JPH07278678A - 加工性に優れる非時効性缶用鋼板の製造方法 - Google Patents

加工性に優れる非時効性缶用鋼板の製造方法

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JPH07278678A
JPH07278678A JP7028089A JP2808995A JPH07278678A JP H07278678 A JPH07278678 A JP H07278678A JP 7028089 A JP7028089 A JP 7028089A JP 2808995 A JP2808995 A JP 2808995A JP H07278678 A JPH07278678 A JP H07278678A
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steel sheet
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Akio Tosaka
章男 登坂
Chikako Fujinaga
千香子 藤長
Toshiyuki Kato
俊之 加藤
Satoru Sato
覚 佐藤
Hideo Kukuminato
英雄 久々湊
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 効率のよい連続焼鈍法を用い、加工性に優れ
る非時効性缶用鋼板を得る。 【構成】 C:0.0015〜0.0100%、Si:
0.20%以下、Mn:0.10〜1.20%、Al:
0.02〜0.10%、P:0.005〜0.040
%、S:0.015%以下およびN:0.005%以下
を含有する極低炭素鋼スラブを素材として熱間圧延し、
その後酸洗を経て圧下率:70%以上の冷間圧延後、連
続焼鈍炉で雰囲気中の水素濃度:3%以上、露点:−2
0℃以上として730℃以上の再結晶焼鈍を施すことに
より、鋼中の残存C量を0.0015%未満とする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】この発明は、薄物の缶用鋼板の製
造方法に関する。中でも、特に優れた加工性並びに優れ
た非時効性が要求される缶用鋼板の効率的製造方法を提
案するものである。
【0002】
【従来の技術】缶用鋼板は通常缶に加工される前に塗装
処理が施されるが、この場合、鋼板中に固溶Cが多く存
在すると、固溶Cが可動転移を固着する。このためこの
缶用鋼板に絞り加工を施すと、ストレッチャーストレイ
ンが発生して外観不良を起すとともに、伸びが減少して
破断が発生したり、降伏点が上昇して形状不良などを引
起す。また、曲げ加工程度の軽度の加工を行っても、腰
折れ、しわおよびフルーティングと呼ばれる外観不良が
発生し、さらに降伏点が上昇してスプリングバック量の
増大による形状不良などが生じる。これらの問題点を解
決するために、非時効性を有する加工性の良好な鋼板の
開発が進められてきた。
【0003】例えば、低炭素アルミキルド鋼を素材とし
て冷却速度の遅い箱焼鈍(バッチ焼鈍)によって、鋼中
の固溶Cを低減させる方法がある。しかしこの方法は製
造効率が悪い上に、表面性状が劣る、鋼板の形状が劣る
などのプロセスに起因する欠点が生じる。さらにこの方
法で製造された鋼板の平均ランクフォード値(以下平均
r値と記す)は通常最大で1.3〜1.4程度であり、
最近の缶用鋼板の薄肉化の要求に対しては、この程度の
平均r値では十分な加工性を有しているとは言えない。
【0004】一方、極低炭素鋼を素材として連続焼鈍に
より加工性の良好な非時効性の鋼板を製造する試みがな
されてきた。例えば、特公昭50−31531号公報
(連続焼鈍による非時効性超絞り用鋼板の製造方法)に
は、鋼中の全C量,N量に対して化学量論的に見合う以
上の多量のTi,NbあるいはZr,Taなどの炭窒化
物生成成分を添加し、固溶状態のC及びNを化合物とし
て固定安定化する方法が提案開示されている。しかし、
これらの成分のうち、特にTi,Zr,Taは化学的に
非常に活性な成分であるため、鋼板表面の性状を大きく
劣化させ、耐食性と美麗性が要求される缶用鋼板には適
さない。また多量のNb添加は、最終的に大きな材質の
変動が鋼帯コイルの幅および長手方向で発生する。さら
に再結晶温度が大きく上昇して焼鈍工程に支障をきた
す。加えて、これらの成分は一般的に高価であり、多量
の添加は合金成分自体のコストアップの要因になる。
【0005】その他の解決方法として鋼板のC量を大幅
に低減させる方法、例えば固溶C量とN量との合計を
0.0010%以下に制御する方法が考えられる。しか
