JPH07291955A - 新規抗生物質n1999a2 - Google Patents

新規抗生物質n1999a2

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JPH07291955A
JPH07291955A JP9237294A JP9237294A JPH07291955A JP H07291955 A JPH07291955 A JP H07291955A JP 9237294 A JP9237294 A JP 9237294A JP 9237294 A JP9237294 A JP 9237294A JP H07291955 A JPH07291955 A JP H07291955A
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JP
Japan
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antibiotic
culture
streptoverticillium
ncs
medium
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Application number
JP9237294A
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English (en)
Inventor
Masato Ishii
真人 石井
Toshihiko Ando
敏彦 安東
Takayuki Kajiura
貴之 梶浦
Toshiyuki Kameyama
俊之 亀山
Yukio Nihei
幸夫 二瓶
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Ajinomoto Co Inc
Original Assignee
Ajinomoto Co Inc
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【構成】 下記の式で表される抗生物質N1999A
2; 【化1】 ストレプトバーティシリウム(Streptoverticillium) 属
に属する抗生物質N1999A2生産菌を培地に培養
し、その培養物から抗生物質N1999A2を採取する
ことを特徴とする、抗生物質N1999A2の製造方
法;および抗生物質N1999A2を有効成分として含
む抗腫瘍剤。 【効果】 抗生物質N1999A2は抗腫瘍剤として有
用である。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、新規抗生物質、その製
造方法およびそれを有効成分として含む抗腫瘍剤に関す
る。
【0002】
【従来の技術】抗生物質ネオカルチノスタチン(以下、
「NCS」と称する)は、1965年石田らにより、放
線菌Streptomyces carzinostaticus var F-41 株の培養
上清から分離された。以来、その構造解析が精力的に行
われ、NCSは非タンパク質性の低分子であるクロモフ
ォア(以下、「NCS−Chr」と称する)とタンパク
質部分であるアポネオカルチノスタチン(以下、「Ap
o−NCS」と称する)とが1:1のモル比で非共有結
合的に結合している構造を有していることや、NCSの
生理活性の本体はNCS−Chrにあり、Apo−NC
Sは不安定なNCS−Chrを安定化したり、キャリヤ
としての役割を担っていることが明らかになった。
【0003】一方、臨床的応用においては、NCSは胃
癌、膵臓癌、急性白血病、膀胱癌等に使用されてきてい
る。NCSの生理活性は、NCS−Chrが生体内でビ
ラジカルを生成してDNA鎖を切断するという作用機序
に基づくことがわかった。NCSのようなDNA傷害性
抗生物質は抗腫瘍活性の効果が期待されるため、さらな
る新規なDNA傷害性抗生物質の開発が要望されてい
た。
【0004】
【発明の解決しようとする課題】本発明は、新規抗生物
質およびその製造方法を提供することを目的とする。ま
た、本発明は、上記抗生物質を有効成分として含む抗腫
瘍剤を提供することを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、鋭意努力
