JPH0824601A - 微多孔性膜 - Google Patents

微多孔性膜

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JPH0824601A
JPH0824601A JP16420994A JP16420994A JPH0824601A JP H0824601 A JPH0824601 A JP H0824601A JP 16420994 A JP16420994 A JP 16420994A JP 16420994 A JP16420994 A JP 16420994A JP H0824601 A JPH0824601 A JP H0824601A
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JP
Japan
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water
hollow fiber
polyolefin
membrane
microporous membrane
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Application number
JP16420994A
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English (en)
Inventor
Kuniya Nago
訓也 名郷
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Tokuyama Corp
Original Assignee
Tokuyama Corp
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【目的】上水中に溶存するトリハロメタンを効率よく除
き、安全で、且つおいしい水を提供できる浄水器の濾過
膜などに好適に使用できる微多孔性膜を得る。 【構成】(a)ポリオレフィン 15〜
70重量% (b)平均粒子径が0.01〜5μmの無機充填剤また
は合成樹脂充填剤84〜20重量% (c)水に難溶性の第4級アンモニウム塩 1
〜10重量% とよりなり、最大細孔径が5μm以下の連通孔からなる
網状構造を有し、空隙率が20〜90重量%であり、且
つ延伸により分子配向されてなる中空糸膜状等を好適な
形態とする微多孔性膜。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、微多孔性膜、詳しくは
上水中に溶存するトリハロメタンの除去能を有する濾過
用微多孔性膜に関する。
【0002】
【従来の技術】近年、省資源、省エネルギー、分離精製
等の観点から微多孔性膜を用いた分離方法が急速に実用
規模で用いられるようになってきた。かかる膜分離法に
用いられる微多孔性膜としては数多くのものが研究さ
れ、例えば、ポリオレフィンに炭酸カルシウム等の充填
剤が分散され、該ポリオレフィンと充填剤との境界を界
面剥離させて微多孔化させたものが、初期透水量や、長
期使用時の透水量等の透水性能に優れたものとして提案
されている。
【0003】このような微多孔性膜の用途の一つに、該
膜を中空糸状等に成膜したものを、浄水器の分離膜とし
て使用する用途がある。各家庭の上水道の蛇口に中空糸
膜を組込んだ浄水器は、その手軽さのために普及してき
ている。しかして、かかる浄水器では、この組み込まれ
た中空糸膜により、上水中に含有される大腸菌や一般細
菌、藻、カビ、プランクトンの死骸、鉄サビ、Al2
4、シリカ、イオウ、Mg等の汚染粒子が除去され
る。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】ところで、前記上水等
