JPH07292039A - β−ケトエステル基含有含フッ素共重合体 - Google Patents

β−ケトエステル基含有含フッ素共重合体

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JPH07292039A
JPH07292039A JP8893694A JP8893694A JPH07292039A JP H07292039 A JPH07292039 A JP H07292039A JP 8893694 A JP8893694 A JP 8893694A JP 8893694 A JP8893694 A JP 8893694A JP H07292039 A JPH07292039 A JP H07292039A
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JP
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fluorine
chemical formula
chemical
carbon atoms
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JP8893694A
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English (en)
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Toru Ishida
徹 石田
Shunichi Kodama
俊一 児玉
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AGC Inc
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Asahi Glass Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【構成】同一分子中にβ−ケトエステル基と水酸基を併
有する含フッ素共重合体およびそれを含む塗料用組成
物。 【効果】本発明のβ−ケトエステル基を有する含フッ素
共重合体およびそれを含む塗料用組成物は、あらゆるタ
イプの顔料、例えば酸化チタンや銅・クロム系の組み合
わせのように顔料の表面の性質が大きく異なるような顔
料を用いて調色を行っても非常に優れた顔料分散性を示
し、加えて基材との密着性にも優れているので各種の塗
料用に好適である。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、β−ケトエステル基含
有含フッ素共重合体およびそれを用いた塗料用組成物に
関する。
【0002】
【従来の技術】本出願人は、特開昭57−34107
号、特開昭58−136662号公報に示されるよう
に、フルオロオレフィン、シクロヘキシルビニルエーテ
ル、アルキルビニルエーテルおよびヒドロキシアルキル
ビニルエーテルの共重合体が、メラミン、イソシアネー
ト等の硬化剤により、室温および焼付け硬化が可能であ
り、光沢に富む耐溶剤性、耐薬品性、撥水性に優れた耐
候性塗膜を与えることを既に見いだしている。しかしな
がらポリエステルやアルキッド樹脂などと比較した場
合、極性が低い分顔料との親和性や基材との密着性、リ
コート補修性などの点で必ずしも充分とはいえない場合
があった。
【0003】このような問題点を解決するべく、顔料と
の親和性や基材との密着性の良い官能基を導入した溶剤
可溶型フッ素樹脂を塗料として用いるという方法も提案
されている。特開昭61−141713号公報にはフル
オロオレフィン、ビニルエーテルおよび特定の有機ケイ
素化合物を共重合したフッ素樹脂が提案されているが、
この樹脂を用いた塗料も、顔料との親和性や基材との密
着性は不充分であるうえに貯蔵安定性が著しく悪いとい
う欠点があった。
【0004】また特開平2−41350号公報にはOH
基、アミノ基を併せ有するフッ素樹脂が提案されている
が、この樹脂はカーボンブラックなどの酸性表面を持つ
顔料との親和性は良いが、逆に塩基性の表面を持つ顔料
とは親和性が悪く、複数の顔料を混練りして調色する場
合には色分かれを起こしやすい。またアミノ基が重合時
に存在することによりワニスが著しく着色してしまった
り、重合反応が阻害されるなど多くの問題点があった。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、従来技術が
有していた前述のような欠点を解決し、顔料との親和性
や基材との密着性、リコート補修性などの点に優れ、か
つフッ素樹脂塗料が本来有する光沢や鮮映性、撥水性の
持続力を充分発揮させる塗料用組成物を提供しようとす
るものである。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明は前述の問題点を
解決すべくなされたものであり、鋭意検討を重ねた結
果、特定のβ−ケトエステル基を含有する含フッ素共重
合体からなる塗料用組成物が、顔料との親和性や基材と
