JPH07288243A - 電子デバイス - Google Patents

電子デバイス

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JPH07288243A
JPH07288243A JP10217394A JP10217394A JPH07288243A JP H07288243 A JPH07288243 A JP H07288243A JP 10217394 A JP10217394 A JP 10217394A JP 10217394 A JP10217394 A JP 10217394A JP H07288243 A JPH07288243 A JP H07288243A
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silicon carbide
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silicon
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慎次 荻野
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Abstract

(57)【要約】 【目的】良好な結晶表面のシリコンカーバイド基板を備
えた電子デバイスを得る。 【構成】シリコンカーバイド基板を酸化シリコン,酸化
アルミニウム,酸化クロムの群から選ばれた少なくとも
一つを分散し、且つpHがアルカリ性の調製された懸濁
液を用いて表面を湿式研磨する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】この発明はシリコンカーバイド基
板を用いる電子デバイスに係り、特に表面研磨したシリ
コンカーバイド基板を有する電子デバイスに関する。
【0002】
【従来の技術】現在シリコンを用いるパワデバイスは高
周波大電力の制御を目的として各種の工夫により高性能
化が進められている。しかしこれは限界に近づきつつあ
る。パワデバイスは高温や放射線等の存在下で使用され
ることが多いがこのような条件下でシリコンデバイスを
使用することは適当でない。より高性能化を達成するた
めには新しい材料の適用が必要である。このような要求
に対してシリコンカーバイドは広い禁制帯幅(6H型:
2.93eV,4H型:3.3eV,3C型:2.4e
V)を持つために高温での電気電導制御性や耐放射線性
に優れ、シリコンより約1桁高い絶縁破壊電圧は高耐圧
デバイスへの適用を可能にし、さらにシリコンの約2倍
の電子飽和ドリフト速度は高周波大電力制御への適用を
可能とするなどシリコンに替わる材料として有望視され
る。
【0003】このようなシリコンカーバイドの優れた材
料特性をパワデバイスに応用するためにはシリコンカー
バイド基板の表面を鏡面に仕上げたのち、シリコンカー
バイドをエピタキシァル成長させたり、金属膜や酸化膜
を形成して電子デバイスを製作する。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかしながらシリコン
カーバイド基板は硬度が9でありまた化学的にも安定で
酸やアルカリにも殆ど侵されないためダイアモンド砥粒
を用いて表面研磨が行われる。ダイアモンド砥粒を用い
て研磨を行ったシリコンカーバイド基板の表面には、微
小な傷やクラックの他結晶構造の乱れを生じるためエッ
チングによりこれらを除去する必要がある。エッチング
により結晶構造の乱れは除去されるが研磨による傷やク
ラックは除去されず逆に顕著になるという問題があっ
た。このようなシリコンカーバイド基板の表面に酸化膜
や金属膜を形成すると、研磨による傷やクラック等の欠
陥部に電界の集中が起こり電子デバイスの特性が劣化す
る。
【0005】この発明は上述の点に鑑みてなされその目
的は表面が平滑である上に結晶構造の乱れのないシリコ
ンカーバイド基板を得ることにより特性に優れるシリコ
ンカーバイド電子デバイスを提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】上述の目的はこの発明に
よればシリコンカーバイド基板を用いる電子デバイスで
あって、(1)シリコンカーバイド基板と、(2)成長
膜とを有し、シリコンカーバイド基板は酸化シリコンSi
O2,酸化アルミニウムAl2O3 ,酸化クロムCr2O3の群か
ら選ばれた少なくとも一つを分散し、且つpHがアルカ
リ性に調整された懸濁液を用いて表面を湿式研磨してな
り、成長膜はシリコンカーバイド基板上に成長してなる
膜であるとすることにより達成される。
【0007】この際にアルカリ性はpHが10ないし1
5の範囲にあること、または酸化シリコンはコロイダル
シリカであることが有効である。
【0008】
【作用】酸化シリコンSiO2,酸化アルミニウムAl2O3