の洗浄に供する水には、上記汚染粒子の他に、Cl-
オン、トリハロメタン、2−メチルイソボルネオール
(MIB)、ジオスミン等の種々の有害物質が溶解され
ている。ところが、前記の中空糸膜による浄化では、こ
うした水中に溶解しているような汚染物質はほとんど除
去できず、そのため、かかる中空糸膜により浄化した水
においても、該溶存汚染物質による害、特に発ガン物質
の一つであるトリハロメタンによる害が問題になってい
た。
【0005】一方、特開平1−288302号公報に
は、上記ポリオレフィン成分とこれに分散する充填剤成
分からなる中空糸膜として、該成分の他にさらにフッ素
系界面活性剤であるフッ素化アルキル第4級アンモニウ
ムヨウ化物を配合させたものが開示されている。しかし
ながら、この中空糸膜においても、上記配合させるフッ
素化アルキル第4級アンモニウムヨウ化物は、水に可溶
であり、トリハロメタンを除去するために所定量を配し
て中空糸膜としても通水使用時に溶解流出してしまうた
め、処理水からのトリハロメタンの除去はほとんど達成
されなかった。
【0006】こうした背景から、前記中空糸膜を用いた
浄水器では、通常、該中空糸膜の他に前記の如くの溶存
汚染物質の吸着能を有する活性炭層が併設されており、
この活性炭層を水が通過することにより、該溶存汚染物
質を吸着除去することが試みられている。ところが、前
記溶存汚染物質の中でもトリハロメタンは、この活性炭
に対する吸着能が十分ではなく、特に、上水の処理量が
多くなった場合において、該トリハロメタンの吸着能が
急激に低下するものであった。従って、こうした浄水器
において、処理される浄水中のトリハロメタンを長期に
渡って良好に取り除こうとすれば、微多孔性中空糸膜と
供に併設される活性炭層の充填量を過度に多くしなけれ
ばならず、装置の大型化や高価格化を引き起こしてい
た。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記の問
題点に鑑み、トリハロメタンを強力に除去し得る物質を
膜中に取り込んだ中空糸膜を開発すれば、浄水器の小型
化を保ちつつ安価で、安全、且つおいしい水が提供でき
ると考え、種々検討を重ねてきた。
【0008】その結果、膜中に、無機充填剤または合成
樹脂充填剤と供に、さらに第4級アンモニウム塩を分散
させることによって、上記課題が解決できることを見出
し本発明を完成するに至った。
【0009】 即ち、本発明は、(a)ポリオレフィン 15〜70重量% (b)平均粒子径が0.01〜5μmの無機充填剤または合成樹脂充填剤 84〜20重量% (c)水に難溶性の第4級アンモニウム塩 1〜10重量% とよりなり、最大細孔径が5μm以下の連通孔からなる
網状構造を有し、空隙率が20〜90重量%であり、且
つ延伸により分子配向されてなる微多孔性膜である。
【0010】本発明において微多孔性膜の素材となるポ
リオレフィンとしては、ポリエチレン、ポリプロピレ
ン、ポリブテン−1又はポリメチルペンテン等のα−オ
レフィンの単独重合体、α−オレフィンと他の共重合可
能なモノマーとの共重合体及びそれらの混合物等を挙げ
ることができる。中でも、得られる微多孔性膜の耐熱性
と成形性を勘案すると、プロピレンの単独重合体、プロ
ピレンと他の共重合可能なモノマーとの共重合体及びそ
れらの混合物が好適である。
【0011】上記のα−オレフィンと他の共重合可能な
モノマーとの共重合体は、一般にα−オレフィン、特に
プロピレンを90重量%以上含み、他の共重合可能なモ
ノマーを10重量%以下含む共重合体が好適である。ま
た、上記共重合可能なモノマーも特に限定されず、公知
のものを使用出来るが、一般には、炭素原子数2〜8の
α−オレフィン、特にエチレン、及びブテンが好適であ
る。
