JP2941681B2 - ボーリングバー - Google Patents

ボーリングバー

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JP2941681B2
JP2941681B2 JP7059959A JP5995995A JP2941681B2 JP 2941681 B2 JP2941681 B2 JP 2941681B2 JP 7059959 A JP7059959 A JP 7059959A JP 5995995 A JP5995995 A JP 5995995A JP 2941681 B2 JP2941681 B2 JP 2941681B2
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    • BPERFORMING OPERATIONS; TRANSPORTING
    • B23MACHINE TOOLS; METAL-WORKING NOT OTHERWISE PROVIDED FOR
    • B23BTURNING; BORING
    • B23B29/00Holders for non-rotary cutting tools; Boring bars or boring heads; Accessories for tool holders
    • B23B29/02Boring bars
    • B23B29/022Boring bars with vibration reducing means

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  • Engineering & Computer Science (AREA)
  • Mechanical Engineering (AREA)
  • Cutting Tools, Boring Holders, And Turrets (AREA)

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、工作機械において中ぐ
り切削加工を行う際に用いられるボーリングバーに関す
る。
【0002】
【従来の技術】工作機械においてワークを中ぐり切削加
工する際に用いられるボーリングバーは、そのバー径D
に対する該バー固定部からの突き出し長さLの比、すな
わち、L/Dが大きくなるにつれて、切削加工時にびび
り振動が発生し易くなり、このびびり振動が、ワーク加
工面の仕上げ精度を低下させたり、バー先端の切削チッ
プの寿命を低下させる等の問題が生じる。そこで、従
来、L/Dが大きくなる場合には、剛性の高い超硬合金
材からなる超硬合金製バーを用いたり、バー本体に振動
吸収材や防振機構を配した各種の防振バーを用いて、び
びり振動の発生を回避していた。
【0003】また、実開平5−39806号公報に記載
されているように、ボーリングバーの剛性を高めるため
に、バー本体の材料として繊維強化複合材(炭素繊維強
化プラスチック)を用いたものを採用しているものがあ
る。この種のボーリングバーは、図6に示すように、先
端に切削チップを保持するチップ部51と、後端側にク
ランプ部52とを設けた軸状の鋼製コア50を有し、か
つ、この鋼製コア50のチップ部51とクランプ部52
との間の周囲に炭素繊維強化プラスチック(以下、CF
RPと略称する)からなるシェル53を被覆した構成と
されており、そのシェル53のCFRPは剛性が高く、
かつ比重が小さいことからバー本体の固有振動数が高
く、また、CFRPは鋼に比べると振動減衰特性を示す
損失係数が大きいので、バー全体の損失係数も単体の鋼
製バーに比べて大きくなり、これによって、びびり振動
の抑制を可能としている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、従来技
術のボーリングーでは、回避できない以下の問題点が存
在する。
