JP2756155B2 - 工作機械の主軸 - Google Patents

工作機械の主軸

Info

Publication number
JP2756155B2
JP2756155B2 JP1234218A JP23421889A JP2756155B2 JP 2756155 B2 JP2756155 B2 JP 2756155B2 JP 1234218 A JP1234218 A JP 1234218A JP 23421889 A JP23421889 A JP 23421889A JP 2756155 B2 JP2756155 B2 JP 2756155B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
main shaft
hollow cylindrical
spindle
metal
cylindrical structure
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Expired - Fee Related
Application number
JP1234218A
Other languages
English (en)
Other versions
JPH02167602A (ja
Inventor
隆彦 猪熊
定 馬場
正治 今尾
斎 児玉
武夫 五味
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Mitsubishi Rayon Co Ltd
Shibaura Machine Co Ltd
Original Assignee
Mitsubishi Rayon Co Ltd
Toshiba Machine Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Mitsubishi Rayon Co Ltd, Toshiba Machine Co Ltd filed Critical Mitsubishi Rayon Co Ltd
Priority to JP1234218A priority Critical patent/JP2756155B2/ja
Priority to US07/497,621 priority patent/US5018915A/en
Priority to DE4009461A priority patent/DE4009461A1/de
Publication of JPH02167602A publication Critical patent/JPH02167602A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP2756155B2 publication Critical patent/JP2756155B2/ja
Anticipated expiration legal-status Critical
Expired - Fee Related legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Turning (AREA)

