JPH07279457A - サッカースタジアムの観覧施設 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】観覧施設の収容人数を変更することができるよ
うにし、サッカーの公式戦や国際試合などを開催する際
にはより多くの観客を収容できるようにする。 【構成】段床２の各段部３に、段部３の長手方向に沿っ
てレール４を敷設して、そのレール４に座席５を移動可
能に取り付け、前記段部３に、前記レール４に移動可能
にして取り付けることのできる増設用の座席５を格納し
た収納部を設けた。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は、サッカー専用のサッカ
ースタジアムにおける観覧施設に関するものである。

【０００２】

【従来の技術とその課題】サッカー専用として使用され
るサッカースタジアムにおいては、サッカーコートが構
成された方形のサッカーグランドの各辺に沿って観覧施
設を配置するレイアウトが採用されることが多い。そし
てこのサッカースタジアムにあっては、多目的スタジア
ムと異なる点や収益性などの面から収容人数を特定した
状態で設計が行われている。そして、このようにスタジ
アムに対してある程度収容人数が特定できるような場
合、観覧施設においては座席それぞれの左右にある程度
の余裕を持つ配置で固定座席が配列されていた。ところ
で昨今のサッカー人気の盛り上がりにより公式戦や国際
試合などにおいては確実に観客数を多く見込めるように
なってきている。しかし、上述したように観覧施設の座
席が固定となっているため、設定された収容人数以上の
客員を受け入れることができなくなるという問題があっ
た。

【０００３】そこで本発明は上記事情に鑑み、観覧施設
の収容人数を変更することができるようにすることを課
題とし、サッカーの公式戦や国際試合などを開催する際
には、より多くの観客を収容することを目的とする。

【０００４】

【課題を解決するための手段】本発明は上記課題を考慮
してなされたものであり、その第一の発明は、サッカー
コートの周辺に配置されてサッカーコート側に向けて段
階状に下り傾斜している段床の観覧施設において、前記
段床の各段部に、該段部の長手方向に沿ってレールを敷
設して、レールに常用座席を移動可能に取り付け、前記
段部に、前記レールに移動可能にして取り付けることの
できる増設用座席を格納した収納部を設けたことを特徴
とするサッカースタジアムの観覧施設である。また、第
二の発明は、サッカーコートの周辺に配置されてサッカ
ーコート側に向けて段階状に下り傾斜している段床の観
覧施設において、前記段床は、常用座席が取り付けられ
た固定段部と、前記固定段部の長手方向と平行な中心軸
周りに回転可能にして天地が反転できる通路拡幅部と
が、段床の傾斜方向に沿って交互に配設されてなり、前
記通路拡幅部の下面に、折畳み可能な増設用座席が取り
付けられていることを特徴とするサッカースタジアムの
観覧施設である。そして、第三の発明は、サッカーコー
トの周辺に配置されてサッカーコート側に向けて段階状
に下り傾斜している段床の観覧施設において、段床にお
けるサッカーコートのフィールドラインの延長線上より
外方の領域に、撤去可能な仮設ステージが設けられてい
ることを特徴とするサッカースタジアムの観覧施設であ
り、これららの発明を提供して、上記課題を解消するも
のである。

【０００５】

【作用】第一の発明において、座席がレールに沿って移
動可能であることから、必要に応じて座席を移動させて
詰め、空いたレール上に増設用座席を設置することによ
り、観覧施設の収容人数が多くなる。第二の発明におい
て、通常時には固定段部前の通路拡幅部が座席前をより
簡単に通行できる通路となる。そして前記通路拡幅部を
回転させると、下面に設けられた折畳み可能な増設用座
席が上方に表れ、この増設用座席を使用することによっ
て、収容人数が多くなる。第三の発明において、通常時
には観覧施設の両翼が仮設ステージが設けられていて、
仮設ステージ上を各種店舗としてや応援ステージとして
利用でき、その仮設ステージ間が客席部分として構成さ
れる。そして、前記仮設ステージを撤去すれば、座席数
が増えて多くの観客を収容することができるようにな
る。

