JPH06136527A - スパッタリング用ターゲットおよびそれを用いたスパッタリング装置とスパッタリング法 - Google Patents

スパッタリング用ターゲットおよびそれを用いたスパッタリング装置とスパッタリング法

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JPH06136527A
JPH06136527A JP17890093A JP17890093A JPH06136527A JP H06136527 A JPH06136527 A JP H06136527A JP 17890093 A JP17890093 A JP 17890093A JP 17890093 A JP17890093 A JP 17890093A JP H06136527 A JPH06136527 A JP H06136527A
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collimator
sputtering
target
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sputtered particles
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JP17890093A
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Masaya Hosaka
真弥 保坂
Hideo Niwa
秀夫 丹羽
Naoki Yamada
直樹 山田
Tsutomu Hosoda
勉 細田
Mitsuhiro Togashi
光浩 富樫
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Fujitsu Ltd
Original Assignee
Fujitsu Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 ULSI装置の配線等を形成するためのスパ
ッタリング用ターゲットおよびそれを用いたスパッタリ
ング装置とスパッタリング法に関し、微細な開口内にも
被覆性よく安定にスパッタ膜を形成する手段を提供す
る。 【構成】 ターゲット本体1とその前面に配置された隔
壁状のコリメータ2を電気的に接続するか、一体に形成
する。この場合、コリメータ2のアスペクト比を1以上
にし、あるいは、コリメータ2のアスペクト比を1以上
にすると同時にスパッタリング圧力を10-3Torr未
満にして、ターゲット本体1の表面から放出され、ウェ
ハ5に入射するスパッタ粒子の入射角を調節して、ウェ
ハ5の微細な開口内に被覆性よく、安定にターゲット本
体1の材料からなるスパッタ膜を形成する。コリメータ
2を構成する板状体を傾斜させてスパッタ粒子に方向性
を与え、コリメータ2をスパッタ空間に出し入れして、
カバレージと堆積速度を改善することができる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、ULSI装置の配線等
を形成するためのスパッタリング用ターゲットおよびそ
れを用いたスパッタリング装置とスパッタリング法に関
する。スパッタリングによる成膜の最大の問題は、コン
タクトホール等の段差上の堆積膜の被覆性(カバレー
ジ)が悪い点である。今やスパッタリングによる堆積膜
のカバレージを向上することが、最新半導体装置の必須
要件であるといえる。
【0002】特に、近年の高集積回路装置においては、
コンタクトホール径はサブミクロンオーダーにまで微小
化されており、コンタクトホール内のカバレージはかな
り厳しい状態である。カバレージが悪い場合には、エレ
クトロマイグレーションの劣化や、コンタクトホール内
や段差上での配線の高抵抗化あるいは断線が問題にな
る。
【0003】
【従来の技術】スパッタリング法は、不活性ガスあるい
は活性ガスのイオンをスパッタリング用ターゲットに衝
突させ、ターゲットから放出されるスパッタ粒子を基板
上に付着させる方法であり、ULSI装置の金属配線の
形成等に用いられている。
【0004】しかし、例えば、ULSI装置において、
その構造が微細化されるにつれて下地とのコンタクトを
とるための開口(ビアホール)での配線層のカバレージ
に問題が生じ始めてきた。
【0005】図13は、従来のスパッタリング法の説明
図であり、(A)は従来のスパッタリング法におけるス
パッタ粒子のターゲットからの放出角度分布を示してお
り、(B)は従来のスパッタリング法により形成した堆
積膜の構造を示している。この図において、111はタ
ーゲット面、112はガスイオン、113はスパッタ粒
子、114は下地、115は酸化膜、116は開口、1
17は堆積膜である。
【0006】従来のスパッタリング法によると、平板状
のターゲット面111にガスイオン112を衝突させ
て、ターゲットを構成する材料のスパッタ粒子113を
放出させる場合、スパッタ粒子113は、図13(A)
に示されているように広い放出角度分布をもって放出さ
れる。
【0007】このように広い放出角度分布を有するスパ
ッタ粒子113を、例えば、ULSI装置の下層配線等
の下地114の上の酸化膜115のコンタクトホール等
の開口116を含む全面に堆積して堆積膜117を形成
すると、図13(B)に示されているように、開口11
6の上縁部に厚い堆積膜117が形成されて、開口11
6内への堆積膜117の形成が阻止されるため、開口1
16の側壁に膜厚が薄い部分が生じ、この部分での高抵
抗化や断線を生じる恐れがある。
【0008】アスペクト比の厳しい部分のカバレージを
改善する方法には、従来から、Al膜の場合には、約4
50℃でAlをスパッタリングしてコンタクトホール中
に埋め込む高温スパッタリング法が知られているが、こ
の方法は、高融点金属には適用できず、高価な装置が必
要であり、膜質に悪影響がでる等の問題がある。
【0009】そこで、この問題を解決するために、ター
ゲットと被堆積基板であるウェハの間に、開口を有する
コリメータを配置して、スパッタ粒子の放出角度を狭く
すること(コリメータ法)が考えられた。この方法は、
ターゲットと被堆積基板の間に板状体を格子状に組み合
