JPH07291746A - スレーキング抑制剤 - Google Patents

スレーキング抑制剤

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JPH07291746A
JPH07291746A JP6104833A JP10483394A JPH07291746A JP H07291746 A JPH07291746 A JP H07291746A JP 6104833 A JP6104833 A JP 6104833A JP 10483394 A JP10483394 A JP 10483394A JP H07291746 A JPH07291746 A JP H07291746A
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slaking
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Jiyouhei Matsuda
丞平 松田
Hiroshi Kawasaki
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Taki Chemical Co Ltd
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    • C04CEMENTS; CONCRETE; ARTIFICIAL STONE; CERAMICS; REFRACTORIES
    • C04BLIME, MAGNESIA; SLAG; CEMENTS; COMPOSITIONS THEREOF, e.g. MORTARS, CONCRETE OR LIKE BUILDING MATERIALS; ARTIFICIAL STONE; CERAMICS; REFRACTORIES; TREATMENT OF NATURAL STONE
    • C04B24/00Use of organic materials as active ingredients for mortars, concrete or artificial stone, e.g. plasticisers
    • C04B24/04Carboxylic acids; Salts, anhydrides or esters thereof
    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C04CEMENTS; CONCRETE; ARTIFICIAL STONE; CERAMICS; REFRACTORIES
    • C04BLIME, MAGNESIA; SLAG; CEMENTS; COMPOSITIONS THEREOF, e.g. MORTARS, CONCRETE OR LIKE BUILDING MATERIALS; ARTIFICIAL STONE; CERAMICS; REFRACTORIES; TREATMENT OF NATURAL STONE
    • C04B2103/00Function or property of ingredients for mortars, concrete or artificial stone
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 塩基性骨材が持つ水和反応を抑えることによ
りスレーキングを抑制し、塩基性骨材の不定形耐火物へ
の適用を図ることを目的とする。 【構成】 塩基性有機酸多価金属(但し、アルカリ土類
金属を除く)塩と有機酸とを一定の範囲で混合した溶液
を、乾燥してなるスレーキング抑制剤。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は塩基性骨材が持つ水和反
応を抑えることによりスレーキングを抑制し、マグネシ
ア等の塩基性骨材の不定形耐火物への適用を図ることを
目的とする。
【0002】
【従来の技術】現在鉄鋼、セメント、非鉄金属の精錬等
に用いられる耐火物においては、施工が容易で任意の形
状に成形でき、省力化できる等の利点から、不定形耐火
物が急速な伸びを示している。この不定形耐火物には、
キャスタブル、吹き付け材、ラミング材、スタンプ材、
コーティング材、スリンガー材等があるが、これに使用
されている骨材は、シリカ質、ジルコン質、アルミナ
質、黒鉛、炭化珪素等の中性、酸性骨材である。
【0003】しかし、転炉、取鍋、タンディシュ等の製
鋼容器やセメントキルンには、耐食性に優れたマグネシ
ア−アルミナスピネル、マグネシア、マグクロ、ドロマ
イト等の塩基性骨材が定形耐火物として使用されてい
る。この定形耐火物に代えて、施工が容易であるが水を
使用する不定形耐火物は、骨材と水との反応性が高いた
めに、施工体の乾燥加熱時に水和反応を起こし、それに
伴う体積膨張のために、施工体の内部組織が脆弱とな
り、結果として亀裂や剥離のようなスレーキング現象を
引き起こし、施工体の強度低下や耐食性の低下をもたら
すだけでなく、場合によっては崩壊に至り非常に危険で
ある。
【0004】このスレーキング現象を引き起こす水和を
抑制、改善するために多くの方法が試みられてきた。例