し、これらの高純度鋼を工業的に溶製することは今日の
製鋼技術を持ってしても容易ではない。特に、連続鋳造
の凝固過程で周囲の物質よりCを吸収するなどの現象を
制御できないことが大きな阻害要因の一つとなってい
る。また仮りに、この条件を満足する超高純度鋼ができ
たとしてもさらに以下のような問題点がある。 a)変態点が大幅に上昇し、熱間圧延工程で組織的に均
一な熱延コイルを製造するのが困難である。 b)鋼の再結晶および粒成長が極めて容易であり、組織
が粗大化するため絞り加工などの際にいわゆる「肌あ
れ」を生じ、外観を害する恐れが多い。 c)熱間圧延等製造段階での0.0010%前後の固溶
C,N量は比較的材質の変動が大きくなる領域であり、
わずか2〜3ppm の成分変動であっても大きく材質が変
動し、好ましくない。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】この発明は、前記した
問題点を有利に解決し、効率の良い連続焼鈍法により優
れる加工性と非時効性とを併せそなえた缶用薄物鋼板の
製造方法を提案することを目的とする。なお、当然のこ
とであるが缶用鋼板として経済性に優れ、加工性(機械
的特性)およびめっき性等のすべての要求特性を満たす
ことがその必須要件である。
【0007】
【課題を解決するための手段】発明者らは工業生産にお
いて高い生産性を有する連続焼鈍法により、加工特性に
優れる非時効性製缶用鋼板を開発すべく、種々の成分の
鋼を種々の製造条件で試作製造し、その缶用鋼板として
の適用性を調査することにより、要求特性を満足する鋼
板を安定して製造できる方法を見出したものである。す
なわち、この発明の要旨は以下の通りである。
【0008】 C :0.0015mass%以上、
0.0100mass%以下、Si:0.20mass%以下、
Mn:0.10mass%以上、1.20mass%以下、A
l:0.02mass%以上、0.10mass%以下、P :
0.005mass%以上、0.040mass%以下、S :
0.015mass%以下およびN :0.005mass%以
下を含有し、残部は鉄および不可避的不純物の組成にな
る極低炭素鋼スラブを素材として熱間圧延し、その後酸
洗を経て70%以上の圧下率の冷間圧延を行い、つい
で、連続焼鈍炉で、雰囲気中の水素濃度を3%以上、露
点を−20℃以上として温度:730℃以上の再結晶焼
鈍を施すことにより鋼中の残存C量を0.0015mass
%未満とする加工性に優れる非時効性缶用鋼板の製造方
法(第1発明)。
【0009】 第1発明における残部成分の鉄と置換
してNb:0.003mass%以上、0.015mass%以
下、Ti:0.003mass%以上、0.040mass%以
下およびB :0.005mass%以上、0.0020ma
ss%以下のうちから選んだ1種または2種以上を含有す
る加工性に優れる非時効性缶用鋼板の製造方法(第2発
明)。
【0010】 第1または第2発明における冷間圧延
が、板厚:0.3mm以下の冷延板とする加工性に優れる
非時効性缶用鋼板の製造方法(第3発明)。
【0011】 第1,第2または第3発明に記載の方
法で得た鋼板に2%から40%の範囲の圧下率で2次冷
間圧延を付与する加工性に優れる非時効性缶用鋼板の製
造方法(第4発明)。
【0012】
【作用】この発明の作用について以下に述べる。この発
明は加工性および非時効性を改善すべく、最終的には鋼
中に残存するC量を0.0015mass%未満とするが、
製造工程途中での困難さを排除するため、スラブ段階お
よび熱間圧延段階でのC量は比較的容易に達成できる
0.0015〜0.0100mass%として、最後の焼鈍
段階で脱炭反応を利用し、C量を目標とする0.001
5mass%未満に制御することを骨子とするものである。
これらの材質制御を工業レベルで安定して達成可能なも
のとするためには、合金成分量の調整が重要であり、さ
らには焼鈍条件、特に焼鈍温度と焼鈍雰囲気の制御も重
要である。
【0013】まず、鋼スラブ素材の化学成分組成の限定
理由について述べる。 C;0.0015〜0.0100mass% Cは、伸び、平均r値の向上の観点から低い方が望まし
い。しかしスラブ段階でCの含有量が0.0015mass
%未満の場合は、粒径の著しい粗大化により、加工後の
最終段階の製品の状態でオレンジピール現象が顕在化し
トラブルとなる危険性が高い。さらに熱間圧延時の変態
点は鋼中のC量の影響を大きく受け、変態点が大幅に上
昇するためオーストナイト単相域で仕上げ圧延を終える
ことができず、均一で優れた加工性が要求される缶用鋼
板の素材としては不適切なものとなる。一方、Cが0.
