JPH07289829A - 筒状フィルター - Google Patents

筒状フィルター

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JPH07289829A
JPH07289829A JP8941794A JP8941794A JPH07289829A JP H07289829 A JPH07289829 A JP H07289829A JP 8941794 A JP8941794 A JP 8941794A JP 8941794 A JP8941794 A JP 8941794A JP H07289829 A JPH07289829 A JP H07289829A
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JP
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polyolefin
microporous
fiber
filler
fibers
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JP8941794A
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English (en)
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Kuniya Nago
訓也 名郷
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Tokuyama Corp
Original Assignee
Tokuyama Corp
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【目的】微小な粒子のろ過性能及び被ろ過液の流通性能
に優れる筒状フィルターを提供すること。 【構成】平均細孔径が0.05〜2μmの連通孔からな
る網状構造を有し、空隙率が30〜90%であるポリオ
レフィン系微多孔繊維、好適にはポリオレフィンと充填
材よりなる組成物を繊維状に成形し、次いでこれを延伸
することにより上記性状のものとしたポリオレフィン系
微多孔繊維が筒状に巻き上げられてなる筒状フィルタ
ー。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、筒状フィルター、詳し
くはポリオレフィン系微多孔繊維が筒状に巻き上げられ
てなる筒状フィルターに関する。
【0002】
【従来の技術】近年、省資源、省エネルギー、分離精製
等の観点から中実の繊維を筒状に巻き上げたカートリッ
ジフィルターを用いた分離方法が急速に実用規模で用い
られるようになってきた。こうした筒状フィルターで
は、被ろ過液を、該フィルターの筒外と筒中空部の間で
流通させることにより、上記被ろ過液に含有される不純
物粒子を、前記筒上に巻き上げられてなる繊維の間隙に
捕捉されて、該被ろ過液を純化させる。
【0003】しかして、この膜分離法に用いられる繊維
の素材としては数多くの高分子素材が研究され、例え
ば、ポリエステル系、ポリオレフィン系、ポリスルホン
系等の高分子素材が、従来提案されてきた。筒状フィル
ターに用いられる繊維素材に要求される特性としては、
分離能に優れることは言うまでもなく、その他、使用条
件下に耐え得る機械的特性、耐薬品性等の特性に加え、
繊維の単位体積当たりの表面積を大きくするため、その
形態を細くすることが要求される。さらに、繊維を低コ
ストで容易に製造し得ることも重要な要件となる。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】筒状フィルターの分離
精製能は、前記した通り巻き上げられた繊維間の間隙を
使って行われる。ところが、繊維径を細くしたり、該繊
維を緊密に巻き上げるのには自ずと限界があるため、こ
の繊維間の間隙も無制限に小さくすることはできない。
従って、こうした巻き上げられた繊維間の間隙を利用し
