JPH07274825A - 易吸収性飲食品およびその製造法 - Google Patents

易吸収性飲食品およびその製造法

Info

Publication number
JPH07274825A
JPH07274825A JP6087653A JP8765394A JPH07274825A JP H07274825 A JPH07274825 A JP H07274825A JP 6087653 A JP6087653 A JP 6087653A JP 8765394 A JP8765394 A JP 8765394A JP H07274825 A JPH07274825 A JP H07274825A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
oil
fat
lard
palmitoyl
food
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP6087653A
Other languages
English (en)
Inventor
Seiichiro Aoe
誠一郎 青江
Mototake Murakami
元威 村上
Hiroaki Matsuyama
博昭 松山
Sachiko Yahagi
佐智子 矢作
Masatoshi Yahiro
政利 八尋
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Snow Brand Milk Products Co Ltd
Original Assignee
Snow Brand Milk Products Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Snow Brand Milk Products Co Ltd filed Critical Snow Brand Milk Products Co Ltd
Priority to JP6087653A priority Critical patent/JPH07274825A/ja
Publication of JPH07274825A publication Critical patent/JPH07274825A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Acyclic And Carbocyclic Compounds In Medicinal Compositions (AREA)
  • Coloring Foods And Improving Nutritive Qualities (AREA)
  • Edible Oils And Fats (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【目的】 吸収性が良好でエネルギー化が容易な油脂含
有飲食品を提供する。 【構成】 2−パルミトイル−1,3−ジオレイルグリ
セロールを油脂成分として5重量%以上含有させること
により、飲食品の吸収性を増加させと共に、エネルギー
化を容易なものとする。 【効果】 この飲食品に含まれる2−パルミトイル−
1,3−ジオレイルグリセロールは、生体内での消化吸
収性が良好であり、容易にエネルギー化される。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、2−パルミトイル−
1,3ジオレイルグリセロールを一定量含有させること
によって消化吸収性を改善し、エネルギーを補給するこ
とのできる飲食品およびその製造法に関する。
【0002】
【従来の技術】我々が日常の食生活の中で摂取する天然
油脂には、大豆油、ナタネ油、サフラワー油などに代表
される植物系油脂、豚脂や牛脂のような動物系油脂、な
らびに魚油がある。この中、植物系油脂は必須脂肪酸で
あるリノール酸を多く含み、動物系油脂は中鎖脂肪酸や
飽和脂肪酸、モノ不飽和脂肪酸を多く含む。また、魚油
は炭素数20以上のエイコサペンタエン酸(EPA)やド
コサヘキサエン酸(DHA)などの高度不飽和脂肪酸を
多く含むという特徴を有している。そして、必須脂肪酸
の栄養生理学的な検討についてはこれまで多くの報告が
あり、特に、リノール酸が血清コレステロールの低下効
果を示すことやエイコサペンタエン酸(EPA)、ドコ
サヘキサエン酸(DHA)が脳血栓予防効果を示すこと
などの知見から、高度不飽和脂肪酸の摂取が盛んに提唱
されてきている。なお、これらの高度不飽和脂肪酸はn
−3系脂肪酸あるいはn−6系脂肪酸と称され、それぞ