Description

【発明の詳細な説明】 (産業上の利用分野) 本発明は工作機械の主軸に関し、特に使用する材料と
して金属材料を極力排除すると共に、従来から存在して
はいたが実用化が難しいとされていた素材を使い、金属
材料だけでは到底達成し得ない軽量化・線膨張の低減化
を図った工作機械の主軸に関するものである。
(従来の技術) 従来のマシニングセンタ、中ぐり盤、フライス盤等の
工作機械における主軸材料としては、一般に重量が大き
な鋼又は合金鋼が使われる。これは、鋼又は合金鋼は弾
性率が高く、また表面を硬くすることも可能であり、加
工を含めて経済性の面で適当であることによる。
ところで、鋼の線膨張係数は11〜16×10-6-1の範囲
であり、例えば2m長さの主軸に10℃の温度変化がある
と、2.2〜3.2×10-1mmの寸法変化が生じることになる。
これは、例えば中ぐり盤で平面を削り出そうとすると
き、削り始めと終わりの間に主軸の温度が10℃上昇する
なら、0.3mm程度の切り込み深さの差を生じさせること
を意味し、精度の高い加工物をつくる上で重大な問題と
なる。また、鋼は比重が大きいため主軸の重量も必然的
に大きくなり、高速回転時の遠心力による変形が大き
く、加工物の寸法が不安定となり、また振動減衰性も小
さいため高速回転には不適当である。また主軸重量が大
きいと、高速回転への立上がり時間を要することにもな
り、更にはそのためにの動力も確保しておくことが必要
となる。
他方、軽量で剛性に優れる素材として、例えば従来か
ら炭素繊維強化プラスチック材料(CFRP)等の繊維強化
複合材料が良く知られ、多くの分野に使用されている。
しかしながら、この種の材料が使われる分野は限られて
おり、一般的には民生部材、航空機関連部材等が主であ
り、機械の構造材として使われることは極めて稀であ
る。
特に、工作機械の主軸は、金属材料その他セラミック
ス等の硬脆材料も切削或いは研削等により機械加工を施
すにあたり、あらゆる方向から最も荷重のかかる部分で
あり、しかも片持ち構造であるがために、これに耐える
素材としては、既述の如く重量はあるが高弾性でかつ剛
性に優れ、表面の硬化が容易である鋼材又は合金鋼材が
当然のこととして使用され、一方で軽量な上に剛性の高
い特性をもつことの知られている繊維強化プラスチック
材料の如き硬度及び耐摩耗性の低い素材の使用に関して
は、実用化が困難であるとされているのが現状である。
その稀な提案として、実開昭60−165105号公報や特開昭
63−96311号公報に開示された技術がある。
実開昭60−165101号公報の開示によれば、繊維強化プ
ラスチックで形成された円筒の両端にそれぞれ、所要の
形状及び材質からなる主軸の機械側取付部材及び工具取
付部材の端部を圧入すると共に、これら部材の圧入端部
を接着剤で円筒に固着するものである。
一方、上記特開昭63−96311号公報の開示によれば、
繊維強化プラスチックとは異なるものの、類似する素材
であるC/Cコンポジットからなる円筒体表面の少なくと
も他の部材と接触する部分に、それと弾性係数、線膨張
係数がほぼ等しい、例えばWC−Coサーメット等の高硬度
の表面形成材を、例えば金属材料であるMo、W、Nb等の
複合強度を高めるための中間材を介して各種溶射により
コーティングし、そのコーティング層に、研磨加工を施
して所定の形状を得ている。
これらの主軸は、従来の金属ローラにない特性を求め
て開発されたものであり、工作機械のような苛酷な条件
下での稼動に十分耐え得て、しかも素材のの超軽量でか
つ剛性の高い特性を利用した点では注目すべき技術であ
ると言える。
(発明が解決しようとする課題) しかるに、上記実開昭60−165101号公報に開示された
技術は、単に繊維強化プラスチック製円筒に対して他の
金属製部材とを圧入すると共に接着剤をもって接着する
に過ぎず、金属材料と繊維強化プラスチック材料とでは
線膨張率に差があるため、その差が大きいと接着面で剥
離が起き易く、特に主軸長手方向の接着長さが長い部分
では剥離し易いことである。従って、このような部分で
は適用する金属又はセラミックスは線膨張率の小さい材
料を選ばなければならず、双方の材質及び組成や構造が
大きく制限されることになる。
一方、上記特開昭63−96311号公報に開示されたC/Cコ
ンポジット(カーボン/カーボン コンポジット)自体
は機械部品、原子炉材料、宇宙開発用材料等として、古
くから使われている(「炭素繊維」S55.11.1、大谷・木
村共著、近代編集社)ものであり、本発明者等も同材料
を上記提案された技術と同様に工作機械の主軸に適用す
ることを試みたが、実用化に難があるため、その開発を
繊維強化プラスチック材料の使用に転じたものである。
即ち、C/Cコンポジットは前記繊維強化プラスチック
複合材料を高温で熱分解し、マトリックスであるプラス
チック材料を炭化させて得られ、そのままでは物性の面
で劣るため、これに更に加工を加えて所望の部材を得る
ものである。従って、その製作には極めて多段階の加工
工程を踏む必要があり、どうしてもコストアップにつな
がり高価なものとなる。
従って、本発明が解決しようとする課題は次の諸点あ
る。
(1)従来の鋼製主軸が必然的に有する高い線膨張によ
り生じる寸法安定性の悪さである。鋼材以外の金属材料
