JPH07285899A - γ,δ−不飽和アルコールの製造方法 - Google Patents
γ,δ−不飽和アルコールの製造方法Info
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- JPH07285899A JPH07285899A JP7844594A JP7844594A JPH07285899A JP H07285899 A JPH07285899 A JP H07285899A JP 7844594 A JP7844594 A JP 7844594A JP 7844594 A JP7844594 A JP 7844594A JP H07285899 A JPH07285899 A JP H07285899A
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Abstract
液を使用し、温和な条件下でγ,δ−不飽和アルコ−ル
を製造する。 【構成】一般式(I) 【化1】 (式中、R1 、R2 およびR3 はそれぞれ水素原子また
は水酸基で置換されていても良い炭素数1から10のア
ルキル基、アルケニル基およびアリール基を表す。)で
示されるα−オレフィンとホルマリン水溶液とを反応さ
せ、一般式(II) 【化2】 (式中、R1 、R2 およびR3 は前記定義のとおりであ
る。)で示されるγ,δ−不飽和アルコールを製造する
際に、150〜350℃の温度範囲で、溶媒として炭素
数3〜10のアルコ−ル類をホルマリン水溶液中のホル
ムアルデヒドに対して2〜20モル倍の範囲で使用す
る。
Description
ールの製造方法に関する。β,γ−不飽和アルコール
は、工業的に重要な多くの化合物の中間体となり得るも
のであり、特に3−メチル−3−ブテン−1−オール
は、合成ゴムの原料であるイソプレンの前駆体として、
また医薬、香料の中間体として有用な化合物である。
つとして、触媒の非存在下に、種々のα−オレフィンと
アルデヒド類とを加熱反応させる方法が知られている。
溶媒を使用しない方法の一つとして、デュポン社は米国
特許第2,335,027 号明細書およびジャーナル・オブ・ジ
・アメリカン・ケミカル・ソサエティ(J. Am.Chem. So
c. )、77巻、4666頁、1955年、に100〜250℃で
2〜16時間、220気圧以上の高圧下にα−オレフィ
ンとアルデヒド類とを反応させた例を開示している。
レフィンとホルムアルデヒドの比を2以上として150
℃〜400℃の範囲内の温度で反応させ、高収率でβ,
γ−不飽和アルコールを得る方法が開示されている。特
開昭51−39616号公報には、この方法の改良法と
して、80〜150℃の温度に予備加熱したアルデヒド
を反応系に添加する方法が開示されており、この改良法
には溶媒を使用してもよいとの記載がある。使用される
溶媒として、ハロゲン化炭化水素、エ−テル類、脂肪
酸、エステル類、脂肪族炭化水素類、芳香族炭化水素
類、ジオキサン類等が例示されているがアルコ−ル類は
例示されておらず、しかも溶媒を使用した実施例の記載
もない。
ニア、ヘキサメチレンテトラミン等の塩基性化合物の共
存下、または非共存下に、235℃〜400℃の範囲の
温度で、1000気圧以下の圧力条件下、α−オレフィ
ンとアルデヒドを反応させ、比較的良好な収率で目的と
するβ,γ−不飽和アルコールを得る方法が開示されて
おり、本反応は炭化水素類、アルコ−ル類およびエ−テ
ル類などの溶媒または水の存在下に行なうことができる
とされている。
して、特公昭39−14208号公報に、酢酸エチル、
n-ヘプタンあるいはp-ジオキサンを溶媒として用い、1
50〜300℃、200気圧以下で1〜4時間、α−オ
レフィンとアルデヒドを反応させ60%以上の高収率、
70%以上の高選択率でβ,γ−不飽和アルコールを得
たとの開示がある。さらに、インダストリアル・エンジ
ニアリング・ケミストリー・プロダクト・リサ−チ・デ
ベロプメント(Ind. Eng. Chem. Prod. Res. Dev. )、