【0012】本発明において使用される無機充填材及び
合成樹脂充填剤は、ポリオレフィンの溶融成形条件下、
例えばポリオレフィンの融点プラス100℃の温度にお
いて実質的に安定でポリオレフィンと反応しないものが
好ましい。また、ポリオレフィンと混合した場合凝集を
起さず、均一に分散するものであることが好適である。
これらの充填材は、延伸工程に於いてポリオレフィンと
分散した充填材との界面に剥離を生じさせて微細な連通
孔を形成させるために使用される。
【0013】本発明において無機充填材は、上記の機能
を発揮するものであれば特に限定されず使用し得るが、
特に周期律表第IIA族、第IIIA族及び第IVB族よりな
る群から選ばれた1種の金属の酸化物、水酸化物、炭酸
塩、又は硫酸塩からなるものが好適である。これらの無
機充填材は種々の合成樹脂の充填材として公知なものが
特に限定されず用いうるが、一般に好適に使用されるも
のを例示すると次の通りである。例えば、周期律表第II
A族の金属としてはカルシウム、マグネシウム、バリウ
ム等のアルカリ土類金属であり、第IIIA族の金属とし
てはホウ素、アルミニウム等の金属であり、また第IVB
族の金属としてはチタン、ジルコニウム、ハフニウム等
の金属であり、IVA族の金属としてはケイ素等の金属が
好適である。これらの金属の酸化物、水酸化物、炭酸
塩、又は硫酸塩は特に限定されず用いうる。特に好適に
使用される充填材をより具体的に例示すれば、酸化カル
シウム、酸化マグネシウム、酸化ホウ素、酸化チタン、
酸化ジルコニウム等の酸化物;炭酸カルシウム、炭酸マ
グネシウム、炭酸バリウム等の炭酸塩;水酸化マグネシ
ウム、水酸化カルシウム、水酸化アルミニウム等の水酸
化物;及びそれらの塩基性炭酸塩;硫酸カルシウム、硫
酸バリウム、硫酸アルミニウム等の硫酸塩;ケイ酸カル
シウム、ケイ酸アルミニウム、タルク等のケイ酸塩等で
ある。
【0014】上記の無機充填材はシリコーンオイルで表
面処理されていることが好ましい。このようにシリコー
ンオイルで表面処理することにより、該無機充填材のポ
リオレフィンへの分散性や該無機充填材を含有するポリ
オレフィンの成形性、延伸性が向上する。表面処理剤と
して使用するシリコーンオイルとは、以下の一般式で表
示されポリジアルキルシロキサンである。
【0015】
【化1】
【0016】Rが炭素数1〜25の置換、又は非置換の
アルキル基、アルケニル基、フェニル基又は水素原子か
らなる流動状物である。
【0017】該シリコーンオイルの平均分子量は何ら制
限されるものではないが、一般には1,000〜10
0,000が好適に用いられる。平均分子量が1,00
0以下になると、溶融ペレット化する際に揮発して飛散
し、また、100,000以上では表面処理の均一性に
劣る場合がある。
【0018】上記シリコーンオイル表面処理剤の使用量
は特に限定されないが、一般には無機充填材に対して
0.5〜5重量%が好ましい。表面処理濃度が低すぎる
と、延伸によって発生するポリオレフィンと無機充填材
との界面剥離が少なく微多孔化が十分でなかったり、ま
た濃度が高すぎると成形する際にガスが発生したりして
好ましくない。
【0019】表面処理の方法としては、スーパーミキサ
ー中に所定量の無機充填材とシリコーンオイルを投入
し、1000〜2000rpm、2〜5分間高速撹拌し
た後、190〜210℃で2〜4時間熱処理すればよ
い。
【0020】一方、本発明において用いる合成樹脂充填
剤は、前記の機能を発揮するものであれば、熱硬化性樹
脂及び熱可塑性樹脂の別なく公知の合成樹脂充填剤が使
用可能である。成形時における該合成樹脂充填剤の軟化
や分解によるガス発生を勘案すれば、こうした合成樹脂
充填剤は、軟化温度又は分解温度がポリオレフィンの成
形温度以上であるのが好ましい。