【0005】(1)上記記載の超硬合金製バーでは、素
材の単体積当たりの重量が大きく、バーが大径になると
鋼製のバーに比べて重くなり、高価になる。また、防振
機構を取り付けた防振バーは構造が複雑で、高価であ
り、使用時には細かな調整が必要となる。
【0006】(2)また、中ぐり加工に用いられるボー
リングバーにおいて、L/Dをより大きく取るために
は、切削加工状態でのびびり振動を回避することが必要
となる。ここで、バー固定部からの突き出し量Lを増や
した状態で、切削加工時にびびりが発生せず、切削性能
を向上させるためには、以下に示す条件を、考慮する必
要がある。
【0007】第一に、切削性能は動的な剛性が高いこ
とによって決定される。即ち、動的な剛性をKとする
と、 K=M×(2・π・f)2 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・(1) 但し、M:動的な質量、f:ボーリングバーの一次固有
振動数である。これにより、CFRPをバー本体に使用
したボーリングバーでは、バー本体の固有振動数を高く
取ることができるが、比重が小さいことから、上記式
(1)で示すバー本体の動的な質量が小さくなるため、
動的な剛性は余り大きく取ることができず、よりL/D
が大きい状態でのびびり振動を抑制することができな
い。
【0008】第二に、切削性能は減衰性が高いことに
より決定される。ここで、繊維強化複合材の減衰性を増
加させるためマトリックス樹脂として粘弾性材料を使用
した場合における、マトリックス樹脂の縦弾性係数Eと
損失係数ηとの関係における周波数特性を図7に示す。
この図7から、減衰性を高めるには、マトリックス樹脂
の損失係数ηが最大となる周波数(Hz)と、切削加工
時のボーリングバーの突き出し量Lから決まる固有振動
数(Hz)とを一致させるのが最も有効であることがわ
かる。しかしながら、CFRPをバー本体に使用したボ
ーリングバーでは、このような観点からバー本体の質量
を変化させるための自由度が少なく、従って、マトリッ
クス樹脂の損失係数ηが最大となる周波数と、切削加工
時のボーリングバーの突き出し量Lから決まる固有振動
数とを一致させることが困難であった。
【0009】本発明は、このような問題を解決するため
になされたもので、びびり振動回避能力を備えて、切削
加工の精度を向上させることのできるボーリングバーを
提供することを目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】上記問題を解決するた
め、本発明のボーリングバーでは、所定の突き出し量を
有して固定される軸状のシャンク部と、このシャンク部
の突き出し端に切削チップを保持するヘッド部とを備え
てなるボーリングバーにおいて、前記シャンク部が
維強化複合材から形成されていると共に、このシャンク
部もしくは前記ヘッド部、又は前記シャンク部と前記ヘ
ッド部との間に、前記繊維強化複合材より比重が大きい
軸状の部材を介在させてなるものである。
【0011】前記部材は、前記シャンク部の先端に設け
られているものである。
【0012】前繊維強化複合材は、繊維と樹脂とで構成
されており、前記繊維及び前記樹脂、又は前記部材が、
前記シャンク部の突き出し量により決まるボーリングバ
ーの固有振動数と、前記樹脂の周波数特性における最大
損失係数となる周波数とが一致するように決定されるも
のである。
【0013】前記シャンク部の軸線方向断面に挿入さ
れ、前記繊維強化複合材より曲げ弾性率の高い弾性材か
らなる層を備えているものである。
【0014】
【作用】このように本発明のボーリングバーによれば、
シャンク部を所定突き出し量を有して固定すると、シャ
ンク部、ヘッド部又はシャンク部とヘッド部との間に存
在する部材により、シャンク部の動的な質量を大きく取
ることができるので、ボーリングバーの固有振動数の低
下による動的な剛性の低下を相殺することができる。ま
た、前記部材によりバー本体の質量を自由に変化させる
ことができる。
