JPH07289205A - 肉片の改質剤及びこれで処理した食用肉片 - Google Patents

肉片の改質剤及びこれで処理した食用肉片

Info

Publication number
JPH07289205A
JPH07289205A JP6107689A JP10768994A JPH07289205A JP H07289205 A JPH07289205 A JP H07289205A JP 6107689 A JP6107689 A JP 6107689A JP 10768994 A JP10768994 A JP 10768994A JP H07289205 A JPH07289205 A JP H07289205A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
meat
acid ester
fatty acid
weight
modifier
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Withdrawn
Application number
JP6107689A
Other languages
English (en)
Inventor
Takaaki Yokoyama
高明 横山
Hirotaka Sasaki
博隆 佐々木
Hideki Mori
秀樹 森
Yasuhiro Miura
康広 三浦
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Kao Corp
Original Assignee
Kao Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Kao Corp filed Critical Kao Corp
Priority to JP6107689A priority Critical patent/JPH07289205A/ja
Publication of JPH07289205A publication Critical patent/JPH07289205A/ja
Withdrawn legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Meat, Egg Or Seafood Products (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【目的】 肉質が柔らかく、肉汁に富み、食べ易く、風
味も良好で、かつ簡単な調理で食べることができる、あ
る程度の大きさを持つ肉片の改質剤を提供する。 【構成】 ソルビタン脂肪酸エステル、ポリグリセリン
と脂肪酸(又は縮合リシノレイン酸)とのエステル、H
LB10未満のショ糖脂肪酸エステルおよびレシチンか
ら選ばれる少なくとも一種が水又は水性液体中に溶解、
分散されてなる改質剤。ソルビタン脂肪酸エステル、ポ
リグリセリンと脂肪酸(又は縮合リシノレイン酸)との
エステル、ショ糖脂肪酸エステルおよびホスファチジル
イノシトールを25重量%以上含むレシチンから選ばれ
る少なくとも一種が油脂中に溶解、分散されてなる改質
剤。ソルビタン脂肪酸エステル、ポリグリセリンと脂肪
酸(又は縮合リシノレイン酸)とのエステル、ショ糖脂
肪酸エステルおよびレシチンから選ばれる少なくとも一
種が乳化物中に溶解、分散されてなる改質剤。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、肉片の改質剤及びこれ
で処理した食用肉片に関する。特に、本発明は、焼く、
揚げるなどの加熱調理によっても肉質が柔らかく、肉汁
に富み、良好な風味の肉を提供できる肉片の改質剤及び
これで処理した食用肉片に関する。
【0002】
【従来の技術】牛、豚などの畜肉、鳥、カモなどの鳥
肉、あるいはアジ、白身魚などの魚肉を用いた肉料理
(肉片を含む料理)は、数多くあるが、これらの調理に
際しての焼く、炒める、揚げるなどの調理方法に拘らず
肉は、適度な柔らかさを有し、そしてうま味成分である
肉汁に富んだ状態(ジューシーな状態)で食べられるこ
とが望ましい。特に、例えばステーキやカツフライなど
の加工品でない大きな肉片を用いて調理する場合にはこ
の柔らかさやジューシーさは肉をおいしく食べるために
は重要な要素である。しかし、一般に上記のような肉、
特に肉片は加熱調理で固く締まる性質があり、また肉汁
も流出して失われる傾向にあり、従って、肉のおいしさ
を更に充分享受できるような改良が望まれる。
【0003】従来から上記のような肉を柔らかくしたり
あるいは肉の保存性を高めたり等の肉を改質する方法と
して、有機酸モノグリセリド(例、アセチル化モノグリ
セリド)を使用する方法(特開昭49−20353号公
報)、レシチン等の活性剤を使用する方法(特開昭54
−62356号、特開平4−148663号公報)、塩
類等を使用する方法(特開平4−36167号、特開昭
61−239862号公報)、及び酵素を使用する方法
(特開平4−278063号、同5−7476号、同5
−252911号公報)が知られているが、これらの方
法ではなお充分満足できる程の改良には至ってない。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、肉質
が柔らかく、そして肉汁に富んだ肉、特に、ある程度の
大きさを持つ肉片を得ることができる肉片の改質剤を提
供することである。また本発明の目的は、上記のような
特性を有する改質剤により、食べ易く、風味も良好で、
かつ簡単な調理方法で食べることができる、肉片の改質
剤で処理した食用肉片を提供することでもある。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明は、ソルビタン脂
肪酸エステル、ポリグリセリン脂肪酸エステル、ポリグ
リセリン縮合リシノレイン酸エステル、HLB10未満
のショ糖脂肪酸エステルおよびレシチンからなる群より
選ばれる少なくとも一種のものが水又は水性液体中に溶
解又は分散されてなる肉片の改質剤にある。
【0006】また本発明は、ソルビタン脂肪酸エステ
ル、ポリグリセリン脂肪酸エステル、ポリグリセリン縮
合リシノレイン酸エステル、ショ糖脂肪酸エステルおよ
びホスファチジルイノシトールを25重量%以上含むレ
シチンからなる群より選ばれる少なくとも一種のものが
油脂中に溶解又は分散されてなる肉片の改質剤にある。
【0007】更に本発明は、ソルビタン脂肪酸エステ
ル、ポリグリセリン脂肪酸エステル、ポリグリセリン縮
合リシノレイン酸エステル、ショ糖脂肪酸エステルおよ
びレシチンからなる群より選ばれる少なくとも一種のも
のが水及び油脂を含む乳化物中に溶解又は分散されてな
る肉片の改質剤にある。
【0008】更にまた本発明は、上記のような改質剤で
処理した食用肉片にある。なお、本明細書において肉片
とは、畜肉等の生肉から切り出した、比較的形状の大き
な肉(例えば、肉片の表面積が1cm2 程度以上のも
の)を意味する。従って、ミンチ状の肉をつなぎ合わせ
て整形したような肉片(例えば、ハンバーグなど)は意
味しない。
【0009】本発明者の検討によると、上記の改質剤が