て不純物粒子を捕捉する形態では、捕捉できる粒子の径
の下限値は実質的に0.5μm程度が限界であり、これ
以下の微小懸濁物質の分離は難しかった。また、このよ
うに可能な限り微小な粒子も捕捉しようとして、緊密に
繊維を巻き上げていくと、被ろ過液のフィルターに対す
る流量が低下し、ろ過効率が悪化する問題があった。
【0005】こうした背景から、微小な粒子のろ過性能
及び被ろ過液の流通性能に優れる筒状フィルターの開発
が望まれていた。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記筒状
フィルターに要求される特性を具備し、低コストで容易
に成形し得る新規な筒状フィルターの開発を目的とし
て、鋭意研究を続けてきた。その結果、筒状フィルター
として巻き上げる繊維に、特定のポリオレフィン系微多
孔繊維を用いることにより、上記課題が解決できること
を見いだし本発明を完成するに至った。
【0007】即ち、本発明は、平均細孔径が0.05〜
2μmの連通孔からなる網状構造を有し、空隙率が30
〜90%であるポリオレフィン系微多孔繊維が筒状に巻
き上げられてなる筒状フィルターである。
【0008】本発明において、ポリオレフィン系微多孔
繊維の素材となるポリオレフィンとしては、ポリエチレ
ン、ポリプロピレン、ポリブテン−1又はポリメチルペ
ンテン等のα−オレフィンの単独重合体、α−オレフィ
ンと他の共重合可能なモノマーとの共重合体及びそれら
の混合物等を挙げることができる。中でも、得られる微
多孔繊維の耐熱性と成形性を勘案すると、プロピレンの
単独重合体、プロピレンと他の共重合可能なモノマーと
の共重合体及びそれらの混合物が好適である。
【0009】上記のα−オレフィンと他の共重合可能な
モノマーとの共重合体は、一般にα−オレフィン、特に
プロピレンを90重量%以上含み、他の共重合可能なモ
ノマーを10重量%以下含む共重合体が好適である。ま
た、上記共重合可能なモノマーも特に限定されず、公知
のものを使用出来るが、一般には、炭素原子数2〜8の
α−オレフィン、特にエチレン、及びブテンが好適であ
る。
【0010】本発明において、上記ポリオレフィンを素
材として構成される微多孔繊維は、平均細孔径が0.0
5〜2μm、好適には0.1〜1.5μmの連通孔から
なる網状構造を有し、空隙率が30〜90%、好適には
40〜70%である必要がある。本発明では、かかる細
孔性状にある微多孔繊維を筒状フィルターの繊維として
使用することにより、フィルターのろ過使用時におい
て、繊維間の間隙では捕捉できないような微細な粒子
も、上記微多孔繊維の細孔により捕捉することができ
る。また、この微多孔繊維は、内部が上記細孔により前
記の如く高い空隙率で網状となっているため、被ろ過液
が良好に流通する。そのため、本発明の筒状フィルター
では、微小な粒子のろ過性能、及び被ろ過液の流通性能
共に優れたものとなる。
【0011】ここで、ポリオレフィン系微多孔繊維の平
均細孔径が0.05μmより小さい場合、より微小な粒
子をろ過できるが、被ろ過液の流通性能が劣るようにな
り、一方、この平均細孔径が2μmより大きい場合、被
ろ過液の流通性能は大きいが、捕捉粒子径が大きくな
る。また、空隙率が30%より小さい場合、被ろ過液の
流通性能が小さくなり、一方、この空隙率が90%より
大きい場合、被ろ過液の流通性能は大きいが、捕捉粒子
径が大きくなることの他に、微多孔繊維の強度が不足し
て筒状に巻き上げる工程で切断するというトラブルが派
生するようになる。さらに、本発明において、ポリオレ
フィン系微多孔繊維は、全細孔比表面積が3〜60m2
/gであるのが好ましい。この値において、最も分離性
能が良好となる。なお、こうしたポリオレフィン系微多
孔繊維の直径は、特に制限されるものではないが、通
常、10〜500μmであるのが良好である。
【0012】本発明おいて、以上のポリオレフィン系微
多孔繊維は、前記した性状を満たすものであれば、いか
なる方法により、製造したものであっても良い。好適に
は、ポリオレフィン15〜80重量%、平均粒子径0.