れ特有の代謝を受ける。したがって、これらの高度不飽
和脂肪酸はエネルギー源というより生理機能を維持する
ために必須の脂肪酸と考えられている。しかし、これら
の高度不飽和脂肪酸については、過剰に摂取すると発癌
を促進したりするなどの問題もある。
【0003】また、飽和脂肪酸やモノ不飽和脂肪酸の摂
取に関しては、これらの脂肪酸が必須脂肪酸でないとい
う理由であまり報告はないが、炭素数16以上の飽和脂肪
酸は融点が高いため消化吸収性が低いことが知られてい
る。しかし、母乳脂質はトリグリセリドの2位にパルミ
チン酸を多く含むため消化吸収性が非常に良いと言われ
ており、また、トリグリセリドの1,3位に結合したオ
レイン酸は消化吸収後のカイロミクロン脂肪の中で最も
エネルギー化し易い脂肪酸であると言われている。な
お、トリグリセリドの2位にパルミチン酸を多く含む油
脂としてラードがあるが、ラード中には消化吸収性の低
いステアリン酸が多く含まれていることから、全体とし
ては母乳脂質ほどの易吸収性は示さない。また、オレイ
ン酸を多く含む油脂としてカノーラ油(菜種油)がある
が、トリグリセリドの2位にパルミチン酸があまり多く
含まれないことから、消化管内で共存する他の脂質の消
化吸収性を助ける2−パルミチン酸モノグリセリドの供
給源とはならない。したがって、易吸収性の点でトリグ
リセリドの2位にパルミチン酸を多く含む油脂を摂取す
ることや易エネルギー性の点でトリグリセリドの1,3
位にオレイン酸を多く含む油脂を摂取することが望まし
いが、上記のラードやカノーラ油を単に混合して摂取す
るだけでは、それぞれの構造脂質の消化吸収速度が異な
るので、易吸収性および易エネルギー性の点でなお不充
分であるという問題があった。
【0004】一方、術後患者や高齢者のように消化機能
が衰えた人、あるいは食が細いためにエネルギーを効率
よく摂取する必要がある人々にとって、易吸収性の脂肪
酸もしくはトリグリセリドを配合した飲食品が必要とな
る。特に、高齢者は慢性的な糖尿病や高脂血症などを患
っており、その疾患の程度により食事の摂取が制限され
ているか、これらの疾患に至らないまでも健康上の配慮
から消化性の劣る脂質の摂取量を控えているのが現状で
あり、食生活の楽しさを失うばかりでなく、摂取カロリ
ーが不足するという問題もある。なお、高齢者用食品と
して、サフラワー油や魚油などを配合した製品も提案さ
れている(特開昭 56-140856号公報、特開平1-279827号
公報、特開平 4-26274号公報)。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】本発明者らは、上述の
問題点を鑑み、易吸収性および易エネルギー性の飲食品
を提供するべく、その飲食品に配合する油脂成分につい
て鋭意研究を行ったところ、トリグリセリドの2位がパ
ルミチン酸であり、1,3位がオレイン酸である構造を
有する2−パルミトイル−1,3ジオレイルグリセロー
ルを用いることにより、油脂の易吸収性および易エネル
ギー性を高めることができるという知見を得て本発明を
完成するに至った。したがって、本発明は、2−パルミ
トイル−1,3ジオレイルグリセロールを油脂成分とし
て一定量含有させて、油脂の易吸収性および易エネルギ
ー性を高めた飲食品を提供することを課題とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明で易吸収性および
易エネルギー性を示す油脂は、トリグリセリドの2位が
パルミチン酸であり、1,3位がオレイン酸である構造
を有する2−パルミトイル−1,3ジオレイルグリセロ
ールであって、本発明では、このトリグリセリドを油脂
成分として飲食品に5重量%以上含有させる。なお、実
際的には、2−パルミトイル−1,3ジオレイルグリセ
ロールに富む油脂を飲食品の油脂成分として配合し、2
−パルミトイル−1,3ジオレイルグリセロールを5重
量%以上含有させれば良い。このような2−パルミトイ
ル−1,3ジオレイルグリセロールに富む油脂は、本発
明者らが先に提案したラードを分画、精製する方法(特
願平5−317392号)や液状油脂を分子蒸留、水蒸
気蒸留、高分子膜、カラムクロマトグラフィーなどの処
理により得ることができる。また、通常行われている化
学合成法や1,3位特異性を有するリパーゼによるエス
テル交換法によっても2−パルミトイル−1,3ジオレ
イルグリセロールに富む油脂を得ることができる。
【0007】また、油脂の易吸収性および易エネルギー
性を高める2−パルミトイル−1,3ジオレイルグリセ
ロールを飲食品中の油脂成分として5重量%以上含有さ