0100mass%を超えた場合は、冷間圧延後の短時間の
焼鈍では脱炭反応が十分に進行せず、目標とする非時効
性を得ることができない。なお、実際に工業的に生産す
る場合はラインの長さに制約があり、焼鈍時間をむやみ
に長くとることができないため脱炭量も限られる。この
ためC量は0.0050mass%以下が望ましく、特に平
均r値の向上の観点からこの範囲が好適である。したが
って、素材とする鋼スラブのC含有量は0.0015ma
ss%以上、0.0100mass%以下とするが、好ましく
は0.0015mass%以上、0.0050mass%以下で
ある。
【0014】Si;0.20mass%以下 Siは、脱炭反応を促進する効果があるのでできるだけ
多量に用いたい成分であるが、含有量が多過ぎると表面
処理上問題が生ずるためその上限が規制される。また、
Siは鋼の変態点を上昇させるので、含有量の低減によ
り、熱間圧延時の仕上げ圧延条件の規制が緩和される傾
向がある。従って表面処理鋼板とくに缶用鋼板として、
表面処理上問題のないレベルの上限として、その含有量
は0.20mass%とするが、望ましくは0.10mass%
以下である。
【0015】Mn;0.10〜1.20mass% Mnは、鋼の赤熱脆性を防止するために含有S量に応じ
て含有させるが、このため少なくとも0.10mass%以
上を必要とする。さらに、Mnを含有させることによ
り、変態点が低下するため熱間仕上げ圧延における圧延
条件の規制が緩和され有利である。またMn量を適正化
することにより鋼板の固溶強化量を制御すること、鋼板
組織を均一および微細化することが可能になる。しか
し、1.20mass%を超えると、詳細な機構は不明であ
るが、この発明で狙う連続焼鈍時の脱炭反応が遅延する
ことが明らかになった。したがって、Mn含有量は0.
10mass%以上、1.20mass%以下とするが、0.5
0mass%以下とすることでさらに高効率の脱炭を行うこ
とができ、より良好な加工性が確保できることから、好
ましくは0.10mass%以上、0.50mass%以下がよ
い。
【0016】Al;0.020〜0.100mass% Alは、鋼中のNを固定および安定化する重要な成分で
あり、含有量0.020mass%以上が非時効性の低減の
観点から必要である。しかし、0.100mass%を超え
て含有させた場合は、成分コストが上昇するだけでな
く、表面欠陥を生じる危険性が増大する。さらに鋼スラ
ブの段階での割れ発生の危険性も増大する。したがっ
て、Al含有量は0.020mass%以上、0.100ma
ss%以下とするが、安定してスラブの割れを防ぐには、
望ましくは0.040mass%以下とすることが好まし
い。
【0017】P;0.005〜0.040mass% PはSiと同様に固溶強化能が大きく、硬質缶用鋼板を
製造する際にはできるだけ多量に用いたい成分である
が、多量に含有させた場合は耐食性の劣化、材料の脆化
などの問題が顕著となるばかりでなく、再結晶温度の上
昇にもつながり望ましくない。Pを添加することによる
強化効果が現われるのは0.005mass%以上の含有量
であり、上記の諸問題が顕在化するのは0.040mass
%超えである。したがって、Pの含有量は0.005ma
ss%以上、0.040mass%以下とする。しかし、さら
に良好な耐食性、高い加工性を得るにはPの含有量は
0.010mass%以下がよい。
【0018】S;0.015mass%以下 Sは、この発明では、除去したい成分である。S量を低
減することにより鋼中の析出物が減少し加工性が向上す
る。また、詳細な機構は不明であるがS量を低減するこ
とは、この発明の主眼である連続焼鈍工程での脱炭反応
の促進において有利であり、このような効果は0.01
5mass%以下とすることで得られるが、望ましくは0.