01〜5μmの充填材85〜20重量%よりなる組成物
を繊維状に成形した後、これを延伸して微多孔化する方
法により得るのが好ましい。
【0013】ここで、上記充填材成分は、無機充填材、
及び合成樹脂粒子のいずれもが良好に使用される。充填
材は、ポリオレフィンの溶融成形条件下、例えばポリオ
レフィンの融点プラス100℃の温度において実質的に
安定でポリオレフィンと反応しないものが使用される。
また、ポリオレフィンと混合した場合凝集を起さず、均
一に分散するものであることが好ましい。充填材は、延
伸工程に於いてポリオレフィンと分散した充填材との界
面に剥離を生じさせて微細な連通孔を形成させるために
使用される。
【0014】本発明において用いる無機充填材は、上記
の機能を発揮するものであれば特に限定されず使用し得
るが、特に周期律表第IIA族、第IIIA族及び第IVB族
よりなる群から選ばれた1種の金属の酸化物、水酸化
物、炭酸塩、又は硫酸塩からなるものが好適である。こ
れらの無機充填材は種々の合成樹脂の充填材として公知
なものが特に限定されず用いうるが、一般に好適に使用
されるものを例示すると次の通りである。例えば、周期
律表第IIA族の金属としてはカルシウム、マグネシウ
ム、バリウム等のアルカリ土類金属であり、第IIIA族
の金属としてはホウ素、アルミニウム等の金属であり、
また第IVB族の金属としてはチタン、ジルコニウム、ハ
フニウム等の金属であり、IVA族の金属としてはケイ素
等の金属が好適である。これらの金属の酸化物、水酸化
物、炭酸塩、又は硫酸塩は特に限定されず用いうる。特
に好適に使用される充填材をより具体的に例示すれば、
酸化カルシウム、酸化マグネシウム、酸化ホウ素、酸化
チタン、酸化ジルコニウム等の酸化物;炭酸カルシウ
ム、炭酸マグネシウム、炭酸バリウム等の炭酸塩;水酸
化マグネシウム、水酸化カルシウム、水酸化アルミニウ
ム等の水酸化物;硫酸カルシウム、硫酸バリウム、硫酸
アルミニウム等の硫酸塩;ケイ酸カルシウム、ケイ酸ア
ルミニウム、タルク等のケイ酸塩等である。
【0015】上記の無機充填材はシリコーンオイルで表
面処理されていることが好ましい。このようにシリコー
ンオイルで表面処理することにより、該無機充填材のポ
リオレフィンへの分散性や該無機充填材を含有するポリ
オレフィンの成形性、延伸性が向上する。表面処理剤と
して使用するシリコーンオイルとは、以下の一般式で表
示されポリジアルキルシロキサンである。
【0016】
【化1】
【0017】Rが炭素数1〜25の置換、又は非置換の
アルキル基、アルケニル基、フェニル基又は水素原子か
らなる流動状物である。
【0018】該シリコーンオイルの平均分子量は何ら制
限されるものではないが、一般には1,000〜10
0,000が好適に用いられる。平均分子量が1,00
0以下になると、溶融ペレット化する際に揮発して飛散
し、また、100,000以上では表面処理の均一性に
劣る場合がある。
【0019】上記シリコーンオイル表面処理剤の使用量
は特に限定されないが、一般には無機充填材に対して
0.5〜5重量%が好ましい。表面処理濃度が低すぎる
と、延伸によって発生するポリオレフィンと無機充填材
との界面剥離が少なく微多孔化が十分でなかったり、ま
た濃度が高すぎると成形する際にガスが発生したりして
好ましくない。
【0020】表面処理の方法としては、スーパーミキサ
ー中に所定量の無機充填材とシリコーンオイルを投入
し、1000〜2000rpm、2〜5分間高速撹拌し
た後、190〜210℃で2〜4時間熱処理すればよ
い。
【0021】一方、本発明において用いる合成樹脂粒子
は、前記の機能を発揮するものであれば、熱硬化性樹脂
及び熱可塑性樹脂の別なく公知の合成樹脂粒子が使用可
能である。こうした合成樹脂粒子は、ポリオレフィンへ
の分散性や該合成樹脂粒子を含有するポリオレフィンの
成形性、延伸性が良好となり好適である。軟化温度又は
分解温度がポリオレフィンの成形温度以下の場合には、
繊維の成形時に該合成樹脂粒子が軟化したり、分解して
