JPH0727737A - 酸素濃度検出素子 - Google Patents

酸素濃度検出素子

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JPH0727737A
JPH0727737A JP5195134A JP19513493A JPH0727737A JP H0727737 A JPH0727737 A JP H0727737A JP 5195134 A JP5195134 A JP 5195134A JP 19513493 A JP19513493 A JP 19513493A JP H0727737 A JPH0727737 A JP H0727737A
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JP
Japan
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heater
oxygen concentration
solid electrolyte
electrolyte layer
outer peripheral
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JP5195134A
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English (en)
Inventor
Masao Ishitani
誠男 石谷
Kazuo Matoba
和夫 的場
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Hitachi Unisia Automotive Ltd
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Unisia Jecs Corp
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 取付方向等によって検出精度にバラツキが生
じるのを防止し、排気ガス中の酸素濃度を安定して検出
できるようにする。 【構成】 小径のロッド状をなすコア部18の外周面に
ヒータパターン19を形成し、ヒータパターン19を外
側から覆うようにコア部18の外周側に絶縁性のヒータ
被覆層20を設けることによってヒータ部17を細長い
ロッド状に形成すると共に、ヒータ部17の外周側に固
体電解質層25および保護層28等を曲面印刷等の手段
を用いて一体形成する。これにより、全体が円形のロッ
ド状をなす酸素濃度検出素子16を製造することがで
き、酸素センサをエンジンの排気管等に実装したとき
に、保護層28の周囲から外側電極27の表面に向けて
透過する排気ガスの透過量が、排気ガスの流れ方向や取
付時の方向によって大きく変化するのを防止し、取付時
の指向性をなくす。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、例えば排気ガス中の酸
素濃度を検出するための酸素センサに好適に用いられる
酸素濃度検出素子に関する。
【0002】
【従来の技術】一般に、自動車用エンジン等では、排気
管の途中に酸素センサを設け、該酸素センサで排気ガス
中に含まれる酸素濃度を検出することにより、燃料と空
気との混合比率である空燃比A/Fを、例えば理論空燃
比(A/F=14.7)に近付けるように吸入空気量に
対する燃料噴射量の比率をフィードバック制御し、これ
によって、エンジンの燃焼室内で燃料を完全燃焼させ、
燃焼効率や燃料消費量(燃費)等を向上させるようにし
ている。
【0003】そして、この種の従来技術による酸素セン
サには、例えば特開昭55−125448号公報等に記
載のプレート型の酸素濃度検出素子が用いられ、この酸
素濃度検出素子は、細長いプレート状に形成されたヒー
タ部上に固体電解質層および保護層等を積層化すること
によって構成されている。
【0004】そこで、図14および図15に従来技術に
よる酸素センサを排気管に取付けた状態を示す。
【0005】図中、101はエンジンの排気管を示し、
該排気管101はエンジンの燃焼室(図示せず)からの
排気ガスを矢示A方向に排出させる。102は該排気管
101の途中に設けられた酸素センサを示し、該酸素セ
ンサ102はケーシング(図示せず)の先端側にプレー
ト型の酸素濃度検出素子103を備え、該酸素濃度検出
素子103は断面長方形状に形成されている。そして、
酸素センサ102はケーシングの外周側に形成したおね
じ部(図示せず)等を介して排気管101に螺着され、
酸素濃度検出素子103を排気管101内で矢示A方向
の排気ガス流に接触させるようにしている。
【0006】ここで、酸素濃度検出素子103は、細長
いプレート状に形成されたヒータ部104と、該ヒータ
部104上に積層化して形成された固体電解質層105
と、該固体電解質層105を覆うようにヒータ部104
上に積層化して形成された保護層106とから構成さ
れ、該保護層106はアルミナ等のセラミック材料から
多孔質状に形成され、排気管101内を流れる排気ガス
の一部を固体電解質層105側に向けて透過させるよう
になっている。また、固体電解質層105の上,下面に
は外側電極,内側電極(いずれも図示せず)が形成さ
れ、内側電極はヒータ部104と固体電解質層105と
の間に形成される大気室に臨むようになっている。
【0007】そして、固体電解質層105は保護層10
6の周囲で排気管101内を流れる排気ガスと大気室と
の間で酸素濃度に差が生じると、この酸素濃度差に基づ
いて外側電極と内側電極との間に起電力を発生させ、排
気ガス中の酸素濃度を検出すると共に、このときの信号
に基づき酸素センサ102はエンジンの空燃比A/Fを
フィードバック制御させるようにしている。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】ところで、上述した従
来技術では、プレート型の酸素濃度検出素子103が設
けられた酸素センサ102を、排気管101に螺着して
取付けるようにしているから、酸素濃度検出素子103
の取付方向が排気管101毎にバラツクことがあり、排
気管101内を矢示A方向に流れる排気ガスに対して酸
