている。
【0061】なお、これらスパッタリング装置220、
240に設けられた前記ターゲット208は、前記スパ
ッタリング装置200と同様に、直径が250mmの大き
さであり、前記基板ホルダ211は、最大で直径200
mm程度の寸法の基板が装着可能に構成されている。
【0062】なお、図10、図11、図12のスパッタ
リング装置は、いずれもRF−DC結合バイアススパッ
タリング方式を用いているが、本発明はこの方式による
スパッタリング装置に限定されるものではなく、1×1
-1Pa以下の真空雰囲気中で放電が安定的に維持でき
る種々の方式を用いたスパッタリング装置を使用するこ
とが可能である。
【0063】次に、本発明の他の実施例(第2実施例)
を、図1の工程図を用いて説明する。図1(a)を参照
し、1は直径が200mm(8インチ)の基板であり、シ
リコン(Si)単結晶ウェハー2上に絶縁材料であるシリ
コン酸化膜(SiO2)4が成膜され、その表面から前記
シリコン単結晶ウェハー2に達する深さまでコンタクト
ホール3が開けられている。
【0064】直径が300mmのチタンターゲットと、
アルゴンのスパッタガスを使用して前記基板1の表面に
チタン薄膜を全面成膜した。次いで、同じターゲット
で、窒素ガス(N2)のスパッタリングガスを使用し、窒
化チタン(TiN)を全面成膜し、チタン薄膜と窒化チタ
ン薄膜との2層薄膜から成るバリアメタル薄膜51、52
を形成した。なお、本実施例ではマグネトロンスパッタ
を行っており、このマグネトロンスパッタでは、ターゲ
ット表面のうち、主として電子が磁場で閉じこめられた
部分からターゲット粒子が飛び出すので、ターゲットの
有効使用領域はその直径300mmよりも狭くなり、有
効直径は260mmであった。
【0065】このときの成膜条件は、次の表に記載した
通りである。なお、チタンターゲットを、窒素ガスとア
ルゴンガスとを混同したスパッタリングガスを用いてス
パッタリングした場合でも、表2と同様に窒化チタンの
薄膜が得られる。
【0066】
【表2】
【0067】ところで、このバリアメタル薄膜は、密着
性向上の目的の他、後から成膜する配線材料が直接シリ
コン単結晶に接触し、その部分で化学反応が発生するの
を防止するために形成するものであり、該バリアメタル
薄膜で前記コンタクトホール3を充填するものではな
い。即ち、前記コンタクトホール3の底面6にバリアメ
タル薄膜52がある程度の膜厚で付着していればよいと
言える。
【0068】従って、配線材料から成る薄膜のように厚
く成膜する必要がないため、バリアメタルの成膜には、
例えばコリメータスパッタリング方法等、オーバーハン
グを生じない成膜方法であれば、種々の成膜方法を広く
適用することができる。
【0069】なお、コリメータスパッタリング方法によ
り成膜した場合でも、コリメータに付着する不要な薄膜
の量は少ないので、アルミを成膜する場合に比べてダス
トの発生等の不都合は少ない。
【0070】前記バリアメタル薄膜を成膜した後、大気
に曝して基板を冷却した。そして、350℃に加熱して
60秒間の脱ガスを行い、20秒間放置して200℃ま
で冷却した。なお、大気に曝した後、窒素ガス雰囲気
下、600℃でアニールしてもよい。
【0071】その後、図1(b)に示すように、前記バリ
アメタル薄膜5上に、配線材料であるシリコン・銅添加
アルミ(シリコン1.0%・銅0.5%添加)から成るター
ゲットを使用して、該配線材料の薄膜7を全面成膜し
た。
【0072】前記基板1に設けられたコンタクトホール
3の深さをB(μm)、開口部をA(μm)とすると、アルペ
クト比Rは、 R = B/A …… (6) で表される。ここで、図2(a)のように、コンタクトホ
ール3の底面周辺の一点と、開口部の周辺の一点とを結
ぶ線分が底面と成す角度のうち、最も大きいものをθと
すと、上式より、 tan(θ) = B/A = R …… (7) 前記コンタクトホール3は、前記基板1の全面に設けら
れているが、一般に、基板周辺部分に作製される半導体
素子は正常に動作しないため、周辺部分に位置するコン
タクトホール内を配線材料で完全に充填する必要はな
い。従って、基板の周辺部を除いた領域内に存するコン
タクトホールに配線材料が充填されればよく、図2(b)
のように、有効領域の直径を基板有効直径Sとすると、
該基板有効直径Sは、基板の実寸法の直径S0に対し、 S ≦ S0 …… (8) となる。
【0073】また、ターゲットについても、その周辺部
分の使用効率は低いため、周辺部分を除いた有効領域か
ら飛来するターゲット粒子が基板上に薄膜を堆積すると
してよく、その有効領域の直径をターゲット有効直径T
とすると、ターゲットの直径Tに対し、 T ≦ T0 …… (9) となる。
【0074】ここで、図2(c)のように、前記ターゲッ
ト10と前記基板1とが、それらの中心軸線が一致する
ように配置されているものとし、前記基板有効直径S上
の点と前記中心軸線21上の一点とを通る直線のうち、
前記基板1との成す角度が、(7)式で記述されたθとな
るものを直線22とする。