15巻、189頁(1976年)にフィリップス社から、イソブ
チレンとホルムアルデヒドを溶媒中で反応させ、3−メ
チル−3−ブテン−1−オールを得た例が報告されてい
る。45%ホルムアルデヒド水溶液を使用し、ベンゼン
を溶媒として使用した場合は63%の収率で生成物を得
たが、3%の4,4−ジメチル−1,3−ジオキサンが
副生したとの報告がある。(一般に、α−オレフィンと
アルデヒドからの副生物でこの4,4−ジメチル−1,
3−ジオキサンに対応するものはアルキル−m−ジオキ
サンと呼ばれる。この4,4−ジメチル−1,3−ジオ
キサンのことを以下MDOと略称する。)さらに、バッ
チ反応形式で45〜50%のホルムアルデヒドのメタノ
−ル溶液を炭化水素系希釈剤中で使用した場合には、パ
ラホルムアルデヒドを使用する場合に比較し5%程度収
率が低くなるとの記載がある。
的に実施するうえで、以下に示す種々の問題点がある。
デュポン社の方法では多量の高沸点副生物が生成して、
しかも収率が高々31%にすぎない。特開昭50−88
009号公報の方法ではアルデヒドは水を除去後に使用
するとされており、この方法では安価なホルマリン水溶
液を使用することはできない。この方法の改良法であ
り、アルデヒドを予備加熱することを特徴とする特開昭
51−39616号公報の方法でもホルマリン水溶液を
使用することはできない。特公昭47−47362号公
報の方法では、実施例から判断する限り、塩基性化合物
の非共存下では充分な工業的収率が得られないという問
題点があり、ホルマリン水溶液を使用する場合も塩基性
化合物を使用しない限りこの問題点から逃れられない。
工業的に実施するには収率および選択性がやや低いとい
う問題点を有している。また、フィリップス社の方法
は、上記した文献にバッチ反応形式ではパラホルムアル
デヒドを使用する場合に比較しホルマリン水溶液を使用
する場合は収率が5%程度低いと記載されていることか
ら自明であるが収率的に問題がある。さらに上記文献の
連続反応実施時の条件検討結果から、反応系内滞留時間
を長くすることによりホルムアルデヒド転換率を76%
から82〜83%まで高めることができるが、さらに滞
留時間を長くしてホルムアルデヒド転換率を90%にま
で高めると、3−メチル−3−ブテン−1−オールの収
率は75〜87%だったものが逆に73%に低下してし
まうことが理解される。工業的には原料の回収および生
成物の精製に要する費用低減の観点から、ホルムアルデ
ヒド転換率が高く、しかも3−メチル−3−ブテン−1
−オールの選択率及び収率の高い製造法が好ましい。こ
の観点から判断すると、フィリップス社の方法は工業的
に満足できるものとはいえない。
応においては、フィリップス社のバッチ式反応例に報告
されているように、MDO等のアルキル−m−ジオキサ
ンの副生が収率低下の一因となっている。しかも、MD
Oは3−メチル−3−ブテン−1−オールと沸点が近い
ため、MDOが生成すると3−メチル−3−ブテン−1
−オールの蒸留分離精製上問題がある。以上述べたよう
に、安価で取扱い容易なホルマリン水溶液等を用い、ホ
ルムアルデヒド転換率が高く、アルキル−m−ジオキサ
ンの副生がなく、しかもβ,γ−不飽和アルコールの選
択率及び収率の高い製造法の開発が望まれていた。
点を改良するβ,γ−不飽和アルコールの製造方法に付
いて鋭意検討を行った結果、驚くべきことに、特定量の
炭素数3〜10のアルコール性溶媒の存在下にα−オレ
フィンとホルマリン水溶液とを反応させることにより、
ホルムアルデヒド転換率が高く、アルキル−m−ジオキ
サンの副生がなく、β,γ−不飽和アルコールの選択率
及び収率の高いβ,γ−不飽和アルコールの製造法を見
いだした。すなわち、一般式(I)
水素原子または水酸基で置換されていても良い炭素数1
から10のアルキル基、アルケニル基およびアリール基
を表す。)で示されるα−オレフィンとホルマリン水溶
液とを反応させ、一般式(II)
のとおりである。)で示されるβ,γ−不飽和アルコー
ルを製造する際に、150〜350℃の温度範囲で、溶