ガスが発生し、微多孔性とすることができない場合があ
る。
【0022】本発明に於いて好適に使用し得る合成樹脂
粒子を具体的に例示すると、例えば、6−ナイロン、
6,6−ナイロン等のポリアミド;ポリ四フッ化エチレ
ン,四フッ化エチレン−六ッ化プロピレン共重合体等の
フッ素系樹脂;ポリイミド;シリコーン樹脂;フェノー
ル樹脂;ベンゾグアナミン樹脂;或いはスチレン,アク
リル酸,メタクリル酸,アクリル酸メチル,メタクリル
酸メチル等とジビニルベンゼン等の架橋剤との共重合体
が好適である。中でもポリオレフィンとの界面剥離性が
良好であり、延伸により容易に多孔質化することができ
るという理由から、本発明ではシリコーン樹脂が好適に
用いられる。
【0023】以上の充填材の平均粒子径は、ポリオレフ
ィンへの分散性やポリオレフィンの繊維状への成形性、
あるいは粒子間の凝集を防いだり、一定のろ過速度を保
つことを勘案すると、0.01〜5μmであることが必
要である。好適な微多孔繊維を得るための充填材の平均
粒子径は、0.03〜3μmであることが好ましい。
【0024】上記の充填材の粒子径分布は狭いほど均一
な細孔が得られるために好ましい。一般には粒子径分布
を分散で表わした場合、分散が1.5以下、さらに好ま
しくは0.1以下であることが好適である。また、上記
の充填材の形状はどのような形状であっても良いが、通
常は、長径と短径の比が1〜2の範囲の球形又は楕円形
であることが、径の均一な細孔が得られるために好まし
い。上記の比は、さらに1〜1.5の範囲であることが
好ましい。
【0025】前記したポリオレフィンと充填材との割合
は、ポリオレフィンが15〜80重量%で、無機充填材
が85〜20重量%である。充填材が無機充填材の場合
は、ポリオレフィンが15〜70重量%で、無機充填材
が85〜30重量%であるのが特に好ましい。また、充
填材が合成樹脂粒子の場合はポリオレフィンが30〜8
0重量%、さらに好ましくは30〜70重量%で、合成
樹脂粒子が70〜20重量%、さらに好ましくは70〜
30重量%であるのが特に好適である。
【0026】前記ポリオレフィン成分と充填材成分の組
成割合は、微多孔繊維の性状を特定の範囲に保ち、工業
的に有利に微多孔繊維を製造するのに重要である。該充
填材成分の割合が前記下限値より少なくなると得られる
微多孔繊維の孔形成が十分でなく、また、逆にポリオレ
フィン成分の添加割合が前記上限値より多くなると、繊
維の成形性が悪くなったり、延伸が十分に行えないなど
の傾向があるので好ましくない。
【0027】前記ポリオレフィン成分に充填材成分を多
量に、かつ、均一に混合することは困難であることがあ
り、このような場合には前記ポリオレフィン成分と充填
材成分との混合に際して分散剤を特定量配合することが
好ましい。即ち、前記ポリオレフィン成分及び充填材成
分の合計量100重量部に対して、分散剤を0.1〜2
0重量部添加することが均一な細孔径を有する微多孔繊
維を得るために好ましい。
【0028】分散剤は種々の合成樹脂に可塑剤として添
加される公知の化合物を特に限定されず用いうる。一般
に好適に使用される分散剤は、ポリエステル系可塑剤、
エポキシ系可塑剤、末端OH化ポリブタジエンである。
これらを例示すると下記の通りである。
【0029】ポリエステル系可塑剤は、一般に炭素原子
数4〜8の直鎖又は芳香環を有する二塩基酸又は三塩基
酸と炭素原子数2〜5の直鎖状の二価アルコールをエス
テル化反応させたものが好適である。特に好適に使用さ
れるものを具体的に例示すると、セバシン酸、アジピン
酸、フタル酸、アゼライン酸およびトリメリット酸等の
二塩基酸あるいは三塩基酸と、エチレングライコール、
プロピレングライコール、ブチレングライコール、ネオ
ペンチルグライコールおよび長鎖アルキレングライコー
ル等よりなるポリエステル化合物で、特にアジピン酸あ
るいはセバシン酸とプロピレングライコール、ブチレン
グライコール又は長鎖アルキレングライコールとよりな
るポリエステル化合物が好ましく用いられる。
【0030】エポキシ系可塑剤は、炭素原子数8〜24