肉、特に肉片の軟化等に特に有効であることが判明し
た。この理由は明らかではないが、肉片、特に畜肉や鳥
肉の肉片においては、腱等の硬質タンパク(コラーゲ
ン)が比較的多く含まれ、これが肉片の加熱調理に際し
て収縮、凝集し、その結果、肉が締まり、固くなると考
えられる。本発明の上記のような特定の改質剤の存在下
では、これらのタンパク質の収縮が抑制され、その結
果、柔らかな肉が得られると考えられる。
【0010】本発明の好ましい態様は以下の通りであ
る。 (1)肉片の改質剤が、肉の量に対して活性剤換算で
0.1〜10重量%(更に好ましくは、0.5〜5重量
%、特に1〜3重量%)の範囲で添加される。 (2)食用肉片が、冷凍食品、冷蔵食品、又はレトルト
食品などの加熱調理済、あるいは加熱調理用の製品に含
まれる肉片である。
【0011】以下に本発明の肉片の改質剤について説明
する。本発明の肉片の改質剤は、以下のような特定の活
性剤を含有した、水又は水性液体、油脂、あるいは水と
油脂とを含む乳化物からなる。まず活性剤が水又は水性
液体中に溶解又は分散されてなる改質剤について詳述す
る。ソルビタン脂肪酸エステルは、その構成脂肪酸残基
が炭素数16以下の飽和又は不飽和の脂肪酸を有するも
のが利用できる。好ましくは炭素数12〜16の飽和又
は不飽和の脂肪酸を有するものであり、更に飽和脂肪酸
を構成脂肪酸残基とするものが好ましい。またそのエス
テル化度は1〜3のもの、すなわち、モノ、ジそしてト
リエステルが通常利用されるが、本発明においては特に
モノエステルが好ましい。
【0012】ポリグリセリン脂肪酸エステルは、ポリグ
リセリンと脂肪酸とのエステルであって、ポリグリセリ
ンは、グリセリンの平均重合度が通常1〜10のものが
使用される。本発明においては、平均重合度4〜10の
ものが好ましく、更に好ましくは6〜10のものであ
る。また脂肪酸は炭素数2〜24の飽和又は不飽和の脂
肪酸であるが、好ましくは炭素数16〜18の飽和又は
不飽和の脂肪酸である。これらの脂肪酸は混合物として
用いても良い。本発明で用いるポリグリセリン脂肪酸エ
ステルとしては、上記構成脂肪酸の種類、グリセリンの
重合度、あるいはエステル化度により種々のものが適用
可能であるが、特にヘキサグリセリンと炭素数18の飽
和脂肪酸とからなるエステルであって、平均エステル化
度が1〜5のエステルが好ましい。あるいはまたデカグ
リセリンと炭素数18の不飽和脂肪酸とからなるエステ
ルであって、平均エステル化度が4〜6のエステルが好
ましい。またこれらは併用しても良い。
【0013】ポリグリセリン縮合リシノレイン酸エステ
ルは、平均重合度2以上のグリセリンと縮合度が2以上
のリシノレイン酸とのエステルが使用できるが、本発明
においては、平均重合度4〜10のグリセリンと縮合度
が3〜4のリシノレイン酸とのエステルが好ましい。特
に好ましい例としては、テトラグリセリン縮合リシノレ
ート、ヘキサグリセリン縮合リシノレートを挙げること
ができる。
【0014】ショ糖脂肪酸エステルは、そのHLBが1
0未満のものである。好ましくは、HLB2〜9のもの
である。またショ糖脂肪酸エステルの構成脂肪酸残基
が、炭素数8〜24の飽和又は不飽和脂肪酸残基を有す
るものを使用することができる。好ましくは、炭素数1
2〜18の飽和又は不飽和脂肪酸残基を有するものであ
る。本発明で用いるショ糖脂肪酸エステルの更に具体的
な構成としては、ショ糖モノ脂肪酸エステルが10重量
%〜55重量%含まれ、かつショ糖ジ脂肪酸エステルが
15重量%〜38重量%含まれていることが好ましい。
ショ糖モノ脂肪酸エステルの含有量は、20重量%〜5
0重量%であることが更に好ましく、またショ糖ジ脂肪
酸エステルの含有量は、30重量%〜38重量%である
ことが更に好ましい。
【0015】レシチンは、卵黄、大豆等の動植物から抽
出した、アセトン不溶分として60〜70重量%のリン
脂質を含む所謂クルード(粗製)レシチンと称されるペ
ースト状のものを始めとして、アセトン不溶分としてレ
シチン分を分画した高純度レシチン(精製レシチン(粉
末):アセトン不溶分90重量%以上)、酵素処理によ
るレシチン、あるいは溶剤処理による分画レシチンなど
何れのタイプのものも使用が可能である。なお、通常の
レシチンは、ホスファチジルコリン、ホスファチジルエ
タノールアミン、ホスファチジルイノシトール、ホスフ
ァチジルグリセロール、ホスファチジン酸、及びホスフ
ァチジルセリン(またこれらのリゾ体を含む)を主な成
分として含む。
【0016】レシチンは、ホスファチジルイノシトール
が25重量%以上(更に好ましくは30重量%以上)含
むものが好ましい。またホスファチジルコリンの含有量
は、25重量%以下(更に好ましくは、20重量%以
下)であることが好ましい。またレシチンを構成する脂
肪酸残基としては、炭素数8〜22の飽和または不飽和
脂肪酸が好ましく、中でも炭素数16〜18の不飽和脂
肪酸が最適である。ホスファチジルイノシトールを25
重量%以上含むレシチンは、前記溶剤分画法やクロマト
グラフ法などの分画処理により得ることができる。
【0017】本発明の改質剤は、上記のような特定の活
性剤が水又は水性液体中に溶解又は分散されてなるもの
で、水性液体には、肉料理に用いられる、例えば、たれ
(ソース)、だし汁などの調味液が含まれる。調味液を
構成する成分としては、例えば、醤油、味噌、砂糖、塩
などの調味料、酒、肉エキス、野菜エキス、動植物蛋白
加水分解物、果汁、グルタミン酸ナトリウムなどの化学
調味料などを挙げることができ、これらは、肉料理に応
じて適宜使用する。本発明の改質剤の使用方法は、肉の
料理方法により異なるが、改質剤を肉の表面に直接塗布
する方法、あるいは肉を改質剤に漬け込む方法での利用
がより効果的である。
【0018】本発明の改質剤中の活性剤の配合量は、活
性剤の種類、水性液体の配合、すなわち調味液の配合な
どによって異なるが、レシチン以外の活性剤では、その
量は、水又は水性液体中に0.5〜50重量%含まれて
いることが好ましい(更に好ましくは2〜40重量%、
特に、5〜30重量%)。
【0019】またレシチンは、その組成、精製度などに
よって配合量は異なり、ペースト状レシチンや精製レシ
チンの場合には、水又は水性液体中にその量が、アセト
ン不溶分として10〜60重量%(更に好ましくは、1
5〜50重量%)含まれるように配合されることが好ま
しい。一方ホスファチジルイノシトールが25重量%以
上(更に好ましくは30重量%以上)含むものの場合に
は、水又は水性液体中にその量が、アセトン不溶分とし
て0.5〜50重量%(更に好ましくは、5〜50重量
%、特に10〜30重量%)含まれるように配合される
ことが好ましい。
【0020】上記活性剤が水又は水性液体中に溶解又は
分散されてなる本発明の改質剤は、活性剤換算で肉の量
に対して0.1〜10重量%(更に好ましくは、0.5
〜5重量%、特に1〜3重量%)の範囲で使用すること
が好ましい。
【0021】次に、活性剤が油脂中に溶解又は分散され
てなる改質剤について詳述する。油脂中に溶解又は分散
されてなる活性剤は、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリ
グリセリン脂肪酸エステル、ポリグリセリン縮合リシノ
レイン酸エステル、ショ糖脂肪酸エステルおよびホスフ
ァチジルイノシトールを25重量%以上含むレシチンか
らなる群より選ばれるものであり、ソルビタン脂肪酸エ
ステル、ポリグリセリン脂肪酸エステル、及びポリグリ
セリン縮合リシノレイン酸エステルについては、前述し
た水又は水性液体中に溶解又は分散状態にある活性剤と
同じものが好ましく使用できる。
【0022】またショ糖脂肪酸エステルについては、特
に制限はないが、前述したHLB10未満のものが好ま
しい。そしてショ糖脂肪酸エステルの構成脂肪酸残基
は、炭素数8〜24の飽和又は不飽和脂肪酸残基を有す
るもので、好ましくは、炭素数12〜18の飽和又は不
飽和脂肪酸残基を有するものである。本発明のショ糖エ
ステルの更に具体的な構成としては、ショ糖モノ脂肪酸
エステルが10重量%〜55重量%含まれ、及びショ糖
ジ脂肪酸エステルが15重量%〜38重量%含まれてい
ることが好ましい。ショ糖モノ脂肪酸エステルの含有量
は、20重量%〜50重量%であることが更に好まし
く、またショ糖ジ脂肪酸エステルの含有量は、30重量
%〜38重量%であることが更に好ましい。
【0023】またレシチンは、これを構成するホスファ
チジルイノシトールが25重量%以上(更に好ましくは
30重量%以上)含むものである。またホスファチジル
コリンの含有量は、25重量%以下(更に好ましくは、
20重量%以下)であることが好ましい。またレシチン
を構成する脂肪酸残基としては、炭素数8〜22の飽和
または不飽和脂肪酸が好ましく、中でも炭素数16〜1
8の不飽和脂肪酸が最適である。ホスファチジルイノシ
トールを25重量%以上含むレシチンは、前記溶剤分画
法やクロマトグラフ法などの分画処理により得ることが
できる。
【0024】上記活性剤を溶解又は分散させる油脂は、
特に限定されず、肉料理に応じて種々の食用油脂から選
択して使用することができる。例えば、揚げ物、炒め物
用などに多く用いられるコーンサラダ油、ゴマ油、菜種
油などの液状の油脂、あるいは精製ラード、及び各種動
植物油脂、硬化油などを原料とするショートニングなど
からなる可塑性油脂を挙げることができる。なお、油脂
には、油溶性の香料などを肉料理に合わせて適宜含有さ
せても良い。本発明の改質剤の使用方法は、肉の料理方
法により異なるが、肉の表面に直接塗布及び/又は敷油
として使用する方法での利用がより効果的である。活性
剤が溶解又は分散された油脂中に肉を漬け込む方法での
利用も可能であるが、油脂の過剰摂取となり、好ましく
ない。
【0025】上記活性剤が油脂中に溶解又は分散されて
なる本発明の改質剤は、前述の態様における改質剤と同
様な配合量で調製することができる。すなわち、レシチ
ン以外の活性剤の配合量は、油脂中に0.5〜50重量
%含まれていることが好ましく、更に好ましくは2〜4
0重量%、特に、5〜30重量%である。
【0026】またレシチンにおいても、その配合量は前
記の態様と同じで、ペースト状レシチンや精製レシチン
の場合には、油脂中にその量が、アセトン不溶分として
10〜60重量%(更に好ましくは、15〜50重量
%)含まれるように配合されていることが好ましい。
【0027】一方ホスファチジルイノシトールが25重
量%以上(更に好ましくは30重量%以上)含むものの
場合には、油脂中にその量が、アセトン不溶分として
0.5〜50重量%(更に好ましくは、5〜50重量
%、特に10〜30重量%)含まれるように配合されて
いることが好ましい。レシチン中のホスファチジルイノ
シトールが25重量%以上(更に好ましくは30重量%
以上)含むものを用いた場合には、上記精製レシチンな
どを用いた場合に比べて速効性があり、また肉の軟化効
果も大きい。
【0028】上記活性剤が油脂中に溶解又は分散されて
なる本発明の改質剤は、前記態様における使用量と同じ
で、活性剤換算で肉の量に対して0.1〜10重量%
(更に好ましくは、0.5〜5重量%、特に1〜3重量
%)の範囲で使用することが好ましい。
【0029】更に特定の活性剤が水及び油脂を含む乳化
物中に溶解又は分散されてなる改質剤について詳述す
る。乳化物中に溶解又は分散されてなる活性剤は、ソル
ビタン脂肪酸エステル、ポリグリセリン脂肪酸エステ
ル、ポリグリセリン縮合リシノレイン酸エステル、ショ
糖脂肪酸エステルおよびレシチンからなる群より選ばれ
るものである。これらの活性剤は、前述した態様の活性
剤と同じものが好ましく使用できる。
【0030】乳化物中の油相を構成する油脂は、特に限
定されることなく、前述した、活性剤を含む油脂の形態
にある改質剤に用いることができる油脂と同様に肉料理
に応じて種々の食用油脂の中から選択して使用すること
ができる。なお、この油相には、所望により油溶性の香
料、ビタミン類などの任意成分を含有させても良い。ま
た、水相を構成する水には、所望により他の任意成分、
例えば、前述した水性液体の形態にある改質剤に含有さ
せることができる調味料、エキス類などの成分を含ませ
ることもできる。
【0031】乳化物は、水と油脂、そして所望により上
記任意成分を加えて公知の方法で調製することができ
る。乳化物の調製に際し、活性剤はその親水性、疎水性
に応じて水相あるいは油相に添加する。乳化物の形態と
しては、特に制限されず、種々の形態を採ることができ
る。例えば、水中油型(O/W型)、油中水型(W/O
型)、水中油中水型(W/O/W型)、あるいは油中水
中油型(O/W/O型)を挙げることができる。これら
の中では、調製のし易さ、易利用性の点から水中油型
(O/W型)、又は油中水型(W/O型)が好ましい。
本発明の改質剤の使用方法は、肉の料理方法により異な
るが、改質剤が肉の表面に直接塗布されるような使用方
法での利用(例えば、敷油、あるいはタレ、ソースなど
の調味液)がより効果的である。またその際の乳化物の
形態も肉料理に合わせて用いることが好ましい。例え
ば、油中水型(W/O型)の乳化物は、ステーキなどを
焼くときに有利であり、一方水中油型(O/W型)の乳
化物は、生姜焼きなどを作るときに有利である。
【0032】乳化物中の活性剤の配合量は、活性剤の種
類、水相と油相との比などによっても異なるが、レシチ
ン以外の活性剤では、上記の何れの態様においてもその
量は、0.5〜50重量%、好ましくは、2〜40重量
%、特に5〜30重量%であることが好ましい。
【0033】またレシチンにおいては、その配合量は前
記の態様と同じで、ペースト状レシチンや精製レシチン
の場合には、乳化物中にその量が、アセトン不溶分とし
て10〜60重量%(更に好ましくは、15〜50重量
%)含まれるように配合されていることが好ましい。但
し、特に水中油型、あるいは油中水型の乳化物の場合
で、乳化物中の油相の割合が50%未満の系において
は、レシチンがアセトン不溶分として油相に60重量%
以上、更に好ましくは、70重量%以上含まれているこ
とが好ましい。
【0034】またホスファチジルイノシトールが25重
量%以上(更に好ましくは30重量%以上)含むものの
場合には、乳化物中にその量が、アセトン不溶分として
0.5〜50重量%(更に好ましくは、5〜50重量
%、特に10〜30重量%)含まれるように配合されて