【0021】本発明に於いて好適に使用し得る合成樹脂
粒子を具体的に例示すると、例えば、6−ナイロン、
6,6−ナイロン等のポリアミド;ポリ四フッ化エチレ
ン,四フッ化エチレン−六ッ化プロピレン共重合体等の
フッ素系樹脂;ポリイミド;シリコーン樹脂;フェノー
ル樹脂;ベンゾグアナミン樹脂;或いはスチレン,アク
リル酸,メタクリル酸,アクリル酸メチル,メタクリル
酸メチル等とジビニルベンゼン等の架橋剤との共重合体
が好適である。中でもポリオレフィンとの界面剥離性が
良好であり、延伸により容易に多孔質化することができ
るという理由から、本発明ではシリコーン樹脂が好適に
用いられる。
【0022】以上の無機充填材及び合成樹脂充填剤の平
均粒子径は、ポリオレフィンへの分散性やポリオレフィ
ンの膜への成形性、あるいは粒子間の凝集を防いだり、
一定のろ過速度を保つことを勘案すると、0.01〜5
μmであることが必要である。好適な微多孔膜を得るた
めの充填材の平均粒子径は、0.03〜3μmであるこ
とが好ましい。
【0023】これらの各充填材の粒子径分布は狭いほど
均一な細孔が得られるために好ましい。一般には粒子径
分布を分散で表わした場合、分散が1.5以下、さらに
好ましくは0.1以下であることが好適である。また、
その形状はどのような形状であっても良いが、通常は、
長径と短径の比が1〜2の範囲の球形又は楕円形である
ことが、径の均一な細孔が得られるために好ましい。上
記の比は、さらに1〜1.5の範囲であることが好まし
い。
【0024】本発明の微多孔性膜では、ポリオレフィン
に上記の無機充填材または合成樹脂充填剤の他に、水に
難溶性の第4級アンモニウム塩が配合される。この水に
難溶性の第4級アンモニウム塩は、トリハロメタンを良
好に除去する作用を有するため、本発明では、上記の如
く該第4級アンモニウム塩を膜に配合させることによ
り、膜中に形成される連通孔を通水する上水からかかる
トリハロメタンを好適に除くことができる。また、本発
明において、こうした第4級アンモニウム塩は、本質的
に殺菌能を有しており、上記の如くトリハロメタンを良
好に除去する能力を有するだけでなく、濾過膜等として
使用する際において通水を停止しても、雑菌の繁殖を阻
止する能力も有しており、安全衛生上からも好適に用い
られる。
【0025】本発明において、上記水に難溶性の第4級
アンモニウム塩は、通常、その溶解度が、25℃におい
て、12g/100g以下、好適には10g/100g
以下であるのが好ましい。また、この第4級アンモニウ
ム塩は、ポリオレフィンや無機充填材または合成樹脂充
填剤と混合した場合に凝集を起さず、均一に分散するも
のであることが好ましい。こうした第4級アンモニウム
塩を具体的に例示すると、例えばヨウ化テトラメチルア
ンモニウム、臭化テトラブチルアンモニウム、塩化トリ
オクチルメチルアンモニウム等が挙げられる。同じ第4
級アンモニウム塩であっても、例えばフッ素化アルキル
第4級アンモニウムヨウ化物等の水に易溶性のものは、
膜に配合させても、通水使用時にこのものが溶解流出し
てしまうため、処理水からのトリハロメタンの除去はほ
とんど達成されない。
【0026】本発明において、以上のポリオレフィン、
無機充填材または合成樹脂充填剤、及び第4級アンモニ
ウム塩の配合割合は、ポリオレフィンが15〜70重量
%、好ましくは15〜65重量%であり、無機充填材ま
たは合成樹脂充填剤が84〜20重量%、好ましくは7
9〜30重量%であり、第4級アンモニウム塩が1〜1
0重量%、好ましくは1〜5重量%である。この各成分
の配合割合は、微多孔性膜の性状を特定の範囲に保ち、
工業的に有利に微多孔性膜を製造するのに重要である。
上記無機充填材または合成樹脂充填剤成分の配合割合が
前記の下限値より少なくなると得られる微多孔性膜の孔