【0015】部材は、シャンク部の先端に設けられてい
るので、容易に部材を配置することができると共に、こ
の固定側からの距離を最大にして、固定端からのモーメ
ントを効果的に大きくすることができるので、シャンク
部の動的な質量を効果的に大きく取ることができるの
で、ボーリングバーの固有振動数の低下による動的な剛
性の低下を相殺することができる。
【0016】繊維強化複合材を、繊維と樹脂で形成する
と共に、繊維や樹脂が、シャンク部の突き出し量により
決まるボーリングバーの固有振動数と、樹脂の周波数特
性の最大損失係数となる周波数と一致するように決定さ
れているので、シャンク部の損失係数を大きく取ること
ができる。
【0017】シャンク部の軸線方向断面に繊維強化複合
材より曲げ弾性率の高い弾性材からなる層を挿入するこ
とによって、シャンク部を構成する繊維強化複合材の樹
脂のせん断変形を拘束して、更に、シャンク部の動的な
剛性を高めることができる。
【0018】従って、動的な剛性を低下させることな
く、効果的に損失係数を大きく取ることができるので、
びびり振動を効果的に抑制して、ワークを精度良く効率
的に切削することができる。
【0019】
【実施例】以下、本発明の一実施例であるボーリングバ
ーについて、図面を参照して説明する。図1(a)は本
実施例におけるボーリングバーの構成を示す一部破断側
面図、図1(b)は本実施例におけるボーリングバーの
構成を示す図1(a)のA−A断面図である。
【0020】図1(a)及び図1(b)において、1は
ボーリングバーであって、軸状のシャンク部2の先端に
切削チップ3を保持するヘッド部4を設けてなってい
る。このシャンク部2は、CFRP(炭素繊維強化プラ
スチック)からなる軸状の本体5とこの本体5に連続し
て設けられた軸状の鉛部材6、及びこの本体5及び鉛部
材6の軸線方向断面に挿入された薄鋼板からなる十字状
の拘束板7とで構成されている。そして、このシャンク
部2の鉛部材6の先端にヘッド部4が接続されている。
【0021】本実施例では、まず、断面形状が1/4円
である扇形形状の長尺軸状のCFRPロッド8、8、
8、8(軸状の本体5)を、プルトルージョン法によっ
て連続的に成形し、これらを所定の均等長さに接断した
後、十字形の拘束板7を構成する背拘束板7Aと主拘束
板7Bとで区画される4か所に、この拘束板7の一端7
aに一致させて十字位置に接着すると共に、このCFR
Pロッド8、8、8、8に連続する拘束板7の他端7b
側に、CFRPロッド8、8、8、8と同一断面形状
(扇形形状)を有する鉛ロッド9、9、9、9(軸状の
鉛部材6)が十字位置に接着することで、CFRPから
なる軸状の本体5と、軸状の鉛部材6の軸線方向の断面
に、十字状の拘束板7を挿入してなるシャンク部2を形
成した。尚、十字形の拘束板7を構成する背拘束板7A
と主拘束板7Bとは、それぞれの両側端面を本体5及び
鉛部材6の外周面に露出して、この本体5及び鉛部材6
の軸線方向断面に挿入されている。そして、このシャン
ク部2の鉛部材6側の先端に、ヘッド部4の冠着部4A
を被せて接着剤で固着し、更に、そのヘッド部4の先端
に切削チップ3を取り付けて、一体のボーリングバー1
に組み立てた。ここで、ボーリングバー1において、切
削チップ3は、この切削チップ3による切削加工時の主
分力方向に対して拘束板7の主拘束板7Bが平行に配向
され、且つ背分力方向に対して背拘束板7Aが平行に配
向されるように取り付けられている。これにより、シャ
ンク部2のCFRPロッド8、8、8、8の一端側を固
定すると、他端側に位置する鉛部材6の存在により、こ
の固定端側からのモーメントを最大限にすることがで
き、効果的にシャンク部2の動的な質量を大きく取るこ
とが可能となる。
【0022】また、本実施例においては、上記CFRP
は、強化繊維として縦弾性率686GPa(70ton
f/mm2 )を有する石油ピッチ形炭素繊維「XN−7
0」(日本石油社製グラノック)を用い、マトリックス
樹脂にはエポキシ樹脂の「エピコート871(エポキシ