わせたコリメータ、または、複数の開口を有するコリメ
ータを配置し、ターゲットから放出されるスパッタ粒子
に方向性を与えるもので、開口に対して真上からスパッ
タ粒子が飛来してくるため、開口の底面にスパッタ粒子
が付着しやすくなる。
【0010】図14は従来の改良したスパッタリング法
の説明図であり、(A)はコリメータを用いたスパッタ
リング法を示し、(B)はコンタクトホール中の堆積膜
の構造を示している。この図において、121はターゲ
ット本体、122はコリメータ、123,126は被堆
積基板、124,125はスパッタ粒子、127は酸化
膜、128は開口、129は堆積膜である。
【0011】この方法は、図14(A)に示されるよう
に、ターゲット本体121と被堆積基板123であるウ
ェハの間に、板状体を格子状に組み合わせたコリメータ
122を配置して、ターゲット本体121に対してほぼ
垂直なスパッタ粒子124のみを被堆積基板123の上
に堆積し、他の角度を有するスパッタ粒子125をコリ
メータ122に付着させるというものである。
【0012】図14(B)は、ターゲット本体と被堆積
基板の間に隔壁状のコリメータを配置した図14(A)
に示された従来のスパッタリング法により形成された堆
積膜129の断面構造を示している。この図にみられる
ように、広い放出角度分布をもって放出されたスパッタ
粒子125のうち、ターゲット面にほぼ垂直に放出され
るスパッタ粒子124だけをULSI装置の下層配線等
が形成された被堆積基板126上の酸化膜127の開口
128を含む全面に堆積して堆積膜129を形成する
と、開口128の側壁に必要な膜厚が確保され、この部
分で高抵抗化や断線が発生するのを防ぐことができる。
【0013】
【発明が解決しようとする課題】ところが、このコリメ
ータ法によると、スパッタ粒子がコリメータ自体に堆積
するため、スパッタリングを繰り返すと、コリメータの
開口部のアスペクト比が変化して安定して堆積膜を形成
することができないことと、このようにコリメータに付
着した堆積膜が剥がれ落ちてゴミの原因となることが見
出された。
【0014】本発明は、堆積膜を微細なコンタクトホー
ル等の開口内にもカバレージよく安定に、大きい堆積速
度で形成する手段を提供することを目的とする。
【0015】
【課題を解決するための手段】本発明にかかるスパッタ
リング用ターゲットにおいては、ターゲット本体とコリ
メータが電気的に接続されている構成を採用した。この
場合、コリメータのアスペクト比を1以上にすることが
できる。
【0016】また、本発明にかかるスパッタリング装置
においては、ターゲット本体とコリメータが電気的に接
続されているスパッタリング用ターゲットを用い、この
スパッタリング用ターゲットに直流電源が接続された構
成を採用した。この場合も、コリメータのアスペクト比
を1以上にすることができる。
【0017】また、本発明にかかるスパッタリング法に
おいては、ターゲット本体とコリメータが電気的に接続
されて両者が同電位に保たれたスパッタリング用ターゲ
ットを用い、スパッタリング空間のガス圧を10-3To
rr未満にする工程を採用した。この場合も、コリメー
タのアスペクト比を1以上にすることができる。
【0018】また、本発明にかかるスパッタリング法に
おいては、ターゲット本体と被堆積基板の間に、板状体
を格子状に組み合わせたコリメータを配置し、該コリメ
ータの板状体を傾斜させた状態で、該コリメータを回転
させてスパッタリングを行うことによって、スパッタ粒
子に方向性を与え、開口内にカバレージよく堆積膜を形
成する工程を採用した。
【0019】また、本発明にかかるスパッタリング装置
においては、ターゲット本体と被堆積基板の間に、スパ
ッタ粒子に方向性を与えるための板状体を格子状に組み
合わせたコリメータを配置し、該コリメータの板状体を
傾斜させる手段と、該コリメータを回転させる手段を設
けた構成を採用した。
【0020】また、本発明にかかるスパッタリング装置
においては、コリメータの開口の径をスパッタ粒子の平
均自由行程の5倍以内にし、該開口の深さをスパッタ粒
子の平均自由行程の5倍以上にし、スパッタ粒子の平均
自由行程を調節することによって、該コリメータ自体に
スパッタ粒子を遮断するシャッター機能をもたせる構成
を採用した。
【0021】この場合、コリメータのアスペクト比を1
以上にし、スパッタリング空間のガス圧を20mTor
r以上にすることにより、コリメータ自体にスパッタ粒
子を遮断するシャッター機能をもたせることができる。
【0022】また、本発明にかかるスパッタリング装置
においては、ターゲット本体と被堆積基板の間の空間
に、スパッタ粒子に方向性を与えるためのターゲット側
コリメータと被堆積基板側コリメータが配置され、該タ
ーゲット側コリメータが接地され、該被堆積基板側コリ
メータにはプラズマを発生させるための高周波電圧が印
加される構成を採用した。
【0023】この場合、ターゲット側コリメータによ
り、被堆積基板側コリメータによって生成される高周波
電界を遮蔽してスパッタリング空間の電界を最適化する
ことができる。また、この場合、ターゲット本体とター
ゲット側コリメータの間の空間と、被堆積基板と被堆積
基板側コリメータの間の空間を独立に排気する機構をも
ち、それぞれの空間に異なるガスを導入して、それぞれ
の空間でガス分圧の異なるプラズマを生成することがで
きる。
【0024】また、この場合、ターゲット本体をTiと
し、ターゲット本体とターゲット側コリメータの間の空
間にはアルゴンを導入し、被堆積基板と被堆積基板側コ
リメータの間の空間に窒素を導入して、被堆積基板上に
窒化チタン膜を成膜することができる。また、この場
合、ターゲット本体のスパッタリングを高い効率を有す
るDCマグネトロンスパッタで行い、被堆積基板にブロ
ッキングコンデンサーを介してRF電圧を印加すること
ができる。
【0025】また、本発明にかかるスパッタリング装置
においては、ターゲット本体と被堆積基板の間の空間に
移動し、あるいは、該空間から退避することができるコ
リメータを有する構成を採用した。また、ターゲット本
体と被堆積基板の間の空間に移動し、あるいは、該空間
から退避することができるコリメータと、該ターゲット
本体と被堆積基板の間の空間に移動し、あるいは、該空