素濃度検出素子103が図14のように並行となった
り、酸素濃度検出素子103が図15に示すように垂直
となったりする。
【0009】また、複数の分岐管を有する排気マニホー
ルドの合流部に酸素センサ102を取付けた場合には、
各気筒からそれぞれの分岐管を介して排出されてくる排
気ガスが、各分岐管毎に異なる方向をもって酸素センサ
102の位置に流れてくるから、これによっても排気ガ
スの流れの方向と酸素濃度検出素子103の取付方向と
にバラツキが生じてしまう。
【0010】このため、従来技術では、排気ガスの流れ
方向や酸素濃度検出素子103の取付方向によって保護
層106を透過する排気ガス量や酸素濃度が変化するこ
とがあり、これによって酸素センサ102による酸素濃
度の検出精度にバラツキが生じるという問題がある。そ
して、酸素センサ102からの検出信号に基づいて燃料
噴射量をフィードバック制御するときには、燃料の噴射
量が過大となったり、過小となったりして、エンジンの
出力回転が不安定になるという問題がある。
【0011】また、固体電解質層105および保護層1
06をヒータ部104の一側面に積層化し、該ヒータ部
104の他側面は外部に露出しているから、固体電解質
層105に対するヒータ部104の伝熱面積を大きくで
きないばかりか、エンジンの停止時にはヒータ部104
が外気温の影響を受け易く、エンジンの始動時にヒータ
部104に給電を行っても該ヒータ部104を早期に昇
温させるのが難しくなる。このため、ヒータ部104か
らの熱で固体電解質層105等を活性化させて酸素濃度
を検出できるまでに余分な時間がかかり、エンジンの始
動時に酸素センサ102からの信号に基づいて燃料の噴
射量を早期にフィードバック制御することができないと
いう問題がある。
【0012】一方、所謂ジルコニアチューブ等からなる
酸素濃度検出素子も一般に知られているが、この場合に
は、酸素濃度検出素子が断面U字形状をなして形成され
るために、素子の成形が難しくなるばかりか、肉厚も薄
いために素子割れ等が発生し易く、素子全体を小径に形
成するのが困難になるという問題がある。また、ヒータ
内蔵型とする場合には、別体のヒータ部をジルコニアチ
ューブ内に挿入して酸素センサを構成する必要があり、
部品点数が増大して組立時の作業性を向上できないとい
う問題がある。
【0013】本発明は上述した従来技術の問題に鑑みな
されたもので、本発明は取付方向等によって検出精度に
バラツキが生じるのを効果的に防止でき、排気ガス中の
酸素濃度を安定して検出できる上に、ヒータによる昇温
時間を確実に短くでき、エンジンの始動時でも早期に酸
素濃度を検出できるようにした酸素濃度検出素子を提供
することを目的としている。
【0014】
【課題を解決するための手段】上述した課題を解決する
ために、本発明の酸素濃度検出素子は、絶縁性材料によ
り細長いロッド状に形成された心棒部と、該心棒部の外
周側に一体形成された酸素イオン伝導性の固体電解質層
と、該固体電解質層の内周面と心棒部の外周面との間に
形成され、前記心棒部の基端側で大気に連通した環状の
大気室と、該大気室に臨むように前記固体電解質層の内
周面に一体形成された環状の内側電極と、該内側電極と
の間で前記固体電解質層を挟むように該固体電解質層の
外周面に一体形成された環状の外側電極と、該外側電極
を覆うように前記固体電解質層の外周側に一体形成さ
れ、該固体電解質層および外側電極を外側から保護する
保護層とからなり、前記固体電解質層は該保護層の周囲
と前記大気室との間に生じる酸素濃度差に基づいて、前
記内側電極と外側電極との間に起電力を発生させるよう
にしてなる構成を採用している。
【0015】この場合、前記心棒部と固体電解質層との
間には、前記心棒部の先端側外周に一体形成された第1
の絶縁層と、該第1の絶縁層との間に前記大気室を形成
すべく、該第1の絶縁層から軸方向に離間して前記心棒
部の外周側に一体形成され、該心棒部の基端側に向けて
延びた第2の絶縁層とを設けてなる構成とするのが好ま
しい。
【0016】そして、前記第2の絶縁層と心棒部との間
には、基端側が大気に連通し、先端側が前記大気室に連
通する大気導入路を形成するようにしてもよい。
【0017】また、前記心棒部には、該心棒部の基端側
端面に開口し軸方向に伸長する軸穴部と、該軸穴部の先
端側に位置し、該軸穴部を前記大気室に連通させる径方
向の貫通孔とからなる大気導入路を形成するようにして
もよい。
【0018】さらに、前記心棒部は、セラミックス材料
により小径のロッド状に形成されたヒータコアと、該ヒ
ータコアの先端側に位置して該ヒータコアの外周面に形
成されたヒータパターンと、該ヒータパターンを外側か
ら覆うように前記ヒータコアの外周側に設けられた絶縁
性のヒータ被覆層とからなるヒータ部として構成するの
が好ましい。
【0019】
【作用】上記構成により、心棒部の外周側に固体電解質
層および保護層を一体形成して、全体が円形のロッド状
をなす酸素濃度検出素子とすることができ、取付時の方
向や排気ガスの流れ方向等によって検出すべき酸素濃度
に誤差が生じてしまうのを防止できる。
【0020】また、心棒部をヒータ部として構成し、こ
のヒータ部を全周に亘って外側から固体電解質層および
保護層等により覆うようにすれば、ヒータ部が外気温に
影響されてしまうのを抑えることができると共に、固体
電解質層に対するヒータ部の伝熱面積を大きくでき、該
ヒータ部からの熱を固体電解質層等に効率的に伝熱でき
る。そして、小径のロッド状をなすヒータコアの外周面
にヒータパターンを形成し、該ヒータパターンを外側か
ら覆うように前記ヒータコアの外周側に絶縁性のヒータ
被覆層を設けることによってヒータ部を構成し、このヒ
ータ部には基端側端面に開口し軸方向に伸長する軸穴部
を設けるようにすれば、この軸穴部によりヒータ部全体
の熱容量を小さくでき、該ヒータ部の昇温時間を確実に
短くすることができる。
【0021】
【実施例】以下、本発明の実施例による酸素濃度検出素
子を図1ないし図13に基づき、酸素センサとして用い
た場合を例に挙げて説明する。
【0022】図1ないし図8は本発明の第1の実施例を
示している。
【0023】図において、1は酸素センサのケーシング
を示し、該ケーシング1は、先端部外周側に取付部とし