を用いて、この線膨張係数を鋼製より小さくすることも
できるが、発表されているものの中で最も小さいインバ
ー合金でもその線膨張係数は1〜3×10-6-1であり、
更にはこのインバー合金は難削材であること及び高価で
かつ硬度が低いことから主軸の主材料として採用するこ
とは不適当である。
(2)従来の鋼製主軸が大きな重量であるために、そこ
から派生する様々な課題がある。即ち高速回転時の遠心
力による変形が大きくまた振動の減衰性も悪いために、
加工品質及び加工精度に対する影響が大きいこと、慣性
モーメントが大となるため、より以上の高速化が難し
く、必要動力も大きくなることから発熱量も大きくなり
上記線膨張係数の大きいことと相俟って加工精度を悪く
する等である。
(3)例えばC/Cコンポジットの主軸を得るには、多数
の工程を経る必要があり、どうしても製作コストが上が
るため実用化に耐えない。
従って、本発明の目的は製作上の容易性と経済性を考
慮した上で、主軸の線膨張の低減化を図ると同時に軽量
化をも図ることである。
(課題を解決するための手段及び作用) 上記目的を達成するため、本発明は特許請求の範囲に
記載した上記課題の解決手段とするものである。
これを作用と共に更に詳細に説明すると、以下のとお
りである。
まず本発明者等は、既述の如く工作機械の分野では過
去において実用化が難しかった繊維強化複合材料、特に
そのうち炭素繊維強化プラスチック材料(CFRP)に着目
し、主軸材料としての実用化の可能性につき検討に入っ
た。CFRPは上述のとおり、熱膨張率を低くでき、かつ軽
量化が図れる点で主軸の素材としては望ましい特性を備
えている。
しかしながら、例えば中ぐり盤の主軸についてみたと
き、主軸端表面には切粉などが搦み付き易く、表面硬度
が高くないと容易に損傷を受けることになるが、CFRP自
体の硬度はマトリックス樹脂の硬度に支配されるため、
一般的には低硬度で、前記損傷をまともに受けることに
なる。
従って、CFRPを工作機械の主軸材料として実用化を図
るには、上記鋼材を使った従来の主軸が持つ欠点を補う
と同時に、工作機械の主軸として要求される全ての要件
を満足するものでなければならない。
また、従来の鋼材を使った主軸の欠点である熱膨張を
CFRPの中空円筒状構造物についてみると、その捲付角度
を適当に選べば長手方向の線膨張係数をマイナス或いは
ゼロ、大きくてもその絶対値を0.5×10-6-1に抑える
ことが可能であることが判明した。ここで繊維強化複合
材料の繊維としては炭素繊維が好ましく、他にアラミド
繊維が考えられる。
上記CFRPによる中空円筒状構造物は、繊維や樹脂の種
類によっても異なるが、一般に繊維の捲付角度により表
1に示す線膨張係数が得られる。
表1に示すようにCFRPは繊維の捲付角度が小さいとこ
ろではマイナスの線膨張係数を有し、繊維の捲付角度が
大きくなるに従って大きなプラスの線膨張係数となるも
のである。従って、これらの角度を組合わせることによ
り、或いはある特定の角度を用いることにより理論的に
は上記中空円筒状構造物の線膨張係数をゼロ若しくはマ
イナスにすることが可能である。
本発明の主軸の主構成部分である中空円筒状構造物
は、その炭素繊維の捲付角度を選ぶことによって線膨張
係数の絶対値を0.5×10-6-1以下に低下させている。
この中空円筒状構造物は、例えば2m長さの主軸に10℃の
温度変化があっても1×10-2mmの寸法変化しか生じな
い。こうしたCFRPからなる中空円筒状構造物と鋼材等の
金属を組合わせると、その線膨張係数を5×10-6-1
下に抑えることができ、従来の鋼材による主軸の線膨張
係数11から16×10-6-1に比較して極めて高精度の切削
加工が可能となる。
本発明の主軸は、その大部分が実質的にCFRPであれば
よく、一部に金属材料やセラミックスが用いられる。さ
らに炭素繊維以外の繊維、例えばガラス繊維やアラミド
繊維を一部に用いることも可能である。
ところで大抵の場合、主軸の要求性能としては寸法安
定性のみでなく、曲げ剛性や捩り剛性も求められるが、
もし一種類の繊維角度のみで中空円筒状構造物自体の線
膨張係数がゼロとなるものを選ぶなら、他の要求性能を
達成することはできない。しかし、炭素繊維の捲付角度
を少なくとも2種類にして組合わせることにより、線膨
張係数をゼロにする方法は多くのケースを選択できるの
で、他の性能を設計する自由度が増大する。高い曲げ剛
性を得るためには、繊維の捲付角度が0゜であるものが
最も高い値となるので、この構成を含めることは好まし
いことである。しかし、フィラメントワインド成形を行
う場合には、0゜で巻くことは非常に困難であり、±
(10〜15)゜で巻く方が実際的である。主軸は自身が回
転し、或いはワークが回転しながら切削作業を行うの
で、捩り剛性も必要である。CFRPを使って主軸を得る場
合には、繊維の捲付角度が±45゜に配列されている時に
捩り剛性は最大になるので、積層構成の中に±45゜を含
めることは好ましいことである。成形の時の乱れを考え
るなら、実際には±(40〜50)゜となる。
従って本発明に係るCFRP製の中空円筒状構造物を用い
た主軸は、炭素繊維の捲付角度が少なくとも2種類から
成ることが望ましく、その一方は±(0〜15)゜であ
り、他方は±(40〜50)゜であることがより好ましい。
