JPH0728223U - プロペラシャフトのセンターベアリング - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 雰囲気温度の変化にかかわらず、常時ほぼ安
定した振動低減効果を得る。 【構成】 プロペラシャフト１に玉軸受６を嵌合し、玉
軸受６の外輪６ａと車体取付用のブラケット７の間に第
１ゴム弾性体８を介装する。玉軸受６の外輪６ａに第２
ゴム弾性体１３を介して質量体１２を取付け、質量体１
２と第２ゴム弾性体１３をダイナミックダンパとして作
用させる。第１ゴム弾性体８と第２ゴム弾性体１３の形
状及び材質を略同一にする。第１ゴム弾性体８と第２ゴ
ム弾性体１３の温度変化に対するばね定数や減衰係数の
変化率はほぼ等しくなるため、雰囲気温度が大きく変化
しても振動低減効果は影響を受けない。

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】

本考案は、プロペラシャフトの略中央部を自動車の車体に支持させるセンター ベアリングに関する。

【０００２】

【従来の技術】

一般に、３継手形、乃至、４継手形のプロペラシャフトは、回転に伴う中間軸 部分の振動を抑えるために、その略中央部がセンターベアリングを介して車体側 に支持されている。

【０００３】 ところで、このセンターベアリングは、振動し易いプロペラシャフトの略中央 部を車体に支持させるものであるため、振動低減のための機構を持たせて可及的 に車体側への振動入力を抑える必要がある。このため、これに対処するものとし て、従来、例えば特開平４−２１１７４５号公報に示されるようなものが案出さ れている。

【０００４】 このセンターベアリングは、玉軸受等から成るベアリング本体が車体取付用の ブラケットに第１ゴム弾性体を介して弾性的に取り付けられると共に、ベアリン グ本体の外輪に、ダイナミックダンパを構成する第２ゴム弾性体と環状の質量体 とが取り付けられ、プロペラシャフトの所定周波数域の振動をダイナミックダン パの動的吸振作用によって低減するようになっている。

【０００５】

【考案が解決しようとする課題】

しかし、上記従来のセンターベアリングにおいては、プロペラシャフトを車体 に支持させる第１ゴム弾性体と、ダイナミックダンパを構成する第２ゴム弾性体 の各形状及び材質の相違について特別な配慮をしていないため、例えば排気熱に さらされた場合や寒冷地で使用した場合のように、雰囲気温度が常用域から大き く変化すると、両ゴム弾性体のばね定数や減衰係数に差が生じ、この差が振動低 減に悪影響を及ぼすことが考えられる。

【０００６】 そこで本考案は、雰囲気温度の変化にかかわらず常時ほぼ安定した振動低減効 果を得ることのできるプロペラシャフトのセンターベアリングを提供しようとす るものである。

【０００７】

【課題を解決するための手段】

本考案は上述した課題を解決するための手段として、プロペラシャフトを回転 可能に支持するベアリング本体が第１ゴム弾性体を介して車体に支持されると共 に、前記ベアリング本体の外輪に、ダイナミックダンパを構成する第１ゴム弾性 体と質量体とが取り付けられて成るプロペラシャフトのセンターベアリングにお いて、前記第１ゴム弾性体と第２ゴム弾性体の形状及び材質を略同一にした。

【０００８】

【作用】

第１ゴム弾性体と第２ゴム弾性体の温度変化に対するばね定数や減衰係数の変 化率はほぼ等しくなる。

【０００９】

【実施例】

次に、本考案の一実施例を図面に基づいて説明する。

【００１０】 図１において、１は自動車のトランスミッションとディファレンシャルギヤの 間に設けられる３継手形、乃至、４継手形のプロペラシャフトであり、２、３は 、継手４によって互いに結合されたプロペラシャフト１の軸部材である。本考案 にかかるセンターベアリング５は、この一方の軸部材２の継手４近傍部分に装着 されている。

【００１１】 センターベアリング５は、軸部材２に嵌着されるベアリング本体としての玉軸 受６と、環状部７ａを有する車体取付用のブラケット７と、このブラケット７の 環状部７ａと玉軸受６の外輪６ａ側を連結する第１ゴム弾性体８とを備えている 。この第１ゴム弾性体８は、プロペラシャフト１を車体９に弾性的に支持させる もので、その剛性を小さくするために、径方向に沿ってＵ字状に湾曲する断面形 状としてある。そして、この第１ゴム弾性体８の径方向内側と外側の各端部には 夫々環状のリテーナ１０、１１が加硫接着されていて、内側のリテーナ１０は玉 軸受６の外輪６ａに、外側のリテーナ１１はブラケット７の環状部７ａに夫々嵌 着されている。

