JPH07290305A - ボーリングバー - Google Patents

ボーリングバー

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JPH07290305A
JPH07290305A JP6086703A JP8670394A JPH07290305A JP H07290305 A JPH07290305 A JP H07290305A JP 6086703 A JP6086703 A JP 6086703A JP 8670394 A JP8670394 A JP 8670394A JP H07290305 A JPH07290305 A JP H07290305A
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JP
Japan
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boring bar
main body
cfrp
fiber
coating layer
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Application number
JP6086703A
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English (en)
Inventor
Hiroki Ueda
宏樹 上田
Yoshio Inoue
喜雄 井上
Hiroyuki Mori
啓之 森
Atsushi Takusagawa
篤 田草川
Kazuko Nagura
和子 名倉
Tomoji Takahashi
知二 高橋
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Kobe Steel Ltd
Original Assignee
Kobe Steel Ltd
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Publication date
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    • BPERFORMING OPERATIONS; TRANSPORTING
    • B23MACHINE TOOLS; METAL-WORKING NOT OTHERWISE PROVIDED FOR
    • B23BTURNING; BORING
    • B23B29/00Holders for non-rotary cutting tools; Boring bars or boring heads; Accessories for tool holders
    • B23B29/02Boring bars
    • B23B29/022Boring bars with vibration reducing means

Landscapes

  • Engineering & Computer Science (AREA)
  • Mechanical Engineering (AREA)
  • Cutting Tools, Boring Holders, And Turrets (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【目的】 L/Dをより大きくした場合でも、びびり振
動を効果的に抑制でき、高い加工精度の中ぐり切削が行
えるボーリングバーを得る。 【構成】 軸状のシャンク部(3) 先端に切削チップ(1)
を保持するヘッド部(2)を設けてなるボーリングバーお
いて、そのシャンク部(3) が、繊維強化プラスチックか
らなる軸状の本体(4) の外周を該繊維強化プラスチック
よりも曲げ弾性率の高い鋼材やアルミ材等の被覆層(5)
で被覆してなる構成とする。 【効果】 シャンク部の本体を構成するプラスチックの
マトリックス材の剪断変形を、外周の被覆層で拘束する
ことによって、高剛性と高損失係数とを同時に確保で
き、よってL/Dをより大きくした場合でも、びびり振
動の発生を抑えて、ワークを精度良く中ぐり切削するこ
とができる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、工作機械において中ぐ
り切削を行う際に用いられるボーリングバー関するもの
である。
【0002】