間から退避することができるシャッターを有する構成を
採用した。
【0026】また、本発明にかかるスパッタリング法に
おいては、コリメータをターゲット本体と被堆積基板の
間の空間に移動してスパッタリングを行い、該コリメー
タを該空間から退避させてスパッタリングを行うことに
よって、カバレージよく、高い堆積速度で堆積膜を形成
する工程を採用した。この場合、堆積膜をTi+Ti
N、または、Alにすることができる。
【0027】
【作用】本発明のように、ターゲット本体とコリメータ
を電気的に接続すると、スパッタリングが行われるとき
に、ターゲット本体とともにコリメータ自身もスパッタ
リングされて削られるため、コリメータへのスパッタ膜
の付着によるアスペクト比の変化、コリメータに付着し
たスパッタ膜の剥離を抑制することができる。
【0028】また、この場合、コリメータのアスペクト
比を1以上にすると、ULSI装置において用いられて
いるアスペクト比が1程度のコンタクトホールに被覆性
よくスパッタ膜を形成することができる。
【0029】また、ターゲット本体とコリメータが電気
的に接続されているスパッタリングターゲットを用い、
スパッタリング圧力を10-3Torr未満とすると、ス
パッタ粒子がガス分子と衝突する確率を低減して、スパ
ッタ粒子の方向を所望の角度に維持することができる。
【0030】また、板状体を格子状に組み合わせたコリ
メータを用い、このコリメータの板状体を傾斜させた状
態で、コリメータを回転させてスパッタリングを行うこ
とによって、スパッタ粒子に方向性を与え、被堆積基板
の開口内にカバレージよく堆積膜を形成することでき
る。
【0031】また、コリメータの開口の径をスパッタ粒
子の平均自由行程の5倍以内にし、コリメータの開口の
深さをスパッタ粒子の平均自由行程の5倍以上にし、ス
パッタ粒子の平均自由行程を調節することによって、コ
リメータ自体にスパッタ粒子を遮断するシャッター機能
をもたせることができる。
【0032】また、ターゲット本体と被堆積基板の間
に、スパッタ粒子に方向性を与えるための、ターゲット
側コリメータと被堆積基板側コリメータが配置され、タ
ーゲット側コリメータを接地し、被堆積基板側コリメー
タにプラズマを発生させるための高周波を印加すること
によって、堆積膜のカバレージと堆積速度を改善するこ
とができる。
【0033】また、ターゲット本体と被堆積基板の間の
空間に移動し、あるいは、この空間から退避することが
できるコリメータを用いることによって、堆積膜のカバ
レージと堆積速度を改善することができる。
【0034】
【実施例】以下、本発明の実施例を説明する。 (第1実施例)図1は第1実施例のスパッタリング用タ
ーゲットの説明図であり、(A)は断面を示し、(B)
はその平面を示している。この図において、1はターゲ
ット本体、2はコリメータである。
【0035】この実施例のスパッタリング用ターゲット
においては、ターゲット本体1と隔壁状のコリメータ2
が一体的に形成されており、当然のことながら両者間は
電気的に接続されている。この場合、ターゲット本体1
とコリメータ2を必ずしも一体的に形成する必要はな
く、両者間が電気的に接続されていることのみが必要で
ある。
【0036】この構成を有するスパッタリング用ターゲ
ットを用いてスパッタリングを行うことによって、図1
4(A)に示されている従来のコリメータ法による場合
と同様に、広い放出角度分布をもって放出されたスパッ
タ粒子のうち、ターゲット面に垂直な方向から外れて放
出されたスパッタ粒子を隔壁状のコリメータ2によって
遮断し、ターゲット面にほぼ垂直に放出されるスパッタ
粒子だけを、被堆積基板であるウェハに走行させて、ウ
ェハ上の酸化膜の開口の底面と側壁に必要な膜厚の堆積
膜を形成することができる。
【0037】そして、これに加えて、ターゲット本体1
とコリメータ2の間が電気的に接続されているため、コ
リメータ2自体にガスイオンが衝突してコリメータ2が
削られるため、コリメータ自身にスパッタ粒子が付着す
ることによるアスペクト比の変化を防ぎ、したがって、
従来問題になっていたコリメータに付着したスパッタ膜
の剥離による問題を除くことができる。
【0038】図2は第1実施例のスパッタリング用ター
ゲットを用いたスパッタリング装置の説明図であり、
(A)はスパッタリング装置全体を、(B)はコリメー
タを示している。この図において、1はターゲット本
体、2はコリメータ、3は真空チャンバ、4はサセプ
タ、5はウェハ、6はガス導入口、7は絶縁体、8は磁
石、9は直流電源、10は排気ユニットである。
【0039】この実施例のスパッタリング装置において
は、図2(A)に示されているように、ターゲット本体
1と、アスペクト比(B/A)が1以上の隔壁状のコリ
メータ2を一体的に形成したスパッタリング用ターゲッ
トを、底面にサセプタ4を有する真空チャンバ3内の絶
縁体7を介して気密状態で取付け、この真空チャンバ3
に、ガス導入口6と排気ユニット10が設置されてい
る。
【0040】そして、排気ユニット10によってこの真
空チャンバ3を排気し、ガス導入口6からAr等の不活
性ガス、あるいは、N2 ,O2 等の活性ガスを10-3
orr未満の圧力になるように導入し、ウェハ5を載置
したサセプタ4とターゲット本体1の間に、直流電源9
によって、ターゲット本体1が負になるように直流電圧
を印加して、サセプタ4とターゲット本体1の間に放電
を生起させ、この放電によって発生した正電荷を有する
ガスイオンを負電位のターゲット本体1とコリメータ2
に衝突させてターゲット本体1からスパッタ粒子を放出
させ、サセプタ4上に載置されたウェハ5上に堆積す
る。
【0041】なお、磁石8は、ガスイオンを放射状の磁
界によって螺旋運動させてイオン化確率を高くするため
に設置されている。
【0042】本発明、あるいはこの実施例において、コ
リメータ開口のアスペクト比を1以上にした理由を、図
2(B)を用いて説明する。コリメータのアスペクト比
が1であり、ターゲット上のX点からスパッタされたス
パッタ粒子が対向するウェハに向かってcosine則
に従って放出されると考える。
【0043】図の角度φより大きい角度で放出されるス
パッタ粒子はコリメータと衝突して付着するため、ウェ
ハにはcosφ(−tan-10.5≦φ≦tan-10.