当量430)」(油化シェルエポキシ社製)に硬化剤と
して酸無水物「エピクロンB570」(大日本インキ社
製)、イミダゾール「エピキュアEMI−24」(油化
シェルエポキシ社製)を100:27:2.8の割合で
混合したものを用いた。
【0023】このCFRPロッド8、8、8、8を構成
する強化繊維の素材や、マトリックス樹脂の成分及び混
合割合は、シャフト部2の突き出し量Lに関する固有振
動数と、目標とする損失係数η1により決定されるが、
特に、動的な剛性を低下させることなく、損失係数ηを
効果的に大きく取るために、図2に示すように、CFR
Pを構成するマトリックス樹脂の周波数特性における最
大損失係数ηの周波数に、シャフト部2の突き出し量L
に関する固有振動数を一致させるように、鉛ロッド9、
9、9、9の大きさ、又は強化繊維の素材及びマトリッ
クス樹脂の成分及び混合割合、又はマトリックス樹脂の
成分及び混合割合を決定する。但し、シャフト部2の突
き出し量Lは、上記工作機械への固定条件によりその突
き出し量Lが変化すると、固有振動数も変化することに
なるので、シャンク部2の突き出し量が限界まで大きく
なった状態での固有振動数を、マトリックス樹脂の最大
損失係数ηの周波数に一致させるように、鉛ロッド9、
9、9、9の大きさ、又は強化繊維の素材及びマトリッ
クス樹脂の成分及び混合割合、又はマトリックス樹脂の
成分及び混合割合を決定することが望ましい。
【0024】また、プルトルージョン成形においては、
直径16mmの円の径方向に厚さ1mmを除いて1/4
分割された扇形形状(半径7.5mm、曲率半径8m
m)を断面とする長さ約80cmのキャビテイを有する
温調機付きの加熱型に繊維体積含有率(Vf)が60%
となるように所定本数束ねられた炭素繊維を型の直前の
樹脂漕内で樹脂を含浸せしめた後、通し、処理温度18
0度、引き抜き速度0.1m/minで樹脂を硬化させ
ながら連続的に引き抜くことによりCFRPロッド8、
8、8、8を得た。
【0025】一方、拘束板7としての薄鋼板は、縦弾性
率2059GPa(500tonf/mm2 )の薄鋼板
(S45C相当)を用いた。また、この拘束板7へのC
FRPロッド8、8、8、8の接着に際しては、2液反
応型エポキシ接着剤を用い、常温で8時間静置すること
で固着させた。また、鉛部材6の拘束板7への接着に際
しては、同様に、直径16mmの円の径方向に厚さ1m
mを除いて1/4分割された扇形形状(半径7.5m
m、曲率半径8mm)を断面とする長さ30mmの鉛ロ
ッド9、9、9、9を、2液反応型エポキシ接着剤を用
い、常温で8時間静置することで固着させた。
【0026】次に、本実施例のボーリングバーについ
て、シャンク部2の直径Dを16mm、突き出し量11
2mm(鉛ロッド9、9、9、9の長さが30mm)で
CFRPロッド8、8、8、8の端部側を固定した状態
での打撃試験と、被削材の回転速度150m/min、
切り込み量0.1mm及び送り速度0.12mm/re
vの中ぐり切削試験とを行い、その結果を示す。尚、従
来技術との比較のために、上記と同様な寸法条件の、炭
素鋼(S45C)単体のシャンク部(比較第1例)、超
硬合金材単体のシャンク部(比較例第2)及び鋼製コア
にCFRPシェルを被覆したシャンク部(比較例第3)
それぞれに、本実施例と同じヘッド部と切削チップと取
り付けたボーリングバーを準備して、同様の打撃試験と
中ぐり切削試験を行った。
【0027】まず、本実施例のボーリングバー1と上記
各比較例のボーリングバーそれぞれについて、突き出し
量112mmで固定した状態で固有振動数を求めた。測
定方法は、切削チップの先端に加速度センサを取付け、
その切削チップ先端を曲げ方向に打撃することによって
得られる自由振動波形の信号からFFT(小野測器CF
350)を用いて曲げ1次の固有振動数、動剛性、損失
係数を求め、その結果を表1に示す。
【0028】
【表1】
【0029】次に、中ぐり切削加工を行った時の切削チ