の密着性、リコート補修性などの点に優れることを見い
だすに及んで本発明を完成させるに至った。
【0007】本発明のβ−ケトエステル基含有含フッ素
共重合体は、化5で表されるフッ素を含有する重合単
位、化6で表されるβ−ケトエステル基を含有する重合
単位、化7で表されるビニル系重合単位および化8で表
される水酸基を有する重合単位を含有し、化5、化6、
化7および化8で表される重合単位の重合割合が化5で
表される重合単位100モルに対して化6、化7および
化8で表される重合単位がそれぞれ1〜100モル、0
〜150モルおよび1〜100モルであるβ−ケトエス
テル基含有含フッ素共重合体である(ただし、化5、化
6、化7および化8において、Xは水素、フッ素、塩
素、トリフルオロメチル基または炭素数1〜3のパーフ
ルオロアルコキシ基を表す。R1 は水素またはメチル基
を表す。kは0または1を表す。hは0または1を表
す。R2 は炭素数2〜10の非置換あるいはフッ素置換
の直鎖状、分岐状または脂環状のアルキレン基、R3
4 、R5 はそれぞれ同一または異なる水素または炭素
数1〜3のアルキル基を表す。R6 は水素またはメチル
基を表す。mは0または1を表す。nは0または1を表
す。R7 は炭素数1〜12の非置換あるいはフッ素置換
の直鎖状、分岐状または脂環状のアルキル基を表す。R
8 は水素またはメチル基を表す。pは0または1を表
す。qは0または1を表す。R9 は炭素数1〜12の非
置換あるいはフッ素置換の直鎖状、分岐状または脂環状
のアルキレン基を表す。)。
【0008】
【化5】
【0009】
【化6】
【0010】
【化7】
【0011】
【化8】
【0012】本発明のβ−ケトエステル基含有含フッ素
共重合体において、化5の重合単位は、CF2 =CFX
(ただし、Xは水素、フッ素、塩素、トリフルオロメチ
ル基または炭素数1〜3のパーフルオロアルコキシ基を
表す。)で表される単量体を共重合することにより得る
ことができる。
【0013】化5の重合単位はβ−ケトエステル基を含
有する含フッ素共重合体中に40〜60モル%含まれて
いることが好ましい。この範囲よりも少ない場合には、
塗料ベースとして使用した場合に、充分な耐候性が得ら
れず、好ましくない。また、多すぎると、各種溶剤に対
する溶解性が低下し、塗料ベースまたは塗料添加剤とし
ての使用が難しくなる。
【0014】CF2 =CFXで表される単量体として
は、テトラフルオロエチレン、クロロトリフルオロエチ
レン、トリフルオロエチレン、ヘキサフルオロプロピレ
ンなどの炭素数2〜3程度のフルオロオレフィンまたは
パーフルオロ(プロピルビニルエーテル)などが挙げら
れる。好ましいものは、テトラフルオロエチレン、クロ
ロトリフルオロエチレン、トリフルオロエチレンであ
る。
【0015】化6で表されるβ−ケトエステル基を含有
する重合単位は、化12で表される単量体(R1 は水素
またはメチル基を表す。kは0または1を表す。hは0
または1を表す。R2 は炭素数2〜10の非置換あるい
はフッ素置換の直鎖状、分岐状または脂環状のアルキレ
ン基、R3 、R4 、R5 はそれぞれ同一または異なる水
素または炭素数1〜3のアルキル基を表す。)を共重合
することにより得ることができ、その単量体は化9で表
されるジケテン化合物(R3 、R4 、R5 はそれぞれ同
一または異なる水素または炭素数1〜3のアルキル基を
表す。)と化10で表される水酸基含有単量体(R1
水素またはメチル基を表す。kは0または1を表す。h
は0または1を表す。R2 は炭素数2〜10、好ましく
は炭素数2〜8の非置換あるいはフッ素置換の直鎖状、
分岐状または脂環状のアルキレン基)とを反応させる方
法により、または化10で表される水酸基含有単量体と
化11で表される2−アシルアルカン酸エステル化合物
(R3 、R4 、R5 、R10はそれぞれ同一または異なる
水素または炭素数1〜3のアルキル基を表す。)とを反
応させる方法などにより得ることができる。
【0016】また、かかる反応は、塩基性物質あるいは
酸性物質の存在下で行わしめることにより、円滑に反応
を進行させることもできる。ここで塩基性物質として
は、トリエチルアミン、ピリジン、ジメチルアニリン、
水酸化ナトリウム、水酸化カリウムなどが、また酸性物
質としては硫酸、硝酸、パラトルエンスルホン酸ナトリ
ウムなどが例示される。
【0017】2−アシルアルカン酸エステル化合物とし
ては、アセト酢酸メチル、アセト酢酸エチル、アセト酢
酸プロピル、アセト酢酸第三ブチル、2−アセトエタン
酸エチル、2−エタノイル酢酸メチルなどが例示され
る。
【0018】化6で表されるβ−ケトエステル基を含有
する重合単位は化5で表される重合単位100モルに対
して1〜100モル、好ましくは1〜20モル、更に好
ましくは1〜10モルとなる共重合割合である。
【0019】
【化9】
【0020】
【化10】
【0021】
【化11】
【0022】
【化12】
【0023】ここで水酸基含有単量体としては、一級の
水酸基または二級の水酸基のどちらか一方または両方を
持つ単量体であり、ヒドロキシメチルビニルエーテル、