媒として炭素数3〜10のアルコール類をホルマリン水
溶液中のホルムアルデヒドに対し2〜20モル倍の範囲
で使用することを特徴とするβ,γ−不飽和アルコール
の製造方法を見いだすことにより本発明を完成するに至
った。
溶液を用い、分離の困難なMDOなどのアルキル−m−
ジオキサンの副生がなく、ホルムアルデヒド転換率が高
く、しかもβ,γ−不飽和アルコールの選択率及び収率
の高いβ,γ−不飽和アルコールの製造法が提供され
る。本発明に用いられるα−オレフィンは、一般式
(I)
のとおりである。)で示される構造を有するα−オレフ
ィンである。具体的には、R1 、R2 およびR3 が全て
水素原子であるプロピレン、R1 およびR2 が水素原子
でR3 がアルキル基からなる例としてのイソブテン、R
1 またはR2 のいづれか一方が水素原子で他方がアルキ
ル基、かつR3 がアルキル基からなる例としての2−メ
チル−1−ブテン、2−メチル−1−ペンテン、2−メ
チル−1−ヘキセン、2−メチル−1−ヘプテン、2−
メチル−1−オクテン、R1 、R2 およびR3 が全てア
ルキル基からなる例としての2,3−ジメチル−1−ブ
テン、R1 およびR2 が水素原子でR3 がフェニル基か
らなるα−メチルスチレン、R1 またはR2 のいづれか
一方が水素原子で他方のアルキル基とR3 のアルキル基
とが同一の環状構造の一部に含まれる例としてのメチレ
ンシクロヘキサン、R1 またはR2 のいづれか一方が水
素原子で他方がヒドロキシアルキル基、かつR3 が水素
原子からなる例としての3−ブテン−1−オール、R1
またはR2 のいづれか一方が水素原子で他方がヒドロキ
シアルキル基、かつR3 がアルキル基である例としての
3−メチル−3−ブテン−1−オールなどが例示できる
がこれらに限定されるものではない。R1 、R2 および
R3 の少なくとも1つがアルケニル基またはアリ−ル基
を表わす場合に、本反応の条件下で、α−オレフィン部
と同時にR1 、R2 およびR3 の少なくとも1つに含ま
れるアルケニル基またはアリ−ル基もホルムアルデヒド
と反応したものも生成することがある。また、α−オレ
フィンとして、単一化合物のみならず、上記例示化合物
の混合物を使用してもよい。
ヒドに対して0.5〜50モル倍量が好ましく、2〜2
0モル倍量が特に好ましい。α−オレフィンの使用量が
少ない場合には、目的とするβ,γ−不飽和アルコール
の選択率が低下し、使用量が多くなると反応速度の低下
とともに、α−オレフィンの回収に要するユーティリテ
ィーが大きくなり、工業的価値が低下する。
液が使用できるが、ホルムアルデヒドの分解反応を抑制
するため、ホルムアルデヒド濃度は高い方が好ましく、
30〜70%のホルマリン水溶液が好ましい。
数3〜10のアルコール類が好ましい。アルコール類と
しては、例えば、n-プロピルアルコール、イソプロピル
アルコール、n-ブチルアルコール、tert- ブチルアルコ
ール、イソブチルアルコール、sec-ブチルアルコール、
n-アミルアルコール、イソアミルアルコール、tert-ア
ミルアルコール、ヘキシルアルコール、2−メチル−2
−ブタノール、3−メチル−3−ペンタノール、2−エ
チルヘキシルアルコール、ヘプチルアルコール、オクチ
ルアルコール、ノニルアルコール、デカニルアルコール
などの脂肪族アルコール;シクロヘキシルアルコール、
メチルシクロヘキシルアルコール、シクロペンチルアル
コール等の脂環式アルコール;ベンジルアルコール等の
芳香族アルコールなどが挙げられるが、これらに限定さ
れるものではない。また、溶媒としてこれらの混合物、
および本反応に影響を及ぼさない溶媒を併用してもかま
わない。α−オレフィンとホルムアルデヒドとを均一に
溶解する溶媒としてイソプロピルアルコール、イソブチ
ルアルコール、sec-ブチルアルコール、tert- ブチルア
ルコール、イソアミルアルコール、tert- アミルアルコ
ールなどが特に推奨される。
ムアルデヒドに対し、2〜20モル倍量が好ましく、特
に3〜10モル倍量が好ましい。2モル倍量より少ない