5)の角度に限定されたスパッタ粒子のみが走行する。
【0044】一方、ウェハ上の任意の開口(ビアホー
ル)において、上述の法則に従いターゲットから放出さ
れ、開口に入射するスパッタ粒子の中で最も大きい角度
φをもつスパッタ粒子を考える。なお、この角度はター
ゲットから放出されるスパッタ粒子の最大角度と同じで
ある。
【0045】開口のアスペクト比がどの程度ならば、こ
の最大入射角をもつスパッタ粒子が開口底部中央部に到
達できるかを計算してみる。開口のアスペクト比を入射
角φで表すと、アスペクト比は1/2tanφとなるか
ら、最大角であるφ=tan-10.5を代入すると、ア
スペクト比≒1となる。
【0046】次世代の集積回路装置において用いられる
開口(ビアホール)のアスペクト比は1程度であるか
ら、コリメータのアスペクト比が1以上であれば前記の
最大入射角を小さくでき、1以上のアスペクト比をもつ
開口の底面までスパッタ粒子を堆積することができる。
【0047】また、本発明あるいはこの実施例におい
て、スパッタリング圧力を10-3Torr未満に設定し
た理由を説明する。
【0048】図3はスパッタ空間のガス圧対スパッタ粒
子とガス分子の衝突確率関係図である。現用の典型的に
スパッタリング装置でのスパッタリング圧力は10-3
orr程度の圧力であり、その時スパッタリングされた
スパッタ粒子の平均自由行程はおよそ10-1m程度であ
る。
【0049】このガス圧における分子イオン間の衝突確
率Pcは次のように簡単な式で表すことができる。 Pc=1−exp(−L/λ) ここでL:電極間隔、λ:平均自由工程である。通常の
装置の場合、Lの値は10-1m台であるから、図3に示
されているように、スパッタ粒子の衝突確率は60%程
度になる。ガス圧を一桁低い10-4m台にすると、平均
自由行程は1m台になり、衝突確率は10%となる。さ
らに、一桁圧力を下げると1%程度となる。
【0050】すなわち、現用のスパッタリング装置にお
ける圧力より一桁以上圧力を下げることにより、スパッ
タ粒子の衝突する確率が大幅に減少することになる。現
用のスパッタリング装置のガス圧でスパッタリングを行
うと、折角コリメータによって方向を整えたスパッタ粒
子も60%程度がガス分子と衝突するためウェハの開口
への入射は等方的になってしまうことがある。コリメー
タを用いた特徴を活かすためにはスパッタリング圧力を
10-3m未満にすることが望ましい。
【0051】(第2実施例)図4は第2実施例のスパッ
タリング装置の説明図であり、(A)はコリメータが垂
直である場合、(B)はコリメータが傾斜している場合
を示している。この図において、11はコリメータ、1
2はコリメータの一方向の板状体、13はコリメータの
他方向の板状体、14はターゲット粒子、15はコンタ
クトホール、16は第1の堆積膜、17は第2の堆積膜
である。
【0052】この実施例のスパッタ装置に用いるコリメ
ータ11においては、コリメータの一方向の板状体12
を垂直に固定し、コリメータの他方向の板状体13を傾
動しうるようにしている。このスパッタ装置を用いて、
まず、コリメータの他方向の板状体13を垂直にした状
態でスパッタを行い、ターゲット粒子14を基板に形成
されたコンタクトホール15の上に堆積して第1の堆積
膜16を形成する。
【0053】この第1段階のスパッタによって、基板の
表面の上と、コンタクトホール15の底面にのみに第1
の堆積膜16が形成されるが、所定の膜厚が形成された
後に、コリメータの他方向の板状体13を、コンタクト
ホール15のアスペクト比に応じて設定された角度だけ
傾斜させ、コリメータ全体を回転させながらスパッタを
継続する。
【0054】この第2段階のスパッタによって、基板の
表面上と、コンタクトホール15の側面にのみ第2の堆
積膜17が堆積される。
【0055】その結果、第1の堆積膜16と第2の堆積
膜17の合計厚さによって、基板の表面の上と、コンタ
クトホール15の底面、側面にカバレージの良好な堆積
膜が形成され、堆積膜が電極や配線である場合は、段切
れによる断線等を生じることがなく、絶縁膜である場合
は、薄い部分やピンホールを生じることがない。
【0056】図5は第2実施例のスパッタリング装置の
コリメータの説明図である。この図において、11はコ
リメータ、12はコリメータの一方向の板状体、13は
コリメータの他方向の板状体、181 ,182 は駆動体
である。
【0057】この実施例のスパッタリング装置に用いる
コリメータ11は、平行に延びるように垂直に配置され
た複数のコリメータの一方向の板状体12と、このコリ
メータの一方向の板状体12を受容するスリットを有す
るコリメータの他方向の板状体13を格子状に組み合わ
せて構成されている。そして、各コリメータの他方向の
板状体13には、例えば、針金のような細い線である駆
動体181 ,182 が連結され、この駆動体181 ,1
2 をスパッタ装置の外部から機械的または電気的に操
作することによって、コリメータの他方向の板状体13
の傾斜角を制御できるようになっている。
【0058】図6は第2実施例のスパッタリング装置の
コリメータの駆動機構説明図であり、(A)は平面を示
し、(B)は断面を示している。この図において、21
はコリメータ、22はコリメータの一方向の板状体、2
3はコリメータの他方向の板状体、24はリング状枠
体、25は駆動体、26はコリメータ側磁石、27はチ
ャンバ壁、28は駆動用磁石である。
【0059】この実施例のスパッタリング装置に用いる
コリメータ21は、主として図6(A)に示されている
ように、コリメータの一方向の板状体22と、このコリ
メータの一方向の板状体22を受容するスリットを有す
るコリメータの他方向の板状体23を格子状に組み合わ
せ、コリメータの一方向の板状体22をリング状枠体2
4に固定し、コリメータの他方向の板状体23の傾斜角
を駆動体25によって制御できるように構成されてい
る。
【0060】そして、図6(B)に示されているよう
に、このコリメータ21のリング状枠体24には複数の
コリメータ側磁石26が設けられ、チャンバ壁27に回
転可能な状態で支持され、コリメータ側磁石26をチャ
ンバ壁27の外側に設けられた駆動用磁石28を回転す