形成が十分でなくなり、また、逆にこの成分の配合割合
が前記上限値より多くなると、膜の成形性が悪くなった
り、延伸が十分に行えないなどの傾向があるので好まし
くない。一方、上記第4級アンモニウム塩成分の配合割
合が前記下限値より少なくなると得られる微多孔性膜の
トリハロメタン除去能が十分でなくなり、また、逆にこ
の成分の配合割合が前記上限値より多くなると、膜の成
形性が悪くなったり、延伸が十分に行えないなどの傾向
があるので好ましくない。
【0027】本発明において、上記のポリオレフィン
と、該ポリオレフィン中に分散された、無機充填剤また
は合成樹脂充填剤及び第4級アンモニウム塩とよりなる
混合物で形成される膜は、延伸により分子配向されてい
る。その結果、本発明の微多孔性膜は、ポリオレフィン
と上記無機充填剤または合成樹脂充填剤、或いは第4級
アンモニウム塩の界面が剥離して、最大細孔径が5μm
以下の連通孔が膜中に網状に形成されている。この微多
孔性層に形成される連通孔の最大細孔径が5μmを越え
た場合には、得られる微多孔性膜の上水等の透水量は良
好であるものの、トリハロメタンの除去能の低下や液体
/固体、液体/気体、液体/液体、及び気体/固体間の
分離性能を低減させるという理由から好ましくない。本
発明においては、上水等の透水量やトリハロメタンの除
去能の好適さを勘案すれば、該最大細孔径は、0.01
〜3μmであるのが好ましい。さらに、大腸菌等のろ別
性能を勘案すれば、この最大細孔径は、1.5μm以下
であるのが好ましい。なお、この微多孔性膜に形成され
る連通孔は、通常、0.005〜3μmの平均孔径とな
っている。
【0028】また、本発明の微多孔性膜は、空隙率が2
0〜90%、好ましくは35〜80%である。この空隙
率において最も透水性能や分離性能等に優れたものとな
る。
【0029】本発明において、以上説明した微多孔性膜
の厚みは得に制限されるものではないが、一般には10
μm〜0.5mmの範囲であるのが好ましい。また、そ
の形状も特に制限されるものではなく、使用態様に応じ
て例えばフィルム状等の形態でも使用できるが、分離膜
として有効に機能させるためには中空糸膜として用いる
のが好ましい。その場合、該中空糸膜の外径は50μm
〜5mmの範囲とするのが好適である。
【0030】本発明において、上記説明した微多孔性膜
は、如何なる方法により製造しても良い。通常は、 (a)ポリオレフィン 15〜70重量% (b)平均粒子径が0.01〜5μmの無機充填剤または合成樹脂充填剤 84〜20重量% (c)水に難溶性の第4級アンモニウム塩 1〜10重量% よりなる混合物を成膜し、次いで該膜を延伸する方法に
より製造するのが一般的である。
【0031】その際、ポリオレフィン成分と前記充填剤
成分及び第4級アンモニウム塩成分を多量に、かつ、均
一に混合することは困難であることがあり、このような
場合にはかかる混合に際して分散剤を特定量配合するこ
とが好ましい。即ち、前記ポリオレフィン成分と前記充
填剤成分の合計量100重量部に対して、分散剤を0.
1〜20重量部添加することが均一な細孔径を有する微
多孔性中空糸膜を得るために好ましい。
【0032】分散剤は種々の合成樹脂に可塑剤として添
加される公知の化合物を特に限定されず用いうる。一般
に好適に使用される分散剤は、ポリエステル系可塑剤及
びエポキシ系可塑剤でああり、末端OH化ポリブタジエ
ンも好適に使用される。これらを例示すると下記の通り
である。
【0033】ポリエステル系可塑剤は、一般に炭素原子
数4〜8の直鎖又は芳香環を有する二塩基酸又は三塩基
酸と炭素原子数2〜5の直鎖状の二価アルコールをエス
テル化反応させたものが好適である。特に好適に使用さ
れるものを具体的に例示すると、セバシン酸、アジピン