これらの構成が何層にもわかれていてもよいし、或いは
まとまっていてもよい。また、これら以外の角度、例え
ば90゜が加えられることがあってもよい。
ところで、工作機械の主軸は、上述の如く極めて苛酷
な条件下で使用するものである。即ち、主軸として具備
していなければならない条件には、上記熱膨張が低いこ
とは当然のこととして更に耐衝撃性が大きいこと、
表面硬度が高いこと、主軸自体に機械的加工が施され
ても強度の低下がないこと等が挙げられる。
これを、例えば横中ぐり盤の主軸について第3図を参
照しつつ説明すると、同図に斜線で示した部分が主軸1
であり、この主軸1はフライス切削等の断続切削及び加
工面の肉厚変動により大きな衝撃、面圧を受ける。特に
工具ドライブキー2の嵌合部A及び主軸1の駆動歯車に
固定されたキー3が嵌合するキー溝部Bの両側面部で
は、この衝撃及び面圧をまともに受けることになる。
また、中ぐり切削時主軸1は回転し乍らスリーブ4内
を軸方向に移動し、所定の長さスリーブ4から突出する
が、このとき、切削によるカール状の切粉が主軸1の表
面C部に搦み付く。従って、この表面硬度が切粉以上に
高くないと、主軸表面に傷が付き易く、それだけ寿命が
短くなる。一方、ドローバー5及びコレット6による工
具の保持力は3tonにも及び、工具の装着時にはこの力を
主軸端のテーパ面Dが直接受けることになり、また工具
が装着されていないときにはコレット端部との当接面E
に上記力が作用する。従って、前記テーパ面D及びコレ
ット当接面Eでは高面圧に十分耐える必要がある。前記
テーパ面Dには、この他に切削振動も受ける。更に主軸
1の中空部には工具の着脱時に作用するサラバネ7が収
容されており、このサラバネの力は通常3〜8tonであ
る。従ってサラバネ7の端面が支承する主軸1の中空段
部端面Fには、その反力が作用しており、上記テーパ面
D及びコレット当接面Eと同様に大きな面圧がかかるこ
とになる。
また、主軸1は第1図および第2図に示す如く、単純
な円筒部材でなく、例えば上記テーパ面、段部、キー
溝、ネジ部等の加工が施されており、こうした加工によ
り強度低下があってはならない。例えば、主軸後端のネ
ジ部Gには、主軸先端部に装着する工具の脱着時に上記
中空段部端面Fと同様にサラバネの反力3〜8tonが作用
するためネジ切りによる強度低下は是非共避けなければ
ならない。CFRPを中ぐり盤の主軸に採用するときも例外
ではなく、上記条件の全てを備える必要がある。
そこで、種々の検討を加えた結果、主軸本体をCFRPで
構成し、CFRPだけでは上記条件が満足されない部分に金
属、セラミックス等を採用してCFRPの欠点を補完するこ
とを考えた。
熱膨張並びに剛性の点では既述の如くCFRPを使っても
その捲付角度等を適当に選べば実用化に十分耐え得ると
いう結論を得ている。しかしながら、上記した〜の
条件については、CFRPのみで実用化に持ち込めないこと
が実験段階で判明した。
即ち、CFRPは耐衝撃性が低いため、例えば工具ドライ
ブキーの嵌合部A及びキー溝部Bには窒化鋼を使用する
ことにした。
また、特に中ぐり盤などの主軸1では、軸方向に移動
できることが必要であり、また任意の位置で固定もしな
ければならない。そのため、一般には、キー溝又はスプ
ライン等で軸方向に動くようにしておき、主軸1の外周
をスリーブ4で把持することにより固定する。従って、
スリーブで把持される主軸外周部は表面Cの硬さが十分
である必要がある。CFRPのままの表面は、ミクロに見る
と炭素繊維と樹脂が混在していて、硬さを単純に表現す
ることは難しいが、いずれにせよ主軸の把持部としては
摩耗が生じふさわしくない。更に主軸1の表面には切粉
等が搦み付き傷付き易いため、これを防止するにも高硬
度が必要である。そこで、少なくとも主軸1のスリーブ
4に把持される部分と切削中に切粉が搦み付く部分は、
金属やセラミックスによって硬度を高めることが必要と
なる。その方法としていろいろあるが、例えば特開昭60
−162793号公報に開示されているようにCFRP製の中空円
筒状構造物表面に金属メッキを施すことができる。特に
硬質Crメッキは硬く、この用途に適当である。さらにそ
の上硬質Crメッキを施すこともできる。
CFRP製の中空円筒状構造物表面に、内層より溶射のた
めの下地処理層、金属溶射処理層、中間メッキ層及び最
外メッキ層を順次形成して得た主軸は、CFRP製の中空円
筒状構造物と金属メッキ層とが強固に結合しており好ま
しい構造といえる。
ここに溶射のための上記下地処理層とは、例えば熱伝
導率が0.001cal・cm-1・sec-1・deg-1以上でλ・S≧0.
05(λ:熱伝導率、S:m2/gで表される表面積)を満足す
る扁平状でない無機フィラー、あるいは表面が複雑な凹
凸を有する無機フィラーなどの特殊形状の金属又は無機
粉を熱硬化型樹脂と配合して炭素繊維複合材表面に塗布
し、熱硬化させて形成される。また、金属溶射処理層の
材質はCu,Ni,Al,F等表面に電気メッキが出来るものであ
ればよく、特に制限するものではない。中間メッキ層の
材質については封孔性能と耐蝕性能の点より選ばれる
が、この様な目的で種々実験した結果、Cu又はNiが特に
有効であることを見いだした。更に、最外メッキ層の材
質としても用途によって適宜選ばれるが、Ni及びCrが一