と、アルキル−m−ジオキサンの副生が増加し、20モ
ル倍量以上では、副反応を抑制する効果は大きいが、分
離回収するための蒸留ユーティリティーが大きくなり工
業的価値が低下するので好ましくない。
ましく、200〜330℃の範囲が特に好ましい。15
0℃より低い温度では、反応速度が小さく反応に長時間
を要し、350℃より高い温度では、ホルムアルデヒド
および生成するβ,γ−不飽和アルコールの分解反応が
促進され、目的とするβ,γ−不飽和アルコールの収率
低下をもたらす。
るが、上記反応条件下では、1分〜10時間で反応は完
結する。
応温度における蒸気圧以上で実施されるが、所定温度に
おいて臨界条件を越えるα−オレフィンを用いる場合
は、必要に応じて圧力の制御をすることが推奨される。
反応圧力は、30〜500kg/cm2 の範囲で制御す
ることが好ましく、特に50〜300kg/cm2 の範
囲がより好ましい。反応圧力が所定温度におけるα−オ
レフィンの蒸気圧より低い場合は、反応液中のオレフィ
ン濃度が低くなりβ,γ−不飽和アルコールの選択率の
低下をもたらし、反応圧力を高くするほど反応速度およ
びβ,γ−不飽和アルコールの選択率が向上する。
反応圧力を制御できる反応器を使用すれば、バッチ式ま
たは連続式などのいかなる方法でも実施できるが、ホル
ムアルデヒド転換率が高く、しかもβ,γ−不飽和アル
コールの選択率及び収率が高い連続式反応が好ましい。
が、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。
9.2g(0.70モル)、t−ブタノール33.7g
(0.45モル)および50%ホルマリン水溶液4.2
g(0.07モル)を入れ、280℃で1時間反応させ
た。反応中、反応器を窒素で加圧し、150kg/cm
2 に保った。反応器を冷却し、イソブテンを放圧した後
に得られた反応液を分析したところ、ホルムアルデヒド
は0.22g残っており、3−メチル−3−ブテン−1
−オールが4.33g得られた。MDOは全く生成しな
かった。ホルムアルデヒドの転化率は89.5%、ホル
ムアルデヒド基準のα,β−不飽和アルコールの選択率
は80.4%であり、収率は72.0%であった。
載したα−オレフィン、アルコ−ル溶媒および50%ホ
ルマリン水溶液4.2g(0.07モル)を入れ、表1
に記載した温度で表1に記載した時間反応させた。反応
中、反応器を窒素で加圧し、150kg/cm2 に保っ
た。反応器を冷却し、α−オレフィンを放圧した後に得
られた反応液を分析したところ、表1に示すホルムアル
デヒド転化率、ホルムアルデヒド基準のα,β−不飽和
アルコールの選択率およびα,β−不飽和アルコールの
収率、ならびにアルキル−m−ジオキサン選択率を得
た。
容量30ml)のステンレス製反応管に、t−ブタノー
ル88.9%、ホルムアルデヒド5.5%、水5.5%
の混合溶液を62.4g/hr、イソブテンを96.8
g/hrで送液した。反応液の滞留時間は20分間であ
る。反応管出口を内径2mm、長さ2000mmの冷却
管につなぎ、冷却管出口圧力を200kg/cm2 に保
ち、159.2g/hrで反応液を流出させた。反応液
を分析したところ、ホルムアルデヒドが0.28g/h
r、3−メチル−3−ブテン−1−オールが8.39g
/hr流出していることがわかった。ホルムアルデヒド
の転化率は91.8%、ホルムアルデヒド基準の不飽和
アルコールの選択率は93.0%、収率は85.4%で
あった。流出液中には4,4−ジメチル−1,3−ジオ
キサンは含まれていなかった。
応管の代わりに、300℃に加熱したステンレス製反応
管を使用し、反応液の滞留時間を20分間に代えて10
分間とする以外は、実施例8と同様にして反応を行い、
反応液を分析したところ、ホルムアルデヒドが0.33
g/hr、3−メチル−3−ブテン−1−オールが8.
34g/hr流出していることがわかった。ホルムアル
デヒドの転化率は90.4%、ホルムアルデヒド基準の
不飽和アルコールの選択率は93.8%、収率は84.