たは酸化クロムCr2 O3が分散し且つpHがアルカリ性に
調整された懸濁液を用いて表面を湿式研磨すると、メカ
ノケミカルな作用によりシリコンカーバイドのシリコン
面について良好な研磨面を得ることができる。
【0009】湿式研磨を行う際のメカノケミカルな作用
は研磨を行う懸濁液のアルカリが例えば6H型シリコン
カーバイドの(0001)面のうちのシリコン面に作用
し、且つ(0001)面を機械的に剥離してシリコンカ
ーバイド基板の(0001)面を機械的な欠陥や結晶歪
みのない状態で研磨する。
【0010】
【実施例】次にこの発明の実施例を図面に基づいて説明
する。 実施例1 図1はこの発明の実施例に係る電子デバイスを示す断面
図である。この電子デバイスはショットキダイオードで
ある。ショットキダイオードはシリコンカーバイド基板
3を研磨し、基板3上にシリコンカーバイドエピタキシ
ァル膜2を成膜し、シリコンカーバイド基板3の他の主
面にニッケル電極4を形成し、シリコンカーバイドエピ
タキシァル膜2上にショットキ電極である金電極1を形
成して製造される。
【0011】n型の6H―シリコンカーバイドSiC 基板
を鋳鉄ラップ板を用い100番のシリコンカーバイド砥
粒の懸濁液を添加しながら研磨した。続いて粒径30μ
mのダイアモンド砥粒,粒径10μmのダイアモンド砥
粒による研磨を行った。最後にpH10ないし15に調
整され、コロイダルシリカを所定量含む懸濁液を用い、
回転速度100rpmでシリコンカーバイド基板をバフ
研磨した。この際シリコンカーバイド基板の所定面を所
定方向に5°傾けて研磨した。所定の面と所定の方向が
表1に示される。
【0012】
【表1】 前記湿式研磨においてはpH10ないし15においてシ
リコンカーバイド基板の表面にあるシリコン面がコロイ
ダルシリカにより有効に研磨される。このシリコン面の
研磨は次層のカーボン面の研磨を伴い、シリコンカーバ
イド基板の表面は常にシリコン面で覆われる。
【0013】続いて1200℃の温度において水素H2
スを2slm、塩化水素HCl ガスを3sccmの割合に
して混合ガスを流して表面をエッチングした。図3はこ
の発明の実施例に係る電子デバイスにつき、シリコンカ
ーバイド基板研磨面の粒子構造を示す写真である。研磨
面には全く傷が観測されない。図4は従来の電子デバイ
スにつきシリコンカーバイド基板研磨面の粒子構造を示
す写真である。
【0014】粒径150μmのシリコンカーバイドSiC
砥粒による研磨に続き、粒径30μmのダイアモンド砥
粒,粒径3μmのダイアモンド砥粒,最後に粒径1μm
のダイアモンド砥粒によりシリコンカーバイド基板をバ
フ研磨した。続いてシリコンカーバイド基板を1200
℃で5分間、流量2slmの水素ガスと流量3sccm
の塩化水素HCl ガスの混合ガス中でエッチングしたの
ち、ノマルスキ顕微鏡で観察した。一連のダイアモンド
砥粒により研磨した面は研磨終了後鏡面は得られていた
がエッチングにより研磨傷が溝状に現れている。
【0015】ダイアモンド研磨後にはノマルスキ顕微鏡
では検知されない微小の傷が塩化水素HCl ガス等による
エッチングで顕著になったものである。なお図中の多数
の六角形のエッチングピットは転移によるもので研磨に
より導入されたものではない。前記の2種類の方法で研
磨したシリコンカーバイドSiC 基板(n型:キャリア密
度1×1018cm-3) を前述の如く1200℃の温度に
おいて水素H2ガスを2slm、塩化水素HCl ガスを3s
ccmの割合にして混合ガスを流して表面をエッチング
し、次いで1500℃の温度において4時間、水素H2
スを3slm、シランSiH4 ガスを3sccm、プロ
パンガスを2.5sccmの割合にして混合ガスを流し
てn型6H―シリコンカーバイドSiC エピタキシァル膜
2を9μm厚さに成膜した。この膜はキャリア密度が2
×1015cm-3のエピタキシァル膜である。
【0016】エピタキシァル成長した膜は前図に示した
エッチング後の表面状態と類似の表面状態を有し、酸化
クロムCr2 O3を使って研磨した基板上に成長したエピタ
キシァル膜はダイヤモンド研磨した基板上にエピタキシ
ァル成長した膜に比べ、傷が少なく平滑な表面であっ
た。n型で6H−シリコンカーバイドSiC 基板3の裏面
にNiを真空蒸着し、Ar囲気中において1200℃で
10分間加熱処理を行ってオーミックなニッケル電極4
を得た。そして、Auをn型6H−シリコンカーバイド
SiC のエピタキシァル膜2の上に真空蒸着し、ショット
キ電極である金電極1を得た。
【0017】図5はこの発明の実施例に係る電子デバイ
スにつきブレークダウン電圧の分布を示す棒図である。
図6は従来の電子デバイスにつき,ブレークダウン電圧
の分布を示す棒図である。これはショットキダイオード
を用いて測定した。この発明の実施例に係る電子デバイ
スの平均のブレークダウン電圧は567Vであり、従来
のブレークダウン電圧よりも特性が向上している。 実施例2 図2はこの発明の異なる実施例に係る電子デバイスを示