2−ヒドロキシエチルビニルエーテル、3−ヒドロキシ
プロピルビニルエーテル、4−ヒドロキシブチルビニル
エーテル、3−ヒドロキシブチルビニルエーテル、5−
ヒドロキシペンチルビニルエーテル、6−ヒドロキシヘ
キシルビニルエーテル、9−ヒドロキシノニルビニルエ
ーテル、1,4−シクロヘキサンジメタノールビニルエ
ーテル、1,4−シクロヘキサンジエタノールビニルエ
ーテルなどのビニルエーテル類が挙げられる。
【0024】また、ヒドロキシメチルイソプロペニルエ
ーテル、2−ヒドロキシエチルイソプロペニルエーテ
ル、3−ヒドロキシプロピルイソプロペニルエーテル、
4−ヒドロキシブチルイソプロペニルエーテル、3−ヒ
ドロキシブチルイソプロペニルエーテル、5−ヒドロキ
シペンチルイソプロペニルエーテル、6−ヒドロキシヘ
キシルイソプロペニルエーテル、9−ヒドロキシノニル
イソプロペニルエーテル、1,4−シクロヘキサンジメ
タノールモノイソプロペニルエーテル、1,4−シクロ
ヘキサンジエタノールモノイソプロペニルエーテルなど
のイソプロペニルエーテル類が挙げられる。
【0025】また、アリルアルコール、2−アリロキシ
−1−エタノール、3−アリロキシ−1−プロパノー
ル、3−アリロキシ−2−プロパノール、4−アリロキ
シ−1−ブタノール、5−アリロキシ−1−ヘプタノー
ル、6−アリロキシ−1−ヘキサノール、3−アリロキ
シプロパン−1、2−ジオール、ジエチレングリコール
モノアリルエーテル、シクロヘキサンジメタノールモノ
アリルエーテルなどのアリルエーテル類等が挙げられ
る。
【0026】化7で表されるビニル系重合単位は化13
で表されるビニル系単量体(R6 は水素またはメチル基
を表す。mは0または1を表す。nは0または1を表
す。R7 は炭素数1〜12、好ましくは炭素数2〜8の
非置換あるいはフッ素置換の直鎖状、分岐状または脂環
状のアルキル基を表す。)を共重合することによって得
ることができる。ここでビニル系重合単位の共重合割合
は化5で表される重合単位100モルに対して0〜15
0モル、好ましくは1〜40モルとなる割合である。共
重合割合が少ないと塗膜の性質が充分なものとならず、
多すぎると、塗膜の耐候性などが低下することがあり好
ましくない。
【0027】
【化13】
【0028】化13で表されるビニル系単量体として
は、メチルビニルエーテル、エチルビニルエーテル、プ
ロピルビニルエーテル、ブチルビニルエーテル、シクロ
ヘキシルビニルエーテルなどのビニルエーテル類;メチ
ルイソプロペニルエーテル、エチルイソプロペニルエー
テル、プロピルイソプロペニルエーテル、ブチルイソプ
ロペニルエーテル、シクロヘキシルイソプロペニルエー
テルなどのイソプロペニルエーテル類;酢酸ビニル、プ
ロピオン酸ビニル、酪酸ビニル、カプロン酸ビニル、カ
プリル酸ビニル、ステアリン酸ビニル、酢酸イソプロペ
ニル、プロピオン酸イソプロペニル、酪酸イソプロペニ
ルなどの直鎖状のカルボン酸ビニルまたはカルボン酸イ
ソペニル類;エチルアリルエーテル、プロピルアリルエ
ーテル、ブチルアリルエーテル、イソブチルアリルエー
テルなどのアリルエーテル類;エチルアリルエステル、
プロピルアリルエステル、ブチルアリルエステル、イソ
ブチルアリルエステル、シクロヘキシルアリルエステル
などのアルキルアリルエステル類などが挙げられる。
【0029】なかでも、特にビニルエーテル類、イソプ
ロぺニルエーテル類が前記CF2 =CFXで表される単
量体との交互共重合性が良く好ましい。
【0030】また、本発明における化8で表される水酸
基を有する重合単位は化14(R8は水素またはメチル
基を表す。pは0または1を表す。qは0または1を表
す。R9 は炭素数1〜12の非置換あるいはフッ素置換
の直鎖状、分岐状または脂環状のアルキレン基を表
す。)で表される水酸基含有単量体を共重合することに
よって得ることができる。ここで水酸基を有する重合単
位の共重合割合は化5で表される重合単位100モルに
対して1〜100モル、好ましくは5〜20モルとなる
割合である。共重合割合が少ないと硬化剤との相溶性が
充分でなく、また多すぎると溶剤に対する溶解性が充分
でなくなるため望ましくない。
【0031】
【化14】
【0032】本発明のβ−ケトエステル基含有含フッ素
共重合体は、前記CF2 =CFXで表される単量体、化
12で表される単量体および化10で表される単量体を
共重合することにより得ることができる。必要により化
13で表されるビニル系単量体をさらに共重合させるこ
とができる。
【0033】また、前記CF2 =CFXで表される単量
体と化10で表される単量体を共重合させて得られる水
酸基含有含フッ素共重合体に化9で表されるジケテン化
合物または化11で表される2−アシルアルカン酸エス
テル化合物を共重合させることによってもβ−ケトエス
テル基含有含フッ素共重合体を得ることができる。
【0034】水酸基含有含フッ素共重合体とジケテン化
合物との反応は、塩基性物質の存在下に行うと反応が円
滑に進行するため好ましい。かかる塩基性物質として
は、トリエチルアミン、ピリジン、ジメチルアニリン、
水酸化ナトリウム、水酸化カリウムなどが例示される。