てのおねじ部2Aが形成された段付筒状のホルダ2と、
該ホルダ2の基端側に一体的に固着された有底筒状のキ
ャップ3と、該キャップ3内に同軸に配設され、後述の
シールキャップ10とホルダ2との間に位置決めされた
ガイド筒4とからなり、これらはステンレス鋼等の金属
材料によって形成されている。そして、該ケーシング1
は後述の酸素濃度検出素子16を自動車用エンジンの排
気管(図示せず)内に突出させるべく、ホルダ2のおね
じ部2Aが排気管に螺着されるようになっている。
【0024】5はケーシング1のホルダ2内に金属製の
シールリング6を介して配設された絶縁支持体を示し、
該絶縁支持体5はアルミナ(Al23 )等のセラミック
材料によって筒状に形成され、その内周側には酸素濃度
検出素子16が無機接着剤等を用いて固着されている。
そして、該絶縁支持体5はケーシング1内で酸素濃度検
出素子16を位置決めすると共に、該酸素濃度検出素子
16を電気的および熱的に絶縁状態で保持している。
【0025】7,8はケーシング1のガイド筒4内に配
設された絶縁筒体を示し、該絶縁筒体7,8はアルミナ
等のセラミック材料によって筒状に形成され、後述の各
コンタクトプレート13,14等をケーシング1に対し
て絶縁状態に保持している。9はケーシング1内に位置
して絶縁支持体5と絶縁筒体7との間に配設されたスプ
リングを示し、該スプリング9は絶縁支持体5をホルダ
2側に向けて常時付勢し、ケーシング1に外部から作用
する振動や衝撃等が酸素濃度検出素子16に直接伝わる
のを防止している。
【0026】10はキャップ3の基端側を閉塞したシー
ルキャップを示し、該シールキャップ10はポリテトラ
フルオロエチレン(PTFE)等の耐熱性を有する樹脂
材料によって段付き筒状に形成され、ケーシング1内に
絶縁筒体7,8等をスプリング9を介して位置決めして
いる。また、該シールキャップ10には酸素濃度検出用
のリード線11,11とヒータ用のリード線12,12
(一方のみ図示)とが挿通され、該各リード線11,1
2は絶縁筒体8内でそれぞれ検出用のコンタクトプレー
ト13,13とヒータ用のコンタクトプレート14,1
4とに接続されている。
【0027】15はホルダ2から突出する酸素濃度検出
素子16の先端部分を保護するようにホルダ2に取付け
られた有蓋筒状のプロテクタを示し、該プロテクタ15
には複数の窓部15A,15A,…が形成され、該各窓
部15Aは排気管内を流れる排気ガスを酸素濃度検出素
子16の周囲に導くようになっている。
【0028】16はケーシング1のホルダ2内に絶縁支
持体5を介して取付けられ、先端側がホルダ2外へと突
出した酸素濃度検出素子を示し、該酸素濃度検出素子1
6は図2および図3に示す如く後述のヒータ部17、固
体電解質層25および保護層28等によって構成されて
いる。
【0029】17は細長いロッド状に形成され、酸素濃
度検出素子16の一部を構成する心棒部としてのヒータ
部を示し、該ヒータ部17は図2ないし図4に示す如
く、例えばアルミナ等のセラミック材料により小径のロ
ッド状に形成されたヒータコアとしてのコア部18と、
該コア部18の先端側から基端側に亘ってコア部18の
外周面に曲面印刷等の手段を用いて形成され、コア部1
8の基端側に伸長する一対のリード部19A,19Aを
有したヒータパターン19(図4参照)と、該ヒータパ
ターン19を径方向外側から保護すべく、例えばアルミ
ナ等のセラミック材料をコア部18の外周側に厚膜印刷
することにより形成された絶縁性のヒータ被覆層20と
から構成されている。
【0030】ここで、コア部18はアルミナ等のセラミ
ック材料を射出成型することにより、例えば外形寸法3
〜4mm前,後、長さ寸法50〜60mm前,後の円柱状ロ
ッドとして形成され、該コア部18にはその基端側端面
に開口し軸方向に延びる軸穴部18Aと、該軸穴部18
Aの先端側から径方向に延びる貫通孔18Bとが形成さ
れている。そして、軸穴部18Aおよび貫通孔18B
は、例えば0.5〜1.0mm前,後の穴径をもって形成
され、ヒータ被覆層20の貫通孔20A,20Aと共に
大気導入路21を構成している。また、軸穴部18Aは
コア部18の容積を減少させることによって、コア部1
8の熱容量を小さくする熱容量低減穴をも構成してい
る。
【0031】一方、ヒータパターン19はタングステン
や白金等の発熱性導体材料からなり、各リード部19A
はコア部18の基端側で図1に示すようにヒータ用の各
コンタクトプレート14に接続されている。そして、ヒ
ータパターン19は外部からヒータ用の各リード線1
2、各コンタクトプレート14および各リード部19A
を介して給電されることにより、例えば500〜750
℃前,後の温度にヒータ部17を発熱させる。そして、
該ヒータ部17は図3に示すように例えば4〜6mm前,
後の外径寸法Dを有し、内側から固体電解質層25等を
加熱することにより、例えば350℃程度の温度まで酸
素濃度検出素子16を昇温させて活性化させる。
【0032】22,23はヒータ被覆層20の外周側に
曲面印刷等の手段を用いて形成された第1,第2の絶縁
層を示し、該第1,第2の絶縁層22,23はアルミナ
等のセラミック材料を厚膜印刷することにより形成さ
れ、第1の絶縁層22は貫通孔20Aよりもヒータ被覆
層20の前側に位置し、第2の絶縁層23は絶縁層22
から軸方向に所定寸法離間して貫通孔20Aよりもヒー
タ被覆層20の後側に配設されている。そして、該絶縁
層22,23はヒータ被覆層20の外周面と後述の内側
電極26との間に環状の大気室24を画成し、該大気室
24はヒータ部17の大気導入路21を介して大気に常
時連通している。また、絶縁層22,23は図3に示す
如く、例えば1μm以上で、好ましくは10μm程度の
厚さT1 を有し、大気室24内を常に基準となる酸素濃
度に保持できるようにしている。
【0033】25は絶縁層22,23の外周側に曲面印
刷等の手段を用いて形成された酸素イオン伝導性の固体
電解質層を示し、該固体電解質層25は、例えばジルコ
ニア(Zr O2 )の粉体中に所定重量%のイットリア
(Y23 )の粉体を混合してペースト状物を調整した
後、このペースト状物を絶縁層22,23の外周側に厚
膜印刷することにより筒状に形成されている。そして、
該固体電解質層25は例えば50〜100μm程度の厚