007mass%以下とすることがよい。したがって、その
含有量は0.015mass%以下とするが、好ましくは
0.007mass%以下である。
【0019】N;0.0050mass%以下 Nは、非時効性の低減の観点から上限を規定する。すな
わち、Nが多量に鋼中に含有すると添加するAlによる
Nの固定および安定化効果が十分に働かず、最終製品の
段階で臨界量以上の固溶Nが残存する。このため、例え
ば3ピース缶の製缶時のフルーティングや、軽加工時の
ストレッチャーストレインの発生などの不具合が生じ
る。また、鋼中のN含有量が多い場合は、それに見合っ
てAl添加量を増加させることが非時効特性の発現には
有効であるが、N含有量が0.005mass%を超える
と、延性の劣化が顕著となるばかりでなく、鋼スラブ製
造段階での割れ発生の危険性が増大する。したがって、
Nの含有量は0.0050mass%以下とする。なお、平
均r値等に代表される加工性をさらに向上させるには、
その含有量は0.0030mass%以下とすることが望ま
しい。
【0020】Nb;0.003〜0.015mass%、T
i;0.003〜0.040mass%、B;0.0005
〜0.0020mass% Nb,TiおよびBは、非時効性、溶接性の改善及び肌
あれの防止などに有効な成分である。NbおよびTiを
それぞれ0.003mass%以上、Bを0.0005mass
%以上含有させることで、詳細な機構などは不明である
が、この発明のように非常にC含有量が低い領域におい
ても、鋼板の非時効性を安定して制御することができ
る。すなわち、単純にC量を0.0015mass%未満に
低減しただけでは得られない、優れた非時効特性を得る
ことができる。さらに、同時に鋼板の面内異方性を改善
させ、加えてこのように含有量が微量でも溶接性の改善
に効果がある。また、同時に結晶粒の細粒化に対しても
有効であり、成形時の肌あれの防止などの観点からもこ
れら成分の添加が望ましい。特にこの発明においては、
素材のC量のレベルが低いため各製造工程で結晶粒径の
粗大化の恐れがあり、最終製品においてもこれが持ち越
された場合は肌あれの危険性が大きく、その肌あれ防止
という点でも極めて優れた効果を発揮する。一方、Nb
を0.015mass%、Tiを0.040mass%およびB
を0.0020mass%をそれぞれ超えて含有させた場合
は、再結晶温度が上昇して冷間圧延後の焼鈍工程が困難
になるとともに、この発明で重要な要件である連続焼鈍
工程における脱炭反応が阻害されるという弊害を起こ
す。加えて、合金成分のコストアップも考慮すべき問題
である。したがって、Nb含有量は0.003mass%以
上、0.015mass%以下、Ti含有量は0.003ma
ss%以上、0.040mass%以下およびB含有量は0.
0005mass%以上、0.0020mass%以下がよい。
また、鋼板の延性の改善を特に重視する場合は、Nb含
有量の上限を0.010mass%、Ti含有量の上限を
0.020mass%およびB含有量の上限を0.0010
mass%以下とすることが望ましい。
【0021】次に製造方法について述べる。熱間圧延の
製造条件については特に限定しないが、以下の方法で行
うのが望ましい。仕上げ圧延温度は冷間圧延および焼鈍
後の平均r値に代表される加工性を良好にするためにA
3 変態点以上とすることが重要である。しかし、10
00℃を超えると鋼板の組織が粗大化しやすく、加工性
が劣化する傾向を示すので、仕上げ圧延温度はAr3
態点以上1000℃以下が望ましい。ただし、用途によ
っては(Ar3 −50℃)程度まで許容できる。熱間圧
延終了から巻取り開始までの冷却速度は30℃/s以上
とすることがよい。かくすることによって、鋼板の組織
をより微細化できるため得られる最終製品の加工性が良
好となる。また熱間圧延終了後はできるだけ速やかに冷
却を開始することが鋼板の組織の微細化に有利であり、
おおむね0.3秒以内での冷却開始が望ましい。
【0022】巻取り温度は450℃以上、680℃以下
が望ましい。巻取り温度が450℃未満であると、冷却
の不均一によって板形状に乱れを生じて、次工程の酸洗
および冷間圧延に支障をきたす。一方、680℃を超え
る場合はスケール厚みが増大して酸洗に時間がかかるば
かりでなく、母板の組織が粗大化することから最終的な