せることができるのであれば、飲食品の形態に応じて、
2−パルミトイル−1,3ジオレイルグリセロールや2
−パルミトイル−1,3ジオレイルグリセロールに富む
油脂を他の食用油脂、例えば、大豆油、魚油、パーム核
油、乳脂肪あるいは月見草油などと適宜混合して用いて
も構わない。
【0008】なお、ラード中には油脂の消化吸収性に悪
影響のあるステアリン酸を含む3飽和型トリグリセリド
が含まれているので、このステアリン酸を含む3飽和型
トリグリセリドを予め除去しておくことが好ましい。因
みに、ステアリン酸を含む3飽和型トリグリセリドにつ
いては、油脂成分として2重量%以下とすることが特に
好ましい。
【0009】このようして、2−パルミトイル−1,3
ジオレイルグリセロールを油脂成分として5重量%以上
含有させた飲食品を製造するが、2−パルミトイル−
1,3ジオレイルグリセロールや2−パルミトイル−
1,3ジオレイルグリセロールに富む油脂は、30℃前後
の温度では通常液状であるため、油脂の易吸収性および
易エネルギー性を示す本発明の飲食品は、例えば、乳化
飲料、カロリー補給用スナック、粉末食品、マーガリ
ン、スープ類など用途に応じて種々の形態に加工するこ
とができる。そして、本発明の飲食品は、従来の動物系
油脂と植物系油脂の混合油脂を配合した飲食品よりも、
さらに油脂の吸収性が優れており、効率良く油脂をエネ
ルギーとして利用できる効果を有するものである。以下
に実施例および試験例を示し、本発明を具体的に説明す
る。
【0010】
【実施例1】2−パルミトイル−1,3ジオレイルグリ
セロールを18.9重量%含有する純製ラード1kgを40℃に
保持したアセトン 10l中で攪拌、溶解した後、穏やかに
攪拌しながら1℃/hの割合で4℃まで冷却して 144時間
保持した。その後、析出してきた固形部分を除去するた
めに口径30cmのブフナーロートを用いて瞬時に吸引濾過
し、その濾液を濃縮して溶媒を除去した後、常法により
蒸留し、2−パルミトイル−1,3ジオレイルグリセロ
ールを26.4重量%含有する分別ラード709gを得た。な
お、この分別ラードと原料として用いた純製ラードの脂
肪酸組成を表1に示す。
【0011】
【表1】 ──────────────────────────────────── 分別ラード 純製ラード ──────────────────────────────────── C14:0 2.5(%) 2.1(%) C16:0 23.4 25.7 C16:1 4.5 3.6 C18:0 7.4 13.8 C18:1 49.7 46.9 C18:2 11.8 10.9 C18:3 0.8 0.6 ──────────────────────────────────── OPO 26.1(%) 18.4(%) ステアリン酸含有三飽和型トリグリセリド 検出せず 5.0 ──────────────────────────────────── OPOは、2−パルミトイル−1,3ジオレイルグリセ
ロールを意味する。
【0012】
【試験例1】2−パルミトイル−1,3ジオレイルグリ
セロールに富む油脂の易吸収性および易エネルギー性に
ついて動物試験を行った。なお、2−パルミトイル−
1,3ジオレイルグリセロールに富む油脂として実施例
1で得られた分別ラードを用いた。また、比較油脂とし
て実施例1の原料である純製ラードを用いた。動物試験
は、3週齢のSD系雄ラット(日本チャールスリバー社)
を用い、1群10匹の2群に分けて実験飼料を15日間給餌
した。そして、この飼育期間中に飼料摂取量および体重
を測定し、飼料効率を算出した。また、ラットの解剖時
には蓄積脂肪重量を測定した。なお、実験飼料の脂質添
加量は20重量%とし、その他の配合についてはAIN-76組
成〔American Institute of Nutrition, J.Nutr., 107,
1340 (1977)〕に準じた。表2に実験飼料の組成を示
す。
【0013】
【表2】 ──────────────────────────────────── 分別ラード 純製ラード ──────────────────────────────────── カゼイン 20.0(%) 20.0(%) DL−メチオニン 0.3 0.3 試験油脂 20.0 20.0 塩類混合物 3.5 3.5 ビタミン混合物 1.0 1.0 重酒石酸コリン 0.2 0.2 セルロース 5.0 5.0 コーンスターチ 15.0 15.0 ショ糖 35.0 35.0 ──────────────────────────────────── 塩類混合物およびビタミン混合物はAIN-76配合による。
