JPH07274885A - 蛋白ゲル化食品用豆乳及びその製造法 - Google Patents

蛋白ゲル化食品用豆乳及びその製造法

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JPH07274885A
JPH07274885A JP6095537A JP9553794A JPH07274885A JP H07274885 A JPH07274885 A JP H07274885A JP 6095537 A JP6095537 A JP 6095537A JP 9553794 A JP9553794 A JP 9553794A JP H07274885 A JPH07274885 A JP H07274885A
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JP
Japan
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soymilk
soybean milk
tofu
protein
soybean
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JP6095537A
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Masaki Nomura
正樹 野村
Takeshi Yasumasu
毅 安増
Naohito Kudo
尚人 工藤
Daisuke Shiiba
大介 椎葉
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Kao Corp
Original Assignee
Kao Corp
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 1か月以上の長期保存が可能で、しかも電子
レンジなどの簡単な加熱調理で、一般製法で作られた豆
腐と遜色のない風味、食感をもつ豆腐をはじめ、茶碗蒸
し様食品等の蛋白ゲル化食品の調製が可能な豆乳を提供
する。 【構成】 120〜150℃で加熱殺菌処理を行った豆
乳であって、豆乳成分の遠心分画において、沈降係数2
3S〜5000Sの分画条件で沈殿する蛋白質が、豆乳
中に3.4重量%以上含有されている蛋白ゲル化食品用
豆乳。水に浸漬した原料大豆を磨砕し、呉を得る第一工
程、呉の中の豆乳に対して0.05重量%〜1.0重量
%のグリセリン脂肪酸エステル又はグリセリン重合度2
〜3のポリグリセリンの脂肪酸エステルを液晶状態で呉
に添加した後豆乳を分離する、又は呉から分離した豆乳
に添加する第二工程、次いで豆乳を120〜150℃で
加熱殺菌処理する第三工程からなる、上記の蛋白質を含
有する豆乳の製造法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、豆腐などの蛋白ゲル化
食品を家庭で簡単に製造することを可能にする豆乳およ
びその製造法に関する。更に詳しくは、本発明は、電子
レンジによる加熱で、味、食感に優れた豆腐、あるいは
茶碗蒸し様食品等の蛋白ゲル化食品を家庭で簡単に製造
することを可能とした豆乳およびその製造法に関する。
【0002】
【従来の技術】近年、消費者の健康、栄養に対する関心
の増大、伝統食品の再評価に伴い大豆食品が注目されて
いる。中でも代表的な大豆食品である豆腐を家庭で手作
りしたいという消費者の要望がでてきている。しかしな
がら豆腐の製造にあたっては、例えば、(1)乾燥大豆
を長時間水に浸漬する工程、(2)浸漬大豆を磨砕し
「呉」(豆汁)を得る工程、(3)「呉」を豆乳とオカ
ラに分ける工程、(4)豆乳を煮沸する工程、(5)煮
沸豆乳に凝固剤を添加する工程、そして(6)凝固剤を
添加した豆乳を型に流し込み冷却凝固させる工程、等極
めて煩雑で手間のかかる工程が必要となる。更にこれら
煩雑な工程が必要なことから、消費者が家庭で常に良好
な味や硬さ等の食感をもつ豆腐を手作りすることは極め
て難しい。
【0003】これに対し、家庭で豆腐が手作りできるこ
とを唱う乾燥豆乳を主原料とした商品が販売されている
が、この商品も乾燥豆乳を水と混合して一旦沸騰させ、
その後凝固剤を添加し、型に流し込んだ後冷却すること
が必要で、簡単に豆腐ができるまでには至っていない。
一方、より簡単に家庭で豆腐を手作りできる技術も種々
提案されている。例えば、特開昭54−86648号公
報には、熱湯への乾燥豆乳の溶解性、分散性を改善し、
乾燥豆乳を熱湯に添加溶解し凝固剤を添加後冷却するだ
けで豆腐を調製する方法が開示されている。また特開昭
57−2652号、あるいは特開昭57−50859号
公報には、粉末豆乳あるいは粉末「呉」/増粘物質/凝
固剤を組み合わせることによって、水または熱湯を注加
するだけで簡単にできる即席豆腐の製造方法が、特開平
1−277467号公報には、粉末豆乳/凝固剤/触媒
(重合リン酸塩等)の組み合わせにより、熱湯に溶解
後、冷却固化し、豆腐を作る方法が、更に特開昭61−
162142号公報には、家庭での簡便な豆腐調製法と
して乾燥豆乳を主原料として特定の容器を用いた電子レ
ンジ加熱による方法がそれぞれ開示されている。これら
の方法はいずれも乾燥粉末化した豆乳あるいは「呉」を
主原料とした豆腐の調製方法で、従来の豆腐の製造方法
に比較してかなり簡便になっている。しかしながら液状
の豆乳あるいは「呉」を粉末化する際の乾燥、粉砕等の
工程で、風味の変化及び蛋白質の変性による凝固性の変
化は避けられず、更に増粘物質、触媒等の添加により、
上記方法で得られる豆腐は従来の一般的な製法による豆