いることが好ましい。
【0035】上記活性剤が乳化物中に溶解又は分散され
てなる本発明の改質剤は、活性剤換算で肉の量に対して
0.1〜10重量%(更に好ましくは、0.5〜5重量
%、特に1〜3重量%)の範囲で使用することが好まし
い。
【0036】本発明の肉片の改質剤は、牛、豚、羊など
の畜肉、鶏、七面鳥、カモ、ガチョウ等の鳥肉、あるい
はアジ、サケ、タラやヒラメなどの白身魚などの魚肉を
用いて調理するときに効果があるが、特に畜肉、鳥肉に
おいて効果が大である。また肉の部位としては、カタ、
モモ等の比較的硬質のタンパク質を多く含む部位のもの
を用いるときに効果がある。更に肉の形態としては、前
述のように肉片としての形状のあるもの(厚切り肉、薄
切り肉、細切り肉)を用いるときに有効であるが、特
に、ある程度の大きさのある肉片(ステーキ、焼き肉用
の肉、唐揚、フライあるいは照り焼き用の肉、塩焼き、
かば焼きあるいはムニエル用の肉など)を用いるときに
効果が大きい。
【0037】また、本発明の肉片の改質剤は、肉片を加
熱調理する際の使用により効果が得られるが、焼く、炒
める、揚げる、煮る、蒸すなどの調理方法によっては制
限されず何れの調理方法においても効果が得られる。特
に、焼く、揚げるなどの調理において顕著な効果が得ら
れる。適用できる肉料理の例としては、焼き肉、ステ
キ、カツフライ、唐揚、竜田揚げ、カレー、シチュー、
しゃぶしゃぶ、焼き魚(かば焼きなども含む)、ムニエ
ル、煮魚などを挙げることができる。
【0038】更に、本発明の改質剤は、冷凍、冷蔵、あ
るいはレトルトなどの常温保存可能な肉片を含む肉製品
においても適用できる。本発明の改質剤で処理された肉
片を含む肉製品は、既に加熱調理されているものでも良
いし(加熱調理済食品)、あるいは食べるときに加熱調
理するように調理されているものでも良い(未加熱調理
食品、加熱調理用食品)。すなわち、加熱調理済食品に
おいては、これを製造する際の加熱調理工程で本発明の
改質剤で処理されていれば良く、一方未加熱調理食品に
おいては、食べるときの加熱調理する際に本発明の改質
剤が作用するように予めこの食品に付着等の処理をして
おけば良い。本発明の改質剤で処理された肉片を含む肉
製品は、保存後においても、肉の柔らかさやジューシー
さが維持され、良好な風味のものとなる。本発明の改質
剤で処理した肉片を含む肉製品としては、例えば、カツ
フライ、唐揚、カレー、ハヤシ、シチュー、肉ジャガ、
酢豚、アジ、サケ、白身魚(タラ、ヒラメ、キス)など
のフライ、カレイの天ぷら、うなぎのかば焼きなどを挙
げることができる。
【0039】
【実施例】以下に、本発明の実施例及び比較例を示し、
本発明を更に具体的に説明する。なお、下記の「%」は
重量%を、「部」は重量部をそれぞれ示す。
【0040】[実施例1]厚さ5mmの牛モモ肉100
gに対し、下記配合の焼き肉用の漬け込みたれを10g
(肉に対してショ糖脂肪酸エステルを1%)使用して、
焼き肉を作った。 焼き肉用の漬け込みたれの配合 部 醤油 27 砂糖 21 みりん 18 水飴 7 食塩 4.5 グルタミン酸ナトリウム 2 ビーフエキス 2 香辛料 3 リンゴ果汁(5倍濃縮) 5 キサンタンガム 0.5 下記のショ糖脂肪酸エステル 10 ──────────────────── 合計 100 ショ糖脂肪酸エステル:商品名:S−970、HLB:
9、モノエステル48%含有、ジエステル31%含有、
三菱化成食品工業(株)製
【0041】[実施例2]上記実施例1において、ショ
糖脂肪酸エステルの代わりに、精製レシチン(商品名:
SLP−ホワイト−SP、アセトン不溶分95%、ツル
ーレシチン工業(株)製)を同量使用してたれを調製
し、これを同量(肉に対して精製レシチンを1%)使用
した以外は、上記実施例1と同様にして焼き肉を作っ
た。
【0042】[実施例3] (溶剤分画レシチンの調製)精製大豆レシチン(商品
名:SLP−ホワイト−SP、ツルーレシチン工業
(株)製)を原料として、以下の溶剤分画法を用いて、
下記のような組成の溶剤分画レシチン(リン脂質混合
物)を得た。 精製大豆レシチン100gを500ミリリットルのエ
タノールに分散させ、これを攪拌しながら50℃に加
熱して30分間保持した後、0℃まで冷却し30分間保
持した。得られた溶液を吸引濾過して不溶性画分を得
た。得られた不溶性画分を上記〜と同様な処理を更
に二回繰り返した後、乾燥させて目的のエタノール分画
レシチンを得た。得られたレシチンのリン脂質組成を示
す。 リン脂質組成 重量% ホスファチジルコリン 8.5 ホスファチジルエタノールアミン 36.5 ホスファチジルイノシトール 30.3 ホスファチジン酸 21.5 その他 3.5 上記実施例1において、ショ糖脂肪酸エステルの代わり
に、上記で調製したエタノール分画レシチンを同量使用
してたれを調製し、これを同量(肉に対してエタノール
分画レシチンを1%)使用した以外は、上記実施例1と
同様にして焼き肉を作った。
【0043】[実施例4]上記実施例1において、ショ
糖脂肪酸エステルの代わりに、ソルビタンモノラウレー
ト(商品名:エマゾールL−10(F)、花王(株)
製)を同量使用してたれを調製し、これを同量(肉に対
してソルビタンモノラウレートを1%)使用した以外
は、上記実施例1と同様にして焼き肉を作った。
【0044】[実施例5]上記実施例1において、ショ
糖脂肪酸エステルの代わりに、デカグリセリンヘキサオ
レート(商品名:HO−750、阪本薬品工業(株)
製)を同量使用してたれを調製し、これを同量(肉に対
してデカグリセリンヘキサオレートを1%)使用した以
外は、上記実施例1と同様にして焼き肉を作った。
【0045】[実施例6]上記実施例1において、ショ
糖脂肪酸エステルの代わりに、ヘキサグリセリン縮合リ
シノレート(商品名:CR−500、阪本薬品工業
(株)製)を同量使用してたれを調製し、これを同量
(肉に対してヘキサグリセリン縮合リシノレートを1
%)使用した以外は、上記実施例1と同様にして焼き肉
を作った。
【0046】[比較例1]〜[比較例6]上記実施例1
〜6において、焼き肉用の漬け込みたれの配合中の活性
剤の代わりに食用油脂(大豆油)を同量使用してたれを
それぞれ調製し、これらを同量使用した以外は、上記実
施例1〜6と同様にしてそれぞれ焼き肉を作った。
【0047】[実施例7]上記実施例1で作った焼き肉
を−20℃の冷凍庫に1週間保管した後、室温で解凍
し、オーブントースターで再加熱した。
【0048】[比較例7]上記比較例1で作った焼き肉
を−20℃の冷凍庫に1週間保管した後、室温で解凍
し、オーブントースターで再加熱した。
【0049】[実施例8]厚さ5mmの牛モモ肉100
gに対し、上記実施例1で用いた焼き肉用の漬け込みた
れを10g(肉に対してショ糖脂肪酸エステルを1%)
使用して焼き肉用の肉を調製した。その後、この肉を−
20℃の冷凍庫に1週間保管した後、取り出し、焼き肉
を作った。
【0050】[比較例8]上記実施例8において、上記
実施例1で用いた焼き肉用の漬け込みたれの代わりに、
ショ糖脂肪酸エステルを同量の大豆油で置き換えた配合
の焼き肉用の漬け込みたれを使用した以外は、実施例8
と同様にして焼き肉を作った。