酸、フタル酸、アゼライン酸およびトリメリット酸等の
二塩基酸あるいは三塩基酸と、エチレングライコール、
プロピレングライコール、ブチレングライコール、ネオ
ペンチルグライコールおよび長鎖アルキレングライコー
ル等よりなるポリエステル化合物で、特にアジピン酸あ
るいはセバシン酸とプロピレングライコール、ブチレン
グライコール又は長鎖アルキレングライコールとよりな
るポリエステル化合物が好ましく用いられる。
【0034】また、エポキシ系可塑剤は、炭素原子数8
〜24の一塩基性直鎖不飽和酸の二重結合をエポキシ化
したものが好ましい。特に好適に使用されるものを具体
的に示せばエポキシ化大豆油、エポキシ化アマニ油等
で、これらを単独でまたは併用して使用出来る。
【0035】さらには、重合度が500〜3000、好
ましくは500〜1000のポリブタジエンの両末端を
OH化した可塑剤も分散剤として好適に使用できる。
【0036】上記各成分の混合に際し、目的とする微多
孔性膜の製造を妨げない範囲において、着色剤、滑剤、
酸化防止剤、劣化防止剤、親水化剤、疎水化剤等の公知
の添加剤を加えることはしばしば良好な態様である。
【0037】前記混合物は、特定の条件下に中空糸膜状
物等に溶融成膜後、延伸することで本発明の微多孔性膜
を得ることができる。ここで、上記の混合物を中空糸膜
状物に成膜する場合、その方法は特に制限されないが、
一般には公知の二重円筒型口金を備えた中空糸製造用押
出機を用いて中空糸膜状物にするのが好適である。
【0038】未延伸の膜状物の延伸方法は、特に制限さ
れないが一般的には、二対のネルソンロール等の回転速
度比の違いにより一軸延伸する、もしくは必要に応じて
一軸延伸後に引き続き公知の拡幅延伸機などにより横方
向に逐次延伸する、又は縦及び横方向に同時に延伸する
方法等が採用される。その場合、延伸倍率は通常、面積
延伸倍率で1.5〜10倍の範囲であるのが好ましい。
1軸方向(中空糸の長手方向)だけに延伸する場合は、
一般に1.5〜8倍、好ましくは、3〜7倍の延伸をす
るのが好ましい。また、2軸方向に延伸する場合は、1
軸方向(中空糸の長手方向)に1.2倍以上、好ましく
は1.5倍以上、及び2軸方向(中空糸の円周方向)に
1.2倍以上、好ましくは1.5倍以上の延伸が好まし
く、最も好ましくは1軸方向へ2〜5倍及び2軸方向へ
2〜5倍の延伸をするのが好適である。延伸温度は、一
般に常温以上ポリオレフィンの融点以下、特に融点より
10〜100℃低い温度が好ましい。
【0039】延伸することによって得られた微多孔性膜
は、更に緊張下に熱処理、例えば、前記延伸の温度以上
融点以下の温度で熱固定処理し、その後室温まで冷却し
て目的物とすることが好ましい。また、接着性を改良す
る目的でのコロナ放電処理や親水化処理あるいは疎水化
処理による表面処理を行うことは好ましい態様である。
以上の如くの方法により製造された微多孔性膜では、ポ
リオレフィンが延伸により分子配向され、或いは更に熱
固定されることにより、膜自体の耐熱性が顕著に向上
し、また機械的強度も改善される。特に熱固定を行った
ものでは、常温並びに高温時の寸法安定性も顕著に向上
している。
【0040】
【発明の効果】以上の説明の如く本発明で得られる微多
孔性膜は、その材質がポリオレフィンリッチであるため
耐熱性が良好で、強度、耐薬品性、生体適合性などの物
性も優れている。さらに、膜中に含まれる無機充填材や
合成樹脂充填剤、或いは第4級アンモニウム塩は水に対
して極めて安定なため、使用時における信頼性が高く、
例えば浄水に際して該充填物が溶出するトラブルがない
という特徴を有する。
【0041】また、良好なトリハロメタンの除去能力を
有し、誤って上水中に、厚生省令第69号「水質基準に
関する省令に定める総トリハロメタン0.1ppm以