表3に動物試験の結果を示す。
【0014】
【表3】 ──────────────────────────────────── 分別ラード群 純製ラード群 ──────────────────────────────────── 飼料効率(%) 63.7±2.2 * 61.4±2.2 蓄積脂肪重量(g/100g体重) 1.13±0.14* 1.39±0.15 ──────────────────────────────────── 数値は平均値±標準偏差を表す。 *は純製ラード群と有
意差あり(p<0.05)。
【0015】上記のように、2−パルミトイル−1,3
ジオレイルグリセロールに富む油脂である分別ラード群
は、純製ラード群に比べて飼料効率が有意に高いことか
ら、油脂の易吸収性が示唆された。また、分別ラード群
は、純製ラード群に比べて蓄積脂肪重量が有意に低いこ
とから、油脂が効率良くエネルギーとして利用されるこ
とが示唆された。また、飼育開始後、11〜14日目にラッ
トの糞を採取し、常法に従って糞便中の総脂質および主
な脂肪酸の量を測定して、見かけの消化吸収率を算出し
た。その結果を表4に示す。
【0016】
【表4】 ──────────────────────────────────── 分別ラード群 純製ラード群 ──────────────────────────────────── 総脂質 98.2±0.4 * (%) 97.1±0.7 (%) パルミチン酸 99.1±0.5 * 97.8±0.7 ステアリン酸 97.1±1.4 * 90.1±2.5 オレイン酸 99.8±0.1 99.1±0.1 リノール酸 99.9±0.0 99.9±0.0 ──────────────────────────────────── 数値は平均値±標準偏差を表す。 *は純製ラード群と有
意差あり(p<0.05)。
【0017】上記のように、2−パルミトイル−1,3
ジオレイルグリセロールに富む油脂である分別ラード群
は、純製ラード群に比べて、総脂質、パルミチン酸およ
びステアリン酸の消化吸収率が有意に高いことが示され
た。すなわち、分別ラードは飽和脂肪酸を多く含む動物
系油脂であるが、消化吸収性に優る油脂であることが示
唆された。
【0018】
【実施例2】2−パルミトイル−1,3ジオレイルグリ
セロールに富む油脂として実施例1で得られた分別ラー
ドと他の油脂との混合油脂を製造した。また、動物試験
の際に比較油脂として用いる純製ラードと他の油脂との
混合油脂も同様に製造した。なお、その配合組成を表5
に示す。
【0019】
【表5】 ──────────────────────────────────── 分別ラード群 純製ラード群 ──────────────────────────────────── 乳脂肪 10(%) 10(%) 菜種油 20 20 パーム核油 20 20 分別ラード 50 − 純製ラード − 50 ──────────────────────────────────── パルミチン酸 16(%) 17(%) ステアリン酸 5 9 オレイン酸 44 42 リノール酸 11 10 α−リノレン酸 2 2 その他(中鎖脂肪酸など) 22 20 ────────────────────────────────────
【0020】
【試験例2】2−パルミトイル−1,3ジオレイルグリ
セロールに富む油脂と他の油脂との混合油脂の消化吸収
性について動物試験を行った。なお、動物試験には実施
例2で得られた混合油脂を用いた。動物試験は、3週齢
のSD系雄ラット(日本チャールスリバー社)を用い、1
群10匹の2群に分けて実験飼料を15日間給餌した。そし
て、飼育開始後、11〜14日目にラットの糞を採取し、常
法に従って糞便中の総脂質および主な脂肪酸の量を測定
して、見かけの消化吸収率を算出した。なお、実験飼料
の脂質添加量は20重量%とし、その他の配合については
AIN-76組成に準じた。表6に実験飼料の組成を示す。
【0021】
【表6】 ──────────────────────────────────── 分別ラード混合油脂群 純製ラード混合油脂群 ──────────────────────────────────── カゼイン 20.0(%) 20.0(%) DL−メチオニン 0.3 0.3 試験油脂 20.0 20.0 塩類混合物 3.5 3.5 ビタミン混合物 1.0 1.0 重酒石酸コリン 0.2 0.2 セルロース 5.0 5.0 コーンスターチ 15.0 15.0 ショ糖 35.0 35.0 ──────────────────────────────────── 塩類混合物およびビタミン混合物はAIN-76配合による。