【００１２】 また、前記内側のリテーナ１０には、軸２に沿って継手４方向に延びる延出部 １０ａが形成されていて、この延出部１０ａの外周側に、環状の質量体１２と、 この質量体１２と玉軸受６の外輪６ａ側とを径方向変位可能に連結する第２ゴム 弾性体１３とが設けられている。この質量体１２と第２弾性体１３とは、プロペ ラシャフト１の径方向の振動を吸収するダイナミックダンパを構成するもので、 このダンパ系の固有振動数をプロペラシャフト１の吸収対象とする振動周波数に 合致させてある。ここで、第２ゴム弾性体１３は、経方向に沿ってＵ字状に湾曲 する断面形状となっており、その径方向内側の端部が前記延出部１０ａに加硫接 着されると共に、外側の端部が、質量体１２に嵌着される環状のリテーナ１４に 加硫接着されている。そして、第２ゴム弾性体１３の形状及び材質は、前記第１ ゴム弾性体８と略同一に設定されている。

【００１３】 尚、このセンターベアリング５は、玉軸受６をプロペラシャフト１の軸部材２ に圧入した後、継手４と共にナット１５によって共締め固定されている。

【００１４】 このセンターベアリング５は以上のような構成であるため、質量体１２と第２ ゴム弾性体１３がダイナミックダンパとして働き、その働きによってプロペラシ ャフト１の所定周波数域の振動を吸収する。このため、プロペラシャフト１の前 記周波数域の振動は極めて小さく抑えられることとなり、車体９側への振動伝達 は、さらにこの後第２ゴム弾性体８によって確実に抑えられる。

【００１５】 ところで、このセンターベアリング５の場合、前記構成で述べたように第２ゴ ム弾性体１３の形状及び材質を第１ゴム弾性体８と略同一に設定しているため、 両ゴム弾性体１３，８の温度変化に対するばね定数や減衰係数の変化率はほぼ等 しい。このため、雰囲気温度が変化しても両ゴム弾性体１３，８のばね定数や減 衰係数にほとんど差が生じることがなく、例えば、排気熱にさらされた場合や寒 冷地で使用した場合のように、雰囲気温度が大きく変化しても振動低減特性が悪 化する心配はない。尚、図２は、雰囲気温度が常用域から大きく変化した場合の 、プロペラシャフトの起振力−回転数特性を示すもので、図中実線は本考案にか かるセンターベアリングを用いた場合の特性を示し、破線は従来のセンターベア リングを用いた場合の特性を示す。この図からも明らかなように本考案にかかる センターベアリングを用いた場合には、雰囲気温度の大きな変化にかかわらず所 定回転数域（振動周波数域）における振動レベルを確実に低減することができる 。

【００１６】

【考案の効果】

以上のように本考案は、プロペラシャフトを車体に支持させる第１ゴム弾性体 と、ダイナミックダンパを構成する第２ゴム弾性体の各形状及び材質を略同一に して、雰囲気温度が変化しても両ゴム弾性体のばね定数や減衰係数に差が生じな いようにしたため、雰囲気温度の変化にかかわらず常時ほぼ安定した振動低減効 果を得ることができる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本考案の一実施例を示す半断面図。

【図２】プロペラシャフトの起振力−回転数特性を示す
グラフ。

【符号の説明】

１…プロペラシャフト、 ５…センターベアリング、 ６…玉軸受（ベアリング本体）、 ６ａ…外輪、 ８…第１ゴム弾性体、 １２…質量体、 １３…第２ゴム弾性体。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】 プロペラシャフトを回転可能に支持する
   ベアリング本体が第１ゴム弾性体を介して車体に支持さ
   れると共に、前記ベアリング本体の外輪に、ダイナミッ
   クダンパを構成する第１ゴム弾性体と質量体とが取り付
   けられて成るプロペラシャフトのセンターベアリングに
   おいて、前記第１ゴム弾性体と第２ゴム弾性体の形状及
   び材質を略同一にしたことを特徴とするプロペラシャフ
   トのセンターベアリング。