えばパラフィン、アスファルト、ピッチ、油類、樹脂を
使用する方法、オキシカルボン酸あるいはその塩を使用
する方法(特公昭60-58183号)ショ糖類を使用する方法、
難溶性リン酸塩を使用する方法(特開昭61-291465号)、
非晶質シリカ粉末を使用する方法(特開昭58-99177号)、
ホウ砂、ホウ酸を使用する方法(特開昭57-129881号)、C
aO及びAl2O3を特定量含有したマグネシア骨材を使用す
る方法(特開平5-70247号)である。
【0005】しかしながら、これらの方法はそれぞれ一
長一短があり、溶湯を汚染する、耐火物に低融点物質が
生成し、強度が低くなる、耐食性が低下する、容積安定
性が悪くなる等の問題点を内包し、更にまたスレーキン
グ抑制効果も不十分である。また、カルシウムサルホア
ルミネートクリンカーの水和反応を遅らせるためオキシ
カルボン酸類、例えばクエン酸ナトリウム、リンゴ酸、
酒石酸ナトリウムを使用する方法(特公昭60-58183号)も
提案されているがこのようなオキシカルボン酸類では十
分なスレーキング抑制はできない。更にまた特開平6-72
775号公報には、塩基性乳酸アルミニウムに無機酸及び
無機酸塩を含ませた添加物を使用して、塩基性耐火物の
耐スポーリング性、耐食性を向上する方法が記載されて
いるが、かかる方法では充分にスレーキング抑制するこ
とはできない。このような問題点のために塩基性骨材を
不定形耐火物に使用することは、特殊な場合、例えばス
レーキングが進行する前に水分が蒸発する熱間吹付け等
の場合を除き、極めて困難であった。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】本発明は塩基性骨材を
耐火物に使用した場合、亀裂や剥離、崩壊、施工体の強
度低下を抑制する耐食性に優れた施工性の良いスレーキ
ング抑制剤を得ることを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明者らは鋭意研究の
結果、塩基性有機酸多価金属(但し、アルカリ土類金属
を除く)塩と有機酸とを次式
【0008】
【数1】y≦{(x-100)2/30}+6 (0<x≦100) y≦{(x-200)2/2000}+1(100<x≦200) (但し、xは温度(℃)、yは時間(hr)を表す)
【0009】で表される範囲で混合した溶液を乾燥して
なるスレーキング抑制剤が、マグネシア等の塩基性骨材
と水との水和反応を抑制し、スレーキング抑制できるこ
とを見いだし本発明を完成させるに至った。
【00010】
【作用】本発明で使用する塩基性有機酸多価金属塩とし
ては、本出願人の発明(特公昭61-16745号)である、Al2O
3/乳酸(モル比)=0.2〜2.0からなる塩基性乳酸アルミニ
ウムをはじめとして、塩基性ギ酸アルミニウム、塩基性
酢酸アルミニウム、塩基性酒石酸アルミニウム、塩基性
グリコール酸アルミニウム等のアルミニウム塩が挙げら
れ、混合前の状態は粉末であっても、溶液であっても良
い。
【0011】塩基性有機酸多価金属塩の製造に使用する
有機酸は、モノカルボン酸、ジカルボン酸、オキシカル
ボン酸などである。モノカルボン酸としては、ギ酸、酢
酸、プロピオン酸、n-酪酸、吉草酸などが挙げられ、ジ
カルボン酸としては、シュウ酸、コハク酸、マレイン
酸、マロン酸、フマル酸、グルタル酸などが挙げられ、
オキシカルボン酸としてはグリコール酸、乳酸、酒石
酸、リンゴ酸、クエン酸などが挙げられる。
【0012】そして、上記の塩基性有機酸アルミニウム
塩だけでなく、塩基性有機酸鉄塩、塩基性有機酸ジルコ
ニウム塩、塩基性有機酸クロム塩、塩基性有機酸チタン
塩が使用できる。
【0013】これらの塩基性有機酸多価金属塩の製造方
法は、塩化多価金属塩、硫酸多価金属塩、硝酸多価金属
塩、あるいはこれらの塩基性塩化多価金属塩等の水溶性
多価金属塩とアルカリ金属あるいはアンモニウムの炭酸
塩、重炭酸塩、水酸化物を反応させ生成沈澱する多価金
属水和物を先述の有機酸に溶解することなどにより製造
することができ、粉末化するときは乾燥すればよい。
【0014】また、その塩基度は多価金属水和物と有機
酸の使用割合を変えることにより容易に調整できる。そ
の範囲は多価金属酸化物に対し有機酸の持つカルボキシ
ル基のモル比で、アルミニウム、鉄、クロムなどの3価
の金属の場合、概ね3価金属酸化物(M2O3:Mは多価金
属)/有機酸の持つカルボキシル基=0.2〜2.0(モル比)の
範囲のものであり、ジルコニウム、チタンなどの4価金
属の場合、概ね4価金属酸化物(MO2)/有機酸の持つカル
ボキシル基=0.3〜2.0(モル比)の範囲のものである。す
なわち、モル比が上記範囲を逸脱すると安定性が低下し
製造が極めて困難となる。この場合、有機酸の持つカル
ボキシル基のモル数とは〔有機酸のモル数×有機酸一分
子当たりのカルボキシル基数〕とする。
【0015】塩基性有機酸多価金属塩と混合する有機酸
としては、モノカルボン酸、ジカルボン酸、オキシカル
ボン酸が使用できる。モノカルボン酸としては、ギ酸、
酢酸、プロピオン酸、n-酪酸、吉草酸などが挙げられ、
ジカルボン酸としては、シュウ酸、コハク酸、マレイン
酸、マロン酸、フマル酸、グルタル酸などが挙げられ、