表7に動物試験の結果を示す。
【0022】
【表7】 ──────────────────────────────────── 分別ラード群 純製ラード群 ──────────────────────────────────── 総脂質 98.4±0.4 * (%) 97.6±0.3 (%) パルミチン酸 92.3±3.5 * 85.0±4.1 ステアリン酸 80.1±9.3 * 50.0±11.7 オレイン酸 98.9±0.6 98.3±0.8 リノール酸 99.4±0.3 99.3±0.4 α- リノレン酸 >99.9 >99.9 ──────────────────────────────────── 数値は平均値±標準偏差を表す。 *は純製ラード群と有
意差あり(p<0.05)。
【0023】上記のように、分別ラード混合油脂群は、
純製ラード混合油脂群に比べて、総脂質、パルミチン酸
およびステアリン酸の消化吸収率が有意に高いことが示
された。すなわち、分別ラードは飽和脂肪酸を多く含む
動物系油脂であるが、他の油脂と配合して脂肪酸バラン
スを整えた混合油脂においても消化吸収性に優る油脂で
あることが示唆された。
【0024】
【実施例3】2−パルミトイル−1,3ジオレイルグリ
セロールに富む油脂として実施例1で得られた分別ラー
ドを用い、易吸収性・易エネルギー化飲料を製造した。
牛乳20kg、脱脂粉乳21.6kg、水56kgを調合してベースを
作り、このベースにグラニュー糖1kgを添加し、次いで
分別ラード 0.8kgを添加して混合液をホモジナイザーで
均質圧 150kg/cm2で乳化した。この乳化液を 200ml缶に
充填温度75℃で充填、巻締めした後、 121℃、10分のレ
トルト殺菌を行い、冷却して缶入り飲料を製造した。こ
の缶入り飲料には、2−パルミトイル−1,3ジオレイ
ルグリセロールが 0.2重量%含まれており(油脂成分当
たり12.4%)、褐変は殆どなく、牛乳の風味に富み、エ
ネルギー価が高く、しかも、脂質、ミネラル、蛋白質お
よび糖質を補給できる飲料として好適なものとなった。
【0025】
【実施例4】75℃の水1.5lにデキストリン632g、カゼイ
ンナトリウム174g、脱脂粉乳 33g、ショ糖脂肪酸エステ
ル6g、パーム油分別油 50gと分別ラード 57gを混合した
油脂107g、および第三リン酸カリウム7gを50mlの水に溶
解した溶液を混合した。さらにこの溶液に塩化カルシウ
ム4g/160ml溶液、硫酸マグネシウム7g/160ml溶液、ビタ
ミン混合物 4g/53ml溶液、ミネラル混合物 6g/53ml溶
液、ガラクトシルラクトース16g/53ml溶液を添加し、混
合した。そして、この混合物をコロイドミルで予備乳化
を行った後、ホモジナイザーで 400kg/cm2の均質圧にて
乳化を行った。乳化後、 121℃、15秒の殺菌を行い、噴
霧乾燥して約1kgの粉末栄養食を得た。この粉末栄養食
には2−パルミトイル−1,3ジオレイルグリセロール
が 1.5重量%含まれていた(油脂成分当たり14%)。さ
らに、この粉末栄養食 92gをアルミ箔製の容器に窒素ガ
ス封入充填包装した。なお、この粉末栄養食を 340mlの
水に溶解すると約1kcal/mlのエネルギーを供給すること
ができる。また、この粉末栄養食の一包装当たりのエネ
ルギーは表8に示す通りであり、これまでの栄養食より
もパルミチン酸およびオレイン酸を多く含み、しかも消
化吸収性に優れた栄養食が供給された。
【0026】
【表8】 ──────────────── 蛋白質 15.3 g 脂質 10.0 g 炭水化物 64.2 g カロリー 408 kcal ────────────────
【0027】
【実施例5】分別ラードおよび加工油脂からなる混合油
(微水添大豆油20部、パーム油20部、コーン油42.5部)
および乳化剤などの油溶性原料からなる油相82重量%と
食塩を含む水相16.5重量%をマーガリン製造における常
法、すなわち油相と水相を混合、乳化し、コンビネータ
ーのような表面かきとり式熱交換機で冷却、固化、練圧
することにより、W/Oタイプのマーガリンを得た。こ
のようにして得られたマーガリンは通常のマーガリン類
と同等の食感を有し、かつ従来のマーガリンよりもリノ
ール酸含量を減じたマーガリンとなった。
【0028】
【実施例6】分別ラード 100部にバター50部を加えた混
合油脂に、グラニュー糖 200部、食塩3部を加え、バニ