鋼板の加工性を悪くする。また、680℃超えの巻取り
温度とした場合は巻取ったのちの冷却速度の相違から鋼
板幅方向での材質の変動が顕在化するため好ましくな
い。
【0023】以下、この発明の製造方法の限定理由につ
いて述べる。 冷間圧延圧下率;70%以上 酸洗後の冷間圧延圧下率を70%以上とする。これ未満
では十分な深絞り性が得られないため下限を70%とし
たが望ましくは80%以上がよい。詳細な機構は不明で
あるが、冷間圧延圧下率を70%以上とすることによっ
て連続焼鈍時の脱炭反応が促進される傾向にある。
【0024】焼鈍温度;730℃以上 焼鈍温度は再結晶が完了する最低限の温度または脱炭反
応が顕著になる下限の温度として730℃を規定する。
なお、焼鈍温度の上限は特に規定しないが連続焼鈍時に
鋼帯の破断およびヒートバックルなどの欠陥を生じない
操業上の上限温度がこれに相当し、これらの問題が無け
れば、鋼の相としてオーステナイトが出現する温度がそ
の上限となる。なお、焼鈍時間は材質の安定性をはかる
ために20秒以上の均熱が望ましい。20秒以上の均熱
を行うことにより、この発明の必須要件である鋼板の脱
炭が十分に達成される。
【0025】焼鈍雰囲気;水素濃度:3%以上、露点:
−20℃以上 焼鈍雰囲気はこの発明において最も重要な要件である
が、水素濃度を3%以上とし、露点を−20℃以上とす
る。このように露点を高く保つことにより、短時間の均
熱で脱炭反応を行わせることができる。また、焼鈍温度
を730℃以上とし、高い冷間圧延圧下率で歪みを加え
た極低炭素鋼と組み合わされて始めて、脱炭による著し
い材質改善(特に、非時効性)が達成される。なお、水
素濃度および露点の上限は特に規定しないが、以下の値
が好ましい。水素濃度は10%を超えると危険であると
ともに、効果も飽和状態に近くなってコストが高くなる
ので10%以下が好ましい。露点も0℃を超えると鋼板
表面の酸化や不純物成分の表面濃化が顕著になり、あと
工程で再び酸洗処理が必要になるため好ましくない。
【0026】次いで、上記のごとく連続焼鈍炉中で脱炭
することによって得られた鋼の残存C量および冷間圧延
の連続焼鈍時の板厚の制限理由について述べる。 残存C量;0.0015mass%未満 残存C量は0.0015mass%未満に低減しないと缶用
鋼板として適用した場合にフルーティングやストレッチ
ャーストレインの発生などの不具合を生じる。特に厳格
な用途では残存C量は0.0010mass%以下にするこ
とが望ましい。
【0027】冷間圧延後の連続焼鈍時の板厚(冷延板の
板厚);0.30mm以下 冷間圧延後の連続焼鈍時の板厚は0.30mm以下とす
る。この発明における連続焼鈍工程での脱炭反応はいわ
ゆる界面反応を伴うため、板厚がより薄いほど鋼板の全
体積に占める表面の割合が増加し、機械的性質におよぼ
す脱炭の影響が顕著になるものと考えられる。ここで、
冷間圧延の連続焼鈍時の板厚に関する実施例について述
べる。0.004mass%C鋼(他の成分はこの発明の範
囲内)を通常の熱間圧延および酸洗後、75%の圧下率
で板厚を種々変化させて圧延し、次いで連続焼鈍炉で水
素濃度を3%、露点を−7℃の雰囲気で均熱温度を75
0℃、均熱時間を50秒間の再結晶焼鈍を施した時の鋼
板の板厚(mm)と脱炭量およびストレッチャーストレイ
ンの発生状況を調査した。この場合ストレッチャースト
レインの判定は、鋼板に軽度の張出し成形を施した後の
外観を5段階で目視で評価した。図1は再結晶焼鈍を施
した時の鋼板の板厚と脱炭量およびストレッチャースト
レインの発生状況との関係を示すグラフである。図1か
ら明らかなように同一の焼鈍条件の場合、板厚が0.3
0mmを超えると脱炭量が急激に減少し、これに伴ってス
トレッチャーストレインが大幅に増加することが分る。
以上の理由により、この発明では冷間圧延後の連続焼鈍
時の板厚(冷延板の板厚)を0.30mm以下に限定す
る。
【0028】なお、軟質めっき原板を製造する場合は、
焼鈍後に2%未満の軽圧下の調質圧延を施すのがよい。
また、上記の焼鈍を経た鋼板から硬質めっき原板を製造
する場合は、圧下率が2〜40%のいわゆる2次冷間圧
延をおこなう。圧下率の上限を40%とするのは、通常
の冷間圧延ではこれをこえる高い圧下を付与した場合、
鋼板の形状の乱れが極めて顕著になるためである。