【０００６】以下の表１は上記各発明における通常時の
座席配列パターンと増設時の座席配設パターンの比較を
示している。表のＡに示すように、座席を移動可能とし
て増設座席も使用できるようにしたものにおいて、通常
時に対して増設時には、段部の長手方向に座席を詰めた
状態とすることができる。表のＢに示すように、通路拡
幅部を有してその下面に座席を備えるようにしたものに
おいて、通常時に対して増設時には、サッカーコート方
向（段部の長手方向と直交する方向）に座席が詰めた状
態とすることができる。そして表のＣに示すように、仮
設ステージを備えるものでは、通常時に対して増設時に
は、その仮設ステージが無くなるため段部の長手方向に
座席が増えるようになる。

【０００７】

【表１】

【０００８】

【実施例】つぎに本発明を以下に示す実施例に基づいて
詳細に説明する。図１は本発明が実施されるサッカース
タジアムａの構成を上方から見た状態で概略的に示すも
のであり、サッカーコートｂが構成されたサッカーグラ
ンドｃの周りを囲むように観覧施設１が設けられてい
て、サッカーグランドｃの辺に沿う区画領域がそれぞれ
メインスタンドｄ、バックスタンドｅ、ホームスタンド
ｆ、アウェースタンドｇとされている。また、後述する
ように、コーナー部分ｈは仮設のレストランなどを設け
るスペースとして利用されている。

【０００９】図２と図３とは上記観覧施設１中、メイン
スタンドなどとして設定された区画領域に実施される第
一の実施例を示している。図２の（イ）（ニ）に示すよ
うに、この観覧施設１では、サッカーコート側に向けて
段階状に下り傾斜している段床２の各段部３に、二本の
パイプ４ａとその間のプレート４ｂとからなるレール４
が支脚４ｃに支持された状態で前記段部３の長手方向に
亘って敷設されている（なお、説明を容易にするため、
図２においては一つの段部のみが例示されているもので
あって、他の段部も同様の構成を有している）。そして
前記レール４には、折畳みできる座席５が移動可能にし
て取り付けられており、座席５の座部５ａの裏面と前記
プレート４ｂに開口された透孔４ｄとを係合させること
により座席５の固定が行えるように設けられている。ま
た座席５の座部５ａと前記透孔４ｄとは係脱可能であ
り、前記の係合を解除することによって座席５を移動さ
せることができる。例えば、通常時の利用形態に応じて
前記透孔４ｄの間隔が設定され、これに取り付けられた
座席５においては左右にある程度の余裕をもつ配列パタ
ーンとなる。

【００１０】前記段部３の内部には、折り畳まれた座席
５を複数体格納する収納部６が、段部３の外面側を開閉
口として設けられている。すなわち、観覧施設１の収容
客数を多くするためには、上述したように既にレール４
上にある複数の座席５を、図３の（イ）に示すように、
任意の部分から左右に移動させ、その空いたレール４
に、図３の（ロ）に示すように前記収納部６から引き出
した座席５を開いて取り付けるようにする。このように
座席５を密に並べた配列パターンに応じて上記プレート
４ｂに透孔を設けておけば良く、そのようにすれば座席
５それぞれの取付状態が安定する。なお、増設した状態
から通常時に戻す場合は、上記の逆の手順となり、増設
用座席を取り外してこれを折畳み、収納部６に格納する
とともに、レール上の座席を一定の間隔で配置固定すれ
ばよい。

【００１１】座席数の増設割合は観覧施設１内で一様で
ある必要はなく、粗密となるような配列パターンを採る
ことも可能であり、通常時の配列パターンより大きな間
隔をもって座席が配列できるようにすることもかのうで
ある。このような段部の長手方向に増設調整できるよう
にした構成は、上記メインスタンドｄで採用することが
良く、全体的な増設を行ってもＶＩＰ、招待客、年間契
約者などの座席スペースに余裕のある領域を確保し易く
なる。