また反応は水酸基含有含フッ素共重合体を溶解する溶媒
中で、30〜70℃にて2〜5時間程度撹拌することに
より達成される。ここで、前記溶媒としては、キシレ
ン、トルエンなどが例示される。
【0035】水酸基含有含フッ素共重合体とジケテン化
合物との反応モル比は、0.01〜1.0の割合で行う
ことが好ましい。この割合が低すぎるとβ−ケトエステ
ル基の生成量が少なく、生成重合体に良好な諸物性を与
えることができない。また過剰にジケテン化合物を使用
すると、反応後未反応物や副生成物の除去が煩雑になり
好ましくない。
【0036】水酸基含有含フッ素共重合体と2−アシル
アルカン酸エステル化合物との反応は、溶液中で塩基性
物質あるいは酸性物質の存在下/または非存在下に40
〜160℃程度の温度範囲で10分〜5時間程度撹拌し
ながら反応させることにより達成される。2−アシルア
ルカン酸エステル化合物と水酸基含有含フッ素共重合体
のモル比は、0.01〜1.0の割合で行うことが好ま
しい。この割合が低すぎるとβ−ケトエステル基の生成
量が少なく、生成重合体に良好な諸物性を与えることが
できない。また過剰に2−アシルアルカン酸エステル化
合物を使用すると、反応後未反応物や副生成物の除去が
煩雑になり好ましくない。
【0037】また、本発明における含フッ素共重合体
は、未架橋状態でテトラヒドロフラン中30℃における
固有粘度(以下、[η]という)が、0.05〜2.0
dl/gのものが好ましい。[η]が上記範囲より小さ
いものは、塗膜の強度が得られ難く、また大きいもの
は、塗料化、塗装作業性等が悪く、好ましくない。特
に、[η]が0.1〜1.5dl/gのものが好まし
い。
【0038】上記のごとき共重合体は、所定割合の単量
体混合物に重合触媒の共存下、あるいは非共存下に、重
合開始剤あるいは電離性放射線などの重合開始源を作用
せしめて共重合反応を行わしめることによって製造可能
である。ここで、重合開始剤としては、重合形式あるい
は重合媒体に応じて、水溶性のものあるいは油溶性のも
のが適宜使用可能である。
【0039】具体的には、水溶性開始剤としては、過硫
酸カリウムのごとき過硫酸塩、過酸化水素あるいはこれ
らと亜硫酸水素ナトリウム、チオ硫酸ナトリウムのごと
き還元剤からなるレドックス開始剤、さらにはこれらに
少量の鉄、第一鉄塩、硝酸銀等を共存させた系等の無機
系開始剤、またはジコハク酸パーオキシド、ジグルタル
酸パーオキシド、モノコハク酸パーオキシドのごとき二
塩基酸酸化物、アゾビスイソブチルアミジン二塩基酸塩
等の有機系開始剤が、また、油溶性開始剤としては、t
−ブチルパーオキシアセテートのごときパーオキシエス
テル型過酸化物、ジイソプロピルパーオキシジカーボネ
ートのごときジアルキルパーオキシジカーボネート、ベ
ンゾイルパーオキシド、アゾビスイソブチロニトリル等
が例示される。
【0040】重合開始剤の使用量は、種類、共重合反応
条件に応じて適宜変更可能であるが、通常は共重合され
るべき単量体全量に対して、0.05〜0.5重量%程
度が採用される。
【0041】上記共重合反応に際して、反応形式として
は特に限定されることはなく、塊状重合、懸濁重合、乳
化重合、溶液重合等が採用し得るが、重合操作の安定
性、生成共重合体の分離の容易性等から、水性媒体中で
の乳化重合あるいはt−ブタノール等のアルコール類、
エステル類、1個以上のフッ素原子を含む飽和ハロゲン
化炭化水素類、キシレン等の芳香族炭化水素等を溶媒と
する溶液重合等が好ましく採用される。
【0042】なお、水性媒体中で共重合反応を行わせる
場合には、塩基性緩衝剤を添加して、重合中の液のpH
値が4、好ましくは6を下回らないようにすることが好
ましい。溶液重合による場合にも塩基性物質の添加は有
効である。
【0043】また、これらの方法は回分式、半連続式、
連続式等の操作によって行い得ることはもちろんであ
る。かかる共重合反応に際して、共重合反応温度は−3
0℃〜+150℃の範囲内で重合開始剤、重合媒体等の
種類等に応じて、適宜最適値が選定されるが、水性媒体
中で共重合反応を行わせる場合には、0℃〜+100
℃、好ましくは10℃〜90℃程度が採用され得る。ま
た、反応圧力は、適宜選定可能であるが、通常は、1〜
100kg/cm2 、特に、2〜50kg/cm2程度
を採用するのが望ましい。
【0044】また、生成共重合体の[η]を前記範囲に
抑えるために、連鎖移動定数の比較的大きい反応媒体を
使用したり、適宜連鎖移動剤の共存下に共重合反応を行
わしめることが好ましい。
【0045】本発明のβ−ケトエステル基含有含フッ素
共重合体を用いた塗料用組成物は顔料に対する親和性が
極めて良好であり、しかも顔料の表面のpHが酸性であ
っても塩基性であっても問題なく分散することができ
る。顔料の配合割合は広い範囲から選択可能であり、含
フッ素共重合体100重量部当り顔料を10〜600重
量部、好ましくは50〜500重量部程度である。
【0046】かかる顔料の代表的なものとしては、酸化
チタン、亜鉛華、カーボンブラック、鉄黒、銅クロムブ
ラック、銅・鉄・マンガンブラック、黄鉛、カドニウム
イエロー、オーカー、チタンイエロー、ジンクロメー