した結果、ストレプトバーティシリウム・エスピー・A
J9493(Streptoverticillium sp. AJ9493)が生産す
る抗生物質が新規化合物であり、これが非常に高い抗腫
瘍活性を有することを見出し、本発明を完成させるに至
った。すなわち、本発明は、下記の式で表される抗生物
質N1999A2を提供するものである。
【0006】
【化2】
【0007】また、本発明は、ストレプトバーティシリ
ウム(Streptoverticillium) 属に属する抗生物質N19
99A2生産菌を培養し、その培養物から抗生物質N1
999A2を採取することを特徴とする、抗生物質N1
999A2の製造方法を提供するものである。さらに、
本発明は、抗生物質N1999A2を有効成分として含
む抗腫瘍剤を提供するものである。
【0008】本発明の抗生物質N1999A2は、その
構造から明らかなようにNCS−Chrの類縁化合物で
ある。これまで知られていたNCS等の9員環エンジイ
ン化合物は全てタンパク質と共に産生および単離されて
おり、タンパク質からNCS−Chrの様なクロモフォ
アを分離するためには、暗室等の短波長の光の存在しな
いところでの作業が必要であり、クロモフォアの分離操
作を通常の実験室で行うとNCS−Chrが速やかに分
解されることが知られていた。
【0009】これに対し、N1999A2は、NCSと
異なりタンパク質部分がなく、単独でしかも暗室等の特
別な条件を必要とすることなく単離することができるこ
とを特徴とする。より詳細には、光の存在下で、NCS
−Chrが中性条件下で速やかに分解するの対して、N
1999A2は15℃の条件下、4日経過後でも分解はほ
とんど見られない。この理由は、分解に関与していると
考えられるアミノ基が、NCS−Chrの分子内に存在
するのに対して、N1999A2の分子内には存在しな
いためと思われる。
【0010】また、本発明の抗生物質N1999A2は
高い抗腫瘍効果を奏するが、この効果は、構造の類似性
から、NCS−Chrと同様の作用機序によるものと考
えられる。以下、本発明を詳細に説明する。本発明の抗
生物質N1999A2を生産する微生物は、ストレプト
バーティシリウム属に属する抗生物質N1999A2の
生産能を有する菌種である。
【0011】その一例として、下記に詳述するストレプ
トバーティシリウム・エスピー・AJ9493(以下、
「AJ9493株」と称する)を挙げることができる。
また、AJ9493株の自然的および人工的変異株を使
用してもよい。上記AJ9493株は、埼玉県熊谷市で
採取された土壌中より分離された土壌放線菌であり、工
業技術院生命工学工業技術研究所に平成6年4月14日付
けで寄託され、その微生物受託番号は、FERM P-14275で
ある。
【0012】AJ9493株は、次の菌学的性質を有す
る。 1.形態学的特徴 イースト・麦芽寒天培地、オートミール寒天培地、スタ
ーチ・無機塩寒天培地、グリセリン・アスパラギン寒天
培地およびチロシン寒天平板培地の各寒天培地にcross
hatchに菌を28℃で、2週間培養した。その中で、オー
トミール寒天培地上に生育したものを光学及び走査型電
子顕微鏡で観察した。
【0013】光学顕微鏡観察については、×400で菌の
形態を観察した。走査型電子顕微鏡観察については、充
分生育した菌を、直径 1cmのコルクボーラーで打ち抜
き、カバーガラスに乗せて、秤量瓶(直径約 3cm)中で
2% OsO4水溶液につけ、室温で16時間放置して、固定し
た。菌の固定後、50%アセトンから100%までの系列で脱
水し、酢酸イソアミルで置換した後、速やかに臨界点乾
燥を行った。Au-Pdにより菌の表面を蒸着し、走査型電
子顕微鏡で菌の表面の様子を×10000で観察した。
【0014】 コロニー状態 豊富、綿毛状 気菌糸の有無 有 基底菌糸の分断 無 胞子鎖の着性位置 気菌糸上 胞子鎖の形態 車軸状(2次分岐) 胞子鎖の胞子数 10-20個 胞子の大きさ 0.3-0.5×0.8-1.0μm 胞子の表面 平滑 胞子の運動性 なし その他 菌束糸、菌核、胞子のう等の特殊構
造なし 2.各種培地における生育状態 トリプトン・イーストブロスで28℃、3日間培養し、生
育した菌体を集菌し、滅菌水で3回洗浄した後、菌懸濁
水を調製した。下記に示す培地上に菌懸濁水1白金耳を