【００１２】図４から図７は第二の実施例を示してい
る。この第二の実施例において段床２は常用の座席７を
有する固定段部８と通路拡幅部９とが段床２の傾斜方向
に沿って交互に配設されてなるものである。前記通路拡
幅部９は図４の（イ）と図５の（イ）に示すように、固
定段部８の座席設置面に並ぶ通路板１０とこの通路板１
０に一体となった前板１１との横断面略Ｌ字型のもので
あり、そして固定段部８の長手方向と平行に渡された回
転軸１２に回転可能にして支持されている。図示されて
はいないが、前記回転軸１２自体は観覧施設１の躯体側
に取り付けられ、通路拡幅部９は前記回転軸１２に連結
手段を介して繋がっている。通常時、通路拡幅部９は前
述したように固定段部８に連なり、この固定段部８にお
ける座席前の通路部分を広げている。

【００１３】そして、前記通路拡幅部９は回転により天
地を反転させることができるように設けられており、そ
の回転によって前板１１を後方の固定段部８に繋がり、
通路板１０が裏面を上方に表した状態で前方の固定段部
８に繋るようになる。さらに通路拡幅部９は、通路板１
０の裏面に増設用座席１３が折り込まれており、前記反
転によって増設用座席１３が上方に位置する（図４の
（ロ）と図５の（ロ）参照）。増設用座席１３は図６に
示すように、スライドレールを組み合わせた支脚１３ａ
と折畳み座体１３ｂとからなり、使用時には折り畳まれ
ているその増設用座席１３を立て起こしながら支脚１３
ａを引き出して立て、座体１３ｂを開くようにすれば良
い。これによって図４の（ハ）と図５の（ハ）に示すよ
うに、固定段部８の間に増設用座席１３が配置されるこ
とになり、図７の（イ）（ロ）で対比できるように、こ
の第二の実施例による観覧施設１においても収容客数を
変えることができる。なお、この状態から格納する場合
には前述の逆の手順を経て増設用座席１３を折畳み（折
り畳まれた状態で通路板に対して固定できるものであ
る）、通路拡幅部９を回転させればよい。

【００１４】この通路拡幅部９を設ける構成は、その部
分をパフォーマンスゾーン（踊り、応援など）として適
しているため、上記ホームスタンドｆやアウェースタン
ドｇに採用すれば効果的なものとなる。

【００１５】図８は第三の実施例を示すものである。こ
の実施例では、フィールドラインｉの延長線上からサッ
カーグランドｃの辺方向の外方側の領域、即ちコーナー
部分ｈに、そこに設けられた座席を覆うようにして撤去
可能な仮設ステージ１４設けられている（図８の（イ）
参照）。この仮設ステージ１４は、サポーターのパフォ
ーマンスゾーンとして応援や踊りが行え、また飲料や食
品などに係わる各種店舗を設けることができる。通常時
においてはこのように仮設ステージ１４が設けられてい
て、他の観覧施設側に観客が収容される。そして観客を
通常時より多く収容させる際には前記仮設ステージ１４
を撤去すればよく（勿論、仮設ステージ上の店舗を先に
取り除く）、図８の（ロ）に示すように座席が使用でき
るようになる。フィールドラインより外側となるコーナ
ー部分の座席からは、サッカーを観戦するにあったては
一般的に観にくいとされ、これに対応するためにこの実
施例が有効に採用できる。

【００１６】

【発明の効果】以上説明したように、本発明は、サッカ
ーコートの周辺に配置されてサッカーコート側に向けて
段階状に下り傾斜している段床の観覧施設において、前
記段床の各段部に、該段部の長手方向に沿ってレールを
敷設して、レールに常用座席を移動可能に取り付け、前
記段部に、前記レールに移動可能にして取り付けること
のできる増設用座席を格納した収納部を設けたことを特
徴とするものである。また、もう一つの発明において、
前記段床は、常用座席が取り付けられた固定段部と、前
記固定段部の長手方向と平行な中心軸周りに回転可能に
して天地が反転できる通路拡幅部とが、段床の傾斜方向
に沿って交互に配設されてなり、前記通路拡幅部の下面
に、折畳み可能な増設用座席が取り付けられていること
を特徴とするものである。さらにもう一つの発明は、前
記段床におけるサッカーコートのフィールドラインの延
長線上より外方の領域に、撤去可能な仮設ステージが設
けられていることを特徴とするものである。このように
通常時は、左右に余裕を持たせて座席を配列したり、通
路拡幅部を固定段部の間で通路を広げた部分として形成
したり、仮設ステージを設けることで観客を収容できる
とともに、より多くの観客を収容する際には、座席を密
に配列したり、固定段部の間の通路拡幅部を反転させて
増設用座席を表出させたり、段床上の仮設ステージを撤
去することで対応でき、必要に応じた座席数の増減が行
えるという優れた効果を奏するものである。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明を実施するサッカースタジアムの上方か
ら見た状態を概略的に示す説明図である。