オキシカルボン酸としてはグリコール酸、乳酸、酒石
酸、リンゴ酸、クエン酸などが挙げられる。より好まし
くは、作業環境の点から臭いの無いジカルボン酸、オキ
シカルボン酸の使用が好ましい。
【0016】本発明は次式
【0017】
【表1】y≦{(x-100)2/30}+6 (0<x≦100) y≦{(x-200)2/2000}+1(100<x≦200) (但し、xは温度(℃)、yは時間(hr)を表す)
【0018】で示される範囲で混合するものであるが粉
末同士を混合し、これに適量の水を加え混合溶液として
も良いし、溶液同士を混合し混合溶液としても良い。ま
た、塩基性有機酸多価金属塩粉末と有機酸溶液を混合し
適量の水を加えて混合溶液を調整しても良い。混合溶液
の濃度は経済性、乾燥性、スレーキング抑制効果を考慮
するとM2O3あるいはMO2として1〜10%が良い。
【0019】次に両者の混合割合について言えば塩基性
骨材等の種類、使用目的、塩基性有機酸多価金属塩、あ
るいは有機酸の種類により異なり、一概に規制すること
はできないが、塩基性有機酸多価金属塩の金属が3価の
場合、M2O3/有機酸の持つカルボキシル基(モル比)=0.1
〜1.5の範囲、また金属が4価の場合、MO2/有機酸の持
つカルボキシル基(モル比)=0.2〜2.0の範囲が良い。そ
して塩基性有機酸多価金属塩と有機酸とを次式
【0020】
【表1】y≦{(x-100)2/30}+6 (0<x≦100) y≦{(x-200)2/2000}+1(100<x≦200) (但し、xは温度(℃)、yは時間(hr)を表す)
【0021】で示される範囲で混合した溶液を乾燥する
ことによりスレーキング抑制剤を製造すれば良い。混合
条件を更に具体的に示せば、塩基性多価金属塩の種類、
添加する有機酸の種類や組み合わせにより一定ではない
が、混合溶液の液温(以下保持温度という)が30℃以下で
あれば168時間以内(以下保持時間という)、50℃であれ
ば72時間以内、75℃であればに24時間以内、100℃であ
れば6時間以内、150℃であれば2時間以内に乾燥すれば
良い。より好ましくは50℃以下で24時間以内に乾燥する
ことが好ましい。保持時間内は攪拌を続けてもよいし、
攪拌した後静置してもよい。本発明に於いて、式で示さ
れた範囲を逸脱した条件で両者が混合されると、この溶
液を乾燥してもスレーキング抑制能は十分でない。
【0022】乾燥方法は、通風乾燥、噴霧乾燥、凍結乾
燥等の通常の乾燥方法を用いれば良い。
【0023】本発明における水和抑制のメカニズムの解
明は未だ十分でないが、次のように考えられる。すなわ
ち、混合した有機酸や有機酸多価金属塩の有機酸、特に
混合した有機酸が先ず、マグネシアなどの表面にある活
性部位に水以上の結合力で結合し、漸次多価金属塩の有
機酸が活性部位と結合し、さらに有機酸を奪われた多価
金属がゲル化し、このゲルがマグネシア骨材などの表面
をコーティングするために水和反応が抑制されると考え
られる。
【0024】塩基性有機酸多価金属塩単独では、含有す
る有機酸が多価金属と強く結合しているため水和反応抑
制効果は不十分であり、スレーキング抑制効果が十分に
発現しない。一方、有機酸単独では短時間で流動性が無
くなり、作業時間の確保が困難となる。
【0025】式で示された範囲を逸脱した条件で、塩基
性有機酸多価金属塩と有機酸を混合し乾燥した場合、有
機酸と多価金属との結合が強固になるために、マグネシ
ア骨材にある活性部位に有機酸が結合しにくくなり、水
和反応抑制効果が不十分になると考えられる。
【0026】また特公昭60-58183号に見られるクエン酸
ナトリウム等の有機酸アルカリ金属塩は、アルカリ金属
自身が強塩基性であり、活性度が非常に高い。このため
に、有機酸がマグネシア骨材などの活性部位と結合しに
くいため水和抑制効果は大きく劣る。その結果、本発明
の目的とするスレーキング抑制効果も劣り不適切なもの
である。有機酸アルカリ土類金属塩も、アルカリ土類金
属が塩基性骨材などの活性部位と同じ程度の活性度を持
つために、有機酸が塩基性骨材の活性部位に優先的に結
合することはなく効果的でない。
【0027】さて、本発明のスレーキング抑制剤を使用
してその効果が得られる物質、すなわち対象物質として
は、電融マグネシア、海水マグネシア、天然マグネシア
やアルミナ−マグネシアスピネル、マグネシアクロム
(又はクロムマグネシア)、ドロマイト、カルシアなどの
物質(骨材)が挙げられるが、水と反応性のある塩基性
物質であれば良い。また、効果を更に高めるために、こ
れらの物質にパラフィン、油類等のコーティングを行っ
た物質や表面に炭酸処理を行った物質であっても良い。
本発明のスレーキング抑制剤の使用割合は塩基性物質の
種類、利用目的等により異なるが概ね0.1〜10重量部で
ある。本発明スレーキング抑制剤は塩基性骨材を用いた
不定形耐火物に使用して特にその効果を良く発現する。
【0028】
【実施例】以下本発明の実施例を挙げて更に説明する。
特に断らない限り%は重量%を示す。
【0029】(実施例1)骨材としてマグネシア骨材
(宇部ク゛リーン:粒子径3mm以上 25.7%、1〜3mm 28.6%、
0.088〜1mm 17.1%、0.088mm以下 28.6%)を100重量
部、硬化材としてハイアルミナセメント(電気化学製)5.