cross hatchに画線接種し、28℃で、2週間培養し、そ
れぞれの培地における生育状態を観察した。
【0015】なお、色調はメチーレン・ハンドブック・
オブ・カラー(Methuen Handbook of Colour)第3版
[アイル・メテューレン ロンドン (Eyre Methuen L
ondon.1981年発行]によった。 1)イースト・麦芽寒天培地 生 育:良好 気 菌 糸:豊富 気菌糸の色:ホワイト(1A2) 裏面の色:ライトブラウン(6D6) 可溶性色素:無 2)オートミール寒天培地 生 育:普通 気 菌 糸:普通 気菌糸の色:ラデッシュグレー (8B2) 裏面の色 :グレーイッシュイエロー(4B3) 可溶性色素:無 3)スターチ・無機塩寒天培地 生 育:良好 気 菌 糸:豊富 気菌糸の色:ラデッシュグレー(7B2) 裏面の色 :ベージュ(4C3) 可溶性色素:無 4)グリセリン・アスパラギン寒天培地 生 育:不良 気 菌 糸:少ない 気菌糸の色:ホワイト(1A2) 裏面の色 :ホワイト(1A2) 可溶性色素:無 5)ペプトン・イースト・鉄寒天培地 生 育:普通 気 菌 糸:少ない 気菌糸の色:ホワイト(1A2) 裏面の色 :ホワイト(1A2) 可溶性色素:無 3.生理的性質 1)生育温度範囲 イースト・麦芽寒天培地スラントの中央に2.の項で調
製した菌懸濁水を直線状に植菌し、10、20、24、28、3
0、37および50℃のインキュベーターで2週間培養し、
生育の様子を観察した。
【0016】 10℃ 20℃ 24℃ 28℃ 30℃ 37℃ 50℃ − + ++ ++ ++ +− − − :生育しない +−:ごくわずかに生育する + :生育する ++:良好に生育する 2)耐塩性 0、4、7、10および13%の各種の濃度でNaClを含有す
るイースト・麦芽寒天培地スラントの中央に2.の項で
調製した菌懸濁水を直線状に植菌し、28℃のインキュベ
ーターで2週間培養し、生育の様子を観察した。
【0017】 0% 4% 7% 10% 13% + ± − − − −:生育しない ±:ごくわずかに生育する +:生育する 3)ゼラチンの液化 グルコース・ペプトン・ゼラチン培地を小試験管に10ml
分注した高層培地に、2.の項で調製した菌懸濁水を1
白金耳穿刺植菌し、20および27℃で2週間培養したとこ
ろ、27℃でゼラチンの液化が観察された。 4)スターチの加水分解 スターチ・無機塩寒天培地にて28℃で、2週間菌を培養
した表面に、ルゴール液をかけて、ヨウ素デンプン反応
の色を観察したところ、透明でうす紫色を呈しており、
菌がスターチを加水分解することがわかった。 5)メラニン様色素の生成 ペプトン・イースト・鉄寒天平板培地及びチロシン寒天
平板培地にて28℃で、2-7日菌を培養し、メラニン様色
素の生成を観察したところ、メラニン様色素の生成はみ
られなかった。 6)炭素源の利用性 10/9濃度のプリドハム・ゴトリーブ寒天培地をオートク
レーブにより滅菌し、ある程度冷却した9容の前記培地
に、濾過滅菌した 10%の各糖の水溶液1容を混合し、シ
ャーレに25mlずつ分注して、凝固、乾燥させた。これ
に、2の項で調製した菌体懸濁水を1白金耳ずつcross
hatchに植菌し、28℃で、2週間培養した後、生育状態
を観察した。なお、陽性対照としてD−グルコースを用
い、陰性対照としてはいかなる糖も添加しなかった。
【0018】 L−アラビノース − シュークロース − D−フラクトース ± D−キシロース − D−グルコース ++ マルトース + イノシトール ++ グリセロール ++ D−マンニトール − スターチ ++ ラフィノース ± ガラクトース ± L−ラムノース − 無添加 − ++:グルコースと同等に利用 +:グルコースより
弱いがはっきり利用 ±:やや利用、陰性対照より生育 −:利用しない 7)細胞壁の構成成分 乾燥菌体 10mg を蓋付密閉バイアル瓶に入れ、これに 6
N HCl 1mlを加え、密栓して105℃で、16時間加水分解し
た。減圧下で2回塩酸を除去した後、菌体液を1mlの水
に溶かしてそのうち5μl をTLC(アビセルSF、フ
ナコシ)上にスポットし、溶媒として、メタノール:
水:6N HCl: ピリジン(80:26:4:10v/v)を用いて展開
し、ニンヒドリンで発色させた。
【0019】その結果、LL-2,6- ジアミノピメリン酸の