【従来の技術】工作機械においてワークを中ぐり加工す
る際に用いられるボーリングバーでは、そのバーの径D
に対する該バーの固定部からの突き出し長さLの比、す
なわちL/Dが大きくなるにつれて、加工時にびびり振
動が発生し易くなり、このびびり振動が、ワーク加工面
の仕上げ精度を低下させたり、バー先端の切削チップの
寿命を低下させる原因となる。そこで従来では、L/D
が大きくなる場合には、剛性の高い超硬合金材からなる
超硬バーや、バー本体に振動吸収材や防振機構を配した
各種の防振バーなどを用いて、びびり振動の発生を回避
していた。
【0003】また、実開平5-39806 号公報に開示されて
いるように、ボーリングバーの剛性を高めるために、バ
ー本体の材料として繊維強化複合材を用いたものもあ
る。このボーリングバー(実開平5-39806 号)は、〔図
5〕に示すように、先端にチップを保持するチップ部(2
1)を、後端側にクランプ部(22)を設けた軸状の鋼製コア
(20)を有し、かつ、この鋼製コア(20)のチップ部(21)と
クランプ部(22)との間の周囲に炭素繊維強化プラスチッ
ク(以下、CFRPと略称する)からなるシェル(23)を
被覆した構成とされており、そのシェル(12)のCFRP
の剛性が高く、かつ比重が小さいことからバー本体の固
有振動数が高く、かつCFRPは鋼に比べると振動減衰
特性を示す損失係数が大きいので、バー全体の損失係数
も鋼製バーに比べて大きくなり、これによって、びびり
振動の抑制を可能としている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかし、上記従来技術
によるボーリングバーでは、次のような問題点がある。
すなわち、前記超硬バーでは、用いる超硬合金材の単位
体積重量が大きいので、バーが大径になると重量が過大
になると共に高価となる。また、前記防振バーは、構造
が複雑でかつ高価であり、また使用時には細かな調整が
必要となる。
【0005】一方、CFRP等の繊維強化複合材は、繊
維と繊維の間のマトリックス材の剛性がある程度低くな
り、マトリックス材に剪断変形が生じるような状態で、
マトリックス材自身の損失係数が大きい場合、その繊維
強化複合材の損失係数が大きくなるという特性がある。
また、このマトリックス材の剪断変形は該繊維強化複合
材の断面方向では中心部ほど大きくなる特性がある。そ
して、繊維強化プラスチックのマトリックス樹脂の動的
縦弾性率を変化させた時の繊維強化プラスチック自身の
損失係数と剛性(動的縦弾性率)との関係は、〔図4〕
のグラフに示すように、ほぼ反比例の関係にあり、損失
係数(振動減衰特性)を高く持たせた場合には、剛性の
低下が著しく、また鋼材と同等以上の剛性を持たせた場
合には、損失係数が著しく低下するという特性がある。
これに対し、CFRP等の繊維強化プラスチックを用い
た前記従来のボーリングバーでは、鋼製コアの周囲に繊
維強化プラスチックからなるシェルを被覆した構造とし
ている。従って、構造上最も剪断変形の大きくなる断面
中心部に鋼が存在しているので、効果的に損失係数を高
めることができない。また、これを補うために、損失係
数を大きく取った繊維強化プラスチックを用いると、該
繊維強化プラスチック自身の剛性は低くなり、鋼製のコ
アによってバー全体の剛性を確保することになるが、こ
のコアは断面中心部にあることから断面2次モーメント
が低く、剛性は低くなってしまう。そのため、この従来
技術の構造では、L/Dをより大きくした場合、その剛
性と損失係数とを併せて高めない限り、効果的にびびり
振動を抑えることができなくなるという問題が発生す
る。
【0006】本発明は、上記従来技術の問題点に鑑み、
高剛性と高損失係数とを同時に確保でき、よってL/D
をより大きくした場合でも、びびり振動を効果的に抑制
できるボーリングバーを提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に、本発明は以下の構成とされている。すなわち、本発
明に係るボーリングバーは、軸状のシャンク部の先端に
切削チップを保持するヘッド部を設けてなるボーリング
バーおいて、前記シャンク部が、繊維強化複合材からな
る軸状の本体と、この本体の外周に被覆され、前記繊維
強化複合材よりも曲げ弾性率の高い高弾性材からなる被
覆層とを備えてなることを特徴とする。
【0008】また、上記被覆層が金属材からなるものと
されても良い。
【0009】また、上記被覆層がセラミックス材からな
るものとされても良い。
【0010】