さT2 を有し、この厚さ方向に酸素イオンを輸送させる
ようになっている。
【0034】26,27は固体電解質層25の内,外周
面に形成された内側電極,外側電極を示し、該内側電極
26および外側電極27は白金等からなる導電性ペース
トを固体電解質層25の内,外周面に印刷することによ
り、例えば4mm前,後の長さ寸法をもって形成され、そ
のリード部26A,27Aは図6に示すようにヒータ部
17の基端側に向けて伸長している。そして、該内側電
極26および外側電極27のリード部26A,27Aは
酸素濃度検出素子16の基端側で図1に示す各コンタク
トプレート13に接続され、酸素濃度検出素子16から
の検出信号を各リード線11を介して外部に出力させ
る。
【0035】28は固体電解質層25および外側電極2
7を径方向外側から覆うように絶縁層22,23の外周
側に曲面印刷等の手段を用いて形成された保護層を示
し、該保護層28は、例えばアルミナ(Al23 )の粉
体中に所定重量%のジルコニアの粉体を混合してペース
ト状物を調整し、このペースト状物を絶縁層22,23
等の外周側に厚膜印刷することにより、例えば30〜6
0μm前,後の厚さT3をもって筒状に形成されてい
る。そして、該保護層28は多孔質構造をなし、該保護
層28の周囲を流れる排気ガスの一部を外側電極27に
向けて透過させるようになっている。
【0036】次に、29はケーシング1の外部に設けら
れ、各リード線12等を介してヒータパターン19に接
続されるヒータ用電源を示し、該ヒータ用電源29はヒ
ータ部17のヒータパターン19に電圧を印加すること
により、例えば500〜750℃前,後の温度にヒータ
部17を発熱させる。
【0037】30はケーシング1の外部に設けられ、酸
素濃度の検出回路を構成する差動増幅器を示し、該差動
増幅器30は図3に示すようにその非反転入力端子がア
ースに接続され、反転入力端子はリード線11等を介し
て内側電極26が接続されている。また、酸素濃度検出
素子16の外側電極27はリード線11等を介してアー
スに接続されている。そして、差動増幅器30は出力側
端子31から図8に示すように出力電圧Vs の酸素濃度
検出信号を出力するようになっている。
【0038】ここで、酸素濃度検出素子16の固体電解
質層25は保護層28の周囲を流れる排気ガス中の酸素
濃度△Pexと大気室24内の酸素濃度△Pa とに濃度差
が生じると、内側電極26と外側電極27との間で後述
する化1および化2の反応式により、
【0039】
【数1】 E=−(R×T/4×F)×ln (△Pex/△Pa ) 但し、R:気体定数(8.3145J/K・mol ) T:絶対温度 F:ファラデー定数(9.64853×104 C/mol
) なる起電力Eを発生させる。
【0040】そして、固体電解質層25の内部抵抗をR
s とし、このときに内側電極26と外側電極27との間
に流れる電流をIs とすると、
【0041】
【数2】Vs =E−(Rs ×Is ) なる出力電圧Vs を差動増幅器30の出力側端子31か
ら出力でき、この出力電圧Vs は空燃比A/Fに対応し
て図8に実線で示す特性線のように変化する。
【0042】本実施例による酸素センサは上述の如き構
成を有するもので、次に酸素濃度検出素子16の製造方
法について図4ないし図7を参照して説明する。
【0043】まず、ヒータ部17を製造するときには図
4に示すように、コア成型工程でアルミナ等のセラミッ
ク材料からコア部18を、例えば外形寸法3.8mm、長
さ寸法57mm程度の円柱状ロッドとして射出成型し、こ
のときに該コア部18には基端側端面に開口し軸方向に
延びる軸穴部18Aと径方向の貫通孔18Bとを一体形
成する。この場合、軸穴部18Aはコア部18の熱容量
を小さくするために1mm前,後の穴径をもって形成し、
貫通孔18Bは0.5mm前,後の穴径をもって形成する
のがよい。そして、射出成型手段を用いることにより、
コア部18に軸穴部18Aおよび貫通孔18Bを容易に
一体形成することが可能となる。
【0044】次に、パターン印刷工程では、チャック等
の支持軸をコア部18の両端側に軸穴部18A等を介し
て係合させ、コア部18を回転させつつ、例えば白金ま
たはタングステン等の発熱性導体材料からなるヒータパ
ターン19をコア部18の外周面に曲面印刷する。そし
て、貫通孔18Bの前,後でコア部18の軸方向に延び
るようにヒータパターン19をコア部18の外周面に均
一の膜厚で形成し、ヒータパターン19の各リード部1
9Aをコア部18の基端側に向けて伸長するように一体
形成する。
【0045】次に、ヒータ被覆層印刷工程では、ヒータ
パターン19を径方向外側から覆うようにして、例えば
アルミナ等のセラミックグリーンシートをコア部18の
外周側に積層化し、例えば0.2〜0.5mm前,後の膜
厚をもってヒータ被覆層20を形成する。この場合、コ
ア部18の貫通孔18Bに連通するヒータ被覆層20の
貫通孔20A,20Aを形成するため、前記セラミック
グリーンシートにドリルまたはポンチ等で穿孔を行った
後に、例えばカーボン,ポリアミド,ポリエーテルスル
ホンおよびフェノール樹脂等からなる有機膜32,32
を、この穿孔部位(または貫通孔18B)に径方向から
圧入嵌合しておく。
【0046】次に、図5に示す絶縁層形成工程では、ま
ずヒータ被覆層20の先端側外周面に、例えばカーボ
ン,ポリアミド,ポリエーテルスルホンおよびフェノー
ル樹脂等からなる有機膜33を曲面印刷する。そして、
有機膜33の前,後には第1,第2の絶縁層22,23
をアルミナ等のセラミック材料を曲面印刷することによ
り形成し、該絶縁層22,23および有機膜33の膜厚
を大気室24の厚さT1に対応させ、後述の焼成工程で
該有機膜33を焼きとばして消散させることにより、絶
縁層22,23間に大気室24を形成するようにする。
【0047】次に、図6に示す固体電解質層形成工程で
は、前,後の絶縁層22,23に亘って有機膜33の外
周面に白金等からなる導電性ペーストを曲面印刷するこ
とにより内側電極26を形成し、そのリード部26Aを
ヒータ被覆層20の基端側まで伸長させるようにする。
そして、該内側電極26の外側から絶縁層22,23の
外周面に、例えばジルコニアとイットリアからなるペー