0重量部を用い、これに本発明スレーキング抑制剤とし
て、塩基性乳酸アルミニウム溶液(Al2O3/乳酸のカルボ
キシル基=0.63(モル比)、Al2O3=8.5%)と70%グリコール
酸溶液との混合溶液(塩基性乳酸アルミニウムのAl2O3/
グリコール酸の持つカルボキシル基=0.26(モル比))を30
℃で6時間保持した後、噴霧乾燥した粉末を加え、分散
剤としてリグニンスルホン酸ナトリウム0.1重量部を加
え、更に水を加えた後、十分に混練し、2×2×8cmの金
型へ振動成形機にて流し込み成形を行ない、20℃で24時
間養生後脱型し試料を作製した。スレーキング試験はこ
の試料を152℃の飽和水蒸気下(5kgf/cm2)で5時間放置す
ることより行った。
【0030】また強度測定はスレーキング試験を行った
試料と、スレーキング試験を行っていない試料のそれぞ
れを110℃で24時間熱処理し、室温まで冷却した後、万
能強度試験機(丸菱科学機器製作所製)を用いて冷間曲げ
強度を測定した。その結果を表1に示す。
【0031】
【表1】 *印:単位は重量部 スレーキング試験評価値 0 : 崩壊 1 : 亀裂大きい 2 : 〃 有り 3 : 〃 僅か 4 : 亀裂等が全く無い状態
【0032】本発明スレーキング抑制剤を添加しなかっ
た試料は、崩壊したためにスレーキング試験後の強度測
定はできなかった。このように塩基性乳酸アルミニウム
とグリコール酸との混合溶液を30℃で6時間保持した後
に噴霧乾燥して得られた本発明スレーキング抑制剤の効
果は明かであり、しかも本発明スレーキング抑制剤を添
加した試料のスレーキング試験後の強度は、試験をしな
かった試料と比べて上がる結果となった。尚、本発明例
No.1の場合、スレーキング抑制剤の添加量が少なく望ま
しくない。
【0033】(実施例2)実施例1で用いた塩基性乳酸
アルミニウム溶液及びグリコール酸溶液と同一の混合溶
液を表2の示すように保持し、噴霧乾燥した。保持温度
が100℃をこえる時はオートクレーブを使用した。その
粉末0.2重量部を実施例1と同一組成のマグネシア骨材1
00重量部、ハイアルミナセメント5.0重量部及びリグニ
ンスルホン酸ナトリウム0.1重量部の混合物に加え、更
に水7.0重量部を加えた後、十分に混練し、2×2×8cmの
金型へ振動成形機にて流し込み成形を行ない、20℃で24
時間養生後脱型し試料を作製した。実施例1と同様にス
レーキング試験を行った。その結果を併せて表2に示
す。
【0034】
【表2】
【0035】(実施例3)骨材としてアルミナ骨材(3mm
以上 25.7重量%、1〜3mm 28.6重量%、0.088〜1.0mm 2
7.1重量%、0.088mm以下 18.6重量%)を100重量部にマ
グネシア超微粉(平均粒子径10μm以下)を10重量部配合
し、これに塩基性有機酸多価金属塩粉末と有機酸溶液を
表3に示す割合で混合し乾燥した粉末を加え、これに水
7.0重量部を添加し、十分に混練後、2×2×8cmの金型へ
振動成形機にて流し込み成形を行なった。これを20℃で
24時間養生した後、脱型し実施例1と同様のスレーキン
グ試験を行った。また、同時に作業性も調べた。その結
果を表3に示す。なお表中の有機酸の重量部は乾燥粉末
に含有される有機酸量を表す。
【0036】
【表3】 a:〔塩基性有機酸多価金属塩粉末のM2O3又はMO2/有機
酸多価金属塩粉末の持つカルボキシル基〕モル比 b:〔塩基性有機酸多価金属塩粉末のM2O3又はMO2/有機
酸の持つカルボキシル基〕モル比 A:流動性悪く10分以内で固化した B:流動性良く40〜60分の作業時間が確保できた C:流動性非常に良く60分以上作業時間が確保できた
【0037】このように塩基性有機酸多価金属塩と有機
酸の混合溶液を本発明の式の範囲内に於いて混合し、乾
燥することからなる本発明スレーキング抑制剤を添加す
れば、良好なスレーキング抑制効果と作業性が得られる
のに対し、同一物を本発明の範囲外で混合し、乾燥して
得られる粉末はスレーキング抑制効果が落ちる。スレー
キング抑制剤を添加しないものはスレーキング試験で崩
壊する。そして、塩基性有機酸多価金属塩だけでは、作
業性は良いがスレーキング抑制効果が不十分となる。ま
た、有機酸だけではスレーキング抑制効果も不十分であ
り、さらに作業性が悪くなる結果となった。尚、本発明
例No.35の場合、bが高きに過ぎ、また、No.36の場合bが
低きに過ぎ望ましくない。
【0038】(実施例4)骨材として炭酸処理を施し、
水和反応をある程度抑制したドロマイト骨材(新日本化
学工業(株)製、商品名:CM−45、粒子径3mm以上
58.0%、1〜3mm 42.0%)30重量部とアルミナ骨材(粒子
径0〜3mm)70重量部を配合し、この骨材100重量部にシリ
カ超微粉(平均粒子径10μm以下)2.0重量部、縮合リン酸
カルシウム0.5重量部、硬化材としてハイアルミナセメ
ント(電気化学工業(株)製)2.0重量部を加えた。さら