す要部断面図である。この電子デバイスはMOSダイオ
ードである。n型の6H―シリコンカーバイドSiC 基板
7の上にn型の6H―シリコンカーバイドSiC エピタキ
シァル膜6が積層され、このエピタキシァル膜6上に温
度1200℃で水蒸気酸化を行い、シリカSiO2絶縁層5
が形成される。シリカSiO2絶縁層5の上には金電極9
が、またn型の6H―シリコンカーバイドSiC 基板7の
他の主面にはニッケル電極8が形成される。
【0018】得られたMOSダイオードにつき、シリカ
絶縁層5とn型6H―シリコンカーバイドエピタキシァ
ル膜6の界面につきその界面準位を測定した。本発明の
湿式研磨されたn型の6H―シリコンカーバイドSiC 基
板を用いるMOSダイオードの界面準位は、容量―電圧
(C―V)測定によると5×1010cm-2であった。従
来のダイアモンドを使って研磨したものの界面準位は5
×1011cm-2であるから、本発明の湿式研磨されたn
型の6H―シリコンカーバイドSiC 基板の表面の結晶構
造の乱れは、従来のダイアモンドを用いて研磨されたシ
リコンカーバイドSiC 基板よりも少ないことがわかる。
【0019】なお上述の6H―シリコンカーバイドSiC
基板の(0001)面に替えて4H―シリコンカーバイ
ドSiC 基板の(0001)面や3C―シリコンカーバイ
ドSiC 基板の(111)面に湿式研磨を適用することも
できる。コロイダルシリカの他、pHが10ないし15
に調整されアルミナ砥粒,酸化クロムCr2 O3砥粒を含む
懸濁液を用いてシリコンカーバイド基板を研磨した場合
についてもコロイダルシリカを用いてシリコンカーバイ
ド基板を研磨した場合と同様な特性の電子デバイスが得
られた。
【0020】
【発明の効果】この発明によればシリコンカーバイド基
板を用いる電子デバイスであって、(1)シリコンカー
バイド基板と、(2)成長膜とを有し、シリコンカーバ
イド基板は酸化シリコンSiO2,酸化アルミニウムAl
2O3 ,酸化クロムCr2 O3,の群から選ばれた少なくとも
一つを分散し、且つpHがアルカリ性に調整された懸濁
液を用いて表面を湿式研磨してなり、成長膜はシリコン
カーバイド基板上に成長してなる膜であるとするので、
酸化シリコンSiO2,酸化アルミニウムAl2O3 ,酸化クロ
ムCr2 O3を含みpHがアルカリに調整された懸濁液のメ
カノケミカルな研磨作用により、機械的な欠陥や結晶歪
みのない研磨面を有する良好なシリコンカーバイド基板
を得ることができ、この研磨面にエピタキシァル膜等の
成長膜を積層して、特性に優れるシリコンカーバイド電
子デバイスを製造することができる。
【0021】また上記アルカリ性はpHが10ないし1
5の範囲においてまた酸化シリコンにコロイダルシリカ
を用いるときに懸濁液のメカノケミカルな研磨作用が最
も顕著に発揮される。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の実施例に係る電子デバイスを示す断
面図
【図2】この発明の異なる実施例に係る電子デバイスを
示す要部断面図
【図3】この発明の実施例に係る電子デバイスにつきシ
リコンカーバイド基板研磨面の粒子構造を示す写真
【図4】従来の電子デバイスにつきシリコンカーバイド
基板研磨面の粒子構造を示す写真
【図5】この発明の実施例に係る電子デバイスにつきブ
レークダウン電圧の分布を示す棒図
【図6】従来の電子デバイスにつきブレークダウン電圧
の分布を示す棒図
【符号の説明】
1 金電極 2 シリコンカーバイドSiC エピタキシァル膜 3 シリコンカーバイドSiC 基板 4 ニッケル電極 5 シリカSiO2絶縁層 6 n型シリコンカーバイドSiC エピタキシァル膜 7 n型シリコンカーバイドSiC 基板 8 ニッケル電極 9 金電極

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】シリコンカーバイド基板を用いる電子デバ
    イスであって、 (1)シリコンカーバイド基板と、 (2)成長膜とを有し、 シリコンカーバイド基板は酸化シリコンSiO2,酸化アル
    ミニウムAl2O3 ,酸化クロムCr2 O3の群から選ばれた少
    なくとも一つを分散し、且つpHがアルカリ性に調整さ
    れた懸濁液を用いて表面を湿式研磨してなり、 成長膜はシリコンカーバイド基板上に成長してなる膜で
    あることを特徴とする電子デバイス。
  2. 【請求項2】請求項1記載の電子デバイスにおいて、p
    Hは10ないし15の範囲にあることを特徴とする電子
    デバイス。
  3. 【請求項3】請求項1記載の電子デバイスにおいて、酸
    化シリコンSiO2はコロイダルシリカであることを特徴と
    する電子デバイス。
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