スト状物を塗布するように曲面印刷して酸素イオン伝導
性の固体電解質層25を形成し、その後に該固体電解質
層25の外周面に白金等からなる導電性ペーストを曲面
印刷することにより外側電極27を形成する。この場
合、該外側電極27のリード部27Aをヒータ被覆層2
0の基端側まで伸長するように形成し、該リード部27
Aを内側電極26のリード部26Aに対し絶縁層23、
ヒータ被覆層20の径方向で対向させるようにする。
【0048】次に、図7に示す保護層形成工程では、外
側電極27を外側から覆うように固体電解質層25およ
び絶縁層23の外周側に、例えばアルミナと酸化マグネ
シウムからなるペースト状物を曲面印刷することにより
保護層28を形成する。
【0049】そして、次なる焼成工程で、前述の如く形
成したコア部18、ヒータパターン19、ヒータ被覆層
20、絶縁層22,23、固体電解質層25、内側電極
26、外側電極27および保護層28等を、例えば14
00〜1500℃前,後の高温度下で2時間程度焼成す
ることによってこれらを一体的に焼結させ、このときに
前記有機膜32,33を焼きとばして消散させることに
より、ヒータ被覆層20の貫通孔20Aおよび大気室2
4を形成する。
【0050】かくして、前記各工程により酸素濃度検出
素子16を製造した後、該酸素濃度検出素子16を酸素
センサのケーシング1内に図1に示す如く収納し、各リ
ード部19A,26A,27Aをそれぞれ各コンタクト
プレート13,14にばね性をもって当接させ、これら
を電気的に接続することによって当該酸素センサを完成
させる。
【0051】次に、当該酸素センサによる酸素濃度の検
出動作について説明する。
【0052】まず、当該酸素センサのケーシング1はホ
ルダ2のおねじ部2Aを介して車両の排気管等に螺着さ
れ、酸素濃度検出素子16の先端側を排気管内へと突出
させた状態で固定される。そして、エンジンの作動によ
り排気管内を流れる排気ガスが酸素濃度検出素子16の
周囲にプロテクタ15を介して導入されると、この排気
ガスの一部が保護層28を透過して外側電極27の表面
に達する。
【0053】そして、この状態でヒータ用電源29から
ヒータパターン19に給電を行ってヒータ部17により
酸素濃度検出素子16全体を加熱すると、固体電解質層
25が活性化され、内側電極26と外側電極27との間
には後述する化1および化2の反応式により、大気室2
4と保護層28の周囲との間の酸素濃度差に基づいた前
記数1の起電力Eが発生する。
【0054】即ち、保護層28の周囲を流れる排気ガス
中の酸素濃度△Pexは基準となる大気室24内の酸素濃
度△Pa に比較して小さくなるから、この大気室24に
臨む内側電極26側では、大気室24内の酸素に電子が
付与されて酸素イオンが発生し、
【0055】
【化1】 但し、O2 :酸素分子 e :電子 O2-:酸素イオン なる電気化学的な接触分解反応が行われるようになる。
そして、このときに外側電極27側では、酸素イオンが
酸素と電子とに分解して、
【0056】
【化2】 なる電気化学的な接触分解反応が行われるようになる。
【0057】そして、このときの酸素イオンは固体電解
質層25中の酸素欠陥を介して内側電極26から外側電
極27に向けて輸送されることにより、該内側電極26
と外側電極27との間には大気室24と保護層28周囲
との間の酸素濃度差(酸素分圧差)に基づき前記数1の
式による起電力Eが発生する。そこで、この起電力Eに
基づいた前記数2の式による出力電圧Vs を、差動増幅
器30の出力側端子31から図8に実線で示す特性線の
ように空燃比A/Fに対応した検出信号として取出すよ
うにしている。
【0058】ここで、排気ガスが空気過多のいわゆるリ
ーン状態となって、空燃比A/Fが14.7よりも大き
くなる場合には、排気ガス中の酸素濃度が比較的高く、
保護層28の周囲と大気室24との酸素濃度差が小さい
から、検出信号としての出力電圧Vs は図8に実線で示
す特性線のように、例えば0.5V(ボルト)よりも低
い電圧値となる。また、排気ガスが燃料過多のいわゆる
リッチ状態で、空燃比A/Fが14.7よりも小さくな
る場合には、排気ガス中の酸素濃度が極めて低く、保護
層28の周囲と大気室24との酸素濃度差が大きくなる
から、検出信号としての出力電圧Vs は例えば0.8V
(ボルト)よりも高い電圧値となる。
【0059】かくして、本実施例によれば、軸穴部18
Aおよび貫通孔18Bを有した小径のロッド状をなすコ
ア部18の外周面にヒータパターン19を形成し、該ヒ
ータパターン19を外側から覆うように前記コア部18
の外周側に絶縁性のヒータ被覆層20を設けることによ
ってヒータ部17を細長いロッド状に形成すると共に、
該ヒータ部17の外周側に固体電解質層25および保護
層28等を曲面印刷等の手段を用いて一体形成する構成
としたから、全体が円形のロッド状をなす酸素濃度検出
素子16を製造することができ、当該酸素センサをエン
ジンの排気管等に実装したときに、保護層28の周囲か
ら外側電極27の表面に向けて透過する排気ガスの透過
量が、排気ガスの流れ方向や取付時の方向によって大き
く変化するのを防止でき、取付時の指向性をなくすこと
ができる。
【0060】また、ヒータ部17を全周に亘って外側か
ら固体電解質層25および保護層28等で覆うことによ
り、ヒータ部17が直接外気と接触するのを抑えて外気
温による影響を効果的に低減することができ、ヒータ部
17の伝熱面積を大きくとって該ヒータ部17からの熱
を固体電解質層25等に早期に伝熱できると共に、コア
部18の軸穴部18A等によりヒータ部17全体の熱容
量小さくでき、該ヒータ部17の昇温時間を確実に短く
できる。
【0061】さらに、ヒータ被覆層20の外周面と固体
電解質層25の内周面との間に大気室24を形成するこ
とにより、該大気室24内にヒータ部17の大気導入路
21を介して基準となる大気を導入でき、固体電解質層
25の内,外周面間で前記化1および化2の反応式に基
づき酸素イオンを輸送させる所望の電気化学反応を確実
に生じさせることができる。
【0062】従って、本実施例によれば、酸素濃度検出
素子16を短時間で活性化でき、エンジンの始動時でも
排気ガス中の酸素濃度を早期に検出して、燃料噴射量の
フィードバック制御を即座に行うことが可能になると共