腐の味、食感を再現するまでには至っていない。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】従って、家庭で良好な
風味、食感を持った豆腐の調製には、上記のような粉末
化工程での風味変化を避けた液状のままの豆乳の形態で
の利用が考えられる。しかし常法により得られる豆乳に
は、原料大豆由来の耐熱性芽胞菌はじめ各種の細菌が残
存するため極めて腐敗しやすく、商品として市場流通及
び保存性を考えた場合殺菌処理が不可欠である。すなわ
ち市場流通や一般家庭での1か月以上の長期間保存のた
めには、通常120℃〜150℃での加熱殺菌処理が必
要であるが、今度は、この殺菌処理を行うことにより豆
乳の凝固性が低下し、家庭での簡便な調理での豆腐の調
製は難しくなる。従って家庭での簡単な調理で豆腐を調
製する材料としては、現在市販されている豆乳は適して
いない。なお現在市場にある飲料用豆乳で豆腐ができる
ことをうたっている商品もあるが、凝固性が不十分で、
常法により得られる豆腐の外観、食感を再現するまでに
は至っていない。すなわちこのように良好な味、食感を
もつ豆腐を家庭で簡単に手作りする方法がないのが現状
である。
【0005】本発明は、1か月以上の長期保存が可能
で、しかも特殊な容器を必要とせずに電子レンジによる
加熱等のきわめて簡単な調理方法で、一般製法で作られ
た豆腐と遜色のない風味、食感を持つ豆腐をはじめ、茶
碗蒸し様食品等の蛋白ゲル化食品の調製が可能な豆乳を
提供することを目的とするものである。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明者はかかる実情を
考慮し、(1)風味の悪化する乾燥、粉砕等の工程を必
要としない液状豆乳の形態での利用、(2)殺菌処理を
行うことによって商品として市場流通、保存可能な豆乳
の提供、そして(3)電子レンジによる加熱等の簡単な
調理方法で豆腐の調製ができる豆乳の提供を目標に鋭意
研究を行った。その結果、上記目標の豆乳を得るために
は前述のような120℃〜150℃で加熱殺菌処理を行
っても、豆乳中には沈降係数23S〜5000Sの分画
条件で沈殿する蛋白質が3.4重量%以上存在すること
が必要であることが判明した。これにより、加熱殺菌処
理を行っても、例えば、豆腐を作る際の凝固剤の存在下
でのゲル化性能が充分に発現することがわかった。従っ
て、きわめて簡単な電子レンジによる短時間の加熱で、
一般製法で作られた豆腐と遜色のない食感等を持つ豆腐
の調製が可能となり、またこのような豆乳を用いること
により、豆腐以外の茶碗蒸し様食品をはじめ色々な蛋白
ゲル化食品への応用もできることをも見出し、本発明を
完成したものである。
【0007】本発明は、120℃〜150℃で加熱殺菌
処理を行った豆乳であって、豆乳成分の遠心分画におい
て、沈降係数23S〜5000Sの分画条件で沈殿する
蛋白質が、豆乳中に3.4重量%以上含有されているこ
とを特徴とする蛋白ゲル化食品用豆乳にある。
【0008】また本発明は、水に浸漬した原料大豆を磨
砕し、呉(豆汁)を得る第一工程、呉の中に含まれる豆
乳に対して0.05重量%〜1.0重量%のグリセリン
脂肪酸エステル又はグリセリン重合度2〜3のポリグリ
セリンの脂肪酸エステルを液晶状態で呉に添加した後豆
乳を分離する、あるいは呉から分離した豆乳に該エステ
ルを液晶状態で添加する第二工程、次いで得られた豆乳
を120℃〜150℃で加熱殺菌処理する第三工程から
なり、これにより豆乳中に豆乳成分の遠心分画におい
て、沈降係数23S〜5000Sの分画条件で沈殿する
蛋白質を3.4重量%以上含有する蛋白ゲル化食品用豆
乳の製造法にもある。
【0009】以下に本発明の好ましい態様を記載する。 (1)沈降係数23S〜5000Sの分画条件で沈殿す
る蛋白質が、3.7重量%以上、5重量%以下含有され
ている。 (2)グリセリン脂肪酸エステル又はグリセリン重合度
2〜3のポリグリセリンの脂肪酸エステルが、豆乳に対
して0.1重量%〜0.5重量%の範囲で添加されてい
る。 (3)グリセリン脂肪酸エステルが、グリセリンと炭素
数10〜24(好ましくは、炭素数14〜20)の飽和
または不飽和脂肪酸とのエステルの一種または二種以上
の混合物である。 (4)グリセリン重合度2〜3のポリグリセリンの脂肪
酸エステルが、重合度2〜3のポリグリセリンと炭素数
10〜24(好ましくは、炭素数14〜20)の飽和ま
たは不飽和脂肪酸とのエステルの一種または二種以上の
混合物である。
【0010】以下に、本発明の蛋白ゲル化食品用豆乳及
びその製造法について説明する。本発明の蛋白ゲル化食
品用豆乳は、120℃〜150℃で加熱殺菌処理を行っ
た豆乳中に、沈降係数23S〜5000Sの分画条件で
沈殿する蛋白質が3.4重量%以上含有されていること
を特徴とする。ここで沈降係数23S〜5000Sの分
画条件で沈殿する蛋白質とは、大豆蛋白質を構成する7
Sグロブリン、11Sグロブリンを主成分蛋白質として
これらが一定の構造体をとって集合した蛋白会合体をい
い、レーザー散乱法による測定から1億以上のきわめて
高分子量のものである。本明細書において、沈降係数2
3S〜5000Sの分画条件で沈殿する蛋白質を蛋白会
合体と称す。そして豆乳中の蛋白会合体量は、遠心ロー
ターの固有値であるK値から求めた遠心分画条件で以下
に記載する方法により測定されたものである。
【0011】本発明の豆乳は、上記蛋白会合体が凝固剤
の存在下加熱により互いに結合しあうことにより、ネッ
トワーク構造、すなわち蛋白ゲルを形成することにより
凝固するが、電子レンジでの2〜3分程度の短時間の加
熱で市販豆腐なみの高ゲル強度及び食感を付与させるた