の一塩基性直鎖不飽和酸の二重結合をエポキシ化したも
のが好ましい。特に好適に使用されるものを具体的に示
せばエポキシ化大豆油、エポキシ化アマニ油等で、これ
らを単独でまたは併用して使用出来る。
【0031】また、末端OH化ポリブタジエンは、重合
度500〜2000の両末端を水酸化した物が好ましく
用いられる。
【0032】上記各成分の混合に際し、目的とする微多
孔繊維の製造を妨げない範囲において分散剤、着色剤、
滑剤、酸化防止剤、劣化防止剤、親水化剤、疎水化剤等
の公知の添加剤を加えることはしばしば良好な態様であ
る。
【0033】前記混合組成物は、通常のスーパーミキサ
ー乃至はヘンシェルミキサーを用いて容易に均一混合さ
れ、次いで通常の二軸押出機により溶融ペレット化され
て得られる。
【0034】前記混合組成物を、特定の条件下に繊維状
物に溶融成形後、延伸することで微多孔繊維を得ること
ができる。上記の組成物を繊維状に成形する方法も特に
制限されないが、一般に、公知の円筒型口金を備えた押
出機を用いて繊維状物を得ることができる。未延伸の繊
維状物は、一般的に、二対のネルソンロール等の回転速
度比の違いにより一軸延伸する方法等で延伸が行われ
る。
【0035】微多孔繊維の延伸倍率は特に限定されるも
のではないが、一般的には1.5〜15倍である。延伸
倍率が小さいと微孔の生成が十分でなく、また、大きす
ぎると延伸時に切断する頻度が増す。
【0036】延伸温度は、一般に常温以上ポリオレフィ
ンの融点以下、特に融点より10〜100℃低い温度が
好ましい。
【0037】延伸することによって得られた微多孔繊維
は更に緊張下に熱処理、例えば、前記延伸の温度以上融
点以下の温度で熱固定処理し、その後室温まで冷却して
目的物とすることが好ましい。また、接着性を改良する
目的でのコロナ放電処理や親水化処理あるいは疎水化処
理による表面処理を行うことは好ましい態様である。
【0038】以上説明したような方法により製造された
ポリオレフィン系微多孔繊維が巻き上げられてなる筒状
フィルターは、公知のいかなる形態にあるものでも良
い。一般には、ろ層の厚み10〜30mmであり、筒中
空部の直径が20〜30mmであり、長さが40〜10
00mmであり、有効ろ過体積が38〜5700cm3
であるのが好ましい。
【0039】こうした形態に微多孔繊維を巻き上げる方
法は、公知の方法が特に制限されることなく採用され
る。繊維を数本〜数十本束ねた集合体(マルチフィラメ
ント)を筒上に巻き上げる方法も制限なく採用される。
各々の繊維にかかる張力を均等として繊維間をより緻密
とし、微細粒子のを捕捉できない。好適には、該微多孔
繊維1本の送り出しを巻き上げることがより緻密なカー
トリッジフィルターを得る上で好ましい。具体的には、
該微多孔繊維1本をカートリッジ巻取機で筒状に巻き上
げる際の繊維の張力は、250〜1000g/本に制御
し、ワインド数は片道当たり10〜100回/100m
mで肩崩れしない範囲でトラバースして巻き上げる方法
が特に好ましく採用される。
【0040】
【発明の効果】本発明の筒状フィルターは、巻き上げに
使用される微多孔繊維の材質がポリオレフィンよりな
り、オレフィンリッチであるため耐熱性も良好で、強
度、耐薬品性、生体適合性などの物性もすぐれている。
しかも、かかる微多孔繊維が、空隙率が30〜90%と
大きく、平均孔径が0.05〜2μmと小さいため、こ
の筒状フィルターは、0.01〜1μmという、従来技
術の筒状フィルターでは達成できなかった超微小微粒子
を捕捉することができる。また、フィルターろ層の単位
体積当たりの流量も従来技術の2倍以上であり、長期に
亙ってろ過膜として使用可能である。
【0041】従って、本発明で得られる筒状フィルター
は、除じん及び除菌のためのエアーフィルター;ガス分
離膜;廃水処理;食品工業、電子工業、製薬工業におけ
るクリーンウォーター製造;等に使用でき、精密ろ過、
及び限外ろ過、逆浸透膜、パーベーパレーション等の支
持体としての用途に好適に使用される。