【0075】前記基板1を固定し、前記ターゲットを上
下移動させてスパッタリング距離を変化させた場合にお
いて、前記直線22が、前記ターゲット有効直径T上の
点P1を通ったときのスパッタリング距離を算出距離L0
とすると、該算出距離L0と、ターゲット有効直径T、
基板有効直径S、角度θとの間には次式が成立する。
【0076】 L0 = (T/2)・tan(θ) + (S/2)・tan(θ) ……(10) 上式は(7)式を用いて次のように書き換えられる、 L0 = {(T/2)+(S/2)}・R ……(11) 前記スパッタリング距離Lを変化させた場合、該スパッ
タリング距離Lが、前記L0よりも大きいときは、前記
点P1から叩き出されたターゲット粒子は前記コンタク
トホール3の底面に到達できる。一方、前記スパッタリ
ング距離Lが前記L0よりも小さくなった場合は、前記
コンタクトホールの内壁に付着してしまう。即ち、ボト
ムカバレッジのよい薄膜を成膜するためには、スパッタ
リング距離Lは次式の範囲になければならない。
【0077】 L ≧ {(T/2)+(S/2)}・R ……(12) このように、スパッタリング距離Lを、前記ターゲット
の有効半径 (T/2)と前記基板の有効半径 (S/2)
とを加えた値 {(T/2)+(S/2)} に、前記基板に
設けられたコンタクトホール3のアスペクト比 R を掛
け合わせて得られる値である算出距離L0以上の大きさ
になるように制御してスパッタリングを行えば、ボトム
カバレッジのよい薄膜を成膜することができる。
【0078】上記(12)式が成立するようにしてスパッ
タリングを行ったときの、シリコン・銅添加アルミ薄膜
の成膜条件、成膜結果を次表にまとめて記す。
【0079】
【表3】
【0080】次に、基板ホルダーに設けられた加熱装置
により、前記シリコン・銅添加アルミ薄膜が成膜された
基板1を440℃から530℃の範囲で加熱してリフロ
ーイングを行ったところ、図1(c)に示すように、前記
コンタクトホール3内は、配線材料の薄膜7で充填さ
れ、ボイドは観察されなかった。
【0081】なお、本第2の実施例では、前記バリアメ
タル薄膜にTi/TiNの2層膜を用いたが、Ti、T
iN、TiW、MoSi、または、WSiの単層の薄膜
や、Ti/TiN/Tiの3層薄膜等、シリコンと反応
せず、且つ密着性のよいものが広く使用可能である。
【0082】なお、本発明を使用してチタン薄膜を成膜
した場合のボトムカバレッジの実測値を図面を用いて説
明する。
【0083】図3(a)は、ターゲット有効半径が130
mm、基板有効半径が100mmのものを用いてチタン薄膜
を成膜したときの基板に設けられたコンタクトホールの
アスペクト比 R と、基板中心に位置するコンタクトホ
ールのボトムカバレッジを示す。なお、図3(b)のよう
に、前記ボトムカバッレッジ V は、基板表面上の薄膜
(チタン薄膜)の膜厚 F と、コンタクトホール底面の膜
厚 E とから、 V = E/F ……(12) なる式で表すこととする。
【0084】図3(a)で、横軸はコンタクトホールのア
スペクト比Rであり、縦軸はボトムカバレッジVであ
る。
【0085】(◇)のプロットを結んだ線分31と(○)の
プロットを結んだ線分32は、アスペクト比Rとボトム
カバレッジVとの関係を示すものであり、それぞれ従来
技術によるスパッタと、コリメータスパッタリング方法
によるスパッタとで成膜したチタン薄膜のものである。
どちらの場合も、スパッタリング圧力を1×10-1
a、スパッタリング距離を50mmとした条件で成膜し
た。
【0086】(□)のプロットで結んだ線分は、スパッタ
リング圧力を1×10-2Pa(平均自由行程は約133
0mm)、スパッタリング距離を300mmとしてスパッタ
リングを行ったものである。
【0087】なお、本測定値は、基板中心に位置するコ
ンタクトホールを使用して実測しているため、これを基
板有効直径上のコンタクトホールに適用した場合に換算
すると、アスペクト比が2.0以下の測定値が、本発明
を適用した場合に得られるボトムカバレッジVの値に相
当する。
【0088】次に、スパッタリング距離L(横軸)とスパ
ッタリング速度(縦軸)との関係を図4に示す。この図
は、チタン薄膜を3.3×10-2Pa(平均自由行程は
約400mm)のスパッタリング圧力の下で成膜した場合
の実験値であり、スパッタリング距離Lが大きくなる
と、成膜速度が低下することが分かる。また、図3の測
定で使用したものと同じ基板とターゲットを使用して、
3.3×10ー2Paのスパッタリング圧力の下で成膜す
る場合において、スパッタリング距離L(横軸)を変化さ
せて、該スパッタリング距離LとボトムカバレッジV
(縦軸)との関係を測定した。これを図5で示す。(黒丸
●)、(黒四角■)、(黒三角)、(黒逆三角)の各プロット
を結んだ線分は、それぞれ、3.3、 2.5、 1.6
7、 1.25の各アスペクト比を持つコンタクトホー
ルについてボトムカバレッジVを測定したものである。
【0089】図6は、本発明の実施に最適なスパッタリ