【0051】[肉片の改質剤及び肉製品としての評価]
上記のようにして得られた肉料理を20人のパネルによ
り官能評価を行った。評価は、実施例と比較例で得られ
た各肉料理の「柔らかさ」、「ジューシーさ」を比較
し、比較例に比べ実施例の方が、『明らかに柔らかい
(又はジューシー)』、『やや柔らかい(又はジューシ
ー)』、そして『変わらない』の3段階で行った。ま
た、得られた肉料理の肉の物性値を測定し、肉の柔らか
さを評価した。『柔らかさ』は、ミートシェア(ワーナ
ーブラッツラー社製)による剪断応力値で表した。値が
小さい程、肉が柔らかいことを示す。結果を以下の表1
に示す。
【0052】
【表1】 表1 ──────────────────────────────────── 実施例 実施例 実施例 実施例 実施例 実施例 実施例 実施例 実施例 の方が 1 2 3 4 5 6 7 8 ──────────────────────────────────── 明らかに 8 9 10 6 7 7 6 7 柔らかい やや柔らかい 7 8 8 8 7 8 8 8 変わらない 5 3 2 6 6 5 6 5 ──────────────────────────────────── 明らかに 11 13 11 8 10 9 8 9 ジューシー ややジューシー5 4 9 10 8 5 7 7 変わらない 4 3 0 2 2 6 5 4 ──────────────────────────────────── 剪断応力値(kg) 実施例 2.5 2.3 2.1 2.7 2.6 2.6 2.7 2.6 比較例 3.5 3.5 3.5 3.5 3.5 3.5 3.8 3.6 ────────────────────────────────────
【0053】上記表1に示された結果から明らかなよう
に、本発明の改質剤を使用した肉料理(実施例1〜6)
は、これを使用しない肉料理(比較例1〜6))に比べ
肉が柔らかく、かつジューシーである。また、剪断応力
値の結果からも明らかなように本発明の改質剤を使用す
ることにより肉が柔らかくなる。更に、本発明の改質剤
を使用して加熱調理した後、一旦冷凍庫に保管したよう
な肉片を含む肉製品(加熱調理済食品)(実施例7)あ
るいは予め本発明の改質剤を使用して処理し、一旦冷凍
庫に保管し、後に加熱調理して食べるような肉片を含む
肉製品(未加熱調理食品)(実施例8)においても肉は
柔らかく、かつジューシーであり、本発明の改質剤によ
る効果は維持されている。
【0054】[実施例9]下記の配合の可塑性油脂を調
製した。 可塑性油脂の配合 部 大豆硬化油(融点:34℃) 40 パーム油 15 大豆油 20 下記のソルビタンモノラウレート 20 ガーリック粉末 2 ペパー粉末 2 オニオンオイル 1 ──────────────────── 合計 100 ソルビタンモノラウレート:商品名:エマゾールL−1
0(F)、花王(株)製 厚さ15mmのサーロインステーキ200gに対して、
上記配合の可塑性油脂を20g(肉に対してソルビタン
脂肪酸エステルを2%)使用し、ステーキを焼いた。
【0055】[実施例10]上記実施例9において、ソ
ルビタンモノラウレートの代わりに、デカグリセリンヘ
キサオレート(商品名:HO−750、阪本薬品工業
(株)製)を同量使用して可塑性油脂を調製し、これを
同量(肉に対してデカグリセリンヘキサオレートを2
%)使用した以外は、上記実施例9と同様にしてステー
キを焼いた。
【0056】[実施例11]上記実施例9において、ソ
ルビタンモノラウレートの代わりに、ショ糖脂肪酸エス
テル(商品名:S−970、HLB:9、モノエステル
48%含有、ジエステル31%含有、三菱化成食品工業
(株)製)を同量使用して可塑性油脂を調製し、これを
同量(肉に対してショ糖脂肪酸エステルを2%)使用し
た以外は、上記実施例9と同様にしてステーキを焼い
た。
【0057】[比較例9]〜[比較例11]上記実施例
9〜11において、可塑性油脂の配合中の活性剤の代わ
りに食用油脂(菜種油)を同量使用して可塑性油脂をそ
れぞれ調製し、これらを同量使用した以外は、上記実施
例9〜11と同様にしてそれぞれステーキを焼いた。
【0058】[実施例12]コーンサラダ油90部にヘ
キサグリセリン縮合リシノレート(商品名:CR−50
0、阪本薬品工業(株)製)10部を混合して調理用油
脂を調製した。厚さ2cmの豚ヒレ肉100gに対し
て、上記の調理用油脂を10g(肉に対してヘキサグリ
セリン縮合リシノレートを1%)塗布した後、衣を付け
て市販のサラダ油で豚カツを揚げた。
【0059】[実施例13]上記実施例12において、
ヘキサグリセリン縮合リシノレートの代わりに、実施例
3で得たエタノール分画レシチンを同量配合した調理用
油脂を使用した以外は、実施例12と同様にして豚カツ
を揚げた。
【0060】[比較例12]〜[比較例13]上記実施
例12〜13において、それぞれ活性剤を除いた配合の
調理用油脂(コーンサラダ油のみからなる油脂)を同量
使用した以外は、上記実施例12〜13と同様にしてそ
れぞれ豚カツを揚げた。
【0061】[実施例14]上記実施例12で揚げた豚
カツを−20℃の冷凍庫に1週間保管した後、室温で解
凍し、オーブントースターで再加熱した。
【0062】[比較例14]上記比較例12で揚げた豚
カツを−20℃の冷凍庫に1週間保管した後、室温で解
凍し、オーブントースターで再加熱した。
【0063】[実施例15]上記実施例12で準備した
調理前の衣付き豚ヒレ肉を−20℃の冷凍庫に1週間保
管した後、取り出し、そのまま180℃のコーンサラダ
油で揚げた。
【0064】[比較例15]上記比較例12で準備した
調理前の衣付き豚ヒレ肉を−20℃の冷凍庫に1週間保
管した後、取り出し、そのまま180℃のコーンサラダ
油で揚げた。
【0065】[肉片の改質剤及び肉製品としての評価]
上記のようにして得られた肉料理を前記と同様にして官
能評価を行った。また、同様にして肉の物性値を測定
し、肉の柔らかさを評価した。結果を以下の表2に示
す。
【0066】
【表2】 表2 ──────────────────────────────────── 実施例 実施例 実施例 実施例 実施例 実施例 実施例 実施例 の方が 9 10 11 12 13 14 15 ──────────────────────────────────── 明らかに 8 10 11 13 15 14 15 柔らかい やや柔らかい 8 8 6 6 5 4 4 変わらない 4 2 3 1 0 2 1 ──────────────────────────────────── 明らかに 6 12 10 10 13 12 12 ジューシー ややジューシー 9 8 7 4 5 4 6 変わらない 5 0 3 6 2 4 2 ──────────────────────────────────── 剪断応力値(kg) 実施例 3.2 3.1 3.0 1.5 1.0 1.3 1.2 比較例 4.8 4.8 4.8 3.0 3.0 3.3 3.1 ────────────────────────────────────
【0067】上記表2の結果から、本発明の改質剤を使