【作用】前述のように、繊維強化複合材は、繊維と繊維
の間のマトリックス材に剪断変形が生じるような状態
で、損失係数が大きくなるが、その損失係数と剛性(動
的縦弾性率)とは、ほぼ反比例の関係あるため、損失係
数(振動減衰特性)を高く持たせた場合には、剛性の低
下が著しくなり、また逆に剛性を高めた場合には、損失
係数の低下が著しくなるため、そのままでは剛性と損失
係数とを同時に高めるにはある限界が生じる。ここで、
本発明のボーリングバーにおいては、そのシャンク部
の、繊維強化複合材からなる本体の外周を、該本体の繊
維強化複合材よりも曲げ弾性率の高い高弾性材からなる
被覆層で被覆しているので、このシャンク部本体を構成
する繊維強化複合材のマトリックス材の剪断変形を、断
面方向円周上で拘束することによって、該繊維強化複合
材の剛性を高めることができ、かつまた、この繊維強化
複合材の断面方向中心部でのマトリックス材の剪断変形
は拘束していないので、損失係数も大きく取ることがで
き、すなわち、そのシャンク部の高剛性と高損失係数と
を同時に確保でき、よってL/Dをより大きくした場合
でも、びびり振動を効果的に抑制して、ワークを精度良
く切削することができる。
【0011】また、そのシャンク部の本体を構成する繊
維強化複合材の外周を、該繊維強化複合材よりも曲げ弾
性率の高い金属材ないしはセラミック材からなる被覆層
で被覆することで、上記のように高剛性と高損失係数と
を同時に確保できると共に、切削時に用いられる油や水
等の、当該繊維強化複合材にとって腐食等の問題が生じ
るような環境下における耐食性の改善が図れ、かつま
た、切削中に発生する切りこ等よる損傷から繊維強化複
合材を保護して耐用寿命を延長も図れる。
【0012】
【実施例】本発明の実施例について、以下に図面を参照
して説明する。〔図1〕の (a)図は本発明に係るボーリ
ングバーの1実施例の構成を示す一部破断側面図であ
る。〔図1〕の (a)図に示す本実施例のボーリングバー
は、軸状のシャンク部(3)の先端に切削チップ(1) を保
持する方形板状のヘッド部(2) を設けてなる。
【0013】また、シャンク部(3) は、CFRP(炭素
繊維強化プラスチック)からなる軸状の本体(4) の外周
を、金属材からなる被覆層(5) で被覆してなる。そし
て、このシャンク部(3) の先端に、ヘッド部(2) が溶接
によって取付けられている。
【0014】本実施では、まず、強化繊維を所定本数束
ねてなるロービングを、樹脂槽内に浸漬して、このロー
ビングにマトリックス樹脂を含浸させ、これを所定肉厚
の金属管内に挿入して、外径16mm、長さ 200mmの軸状体
に形成し、次いで、これをオーブン内において所定温度
・時間で加熱して、内部の樹脂を硬化させることで、C
FRPからなる軸状の本体(4) の外周を、金属材の被覆
層(5) で被覆してなるシャンク部(3) を形成した。そし
て、このシャンク部(3) 先端にヘッド部(2) を溶接して
上記構成のボーリングバーに形成した。
【0015】また、本体(5) のCFRPは、強化繊維と
して 49033MPa(50000kgf/mm2) の縦弾性率を有する石油
ピッチ系炭素繊維XN−50(日本石油社製グラノッ
ク)、石炭ピッチ系炭素繊維K−135(三菱化成社製
ダイアリード)およびPAN系炭素繊維M50B(東レ
社製トレカ)を用いた。また、マトリックス樹脂には、
エポシキ樹脂の「エピコート87(エポシキ当量43
0)」(シェル社製)、硬化剤には酸無水物「エピクロ
ンB570」(大日本インキ社製)、イミダゾール「エ
ピキュアEM−24」(シェル社製)を 100:27.0:2.
8 の割合で混合したものを用い、これを 170℃で30分間
加熱して、硬化反応を行わせた。このCFRPの強化繊
維の縦弾性率、マトリックス樹脂の振動周波数1000Hz、
25℃での縦弾性率および損失係数を〔表1〕に示す。
【0016】
【表1】
【0017】また、本体(4) の外周の被覆層(5) として
の金属管には、弾性率が 205940MPa(21000kgf/mm2)で、
厚さtが 0.25mm 、0.35mmおよび 0.5mmの鋼管(S45C相
当)と、弾性率が 68647MPa(7000kgf/mm2)で、厚さtが
0.5mm、1.0mm および1.5mmのアルミ管(純アルミ)と
を用いた。そして、これらシャンク部(3) について、そ
の先端にヘッド部(2) を溶接する前に、以下により、そ
の剛性と損失係数の評価を行った。