ップ先端の振動加速度を、横軸に時間、縦軸に加速度と
の関係で図3に示す。尚、図3(a)のグラフは比較第
1例乃至比較第3例のボーリングバー、図3(b)のグ
ラフは実施例のボーリングバーでのびびり振動波形をそ
れぞれ示す。
【0030】図3()に示すように、比較第1例乃至
比較第3例のボーリングバーはびびり振動を起こしてお
り、これに対して本実施例のボーリングバーは、図3
)に示すように、びびり振動を起こしていないこと
が分かる。これは、表1において、本実施例のボーリン
グバー1では、各比較例と比べると、動的な剛性(動的
な質量)及び損失係数ηを大きく取ることができたこと
に起因するものである。そして、この中ぐり切削加工時
の結果から各比較例のボーリングバーそれぞれのびびり
振動に対する切削限界を表2にまとめる。
【0031】
【表2】
【0032】この表2において、本実施例のボーリング
バーでは、各比較例のボーリングバーに比較して、ボー
リングバーの突き出し量Lを大きくとっても、びびり振
動を発生させることなく切削加工を行うことができるこ
とを示している。
【0033】以上に述べたように、本実施例のボーリン
グバー1では、 (A)切削加工時に、シャンク部2を所定突き出し量L
を有してCFRPロッド8、8、8、8の端部側を固定
すると、ヘッド部4との間に存在する鉛部材6(シャン
ク部6の突き出し端側に存在する鉛部材6)により、こ
の固定端からのモーメントを最大限に取ることができ、
その結果、シャンク部2の動的な質量(動的な剛性)を
大きく取ることができるので、びびり振動を効果的に抑
制して、切削加工の精度を向上させることができる。
【0034】(B)また、シャンク部2のCFRPロッ
ド8、8、8、8を、マトリックス樹脂の損失係数が最
大となる周波数と、切削加工時のシャンク部2の突き出
し量Lから決まる固有振動数とが一致するようにされて
いるので、シャンク部2の損失係数を大きく取ることが
でき、上記(A)に記載の動的な質量(動的な剛性)を
大きくとることと合いまって、びびり振動を効果的に抑
制して、切削加工の精度を高めることができる。
【0035】(C)更に、シャンク部2の軸線方向断面
に鋼製の拘束板を挿入することによって、シャンク部2
を構成するCFRPロッド8、8、8、8のマトリック
樹脂のせん断変形を拘束して、上記(A)記載に、更
に、動的な剛性を高めることができるので、びびり振動
を効果的に抑制して、切削加工の精度を高めることがで
きる。
【0036】尚、本実施例のボーリングバーでは、切削
チップ3を保持するヘッド部4とシャンク部2は、相互
に接着剤で固着させたが、これに限定されるものでな
く、図4に示すように、ヘッド部4とシャンク部2とを
接着することなく、ボルト10でヘッド部4の冠着部4
Aをシャフト部2の鉛部材6に締め付け固定したもや、
図5に示すように、ヘッド部4をシャフト部2に被せる
ことなく、その鉛部材6の端面にボルト11で締め付け
固定して、切削チップ3の保持部を着脱可能としたもの
であってもよい。また、本実施例では、鉛部材6をシャ
ンク部2に一体として形成したものを示したが、これに
限定されるものでなく、この鉛部材6をヘッド部4に一
体としたものであってもよく、更に、鉛部材6の鉛ロッ
ド9、9、9、9に代えて、CFRPロッド8、8、
8、8よりその比重が大きい材料、例えば、鉛合金、金
等の金属を用いたものであってもよい。
【0037】また、本実施例のボーリングバーでは、シ
ャンク部2の製造はプルトルージョン法により得られた
CFRPロッド8、8、8、8を十字形状の拘束板7に
外部から接着することにより行ったが、この方法以外に
予め所定の大きさの十字断面形状の空洞部を中心に有す
る丸棒状CFRPをプルトルージョン法にて成形し、そ
の後十字形状の拘束板7を接着挿入して丸棒表面を研削
加工することによってシャンク部2を製造することもで
きる。また、CFRP部はプルトルージョン法に限ら
ず、予め樹脂の含浸された一方向プリプレグをローリン
グ法等により、十字形状の拘束板7上に直接、あるいは