めには、蛋白会合体が豆乳中に3.4重量%以上含有さ
れていることが必要であり、好ましくは3.7重量%以
上である。蛋白会合体の含有量が3.4重量%未満で
は、量が少なく互いに結合してもルーズなネットワーク
構造しか形成されず、目的とする豆腐本来の硬さなどの
食感を得ることができない。また本発明の豆乳中の蛋白
会合体の上限含有量は特に規定しないが、電子レンジで
の短時間加熱でゲル強度を指標としたゲル形成能の増大
は蛋白会合体含有量が5重量%でほぼ平衡に達すること
から、蛋白会合体の上限含有量は、5重量%であること
が好ましい。
【0012】豆乳中に含まれる蛋白会合体量の測定方法
を以下に詳述する。 (1)予備遠心分離 測定豆乳約40gを遠心チューブ(φ26×90mm)
に秤量し、2万rpmにおいてK値417のローターを
用い、日立高速冷却遠心機(SCR20B)により2万
rpmで5分間遠心分離を行い豆乳中に残存する細かい
粒子のおからおよび蛋白凝集物等の沈降係数5000S
以上の不溶固形物を沈殿物として分離した。遠心分離
後、液部及びクリーム部の上層をデカンテーションによ
り分離し、上層部、下層沈殿部の重量を各々測定した。 (2)超遠心分離 予備遠心で得た上層の液部とクリーム部を卓上ホモジナ
イザーを用い均一化した後、約35gを超遠心用チュー
ブ(φ25×90mm)に秤量し、7万rpmにおいて
K値46のローターを用い、日立分離用超遠心機(SC
P85H2)により7万rpmで2時間遠心分離を行
い、沈降係数23S〜5000Sの範囲にある蛋白質か
らなる沈殿部と液、クリームからなる上層部とに分離し
た。次にデカンテーションにより上層部と沈殿部に分離
し、各々の重量を測定した。 (3)蛋白会合体量の測定 超遠心分離で得た沈殿部中の窒素含量をケルダール法に
より測定し、この窒素含量に6.25を乗じた値を沈殿
部中の蛋白含量として、超遠心分離により沈殿する蛋白
量を算出した。なお、本蛋白量の測定は、日本農林規格
(JAS)に定められた豆乳中の蛋白量測定法に準じ
た。豆乳中の蛋白会合体量(P)(単位:重量%)は、
次式により算出した。 P=(D×B/C)×100/A A:予備遠心分離に供した豆乳量(g) B:予備遠心分離での上層部量(g) C:超遠心分離に供した予備遠心分離での上層部量
(g) D:超遠心分離沈殿部蛋白量(g)
【0013】本発明の豆乳は、例えば、以下の方法で製
造することができる。すなわち、本発明の製造法は、水
に浸漬した原料大豆を磨砕し、呉を得る第一工程、呉の
中に含まれる豆乳に対して0.05重量%〜1.0重量
%のグリセリン脂肪酸エステル又はグリセリン重合度2
〜3のポリグリセリンの脂肪酸エステル(以下、単に乳
化剤と称する)を液晶状態で呉に添加した後豆乳を分離
する、あるいは呉から分離した豆乳に該乳化剤を液晶状
態で添加する第二工程、次いで得られた豆乳を120℃
〜150℃で加熱殺菌処理する第三工程からなる。また
本発明の豆乳の製造に際して、上記第二工程では、液晶
状態の乳化剤を添加する前の呉又は豆乳、あるいは液晶
状態の乳化剤を添加後の呉又は豆乳を煮沸することもで
きる。煮沸は、通常95〜105℃で、5分以内、好ま
しくは、2〜3分間である。これにより原料大豆からの
蛋白質等の溶出を更に容易に行うことができる。以下本
発明の豆乳の製造法を更に詳述する。
【0014】本発明の豆乳の製造に用いられる原料とし
ての大豆は、例えば丸大豆、大豆粉末、脱脂大豆、脱皮
大豆および脱胚軸大豆等、豆腐用あるいは飲料用豆乳の
原料として一般的に使われている大豆を挙げることがで
きる。また本発明の豆乳を製造するに際して、3.4重
量%以上の蛋白会合体を形成させるために、豆乳中の総
蛋白質量は4.5重量%〜7.0重量%であることが好
ましく、更に好ましくは5重量%〜6.5重量%であ
る。豆乳中の総蛋白質量が、4.5重量%未満では、生
成ゲルの弾力が低下し、食感がやや豆腐とは異なるもの
となり易く、また豆乳中の総蛋白質量が7.0重量%を
越えると糊っぽさが発現し、舌触り、歯触りなどの食感
が悪化し易くなる場合がある。
【0015】本発明の豆乳の製造法に用いる上記乳化剤
である、グリセリン脂肪酸エステルは、グリセリンと炭
素数10〜24、好ましくは、14〜20の飽和または
不飽和脂肪酸とのエステルの一種または二種以上の混合
物であることが好ましい。あるいはまたグリセリン重合
度2〜3のポリグリセリンの脂肪酸エステルは、重合度
2〜3のポリグリセリンと炭素数10〜24、好ましく
は、14〜20の飽和または不飽和脂肪酸とのエステル
の一種または二種以上の混合物であることが好ましい。
また平均エステル化度は、1〜2が好ましい。特に好ま
しい乳化剤の例として、ステアリン酸モノグリセリド、
ジグリセリンモノステアレート、及びジグリセリンモノ
オレエートを挙げることができる。
【0016】本発明において、上記グリセリン脂肪酸エ
ステルあるいはグリセリン重合度2〜3のポリグリセリ
ンの脂肪酸エステルは、水に分散、均質化させ、液晶状
態で添加する。本発明で用いる液晶は、ラメラ型液晶を
形成する条件、具体的には、上記乳化剤と水との混合重
量比が、95:5〜20:80の条件で調製した液晶で
あることが好ましい。更に好ましくは、80:20〜4
0:60の条件で調製した液晶である。なお、上記液晶
の調製に際し、ラメラ型液晶形成温度は乳化剤の構成脂
肪酸残基の種類、グリセリンの重合度などにより異なる
ため、適宜調整する。通常、この温度は、30〜100
℃の範囲である。
【0017】上記調製法で得られる液晶(ラメラ型液
晶)は、第一工程で得た呉あるいは呉から分離した豆乳
に、該豆乳に対して乳化剤として0.05重量%〜1.