ング装置の一例を示す図である。このスパッタリング装
置80は、真空槽82内に配線材料から成るターゲット
83と、表面にコンタクトホールが設けられた基板87
とを対向して略平行に配置できるように基板ホルダー8
5が設けられており、前記真空槽82内に、図示しない
導入口からスパッタリングガスを導入し、前記ターゲッ
ト83をスパッタしてターゲット粒子を叩き出し、前記
基板ホルダー85上に配置された基板87の表面に前記
ターゲット粒子を堆積させて薄膜を製造する装置であ
る。
【0090】前記基板ホルダー85は、昇降軸86の先
端に上下移動自在に取付けられており、該昇降軸86は
ベローズカップリング81を介してシリンダー88に気
密に取付けられており、前記シリンダー88の動作によ
り、前記昇降軸86が上下移動するので、前記基板87
と前記ターゲット83との間のスパッタリング距離Lの
大きさは、前記昇降軸88の移動量を制御すれば、自由
に設定することが可能である。
【0091】前記シリンダー88は、駆動回路89を介
してCPU90に接続されており、成膜を行う者が該C
PU90に接続された入力装置であるキーボード91を
使用し、表示装置であるディスプレイ92で確認しなが
ら、スパッタリング圧力p、前記基板87上のコンタク
トホールのアスペクト比R、使用する基板の有効直径S
の値を入力すれば、これら入力された値と、予め記憶装
置93に記憶されているターゲット有効直径Tの値とか
ら、前記CPU90が、前記ターゲット83の有効半径
と前記基板87の有効半径とを加えた値に前記アスペク
ト比を掛け合わせて算出距離L0を求め、また、前記入
力された値と予め記憶されている平均自由行程の計算式
から平均自由行程λを求め、前記スパッタリング距離L
が、この平均自由行程λ以下の大きさであって、且つ、
前記算出距離L0以上の大きさになるように信号を出力
して前記シリンダー88を制御する。
【0092】なお、前記記憶装置93内に、使用ターゲ
ットの材質、スパッタリング圧力、スパッタリング距離
等の値に応じて成膜速度を調節して最適な膜質が得られ
るように、一定の計算式を記憶させておけば、その計算
式に基づいて、自動的に前記スパッタリング距離Lを最
適膜質が得られるように設定することができる。本実施
例ではターゲット及び基板を円形として説明したが、楕
円等円形以外の形でもよく、その場合は、有効領域内で
中心軸線から最も離れた点と該中心軸線との間の距離が
有効半径(T/2)、(S/2)に相当する。
【0093】なお、前記スパッタリング距離を基板直径
より大きく設定しておき、スパッタリング時の真空槽内
の圧力を1×10-1としておけば、ターゲットから飛び
出したターゲット粒子が基板に対して垂直に近い角度で
入射する確率は増大し、また、ターゲット粒子とスパッ
タリングガス分子とが衝突する確率が無視できる程度ま
で平均自由行程が長くなるので、実使用上、ある程度の
ボトムカバレッジの向上が期待できる。
【0094】
【発明の効果】以上説明してきたように、本発明によれ
ば、ターゲットから叩き出されたターゲット粒子は基板
に対して垂直に近い角度で入射するので、基板上の微細
なコンタクトホール等の穴や溝の開口付近への堆積は減
少され、オーバーハング量を小さくすることができ、薄
膜をリフローイングした場合にコンタクトホール内でボ
イドが発生することがない。
【0095】また、コリメータを使用しないので不要な
薄膜が形成されることはなく、特に、膜厚の厚い薄膜を
成膜する場合でもダストやパーティクル等は発生しない
ので、歩留まりのよい成膜作業を行うことができ、メン
テナンスも容易である。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の第3実施例の工程を示す図
【図2】 本発明の原理を説明するための図
【図3】 チタン薄膜を成膜した場合のアスペクト比と
基板中心付近のコンタクトホールのボトムカバレッジの
関係を実測したグラフ
【図4】 スパッタリング距離とスパッタリング速度の
関係を実測した一例を示す図
【図5】 スパッタリング距離とボトムカバレッジの関
係を実測した一例を示す図
【図6】 本発明の実施に最適なスパッタリング装置の
一例
【図7】 コンタクトホール内に金属薄膜を形成する状
態を説明した図
【図8】 コリメータスパッタリング方法を説明するた
めの図
【図9】 従来技術によるスパッタリングの不具合を示
す図
【図10】 本発明の実施に使用できるスパッタリング
装置の一例
【図11】 本発明の実施に使用できるスパッタリング
装置の他の例
【図12】 本発明の実施に使用できるスパッタリング
装置の更に他の例
【図13】 本発明の第2実施例により成膜された薄膜
の断面図
【符号の説明】
1、87、210……基板 2……シリコン基板 3……コンタクトホール 5……バリアメタル薄膜 7……シリコン・銅添
加アルミ薄膜 10、83、208……ターゲット 82、205
……真空槽 L……スパッタリング距離 T……ターゲットの有効
直径 S……基板の有効直径 R……アスペクト比