【0018】軸状のシャンク部(3) を両端自由の境界条
件で曲げ方向に打撃を行い、その時の自由振動の波形か
らFFT(小野測器CF350)を用いて曲げ1次の固
有振動数fを求めた。また、この時の本体(4) のCFR
Pの動的縦弾性率ECFRPは、下記 [1]式で求められる。 ECFRP=16・(2πfCFRP)2・L4 ・ρCFRP/DCFRP 2 ・4.734 ----[1] ここで、ρCFRPは上記CFRPの密度、DCFRPは直径、
Lは長さである。
【0019】そして、本実施例の各シャンク部(3) の動
的縦弾性率Eは、下記 [2]式で求めた。 E=1/ICFRP・[(K・L3 /4.734)−(EMETAL ・IMETAL )] ----[2] ここで、Kは上記測定1次固有振動数fから求まるシャ
ンク部(3) のバネ定数、ICFRPおよびIMETAL は本体
(4) CFRPおよび被覆層(4) 金属材の断面2次モーメ
ントであって、これらは下記 [3]〜 [5]式で求められ
る。また、Lはシャンク部(3) の長さ、EMETAL は被覆
層(4) の金属材の動的縦弾性率である。 K=M・( 2π・f)2 ----[3] ICFRP=π/DCFRP 4 /64 ----[4] IMETAL =π・[(DCFRP+ 2t)4−DCFRP 4]/64 ----[5] ここで、Mはシャンク部(3) の質量、tは前記被覆層
(4) として用いた金属管の厚さである。
【0020】一方、本実施例の各シャンク部(3) の損失
係数ηは、上記自由振動の波形から対数減衰率δを求
め、下記 [6]式の関係から求めた。 η=δ/π ----[6] これらの結果を、〔表2〕および〔表3〕に示すと共
に、〔図1〕の (b)図のグラフに従来技術のものと対比
させて示す。なお、〔表2〕はCFRPからなる本体外
周を鋼材からなる被覆層で被覆した例、〔表3〕は同本
体外周をアルミ材からなる被覆層で被覆した例の値をそ
れぞれ示す。また、これら表中のVf%は、CFRPの繊
維体積含有率を示す。
【0021】
【表2】
【0022】
【表3】
【0023】また、〔図1〕の (b)図のグラフ中に、四
角印でプロットした値は、CFRPからなる本体外周を
鋼材被覆層で被覆した本実施例(〔表2〕に対応)、丸
印でプロットした値は、同本体外周をアルミ材被覆層で
被覆した本実施例(〔表3〕に対応)の結果をそれぞれ
示し、また、三角印のプロットは、鋼製コアの外周をC
FRPからなるシェルで被覆した従来技術よる比較例の
結果を示し、曲線Aは、〔図4〕のグラフに示したCF
RP単体の軸状体での値を示す。
【0024】なお、CFRP単体の軸状体の動的弾性率
Eは前記 [1]式から求められ、また、鋼製コア外周をC
FRPのシェルで被覆した従来技術の動的弾性率Eは、
前記[2]式における2次モーメントICFRPおよびI
METAL を、下記 [7]および [8]式から定めることで、求
められる。 ICFRP=π・[(DMETAL + 2tCFRP)4−DMETAL 4]/64 ----[7] IMETAL =π・DMETAL 4 /64 ----[8] ここで、DMETAL は鋼製コアの直径、tCFRPはCFRP
シェルの厚さである。
【0025】〔表2〕、〔表3〕および〔図1〕の (a)
図のグラフに示すように、本実施例のものでは、縦弾性
率、損失係数共に従来技術では不可能であった大きな値
を実現することができた。
【0026】次いで、上記本実施例の各シャンク部(3)
の先端に、ヘッド部(2) を溶接すると共に該ヘッド部
(2) に切削チップ(1) を取付けて1体のボーリングバー
とし、その内の鋼材被覆層を有するボーリングバー(被
覆層厚0.35mmm 、直径16mmのシャンク部を備えたもの)
について、以下の評価試験と中ぐり切削試験を行った。
また、比較のために、直径16mmの炭素鋼(S45C)単体のシ
ャンク部に上記と同じヘッド部と切削チップを取付けた
ボーリングバーを準備して、上記と同条件の試験を行っ
た。
【0027】まず、上記ボーリングバーを、突き出し量
を 96mm とした片持で固定し、この状態での固有振動数
と損失係数を求めた。固有振動数の測定方法は、切削チ
ップ先端に加速度センサを取付け、その切削チップ先端
を曲げ方向に打撃することによって得られる自由振動波
形の信号から、FFT(小野測器CF350)を用いて
曲げ1次の固有振動数fを求めた。また、損失係数η
は、前記シャンク部と同様に前記 [6]式から求めた。そ
の結果を〔表4〕に示す。