0重量%、好ましくは、0.2〜0.5重量%となる添
加量で添加する。なお、液晶の添加に際して、豆乳の温
度は特に限定されず、常温程度でも良いし、あるいは、
第二工程において、煮沸を行った場合は、煮沸後の冷却
段階でも良いが、液晶の温度と豆乳の温度は、ほぼ同じ
であることが好ましい。
【0018】本発明の豆乳の製造法において、加熱殺菌
処理は、前述のように120℃〜150℃で行われる。
好ましくは130℃〜145℃である。加熱殺菌時間
は、1〜10秒が好ましく、更に好ましくは、1〜6秒
である。豆乳を商品として市場に出すためには、出荷時
に菌が検出されず、また各流通、保存条件で菌の増殖が
起こらないことが必要であるが、120℃未満の殺菌条
件では原料大豆由来の耐熱芽胞菌を死滅あるいは検出限
界以下まで殺菌することができない。更に15℃以下の
チルド流通、保存条件での菌の増殖も認められ、豆乳の
殺菌条件として適当ではない。また150℃を越える殺
菌条件では、豆乳中の蛋白質の急激な熱変性が進み、生
成ゲルの粘性増加による食感の悪化、高温による風味成
分の変化が生じるため殺菌条件としては適当でない。上
記の加熱殺菌条件による殺菌で、本発明の豆乳中の生菌
数は、豆乳1ml当り10個以下であることが好まし
い。
【0019】上記条件での加熱殺菌は、プレート式等の
間接殺菌機あるいは豆乳に蒸気を吹き込んで殺菌する直
接殺菌機による方法等、一般の液状食品の殺菌に用いら
れている方法が利用できる。なお、殺菌効率を高めるた
めに、原料として脱皮大豆を使用したり、あるいは原料
大豆の加熱処理、薬剤処理等の前処理を行うこともでき
る。
【0020】本発明の豆乳の製造法では、蛋白会合体の
形成は、液晶状態の乳化剤の存在下、95〜105℃の
温度範囲の加熱処理で最も促進されると考えられる。そ
して加熱処理が、上記のような120〜150℃の殺菌
条件である高温条件下では、蛋白会合体の形成と消滅が
同時に起ると考えられる。すなわち、液晶状態の乳化剤
の存在下の加熱処理により蛋白会合体の形成による蛋白
会合体量の増加と、蛋白変成による蛋白会合体量の減少
とが同時に起るが、最終的には豆乳中に3.4重量%以
上の蛋白会合体が含有されると考えられる。
【0021】また第二工程で煮沸を行った場合には、こ
の加熱(煮沸)処理によっても蛋白会合体量は増加す
る。すなわち液晶状態の乳化剤を添加する前の呉又は豆
乳を煮沸し、呉又は豆乳が煮沸状態から冷却し、その冷
却過程(75〜95℃未満)で液晶状態の乳化剤を添加
した場合や液晶状態の乳化剤を添加後の呉又は豆乳の煮
沸を行った場合にも蛋白会合体が形成されるために豆乳
中の蛋白会合体量は増加する。これにより得られた豆乳
に120〜150℃で加熱殺菌処理を施しても豆乳中に
は3.4重量%以上の蛋白会合体が存在している。
【0022】なお、本発明の豆乳には、風味づけのため
に呈味剤・フレーバー、着色剤、またゲル化性調整のた
めに、キサンタンガム、グアガム、ロカストビーンガ
ム、タマリンドガム、グアガム、ペクチン及びカラギー
ナン等の天然多糖類;ゼラチン、卵白末及びカゼイン等
の蛋白質を配合することができる。ゲル化性調整のため
の上記のような成分の添加量は、通常豆乳に対して0.
02〜1.0重量%、好ましくは、0.05〜0.5重
量%である。
【0023】本発明の豆乳を利用することにより、家庭
で例えば電子レンジによる加熱等の簡単な方法で豆腐を
はじめとする蛋白ゲル化食品を調理することができる。
具体的には、本発明の豆乳を開封した包装容器のままあ
るいは電子レンジ調理に適した容器に移し、これに凝固
剤を水溶液あるいは粉末状で添加、攪拌溶解したのち電
子レンジで2〜3分加熱する調理方法で極めて簡単に豆
腐をはじめとする食品の調理が可能である。本発明の豆
乳を用いた蛋白ゲル化食品の例としては、上記のような
豆腐、あるいは種々の食品素材を混ぜて作った豆腐様食
品(うなぎ豆腐、五目豆腐など)、茶わん蒸し類、そし
てプリン類を挙げることができる。
【0024】上記凝固剤は、通常豆腐の製造に使用され
ている凝固剤であればよく、例えば塩化マグネシウム、
塩化カルシウム、硫酸マグネシウム、硫酸カルシウム等
のアルカリ土類金属塩および天然にがり、また水と熱の
存在下で分解して有機酸を生成するグルコノラクトン、
アルドノラクトン、ガラクトノラクトン等のデルタある
いはガンマラクトンの中から選ばれる一種または二種以
上の凝固剤が使用できる。上記凝固剤の中では豆腐の風
味、および短時間のゲル化により電子レンジ調理直後で
も豆腐の物性が発現し、暖かい状態の豆腐を食べられる
点から、速効性凝固剤である塩化マグネシウムを主とし
た凝固剤の使用が好ましい。なお、凝固剤は、例えば凝
固剤粉末あるいは水溶液を油脂等の疎水性物質、多糖類
等でコーティングした所謂カプセルの形態で使用しても
良い。この形態では、凝固剤をあらかじめ豆乳中に添加
しておくことができ、電子レンジの加熱によりカプセル
が壊れ凝固剤が豆乳中に分散、溶解し、ゲル化が開始す
る。この方法を利用することで調理の簡便さが一層向上
する。
【0025】
【実施例】以下の実施例及び比較例により本発明を更に
具体的に説明するが、本発明はこれらの例に限定される
ものではない。なお、以下に記載の%はすべて重量%で
ある。また以下で調製した液晶は、X線回折法により確
認した。
【0026】[実施例1]以下の方法で豆乳を製造し
た。20℃で12時間水に浸漬した原料丸大豆に、該丸
大豆に対して2.6倍重量の水を加えながら磨砕し、
「呉」を得た。次にこの「呉」を煮沸釜に移し、直接蒸
気吹き込みにより98℃〜100℃で3分間煮沸した
後、豆腐用おから絞り機(高橋商店製、トーファー)に
よりおからを分離した。得られた熱豆乳(75℃〜80
℃)に、ジグリセリンモノステアレート(サンソフトQ
−18D、太陽化学(株)製)/水=3/2(重量比)
の混合物を70℃〜75℃で加熱攪拌混合し、調製した
液晶(ラメラ型液晶)を豆乳に対して0.5%添加し
た。その後ホモミキサーを用い豆乳を3000rpmで
5分間混合、均一化し、蛋白質含有量5.6%の豆乳を
得た。なお、豆乳中の生菌数を測定した結果、豆乳1ミ