に表4に示すように塩基性有機酸多価金属塩粉末と有機
酸粉末を混合した後、金属酸化物の濃度(M2O3またはM
O2)が2.0%になるように水を加え溶解し、この水溶液を
50℃で24時間保持した後に乾燥した本発明スレーキング
抑制剤5.0重量部と水8.0重量部を混合した。これを2×2
×8cmの金型へ振動成形機にて流し込み成形を行なっ
た。20℃で24時間養生後、脱型し130℃の飽和水蒸気下
(3Kgf/cm2)で3時間のスレーキング試験を行った。このa
及びbはそれぞれ0.5、0.5であった。その結果を表4に
示す。
【0039】
【表4】
【0040】尚、スレーキング抑制剤を添加しないもの
は、スレーキング試験評価値1となった。
【0041】
【発明の効果】本発明は塩基性有機酸多価金属塩と有機
酸とを特定の範囲内で混合した溶液を乾燥してなるスレ
ーキング抑制剤を用い、特に塩基性骨材を耐火物に使用
した場合、従来からの問題であった亀裂や剥離、崩壊、
施工体の強度低下に代表されるスレーキング現象を抑制
し、耐食性に優れた耐火物を提供するものである。
【手続補正書】
【提出日】平成6年8月22日
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正内容】
【書類名】 明細書
【発明の名称】 スレーキング抑制剤
【特許請求の範囲】
【数1】 で表される範囲で混合した溶液を乾燥してなるスレーキ
ング抑制剤。
【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は塩基性骨材が持つ水和反
応を抑えることによりスレーキングを抑制し、マグネシ
ア等の塩基性骨材の不定形耐火物への適用を図ることを
目的とする。
【0002】
【従来の技術】現在鉄鋼、セメント、非鉄金属の精錬等
に用いられる耐火物においては、施工が容易で任意の形
状に成形でき、省力化できる等の利点から、不定形耐火
物が急速な伸びを示している。この不定形耐火物には、
キャスタブル、吹き付け材、ラミング材、スタンプ材、
コーティング材、スリンガー材等があるが、これに使用
されている骨材は、シリカ質、ジルコン質、アルミナ
質、黒鉛、炭化珪素等の中性、酸性骨材である。
【0003】しかし、転炉、取鍋、タンディシュ等の製
鋼容器やセメントキルンには、耐食性に優れたマグネシ
ア−アルミナスピネル、マグネシア、マグクロ、ドロマ
イト等の塩基性骨材が定形耐火物として使用されてい
る。この定形耐火物に代えて、施工が容易であるが水を
使用する不定形耐火物は、骨材と水との反応性が高いた
めに、施工体の乾燥加熱時に水和反応を起こし、それに
伴う体積膨張のために、施工体の内部組織が脆弱とな
り、結果として亀裂や剥離のようなスレーキング現象を
引き起こし、施工体の強度低下や耐食性の低下をもたら
すだけでなく、場合によっては崩壊に至り非常に危険で
ある。
【0004】このスレーキング現象を引き起こす水和を
抑制、改善するために多くの方法が試みられてきた。例
えばパラフィン、アスファルト、ピッチ、油類、樹脂を
使用する方法、オキシカルボン酸あるいはその塩を使用
する方法(特公昭60-58183号)ショ糖類を使用する方法、
難溶性リン酸塩を使用する方法(特開昭61-291465号)、
非晶質シリカ粉末を使用する方法(特開昭58-99177号)、
ホウ砂、ホウ酸を使用する方法(特開昭57-129881号)、C
aO及びAl2O3を特定量含有したマグネシア骨材を使用す
る方法(特開平5-70247号)である。
【0005】しかしながら、これらの方法はそれぞれ一
長一短があり、溶湯を汚染する、耐火物に低融点物質が
生成し、強度が低くなる、耐食性が低下する、容積安定
性が悪くなる等の問題点を内包し、更にまたスレーキン
グ抑制効果も不十分である。また、カルシウムサルホア
ルミネートクリンカーの水和反応を遅らせるためオキシ
カルボン酸類、例えばクエン酸ナトリウム、リンゴ酸、
酒石酸ナトリウムを使用する方法(特公昭60-58183号)も
提案されているがこのようなオキシカルボン酸類では十
分なスレーキング抑制はできない。更にまた特開平6-72
775号公報には、塩基性乳酸アルミニウムに無機酸及び
無機酸塩を含ませた添加物を使用して、塩基性耐火物の
耐スポーリング性、耐食性を向上する方法が記載されて
いるが、かかる方法では充分にスレーキング抑制するこ
とはできない。このような問題点のために塩基性骨材を
不定形耐火物に使用することは、特殊な場合、例えばス
レーキングが進行する前に水分が蒸発する熱間吹付け等
の場合を除き、極めて困難であった。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】本発明は塩基性骨材を
耐火物に使用した場合、亀裂や剥離、崩壊、施工体の強
度低下を抑制する耐食性に優れた施工性の良いスレーキ
ング抑制剤を得ることを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明者らは鋭意研究の