に、当該酸素センサの取付自由度を大きくすることがで
き、さらにヒータ部17の消費電力を確実に低減でき
る。また、酸素濃度検出素子16の製造時には、コア部
18の外周側に順次ヒータパターン19、ヒータ被覆層
20、絶縁層22,23、固体電解質層25および保護
層28等を曲面印刷することにより形成でき、製造時の
作業性を大幅に向上できる等、種々の効果を奏する。
【0063】なお、前記第1の実施例では、ヒータ被覆
層20をセラミックグリーンシートをコア部18の外周
側に積層化することにより形成するものとして述べた
が、これに替えて、例えばアルミナ等のセラミック材料
をコア部18の外周側に厚膜印刷し100μm前,後の
膜厚をもったヒータ被覆層20を形成するようにしても
よい。この場合、コア部18の貫通孔18Bに連通する
ヒータ被覆層20の貫通孔20A,20Aを形成するた
め、例えばカーボン,ポリアミド,ポリエーテルスルホ
ンおよびフェノール樹脂等からなる有機膜32,32
を、コア部18の貫通孔18Bに径方向から予め圧入嵌
合しておき、コア部18を回転させつつ、コア部18の
外周側にアルミナ等のセラミック材料を2回程度曲面印
刷してヒータ被覆層20を形成するようにすればよい。
【0064】次に、図9ないし図13は本発明の第2の
実施例を示し、本実施例の特徴は、心棒部と固体電解質
層との間に大気室を形成すべく、前記心棒部の外周側に
第1,第2の絶縁層を一体形成し、心棒部の基端側に向
けて延びた第2の絶縁層と心棒部との間には、基端側が
大気に連通し、先端側が前記大気室に連通する大気導入
路を形成する構成としたことにある。なお、本実施例で
は前記第1の実施例と同一の構成要素に同一の符号を付
し、その説明を省略するものとする。
【0065】図中、41は本実施例よる酸素濃度検出素
子を示し、該酸素濃度検出素子16は図9および図10
に示す如く後述のヒータ部42、固体電解質層25およ
び保護層28等によって構成されている。
【0066】42は細長いロッド状に形成され、酸素濃
度検出素子41の一部を構成する心棒部としてのヒータ
部を示し、該ヒータ部42は前記第1の実施例で述べた
ヒータ部17と同様にヒータコアとしてのコア部43、
ヒータパターン44およびヒータ被覆層45から構成さ
れているものの、該ヒータ部42はコア部43が中実の
小径ロッド状に形成されている。ここで、コア部43は
アルミナ等のセラミック材料を射出成型することによ
り、例えば外形寸法が2〜4mm前,後で、長さ寸法が5
0〜60mm前,後に形成されている。
【0067】46,47はヒータ被覆層45の外周側に
曲面印刷等の手段を用いて形成された第1,第2の絶縁
層を示し、該第1,第2の絶縁層46,47は前記第1
の実施例で述べた絶縁層22,23とほぼ同様に構成さ
れ、ヒータ被覆層45の外周面と内側電極26との間に
環状の大気室48を画成しているものの、絶縁層47と
ヒータ被覆層45の外周面との間には図9に示す如く一
対の大気導入路49,49が形成されている。そして、
該各大気導入路49は絶縁層47の基端側で大気に連通
し先端側で大気室24と連通しており、その通路径は1
μm以上となっている。
【0068】ここで、各大気導入路49は後述するよう
にポンプ電流Ip を印加することにより、外側電極27
側から内側電極26側に輸送されてくる酸素イオンから
発生する酸素を、大気室48から外部に逃散させるガス
逃散路をも構成している。また、絶縁層46,47は図
10に示す如く例えば8μm以上で、好ましくは10μ
m程度の厚さT4 を有し、大気室48内を常に基準とな
る酸素濃度に保持できるようにしている。
【0069】さらに、絶縁層46,47の外周側には前
記第1の実施例と同様に、曲面印刷等の手段を用いて固
体電解質層25、内側電極26、外側電極27および保
護層28が形成され、該保護層28は周囲を流れる排気
ガスの一部を外側電極27に向けて透過させるようにな
っている。
【0070】次に、50はケーシング1の外部に設けら
れたポンプ電圧Vp を有する直流電源を示し、該直流電
源50は図10に示す如くプラス側が抵抗値R0 の基準
抵抗51に接続され、マイナス側はアースに接続されて
いる。そして、該基準抵抗51はリード線11等を介し
て酸素濃度検出素子41の内側電極26に接続されると
共に、後述する差動増幅器52の反転入力端子に接続さ
れ、酸素濃度検出素子41の外側電極27は他のリード
線11等を介してアースと接続されている。
【0071】52はケーシング1の外部に設けられ、直
流電源50等と共に酸素濃度の検出回路を構成する差動
増幅器を示し、該差動増幅器52は非反転入力端子がア
ースに接続され、反転入力端子はリード線11等を介し
て内側電極26と基準抵抗51との間に接続されてい
る。そして、差動増幅器52は出力側端子53から後述
する数3の式による出力電圧Vs の酸素濃度検出信号を
出力するようになっている。
【0072】ここで、酸素濃度検出素子41の固体電解
質層25は直流電源50により内側電極26と外側電極
27との間にポンプ電圧Vp に基づくポンプ電流Ip が
印加されるので、この場合に固体電解質層25は内側電
極26、外側電極27と共に酸素ポンプを構成し、外側
電極27側では保護層28の周囲を流れる排気ガス中か
ら酸素を取込みつつ、取込んだ酸素に電子を付与する前
記化1の反応式による接触分解反応を行い、外側電極2
7側に酸素イオンが発生する。そして、このときに内側
電極26側では、酸素イオンが酸素と電子とに分解して
前記化2の反応式による接触分解反応が行われ、内側電
極26側の酸素は大気室48から各大気導入路49を介
して外部に逃散されるようになる。
【0073】そして、このときの酸素イオンは固体電解
質層25中の酸素欠陥を介して外側電極27から内側電
極26に向けて輸送されることにより、該内側電極26
と外側電極27との間には大気室48と保護層28周囲
との間の酸素濃度差(酸素分圧差)に基づいた前記数1
の式による起電力Eが発生する。そこで、この起電力E
に基づいた後述する数3の式による出力電圧Vs を、差
動増幅器52の出力側端子53から空燃比A/Fに対応
した検出信号として取出すようにしている。
【0074】即ち、固体電解質層25の内部抵抗をRs
とし、このときに内側電極26と外側電極27との間に