リリットル当たり5900個検出された。次に得られた
豆乳を脱気した後、直接加熱式殺菌機で125℃、5秒
の条件で殺菌した。次いで殺菌された豆乳は、ホモジナ
イザーにより100kg/cm2で均質化した後、無菌
容器に充填し、本発明に従う豆乳1を得た。
【0027】[比較例1]上記実施例1において、直接
加熱式殺菌機での殺菌条件を115℃、7秒に変えた以
外は、実施例1と同様にして比較用豆乳1−aを得た。
なお、殺菌処理前の豆乳中の生菌数を測定した結果、豆
乳1ミリリットル当たり6400個検出された。
【0028】[比較例2]上記実施例1において、ジグ
リセリンモノステアレート/水=3/2(重量比)から
なる液晶を添加しなかった以外は、実施例1と同様にし
て比較用豆乳1−bを得た。
【0029】[比較例3]上記比較例2において、直接
加熱式殺菌機での殺菌条件を115℃、7秒に変えた以
外は、比較例2と同様にして比較用豆乳1−cを得た。
【0030】[豆乳としての評価]以上のようにして得
られた各豆乳を用いて以下の項目について評価した。 (1)各温度(25℃、15℃及び10℃)での保存試
験による菌安定性(菌増殖、代謝による豆乳の変質、凝
固が認められるまでの保存日数)、(2)蛋白会合体含
有量、(3)豆乳を用いて下記の方法で調製した豆腐の
ゲル化能(ゲル測定強度)、及び(4)調製した豆腐の
官能評価(風味、食感、及び総合評価)
【0031】豆腐の調製およびゲル強度測定は下記の通
りである。 (豆腐の調製)豆乳200mlを270ml容量のポリ
プロピレン製容器にとり、これに塩化マグネシウム25
%水溶液を2.8g加え、攪拌した。次に容器に蓋を
し、これを電子レンジ(ナショナルNE−AC60)に
移し、出力600Wの条件で2.5分間加熱した。加熱
後、室温で30分間放冷し更に10℃で5時間冷却し
て、豆腐を調製した。得られた豆腐をゲル強度測定試料
および官能評価試料とした。
【0032】(ゲル強度の測定法)上記で調製した豆腐
を直径28mm、高さ20mmの円柱状に成形し、クリ
ープメーター(レオナ−RE−3350、山電(株)
製)を用い、40mmφプランジャーを使って、測定速
度1mm/秒、歪み率80%で測定した破断加重(g)
をそのゲル強度すなわち豆腐の固さとした。結果は三回
の測定値の平均値で表示した。なお、市販豆腐の上記ゲ
ル強度測定結果から、市販品の中で最も柔らかい豆腐の
ゲル強度が450g前後であることから、豆腐の固さと
してゲル強度450g以上必要である。
【0033】(官能評価)専門家パネル30名により、
総合評価、味、食感について官能評価し、評価結果を次
の基準で分類した。 A;30人のパネル中、26人以上が良好と認めた。 B;30人のパネル中、16〜25人以上が良好と認め
た。 C;30人のパネル中、6〜15人が良好と認めた。 D;30人のパネル中、0〜5人が良好と認めた。 結果を以下の表1に示す。なお、表1において、「菌安
定性」の欄における「>1か月」は、1か月以上保存後
においても豆乳の変質なく安定性良好であることを意味
する。
【0034】
【表1】 表1 ──────────────────────────────────── 実施例1 比較例1 比較例2 比較例3 (豆乳1)(豆乳1−a)(豆乳1−b)(豆乳1−c) ──────────────────────────────────── 総蛋白質量(%) 5.6 5.6 5.6 5.6 ──────────────────────────────────── 乳化剤量(%) 0.3 0.3 −−− −−− ──────────────────────────────────── 殺菌 温度(℃) 125 115 125 115 条件 時間(秒) 5 7 5 7 ──────────────────────────────────── 菌安定性 25℃ 4日 2日 4日 2日 保存試験 15℃ 22日 5日 20日 4日 10℃ >1か月 10日 >1か月 9日 ──────────────────────────────────── 蛋白会合体量(%) 3.9 4.1 3.2 3.4 ──────────────────────────────────── ゲル強度(g) 646 691 408 467 ──────────────────────────────────── 官能 総合評価 A A C B 評価 味評価 A A B A 食感評価 A A C B ────────────────────────────────────
【0035】上記表1に示された結果から、特定の乳化
剤を使用して調製した本発明に従う豆乳1(実施例1)
は、菌安定性を有すると共に、これを使用して製造した
豆腐は充分な固さを維持し、かつ風味、食感においても
良好であることがわかる。一方、殺菌処理条件を115
℃、7秒とした比較例1の豆乳1−aでは、菌安定性が
なく、商品価値として不十分であり、また豆乳の調製時
に特定の乳化剤を使用しないで調製した比較例2及び3
の豆乳1−b、及び1−cについて、豆乳1−bでは、
充分な固さの豆腐が作れないばかりか、得られた豆腐の
風味、食感も良くなく、また豆乳1−cでは、菌安定性
が極めて悪く、商品価値がないことがわかる。
【0036】[実施例2]及び[実施例3] 上記実施例1において、直接加熱式殺菌機での殺菌条件
を135℃、3秒、又は145℃、3秒に変えた以外
は、実施例1と同様にしてそれぞれに対応する本発明に
従う豆乳2及び3を得た。
【0037】[比較例4]及び[比較例5] 上記実施例2及び実施例3において、ジグリセリンモノ
ステアレート/水=3/2(重量比)からなる液晶を添
加しなかった以外は、実施例2及び実施例3と同様にし
て比較用の豆乳2−b及び3−bを得た。なお、殺菌処
理前の豆乳中の生菌数を測定した結果、豆乳1ミリリッ
トル当たり6400個検出された。
【0038】[実施例4]20℃で12時間水に浸漬し
た原料丸大豆に、該丸大豆に対して2.6倍重量の水を
加えながら磨砕し、「呉」を得た。次にこの「呉」を、
直ちに豆腐用おから絞り機(高橋商店製、トーファー)
によりおからと豆乳に分離した。得られた豆乳に、ジグ