結果、塩基性有機酸多価金属(但し、アルカリ土類金属
を除く)塩と有機酸とを次式
【0008】
【数2】
【0009】で表される範囲で混合した溶液を乾燥して
なるスレーキング抑制剤が、マグネシア等の塩基性骨材
と水との水和反応を抑制し、スレーキング抑制できるこ
とを見いだし本発明を完成させるに至った。
【0010】
【作用】本発明で使用する塩基性有機酸多価金属塩とし
ては、本出願人の発明(特公昭61-16745号)である、Al2O
3/乳酸(モル比)=0.2〜2.0からなる塩基性乳酸アルミニ
ウムをはじめとして、塩基性ギ酸アルミニウム、塩基性
酢酸アルミニウム、塩基性酒石酸アルミニウム、塩基性
グリコール酸アルミニウム等のアルミニウム塩が挙げら
れ、混合前の状態は粉末であっても、溶液であっても良
い。
【0011】塩基性有機酸多価金属塩の製造に使用する
有機酸は、モノカルボン酸、ジカルボン酸、オキシカル
ボン酸などである。モノカルボン酸としては、ギ酸、酢
酸、プロピオン酸、n-酪酸、吉草酸などが挙げられ、ジ
カルボン酸としては、シュウ酸、コハク酸、マレイン
酸、マロン酸、フマル酸、グルタル酸などが挙げられ、
オキシカルボン酸としてはグリコール酸、乳酸、酒石
酸、リンゴ酸、クエン酸などが挙げられる。
【0012】そして、上記の塩基性有機酸アルミニウム
塩だけでなく、塩基性有機酸鉄塩、塩基性有機酸ジルコ
ニウム塩、塩基性有機酸クロム塩、塩基性有機酸チタン
塩が使用できる。
【0013】これらの塩基性有機酸多価金属塩の製造方
法は、塩化多価金属塩、硫酸多価金属塩、硝酸多価金属
塩、あるいはこれらの塩基性塩化多価金属塩等の水溶性
多価金属塩とアルカリ金属あるいはアンモニウムの炭酸
塩、重炭酸塩、水酸化物を反応させ生成沈澱する多価金
属水和物を先述の有機酸に溶解することなどにより製造
することができ、粉末化するときは乾燥すればよい。
【0014】また、その塩基度は多価金属水和物と有機
酸の使用割合を変えることにより容易に調整できる。そ
の範囲は多価金属酸化物に対し有機酸の持つカルボキシ
ル基のモル比で、アルミニウム、鉄、クロムなどの3価
の金属の場合、概ね3価金属酸化物(M2O3:Mは多価金
属)/有機酸の持つカルボキシル基=0.2〜2.0(モル比)の
範囲のものであり、ジルコニウム、チタンなどの4価金
属の場合、概ね4価金属酸化物(MO2)/有機酸の持つカル
ボキシル基=0.3〜2.0(モル比)の範囲のものである。す
なわち、モル比が上記範囲を逸脱すると安定性が低下し
製造が極めて困難となる。この場合、有機酸の持つカル
ボキシル基のモル数とは〔有機酸のモル数×有機酸一分
子当たりのカルボキシル基数〕とする。
【0015】塩基性有機酸多価金属塩と混合する有機酸
としては、モノカルボン酸、ジカルボン酸、オキシカル
ボン酸が使用できる。モノカルボン酸としては、ギ酸、
酢酸、プロピオン酸、n-酪酸、吉草酸などが挙げられ、
ジカルボン酸としては、シュウ酸、コハク酸、マレイン
酸、マロン酸、フマル酸、グルタル酸などが挙げられ、
オキシカルボン酸としてはグリコール酸、乳酸、酒石
酸、リンゴ酸、クエン酸などが挙げられる。より好まし
くは、作業環境の点から臭いの無いジカルボン酸、オキ
シカルボン酸の使用が好ましい。
【0016】本発明は次式
【0017】
【数3】
【0018】で示される範囲で混合するものであるが粉
末同士を混合し、これに適量の水を加え混合溶液として
も良いし、溶液同士を混合し混合溶液としても良い。ま
た、塩基性有機酸多価金属塩粉末と有機酸溶液を混合し
適量の水を加えて混合溶液を調整しても良い。混合溶液
の濃度は経済性、乾燥性、スレーキング抑制効果を考慮
するとM2O3あるいはMO2として1〜10%が良い。
【0019】次に両者の混合割合について言えば塩基性
骨材等の種類、使用目的、塩基性有機酸多価金属塩、あ
るいは有機酸の種類により異なり、一概に規制すること
はできないが、塩基性有機酸多価金属塩の金属が3価の
場合、M2O3/有機酸の持つカルボキシル基(モル比)=0.1
〜1.5の範囲、また金属が4価の場合、MO2/有機酸の持
つカルボキシル基(モル比)=0.2〜2.0の範囲が良い。そ
して塩基性有機酸多価金属塩と有機酸とを次式
【0020】
【数4】
【0021】で示される範囲で混合した溶液を乾燥する
ことによりスレーキング抑制剤を製造すれば良い。混合
条件を更に具体的に示せば、塩基性多価金属塩の種類、
添加する有機酸の種類や組み合わせにより一定ではない
が、混合溶液の液温(以下保持温度という)が30℃以下で
あれば168時間以内(以下保持時間という)、50℃であれ
ば72時間以内、75℃であればに24時間以内、100℃であ
れば6時間以内、150℃であれば2時間以内に乾燥すれば
良い。より好ましくは50℃以下で24時間以内に乾燥する
ことが好ましい。保持時間内は攪拌を続けてもよいし、
攪拌した後静置してもよい。本発明に於いて、式で示さ