8%であった。流出液中には4,4−ジメチル−1,3
−ジオキサンは含まれていなかった。
取扱いの容易なホルマリン水溶液とを使用し、蒸留分離
の困難なアルキル−m−ジオキサンを副生せず、しかも
高収率でβ,γ−不飽和アルコ−ルを製造する方法が提
供された。
は水酸基で置換されていても良い炭素数1から10のア
ルキル基、アルケニル基およびアリール基を表す。)で
示されるα−オレフィンとホルマリン水溶液とを反応さ
せ、一般式(II)
る。)で示されるγ,δ−不飽和アルコールを製造する
際に、150〜350℃の温度範囲で、溶媒として炭素
数3〜10のアルコール類をホルマリン水溶液中のホル
ムアルデヒドに対し2〜20モル倍の範囲で使用するこ
とを特徴とするγ,δ−不飽和アルコールの製造方法。
ールの製造方法に関する。γ,δ−不飽和アルコール
は、工業的に重要な多くの化合物の中間体となり得るも
のであり、特に3−メチル−3−ブテン−1−オール
は、合成ゴムの原料であるイソプレンの前駆体として、
また医薬、香料の中間体として有用な化合物である。
つとして、触媒の非存在下に、種々のα−オレフィンと
アルデヒド類とを加熱反応させる方法が知られている。
溶媒を使用しない方法の一つとして、デュポン社は米国
特許第2,335,027 号明細書およびジャーナル・オブ・ジ
・アメリカン・ケミカル・ソサエティ(J. Am.Chem. So
c. )、77巻、4666頁、1955年、に100〜250℃で
2〜16時間、220気圧以上の高圧下にα−オレフィ
ンとアルデヒド類とを反応させた例を開示している。
レフィンとホルムアルデヒドの比を2以上として150
℃〜400℃の範囲内の温度で反応させ、高収率でγ,
δ−不飽和アルコールを得る方法が開示されている。特
開昭51−39616号公報には、この方法の改良法と
して、80〜150℃の温度に予備加熱したアルデヒド
を反応系に添加する方法が開示されており、この改良法
には溶媒を使用してもよいとの記載がある。使用される
溶媒として、ハロゲン化炭化水素、エ−テル類、脂肪
酸、エステル類、脂肪族炭化水素類、芳香族炭化水素
類、ジオキサン類等が例示されているがアルコ−ル類は
例示されておらず、しかも溶媒を使用した実施例の記載
もない。
ニア、ヘキサメチレンテトラミン等の塩基性化合物の共
存下、または非共存下に、235℃〜400℃の範囲の
温度で、1000気圧以下の圧力条件下、α−オレフィ
ンとアルデヒドを反応させ、比較的良好な収率で目的と
するγ,δ−不飽和アルコールを得る方法が開示されて
おり、本反応は炭化水素類、アルコ−ル類およびエ−テ
ル類などの溶媒または水の存在下に行なうことができる
とされている。
して、特公昭39−14208号公報に、酢酸エチル、
n-ヘプタンあるいはp-ジオキサンを溶媒として用い、1
50〜300℃、200気圧以下で1〜4時間、α−オ
レフィンとアルデヒドを反応させ60%以上の高収率、
70%以上の高選択率でγ,δ−不飽和アルコールを得
たとの開示がある。さらに、インダストリアル・エンジ
ニアリング・ケミストリー・プロダクト・リサ−チ・デ
ベロプメント(Ind. Eng. Chem. Prod. Res. Dev. )、
15巻、189頁(1976年)にフィリップス社から、イソブ
チレンとホルムアルデヒドを溶媒中で反応させ、3−メ
チル−3−ブテン−1−オールを得た例が報告されてい
る。45%ホルムアルデヒド水溶液を使用し、ベンゼン
を溶媒として使用した場合は63%の収率で生成物を得
たが、3%の4,4−ジメチル−1,3−ジオキサンが
副生したとの報告がある。(一般に、α−オレフィンと
アルデヒドからの副生物でこの4,4−ジメチル−1,
3−ジオキサンに対応するものはアルキル−m−ジオキ
サンと呼ばれる。この4,4−ジメチル−1,3−ジオ
キサンのことを以下MDOと略称する。)さらに、バッ
チ反応形式で45〜50%のホルムアルデヒドのメタノ
−ル溶液を炭化水素系希釈剤中で使用した場合には、パ
ラホルムアルデヒドを使用する場合に比較し5%程度収
率が低くなるとの記載がある。
的に実施するうえで、以下に示す種々の問題点がある。