ト、弁柄、亜鉛・鉄ブラウン、カドニウムレッド、クロ
ムバーミリオン、マンガンバイオレッド、紺青、群青、
コバルトブルー、クロムグリーン、酸化クロムグリー
ン、チタン・コバルト・ニッケル・亜鉛グリーン、ビリ
シアン、エメラルドグリーン、コバルトグリーン、カオ
リン、ベントナイト、シリカホワイト、アルミナホワイ
ト、石膏、白亜、沈降性炭酸カルシウム、沈降性硫酸バ
リウム、もしくはバライトのごとき無機系の顔料;β−
ナフトール系、β−オキシナフトエ酸系、ナフトールA
S系、フタロシアニン系、アントラキノン系、インジコ
系、ベレリン系、ベリノン系、ジオキサジン系、キナク
リドン系、イソインドリノン系、金属錯塩系、フルオル
ビン系もしくはキノフタロン系のごとき有機系の顔料;
金粉末、銀粉末、真鍮粉末、銅粉末、アルミニウム粉末
のごとき金属粉末;鱗片状雲母に酸化チタン処理を施し
たものなどが挙げられる。
【0047】本発明の塗料用組成物は、上記顔料を単独
で分散した場合の分散性が優れているのはもちろんのこ
と、複数の異なる顔料を使用し、微妙な調色を施したい
場合であっても塗膜の色分かれ、シルキング、浮きなど
の問題が生じることがない。
【0048】本発明の塗料用組成物に含有される硬化剤
としては、本発明の含フッ素共重合体の水酸基および/
またはβ−ケトエステル基と反応し得る基を有し、良好
な硬化体を与えるものが採用される。かかる硬化剤とし
ては、ポリイソシアネート系、アミノプラスト、多塩基
酸無水物、金属アルコキシドなどを挙げることができ
る。
【0049】ポリイソシアネート系としては、ヘキサメ
チレンジイソシアネートやイソホロンジイソシアネート
などのポリイソシアネート化合物、メチルシリルトリイ
ソシアネートなどのシリルイソシアネート化合物や、こ
れらの部分縮合物、多量体や、イソシアネート基をフェ
ノールなどのブロック化剤でブロックしたブロックポリ
イソシアネート化合物などが例示される。特に無黄変タ
イプのものが好ましく採用される。
【0050】アミノプラストとしては、メラミン樹脂、
グアナミン樹脂、尿素樹脂などが採用される。中でもメ
タノール、エタノール、プロパノール、ブタノールなど
の低級アルコールの1種または2種以上により少なくと
も部分的にエーテル化されたメチロールメラミンが採用
される。
【0051】多塩基酸無水物としては、無水フタル酸、
トリメリット酸無水物の芳香族多価カルボン酸無水物や
無水マレイン酸、無水コハク酸などの脂肪族多価カルボ
ン酸などが例示される。
【0052】本発明の塗料用組成物に含有される各成分
の配合量は適宜選定することが可能であるが、耐候性な
ど本発明の含フッ素共重合体のもつ優れた塗膜性能を損
なわないためには、含フッ素共重合体100重量部当
り、硬化剤が0.5〜300重量部、好ましくは5.0
〜100重量部である。
【0053】本発明の塗料用組成物は、上記2成分の他
に必要に応じ各種添加剤などが含まれていてもよい。か
かる添加剤としては、溶剤、合成樹脂、硬化触媒、ドラ
イヤー、熱安定剤、レベリング剤、滑剤、顔料、染料、
粘度調節剤、分散安定剤、紫外線吸収剤、ゲル化防止剤
などが挙げられる。
【0054】特に、紫外線吸収剤が添加されていると、
透明な塗膜としたときにも基材の保護効果が充分に発揮
され好ましい。かかる紫外線吸収剤としては、通常塗料
に配合され得る紫外線吸収剤の全てが使用可能であり、
例えば、フェニルサリシレート系、ベンゾトリアゾール
系、ベンゾフェノン系などの紫外線吸収剤が使用可能で
ある。また、反応性を有する紫外線吸収剤を用いること
により、その効果を長期にわたって発揮させることも可
能である。紫外線吸収剤は、含フッ素共重合体100重
量部当り、0.01〜50重量部程度、特に、0.1〜
30重量部程度の範囲で使用することが好ましい。
【0055】また、本発明の含フッ素共重合体を有機溶
剤に溶解または分散する場合、かかる溶剤としては、キ
シレン、トルエンなどの芳香族炭化水素類、n−ブタノ
ールなどのアルコール類、酢酸ブチルなどのエステル
類、メチルイソブチルケトンなどのケトン類、エチルセ
ルソルブグリコールエーテル類などに加えて市販の各種
シンナーも採用可能であり、これらを種々の割合で混合
して使用することも可能である。
【0056】また、本発明の含フッ素共重合体と他の比
較的屈折率の高い合成樹脂をブレンドして塗料用組成物
とした場合、含フッ素共重合体の本来有する耐候性や耐
薬品性、非粘着性を損なわない範囲の割合であれば光沢
の向上などを達成することができる。
【0057】本発明の含フッ素共重合体と他の合成樹脂
をブレンドして塗料用組成物とした場合、含フッ素共重
合体100重量部当り他の合成樹脂を1〜80重量部程
度、特に5〜70重量部程度配合して塗料用組成物とす
ることが好ましい。他の合成樹脂の配合量が上記範囲よ
りも多いと、塗膜に含フッ素共重合体の本来有する優れ
た諸性能を付与することができず、また上記範囲より少
なく配合すると光沢の向上などの目的を達成することは
できない。
【0058】ここで、他の合成樹脂としては、アクリル
系、ウレタン系、フッ素系、フェノール系、エポキシ