れた範囲を逸脱した条件で両者が混合されると、この溶
液を乾燥してもスレーキング抑制能は十分でない。
【0022】乾燥方法は、通風乾燥、噴霧乾燥、凍結乾
燥等の通常の乾燥方法を用いれば良い。
【0023】本発明における水和抑制のメカニズムの解
明は未だ十分でないが、次のように考えられる。すなわ
ち、混合した有機酸や有機酸多価金属塩の有機酸、特に
混合した有機酸が先ず、マグネシアなどの表面にある活
性部位に水以上の結合力で結合し、漸次多価金属塩の有
機酸が活性部位と結合し、さらに有機酸を奪われた多価
金属がゲル化し、このゲルがマグネシア骨材などの表面
をコーティングするために水和反応が抑制されると考え
られる。
【0024】塩基性有機酸多価金属塩単独では、含有す
る有機酸が多価金属と強く結合しているため水和反応抑
制効果は不十分であり、スレーキング抑制効果が十分に
発現しない。一方、有機酸単独では短時間で流動性が無
くなり、作業時間の確保が困難となる。
【0025】式で示された範囲を逸脱した条件で、塩基
性有機酸多価金属塩と有機酸を混合し乾燥した場合、有
機酸と多価金属との結合が強固になるために、マグネシ
ア骨材にある活性部位に有機酸が結合しにくくなり、水
和反応抑制効果が不十分になると考えられる。
【0026】また特公昭60-58183号に見られるクエン酸
ナトリウム等の有機酸アルカリ金属塩は、アルカリ金属
自身が強塩基性であり、活性度が非常に高い。このため
に、有機酸がマグネシア骨材などの活性部位と結合しに
くいため水和抑制効果は大きく劣る。その結果、本発明
の目的とするスレーキング抑制効果も劣り不適切なもの
である。有機酸アルカリ土類金属塩も、アルカリ土類金
属が塩基性骨材などの活性部位と同じ程度の活性度を持
つために、有機酸が塩基性骨材の活性部位に優先的に結
合することはなく効果的でない。
【0027】さて、本発明のスレーキング抑制剤を使用
してその効果が得られる物質、すなわち対象物質として
は、電融マグネシア、海水マグネシア、天然マグネシア
やアルミナ−マグネシアスピネル、マグネシアクロム
(又はクロムマグネシア)、ドロマイト、カルシアなどの
物質(骨材)が挙げられるが、水と反応性のある塩基性
物質であれば良い。また、効果を更に高めるために、こ
れらの物質にパラフィン、油類等のコーティングを行っ
た物質や表面に炭酸処理を行った物質であっても良い。
本発明のスレーキング抑制剤の使用割合は塩基性物質の
種類、利用目的等により異なるが概ね0.1〜10重量部で
ある。本発明スレーキング抑制剤は塩基性骨材を用いた
不定形耐火物に使用して特にその効果を良く発現する。
【0028】
【実施例】以下本発明の実施例を挙げて更に説明する。
特に断らない限り%は重量%を示す。
【0029】(実施例1)骨材としてマグネシア骨材
(宇部ク゛リーン:粒子径3mm以上 25.7%、1〜3mm 28.6%、
0.088〜1mm 17.1%、0.088mm以下 28.6%)を100重量
部、硬化材としてハイアルミナセメント(電気化学製)5.
0重量部を用い、これに本発明スレーキング抑制剤とし
て、塩基性乳酸アルミニウム溶液(Al2O3/乳酸のカルボ
キシル基=0.63(モル比)、Al2O3=8.5%)と70%グリコール
酸溶液との混合溶液(塩基性乳酸アルミニウムのAl2O3/
グリコール酸の持つカルボキシル基=0.26(モル比))を30
℃で6時間保持した後、噴霧乾燥した粉末を加え、分散
剤としてリグニンスルホン酸ナトリウム0.1重量部を加
え、更に水を加えた後、十分に混練し、2×2×8cmの金
型へ振動成形機にて流し込み成形を行ない、20℃で24時
間養生後脱型し試料を作製した。スレーキング試験はこ
の試料を152℃の飽和水蒸気下(5kgf/cm2)で5時間放置す
ることより行った。
【0030】また強度測定はスレーキング試験を行った
試料と、スレーキング試験を行っていない試料のそれぞ
れを110℃で24時間熱処理し、室温まで冷却した後、万
能強度試験機(丸菱科学機器製作所製)を用いて冷間曲げ
強度を測定した。その結果を表1に示す。
【0031】
【表1】
【0032】本発明スレーキング抑制剤を添加しなかっ
た試料は、崩壊したためにスレーキング試験後の強度測
定はできなかった。このように塩基性乳酸アルミニウム
とグリコール酸との混合溶液を30℃で6時間保持した後
に噴霧乾燥して得られた本発明スレーキング抑制剤の効
果は明かであり、しかも本発明スレーキング抑制剤を添
加した試料のスレーキング試験後の強度は、試験をしな
かった試料と比べて上がる結果となった。尚、本発明例
No.1の場合、スレーキング抑制剤の添加量が少なく望ま
しくない。
【0033】(実施例2)実施例1で用いた塩基性乳酸
アルミニウム溶液及びグリコール酸溶液と同一の混合溶
液を表2の示すように保持し、噴霧乾燥した。保持温度
が100℃をこえる時はオートクレーブを使用した。その
粉末0.2重量部を実施例1と同一組成のマグネシア骨材1