【0029】
【実施例】
実施例1 実機転炉により溶製し連続鋳造した表1に示す種々の成
分組成になる鋼スラブを、1250℃に再加熱し、各々
の鋼組成に合わせて仕上げ圧延温度がAr3 変態点以上
におさまるように調整して、880〜950℃の温度範
囲でそれぞれ仕上げ圧延を施した。
【0030】
【表1】
【0031】熱間圧延終了後、熱延板を40℃/sの冷
却速度で冷却し、620℃の巻取り温度でコイルに巻取
り、酸洗した後圧下率88%の冷間圧延を行って板厚が
0.25mmの冷延薄鋼板とした。これらの薄鋼板を連続
焼鈍炉にて均熱温度を780℃、均熱時間を30sとし
て焼鈍した。その際の炉内の雰囲気は水素濃度を4%
(残部は実質的にN2 )、露点を−15℃とした。焼鈍
後の冷却速度は25℃/sと一定にした。かくして得ら
れたそれぞれの鋼板について残留C量を調査した。さら
にこれらの鋼板に調質圧延を圧下率1.0%と一定にし
て施したのち、ハロゲンタイプの電気錫めっきラインに
て#25錫めっきを連続的に施して、ぶりきに仕上げ、
それぞれのぶりきについて、引張特性を調査した。
【0032】これらの調査結果を表2にまとめて示す。
【表2】
【0033】なお引張特性は通常のJIS5号試験片を
もちいて実施した。また、r値はJIS5号試験片を用
いて3点法で測定し、圧延方向に対し0°,45°,9
0°の各方向のr値をおのおのr0 , 45, 90として
平均r値=(r0 +r90+2r45)/4,Δr=(r0
+r90−2r45)/2で算出した。さらに、時効指数
(AI)は同じくJIS5号試験片を用いて7.5%予
ひずみを与えたのち、除荷して100℃にて30分の時
効を行ったのちの応力の増加量で評価した。
【0034】表2から明らかなように、この発明の適合
例は、最終的な残留C量が所定の15ppm未満とな
り、十分な量の脱炭が起っていることが分かる。そし
て、全伸びは極めて良好な値になっていて格段に高い平
均r値、小さなΔr値(即ち面内異方性が小さく、イヤ
リングの発生が小さい)と優れた加工性を示している。
特に、AIおよび時効後の降伏点伸びは全て0と非時効
性であり、この面での顕著な改善がなされていることが
分かる。
【0035】この高い平均r値と小さなΔrを有する鋼
板は、延性と同時に良イヤリング特性が要求される2ピ
ース缶の分野において好適であり、このように非時効性
で延性に優れた適合例の鋼板は強加工後も、またはその
後の時効処理が施されたのちでも軟質で2次成形性に優
れていることも確認した。すなわち、これらの鋼板を例
えばDI缶用に使用した結果、ネック部をフランジ加工
する際の、「われ」などの不良が発生しにくい特性を有
することが確認された。さらに適合例の鋼板は、通常の
腐食環境において、従来の低炭素Alキルド鋼と同等以
上の耐食性を有していることも確認した。また、上記結
果よりNb,TiおよびBの効果としては、特に加工時
の表面性状の劣化防止に有効であることが分かる。
【0036】一方、この発明の範囲から外れた比較例に
ついては、十分な脱炭が行われていないことがその主要
原因と推定されるが、加工性に対応する伸び、r値は劣
化傾向にある。さらに時効特性に対応する各値が大きい
ため、実機で行った製缶試験ではストレッチャーストレ
インが発生し外観不良となった。
【0037】実施例2 表3に示す成分組成の鋼を実機転炉にて溶製し連続鋳造
したスラブを、表4に示す製造条件でそれぞれ薄鋼板
(板厚:0.210 mm)を製造し、実施例1と同様に諸特性
を調査した。
【0038】
【表3】
【0039】
【表4】
【0040】これらの調査結果を表5にまとめて示す。
【表5】
【0041】表4および5から明らかなようにこの発明
の適合例の鋼板は、連続焼鈍工程で十分な脱炭反応が行
われるため、成形性と非時効性に優れた特性を有してい
ることが分る。また、この適合例の鋼板を素材としてさ
らに2から40%の2次冷間圧延を施すことによってD
R9相当の硬質めっき原板を得ることができ、それらが
同等の強度を有する従来品に比して非時効性で優れた成
形性を有していることが確認された。一方、この発明の
範囲を外れる比較例については、脱炭反応が起こりにく
く、残留C量が多く成形性、非時効性がともに劣ってい
る。
【0042】
【発明の効果】この発明は、極低炭素鋼の成分組成と、