みが検出され、細胞壁はI型に属することが分かった。 8)同定は、Bergey's Manual of Determinative Bacte
riology 8th ed. 及びH.Nonomura, J. Ferment. Techno
l., 52, 78-92 (1974)に従って行った。AJ9493株
は細胞壁I型であり、胞子鎖の輪生の特徴から、Strept
overticillium属に分類される。生化学試験、糖の利用
性、胞子の形態がStreptoverticillium griseoverticil
latumと一致するが、気菌糸の色調に若干の違いが見ら
れた。よって、AJ9493株をストレプトバーティシ
リウム・エスピー・AJ9493と同定した。
【0020】ストレプトバーティシリウムに属する抗生
物質N1999A2生産菌を培養し、その培養物から抗
生物質N1999A2を採取することにより、本発明の
抗生物質N1999A2を製造することができる。N1
999A2生産菌は常法に従って培養することができ、
培養の形態は、液体培養でも固体培養でもよい。工業的
に有利に培養するためには、前記抗生物質生産菌の菌懸
濁液又は培養液を培地に接種し、通気攪拌培養を行えば
よい。
【0021】培地の栄養源としては特に限定されること
はないが、微生物の培養に通常用いられる炭素源、窒素
源、その他を培地中に含有させることができる。炭素源
としては、澱粉、デキストリン、グリセリン、グルコー
ス、スクロース、ガラクトース、イノシトール、マンニ
トールなどが、また、窒素源としては、ペプトン、大豆
粉、肉エキス、米ぬか、麸、尿素、コーンスティープリ
カー、アンモニウム塩、硝酸塩、その他の有機または無
機の窒素化合物が用いられる。その他、無機塩類、微量
栄養源等を適宜添加してもよい。なお、発酵中の発泡を
抑制するため、消泡剤(例えば「シリコーン」、信越化
学工業社製)等を適宜添加することもできる。培養温
度、培養時間等の培養条件は使用する菌の発育に適し、
しかもN1999A2の生産が最高となるような条件が
選ばれる。例えば、培地のpHは6.0〜8.0が適当であ
り、6.5〜7.0が好ましく、培養温度は25〜35℃が適当で
あり、28〜30℃が好ましい。攪拌速度は、200〜400rp
mが適当であり、300〜350rpmが好ましく、通気量
は、1/10 V/V・Min 〜1/2 V/V・Min が適当であ
り、1/4 V/V・Min 〜1/2 V/V・Min が好ましく、
また、培養時間は、40〜90時間が適当であり、48〜72時
間が好ましい。しかし、これらの培養組成物、培地のp
H、培養温度、攪拌速度、通気量、培養時間等の培養条
件は、使用する菌株の種類や、外部の条件などに応じて
所望の結果が得られるように適宜調節されるべきである
ことはいうまでもない。
【0022】上記のような培養物から、代謝産物を採取
するのに通常使用される手段を適宜利用してN1999
A2を採取することができる。例えば、N1999A2
と培養物中に含まれる他の物質との溶解度の差を利用す
る手段、イオン結合力の差を利用する手段、吸着親和力
の差を利用する手段、分子量の差を利用する手段のいず
れもを、それぞれ単独で、または適宜組み合わせて、あ
るいは反復して使用することができる。具体的には、N
1999A2は菌体外に分泌されるので、菌の培養上清
を各種のイオン交換クロマトグラフィー、ゲル濾過クロ
マトグラフィー、吸着クロマトグラフィー、液体クロマ
トグラフィー、セルロース分配クロマトグラフィー等を
組み合わせて精製すると、N1999A2およびその他
の活性成分を含む画分が得られる。この画分を減圧濃縮
して得られる固形物をさらに高速液体クロマトグラフィ
ーに付して、水:アセトニトリルの系で展開してより精
製することにより、N1999A2の精製淡黄色粉末が
得られる。
【0023】上記のようにして得られたN1999A2
の理化学的性質は以下のとおりである。 分子量 :508.9 紫外線吸収スペクトル (Waters 996 PDA detector, H2O
: CH3CN = 55 : 45 ):図1に示す。
【0024】溶解性:ヘキサン、ジエチルエーテルに不
溶、水、クロロホルムに難溶、アセトニトリル、メタノ