00重量部、ハイアルミナセメント5.0重量部及びリグニ
ンスルホン酸ナトリウム0.1重量部の混合物に加え、更
に水7.0重量部を加えた後、十分に混練し、2×2×8cmの
金型へ振動成形機にて流し込み成形を行ない、20℃で24
時間養生後脱型し試料を作製した。実施例1と同様にス
レーキング試験を行った。その結果を併せて表2に示
す。
【0034】
【表2】
【0035】(実施例3)骨材としてアルミナ骨材(3mm
以上 25.7重量%、1〜3mm 28.6重量%、0.088〜1.0mm 2
7.1重量%、0.088mm以下 18.6重量%)を100重量部にマ
グネシア超微粉(平均粒子径10μm以下)を10重量部配合
し、これに塩基性有機酸多価金属塩粉末と有機酸溶液を
表3に示す割合で混合し乾燥した粉末を加え、これに水
7.0重量部を添加し、十分に混練後、2×2×8cmの金型へ
振動成形機にて流し込み成形を行なった。これを20℃で
24時間養生した後、脱型し実施例1と同様のスレーキン
グ試験を行った。また、同時に作業性も調べた。その実
施例の結果を表3に、比較例13〜20の結果を表4に、比
較例21〜29の結果を表5に示す。なお表中の有機酸の重
量部は乾燥粉末に含有される有機酸量を表す。
【0036】
【表3】
【0037】
【表4】
【0038】
【表5】
【0039】このように塩基性有機酸多価金属塩と有機
酸の混合溶液を本発明の式の範囲内に於いて混合し、乾
燥することからなる本発明スレーキング抑制剤を添加す
れば、良好なスレーキング抑制効果と作業性が得られる
のに対し、同一物を本発明の範囲外で混合し、乾燥して
得られる粉末はスレーキング抑制効果が落ちる。スレー
キング抑制剤を添加しないものはスレーキング試験で崩
壊する。そして、塩基性有機酸多価金属塩だけでは、作
業性は良いがスレーキング抑制効果が不十分となる。ま
た、有機酸だけではスレーキング抑制効果も不十分であ
り、さらに作業性が悪くなる結果となった。尚、本発明
例No.35の場合、bが高きに過ぎ、また、No.36の場合bが
低きに過ぎ望ましくない。
【0040】 (実施例4)骨材として炭酸処理を施し、
水和反応をある程度抑制したドロマイト骨材(新日本化
学工業(株)製、商品名:CM−45、粒子径3mm以上
58.0%、1〜3mm 42.0%)30重量部とアルミナ骨材(粒子
径0〜3mm)70重量部を配合し、この骨材100重量部にシリ
カ超微粉(平均粒子径10μm以下)2.0重量部、縮合リン酸
カルシウム0.5重量部、硬化材としてハイアルミナセメ
ント(電気化学工業(株)製)2.0重量部を加えた。さら
に表4に示すように塩基性有機酸多価金属塩粉末と有機
酸粉末を混合した後、金属酸化物の濃度(M2O3またはMO
2)が2.0%になるように水を加え溶解し、この水溶液を5
0℃で24時間保持した後に乾燥した本発明スレーキング
抑制剤5.0重量部と水8.0重量部を混合した。これを2×2
×8cmの金型へ振動成形機にて流し込み成形を行なっ
た。20℃で24時間養生後、脱型し130℃の飽和水蒸気下
(3Kgf/cm2)で3時間のスレーキング試験を行った。このa
及びbはそれぞれ0.5、0.5であった。その結果を表4に
示す。
【0041】
【表6】
【0042】尚、スレーキング抑制剤を添加しないもの
は、スレーキング試験評価値1となった。
【0043】
【発明の効果】本発明は塩基性有機酸多価金属塩と有機
酸とを特定の範囲内で混合した溶液を乾燥してなるスレ
ーキング抑制剤を用い、特に塩基性骨材を耐火物に使用
した場合、従来からの問題であった亀裂や剥離、崩壊、
施工体の強度低下に代表されるスレーキング現象を抑制
し、耐食性に優れた耐火物を提供するものである。

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 塩基性有機酸多価金属(但し、アルカリ
    土類金属塩を除く)塩と有機酸とを次式 【数1】y≦{(x-100)2/30}+6 (0<x≦100) y≦{(x-200)2/2000}+1(100<x≦200) (但し、xは温度(℃)、yは時間(hr)を表す) で表される範囲で混合した溶液を乾燥してなるスレーキ
    ング抑制剤。
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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2012131744A (ja) * 2010-12-22 2012-07-12 Taki Chem Co Ltd 塩基性乳酸アルミニウム水溶液及びその製造方法
JP2017131816A (ja) * 2016-01-26 2017-08-03 新日鐵住金株式会社 NOx還元触媒およびその製造方法

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