ることによって駆動し、コリメータ21を回転するよう
になっている。
【0061】この場合、チャンバ壁27の外側に設けら
れた駆動用磁石28を実際に回転させなくても、これら
の駆動用磁石28を複数の電磁石によって構成し、順次
磁力を変化させることによってコリメータ21を回転さ
せることもできる。また、このコリメータの他方向の板
状体23が垂直である場合は、コリメータ21を回転さ
せる必要がないため、このとき、針金状の駆動体25を
機械的に駆動することによって、コリメータの他方向の
板状体23の傾斜角を変えることができ、また、電気的
手段を用いることによって、コリメータ21が回転して
いるときでも、コリメータの他方向の板状体23の傾斜
角を変えることができる。
【0062】(第3実施例)スパッタ工程において、タ
ーゲットを交換した直後にターゲットの表面の汚染物質
を除去する間、ロット処理前にスパッタを安定化する
間、および、例えばTi膜とTiN膜を連続的に堆積す
る場合のように、異なるスパッタ行程を連続的に施す際
の移行期間に、ターゲットからのスパッタ粒子を被堆積
基板上に飛来するのを防ぐ、いわゆる、から飛ばしを行
う必要が生じる。
【0063】この目的を達成するため、従来のスパッタ
装置においては、コリメータと被堆積基板の間にシャッ
ターを設け、必要に応じてスパッタ粒子が基板上に飛来
するのを阻止する手段が講じられていた。
【0064】図7は従来のシャッターを有するスパッタ
リング装置の説明図である。この図において、31はチ
ャンバ、32はターゲット、33はスパッタ粒子、34
はコリメータ、35はシャッター、36はシャッター駆
動手段、37は被堆積基板、38は排気手段である。
【0065】従来のシャッターを有するスパッタリング
装置においては、チャンバ31内に、ターゲット32、
コリメータ34、シャッター35、被堆積基板37がこ
の順に配置され、チャンバ31内を排気手段38によっ
て排気した後、Ar等のガスを導入し、Arイオンをタ
ーゲット32に衝突させてターゲット32からスパッタ
粒子33を弾き出し、コリメータ34によってスパッタ
粒子33に方向性を与えて被堆積基板37上に堆積し、
スパッタ粒子33を被堆積基板37上に堆積させる必要
がない場合には、シャッター35をシャッター駆動手段
36によってスパッタ空間に移動し、スパッタ粒子33
をシャッター35によって遮断するようにしていた。
【0066】このようにコリメータ34と被堆積基板3
7の間にシャッター35を挟む構造を採ると、コリメー
タ34と被堆積基板37の間の距離が制約され、シャッ
ター35が回転するため、不所望な部分へのスパッタ粒
子の被着を防ぐ防着板(図示されていない)の構造を単
純化することができないという問題があり、また、シャ
ッター35の可動部等から発塵が起こる等の問題があっ
た。この実施例のスパッタ装置はこれらの問題を解決す
るためにシャッターレス化することを目的とする。
【0067】図8は第3実施例のスパッタリング装置の
コリメータの説明図であり、(A)は平面を、(B)は
断面を示している。図8(B)は、図8(A)のX−
X’,Y−Y’線上の断面図である。この図において、
41はコリメータ、42は開口、aは開口の直径、bは
コリメータの厚さである。
【0068】このコリメータ41に形成された開口42
が円形である場合はその直径、開口42が多角形である
場合はその外接円の直径aを、スパッタ粒子の平均自由
行程(mfp)の5倍以内にし、コリメータの厚さ、す
なわち開口42の深さbを、スパッタ粒子のmfpの5
倍以上にして、開口42のアスペクト比を1より大きく
し、スパッタ粒子のmfpを調節することによって、コ
リメータ41自体にスパッタ粒子を遮断するシャッター
機能をもたせることができる。そして、このスパッタ粒
子のmfpは、スパッタ装置のチャンバ内のスパッタ空
間のガス圧によって制御することができる。
【0069】図9はスパッタリング装置のチャンバ内の
ガス圧とスパッタ粒子の堆積速度の説明図である。この
図は、図8におけるコリメータ41の開口42のアスペ
クト比を1にした場合の、スパッタリング装置のチャン
バ内のガス圧(横軸)とスパッタ粒子の堆積速度(縦
軸)の関係を示している。
【0070】この図にみられるように、スパッタ装置の
チャンバ内のガス圧を漸増していくとスパッタ粒子の堆
積速度は急激に減少し、20mTorr以上になると堆
積速度が零になるから、コリメータ41自体に、スパッ
タ粒子に対するシャッター機能をもたせることができる
ことが分かる。
【0071】この実施例のスパッタリング装置による
と、スパッタ粒子のmfp、チャンバ内のガス圧、パワ
ー等を適切に選択することによって、コリメータから被
堆積基板上へのスパッタ粒子の飛び出しを制御して、ス
パッタリング装置をシャッターレス化することができ、
従来のスパッタリング装置のようにシャッターからの発
塵や、スパッタリング装置の構造の自由度を拡大するこ
とができる。
【0072】(第4実施例)コリメータを用いた従来の
スパッタリング法、または前記の実施例のスパッタリン
グ法においては、コリメータを設けることによって、堆
積速度がコリメータを用いない場合の1/10〜1/2
0まで低下してしまう。このような堆積速度の低下は、
反応性スパッタによって成膜する場合にはさらに深刻な
問題となる。
【0073】例えば、コリメータを使用せず、チタンタ
ーゲットを用いて、アルゴンと窒素の混合ガスのプラズ
マによって窒化チタンの成膜を行う場合には、アルゴン
でチタンをスパッタする場合の1/5まで堆積速度が低
下する。これに加えて、前記のようにコリメータを用い
る場合には、1/50〜1/100にまで堆積速度が低
下してしまう。
【0074】このような堆積速度の低下は処理能力の低
下を引き起こしてしまう。この実施例は、コリメータを
設けた反応性スパッタにおいても、堆積速度を高くする
ことができるスパッタリング法を提供する。
【0075】図10は第4実施例のスパッタリング装置
の説明図である。この実施例のスパッタ装置を基板上に
窒化チタン膜を形成する場合を例にして説明する。この
図において、51は真空チャンバ、51T はターゲット
側チャンバ、51 S は基板側チャンバ、52はチタンタ