ールに微溶、ジメチルスルホキシドに易溶。 分子式:C27218Cl 物質の色:淡黄色 1H−NMR(400 MHz, DMSO-d6 : CD3CN = 1:1):
図2に示す。
【0025】13C−NMR(150 MHz, DMSO-d6 : CD3C
N = 1:1):図3に示す。 2D−NMR(400 MHz for 1H, DMSO-d6 : CD3CN =1:
1):図4に示す。 また、N1999A2を無水メタノールに溶解し、室温
で2日間放置して得られた分解物1および2は、X線構
造解析、1Hおよび13CのNMRスペクトル、高分解能
マススペクトル等のデータから、以下の式で表される化
合物であることがわかった。
【0026】
【化3】
【0027】上記の理化学的性質および分解物1および
2の構造から、抗生物質N1999A2は以下の式で表
される新規化合物であることが明らかとなった。
【0028】
【化4】
【0029】N1999A2は、抗菌活性および抗腫瘍
活性を有し、抗菌剤および抗腫瘍剤として使用すること
ができる。本発明の抗生物質N1999A2を有効成分
として含む抗腫瘍剤は、経口および非経口投与のいずれ
の投与経路でも使用可能であり、経口投与する場合は、
軟・硬カプセル剤または錠剤、顆粒剤、細粒剤、散剤等
の剤型で投与することができ、また、非経口投与する場
合は、水溶性懸濁液、油性製剤などの皮下あるいは静脈
注射剤、点滴剤、坐薬、塗布薬、軟膏のような剤型で投
与することができる。
【0030】本発明の有効成分である抗生物質N199
9A2を製剤化するために、界面活性剤、賦形剤、滑沢
剤、佐剤および医薬的に許容できる皮膜形成物質、コー
ティング助剤等を適宜使用することができる。例えば、
界面活性剤としては、アルコール、エステル類、ポリエ
チレングリコール誘導体、ソルビタンの脂肪酸エステル
類、硫酸化脂肪アルコール類等を挙げることができる。
また、賦形剤としては、蔗糖、乳糖、デンプン、結晶セ
ルロース、マンニット、軽質無水珪酸、アミン酸マグネ
シウム、メタ珪酸アルミン酸マグネシウム、合成珪酸ア
ルミニウム、炭酸カルシウム、炭酸水素ナトリウム、リ
ン酸水素カルシウム、カルボキシメチルセルロースカル
シウム等を挙げることができる。滑沢剤としては、ステ
アリン酸マグネシウム、タルク、硬化油等を挙げること
ができ、懸濁剤や湿潤剤のごとき佐剤としては、ココナ
ッツ油、オリーブ油、ゴマ油、落花生油、乳酸カルシウ
ム、ベニバナ油、大豆リン脂質等を挙げることができ
る。皮膜形成物質としては、セルロースや糖類等の炭水
化物誘導体として、酢酸フタル酸セルロース、また、ア
クリル酸系共重合体、二塩基酸モルエステル類等のポリ
ビニル誘導体としてアクリル酸メチル・メタクリル酸共
重合体、メタアクリル酸メチル・メタクリル酸共重合体
が挙げられる。コーティング助剤としては、フタル酸エ
ステル類等の可塑剤を挙げることができる。上記の成分
の他に、甘味料、香料、着色料、保存料等を添加しても
よい。
【0031】N1999A2の投与量は、対象とする腫
瘍を有効に治療するのに十分な量であればよく、これは
腫瘍の状態、投与経路、剤型等によって左右されるが、
一般に、成人では1日当たり約0.001〜100mg/Kg体重の
範囲が適当である。以下に本発明を実施例により具体的
に説明するが、本発明の範囲はこれらに限定されるもの
ではない。
【0032】
【実施例】
〔製造例〕 AJ9493株からのN1999A2の製造 500ml容三角フラスコに、グルコース1%, 馬鈴薯デン
プン1%, 肉エキス 0.1%, コーンステープリカー 0.5
%, ポリペプトン1%, 酵母エキス 0.5%, 炭酸カルシ
ウム 0.2%を含む培地(pH 7.2)100mlを分注し、121℃
で15分間蒸気滅菌した。これに、保存スラントからのA
J9493株を1白金耳接種し、28℃で3日間旋回培養
して、種母を得た。
【0033】30L容ジャー・ファーメンター1基に、デ
キストリン 2.0%, グリセロール 1.0%, 大豆粉 1.0
%, ポリペプトン 0.5%, 酵母エキス 0.5% MOPS
0.5%を含む液体培地(pH7.0)20Lを仕込み、121℃で
30分間蒸気滅菌した。これに上記の種母 400mlを移植
し、撹拌速度 350r.p.m., 通気量5L/分の条件下28℃
で66時間通気培養した。
【0034】培養液をシャープレス型遠心機(15,000r.