デュポン社の方法では多量の高沸点副生物が生成して、
しかも収率が高々31%にすぎない。特開昭50−88
009号公報の方法ではアルデヒドは水を除去後に使用
するとされており、この方法では安価なホルマリン水溶
液を使用することはできない。この方法の改良法であ
り、アルデヒドを予備加熱することを特徴とする特開昭
51−39616号公報の方法でもホルマリン水溶液を
使用することはできない。特公昭47−47362号公
報の方法では、実施例から判断する限り、塩基性化合物
の非共存下では充分な工業的収率が得られないという問
題点があり、ホルマリン水溶液を使用する場合も塩基性
化合物を使用しない限りこの問題点から逃れられない。
工業的に実施するには収率および選択性がやや低いとい
う問題点を有している。また、フィリップス社の方法
は、上記した文献にバッチ反応形式ではパラホルムアル
デヒドを使用する場合に比較しホルマリン水溶液を使用
する場合は収率が5%程度低いと記載されていることか
ら自明であるが収率的に問題がある。さらに上記文献の
連続反応実施時の条件検討結果から、反応系内滞留時間
を長くすることによりホルムアルデヒド転換率を76%
から82〜83%まで高めることができるが、さらに滞
留時間を長くしてホルムアルデヒド転換率を90%にま
で高めると、3−メチル−3−ブテン−1−オールの収
率は75〜87%だったものが逆に73%に低下してし
まうことが理解される。工業的には原料の回収および生
成物の精製に要する費用低減の観点から、ホルムアルデ
ヒド転換率が高く、しかも3−メチル−3−ブテン−1
−オールの選択率及び収率の高い製造法が好ましい。こ
の観点から判断すると、フィリップス社の方法は工業的
に満足できるものとはいえない。
応においては、フィリップス社のバッチ式反応例に報告
されているように、MDO等のアルキル−m−ジオキサ
ンの副生が収率低下の一因となっている。しかも、MD
Oは3−メチル−3−ブテン−1−オールと沸点が近い
ため、MDOが生成すると3−メチル−3−ブテン−1
−オールの蒸留分離精製上問題がある。以上述べたよう
に、安価で取扱い容易なホルマリン水溶液等を用い、ホ
ルムアルデヒド転換率が高く、アルキル−m−ジオキサ
ンの副生がなく、しかもγ,δ−不飽和アルコールの選
択率及び収率の高い製造法の開発が望まれていた。
点を改良するγ,δ−不飽和アルコールの製造方法に付
いて鋭意検討を行った結果、驚くべきことに、特定量の
炭素数3〜10のアルコール性溶媒の存在下にα−オレ
フィンとホルマリン水溶液とを反応させることにより、
ホルムアルデヒド転換率が高く、アルキル−m−ジオキ
サンの副生がなく、γ,δ−不飽和アルコールの選択率
及び収率の高いγ,δ−不飽和アルコールの製造法を見
いだした。すなわち、一般式(I)
水素原子または水酸基で置換されていても良い炭素数1
から10のアルキル基、アルケニル基およびアリール基
を表す。)で示されるα−オレフィンとホルマリン水溶
液とを反応させ、一般式(II)
のとおりである。)で示されるγ,δ−不飽和アルコー
ルを製造する際に、150〜350℃の温度範囲で、溶
媒として炭素数3〜10のアルコール類をホルマリン水
溶液中のホルムアルデヒドに対し2〜20モル倍の範囲
で使用することを特徴とするγ,δ−不飽和アルコール
の製造方法を見いだすことにより本発明を完成するに至
った。
溶液を用い、分離の困難なMDOなどのアルキル−m−
ジオキサンの副生がなく、ホルムアルデヒド転換率が高
く、しかもγ,δ−不飽和アルコールの選択率及び収率
の高いγ,δ−不飽和アルコールの製造法が提供され
る。本発明に用いられるα−オレフィンは、一般式
(I)
のとおりである。)で示される構造を有するα−オレフ
ィンである。具体的には、R1 、R2 およびR3 が全て
水素原子であるプロピレン、R1 およびR2 が水素原子
でR3 がアルキル基からなる例としてのイソブテン、R
1 またはR2 のいづれか一方が水素原子で他方がアルキ
ル基、かつR3 がアルキル基からなる例としての2−メ
チル−1−ブテン、2−メチル−1−ペンテン、2−メ