【図２】第一の実施例を示すもので、（イ）は座席が配
置された段部と座席を格納した収納部とを示す説明図、
（ロ）は収納部から引き出された折畳み状態の座席を示
す説明図、（ハ）は座席を開いた状態を示す説明図、
（ニ）は座席とレールとを示す説明図である。

【図３】第一の実施例における座席の配列パターンを示
すもので、（イ）は通常時の配列パターンを示す説明
図、（ロ）は増設時の配列パターンを示す説明図であ
る。

【図４】第二の実施例を示すもので、（イ）は通路拡幅
部が固定段部前の通路として形成されている状態を示す
説明図、（ロ）は通路拡幅部を反転させた状態を示す説
明図、（ハ）は反転した通路拡幅部の座席を立ち上げた
増設状態を示す説明図である。

【図５】同じく第二の実施例を示すもので、（イ）は通
路拡幅部が固定段部前の通路として形成されている状態
を示す説明図、（ロ）は通路拡幅部を反転させた状態を
示す説明図、（ハ）は反転した通路拡幅部の座席を立ち
上げた増設状態を示す説明図である。

【図６】第二の実施例における通路拡幅部に設けられた
座席を示すもので、（イ）は立ち起こされた状態を示す
説明図、（ロ）は折り倒された状態を示す説明図であ
る。

【図７】第二の実施例における座席の増減を示すもの
で、（イ）は通常時を示す説明図、（ロ）は増設時を示
す説明図である。

【図８】第三の実施例を示すもので、（イ）は通常時に
おける仮設ステージを設置した観覧施設を示す説明図、
（ロ）は仮設ステージを撤去した観覧施設を示す説明図
である。

【符号の説明】

１…観覧施設 ２…段床 ３…段部 ４…レール ５…座席 ６…収納部 ８…固定段部 ９…通路拡幅部 １３…増設用座席 １４…仮設ステージ ａ…サッカースタジアム

───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 西出 智春 東京都港区芝浦一丁目２番３号 清水建設 株式会社内 (72)発明者 田中 隆雄 東京都港区芝浦一丁目２番３号 清水建設 株式会社内

Claims (3)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】サッカーコートの周辺に配置されてサッカ
   ーコート側に向けて段階状に下り傾斜している段床の観
   覧施設において、 前記段床の各段部に、該段部の長手方向に沿ってレール
   を敷設して、レールに常用座席を移動可能に取り付け、 前記段部に、前記レールに移動可能にして取り付けるこ
   とのできる増設用座席を格納した収納部を設けたことを
   特徴とするサッカースタジアムの観覧施設。
2. 【請求項２】サッカーコートの周辺に配置されてサッカ
   ーコート側に向けて段階状に下り傾斜している段床の観
   覧施設において、 前記段床は、常用座席が取り付けられた固定段部と、前
   記固定段部の長手方向と平行な中心軸周りに回転可能に
   して天地が反転できる通路拡幅部とが、段床の傾斜方向
   に沿って交互に配設されてなり、 前記通路拡幅部の下面に、折畳み可能な増設用座席が取
   り付けられていることを特徴とするサッカースタジアム
   の観覧施設。
3. 【請求項３】サッカーコートの周辺に配置されてサッカ
   ーコート側に向けて段階状に下り傾斜している段床の観
   覧施設において、 段床におけるサッカーコートのフィールドラインの延長
   線上より外方の領域に、撤去可能な仮設ステージが設け
   られていることを特徴とするサッカースタジアムの観覧
   施設。