p.m.)にて菌体と培養液上清に分別したところ、培養液
上清約15Lが得られた。上記の工程を4回繰り返すこと
により、培養液上清70Lを得た。この培養液上清 70L
に吸着樹脂 HP-20 3.5kg を加え、1時間撹拌したのち
に5℃で一晩放置した。樹脂を篩いにて分離しこれをガ
ラス製カラムに充填して 20%メタノールで洗浄した後、
100%メタノールで活性成分を溶出した。メタノール溶出
液(約 20L)を減圧濃縮した残渣に水を加え、酢酸エ
チルで抽出した。酢酸エチル層を水洗後、無水硫酸ナト
リウムで乾燥し、減圧濃縮して褐色油状物を得た。これ
をシリカゲルカラムクロマトグラムにかけ、クロロホル
ム、クロロホルム:メタノール(95:5)、クロロホル
ム:メタノール(90:10)、クロロホルム:メタノール
(50:50)で順次溶出した。クロロホルム:メタノール
(95:5)溶出画分を減圧濃縮し、残渣をメタノールに
溶解して等量の水を加えた後、SepPak C18(ウォーター
ズ社)にかけた。50%メタノール、60%メタノール、100%
メタノールで順次溶出し、100%メタノール溶出画分を減
圧濃縮して黄色固形物を得た。これをメタノールに溶解
しODS HPLCカラム(ノバパックC18(8mm x 100mm、ウ
ォーターズ社))にかけて、水:アセトニトリル(55:
45、1.2ml / min)で溶離した。活性ピークのみを含む
分画を減圧濃縮して、5mgのN1999A2を淡黄色
粉末として得た。 〔試験例〕 N1999A2の抗腫瘍活性の測定 ヒト大腸癌細胞HCT−15、マウス白血病細胞p38
8およびマウス大腸癌細胞colon26を用い、MT
T(3-(4,5-dimethyl-2-thiazolyl)-2,5-diphenyl-2H t
etrazorium bromide)法により(Michael C. Alley et.
al., Cancer Res., 48 589-601 (1988))細胞毒性を測
定した。
【0035】癌細胞を96穴マイクロタイタープレートの
各ウェルに分注し、炭酸ガス細胞培養器内で37℃で20時
間培養した後、培地により適宜希釈した検体を添加し、
さらに72時間培養した。これにMTT溶液を添加して4
時間培養した後、生じたフォルマザン結晶を0.01N塩酸
/10%SDSで溶解し、マイクロプレートリーダーによ
り 570nmの吸光度を測定した。無処理細胞と既知濃度
の検体で処理した細胞の吸光度を測定することにより、
細胞の増殖を50%阻害する検体濃度(IC50)を算出し
た。
【0036】なお、対照薬としては、ACNU(ニムス
チン)、MMC(マイトマイシンC)および5FU(5
フルオロウラシル)を用いた。結果を以下の表1に示
す。
【0037】
【表1】
【0038】
【発明の効果】本発明により、新規抗生物質N1999
A2およびその製造方法が提供された。前記抗生物質N
1999A2は、非常に高い抗腫瘍活性を有するので、
抗腫瘍剤として有用である。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は、本発明の抗生物質N1999A2のH2
0:CH3CN=55:45 溶液中での紫外線吸収スペクトルを示す
図である。
【図2】図2は、抗生物質N1999A2のDMSO-d6:CH
3CN=1:1溶液中での1H−NMRスペクトルを示す図
である。
【図3】図3は、抗生物質N1999A2のDMSO-d6:CH
3CN=1:1溶液中での13C−NMRスペクトルを示す
図である。
【図4】図4は、抗生物質N1999A2のDMSO-d6:CH
3CN=1:1溶液中での2D−NMRスペクトルを示す図
である。
フロントページの続き (72)発明者 亀山 俊之 神奈川県川崎市川崎区鈴木町1−1 味の 素株式会社中央研究所内 (72)発明者 二瓶 幸夫 神奈川県川崎市川崎区鈴木町1−1 味の 素株式会社中央研究所内

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 下記の式で表される抗生物質N1999
    A2。 【化1】
  2. 【請求項2】 ストレプトバーティシリウム(Streptove
    rticillium) 属に属する抗生物質N1999A2生産菌
    を培地に培養し、その培養物から抗生物質N1999A
    2を採取することを特徴とする、抗生物質N1999A
    2の製造方法。
  3. 【請求項3】 抗生物質N1999A2を有効成分とし
    て含む抗腫瘍剤。
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