リセリンモノオレエート(DGMO90、日光ケミカル
ズ(株)製)/水=3/2(重量比)の混合物を40℃
で攪拌混合し、調製した液晶(ラメラ型液晶)を豆乳に
対して0.5%添加した。その後ホモミキサーを用い豆
乳を3000rpmで5分間混合、均一化し、蛋白質含
有量6.6%の豆乳を得た。なお、豆乳中の生菌数を測
定した結果、豆乳1ミリリットル当たり32000個検
出された。次に上記豆乳を脱気した後、直接加熱式殺菌
機で135℃、6秒の条件で殺菌した。殺菌豆乳は、ホ
モジナイザーにより100kg/cm2 で無菌的に均質
化した後、無菌容器に充填し、本発明に従う豆乳4を得
た。
【0039】[実施例5]上記実施例4において、直接
加熱式殺菌機での殺菌条件を145℃、3秒に変えた以
外は、実施例4と同様にして本発明に従う豆乳5を得
た。
【0040】[豆乳としての評価]以上のようにして得
られた各豆乳について、前記実施例1と同様な方法で評
価した。結果を以下の表2に示す。
【0041】
【表2】 表2 ──────────────────────────────────── 実施例2 比較例4 実施例3 比較例5 実施例4 実施例5 豆乳2 豆乳2−b 豆乳3 豆乳3−b 豆乳4 豆乳5 ──────────────────────────────────── 総蛋白質 5.6 5.6 5.6 5.6 6.6 6.6 量(%) ──────────────────────────────────── 乳化剤 0.3 −−− 0.3 −−− 0.3 0.3 量(%) ──────────────────────────────────── 殺菌条件 温度(℃)135 135 145 145 135 145 時間(秒) 3 3 3 3 6 4 ──────────────────────────────────── 菌安定性(保存試験) 25℃ 19日 17日 19日 >1か月 24日 >1か月 15℃ >1か月 >1か月 >1か月 >1か月 >1か月 >1か月 10℃ >1か月 >1か月 >1か月 >1か月 >1か月 >1か月 ──────────────────────────────────── 蛋白会 3.6 2.8 3.4 2.4 4.5 4.3 合体量(%) ──────────────────────────────────── ゲル強度(g)533 277 462 154 748 713 ──────────────────────────────────── 官能評価 総合評価 A D B D A A 風味評価 A B A C A A 食感評価 A D B C B A ────────────────────────────────────
【0042】上記表2に示された結果から、特定の乳化
剤を使用して調製した本発明に従う豆乳2〜5(実施例
2〜5)は、菌安定性を有すると共に、これを使用して
製造した豆腐は充分な固さを維持し、かつ風味、食感に
おいても良好である。一方、豆乳の調製時に特定の乳化
剤を使用しないで調製した豆乳2−b(比較例4)及び
3−b(比較例5)では、充分な固さの豆腐が作れない
ばかりか、得られた豆腐の風味、食感も良くない。
【0043】また上記表1及び表2の結果から、長期保
存可能な豆乳を得るためには常温保存品では145℃程
度の殺菌温度、チルド保存品でも125℃程度の殺菌温
度、条件での殺菌が必要なことがわかる。また電子レン
ジ加熱で調製した豆腐のゲル強度と豆乳中の蛋白会合体
量はきわめて良い相関性を示し、市販豆腐レベルのゲル
強度(450g以上)を得るための蛋白会合体量として
3.4%以上必要なことがわかる。更に専門パネルによ
る豆腐の官能評価でも、蛋白会合体が3.4%未満では
豆腐のゲル強度が低下することにより食感の評価が悪く
なる。ゲル強度の低下とともに凝固剤(塩化マグネシウ
ム)の苦味が強く感じられるようになるため、味の評価
も低くなる。
【0044】[実施例6]常法により脱皮した乾燥大豆
6.5kgを20℃、12時間水に浸漬した後、浸漬大
豆に浄水14.5kgを加えながら豆摺機(長沢機械製
作所製)により磨砕し「呉」を得た。次にこの「呉」を
煮沸釜に移し、直接蒸気吹き込みにより98℃〜100
℃、3分間煮沸した後、豆腐用おから絞り機(高橋商店
製、トーファー)によりおからを分離した。得られた熱
豆乳(75℃〜80℃)に、ステアリン酸モノグリセリ
ド(エキセルT−95、花王(株)製)/水=3/2
(重量比)の混合物を70℃〜75℃で加熱攪拌混合
し、調製した液晶(ラメラ型液晶)を125g添加し
た。その後、ホモミキサーを用い豆乳を3000rpm
で5分間混合・均一化し、蛋白含有量6.0%の豆乳2
4.5gを得た。なお、豆乳中の生菌数を測定した結
果、豆乳1ミリリットル当たり800個検出した。次に
上記豆乳を脱気した後、直接加熱式殺菌機で140℃、
3秒の条件で殺菌した後、ホモジナイザーにより100
kg/cm2 で均質化し、無菌容器に充填し、本発明に
従う豆乳6を得た。
【0045】[比較例6]上記実施例1において、ステ
アリン酸モノグリセリドと水とからなる液晶を添加しな
かった以外は、実施例1と同様にして比較用の豆乳6−
bを得た。
【0046】[豆乳としての評価]以上のようにして得
られた豆乳6及び豆乳6−bについて、前記実施例1と
同様な方法で評価した。結果を以下の表3に示す。
【0047】[実施例7]乾燥丸大豆6.5kgを20
℃、12時間水に浸漬した後、浸漬大豆に浄水20.6
kgを加えながら豆摺機(長沢機械製作所製)により磨
砕し、「呉」を得た。次にこの「呉」を煮沸釜に移し、
直接蒸気吹き込みにより98℃〜100℃、3分間煮沸
した後、豆腐用おから絞り機(高橋商店製、トーファ
ー)によりおからを分離した。得られた熱豆乳(75℃
〜80℃)に、ジグリセリンモノステアレート(サンソ
フトQ−18D、太陽化学(株)製)/水=3/2(重
量比)の混合物を70℃〜75℃で加熱攪拌混合し、調
製した液晶(ラメラ型液晶)を175g添加した。その
後、ホモミキサーを用い豆乳を3000rpmで5分間
混合・均一化し、蛋白質含有量4.8%の豆乳32.2
gを得た。なお、豆乳中の生菌数を測定した結果、豆乳