流れるポンプ電流Ip とすると、
【0075】
【数3】Vs =E+(Rs ×Ip ) なる出力電圧Vs を差動増幅器52の出力側端子53か
ら出力でき、この出力電圧Vs は空燃比A/Fに対応し
て図8に点線で示す特性線のように変化する。また、こ
の出力電圧Vs とポンプ電圧Vp との関係は、
【0076】
【数4】Vp =Vs +(R0 ×Ip ) となっている。
【0077】さらに、54はケーシング1の外部に設け
られ、各リード線12等を介してヒータパターン44に
接続されるヒータ用電源を示し、該ヒータ用電源54は
前記第1の実施例で用いたヒータ用電源29とほぼ同様
に構成されているものの、該ヒータ用電源54はヒータ
部42のヒータパターン44に電圧を印加することによ
り、例えば750℃前,後の温度にヒータ部42を発熱
させる。そして、該ヒータ部42は内側から固体電解質
層25等を加熱することにより、例えば600℃程度の
温度まで酸素濃度検出素子41を昇温させて活性化させ
る。
【0078】本実施例による酸素センサは上述の如き構
成を有するもので、次に酸素濃度検出素子41の製造方
法について図11ないし図13を参照して説明する。
【0079】まず、ヒータ部42を製造するときには図
11に示すように、コア成型工程でアルミナ等のセラミ
ック材料からコア部43を、例えば外形寸法が3.0mm
で、長さ寸法が57mm程度となる中実の円柱状ロッドと
して射出成型する。
【0080】次に、パターン印刷工程では、チャック等
の支持軸をコア部43の両端側に係合させ、コア部43
を回転させつつ、例えば白金またはタングステン等の発
熱性導体材料からなるヒータパターン44をコア部43
の外周面に曲面印刷する。そして、該ヒータパターン4
4をコア部43の先端側外周面に均一の膜厚で形成し、
ヒータパターン44の各リード部44Aをコア部43の
基端側に向けて伸長するように一体形成する。
【0081】次に、ヒータ被覆層印刷工程では、ヒータ
パターン44を径方向外側から覆うようにして、例えば
アルミナ等のセラミック材料をコア部43の外周側に厚
膜印刷し、例えば100μm前,後の膜厚をもってヒー
タ被覆層45を形成する。この場合、コア部43を回転
させつつ、コア部43の外周側にアルミナ等のセラミッ
ク材料を2回程度曲面印刷してヒータ被覆層45を形成
するのがよい。なお、ヒータ被覆層45についても、前
記第1の実施例で述べたヒータ被覆層20と同様にセラ
ミックグリーンシートを積層化することにより形成して
もよい。
【0082】次に、図12に示す絶縁層形成工程では、
まずヒータ被覆層45の外周面に、例えばカーボン,ポ
リアミド,ポリエーテルスルホンおよびフェノール樹脂
等からなる有機膜55を曲面印刷する。また、該有機膜
55にはヒータ被覆層45の直径方向で対向し基端側に
向けて延びる一対の延長部55A,55Aを一体形成す
るようにする。次に、有機膜55の前,後には第1,第
2の絶縁層46,47をアルミナ等のセラミック材料を
曲面印刷することにより形成し、このときに、絶縁層4
7によりヒータ被覆層45の外周面を各延長部55Aと
共に覆うようにする。そして、最後の焼成工程で該有機
膜55を各延長部55Aと共に焼きとばして消散させる
ことにより、絶縁層46,47間に大気室48を形成
し、各延長部55Aの部位には各大気導入路49を形成
するようにする。
【0083】次に、図13に示す固体電解質層形成工程
では、前,後の絶縁層46,47に亘って有機膜55の
外周面に白金等からなる導電性ペーストを曲面印刷する
ことにより、前記第1の実施例と同様に内側電極26を
形成し、そのリード部26Aをヒータ被覆層45の基端
側まで伸長させるようにする。そして、該内側電極26
の外側から絶縁層46,47の外周面に、例えばジルコ
ニアとイットリアからなるペースト状物を塗布するよう
に曲面印刷して酸素イオン伝導性の固体電解質層25を
前記第1の実施例と同様に形成し、その後に該固体電解
質層25の外周面に白金等からなる導電性ペーストを曲
面印刷することにより外側電極27を形成する。
【0084】次に、前記第1の実施例と同様に図7に例
示した保護層形成工程で、外側電極27を外側から覆う
ように固体電解質層25および絶縁層23の外周側に保
護層28を形成する。そして、次なる焼成工程で、前述
の如く形成したコア部43、ヒータパターン44、ヒー
タ被覆層45、絶縁層46,47、固体電解質層25、
内側電極26、外側電極27および保護層28等を、例
えば1400〜1500℃前,後の高温度下で2時間程
度焼成することによってこれらを一体的に焼結させ、こ
のときに前記有機膜55を焼きとばして消散させること
により、大気室48および各大気導入路49を形成す
る。
【0085】かくして、このように構成される本実施例
でも、前記第1の実施例とほぼ同様の作用効果を得るこ
とができるが、特に本実施例では、ヒータ被覆層45の
外周面と絶縁層47との間に大気室48に連通する一対
の大気導入路49,49を形成したから、ヒータ部42
に大気導入路を形成する必要がなくなり、コア部43等
の成型を簡単に行うことができる。
【0086】なお、前記各実施例では、アルミナ等から
なるセラミック材料を固体電解質層25および絶縁層2
2,23(46,47)の外周側に曲面印刷することに
より保護層28を形成するものとして述べたが、これに
替えて、例えばアルミナと酸化マグネシウムからなるセ
ラミック材料をプラズマ溶射することにより、固体電解
質層25および絶縁層22,23(46,47)の外周
側に保護層を形成するようにしてもよい。
【0087】また、前記各実施例では、コア部18(4
3)を射出成形により形成するものとして述べたが、こ
れに替えて、コア部18(43)を押出し成形等の手段
を用いて形成するようにしてもよい。
【0088】さらに、前記各実施例では、ヒータ内蔵型
の酸素センサを例に挙げて説明したが、本発明はこれに
限らず、例えばヒータを含まない通常の酸素センサに適
用すべく心棒部をコア部18(43)のみによって構成
し、ヒータパターン19(44)およびヒータ被覆層2
0(45)を省略するようにしてもよい。この場合に
は、コア部18(43)の外周側に絶縁層22,23
(46,47)等を一体形成するようにすればよく、酸