冷間圧延および連続焼鈍条件とを特定し、さらに焼鈍後
の残存C量を規定することにより、加工性に優れた非時
効性缶用鋼板を効率的に製造するものであり、この発明
によって得られる缶用鋼板は、従来品に比し極めて優れ
る特性を有し、種々の缶用として有利に適用できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は、再結晶焼鈍を施した時の鋼板の板厚と
脱炭量およびストレッチャーストレインの発生状況との
関係を示すグラフである。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 加藤 俊之 千葉県千葉市中央区川崎町1番地 川崎製 鉄株式会社技術研究所内 (72)発明者 佐藤 覚 千葉県千葉市中央区川崎町1番地 川崎製 鉄株式会社千葉製鉄所内 (72)発明者 久々湊 英雄 千葉県千葉市中央区川崎町1番地 川崎製 鉄株式会社千葉製鉄所内

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】C :0.0015mass%以上、0.01
    00mass%以下、 Si:0.20mass%以下、 Mn:0.10mass%以上、1.20mass%以下、 Al:0.02mass%以上、0.10mass%以下、 P :0.005mass%以上、0.040mass%以下、 S :0.015mass%以下および N :0.005mass%以下 を含有し、残部は鉄および不可避的不純物の組成になる
    極低炭素鋼スラブを素材として熱間圧延し、その後酸洗
    を経て70%以上の圧下率の冷間圧延を行い、ついで、
    連続焼鈍炉で、雰囲気中の水素濃度を3%以上、露点を
    −20℃以上として温度:730℃以上の再結晶焼鈍を
    施すことにより鋼中の残存C量を0.0015mass%未
    満とする加工性に優れる非時効性缶用鋼板の製造方法。
  2. 【請求項2】C :0.0015mass%以上、0.01
    00mass%以下、 Si:0.20mass%以下、 Mn:0.10mass%以上、1.20mass%以下、 Al:0.02mass%以上、0.10mass%以下、 P :0.005mass%以上、0.040mass%以下、 S :0.015mass%以下および N :0.005mass%以下 を含み、さらに Nb:0.003mass%以上、0.015mass%以下、 Ti:0.003mass%以上、0.040mass%以下お
    よび B :0.0005mass%以上、0.0020mass%以
    下 のうちから選んだ1種または2種以上を含有し、残部は
    鉄および不可避的不純物の組成になる極低炭素鋼スラブ
    を素材として熱間圧延し、その後酸洗を経て70%以上
    の圧下率の冷間圧延を行い、ついで、連続焼鈍炉で、雰
    囲気中の水素濃度を3%以上、露点を−20℃以上とし
    て温度:730℃以上の再結晶焼鈍を施すことにより鋼
    中の残存C量を0.0015mass%未満とする加工性に
    優れる非時効性缶用鋼板の製造方法。
  3. 【請求項3】 冷間圧延が、板厚:0.3mm以下の冷延
    板とする請求項1または2に記載の加工性に優れる非時
    効性缶用鋼板の製造方法。
  4. 【請求項4】 請求項1,2または3に記載の方法で得
    た鋼板に2%から40%の範囲の圧下率で2次冷間圧延
    を付与することを特徴とする加工性に優れる非時効性缶
    用鋼板の製造方法。
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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2007239036A (ja) * 2006-03-09 2007-09-20 Jfe Steel Kk 平均r値が高く、面内異方性の小さい冷延鋼板およびその製造方法
JP2011140682A (ja) * 2010-01-05 2011-07-21 Nippon Steel Corp 表面性状に優れる缶用鋼板用原板及びその製造方法

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