下」の数十倍の濃度のトリハロメタンが混入していて
も、これを0.1ppm以下に除去することが出来る。
そして、その効能は上水4トン/m2を濾過処理した後
においても良好に持続でき、安全で且つおいしい水を提
供できるコンパクトな浄水器が可能となる。
【0042】さらに、本発明の微多孔性膜は、透水性能
にも優れ、例えばこれを中空糸膜としたものは、初期透
水量が10l/分・m2・atm以上もあり、さらには
30〜100l/分・m2・atmとすることもでき、
しかも、目詰りによる透水量の低下が小さく、例えば、
上水4トン/m2 をろ過処理した後においても2l/分
・m2・atm以上の透水量を有する。
【0043】以上の如く本発明の微多孔性膜は、長期に
わたって良好な濾過膜として使用可能で、且つ、トリハ
ロメタン除去能を有し、安全でおいしい水を提供できる
浄水器を可能ならしめる。従って、本発明の微多孔性膜
は、家庭用浄水器として使用できる他、除じん、除菌及
び脱臭のためのエアーフィルター;ガス分離膜;廃水処
理;食品工業、電子工業、製薬工業におけるクリーンウ
ォーター製造;医療分野における血液浄化、人工肺、透
析膜等に使用でき、精密ろ過、及び限外ろ過、逆浸透
膜、パーベーパレーション等の支持体としての用途など
に好適に使用される。
【0044】
【実施例】本発明を更に具体的に説明するため、以下実
施例及び比較例を挙げて説明するが、本発明はこれらの
実施例に限定されるものではない。尚、実施例および比
較例に示す中空糸膜の物性及び判定は以下の方法により
測定或いは判定した値を示す。
【0045】・最大細孔径(μ);メタノールバブルポ
イント法により測定した。
【0046】・空隙率(%);島津製作所(株)製水銀
圧入式ポアサイザー9310型を用い測定した。
【0047】・水の透過量;微多孔性中空糸膜10本を
束ねて中空糸膜開口部分をエポキシ樹脂で固め、モジュ
ールを作製した。樹脂包埋部を除く中空糸有効長は15
cmとした。水の透水性能測定に際し、HLBが21の
ノニオン系界面活性剤のエタノール2%溶液にモジュー
ルを浸漬処理した後、1atmの上水をかけ、中空糸膜
の壁面を通過する水の量を求めた。膜面積は(外径+内
径)/2ベースとした。最初に透水性試験を3分間行な
ったときの値を初期透水量とし、上水4トン/m2を透
水させた後の値を4トン透水量として表に示した。な
お、透水性試験に用いた上水は、山口県徳山市の水道水
に1,1,1−トリクロロエタン(和光純薬)を1、お
よび30ppm添加調合して得た水である。
【0048】・トリハロメタンの濃度;厚生省令第69
号「水質基準に関する省令」に定める方法(JIS K
0125の51)に基づきイオンクロマトグラフを用
いて測定した。
【0049】・成形性;未延伸の中空糸膜を目視及び手
でさわって観察し次の判定基準で判定した。 良好 ;厚さむら、表面凹凸がない状態。 やや良好;厚さむら、又は表面凹凸の一方が微少ある状
態。 不良 ;厚さむらがあり、表面に凹凸がある状態。
【0050】・延伸性;未延伸中空糸膜を該中空糸の長
手方向に延伸する際の延伸状態で判定した。 良好 ;切断、破れが生ぜず、延伸が均一に行なわ
れている状態。 やや良好;延伸が出来ても一部にごく微小の未延伸部が
存在する状態。 不良 ;切断、破れが生じやすく、延伸が均一に出来
ない状態。
【0051】実施例1〜18、及び比較例1〜12 表1及び表2に示すような樹脂、無機充填材、合成樹脂
充填剤、第4級アンモニウム塩、表面処理剤、分散剤よ
りなる組成物をスーパーミキサーで5分間混合した後、
二軸押出機により220℃でストランド状に押出し、ペ
レット状に切断した。得られたペレットを、スクリュー
径20mmφ、L/D=22の押出機に取付けた直径
0.7mmの二重管構造を有する中空糸製造用ノズルよ