1ミリリットル当たり4500個検出した。次に上記豆
乳を脱気後、直接加熱式殺菌機で125℃、5秒の条件
で殺菌し、ホモジナイザーにより100kg/cm2
無菌的に均質化し、無菌容器に充填し、本発明に従う豆
乳7を得た。
【0048】[豆乳としての評価]以上のようにして得
られた豆乳について、前記実施例1と同様な方法で評価
した。なお、豆腐は以下の方法で調製した。 (豆腐の調製)豆乳200mlを270ml容量のポリ
プロピレン製容器にとり、これにグルコノデルタラクト
ン(GDL)25%水溶液を2.4g加え攪拌した。次
に容器に蓋をし、電子レンジ(ナショナルNE−AC6
0)に移し、出力600Wの条件で2.5分加熱した。
加熱後、室温で30分間放冷しさらに10℃で5時間冷
却して、豆腐を調製した。得られた豆腐を前記と同様に
ゲル強度測定試料および風味評価試料とした。結果を以
下の表3に示す。
【0049】[実施例8]常法により脱皮・脱胚軸した
乾燥大豆6.5kgを20℃、8時間水に浸漬した後、
浸漬大豆に浄水20.0kgを加えながら豆摺機(長沢
機械製作所製)により磨砕し、「呉」を得た。次にこの
「呉」を直ちに豆腐用おから絞り機(高橋商店製、トー
ファー)によりおからと豆乳に分離し、得られた豆乳
に、ジグリセリンモノオレエート(DGMO90、日光
ケミカルズ(株)製)/水=3/2(重量比)の混合物
を40℃で攪拌混合し、調製した液晶(ラメラ型液晶)
を140g添加した。その後更に、鰹節エキス26g、
濃口醤油110g、及び食塩29gを添加した。得られ
た豆乳をホモミキサーにより3000rpmで5分間混
合・均一化し、蛋白質含有量5.8%の調味豆乳を2
6.2gを得た。豆乳中の生菌数を測定した結果、豆乳
1ミリリットル当たり4400個検出した。次に上記豆
乳を脱気後、直接加熱式殺菌機で145℃、4秒の条件
で殺菌し、ホモジナイザーにより100kg/cm2
無菌的に均質化し、無菌容器に充填し、本発明に従う豆
乳8を得た。
【0050】[豆乳としての評価]以上のようにして得
られた豆乳8について、前記実施例1と同様な方法で評
価した。なお、豆腐は以下の方法で調製した。 (ゲル強度測定用豆腐の調製)豆乳200mlを270
ml容量のポリプロピレン製容器にとり、これに塩化マ
グネシウム/グルコノデルタラクトン(GDL)=4/
1(重量比)25%水溶液を2.8g加え攪拌した。次
に容器に蓋をし、電子レンジ(三菱RO−MS7)に移
し、出力500Wの条件で2.5分間加熱した。加熱
後、室温で30分間放冷しさらに10℃で5時間冷却し
て、豆腐を調製した。この豆腐をゲル強度測定試料とし
た。
【0051】(官能評価用豆腐の調製)豆乳150ml
を200ml容量の茶碗蒸容器にとり、これに塩化マグ
ネシウム/グルコノデルタラクトン(GDL)=4/1
(重量比)25%水溶液を2.1g加え攪拌した。次に
容器に蓋をし、電子レンジ(三菱RO−MS7)に移
し、出力500Wの条件で2.0分間加熱した。加熱
後、室温で3分間放置した後、温かい状態の豆腐を調製
し、これを専門パネルの官能評価用豆腐とした。結果を
以下の表3に示す。
【0052】[実施例9]乾燥丸大豆6.5kgを20
℃、12時間水に浸漬した後、浸漬大豆に浄水18.5
kgを加えながら豆摺機(長沢機械製作所製)により磨
砕し、「呉」を得た。次にこの「呉」を煮沸釜に移し、
直接蒸気吹き込みにより98℃〜100℃、3分間煮沸
した後、豆腐用おから絞り機(高橋商店製、トーファ
ー)によりおからを分離した。得られた熱豆乳(75℃
〜80℃)に、ジグリセリンモノステアレート(サンソ
フトQ−18D、太陽化学(株)製)/水=3/2(重
量比)の混合物を70℃〜75℃で加熱攪拌混合し、調
製した液晶(ラメラ型液晶)を147g、及びローカス
トビーンガムを29g添加した。その後、ホモミキサー
を用い豆乳を3000rpmで5分間混合・攪拌し、蛋
白質含有量5.2%の豆乳29.6kgを得た。なお、
豆乳中の生菌数を測定した結果、豆乳1ミリリットル当
たり5300個検出した。次に上記豆乳を脱気後、直接
加熱式殺菌機で135℃、3秒の条件で殺菌し、ホモジ
ナイザーにより100kg/cm2 で無菌的に均質化
し、無菌容器に充填し、本発明に従う豆乳9を得た。
【0053】[比較例7]上記実施例9において、ジグ
リセリンモノステアレートと水からなる液晶を添加しな
かった以外は、実施例9と同様にして比較用の豆乳9−
bを得た。
【0054】[豆乳としての評価]以上のようにして得
られた豆乳9及び豆乳9−bについて、前記実施例1と
同様な方法で評価した。結果を以下の表3に示す。
【0055】
【表3】 表3 ──────────────────────────────────── 実施例6 比較例6 実施例7 実施例8 実施例9 比較例7 豆乳6 豆乳6−b 豆乳7 豆乳8 豆乳9 豆乳9−b ──────────────────────────────────── 総蛋白質 6.0 6.0 4.8 5.8 5.2 5.2 量(%) ──────────────────────────────────── 乳化剤 0.3 −−− 0.3 0.3 0.3 −−− 量(%) ローカスト −−− −−− −−− −−− 0.1 0.1 ビーンガム量(%) ──────────────────────────────────── 殺菌条件 温度(℃)140 140 125 145 135 135 時間(秒) 3 3 5 4 3 3 ──────────────────────────────────── 菌安定性(保存試験) 25℃ >1か月 >1か月 6日 >1か月 17日 19日 15℃ >1か月 >1か月 25日 >1か月 >1か月 >1か月 10℃ >1か月 >1か月 >1か月 >1か月 >1か月 >1か月 ──────────────────────────────────── 蛋白会 3.7 2.9 3.5 3.8 3.5 2.6 合体量(%) ──────────────────────────────────── ゲル強度(g)561 337 552 583 571 273 ──────────────────────────────────── 官能評価 総合評価 A C A A A D 風味評価 A B B A A C 食感評価 A D A A A D ────────────────────────────────────