素濃度検出素子16(41)を排気ガスからの熱で外部
から加温することにより活性化することができる。
【0089】さらにまた、前記第2の実施例では、ケー
シング1の外部に設けた直流電源50および差動増幅器
52等によって酸素濃度の検出回路を構成するものとし
て述べたが、これに替えて、前記第1の実施例のように
差動増幅器30等で検出回路を構成してもよく、また、
直流電源50および差動増幅器52等からなる検出回路
を第1の実施例の差動増幅器30に替えて用いるように
してもよい。
【0090】
【発明の効果】以上詳述した通り本発明によれば、酸素
濃度検出素子の心棒部を細長いロッド状に形成し、該心
棒部の外周側には酸素イオン伝導性の固体電解質層を
内,外の電極と共に一体形成し、これらを一体的に保護
層により覆う構成としたから、当該酸素濃度検出素子を
円形のロッド状に形成でき、酸素センサとして排気管等
に取り付ける場合に、取付方向や排気ガスの流れ方向に
よって検出精度にバラツキが生じるのを効果的に防止で
き、これによって排気ガス中の酸素濃度を高精度に安定
して検出できる。
【0091】また、ヒータ内蔵型の酸素センサとして用
いる場合には、小径のロッド状をなすヒータコアの外周
面にヒータパターンを形成し、該ヒータパターンを外側
から覆うように前記ヒータコアの外周側に絶縁性のヒー
タ被覆層を設けることにより、心棒部をヒータ部として
構成し、該ヒータ部の外周面と固体電解質層の内周面と
の間に大気室を形成するようにすれば、ヒータ部によっ
て固体電解質層を早期に活性化でき、大気室内と保護層
周囲の排気ガスとの間の酸素濃度差により固体電解質層
の内,外周面間で酸素イオンを輸送させる所望の電気化
学反応を確実に生じさせることができる。さらに、ヒー
タ部と固体電解質層等とを一体形成することができ、部
品点数を減らして製造時の作業性を大幅に向上できる
等、種々の効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施例による酸素濃度検出素子
が設けられた酸素センサを示す縦断面図である。
【図2】酸素濃度検出素子を示す図1中の矢示II−II方
向拡大断面図である。
【図3】検出回路を含む図2中の矢示III −III 方向拡
大断面図である。
【図4】ヒータ部の製造工程を示す斜視図である。
【図5】絶縁層形成工程を示す斜視図である。
【図6】固体電解質層形成工程を示す斜視図である。
【図7】保護層形成工程を示す要部拡大斜視図である。
【図8】空燃比と酸素濃度の検出信号との関係を示す特
性線図である。
【図9】第2の実施例による酸素濃度検出素子を示す図
2と同様の断面図である。
【図10】検出回路を含む図9中の矢示X−X方向拡大
断面図である。
【図11】ヒータ部の製造工程を示す斜視図である。
【図12】絶縁層形成工程を示す斜視図である。
【図13】固体電解質層形成工程を示す斜視図である。
【図14】従来技術による酸素センサを排気管に取付け
た状態を示す縦断面図である。
【図15】異なる取付け状態を示す図14と同様の縦断
面図である。
【符号の説明】
1 ケーシング 5 絶縁支持体 13,14 コンタクトプレート 16,41 酸素濃度検出素子 17,42 ヒータ部 18,43 コア部(ヒータコア) 18A 軸穴部 18B,20A 貫通孔 19,44 ヒータパターン 19A,44A,26A,27A リード部 20,45 ヒータ被覆層 21,49 大気導入路 22,46 第1の絶縁層 23,47 第2の絶縁層 24,48 大気室 25 固体電解質層 26 内側電極 27 外側電極 28 保護層

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 絶縁性材料により細長いロッド状に形成
    された心棒部と、該心棒部の外周側に一体形成された酸
    素イオン伝導性の固体電解質層と、該固体電解質層の内
    周面と心棒部の外周面との間に形成され、前記心棒部の
    基端側で大気に連通した環状の大気室と、該大気室に臨
    むように前記固体電解質層の内周面に一体形成された環
    状の内側電極と、該内側電極との間で前記固体電解質層
    を挟むように該固体電解質層の外周面に一体形成された
    環状の外側電極と、該外側電極を覆うように前記固体電
    解質層の外周側に一体形成され、該固体電解質層および
    外側電極を外側から保護する保護層とからなり、前記固
    体電解質層は該保護層の周囲と前記大気室との間に生じ
    る酸素濃度差に基づいて、前記内側電極と外側電極との
    間に起電力を発生させる構成としてなる酸素濃度検出素
    子。
  2. 【請求項2】 前記心棒部と固体電解質層との間には、
    前記心棒部の先端側外周に一体形成された第1の絶縁層
    と、該第1の絶縁層との間に前記大気室を形成すべく、
    該第1の絶縁層から軸方向に離間して前記心棒部の外周
    側に一体形成され、該心棒部の基端側に向けて延びた第
    2の絶縁層とを設けてなる請求項1に記載の酸素濃度検
    出素子。
  3. 【請求項3】 前記第2の絶縁層と心棒部との間には、
    基端側が大気に連通し、先端側が前記大気室に連通する
    大気導入路を形成してなる請求項2に記載の酸素濃度検
    出素子。
  4. 【請求項4】 前記心棒部には、該心棒部の基端側端面
    に開口し軸方向に伸長する軸穴部と、該軸穴部の先端側
    に位置し、該軸穴部を前記大気室に連通させる径方向の
    貫通孔とからなる大気導入路を形成してなる請求項1ま
    たは2に記載の酸素濃度検出素子。
  5. 【請求項5】 前記心棒部は、セラミックス材料により
    小径のロッド状に形成されたヒータコアと、該ヒータコ
    アの先端側に位置して該ヒータコアの外周面に形成され
    たヒータパターンと、該ヒータパターンを外側から覆う
    ように前記ヒータコアの外周側に設けられた絶縁性のヒ
    ータ被覆層とからなるヒータ部として構成してなる請求
    項1,2,3または4に記載の酸素濃度検出素子。
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