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】真空槽内に配線材料から成るターゲット
    と、表面にコンタクトホールが設けられた基板とを対向
    させて略平行に配置し、 前記真空槽内にスパッタリングガスを導入して所定のス
    パッタリング圧力を保持し、 前記スパッタリングガスで前記ターゲットをスパッタし
    てターゲット粒子を叩き出し、 前記基板上に前記ターゲット粒子を堆積させて薄膜を製
    造する薄膜製造方法であって、 前記ターゲットと前記基板の間の間隔であるスパッタリ
    ング距離を、前記ターゲットの有効半径と前記基板の有
    効半径とを加えた値に、前記基板に設けられたコンタク
    トホールのアスペクト比を掛け合わせて得られる値であ
    る算出距離以上の大きさになるように制御してスパッタ
    リングを行うことを特徴とする薄膜製造方法。
  2. 【請求項2】前記スパッタリング距離を、前記スパッタ
    リング圧力の下での平均自由行程以下の大きさにしたこ
    とを特徴とする請求項1記載の薄膜製造方法。
  3. 【請求項3】請求項1又は請求項2記載の薄膜製造方法
    で薄膜が成膜された基板を加熱し、前記薄膜のリフロー
    イングを行うことを特徴とする薄膜製造方法。
  4. 【請求項4】前記コンタクトホールに予めバリアメタル
    薄膜を成膜しておくことを特徴とする請求項1乃至請求
    項3記載の薄膜製造方法。
JP08513194A 1994-04-22 1994-04-22 薄膜製造方法 Expired - Lifetime JP3573218B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP08513194A JP3573218B2 (ja) 1994-04-22 1994-04-22 薄膜製造方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP08513194A JP3573218B2 (ja) 1994-04-22 1994-04-22 薄膜製造方法