チル−1−ヘキセン、2−メチル−1−ヘプテン、2−
メチル−1−オクテン、R1 、R2 およびR3 が全てア
ルキル基からなる例としての2,3−ジメチル−1−ブ
テン、R1 およびR2 が水素原子でR3 がフェニル基か
らなるα−メチルスチレン、R1 またはR2 のいづれか
一方が水素原子で他方のアルキル基とR3 のアルキル基
とが同一の環状構造の一部に含まれる例としてのメチレ
ンシクロヘキサン、R1 またはR2 のいづれか一方が水
素原子で他方がヒドロキシアルキル基、かつR3 が水素
原子からなる例としての3−ブテン−1−オール、R1
またはR2 のいづれか一方が水素原子で他方がヒドロキ
シアルキル基、かつR3 がアルキル基である例としての
3−メチル−3−ブテン−1−オールなどが例示できる
がこれらに限定されるものではない。R1 、R2 および
R3 の少なくとも1つがアルケニル基またはアリ−ル基
を表わす場合に、本反応の条件下で、α−オレフィン部
と同時にR1 、R2 およびR3 の少なくとも1つに含ま
れるアルケニル基またはアリ−ル基もホルムアルデヒド
と反応したものも生成することがある。また、α−オレ
フィンとして、単一化合物のみならず、上記例示化合物
の混合物を使用してもよい。
ヒドに対して0.5〜50モル倍量が好ましく、2〜2
0モル倍量が特に好ましい。α−オレフィンの使用量が
少ない場合には、目的とするγ,δ−不飽和アルコール
の選択率が低下し、使用量が多くなると反応速度の低下
とともに、α−オレフィンの回収に要するユーティリテ
ィーが大きくなり、工業的価値が低下する。
液が使用できるが、ホルムアルデヒドの分解反応を抑制
するため、ホルムアルデヒド濃度は高い方が好ましく、
30〜70%のホルマリン水溶液が好ましい。
数3〜10のアルコール類が好ましい。アルコール類と
しては、例えば、n-プロピルアルコール、イソプロピル
アルコール、n-ブチルアルコール、tert- ブチルアルコ
ール、イソブチルアルコール、sec-ブチルアルコール、
n-アミルアルコール、イソアミルアルコール、tert-ア
ミルアルコール、ヘキシルアルコール、2−メチル−2
−ブタノール、3−メチル−3−ペンタノール、2−エ
チルヘキシルアルコール、ヘプチルアルコール、オクチ
ルアルコール、ノニルアルコール、デカニルアルコール
などの脂肪族アルコール;シクロヘキシルアルコール、
メチルシクロヘキシルアルコール、シクロペンチルアル
コール等の脂環式アルコール;ベンジルアルコール等の
芳香族アルコールなどが挙げられるが、これらに限定さ
れるものではない。また、溶媒としてこれらの混合物、
および本反応に影響を及ぼさない溶媒を併用してもかま
わない。α−オレフィンとホルムアルデヒドとを均一に
溶解する溶媒としてイソプロピルアルコール、イソブチ
ルアルコール、sec-ブチルアルコール、tert- ブチルア
ルコール、イソアミルアルコール、tert- アミルアルコ
ールなどが特に推奨される。
ムアルデヒドに対し、2〜20モル倍量が好ましく、特
に3〜10モル倍量が好ましい。2モル倍量より少ない
と、アルキル−m−ジオキサンの副生が増加し、20モ
ル倍量以上では、副反応を抑制する効果は大きいが、分
離回収するための蒸留ユーティリティーが大きくなり工
業的価値が低下するので好ましくない。
ましく、200〜330℃の範囲が特に好ましい。15
0℃より低い温度では、反応速度が小さく反応に長時間
を要し、350℃より高い温度では、ホルムアルデヒド
および生成するγ,δ−不飽和アルコールの分解反応が
促進され、目的とするγ,δ−不飽和アルコールの収率
低下をもたらす。
るが、上記反応条件下では、1分〜10時間で反応は完
結する。
応温度における蒸気圧以上で実施されるが、所定温度に
おいて臨界条件を越えるα−オレフィンを用いる場合
は、必要に応じて圧力の制御をすることが推奨される。
反応圧力は、30〜500kg/cm2 の範囲で制御す
ることが好ましく、特に50〜300kg/cm2 の範
囲がより好ましい。反応圧力が所定温度におけるα−オ
レフィンの蒸気圧より低い場合は、反応液中のオレフィ