用することにより、柔らかく、かつジューシーな肉料理
を作ることができる。また加熱調理済食品や未加熱調理
食品においても肉は柔らかく、かつジューシーであり、
改質剤による効果は維持されている。
【0068】[実施例16]下記配合(部)の水中油型
乳化物を常法に従い調製した。 油相 ゴマ油 35 水相 醤油 20 みりん 5 砂糖 5 おろし生姜 3 水 22 下記のデカグリセリンヘキサオレート 10 ──────────────────── 合計 100 デカグリセリンヘキサオレート:商品名:HO−75
0、阪本薬品工業(株)製 厚さ5mmの豚ロース肉100gに対して上記水中油型
乳化物を30g(肉に対してデカグリセリンヘキサオレ
ートを3%)使用し、生姜焼きを作った。
【0069】[実施例17]上記実施例16において、
乳化物中のゴマ油を15部とし、デカグリセリンヘキサ
オレートの代わりに精製レシチン(商品名:SLP−ホ
ワイト−SP、アセトン不溶分95%、ツルーレシチン
工業(株)製)を30部使用して乳化物を調製し、これ
を10g(肉に対して精製レシチンを3%)使用した以
外は、上記実施例16と同様にして生姜焼きを作った。
【0070】[実施例18]上記実施例16において、
乳化物中のゴマ油を15部とし、デカグリセリンヘキサ
オレートの代わりに実施例3で得たエタノール分画レシ
チンを30部使用して乳化物を調製し、これを10g
(肉に対してエタノール分画レシチンを3%)使用した
以外は、上記実施例16と同様にして生姜焼きを作っ
た。
【0071】[比較例16]〜[比較例18]上記実施
例16において、デカグリセリンヘキサオレートを同量
の水に置き換えた混合物を調製し、これを同量使用した
以外は、上記実施例16と同様にして生姜焼きを作っ
た。なお、得られた生姜焼きは比較例16〜18として
用いた。
【0072】[実施例19]下記配合(部)の油中水型
乳化物を常法に従い調製した。 油相 大豆硬化油(融点:34℃) 30 パーム油 10 大豆油 15 水相 味噌 10 醤油 5 みりん 5 水 15 実施例3で得たエタノール分画レシチン 10 ───────────────────────── 合計 100 厚さ5mmの豚ロース肉100gに対して上記油中水型
乳化物を10g(肉に対してエタノール分画レシチンを
1%)使用し、味噌漬けの焼き肉を作った。
【0073】[実施例20]上記実施例19において、
乳化物中のエタノール分画レシチンの代わりにソルビタ
ンモノラウレート(商品名:エマゾールL−10
(F)、花王(株)製)を同量使用して乳化物を調製
し、これを10g(肉に対してソルビタンモノラウレー
トを1%)使用した以外は、上記実施例19と同様にし
て味噌漬けの焼き肉を作った。
【0074】[実施例21]上記実施例19において、
乳化物中のエタノール分画レシチンの代わりにショ糖脂
肪酸エステル(商品名:S−970、HLB:9、モノ
エステル48%含有、ジエステル31%含有、三菱化成
食品工業(株)製)を同量使用して乳化物を調製し、こ
れを10g(肉に対してショ糖脂肪酸エステルを1%)
使用した以外は、上記実施例19と同様にして味噌漬け
の焼き肉を作った。
【0075】[実施例22]上記実施例19において、
乳化物中のエタノール分画レシチンの代わりにデカグリ
セリンヘキサオレート(商品名:HO−750、阪本薬
品工業(株)製)を同量使用して乳化物を調製し、これ
を10g(肉に対してデカグリセリンヘキサオレートを
1%)使用した以外は、上記実施例19と同様にして味
噌漬けの焼き肉を作った。
【0076】[実施例23]上記実施例19において、
乳化物中のエタノール分画レシチンの代わりにヘキサグ
リセリン縮合リシノレート(商品名:CR−500、阪
本薬品工業(株)製)を同量使用して乳化物を調製し、
これを10g(肉に対してヘキサグリセリン縮合リシノ
レートを1%)使用した以外は、上記実施例19と同様
にして味噌漬けの焼き肉を作った。
【0077】[比較例19]〜[比較例23]上記実施
例19において、エタノール分画レシチンを同量の水で
置き換えた混合物を調製し、これを同量使用した以外
は、上記実施例19と同様にして味噌漬けの焼き肉を作
った。なお、得られた味噌漬けの焼き肉は比較例19〜
23として用いた。
【0078】[実施例24]上記実施例19で得た味噌
漬けの焼き肉を−20℃の冷凍庫に1週間保管した後、
室温で解凍し、オーブントースターで再加熱した。
【0079】[比較例24]上記比較例19で得た味噌
漬けの焼き肉を−20℃の冷凍庫に1週間保管した後、
室温で解凍し、オーブントースターで再加熱した。
【0080】[実施例25]上記実施例19で準備した
調理前の味噌漬けの焼き肉を−20℃の冷凍庫に1週間
保管した後、取り出し、実施例19と同様な条件で味噌
漬けの焼き肉を作った。
【0081】[比較例25]上記比較例19で準備した
調理前の味噌漬けの焼き肉を−20℃の冷凍庫に1週間
保管した後、取り出し、実施例19と同様な条件で味噌
漬けの焼き肉を作った。
【0082】[肉片の改質剤及び肉製品としての評価]
上記のようにして得られた肉料理を前記と同様にして官
能評価を行った。また、同様にして肉の物性値を測定
し、肉の柔らかさを評価した。結果を以下の表3に示
す。
【0083】
【表3】 表3 ──────────────────────────────────── 実施例 実 施 例 の方が 16 17 18 19 20 21 22 23 24 25 ──────────────────────────────────── 明らかに 9 10 12 10 5 8 7 6 9 10 柔らかい やや柔らかい 5 5 6 7 10 8 8 9 6 6 変わらない 6 5 2 3 5 4 5 5 5 4 ──────────────────────────────────── 明らかに 7 7 10 11 5 9 10 7 9 10 ジューシー ややジューシー5 7 5 6 10 8 8 8 7 6 変わらない 8 6 5 3 5 3 2 5 4 4 ──────────────────────────────────── 剪断応力値(kg) 実施例 3.0 2.7 2.5 2.5 3.2 2.8 3.0 3.1 2.8 2.6 比較例 4.0 4.0 4.0 4.0 4.0 4.0 4.0 4.0 4.0 4.0 ────────────────────────────────────
【0084】上記表3の結果から、本発明の改質剤を使
用することにより、柔らかく、かつジューシーな肉料理
を作ることができる。また加熱調理済食品や未加熱調理
食品においても肉は柔らかく、かつジューシーであり、
改質剤による効果は維持されている。
【0085】
【発明の効果】本発明の肉片の改質剤を使用することに
より、肉質が柔らかく、そして肉汁に富んだ肉を得るこ
とができる。特に、ある程度の大きさを持つ肉片の加熱
調理に際して有効である。また本発明の肉片の改質剤を
使用することにより、冷凍、冷蔵食品、あるいはレトル
ト食品のような保存可能な肉片を含む肉製品において
も、その保存後でも肉質が柔らかく、ジューシーさも維
持され、かつ良好な風味で食べることができる。