別個に賦形し、その後オートクレーブ等で加圧・硬化さ
せる方法や、十字形状の拘束板7をコアとしてその上に
フィラメントワインデイング法によりCFRP層を形成
させる方法等を採用して、更にこれら成形方法を組み合
わせた成形方法も適用してもよい。
【0038】更に、本実施例ではシャンク部2の繊維強
化複合材に石油ピッチ系炭素繊維とエポキシ樹脂からな
るCFRPを用いたが、これに限定されるものでなく、
例えば、強化繊維として石炭ピッチ系炭素繊維、PAN
系炭素繊維を用いてもよく、更には高弾性有機繊維、高
弾性金属繊維、高弾性無機繊維であってもよい。あるい
は、これら強化繊維を混繊して使用してもよい。但し、
本発明の利用分野から鑑みてできるだけ弾性率の高い繊
維を使用することが望ましい。
【0039】一方、マトリック樹脂としても、本実施例
によるエポキシ樹脂組成の配合に限るものでなく、成形
方法、経済性等により変更、調整されてしかるべきもの
である。また、エポキシ樹脂以外にポリエステル樹脂、
アルカリ樹脂等、繊維強化複合材に適用される熱硬化性
樹脂を用いてもよい。更に、繊維強化複合材に耐熱性、
耐衝撃性等の付加価値を付与するためや、成形性、経済
性の向上を図るために樹脂組成中に各種フィラー、可塑
剤、離型剤、可撓性付与剤等を配合してもよい。
【0040】また、本実施例では、拘束板7の各拘束板
7A、7Bを薄鋼板(S45C相当)を用いた場合を示
したが、これに限定されるものでなく、CFRP(繊維
強化複合材)より曲げ弾性率の高い弾性材、例えば、他
の種々の薄鋼板や、セラミック材を用いて形成したもの
であってもよい。更に、拘束板7の形状は、十字形状に
限定されるものでなく、平状の薄鋼板(セラミックであ
ってもよい。)をシャンク部2の軸線方向断面に挿入し
たものであってもよい。
【0041】
【発明の効果】このように本発明のボーリングバーによ
れば、シャンク部を所定突き出し量を有して固定する
と、シャンク部、ヘッド部又はシャンク部とヘッド部と
の間に存在する部材により、シャンク部の動的な質量
(動的な剛性)を大きく取ることができるので、びびり
振動を効果的に抑制して、切削加工の精度を向上させる
ことができる。
【0042】また、部材は、シャンク部の先端に設けら
れているので、容易に部材を配置することができると共
に、この固定側からの距離を最大にして、固定端からの
モーメントを最大にすることができるので、シャンク部
の動的な質量(動的な剛性)を大きく取ることができ、
びびり振動を効果的に抑制して、切削加工の精度を向上
させることができる。
【0043】更に、繊維及び樹脂、又は部材が、シャン
ク部の突き出し量により決まるボーリングバーの固有振
動数と、樹脂の周波数特性の最大損失係数となる周波数
とが一致するように決定されているので、シャンク部の
損失係数を大きく取ることができ、上記記載のシャンク
部の動的な質量(動的な剛性)を大きくとることと合い
まって、びびり振動を効果的に抑制して、切削加工の精
度を高めることができる。
【0044】シャンク部の軸線方向断面に繊維強化複合
材より曲げ弾性率の高い弾性材からなる層を挿入するこ
とによって、シャンク部を構成する繊維強化複合材の樹
脂のせん断変形を拘束して、シャンク部の動的な剛性を
高めることができるので、びびり振動を効果的に抑制し
て、切削加工の精度を高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施例におけるボーリングバーの構成
を示す図であって、(a)は一部破断側面図、(b)は
(a)のA−A断面図である。
【図2】本発明の実施例におけるボーリングバーの繊維
強化複合材におけるマトリックス樹脂の、縦弾性係数と
損失係数の周波数特性を示した図である。
【図3】本発明の実施例と従来技術の各比較例における
切削試験でのびびり振動波形を示す図であって、(a)
は従来技術の比較例のびびり振動波形の図、(b)は本
実施例のびびり振動波形の図である。