【0028】
【表4】
【0029】〔表4〕に示すように、本実施例のボーリ
ングバーは、鋼単体のシャンク部を備えた比較例のボー
リングバー比べて、固有振動数はほぼ同レベルあるが、
その損失係数は約4倍と大幅に大きな値を示した。
【0030】続いて、それらボーリングバーにて(突き
出し量96mm)、ワークの回転速度を300rpm、切り込み量
を 0.1mm、送り速度を 0.08mmrevとする切削条件で、中
ぐり切削試験を行い、その切削チップ先端の振動加速度
を測定した。その結果を〔図2〕の (a)図および (b)図
のグラフに示す。なお、〔図2〕の(a)図のグラフは、
本実施例のボーリングバー、 (b)図のグラフは比較例の
ボーリングバーそれぞれによる中ぐり切削時のひびり振
動波形を示す。
【0031】〔図2〕の (b)図のグラフに示すように、
比較例のボーリングバーは、比較的大きなひびり振動を
起こしており、これに対して本実施例のボーリングバー
は、(a)図のグラフに示すように、びびり振動を起こし
てなく、これにより本実施例のボーリングバーでは、中
ぐり切削中におけるびびり振動を効果的に抑制できるこ
とが確認された。
【0032】以上に述べたように、本実施例のボーリン
グバーでは、シャンク部の本体を構成するCFRPのマ
トリックス材の剪断変形を外周の被覆層で拘束すること
で、高剛性と高損失係数とを同時に実現できて、中ぐり
切削中におけるびびり振動を効果的に抑制でき、これに
より、本発明の優れた効果を確認することができた。更
に、本実施例のボーリングバーでは、シャンク部本体を
構成するCFRPの外周を、鋼材ないしはアルミ材から
なる被覆層で被覆することで、切削時に用いられる油や
水等の、当該CFRPにとって腐食等の問題が生じるよ
うな環境下における耐食性の改善が図れ、かつまた、切
削中に発生する切りこ等よる損傷から繊維強化複合材を
保護して耐用寿命を延長も図れる。
【0033】なお、上記実施例のボーリングバーでは、
切削チップ(1) を保持するヘッド部(2) とシャンク部
(3) は、溶接によって接合したが、これは1例であっ
て、そのヘッド部(2) とシャンク部(3) とは、例えば
〔図3〕に示す構造を採ることで、着脱可能に接続する
ことができる。
【0034】〔図3〕の (a)図および (b)図は、本発明
のボーリングバーの別の実施態様の構成を示す一部破断
側面図である。なお、これら実施態様のボーリングバー
は、ヘッド部とシャンク部の接続構成が異なる点を除い
て、上記実施例と同じであるので、等価な各部に〔図
1〕と同符号を付して説明を省略し、その差異点にみを
要約して説明する。〔図3〕の (a)図のボーリングバー
では、ヘッド部(2) の後端に、シャンク部(3) と同径の
円盤状の取付座(2a)を設ける一方、シャンク部(3) の先
端に冠状のアダプタ(3a)を被せて固着し、かつ、それら
の取付座(2a)とアダプタ(3a)とを、複数のボルト(6) を
介して締結することで、そのヘッド部(2) とシャンク部
(3)とを着脱可能に接続している。また、同 (b)図のボ
ーリングバーでは、ヘッド部(2) の後端に、上記と同様
の取付座(2a)を設ける一方、シャンク部(3) の先端に円
盤状のアダプタ(3a') を溶接し、かつ、それらの取付座
(2a)とアダプタ(3a')とを、複数のボルト(6) を介して
締結することで、そのヘッド部(2) とシャンク部(3) と
を着脱可能に接続している。
【0035】また、上記実施例では、シャンク部(3) の
本体(4) に、CFRP(炭素繊維強化プラスチック)を
用いると共に、その本体(4) 外周を鋼材ないしはアルミ
材からなる被覆層(5) で被覆したが、これは1例であっ
て、その本体(4) には、剛性が高く、かつ比重が小さく
て損失係数の大きいものであれば、その他の繊維強化複
合材、例えば、強化繊維が金属繊維、ガラス繊維、アラ
ミド繊維等からなる繊維強化複合材を用いても良い。ま
た、被覆層(5) としては、本体(4) 用いられる繊維強化
複合材よりも曲げ弾性率が高くて、該繊維強化複合材の
マトリックス材の剪断変形を効果的に拘束できるもので
あれば、例えば、合金鋼材やアルミ合金材をはじめ、そ
の他の金属材を用いて良いことは言うまでもなく、ま
た、金属材に限らずセラミックス等を用いても良い。
【0036】また、上記実施例では、シャンク部(3) の
本体(4) と被覆層(5) を1体化するについて、強化繊維
を束ねたロービングにマトリックス樹脂を含浸させ、こ