系、シリコーン系などの一般の合成樹脂が採用される。
【0059】本発明の塗料用組成物の調合に際しては、
ボールミル、サンドミル、ジェットミル、ニーダー、三
本ロール、ペイントシェーカーなどの通常樹脂組成物の
調合等に用いられる種々の調合機を用いることができ
る。
【0060】本発明の塗料用組成物を塗料用として利用
する場合には、金属、木材、無機質基材、プラスチック
のごとき各種の素材あるいは加工品にスプレー塗装、刷
毛塗り、ローラー塗りまたはロールコーターによる塗装
などの塗装方法のほか、溶剤を含まない粉体塗料として
静電塗装することも可能である。
【0061】また、本発明の含フッ素共重合体が配合さ
れた塗料による上塗り塗装が施された車両用外板は、耐
候性、撥水性、耐汚染性、耐薬品性、非粘着性などの優
れた塗膜性能が長期にわたって持続するため、洗浄、ワ
ックスがけといった作業を軽減せしめることができる。
【0062】また、本発明の含フッ素共重合体が配合さ
れた塗料による塗装が施されたPCM用鋼板は、耐候
性、基材との密着性、耐汚染性、耐薬品性に優れている
ため、建築用外装材、家電製品用鋼板などとして好適で
ある。
【0063】
【実施例】以下に実施例および比較例を掲げて本発明を
具体的に説明するが、かかる実施例・比較例によって、
本発明は何ら限定されるものではない。
【0064】[水酸基を有する含フッ素共重合体の合成
例1]内容積2000mlのステンレス製撹拌機付きオ
ートクレーブ中に、シクロヘキシルビニルエーテル25
3g、4−ヒドロキシブチルビニルエーテル58gと、
トルエン175g、t−ブタノール992g、t−ブチ
ルパーオキシピバレート2.1g、炭酸カリウム10.
6gを仕込み、氷で冷却して窒素ガスを5.0kg/c
2 になるように加圧し脱気する。この加圧脱気を2回
繰り返した後120mmHgまで脱気して溶存酸素を除
去した後、窒素ガスを2.0kg/cm2 になるように
加圧した後、テトラフルオロエチレンを7.0kg/c
2 になるまで仕込み、その後この圧力を保ったまま全
部で251gになるようにテトラフルオロエチレンをフ
ィードし65℃で24時間反応を行い、不揮発分が31
%である目的共重合体を得た。このものの固有粘度は
0.3であった。以下、この共重合体を(A−1)と略
記する。
【0065】[水酸基を有する含フッ素共重合体の合成
例2]内容積2000mlのステンレス製撹拌機付きオ
ートクレーブ中に、シクロヘキシルビニルエーテル11
6g、エチルビニルエーテル74g、4−ヒドロキシブ
チルビニルエーテル107gと、キシレン863g、エ
タノール283g、アゾビスイソブチロニトリル1.1
g、炭酸カリウム6.6gを仕込み、氷で冷却して窒素
ガスを5.0kg/cm2 になるように加圧し脱気す
る。この加圧脱気を2回繰り返した後120mmHgま
で脱気して溶存酸素を除去した後、クロロトリフルオロ
エチレン335gを仕込み、65℃で24時間反応を行
った。不揮発分が34%である目的共重合体を得た。こ
のものの固有粘度は0.1であった。以下、この共重合
体を(A−2)と略記する。
【0066】[水酸基を有する含フッ素共重合体の合成
例3、6、9]単量体の仕込組成が表1に示されるとう
りである他は、合成例1と同様な方法によって水酸基を
有する含フッ素共重合体を合成した。以下、これらを
(A−3)、(A−6)、(A−9)と略記する。
【0067】[水酸基を有する含フッ素共重合体の合成
例4、5、7、8]単量体の仕込組成が表1に示される
とうりである他は、合成例2と同様な方法によって水酸
基を有する含フッ素共重合体を合成した。以下、これら
を(A−4)、(A−5)、(A−7)、(A−8)と
略記する。
【0068】表2に、13C−NMRによって測定した水
酸基を有する含フッ素共重合体(A−1)〜(A−9)
の共重合体組成(モル比)、固有粘度を示す。
【0069】[β−ケトエステル基を有する単量体の合
成例1]撹拌機、滴下ロート、温度計つきの500ml
三つ口フラスコに4−ヒドロキシブチルビニルエーテル
100g(0.86モル)、トリエチルアミン0.87
g(0.0085モル)、およびキシレン150gを入
れ、撹拌下に化15のジテン化合物79.5g(0.9
5モル)のキシレン100g溶液を室温にて滴下する。
【0070】滴下終了後、室温で3時間撹拌を続けた
後、反応物を減圧蒸留し、下記化16のアセト酢酸ビニ
ロキシブチルエステルを単離収率85%で得た。この単
量体をAAVE−1と略記する。
【0071】
【化15】
【0072】
【化16】
【0073】[β−ケトエステル基を有する単量体の合
成例2]撹拌機、滴下ロート、温度計つきの500ml
三つ口フラスコに1,4−シクロヘキサンジメタノール
モノビニルエーテル136g(0.80モル)、アセト
酢酸t−ブチルエステル126g(0.80モル)を入
れ、撹拌下に140℃で30分反応させる。
【0074】反応終了後、反応物を減圧蒸留し、下記化
17のアセト酢酸エステルを単離収率80%で得た。こ
の単量体をAAVE−2と略記する。
【0075】
【化17】
【0076】[β−ケトエステル基含有含フッ素共重合