【0056】上記表3に示された結果から、特定の乳化
剤を使用して調製した本発明に従う豆乳6〜9(実施例
6〜9)は、菌安定性を有すると共に、これを使用して
製造した豆腐は充分な固さを維持し、かつ風味、食感に
おいても良好であることがわかる。一方豆乳の調製時に
特定の乳化剤を使用しないで調製すると(比較例6、豆
乳6−b及び比較例7、豆乳9−b)、充分な固さの豆
腐が作れないばかりか、得られた豆腐の風味、食感も良
くない。なお豆乳9(実施例9)には、ゲル化性調整の
ために、乳化剤と共にローカストビーンガムを添加する
と更にゲル化強度を高めることができるが、ローカスト
ビーンガムの添加のみでは、豆乳9−b(比較例7)に
見られるように、充分なゲル化強度を得ることはできな
い。
【0057】[比較例8]総蛋白含量5.0%の市販豆
乳を前記実施例1と同様な方法で評価した。結果を以下
の表4に示す。なお、ゲル評価用の豆腐は、前記実施例
7と同様な方法で調製したが、表に見られるように、ゲ
ル化能が極めて低く、豆腐状まで凝固せず、パネルによ
る官能評価はできなかった。
【0058】
【表4】 表4 ──────────────────────────────────── 比較例8(市販豆乳) ──────────────────────────────────── 総蛋白質量(%) 5.0 ──────────────────────────────────── 乳化剤量(%) −−− ──────────────────────────────────── 菌安定性 25℃ 1か月以上 (保存試験)15℃ 1か月以上 10℃ 1か月以上 ──────────────────────────────────── 蛋白会合体量(%) 1.9 ──────────────────────────────────── ゲル強度(g) 99 ────────────────────────────────────
【0059】
【発明の効果】本発明の豆乳を使用することで、家庭に
おいて豆腐本来の味と舌触り、歯触りを持つ豆腐を、電
子レンジを用いて2〜3分間加熱するだけの極めて簡単
な方法で調製することができる。また本発明の豆乳は液
状の形態であることから、食塩、醤油、旨味調味料等の
調味料、わさび、からし等の香辛料、その他の食品素材
と混合するだけの手間で色々な種類の豆腐を簡単に作る
ことができる。更に本発明の豆乳は、家庭でのアレンジ
により茶碗蒸し様、プリン様の料理、あるいはデザート
類の蛋白ゲル化食品をも簡単に調理できるなど、広い料
理範囲に応用できる。そして更に本発明の豆乳は殺菌さ
れているので、買い置き、保存ができ、家庭で必要な時
にいつでも豆腐を調製できる。
【手続補正書】
【提出日】平成6年12月14日
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0041
【補正方法】変更
【補正内容】
【0041】
【表2】

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 120℃〜150℃で加熱殺菌処理を行
    った豆乳であって、豆乳成分の遠心分画において、沈降
    係数23S〜5000Sの分画条件で沈殿する蛋白質
    が、豆乳中に3.4重量%以上含有されていることを特
    徴とする蛋白ゲル化食品用豆乳。
  2. 【請求項2】 更にグリセリン脂肪酸エステル又はグリ
    セリン重合度2〜3のポリグリセリンの脂肪酸エステル
    が、0.05重量%〜1.0重量%含有されていること
    を特徴とする請求項1に記載の豆乳。
  3. 【請求項3】 豆乳中の総蛋白質量が、4.5重量%〜
    7.0重量%である請求項1に記載の豆乳。
  4. 【請求項4】 水に浸漬した原料大豆を磨砕し、呉を得
    る第一工程、呉の中に含まれる豆乳に対して0.05重
    量%〜1.0重量%のグリセリン脂肪酸エステル又はグ
    リセリン重合度2〜3のポリグリセリンの脂肪酸エステ
    ルを液晶状態で呉に添加した後豆乳を分離する、あるい
    は呉から分離した豆乳に該エステルを液晶状態で添加す
    る第二工程、次いで得られた豆乳を120℃〜150℃
    で加熱殺菌処理する第三工程からなり、これにより豆乳
    中に豆乳成分の遠心分画において、沈降係数23S〜5
    000Sの分画条件で沈殿する蛋白質を3.4重量%以
    上含有する蛋白ゲル化食品用豆乳の製造法。
  5. 【請求項5】 上記第二工程において、豆乳に対して
    0.05重量%〜1.0重量%のグリセリン脂肪酸エス
    テル又はグリセリン重合度2〜3のポリグリセリンの脂
    肪酸エステルを液晶状態で添加する前の呉又は豆乳、あ
    るいは該エステルを添加後の呉又は豆乳を煮沸する請求
    項4に記載の豆乳の製造法。
JP6095537A 1994-04-08 1994-04-08 蛋白ゲル化食品用豆乳及びその製造法 Withdrawn JPH07274885A (ja)

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Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
KR101332009B1 (ko) * 2010-12-07 2013-11-25 심윤옥 순콩비지 제조 방법 및 이 방법에 의해 제조된 순콩비지

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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
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