【図4】本発明の実施例におけるボーリングバーの第1
変形例の構成を示す図であって、(a)は一部破断側面
図、(b)は(a)のB−B断面図である。
【図5】本発明の実施例におけるボーリングバーの第2
変形例の構成を示す図であって、(a)は一部破断側面
図、(b)は(a)のC−C断面図である。
【図6】従来技術の繊維強化複合材を用いたボーリング
バーの構成を示す一部破断側面図である。
【図7】繊維強化複合材のマトリックス樹脂に粘弾性材
を用いた場合の、縦弾性係数と損失係数の周波数特性を
示した図である。
【符号の説明】
1 ボーリングバー 2 シャンク部 3 切削チップ 4 ヘッド部 6 鉛部材(部材) 7 拘束板(層)
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 藤浦 貴保 兵庫県神戸市西区高塚台1丁目5番5号 株式会社神戸製鋼所 神戸総合技術研 究所内 (72)発明者 小林 尚博 兵庫県神戸市西区高塚台1丁目5番5号 株式会社神戸製鋼所 神戸総合技術研 究所内 (72)発明者 吉川 英一郎 兵庫県神戸市西区高塚台1丁目5番5号 株式会社神戸製鋼所 神戸総合技術研 究所内 (72)発明者 名倉 和子 兵庫県神戸市西区高塚台1丁目5番5号 株式会社神戸製鋼所 神戸総合技術研 究所内 (56)参考文献 特開 平8−174313(JP,A) 特開 平3−221302(JP,A) 特開 平3−221301(JP,A) 特開 昭54−105389(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) B23B 29/02

Claims (5)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 所定の突き出し量を有して固定される軸
    状のシャンク部と、このシャンク部の突き出し端に切削
    チップを保持するヘッド部とを備えてなるボーリングバ
    ーにおいて、 前記シャンク部が繊維強化複合材から形成されている
    と共に、このシャンク部もしくは前記ヘッド部、又は前
    記シャンク部と前記ヘッド部との間に、前記繊維強化複
    合材より比重が大きい軸状の部材を介在させてなること
    を特徴とするボーリングバー。
  2. 【請求項2】 前記部材は、前記シャンク部の先端に設
    けられていることを特徴とする請求項1に記載のボーリ
    ングバー。
  3. 【請求項3】 前繊維強化複合材は、繊維と樹脂とで
    構成されており、 前記繊維及び前記樹脂、又は前記部材が、前記シャンク
    部の突き出し量により決まるボーリングバーの固有振動
    数と、前記樹脂の周波数特性における最大損失係数とな
    る周波数とが一致するように決定されていることを特徴
    とする請求項1又は請求項2にそれぞれ記載のボーリン
    グバー。
  4. 【請求項4】 前記シャンク部の軸線方向断面に挿入さ
    れ、前記繊維強化複合材より曲げ弾性率の高い弾性材か
    らなる層を備えていることを特徴とする請求項1乃至請
    求項3にそれぞれ記載のボーリングバー。
  5. 【請求項5】 所定の突き出し量を有して固定される軸
    状のシャンク部と、このシャンク部の突き出し端に切削
    チップを保持するヘッド部とを備えてなるボーリングバ
    ーにおいて、 前記シャンク部が、繊維強化複合材からなる軸状の本体
    と、この本体の軸方向断面に挿入され前記繊維強化複合
    材より曲げ弾性率の高い弾性材からなる拘束板とで形成
    されており、 前記シャンク部もしくは前記ヘッド部、又は前記シャン
    ク部と前記ヘッド部との間には、前記拘束板と別に、前
    記繊維強化複合材より比重が大きい軸状の部材を介在さ
    せてなることを特徴とするボーリングバー。
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