り220℃で押出し、約20℃の水が循環する水槽に投
入して冷却せしめ、10〜50m/分で引取り未延伸中
空糸状物を得た。
【0052】この未延伸中空糸状物を、回転速度の異な
る2対のネルソンロール間で120℃にて延伸倍率5倍
に一軸延伸し、微多孔性中空糸膜を得た。得られた微多
孔性中空糸膜の物性を表3及び表4に示した。
【0053】尚、使用した樹脂、無機充填材、合成樹脂
充填剤、第4級アンモニウム塩、表面処理剤、分散剤は
下記に示す商品を使用した。
【0054】ポリオレフィン樹脂; ポリプロピレン;(株)トクヤマ製、PN-120(商品
名),密度0.91g/cm3,135 ℃のテトラリンで測定した
極限粘度2.38dl/g,融点166 ℃。
【0055】プロピレン−エチレン共重合体;(株)ト
クヤマ製、MS-624(商品名),密度0.90g/cm3,135 ℃
のテトラリンで測定した極限粘度2.28dl/g,融点163
℃, エチレン含有量4.7 重量%。
【0056】ポリエチレン;三井石油化学工業(株)
製、高密度ポリエチレン、ハイゼックス1300J(商品
名)、メルトインデックス 1.3g/10 分。
【0057】無機充填材; 炭酸カルシウム;白石工業(株)製、ツネックスE(商
品名),平均粒子径0.5 μm。白石カルシウム(株)
製、ビスコライトU(商品名),平均粒子径0.09μm。
【0058】タルク;日本ミストロン(株)製、850
−JS(商品名),平均粒子径0.9μm。
【0059】塩基性球状炭酸マグネシウム;(株)トク
ヤマ製、KT−115(商品名),平均粒子径4μm。
【0060】合成樹脂充填剤; シリコーン樹脂(A) ;東レシリコーン(株)製、トレフ
ィルR-935 (商品名)平均粒子径4μmの球状物、分散
1.5 。
【0061】シリコーン樹脂(B) ;東レシリコーン
(株)製、トレフィルR-925 (商品名)平均粒子径0.5
μmの球状物、分散0.007 。
【0062】メチルメタクリル酸−ジビニルベンゼン共
重合体;総研化学(株)製、MP3000(商品名)、平均粒
子径0.4μmの球状物、分散0.007 。
【0063】第4級アンモニウム塩; ヨウ化テトラメチルアンモニウム;和光純薬(株)製試
薬、25℃における水への溶解度5.5g/100g。
【0064】臭化テトラブチルアンモニウム;東京化成
(株)製試薬、25℃における水への溶解度8g/10
0g。
【0065】塩化トリオクチルメチルアンモニウム;広
栄化学(株)製試薬、25℃における水への溶解度4.
6g/100g。
【0066】ヨウ化パーフルオロアルキル第4級アンモ
ニウム;住友スリーエム(株)製、FC−135(商品
名)、水に易溶性 表面処理剤 シリコーンオイル;東レ・ダウコーニング(株)製、S
H−200(商品名)、分子量10,000 化学構造:ポリジメチルシロキサン (OSi(CH32O)n 分散剤;日本曹達(株)製、末端OH化ポリブタジエ
ン、GI−1000(商品名)。
【0067】
【表1】
【0068】
【表2】
【0069】
【表3】
【0070】
【表4】
【0071】
【表5】
【0072】
【表6】

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】(a)ポリオレフィン 15〜
    70重量% (b)平均粒子径が0.01〜5μmの無機充填剤また
    は合成樹脂充填剤84〜20重量% (c)水に難溶性の第4級アンモニウム塩 1
    〜10重量% とよりなり、最大細孔径が5μm以下の連通孔からなる
    網状構造を有し、空隙率が20〜90重量%であり、且
    つ延伸により分子配向されてなる微多孔性膜。
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