ラ香料も適当量加えて混合した。これに溶いた全卵50部
を加えてクリーム状にした。次いで、篩通しした重曹4
部、薄力粉 500部の混合物を徐々に加えて混ぜ合わせ、
このまま種として冷蔵庫に移し、20分程休ませた後、打
ち粉をした台の上で3〜4mmの厚さに延ばし、各種打ち
抜き型で打ち抜いて成形し、ベーキングシートを敷いた
天板に並べ、 180℃のオーブンで約15分間焼成した。得
られたクッキーは風味,食感が良好であった。
【0029】
【実施例7】コーンフラワー55%、小麦粉20%、脱脂粉
乳10%、グラニュー糖 4.5%、クエン酸鉄ナトリウム
0.3%、炭酸カルシウム 2.5%、天然カルシウム剤 1.4
%、ビタミンC 0.4%、食塩 0.6%、分別ラード5%、
フレーバー類 0.3%を配合した粉を表9に示した条件で
2軸エクストルーダー処理して、シリアル食品を製造し
た。
【0030】
【表9】 ──────────────────── 原料供給量 24kg/h 水添加量 4kg/h スクリュー回転数 200rpm 最高処理温度 150℃ 最高処理圧力 0.5MPa ────────────────────
【0031】このシリアル食品は、そのまま食べればサ
クサク性のある食感となり、また、牛乳をかければマイ
ルドな歯触りとなり、栄養補給用シリアル食品として最
適であった。
【0032】
【実施例8】分別ラード20部、レシチン 0.2部、ソルビ
タン脂肪酸エステル 0.3部、ジアセチル酒石酸モノグリ
セリド 0.5部を65℃で混合溶解した。次に、水 72.95
部、脱脂粉乳3.25部、カゼインナトリウム2.80部を別に
65℃で混合溶解した。脱脂粉乳溶解物をホモジナイザー
で予備乳化した後、油脂溶解物およびバナナフレーバー
を添加してホモジナイザーで乳化して、乳飲料を得た。
また、動物試験の際に比較として用いる乳飲料を分別ラ
ードに代え、乳脂肪、パーム油およびパーム核油を用い
て製造した。なお、それぞれの油脂中に含まれている主
要なトリグリセリドと2−パルミトイル−1,3ジオレ
イルグリセロールの含有率を表10に示す。
【0033】
【表10】 ──────────────────────────────────── 主なトリグリセリド OPO含有率 ──────────────────────────────────── 乳脂肪 POP、PPC、PPB <5(%) パーム油 POO、PPO、POL <5 パーム核油 ODO、DDD、CDD <5 分別ラード OPO、OPL、SPO 26 ──────────────────────────────────── B:酪酸、C:カプリン酸、D:ラウリン酸、P:パル
ミチン酸、S:ステアリン酸、O:オレイン酸、L:リ
ノール酸
【0034】
【試験例3】実施例6で製造した乳飲料を、体重300gの
SD系雄ラットに経口投与した。投与量は、成人体重60kg
に対し 200ml摂取に相当するように1ml/300g体重となる
ように経口ゾンデで投与した。投与後、1時間毎に5時
間目までラットの尾静脈より採血して、血漿トリグリセ
リド濃度を測定した。血漿トリグリセリド濃度は、酵素
法(デタミナ TGS-555、協和メディックス社製)にて測
定した。血漿トリグリセリド濃度のピークが現れる時
間、並びに消失する時間から、易吸収性乳飲料の特性を
評価した。その結果を図1に示す。このように、分別ラ
ードを用いて製造した乳飲料は、他の油脂を用いて製造
した乳飲料よりも速やかに血漿トリグリセリド濃度のピ
ークが現れ(平均ピーク出現時間:2.3時間)、その後、
速やかに血漿トリグリセリド濃度が減少することが認め
られた。なお、他の油脂を用いて製造した乳飲料におい
ては、2〜4時間の間で明確な血漿トリグリセリド濃度
のピークが現れず、また、血漿トリグリセリドはなかな
か消失しなかった。これは、分別ラードを用いて製造し
た本発明の乳飲料では、油脂が速やかに吸収されて血中
に運ばれた後、速やかに消失してエネルギーとなること
が示された。
【0035】
【発明の効果】2−パルミトイル−1,3ジオレイルグ
リセロール、あるいは2−パルミトイル−1,3ジオレ
イルグリセロールに富む油脂を油脂成分として5重量%
以上含有させることにより、消化吸収性が良好で、エネ
ルギーとして利用され易い油脂含有飲食品を提供するこ
とができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】は、本発明の乳飲料および対照の乳飲料を投与
したラットの血漿トリグリセリド濃度の経時的変化を示
す。