【0042】
【実施例】本発明を更に具体的に説明するため、以下、
実施例及び比較例を掲げて説明するが、本発明はこれら
の実施例に限定されるものではない。尚、実施例および
比較例に示す微多孔繊維の物性及び判定は以下の方法に
より測定或いは判定した値を示す。
【0043】・平均孔径(μ);島津製作所(株)製ポ
アサイザー9310を用い、水銀圧入式ポロシメーター
法により測定した。
【0044】・比表面積(m2/g);島津製作所
(株)製ポアサイザー9310を用い、水銀圧入式ポロ
シメーター法により測定した。
【0045】・空隙率(%);島津製作所(株)製ポア
サイザー9310を用い、水銀圧入式ポロシメーター法
により測定した。
【0046】・直径(μm);ハイロックス(株)製マ
イクロハイスコープシステムDH−2200を用いて測
定した。
【0047】・成形性;未延伸の繊維状物を目視及び手
でさわって観察し次の判定基準で判定した。
【0048】良好 ;太さむら、表面凹凸がない状
態。
【0049】やや良好;太さむら、又は表面凹凸の一方
が微少ある状態。
【0050】不良 ;太さむらがあり、表面に凹凸が
ある状態。
【0051】・分散性;延伸して得られた微多孔繊維を
目視し、フィッシュアイがあるかないかで判定した。
【0052】良好 ;フィッシュアイがない状態。
【0053】やや良好;微小のフィッシュアイが観察さ
れる状態。
【0054】不良 ;フィッシュアイが観察される状
態。
【0055】・延伸性;未延伸繊維状物を延伸する際の
延伸状態で判定した。
【0056】良好 ;切断、破れが生ぜず、延伸が
均一に行なわれている状態。
【0057】やや良好 ;延伸が出来ても一部に未延伸
部が存在する状態。
【0058】延伸出来ず;切断、破れが発生し延伸が出
来ない状態。
【0059】・筒状フィルターにおける懸濁状微粒子の
捕捉粒子径の下限値。
【0060】微多孔繊維を27mmφのサポートスクリ
ーン上にワインダー〔(株)神津製作所製ET−E型テ
ークアップワインダー〕で、750g/本の張力制御し
て巻き上げ、ろ層約15mm、長さ250mm、有効ろ
過体積約500cm3の筒状カートリッジフィルターを
得た。該カートリッジをステンレス製ホルダーにセット
し、水圧1.0kg/cm2で、0.1%の単一分散粒
子径(粒径0.006〜3μm)のポリスチレンラテッ
クス粒子をろ過し、ろ液のラテックス粒子の濃度を島津
製作所分光光度計(UV−3100S)により320n
mの波長の吸光度を測定して捕捉率を求め、捕捉率10
0%を示す粒子径から捕捉粒子径の下限値を求めた。
【0061】・筒状フィルターの流量の測定。
【0062】上記カートリッジをステンレス製ホルダー
にセットし、水圧1kg/cm2 で流量を測定した。
【0063】実施例1〜28、及び比較例1〜6 表1に示すようなポリオレフィン、無機充填材、分散剤
よりなる組成物、または、表2に示すようなポリオレフ
ィン、合成樹脂粒子、分散剤よりなる組成物をスーパー
ミキサーで5分間混合した後、二軸押出機により230
℃でストランド状に押出し、ペレット状に切断した。得
られたペレットを、スクリュー径20mmφ、L/D=
22の押出機に取付けた直径0.7mmの孔構造を有す
る繊維製造用ノズルより230℃で押出し、約20℃の
水が循環する水槽に投入して冷却せしめ、3〜10m/
分で引き取り未延伸繊維状物を得た。
【0064】この未延伸繊維状物を、回転速度の異なる
2対のネルソンロール間で120℃にて延伸倍率3〜1
0倍に一軸延伸し、微多孔繊維を得た。得られた微多孔
繊維の物性を表3、及び表4に示した。
【0065】上記微多孔繊維を用いて、筒状カートリッ
ジを作製し、その捕捉粒子径の下限値及び流量を測定し
た。
【0066】尚、使用したポリオレフィン、無機充填
材、合成樹脂粒子、表面処理剤、分散剤は下記に示す商
品を使用した。
【0067】ポリオレフィン; ポリプロピレン;トクヤマ(株)製、PN-120(商品名)
密度0.91g/cm3 ,135 ℃のテトラリンで測定した極限粘