ーゲット、53はDC電源、54は基板ホルダ、55は
ブロッキングコンデンサ、56はRF電源、57は半導
体基板、58はターゲット側コリメータ、59は基板側
コリメータ、60はRF電源、61はターゲット側排気
系、62は基板側排気系、63はターゲット側ガス導入
管、64は基板側ガス導入管である。
【0076】この実施例のスパッタリング装置において
は、真空チャンバ51が、ターゲット側コリメータ58
と基板側コリメータ59によってターゲット側チャンバ
51 T と基板側チャンバ51S 分けられ、ターゲット側
コリメータ58は接地され、基板側コリメータ59は、
プラズマを生成するための13.56MHzのRF電源
60に接続されている。
【0077】そして、ターゲット側チャンバ51T の左
側の壁面にはチタンターゲット52が配置され、このチ
タンターゲット52はDC電源53に接続され、このタ
ーゲット側チャンバ51T は、例えばクライオポンプで
あるターゲット側排気系61によって排気され、ターゲ
ット側ガス導入管63からアルゴンが導入される。
【0078】他方、基板側チャンバ51S の右側の壁面
には、半導体基板57を保持する基板ホルダ54が配置
され、この基板ホルダ54は、ブロッキングコンデンサ
55を介して13.56MHzのRF電源56に接続さ
れ、この基板側チャンバ51 S は、例えばクライオポン
プである基板側排気系62によって排気され、基板側ガ
ス導入管64から窒素が導入される。
【0079】なお、ターゲット側コリメータ58と基板
側コリメータ59は、それぞれ1辺が15mmの6角形
を組み合わせたハニカム構造を有し、その厚さは10m
mである。そして、ターゲット側コリメータ58と基板
側コリメータ59の間のギャップは放電を抑制するため
に約2mmに設定されている。また、チタンターゲット
52とターゲット側コリメータ58間の距離、および、
半導体基板57と基板側コリメータ59間の距離は、そ
れぞれ35mmに設定されている。
【0080】このスパッタリング装置を用い、スパッタ
条件として、ターゲット側チャンバ51T のAr圧力を
5mTorrとし、基板側チャンバ51S のN2 圧力を
3mTorrにして、スパッタを生じさせるためのDC
電源53のDCパワーを10kW、基板側コリメータ5
9のRF電源60のRFパワーを300W、半導体基板
57をバイアスするRF電源56のRFパワーを50W
として成膜を行った場合、窒化チタン膜の成長速度は1
000Å/minであり、コリメータを用いない通常の
反応性スパッタによる窒化チタンの成長速度と同等の堆
積速度が得られた。また、この条件で堆積された膜質
も、従来の窒化チタン膜と同等であった。
【0081】この構造を採ると、ターゲット側コリメー
タ58によって基板側コリメータ59に印加される高周
波を遮蔽して、Arイオンをチタンターゲット52に加
速するDC電源53によって形成される電界に悪影響を
防ぐことができる。また、ターゲット側チャンバ51T
と基板側チャンバ51S を独立に排気し、それぞれのチ
ャンバに異なるガスを導入して、それぞれのチャンバで
ガス分圧の異なるプラズマを生成する最適条件を実現す
ることができる。ターゲット側チャンバ51T と基板側
チャンバ51S に導入されるガスの混合は、コリメータ
のコンダクタンスに依存するが、独立排気系を有する場
合は特に問題にならない。
【0082】また、この実施例の構成を採ることによ
り、チタンターゲット52のスパッタを効率が高いDC
マグネトロンスパッタで行い、このDC電圧に関係な
く、ブロッキングコンデンサ55を介して半導体基板5
7にチタンと窒素の反応を制御するためのバイアス用R
F電源56のRFパワーを供給することができるため、
それぞれの条件を最適化して高い堆積速度を得ることが
できる。
【0083】(第5実施例)前記のように、近年、集積
回路装置の微細化に伴い、コンタクトホールのアスペク
ト比は厳しくなる一方であり、スパッタによってコンタ
クトホール内に形成しているバリアメタル(Ti+Ti
N)やAl膜のステップカバレージも悪くなっている。
【0084】そのため、前記の実施例のスパッタリング
装置のように、ターゲットと被堆積基板の間にコリメー
タを配置してスパッタ粒子の方向を制御して、コンタク
トホール等のステップカバレージを向上する方法が考え
られているが、スパッタ空間にコリメータを配置すると
堆積速度が〜1/10と著しく遅くなって、スループッ
トが問題になってくる。
【0085】この実施例のスパッタリング装置は、コン
タクトホール等のステップカバレージを向上するととも
に、コリメータを配置することによる堆積速度の減少を
可能な限り少なくすることを目的とする。
【0086】図11は第5実施例のスパッタリング装置
の説明図である。71はチャンバ、72はターゲット、
73はコリメータ、74はコリメータ駆動手段、75は
シャッター、76はシャッター駆動手段、77は被堆積
基板、78,79はスパッタ粒子である。
【0087】この実施例のスパッタ装置においては、チ
ャンバ71中に、ターゲット72、コリメータ73、シ
ャッター75、被堆積基板77が配置され、コリメータ
73には、コリメータ73をスパッタ空間に移動し、あ
るいは、スパッタ空間から退避させるコリメータ駆動手
段74が設けられ、シャッター75には、シャッター7
5をスパッタ空間に移動し、あるいは、スパッタ空間か
ら退避させるシャッター駆動手段76が設けられてい
る。
【0088】そして、ターゲット72から多方向にスパ
ッタされたスパッタ粒子78を、コリメータ73を通す
ことによって方向性を与え、また、コリメータ73を通
過したスパッタ粒子79を、シャッター75によって遮
蔽するようになっている。また前記のように、コリメー
タ73は、コリメータ駆動手段74によって駆動され
て、スパッタ空間に移動し、スパッタ空間から退避させ
るようになっており、シャッター75は、シャッター駆
動手段76によって駆動されて、スパッタ空間に移動
し、スパッタ空間から退避させるようになっている。
【0089】この実施例のスパッタリング装置を用いる
と、コリメータ73の開閉とシャッター75の開閉を組
み合わせることによって、堆積膜のカバレージを向上す
るとともに、必要膜厚の堆積膜を形成する時間を短縮し