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 2−パルミトイル−1,3ジオレイルグ
    リセロールを油脂成分として5重量%以上含有すること
    を特徴とする易吸収性飲食品。
  2. 【請求項2】 ステアリン酸を含む3飽和型トリグリセ
    リドの総量を油脂成分として2重量%以下とした請求項
    1記載の飲食品。
  3. 【請求項3】 2−パルミトイル−1,3ジオレイルグ
    リセロールを含有する油脂を配合することを特徴とする
    2−パルミトイル−1,3ジオレイルグリセロールを油
    脂成分として5重量%以上含有する易吸収性飲食品の製
    造法。
  4. 【請求項4】 2−パルミトイル−1,3ジオレイルグ
    リセロールを含有する油脂が、ラードおよび/またはラ
    ード加工油脂である請求項3記載の製造法。
  5. 【請求項5】 2−パルミトイル−1,3ジオレイルグ
    リセロールを含有する油脂が、ステアリン酸を含む3飽
    和型トリグリセリドの総量を低減したラード加工油脂で
    ある請求項3記載の製造法。
JP6087653A 1994-03-31 1994-03-31 易吸収性飲食品およびその製造法 Pending JPH07274825A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP6087653A JPH07274825A (ja) 1994-03-31 1994-03-31 易吸収性飲食品およびその製造法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP6087653A JPH07274825A (ja) 1994-03-31 1994-03-31 易吸収性飲食品およびその製造法