ン濃度が低くなりγ,δ−不飽和アルコールの選択率の
低下をもたらし、反応圧力を高くするほど反応速度およ
びγ,δ−不飽和アルコールの選択率が向上する。
反応圧力を制御できる反応器を使用すれば、バッチ式ま
たは連続式などのいかなる方法でも実施できるが、ホル
ムアルデヒド転換率が高く、しかもγ,δ−不飽和アル
コールの選択率及び収率が高い連続式反応が好ましい。
が、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。
9.2g(0.70モル)、t−ブタノール33.7g
(0.45モル)および50%ホルマリン水溶液4.2
g(0.07モル)を入れ、280℃で1時間反応させ
た。反応中、反応器を窒素で加圧し、150kg/cm
2 に保った。反応器を冷却し、イソブテンを放圧した後
に得られた反応液を分析したところ、ホルムアルデヒド
は0.22g残っており、3−メチル−3−ブテン−1
−オールが4.33g得られた。MDOは全く生成しな
かった。ホルムアルデヒドの転化率は89.5%、ホル
ムアルデヒド基準のγ,δ−不飽和アルコールの選択率
は80.4%であり、収率は72.0%であった。
載したα−オレフィン、アルコ−ル溶媒および50%ホ
ルマリン水溶液4.2g(0.07モル)を入れ、表1
に記載した温度で表1に記載した時間反応させた。反応
中、反応器を窒素で加圧し、150kg/cm2 に保っ
た。反応器を冷却し、α−オレフィンを放圧した後に得
られた反応液を分析したところ、表1に示すホルムアル
デヒド転化率、ホルムアルデヒド基準のγ,δ−不飽和
アルコールの選択率およびγ,δ−不飽和アルコールの
収率、ならびにアルキル−m−ジオキサン選択率を得
た。
容量30ml)のステンレス製反応管に、t−ブタノー
ル88.9%、ホルムアルデヒド5.5%、水5.5%
の混合溶液を62.4g/hr、イソブテンを96.8
g/hrで送液した。反応液の滞留時間は20分間であ
る。反応管出口を内径2mm、長さ2000mmの冷却
管につなぎ、冷却管出口圧力を200kg/cm2 に保
ち、159.2g/hrで反応液を流出させた。反応液
を分析したところ、ホルムアルデヒドが0.28g/h
r、3−メチル−3−ブテン−1−オールが8.39g
/hr流出していることがわかった。ホルムアルデヒド
の転化率は91.8%、ホルムアルデヒド基準の不飽和
アルコールの選択率は93.0%、収率は85.4%で
あった。流出液中には4,4−ジメチル−1,3−ジオ
キサンは含まれていなかった。
応管の代わりに、300℃に加熱したステンレス製反応
管を使用し、反応液の滞留時間を20分間に代えて10
分間とする以外は、実施例8と同様にして反応を行い、
反応液を分析したところ、ホルムアルデヒドが0.33
g/hr、3−メチル−3−ブテン−1−オールが8.
34g/hr流出していることがわかった。ホルムアル
デヒドの転化率は90.4%、ホルムアルデヒド基準の
不飽和アルコールの選択率は93.8%、収率は84.
8%であった。流出液中には4,4−ジメチル−1,3
−ジオキサンは含まれていなかった。
取扱いの容易なホルマリン水溶液とを使用し、蒸留分離
の困難なアルキル−m−ジオキサンを副生せず、しかも
高収率でγ,δ−不飽和アルコ−ルを製造する方法が提
供された。
Claims (1)
- 【請求項1】 一般式(I) 【化1】 (式中、R1 、R2 およびR3 はそれぞれ水素原子また
は水酸基で置換されていても良い炭素数1から10のア
ルキル基、アルケニル基およびアリール基を表す。)で
示されるα−オレフィンとホルマリン水溶液とを反応さ
せ、一般式(II) 【化2】 (式中、R1 、R2 およびR3 は前記定義のとおりであ
る。)で示されるβ,γ−不飽和アルコールを製造する
際に、150〜350℃の温度範囲で、溶媒として炭素
数3〜10のアルコール類をホルマリン水溶液中のホル
ムアルデヒドに対し2〜20モル倍の範囲で使用するこ
とを特徴とするβ,γ−不飽和アルコールの製造方法。
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