般的に採用され、特に表面硬度が要求される場合はCrメ
ッキが好都合である。
また、CFRP製の中空円筒状構造物表面に特開昭61−98
534号公報に開示されているようなセラミック溶射を施
すこともできる。アルミナ−40チタニア(Al2O3−40TiO
2)やクロミナ(Cr2O3)を用いれば、堅牢な表面を得る
ことができる。
このようにして、CFRPの表面を処理して硬くした中空
円筒状構造物を主材として製造した主軸は、把持部とし
て必要な上記特性をもつと同時に、切削時に発生する切
粉による擦傷からも保護されるし、また高い寸法精度を
得るためにも好ましいものである。
また、主軸端のテーパ面Dのように高い面圧及び切削
振動を受ける部分には窒化鋼やセラミックスを使うよう
にし、サラバネ7の反力を受けるコレット端部当接面E
及び中空段部端面F並びに主軸後端のネジ部Gには硬調
質鋼材又はセラミックスを使用する。
以上、主軸の各部分への金属又はセラミックスの適用
は、主軸表面への金属メッキ又はセラミックス溶射以外
にも各部分を金属又はセラミックスで成形し、これを該
当部に嵌め込んで接着剤をもって接着することができ
る。ただし、ここで留意しなければならない点は金属材
料又はセラミックス材料とCFRPでは線膨張率に差がある
ため、その差が大きいと接着面で剥離が起き易く、特に
主軸長手方向の接着長さが長い部分では剥離し易いこと
である。従って、このような部分では適用する金属又は
セラミックスは線膨張率の小さい材料を選ぶ必要があ
る。
また、前記接着面での剥離を防止すると共に主軸全体
の熱変形を防止するため、金属材料又はセラミックス材
料とCFRPとの間に低熱膨張金属を介装させるとよい。こ
の低熱膨張金属の介在により、完成した主軸全体の熱変
形がなく、同時に熱膨張を極めて低く抑えることができ
るようになり、超精密機械加工が可能となる。
以上の説明において、炭素繊維の種類は高強度タイ
プ、中弾性タイプ、高弾性タイプのいずれでもよいが、
高弾性炭素繊維を用いた方が剛性の高い主軸を得ること
ができることはいうまでもない。ここでは炭素繊維を主
に説明しているが、アラミド繊維の中にも繊維方向にマ
イナスの線膨張係数を有するものがあり、同様の用い方
をすることも可能である。マトリックス樹脂に関しては
特に制限を設けるものではない。熱硬化性樹脂、すなわ
ちエポキシ樹脂、フェノール樹脂、ポリエステル樹脂の
ほか、ビニルエステル樹脂、ポリイミド樹脂を用いるこ
とができるし、熱可塑性樹脂のナイロン66、ポリカーボ
ネート、ポリエチレンテレフタレート、PEEK、PEK、PP
S、PEIなども使用できる。
成形方法も特に限定するものではなく、フィラメント
ワインド成形法もシートラップ法も適用できる。
(実施例) 以下、本発明を実施例と従来例との比較により具体的
に説明する。
第1図は本発明の代表的な実施例に係る横中ぐり盤の
主軸断面図を示す。
同図において、10a,10bは本発明に係る主軸1の本体
をなす炭素繊維の捲付角度が異なるCFRP製中空円筒構造
体の内外層である。
11は工具のシャンク部が嵌挿されるテーパ面をもつ主
軸端部材であり、同主軸端部材11は鋼材をもって単独に
製作され、外周面の一部に形成された小径部を前記内層
10aの内面に形成された段部に嵌合当接して接着一体化
される。
12はその外径が前記CFRP製中空円筒構造体の内層10a
の内径に等しい中空円筒介在部で、その一端が前記主軸
端部材11の内端面に当接するように前記内層10aの中空
部に嵌入され接着剤をもって接着一体化される。
13はコレットが収容され、サラバネの一端面が当接す
る部分まで延びて配設される、鋼材からなる一端にフラ
ンジをもつ中空円筒部材で、前記中空円筒介在部材12の
内面に接着により嵌合一体化する。
CFRP製中空円筒構造体の主軸後端側の外周面には、軸
に平行して延びる所定の長さの溝14が形成されると共に
同溝14にキー溝用部材15が嵌合接着されキー溝16を構成
する。更にCFRP製中空円筒構造体の後端部内面には、ツ
バ付きでキー溝17aを有する中空円筒後端部材17が接着
剤により嵌合固定される。この中空円筒後端部材17の内
径は前記内層10aの内径に等しく設定される。
こうした部材の組付けを終えた主軸1の外表面には硬
質の金属又はセラミックスの被覆層18が形成される。
実施例1 主軸の主体となる中空円筒構造体をCFRPをもって製作
した。この中空円筒構造体は仕上がり寸法が外径110m
m、長さ1590mm、内径64.7mmとなるように中弾性炭素繊
維(三菱レイヨン製パイロフィルRMM−1)を用い、フ
イラメントワインド法で成形した。マトリックスはエポ
キシ樹脂である。内層10aは±45゜、外層10bは±10゜の
各捲付角度とし、各々の厚さが18.65mm及び4mmになるよ
うにした。これを十分に硬化した後、必要部分に切削加
工と研削加工を施し、各加工部分及び必要箇所に主軸端
部材11、中空円筒介在部材12、中空円筒部材13、キー溝
用部材15及び中空円筒後端部材17をそれぞれ嵌合し接着
固定した。その後、再び機械加工を施して仕上げ、その
外表面に導電塗装を施してから電気メッキによりCuメッ
キ、Crメッキを順次実施し、被覆層18を形成して、更に
研削仕上げした。
ここで、主軸端部材11にはSACM645を、中空円筒介在