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JPH07292474A true JPH07292474A (ja) 1995-11-07
JP3573218B2 JP3573218B2 (ja) 2004-10-06

Family

ID=13850104

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP08513194A Expired - Lifetime JP3573218B2 (ja) 1994-04-22 1994-04-22 薄膜製造方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP3573218B2 (ja)

Cited By (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2001189272A (ja) * 1999-11-04 2001-07-10 Trikon Holdings Ltd バリア層を形成する方法
US6342447B1 (en) 1999-05-26 2002-01-29 Nec Corporation Semiconductor device and production method thereof
US7564133B2 (en) 2005-04-04 2009-07-21 Panasonic Corporation Semiconductor device and method for fabricating the same
JP2017059720A (ja) * 2015-09-17 2017-03-23 富士電機株式会社 半導体装置および半導体装置の製造方法

Cited By (6)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US6342447B1 (en) 1999-05-26 2002-01-29 Nec Corporation Semiconductor device and production method thereof
JP2001189272A (ja) * 1999-11-04 2001-07-10 Trikon Holdings Ltd バリア層を形成する方法
DE10054115B4 (de) * 1999-11-04 2009-09-24 Trikon Holdings Ltd., Newport Verfahren zur Ausbildung einer Barriereschicht
US7564133B2 (en) 2005-04-04 2009-07-21 Panasonic Corporation Semiconductor device and method for fabricating the same
JP2017059720A (ja) * 2015-09-17 2017-03-23 富士電機株式会社 半導体装置および半導体装置の製造方法
US11456359B2 (en) 2015-09-17 2022-09-27 Fuji Electric Co., Ltd. Semiconductor device and method of manufacturing semiconductor device

Also Published As

Publication number Publication date
JP3573218B2 (ja) 2004-10-06

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JPH06220627A (ja) 成膜装置
CN102439697A (zh) 高压rf-dc溅射及改善此工艺的膜均匀性和阶梯覆盖率的方法
GB2129021A (en) Sputtering apparatus
JP5249328B2 (ja) 薄膜の成膜方法
US6241857B1 (en) Method of depositing film and sputtering apparatus
JP3080843B2 (ja) 薄膜形成方法及び装置
JPH10121237A (ja) スパッタ装置
JP2021519383A (ja) 物理的気相堆積チャンバ内で堆積される層の抵抗領域(ra)制御
JPH07292474A (ja) 薄膜製造方法
JPH06136527A (ja) スパッタリング用ターゲットおよびそれを用いたスパッタリング装置とスパッタリング法
JPH0610125A (ja) 薄膜形成方法
WO2018205430A1 (zh) 用于硅通孔填充的磁控溅射腔室和半导体处理设备
JPH09213634A (ja) 薄膜成膜方法、半導体装置の製造方法及び薄膜成膜装置
JPH06158299A (ja) 薄膜形成法及び装置並びに集積回路装置
JP3523962B2 (ja) スパッタリング装置及びホール内へのスパッタリングによる薄膜作成方法
JPH0931637A (ja) 小型スパッタリングターゲット及びそれを用いた低圧スパッタリング装置
JPH10298752A (ja) 低圧遠隔スパッタ装置及び低圧遠隔スパッタ方法
JPH07221019A (ja) 平行化付着装置
JP5265309B2 (ja) スパッタリング方法
JPS59229480A (ja) スパツタリング装置
JPH01116068A (ja) バイアススパッタ装置
JPH02236277A (ja) スパッタリング方法
JPH10110267A (ja) スパッタ装置及びコリメータ付着物の処理方法
JPS6277477A (ja) 薄膜形成装置
JPS60131967A (ja) スパツタ方法

Legal Events

Date Code Title Description
A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A132

Effective date: 20040217

A521 Written amendment

Effective date: 20040419

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Effective date: 20040525

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Effective date: 20040623

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

R150 Certificate of patent (=grant) or registration of utility model

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

FPAY Renewal fee payment (prs date is renewal date of database)

Year of fee payment: 6

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20100709

FPAY Renewal fee payment (prs date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20130709

Year of fee payment: 9

EXPY Cancellation because of completion of term