度2.38dl/g,融点166 ℃。
【0068】プロピレン−エチレン共重合体;トクヤマ
(株)製、MS-624(商品名)密度0.90g/cm3 ,135 ℃
のテトラリンで測定した極限粘度2.28dl/g,融点163
℃,エチレン含有量4.7 重量%。
【0069】ポリエチレン;三井石油化学工業(株)
製、高密度ポリエチレン、ハイゼックス1300J (商品
名)、メルトインデックス 1.3g/10 分。
【0070】無機充填材; 炭酸カルシウム;白石工業(株)製、ビスコライトU
(商品名)平均粒子径0.09μm。
【0071】白石工業(株)製、ツネックスE(商品
名)平均粒子径0.5 μm。
【0072】東洋ファインケミカル(株)製、ホワイト
ンPO(商品名) 平均粒子径1.05μm。
【0073】白石カルシウム(株)製、ホワイトンP−
10(商品名) 平均粒子径3μm。
【0074】タルク;日本ミストロン(株)製、850
−JS(商品名)、平均粒子径0.9μm。
【0075】水酸化アルミニウム;昭和軽金属(株)
製、ハイジライド(商品名)、平均粒子径6μm。
【0076】合成樹脂粒子; シリコーン樹脂(A) ;東レシリコーン(株)製、トレフ
ィルR-935 (商品名) 平均粒子径4μmの球状物、分散1.5 。
【0077】シリコーン樹脂(B) ;東レシリコーン
(株)製、トレフィルR-925 (商品名) 平均粒子径0.5 μmの球状物、分散0.007 。
【0078】メチルメタクリル酸−ジビニルベンゼン共
重合体;総研化学(株)製、MP3000(商品名)、平均粒
子径0.4μmの球状物、分散0.007 。
【0079】スチレン−アクリル酸−ジビニルベンゼン
共重合体;日本ペイント(株)製、マイクロジェル(商
品名)、平均粒子径0.2μmの球状物、分散0.007。
【0080】ベンゾグアナミン樹脂(A) ;日本触媒化学
工業(株)製、エポスターR-S (商品名) 平均粒子径0.3μmの球状物、分散0.1。
【0081】ベンゾグアナミン樹脂(B) ;日本触媒化学
工業(株)製、エポスターR-L (商品名) 平均粒子径15μmの球状物、分散0.3。
【0082】表面処理剤; シリコーンオイル;東レ・ダウコーニング(株)製、S
H−200(商品名)。
【0083】分子量10,000 化学構造;ポリジメチルシロキサン (OSi(CH3 )2 O)n 東レ・ダウコーニング(株)製、SH−510(商品
名)。
【0084】分子量15,000 化学構造;ポリメチルフェニルシロキサン (OSiCH3 C6 H5 O)n 分散剤;日本曹達(株)製、末端OH化ポリブタジエン GI−1000(商品名)。
【0085】比較例7〜8 ポリプロピレン製であり、微多孔を有さない繊維の束を
27mmφのサポートスクリーン上に巻き上げた筒状フ
ィルターとして、繊維間の間隙が0.5μmの市場品
A、及び繊維間の間隙が1μmの市場品Bを用いて、そ
の捕捉粒子径の下限値及び流量を測定した。結果を表4
に示した。
【0086】
【表1】
【0087】
【表2】
【0088】
【表3】
【0089】
【表4】

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】平均細孔径が0.05〜2μmの連通孔か
    らなる網状構造を有し、空隙率が30〜90%であるポ
    リオレフィン系微多孔繊維が筒状に巻き上げられてなる
    筒状フィルター。
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Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US6245270B1 (en) 1997-03-17 2001-06-12 Tokuyama Corporation Process for the production of porous polyolefin

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