Claims (10)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ソルビタン脂肪酸エステル、ポリグリセ
    リン脂肪酸エステル、ポリグリセリン縮合リシノレイン
    酸エステル、HLB10未満のショ糖脂肪酸エステルお
    よびレシチンからなる群より選ばれる少なくとも一種の
    ものが水又は水性液体中に溶解又は分散されてなる肉片
    の改質剤。
  2. 【請求項2】 ソルビタン脂肪酸エステル、ポリグリセ
    リン脂肪酸エステル、ポリグリセリン縮合リシノレイン
    酸エステル、ショ糖脂肪酸エステルおよびホスファチジ
    ルイノシトールを25重量%以上含むレシチンからなる
    群より選ばれる少なくとも一種のものが油脂中に溶解又
    は分散されてなる肉片の改質剤。
  3. 【請求項3】 ソルビタン脂肪酸エステル、ポリグリセ
    リン脂肪酸エステル、ポリグリセリン縮合リシノレイン
    酸エステル、ショ糖脂肪酸エステルおよびレシチンから
    なる群より選ばれる少なくとも一種のものが水及び油脂
    を含む乳化物中に溶解又は分散されてなる肉片の改質
    剤。
  4. 【請求項4】 上記ソルビタン脂肪酸エステルが、ソル
    ビタンモノ脂肪酸エステルである請求項1、2又は3に
    記載の肉片の改質剤。
  5. 【請求項5】 上記ポリグリセリン脂肪酸エステルが、
    ヘキサグリセリンと炭素数18の飽和脂肪酸とからなる
    エステルであって、その平均エステル化度が1〜5であ
    る、又はデカグリセリンと炭素数18の不飽和脂肪酸と
    からなるエステルであって、その平均エステル化度が4
    〜6である請求項1、2又は3に記載の肉片の改質剤。
  6. 【請求項6】 上記ポリグリセリン縮合リシノレイン酸
    エステルが、平均重合度4〜10のポリグリセリンと縮
    合度が3〜4のリシノレイン酸とのエステルである請求
    項1、2又は3に記載の肉片の改質剤。
  7. 【請求項7】 上記ショ糖脂肪酸エステルが、HLB1
    0未満のショ糖モノ脂肪酸エステルである請求項2又は
    3に記載の肉片の改質剤。
  8. 【請求項8】 上記HLB10未満のショ糖脂肪酸エス
    テルが、ショ糖モノ脂肪酸エステルを10〜55重量
    %、およびショ糖ジ脂肪酸エステルを15〜38重量%
    含む請求項1又は7に記載の肉片の改質剤。
  9. 【請求項9】 上記レシチンが、ホスファチジルイノシ
    トールを25重量%以上含む請求項1、2又は3に記載
    の肉片の改質剤。
  10. 【請求項10】 請求項1〜9のいずれか1項に記載の
    肉片の改質剤で処理した食用肉片。
JP6107689A 1994-04-22 1994-04-22 肉片の改質剤及びこれで処理した食用肉片 Withdrawn JPH07289205A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP6107689A JPH07289205A (ja) 1994-04-22 1994-04-22 肉片の改質剤及びこれで処理した食用肉片