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JPH07274825A true JPH07274825A (ja) 1995-10-24

Family

ID=13920926

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP6087653A Pending JPH07274825A (ja) 1994-03-31 1994-03-31 易吸収性飲食品およびその製造法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JPH07274825A (ja)

Cited By (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
KR100516789B1 (ko) * 2003-04-14 2005-09-26 주식회사 두산 라드 지질 조성물 및 그 제조방법
JP2008056677A (ja) * 2007-09-03 2008-03-13 Suntory Ltd 新規なトリグリセリド及びそれを含む組成物
CN103305332A (zh) * 2013-06-27 2013-09-18 江南大学 干法偶联溶剂法分提富集1,3-二油酸-2-棕榈酸甘油三酯的方法
JP2017082095A (ja) * 2015-10-28 2017-05-18 花王株式会社 分別魚油の製造方法
CN111885927A (zh) * 2018-03-19 2020-11-03 株式会社明治 能量代谢促进用组合物

Cited By (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
KR100516789B1 (ko) * 2003-04-14 2005-09-26 주식회사 두산 라드 지질 조성물 및 그 제조방법
JP2008056677A (ja) * 2007-09-03 2008-03-13 Suntory Ltd 新規なトリグリセリド及びそれを含む組成物
CN103305332A (zh) * 2013-06-27 2013-09-18 江南大学 干法偶联溶剂法分提富集1,3-二油酸-2-棕榈酸甘油三酯的方法
JP2017082095A (ja) * 2015-10-28 2017-05-18 花王株式会社 分別魚油の製造方法
CN111885927A (zh) * 2018-03-19 2020-11-03 株式会社明治 能量代谢促进用组合物

Similar Documents

Publication Publication Date Title
CA2418348C (en) Oil/fat composition
KR100951756B1 (ko) 유지 조성물
EP1430783B1 (en) Oil/fat composition
JP5025657B2 (ja) 乳清タンパク質及び脂質を含む組成物、並びにそれらを調製する方法
JP4031219B2 (ja) 油脂組成物
CN101175408B (zh) 复合营养产品
JP3653225B2 (ja) 飽満感製品
CN106659220A (zh) 营养组合物
WO2003061395A1 (fr) Aliments contenant des matieres grasses, enrichis en ubiquinol
JPH01202245A (ja) ロールイン用乳化組成物の製造方法
EP2173184A1 (en) Omega-3 fatty acid fortified composition
JP3599821B2 (ja) 調理用油脂
SE523211C2 (sv) Lipidkomposition omfattande en skyddande olja och en fleromättad fettsyra, emulsion innehållande en sådan komposition och förfarande för framställning av emulsionen
WO1998039977A1 (fr) Aliment contenant une matiere grasse ou de l&#39;huile
EP2037757B1 (en) Feed product for dairy cows and method of obtaining a dairy product
JP3482253B2 (ja) 調理用油脂
JPH07274825A (ja) 易吸収性飲食品およびその製造法
JPS6115647A (ja) 油脂食品
Vaclavik et al. Fat and oil products
JPH03220123A (ja) 食欲抑制剤及びこれを含有する食品
KR20050007718A (ko) Dha 함유 조성물
JP2824598B2 (ja) 栄養組成物
JP3027858B2 (ja) 高度不飽和脂肪酸含有組成物の製造方法
JPH04262740A (ja) 低脂肪油中水型乳化油脂組成物
JP2004043337A (ja) 血中中性脂肪濃度調整剤

Legal Events

Date Code Title Description
A02 Decision of refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A02

Effective date: 20031224