てスループットを向上することができる。
【0090】なお、このスパッタリング装置において
は、スパッタ電源をオンオフ制御することによってシャ
ッター75を除去することができる。また、コリメータ
駆動手段74として、従来から知られていたシャッター
駆動手段76と同様に、コリメータ73を、その面に垂
直な軸の回りに回転することによってスパッタ空間に移
動し、スパッタ空間から退避させる回転手段、コリメー
タ73の面を垂直方向に起立させることによってスパッ
タ空間に移動し、スパッタ空間から退避させる回転手段
等を用いることができる。
【0091】図12はコンタクトホールのアスペクト比
とカバレージ率の関係図であり、(A)はコリメータが
無い場合、(B)はコリメータが有る場合を示してい
る。この図にみられるように、コンタクトホールのアス
ペクト比とカバレージ率の傾向が、コリメータを使用し
ない場合とコリメータを使用する場合で異なるため、コ
リメータの有無を組み合わせるスパッタリングを行うこ
とによって、コンタクトホール中および周辺の堆積膜の
堆積速度を制御し、カバレージを改善することが可能に
なる。また、コリメータを使用しない場合の堆積速度を
最大限度利用することによってスループットを向上する
ことができる。
【0092】以下、この実施例に係わる実験結果を示
す。 堆積速度 コリメータが無い場合 5.0Å/kW・sec コリメータが有る場合 0.5Å/kW・sec コリメータによって堆積速度は1/10に低下する。
【0093】実施例の実験結果 TiN膜を堆積する場合で、コンタクトホールのアスペ
クト比が1.0で、最低膜厚を400Åとした。 第1回のスパッタ工程 コリメータを用い、供給電力を7.5KWとして13秒
間スパッタして水平面上に膜厚500ÅのTiN膜を堆
積した。その結果、TiN膜が、コンタクトホールの底
面に300Å、側壁に75Å堆積された。
【0094】第2回のスパッタ工程 コリメータを用いないで、供給電力を7.5KWとして
27秒間スパッタして水平面上に膜厚1000ÅのTi
N膜を堆積した。その結果、TiN膜が、コンタクトホ
ールの底面に330Å、側壁に350Å堆積された。
【0095】したがって、TiN膜の合計膜厚は、表面
上で1500Å、コンタクトホールの底面に630Å、
側壁に425Å堆積された。このように、必要最低限の
膜厚により、図12の関係図から各アスペクトのカバレ
ージ率を算出してスパッタリングを行うことができる。
上記の説明はTiN膜に関するものであったが、Al等
その他の材料についても同様である。
【0096】上記と同様に、この実施例のスパッタ装置
を用いて、下記のようにすることもできる。 1.シャッターを用いないで、開閉可能なコリメータを
用いて同一真空チャンバ内でスパッタを行ってTi+T
iN,Al等を成膜する。この場合、シャッターの開閉
機能は、スパッタ電源をオン、オフすることによって代
替する。 2.開閉可能なシャッターと開閉可能なコリメータを用
いて同一真空チャンバ内でスパッタを行ってTi+Ti
N,Al等を成膜する。
【0097】
【発明の効果】以上説明したように、本発明によると、
スパッタ粒子が付着することによるコリメータのアスペ
クト比の変化と、コリメータへのスパッタ膜の剥離の問
題を解消することができ、被堆積基板上の開口における
堆積膜のカバレージを改善することができ、また、コリ
メータの開口の形状とスパッタ粒子のmfpを調節する
ことによってシャッターレス化することができ、シャッ
ターからの発塵防止や装置構造の自由度を拡大すること
ができ、堆積速度を高速化することができるため、集積
回路の配線形成技術分野等において寄与するところが大
きい。
【図面の簡単な説明】
【図1】第1実施例のスパッタリング用ターゲットの説
明図であり、(A)は断面を示し、(B)はその平面を
示している。
【図2】第1実施例のスパッタリング用ターゲットを用
いたスパッタリング装置の説明図であり、(A)はスパ
ッタリング装置全体を、(B)はコリメータを示してい
る。
【図3】スパッタ空間のガス圧対スパッタ粒子とガス分
子の衝突確率関係図である。
【図4】第2実施例のスパッタリング装置の説明図であ
り、(A)はコリメータが垂直である場合、(B)はコ
リメータが傾斜しいてる場合を示している。
【図5】第2実施例のスパッタリング装置のコリメータ
の説明図である。
【図6】第2実施例のスパッタリング装置のコリメータ
の駆動機構説明図であり、(A)は平面を示し、(B)
は断面を示している。
【図7】従来のシャッターを有するスパッタリング装置
の説明図である。
【図8】第3実施例のスパッタリング装置のコリメータ
の説明図であり、(A)は平面を、(B)は断面を示し
ている。
【図9】スパッタリング装置のチャンバ内のガス圧とス
パッタ粒子の堆積速度の説明図である。
【図10】第4実施例のスパッタリング装置の説明図で
ある。
【図11】第5実施例のスパッタリング装置の説明図で
ある。
【図12】コンタクトホールのアスペクト比とカバレー
ジ率の関係図であり、(A)はコリメータがない場合、
(B)はコリメータがある場合を示している。
【図13】従来のスパッタリング法の説明図であり、
(A)は従来のスパッタリング法におけるスパッタ粒子
のターゲットからの放出角度分布を示しており、(B)
は従来のスパッタリング法により形成した堆積膜の構造
を示している。
【図14】従来の改良したスパッタリング法の説明図で
あり、(A)はコリメータを用いたスパッタリング法を
示し、(B)はコンタクトホール中の堆積膜の構造を示
している。
【符号の説明】