部材12にはインバー合金を、また中空円筒部材13、キー
溝用部材15及び中空円筒後端部材17にはSCM440硬調質鋼
材を使った。
なお、SCM440硬調材とCFRPの線膨張差によるずれを押
え接着の剥離を無くすように、CFRP製内層10aとSCM440
硬調材製中空円筒部材13との間に低膨張合金であるイン
バー合金製の中空円筒介在部材12を介装している。
こうして得た本実施例による主軸1は、全長が1815m
m、重量(W)が32kg、曲げ剛性(EI)が6.4×1010kgf
・mm2、捩り剛性(GIp)が2.93×1010kgf・mm2であり、
熱膨張については温度が15℃上昇した時の寸法変化が9
μ収縮(−9μ)するだけであることが判った。
これを従来の鋼材だけで製作した主軸(当社製)と比
較したものが表2である。
(1)主軸の重量が92kgから32kgへと軽量化すると、次
の如きメリットがある。
慣性モーメントの減少による主軸制御性能の向上、
高速化容易。
本実施例による主軸では慣性モーメントが従来の鋼材
による主軸の25%と低下し、主軸を停止状体から高速回
転に単位時間に立上がらせるに必要なトルクも鋼材製主
軸比25%となる。
このことは、高速回転への立上がり時間の短縮につな
がり、高速化を容易にすることを意味し、例えばタップ
加工では正逆回転を高速で繰り返すことを可能にする。
また、例えば同一時間で3000r.p.mまで加速するのに要
するトルクも本実施例による主軸では従来の25%で足り
るため、仕事量が少なく発熱も小さい。その結果、省エ
ネルギー並びに熱変位の減少につながる。
主軸の位置決め精度の向上。
主軸繰出し機構をもつ工作機械では、主軸の軽量化に
より主軸繰出し時の滑り抵抗が減少し、そのため繰出し
機構の駆動系の捩れ角が小さくなって位置決め精度が向
上する。
(2)表2によれば本実施例による主軸は剛性の面で従
来例より低い値となっているが、曲げ剛性及び捩り剛性
共に上記値でも十分に実用に供し得る。
何となれば、上記従来例の値は当社の製品を例にとっ
たもので、低速高トルク切削を対象としており、一般的
な同クラスのマシニングセンタ用主軸では本実施例によ
るトルク(75kg.m)と同程度のものが多く、従って剛性
の点では十分であるといえる。
(3)温度が15℃上昇したときの熱膨張が、本実施例に
よる主軸では9μ収縮するのに対し、従来例による主軸
では250μ伸びる。
これは、特に穴の深さ方向の加工精度に影響するもの
で、一般に加工時は主軸回りが発熱し、従来の主軸によ
ると温度上昇前の1個目の穴と15℃上昇した時の9個目
の穴では深さに250μもの差が生じることになる。一
方、本実施例による主軸では単純にみても誤差10μ以内
に納まり、高精度で加工が可能であるが、更に工具の切
削時の発熱による伸び、例えば工具長300mmを使い工具
温度が5℃上昇すると15μ伸びることを合わせると、主
軸と工具の合計伸びは15(μ)−9(μ)=6(μ)と
なり、より好都合な結果が得られる。
実施例2 主軸の本体をなす中空円筒構造体を実施例1と同じ形
状寸法になるよう、同じ材料を用いてフィラメントワイ
ンド成形を行った。これをこれを十分に硬化した後、研
削加工と切削加工を実施し、実施例1と同様に必要な部
分に同種の鋼材・合金材を接着し、再び機械加工して仕
上げた。必要な部分をマスキングした後、ボンドコート
塗装を行ってから硬化し、その上にCr2O3をプラズマ溶
射し、寸法通りになるように研削した。
この軸の熱膨張や剛性は、実施例1と殆んど同じであ
った。
実施例3 主軸の本体をなす中空円筒構造体を実施例1と同じ形
状寸法になるよう、同じ材料を用いてフィラメントワイ
ンド成形を行った。これを十分に硬化した後、研削加工
と切削加工を実施し、実施例1と同様に必要な部分に同
種の鋼材・合金材を接着し、再び機械加工して仕上げ
た。必要な部分をマスキングした後、外表面に溶射用下
地処理を施し、その上から銅溶射処理を施した後、電気
メッキによりCuメッキ、硬質Crメッキを順次実施し、寸
法通りになるよう研削した。
この軸の熱膨張や剛性は、実施例1と殆んど同じであ
った。
(発明の効果) 以上、詳細に説明した如く本発明によれば、工作機械
の主軸としての軽量化が実現されると共に、軸方向の熱
膨張を少なくできるため、加工精度が一段と向上した。
更に、この軽量化と線膨張の低減は、省エネルギー並
びに高速化につながるものである。
【図面の簡単な説明】
第1図は本発明による工作機械の主軸の一実施例を示す
縦断面図、第2図は第1図のX−X線による横断面図、
第3図は横中ぐり盤の主軸ヘッド部の一部縦断面図であ
る。 図の主要部分の説明 1……主軸 10a……(CFRP)内層 10b……(CFRP)外層 11,12,13,15,17,18……金属 16……キー溝
フロントページの続き (72)発明者 児玉 斎 愛知県名古屋市東区砂田橋4丁目1番60 号 三菱レイヨン株式会社内 (72)発明者 五味 武夫 愛知県豊橋市牛川通4丁目1番地の2 三菱レイヨン株式会社内 (56)参考文献 特開 昭63−96311(JP,A) 特開 昭50−21065(JP,A) 実開 昭60−165101(JP,U) (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) B23B 19/02