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP6107689A JPH07289205A (ja) 1994-04-22 1994-04-22 肉片の改質剤及びこれで処理した食用肉片

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JPH07289205A true JPH07289205A (ja) 1995-11-07

Family

ID=14465477

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP6107689A Withdrawn JPH07289205A (ja) 1994-04-22 1994-04-22 肉片の改質剤及びこれで処理した食用肉片

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JPH07289205A (ja)

Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2016501709A (ja) * 2012-10-24 2016-01-21 カーギル インコーポレイテッド リン脂質含有乳化剤組成物
JP2018191592A (ja) * 2017-05-18 2018-12-06 理研ビタミン株式会社 パーム系油脂の硬化抑制剤

Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2016501709A (ja) * 2012-10-24 2016-01-21 カーギル インコーポレイテッド リン脂質含有乳化剤組成物
JP2018191592A (ja) * 2017-05-18 2018-12-06 理研ビタミン株式会社 パーム系油脂の硬化抑制剤

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP2012501635A (ja) 油を含有する食品を製造するための油組成物
WO2022118663A1 (ja) 豆タンパクを含有する食肉加工製品の製造方法
JP4186390B2 (ja) 畜肉加工品に風味を付与する方法
JP4161519B2 (ja) 練り込み用乳化油脂組成物
US20200337354A1 (en) Method for producing powder oil and fat composition
JPH08196233A (ja) 食肉用水性調味液及びこれで処理した食用肉又は肉製品
JPH07289205A (ja) 肉片の改質剤及びこれで処理した食用肉片
KR100332444B1 (ko) 육질을 개선시키는 방법 및 이 방법으로 처리한 고기 조각
JPH11299455A (ja) 食肉の品質改良剤並びに食肉製品及びその処理方法
JP2980517B2 (ja) 肉の軟化改質剤及び軟化処理した食用肉または肉製品
JP2001269117A (ja) 食肉の品質改良剤
JP3244382B2 (ja) 食肉片の改質処理方法及び改質処理剤組成物
JPH09140352A (ja) 食肉の改質剤組成物
JP3286453B2 (ja) 挽き肉を主成分とする食品成型物の改質剤
JPH08214839A (ja) 食肉の改質処理方法及びこの方法で処理した食肉
JP2919258B2 (ja) 肉片の改質剤及びこれで処理した食用肉片
JPH09262067A (ja) 肉の改質剤、調味料及びこれで処理した食用肉又は肉製品
JPH07313108A (ja) 肉の改質剤及びこれで処理した食用肉又は肉製品
JP7241508B2 (ja) 食肉加工食品の製造方法
JPH08205823A (ja) 食肉用水性組成物及びこれで処理した食用肉又は肉製品
JP2008148597A (ja) 炒めごはん用調理素材
JPH0947254A (ja) 水系食肉用改質剤及びこれで処理した食肉又は肉製品
JP2023044007A (ja) 食肉用調味液、食肉加工食品の製造方法および食肉加工食品の食感改良方法
JPH07313106A (ja) 食肉の改質処理方法及びこの方法で処理した食肉
JPH08140621A (ja) 食肉用粉末調味料及びこれで処理した食用肉又は肉製品

Legal Events

Date Code Title Description
A300 Application deemed to be withdrawn because no request for examination was validly filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A300

Effective date: 20010703