体の合成例1]水酸基含有含フッ素共重合体A−1のキ
シレン溶液(重合体100g)に前述のジケテン化合物
1.4g(ジケテン/OH基=0.1)およびトリエチ
ルアミン0.017gを加え、65℃で3時間撹拌しな
がら反応させた。赤外吸収スペクトルにより反応の進行
を追跡したところ、3300cm-1の水酸基が減少し、
1735cm-1、1645cm-1および1715cm-1
にβ−ケトエステル基[カルボニル基(ケト型)、カル
ボニル基(エノール型)およびエステル基]の特性吸収
が生成していることから、反応が終了し、β−ケトエス
テル基含有含フッ素共重合体が生成していることが確認
された。以下、このβ−ケトエステル基含有含フッ素共
重合体をB−1と略記する。
【0077】[β−ケトエステル基含有含フッ素共重合
体の合成例2]水酸基含有含フッ素共重合体A−2のキ
シレン溶液(重合体100g)にアセト酢酸t−ブチル
エステル8.0g(アセト酢酸t−ブチルエステル/O
H基=0.5)を加え、140℃で20分間撹拌しなが
ら反応させた。赤外吸収スペクトルにより反応の進行を
追跡したところ、3300cm-1の水酸基が減少し、1
735cm-1、1645cm-1および1715cm-1
β−ケトエステル基[カルボニル基(ケト型)、カルボ
ニル基(エノール型)およびエステル基]の特性吸収が
生成していることから、反応が終了し、β−ケトエステ
ル基含有含フッ素共重合体が生成していることが確認さ
れた。以下、このβ−ケトエステル基含有含フッ素共重
合体をB−2と略記する。
【0078】[β−ケトエステル基を有する含フッ素共
重合体の合成例3〜9]合成例3〜9で得られた水酸基
含有含フッ素共重合体A−3〜9のキシレン溶液を用い
て、β−ケトエステル基を有する含フッ素共重合体の合
成例1〜2と同様の方法で反応させ、β−ケトエステル
基含有含フッ素共重合体B−3〜9を得た。
【0079】表3にB−1〜9のジケテン/OH基また
はアセト酢酸t−ブチルエステル/OH基の比率を示し
た。
【0080】[β−ケトエステル基を有する含フッ素共
重合体の合成例10]内容積260mlのステンレス製
撹拌機つきオートクレーブにキシレン98g、エタノー
ル28g、シクロヘキシルビニルエーテル11.2g、
エチルビニルエーテル6.4g、4−ヒドロキシブチル
ビニルエーテル5.8g、AAVE−1の10.1g、
t−ブチルパーオキシピバレート0.2g、炭酸カリウ
ム0.9gを仕込み、冷却脱気、窒素ガスによる加圧を
繰り返して溶存酸素を除去する。その後、クロロトリフ
ルオロエチレン34.6gをオートクレーブ中に導入し
65℃に昇温する。10時間後、圧力が0.2kg/c
2 に低下したところで反応を停止した。得られた反応
液の不揮発分は34%であった。このものの固有粘度は
0.09であった。このβ−ケトエステル基含有含フッ
素共重合体をB−10と略記する。
【0081】[β−ケトエステル基を有する含フッ素共
重合体の合成例11]内容積260mlのステンレス製
撹拌機つきオートクレーブにトルエン115g、エチル
ビニルエーテル21.6g、4−ヒドロキシブチルビニ
ルエーテル4.3g、AAVE−2の9.5g、t−ブ
チルパーオキシピバレート0.07gを仕込み、冷却脱
気、窒素ガスによる加圧を繰り返して溶存酸素を除去す
る。その後、クロロトリフルオロエチレン43.7gを
オートクレーブ中に導入し65℃に昇温する。10時間
後、圧力が0.2kg/cm2 に低下したところで反応
を停止した。得られた反応液の不揮発分は39%であっ
た。このものの固有粘度は0.32であった。このβ−
ケトエステル基含有含フッ素共重合体をB−11と略記
する。
【0082】[実施例1]共重合体B−1のキシレン溶
液92部(不揮発分60%)、酢酸ブチル36部、「タ
イペークCR−93」(石原産業社製のルチル型酸化チ
タン)200部よりなる混合物にガラスビーズを加え、
ペイントシェーカーで1時間分散して白色のミルベース
(C−1)を得た。
【0083】次に共重合体B−1のキシレン溶液92部
(不揮発分60%)、酢酸ブチル36部、「ダイピロキ
サイドカラーブラック#9510」(大日精華社製の銅
・クロム系顔料)200部よりなる混合物にガラスビー
ズを加え、ペイントシェーカーで1時間分散して黒色の
ミルベース(D−1)を得た。このD−1を1日放置し
ても顔料の沈降は見られず、優れた分散安定性を示し
た。
【0084】次いで、C−1を100部、D−1を10
0部、共重合体A−1のキシレン溶液(不揮発分60
%)を406部混合して、不揮発分が45.7%でPW
C(顔料重量濃度)が43PHR であるグレーの塗料(C
D−1)を得た。
【0085】しかる後、この塗料CD−1を厚さ0.8
mmのアルミ板にバーコーターで流し塗りし、30分間
室温で放置後、塗装面の一部をブラシで直径3cm程の
円を描くようにこねた。この後1昼夜乾燥させて試験塗
膜を得た。
【0086】この試験塗膜についてシルキングの程度を
目視で判定し、またブラシでこねた部分と他の部分の色
差(ΔE)を測定して顔料の色分かれ性の評価を行っ
た。その結果、シルキングの判定は「◎」であり、色差