Claims (4)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】本体が繊維強化複合材料からなる中空円筒
    状構造物により構成され、該中空円筒状構造物の外周
    面、内周面又は端部の一部又は全部に金属又はセラミッ
    クスが配されてなる工作機械の主軸であって、 前記繊維が炭素繊維又はアラミド繊維であって、同繊維
    の捲付角度が少なくとも1つが±(10〜15)゜の範囲に
    あり、少なくとも1つが±(40〜50)゜の範囲にある2
    種類からなっており、 前記中空円筒状構造物と金属又はセラミックスの間に、
    該金属又はセラミックスより低熱膨張の金属材料を介装
    してなる工作機械の主軸。
  2. 【請求項2】前記中空円筒状構造物の長手方向における
    線膨張係数の絶対値が0.5×10-6-1以下である請求項
    1記載の主軸。
  3. 【請求項3】前記中空円筒状構造物と金属又はセラミッ
    クスとの固定が接着材による請求項1又は2記載の主
    軸。
  4. 【請求項4】前記中空円筒状構造物と金属又はセラミッ
    クスとの固定が金属メッキ又はセラミックス溶射による
    請求項1又は2記載の主軸。
JP1234218A 1988-09-26 1989-09-08 工作機械の主軸 Expired - Fee Related JP2756155B2 (ja)