れを被覆層(5) としての金属管内に挿入して軸状体に形
成し、次いで、オーブン内で加熱して内部の樹脂を硬化
させることで、CFRPからなる本体(4) 外周を金属材
の被覆層(5) で被覆したシャンク部(3) としたが、この
方法以外に、マトリックス樹脂を含浸させた強化繊維の
ロービングを、所定温度に保持された金型内に挿入し、
これを所定速度で引き抜いて硬化・成形する引き抜き成
形法によって、硬化済の繊維強化複合材からなる軸状の
本体(4) を形成し、これを被覆層(5) としての金属管内
に圧入することで、ないしは挿入してエポキシ樹脂等の
接着剤を用いて固着させることで1体化することもでき
る。また、硬化済の繊維強化複合材からなる軸状の本体
(4) を得るには、引き抜き成形法以外に、予め樹脂の含
浸された一方向プリプレグをローリング法等により成形
し、その後例えばオートクレーブ等で加圧・硬化させる
方法や、フィラメントワインディング法により成形する
方法等を採用されて良く、また、これら成形方法を組み
合わせた成形方法も適用されて良い。更に、硬化済の繊
維強化複合材からなる本体(4) 外周を、被覆層(5) で被
覆するには、金属管に限るものでなく、例えば、セラミ
ックスコーテングや硬質クロームめっき、ないしはイオ
ンプレーティング等を施のも良い。
【0037】
【発明の効果】以上に述べたように、本発明に係るボー
リングばーは、高剛性と高損失係数とを同時に確保で
き、よってL/Dをより大きくした場合でも、びびり振
動を起こすことなく、高い加工精度の中ぐり切削を行う
ことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のボーリングバーの1実施例の構成とそ
の損失係数および動的弾性率を示す図面であって、 (a)
図は構成を示す一部破断側面図、 (b)図は損失係数およ
び動的弾性率を示すグラフである。
【図2】本発明の実施例のボーリングバーに関わる中ぐ
り切削時のひびり振動波形を示すグラフであって、 (a)
図のグラフは本実施例のボーリングバー、 (b)図のグラ
フは比較例のボーリングバーそれぞれによる中ぐり切削
時のひびり振動波形を示すグラフである。
【図3】本発明のボーリングバーの別の実施態様の構成
を示す一部破断側面図である。
【図4】繊維強化プラスチックにおけるマトリックス樹
脂の動的縦弾性率を変化させた時の該繊維強化プラスチ
ック自身の損失係数と剛性(動的縦弾性率)との関係を
示すグラフである。
【図5】従来の繊維強化複合材を用いたボーリングバー
の構成を示す一部破断側面である。
【符号の説明】
(1) --切削チップ (2) --ヘッド部 (3) --シャンク部 (4) --本体 (5) --被覆層
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 田草川 篤 兵庫県神戸市西区高塚台1丁目5番5号 株式会社神戸製鋼所神戸総合技術研究所内 (72)発明者 名倉 和子 兵庫県神戸市西区高塚台1丁目5番5号 株式会社神戸製鋼所神戸総合技術研究所内 (72)発明者 高橋 知二 兵庫県神戸市西区高塚台1丁目5番5号 株式会社神戸製鋼所神戸総合技術研究所内

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 軸状のシャンク部の先端に切削チップを
    保持するヘッド部を設けてなるボーリングバーおいて、
    前記シャンク部が、繊維強化複合材からなる軸状の本体
    と、この本体の外周に被覆され、前記繊維強化複合材よ
    りも曲げ弾性率の高い高弾性材からなる被覆層とを備え
    てなることを特徴とするボーリングバー。
  2. 【請求項2】 被覆層が金属材からなる請求項1記載の
    ボーリングバー。
  3. 【請求項3】 被覆層がセラミックス材からなる請求項
    1記載のボーリングバー。
JP6086703A 1994-04-25 1994-04-25 ボーリングバー Pending JPH07290305A (ja)

Priority Applications (1)

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JP6086703A JPH07290305A (ja) 1994-04-25 1994-04-25 ボーリングバー

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