1 ターゲット本体 2 コリメータ 3 真空チャンバ 4 サセプタ 5 ウェハ 6 ガス導入口 7 絶縁体 8 磁石 9 直流電源 10 排気ユニット 11 コリメータ 12 コリメータの一方向の板状体 13 コリメータの他方向の板状体 14 ターゲット粒子 15 コンタクトホール 16 第1の堆積膜 17 第2の堆積膜 181 ,182 駆動体 21 コリメータ 22 コリメータの一方向の板状体 23 コリメータの他方向の板状体 24 リング状枠体 25 駆動体 26 コリメータ側磁石 27 チャンバ壁 28 駆動用磁石 31 チャンバ 32 ターゲット 33 スパッタ粒子 34 コリメータ 35 シャッター 36 シャッター駆動手段 37 被堆積基板 38 排気手段 41 コリメータ 42 開口 a 開口の直径 b コリメータの厚さ 51 真空チャンバ 51T ターゲット側チャンバ 51S 基板側チャンバ 52 チタンターゲット 53 DC電源 54 基板ホルダ 55 ブロッキングコンデンサ 56 RF電源 57 半導体基板 58 ターゲット側コリメータ 59 基板側コリメータ 60 RF電源 61 ターゲット側排気系 62 基板側排気系 63 ターゲット側ガス導入管 64 基板側ガス導入管 71 チャンバ 72 ターゲット 73 コリメータ 74 コリメータ駆動手段 75 シャッター 76 シャッター駆動手段 77 被堆積基板 78,79 スパッタ粒子
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 細田 勉 神奈川県川崎市中原区上小田中1015番地 富士通株式会社内 (72)発明者 富樫 光浩 神奈川県川崎市中原区上小田中1015番地 富士通株式会社内

Claims (15)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ターゲット本体とコリメータが電気的に
    接続されていることを特徴とするスパッタリング用ター
    ゲット。
  2. 【請求項2】 ターゲット本体とコリメータが電気的に
    接続されているスパッタリング用ターゲットを有し、該
    スパッタリング用ターゲットが直流電源に接続されてい
    ることを特徴とするスパッタリング装置。
  3. 【請求項3】 ターゲット本体とコリメータが電気的に
    接続されて両者が同電位に保たれたスパッタリング用タ
    ーゲットを用い、スパッタリング空間のガス圧を10-3
    Torr未満にすることを特徴とするスパッタリング
    法。
  4. 【請求項4】 コリメータのアスペクト比が1以上であ
    ることを特徴とする請求項1から請求項3までのいずれ
    か1項に記載されたスパッタリング用ターゲット。
  5. 【請求項5】 ターゲット本体と被堆積基板の間に、板
    状体を格子状に組み合わせたコリメータを配置し、該コ
    リメータの板状体を傾斜させた状態で該コリメータを回
    転させてスパッタリングを行うことによって、スパッタ
    粒子に方向性を与え、該被堆積基板の開口内に堆積膜を
    形成することを特徴とするスパッタリング法。
  6. 【請求項6】 ターゲット本体と被堆積基板の間に、ス
    パッタ粒子に方向性を与えるための板状体を格子状に組
    み合わせたコリメータが配置され、該コリメータの板状
    体を傾斜させる手段と、該コリメータを回転させる手段
    を有することを特徴とするスパッタリング装置。
  7. 【請求項7】 コリメータの開口の径をスパッタ粒子の
    平均自由行程の5倍以内にし、該コリメータの開口の深
    さをスパッタ粒子の平均自由行程の5倍以上にし、スパ
    ッタ粒子の平均自由行程を調節することによって、該コ
    リメータ自体にスパッタ粒子を遮断するシャッター機能
    をもたせることを特徴とするスパッタリング装置。
  8. 【請求項8】 コリメータのアスペクト比を1以上に
    し、スパッタリング空間のガス圧を20mTorr以上
    にすることにより、コリメータ自体にスパッタ粒子を遮
    断するシャッター機能をもたせることを特徴とする請求
    項7に記載されたスパッタリング装置。
  9. 【請求項9】 ターゲット本体と被堆積基板の間に、ス
    パッタ粒子に方向性を与えるための、ターゲット側コリ
    メータと被堆積基板側コリメータが配置され、該ターゲ
    ット側コリメータは接地され、該被堆積基板側コリメー
    タにはプラズマを発生させるための高周波電圧が印加さ
    れることを特徴とするスパッタリング装置。
  10. 【請求項10】 ターゲット側コリメータにより、被堆
    積基板側コリメータによって生成される高周波電界を遮
    蔽することを特徴とする請求項9に記載されたスパッタ
    リング装置。
  11. 【請求項11】 ターゲット本体とターゲット側コリメ
    ータの間の空間と、被堆積基板と被堆積基板側コリメー
    タの間の空間を独立に排気する機構を有し、それぞれの
    空間に異なるガスを導入し、それぞれの空間でガス分圧
    が異なるプラズマを生成することを特徴とする請求項9
    に記載されたスパッタリング装置。
  12. 【請求項12】 ターゲット本体のスパッタリングをD
    Cマグネトロンスパッタリングで行い、被堆積基板にブ
    ロッキングコンデンサーを介してRF電圧を印加するこ
    とを特徴とする請求項9に記載されたスパッタリング装
    置。
  13. 【請求項13】 ターゲット本体と被堆積基板の間の空
    間に移動し、あるいは、該空間から退避することができ
    るコリメータを有することを特徴とするスパッタリング
    装置。
  14. 【請求項14】 ターゲット本体と被堆積基板の間の空
    間に移動し、あるいは、該空間から退避することができ
    るコリメータと、該ターゲット本体と被堆積基板の間の
    空間に移動し、あるいは、該空間から退避することがで
    きるシャッターを有することを特徴とするスパッタリン
    グ装置。
  15. 【請求項15】 コリメータをターゲット本体と被堆積
    基板の間の空間に移動してスパッタリングを行い、該コ
    リメータを該空間から退避させてスパッタリングを行う
    ことによって、カバレージよく、かつ、高い堆積速度で
    堆積膜を形成することを特徴とするスパッタリング法。
JP17890093A 1992-09-11 1993-07-20 スパッタリング用ターゲットおよびそれを用いたスパッタリング装置とスパッタリング法 Withdrawn JPH06136527A (ja)

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