Priority Applications (3)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP1234218A JP2756155B2 (ja) 1988-09-26 1989-09-08 工作機械の主軸
US07/497,621 US5018915A (en) 1989-09-08 1990-03-23 Spindles of machine tools
DE4009461A DE4009461A1 (de) 1989-09-08 1990-03-23 Spindel fuer eine werkzeugmaschine

Applications Claiming Priority (3)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP24016688 1988-09-26
JP63-240166 1988-09-26
JP1234218A JP2756155B2 (ja) 1988-09-26 1989-09-08 工作機械の主軸

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JPH02167602A JPH02167602A (ja) 1990-06-28
JP2756155B2 true JP2756155B2 (ja) 1998-05-25

Family

ID=26531437

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP1234218A Expired - Fee Related JP2756155B2 (ja) 1988-09-26 1989-09-08 工作機械の主軸

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2756155B2 (ja)

Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2013011815A1 (ja) 2011-07-20 2013-01-24 日本精工株式会社 主軸装置
JP2013176823A (ja) * 2012-02-29 2013-09-09 Nsk Ltd 工作機械用主軸装置
KR101456890B1 (ko) * 2013-05-20 2014-11-20 주식회사 스토닉 공작기계의 스핀들 결합구조

Families Citing this family (10)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH10277803A (ja) 1997-03-28 1998-10-20 Sodick Co Ltd 工作機械の主軸及び主軸装置
ITBO20040658A1 (it) * 2004-10-22 2005-01-22 Jobs Spa Testa di lavorazione per macchine utensili
JP5712839B2 (ja) * 2011-02-24 2015-05-07 日本精工株式会社 モータビルトイン方式の主軸装置
JP5742534B2 (ja) * 2011-07-20 2015-07-01 日本精工株式会社 主軸装置
JP5915068B2 (ja) * 2011-10-06 2016-05-11 日本精工株式会社 モータビルトイン方式の主軸装置
JP5712838B2 (ja) * 2011-07-22 2015-05-07 日本精工株式会社 主軸装置
JP5712840B2 (ja) * 2011-07-22 2015-05-07 日本精工株式会社 モータビルトイン方式の主軸装置
JP2014014883A (ja) * 2012-07-06 2014-01-30 Toshiba Mach Co Ltd スピンドル装置、これを備えた工作機械および工具ホルダ
DE102019100297A1 (de) * 2019-01-08 2020-07-09 Gühring KG Verfahren zur Herstellung einer Faser-Kunststoff-Verbund Werkzeugkomponente und Faser-Kunststoff-Verbund Werkzeugkomponente
JP7252541B2 (ja) * 2019-04-02 2023-04-05 Dmg森精機株式会社 工作機械の主軸

Family Cites Families (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPS60165101U (ja) * 1984-04-09 1985-11-01 三菱重工業株式会社 工作機械の主軸
JPS6396311A (ja) * 1986-10-13 1988-04-27 Agency Of Ind Science & Technol 高速回転部品

Cited By (8)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2013011815A1 (ja) 2011-07-20 2013-01-24 日本精工株式会社 主軸装置
CN103003014A (zh) * 2011-07-20 2013-03-27 日本精工株式会社 主轴装置
CN103003014B (zh) * 2011-07-20 2014-12-10 日本精工株式会社 主轴装置
TWI503201B (zh) * 2011-07-20 2015-10-11 Nsk Ltd Spindle device
EP3098004A1 (en) 2011-07-20 2016-11-30 NSK Ltd. Spindle device
EP3100805A1 (en) 2011-07-20 2016-12-07 NSK Ltd. Spindle device
JP2013176823A (ja) * 2012-02-29 2013-09-09 Nsk Ltd 工作機械用主軸装置
KR101456890B1 (ko) * 2013-05-20 2014-11-20 주식회사 스토닉 공작기계의 스핀들 결합구조

Also Published As

Publication number Publication date
JPH02167602A (ja) 1990-06-28

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP2756155B2 (ja) 工作機械の主軸
US5018915A (en) Spindles of machine tools
US9446454B2 (en) Segmented orbital drill
CN103003014B (zh) 主轴装置
JP2002235726A (ja) 繊維強化樹脂パイプ及びこれを用いた動力伝達シャフト
CN102825431A (zh) 一种高耐磨性阀芯的加工方法
JP4083680B2 (ja) 高剛性複合材料工具バー
CN111843634A (zh) 一种石英半球谐振子加工工装及方法
KR950012531B1 (ko) 생사 권취 장치
CN110815504B (zh) 一种陶瓷砖冲压模具的加工工艺
Santhanakrishnan et al. High speed steel tool wear studies in machining of glass-fibre-reinforced plastics
JP2016190493A (ja) 輪転グラビア印刷用シリンダーの製造方法
JPH09277106A (ja) ボーリングバー
US5645476A (en) Grinding wheel for grinding edges of eye glasses
CN209868344U (zh) 一种超高速磨削用复合砂轮
JPS61119874A (ja) シリンダ装置
JPS6396311A (ja) 高速回転部品
JPH08174313A (ja) ボーリングバー
KR100589618B1 (ko) 절삭 바이트 장착용 하이브리드 바이트 홀더
CN220880585U (zh) 钻夹头
CN211414321U (zh) 一种cnc机床用行程槽板
KR100578070B1 (ko) 다단형 내면가공에 사용되는 복합재료 바이트 홀더
KR102298934B1 (ko) 복합롤러의 제조방법
JP2941681B2 (ja) ボーリングバー
KR102013621B1 (ko) 고속회전 복합재 공구 및 이를 제조하는 방법

Legal Events

Date Code Title Description
LAPS Cancellation because of no payment of annual fees