(ΔE)も0.3と極めて良好な値を得た。ここで色差
(ΔE)は小さい数値ほど分散性が良好であることを示
す。また、シルキングは流し塗りしたときに見られる筋
状の色むらであり、その程度は以下の判定基準で示し
た。
【0087】◎:色むらがまったく見られない。○:極
めて微細な縦縞模様が見られる。△:微細な縦縞模様が
見られる。×:明確な縦縞模様が見られる。
【0088】[実施例2〜11]用いた共重合体がB−
2〜11で、表3に示す顔料を用いた以外は、実施例1
と同様にして塗料CD−2〜11を調製し、それぞれ試
験塗膜を得た。これらのシルキングの評価と色差(Δ
E)の測定結果を表3に示す。
【0089】[比較例1]共重合体A−1のキシレン溶
液92部(不揮発分60%)、酢酸ブチル36部、「タ
イペークCR−93」(石原産業社製のルチル型酸化チ
タン)200部よりなる混合物にガラスビーズを加え、
ペイントシェーカーで1時間分散して白色のミルベース
(E−1)を得た。
【0090】次に共重合体A−1のキシレン溶液92部
(不揮発分60%)、酢酸ブチル36部、「ダイピロキ
サイドカラーブラック#9510」(大日精華社製の銅
・クロム系顔料)200部よりなる混合物にガラスビー
ズを加え、ペイントシェーカーで1時間分散して黒色の
ミルベース(F−1)を得た。
【0091】次いで、E−1を100部、F−1を10
0部、共重合体A−1のキシレン溶液(不揮発分60
%)を406部混合して、不揮発分が45.7%でPW
Cが43PHRであるグレーの塗料(EF−1)を得
た。
【0092】しかる後、この塗料EF−1を厚さ0.8
mmのアルミ板にバーコーターで流し塗りし、30分間
室温で放置後、塗装面の一部をブラシで直径3cm程の
円を描くようにこねた。この後1昼夜乾燥させて試験塗
膜を得た。
【0093】この塗膜のシルキングの評価と色差(Δ
E)の測定を行ったところ、シルキングも著しく、かつ
色差も1.6と極めて大きな値であり、分散安定性に劣
るものであることが確認された。結果を表3に示す。
【0094】[比較例2]用いた共重合体がA−2であ
る以外は比較例1と同様の方法で試験塗膜を作製し、シ
ルキングの評価と色差(ΔE)の測定を行った。結果を
表3に示す。
【0095】
【表1】
【0096】
【表2】
【0097】
【表3】
【0098】
【発明の効果】本発明のβ−ケトエステル基を有する含
フッ素共重合体およびそれを含む塗料用組成物は、あら
ゆるタイプの顔料、例えば酸化チタンや銅・クロム系の
組み合わせのように顔料の表面の性質が大きく異なるよ
うな顔料を用いて調色を行っても非常に優れた顔料分散
性を示し、加えて基材との密着性にも優れているので各
種の塗料用に好適である。

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】化1で表されるフッ素を含有する重合単
    位、化2で表されるβ−ケトエステル基を含有する重合
    単位、化3で表されるビニル系重合単位および化4で表
    される水酸基を有する重合単位を含有し、化1、化2、
    化3および化4で表される重合単位の重合割合が化1で
    表される重合単位100モルに対して化2、化3および
    化4で表される重合単位がそれぞれ1〜100モル、0
    〜150モルおよび1〜100モルであるβ−ケトエス
    テル基含有含フッ素共重合体(ただし、化1、化2、化
    3および化4において、Xは水素、フッ素、塩素、トリ
    フルオロメチル基または炭素数1〜3のパーフルオロア
    ルコキシ基を表す。R1 は水素またはメチル基を表す。
    kは0または1を表す。hは0または1を表す。R2
    炭素数2〜10の非置換あるいはフッ素置換の直鎖状、
    分岐状または脂環状のアルキレン基、R3 、R4 、R5
    はそれぞれ同一または異なる水素または炭素数1〜3の
    アルキル基を表す。R6 は水素またはメチル基を表す。
    mは0または1を表す。nは0または1を表す。R7
    炭素数1〜12の非置換あるいはフッ素置換の直鎖状、
    分岐状または脂環状のアルキル基を表す。R8 は水素ま
    たはメチル基を表す。pは0または1を表す。qは0ま
    たは1を表す。R9 は炭素数1〜12の非置換あるいは
    フッ素置換の直鎖状、分岐状または脂環状のアルキレン
    基を表す。)。 【化1】 【化2】 【化3】 【化4】
  2. 【請求項2】テトラヒドロフラン中30℃における固有
    粘度が0.05〜2.0dl/gである請求項1の含フ
    ッ素共重合体。
  3. 【請求項3】顔料と硬化剤を含む請求項1の含フッ素共
    重合体からなる塗料用組成物。
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Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
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