JPH072747A - N−長鎖アシル酸性アミノ酸塩の精製法 - Google Patents

N−長鎖アシル酸性アミノ酸塩の精製法

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JPH072747A
JPH072747A JP40223790A JP40223790A JPH072747A JP H072747 A JPH072747 A JP H072747A JP 40223790 A JP40223790 A JP 40223790A JP 40223790 A JP40223790 A JP 40223790A JP H072747 A JPH072747 A JP H072747A
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Koji Miyagawa
幸士 宮川
Tadashi Muto
正 武藤
Sachiko Asano
幸子 浅野
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 水と親水性有機溶媒の混合溶媒を用いて合成
されるN−長鎖アシル酸性アミノ酸塩の合成液から該ア
ミノ酸塩を高純度で精製すること。 【構成】 上記合成液を膜分離プロセスに通すことによ
って高純度の上記アミノ酸塩を得る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、水と親水性有機溶媒の
混合溶媒を用いて合成されるN-長鎖アシル酸性アミノ酸
塩の合成反応液から該アミノ酸塩を高純度で精製する方
法に関する。
【0002】
【従来の技術】N-長鎖アシル酸性アミノ酸の各種無機塩
または有機塩は界面活性作用、殺菌作用を有し、生分解
性も良いために、洗浄剤、分散剤、殺菌剤等に使用され
ているが、特に化粧品、トイレタリー分野でよく使われ
ている。
【0003】N-長鎖アシル酸性アミノ酸の一般的に用い
られている既知の合成法は、水と親水性有機溶媒中でア
ルカリの存在下に酸性アミノ酸と長鎖脂肪酸ハライドを
反応させるものである (特公昭46-8685 号公報、特公昭
51-38681号公報および特公昭48-35058号公報参照) 。
【0004】上記合成法によって合成される該アミノ酸
塩は以下の二つの精製法によって精製されている: 1) その一つは、上記合成法により合成された反応液に
水を加え希釈し、鉱酸でpHを強酸性にしてN-長鎖アシル
酸性アミノ酸を晶析させるものである。しかし実際にこ
の方法で分離されたN-長鎖アシル酸性アミノ酸は、含水
率が高く、その水に含まれる無機塩等の不純物を除去す
ることが困難である。
【0005】また、晶析したN-長鎖アシル酸性アミノ酸
を常法により水で洗浄し、その不純物を除去しようとし
ても、含水率がさらに高まり、ペースト状になるだけで
不純物は除去できない。
【0006】このように晶析して得られたN-長鎖アシル
酸性アミノ酸塩をアルカリで中和し、目的とするN-長鎖
アシル酸性アミノ酸塩を得ても、無機塩等の副生成物が
多く含まれ純度の高いものの製造は困難である。 2) もう一つの精製法は、上記の合成法による反応液を
水と親水性有機溶媒の混合溶媒になるように調整した
後、加温し、親水性有機溶媒の沸点付近において、鉱酸
を加え、pHを酸性に調整することにより、水層と該アミ
ノ酸を含む有機層とに分離し、得られた有機層から溶媒
を除去し、得られたN-長鎖アシル酸性アミノ酸をアルカ
リで中和しするか、または溶媒を除去する前の有機層を
アルカリで中和後溶媒を除去して、目的とするN-アシル
酸性アミノ酸塩を得るものである。
【0007】この方法によれば、1)の精製法より高い純
度のN-長鎖アシル酸性アミノ酸塩を得ることができる
が、上記水層/ 有機層分離時に用いた溶媒を完全に除去
することは困難である。その為、中和して得られたN-長
鎖アシル酸性アミノ酸塩水溶液を加熱し、水とその溶媒
を共沸除去する工程を何度も行うか、その水溶液を加熱
乾燥させ完全に揮発成分を除去するかして、溶媒を除去
しなければならない。
【0008】しかしながら、上記のような溶媒除去工程
を経ても、臭気の強い親水性溶媒を用いた時には、製品
中にその溶媒が微量残留すれば、化粧品用原料の洗浄
剤、分散剤、乳化剤として使用できないほどの臭気を有
する製品ができてしまう。また化粧品分野以外でもこの
N-長鎖アシル酸性アミノ酸塩を配合する抗菌剤、洗剤等
の最終製品の香りに強い影響を及ぼす。例えばアセト
ン、メチルエチルケトン、テトラヒドロフラン、シクロ
ヘキサノン等の臭気の強い親水性溶媒は、注意深く除去
しなければならない。
【0009】このように上記の精製方法は、水層/ 有機
層分離工程や、溶媒除去工程で、多量の熱量を消費する
という点と、臭気の強い溶媒を用いた時に、脱臭管理が
困難であるという点において、工業的に問題点が多い。 3) 後者の方法の場合には、親水性有機溶媒として、メ
タノール、エタノール、ノルマルプロパノール、イソプ
ロパノール、ノルマルブタノール、イソブタノール等の
アルコール性の親水性有機溶媒を用いることもできる。
化粧品、家庭用洗剤の中には、エタノール、イソプロパ
ノール等のアルコールを含む製品も多く、においの面で
はアセトン、メチルエチルケトン、テトラヒドロフラ
ン、シクロヘキサノン等の臭気の強い非アルコール性の
親水性有機溶媒より、上記アルコール性の親水性溶媒の
方が使用し易く、製品中に微量残留していてもにおいが
弱いため、におい管理が容易である。しかしアルコール
性の親水性有機溶媒を用い、2)の精製法で述べたよう
に、pHを酸性にし、水層/ 有機層分離を行うと、使用し
たアルコール性有機溶媒と分離生成したN-長鎖アシル酸
性アミノ酸が脱水縮合反応を起こし、N-長鎖アシル酸性
アミノ酸アルコールエステルや未反応の長鎖脂肪酸ハラ
イド由来の遊離脂肪酸のアルコールエステルが生成し、
精製困難な不純物が生成することがわかった。これらの
不純物は製品を乾燥し、石油エーテル可溶分を測定する
ことにより検出される。 4) 今までは、アルコール性親水性有機溶媒を用いれ
ば、臭気が低い製品ができることが分かっているにもか
かわらず、3)で述べた問題の為、2)の方法でしかN-長鎖
アシル酸性アミノ酸塩は精製されていない。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】従って、本発明の課題
は、水と親水性有機溶媒の混合溶媒を用いて合成される
N-長鎖アシル酸性アミノ酸塩の合成反応液からN-長鎖ア
シル酸性アミノ酸塩を高純度で簡単に分離精製すること
ができ且つ上記の従来技術の欠点を有さない方法を提供
することである。
【0011】
【課題を解決するための手段】本発明者は、上記のN-長
鎖アシル酸性アミノ酸塩の合成反応液から膜分離プロセ
スを用いることにより、簡単な工程で高純度のN-長鎖ア
シル酸性アミノ酸塩を得ることを見出した。
【0012】従って本発明の対象は、水と親水性有機溶
媒を任意の割合で混合した溶液中で、酸性アミノ酸と炭
素原子数 8〜22の飽和または不飽和アシル基を持つ長鎖
脂肪酸ハライドとをアルカリの存在下でpH 8〜13.5で縮
合させて得られるN-長鎖アシル酸性アミノ酸塩の反応液
を膜分離プロセスを用いることにより、上記反応の際に
生成する塩、未反応物および反応媒体、更に場合により
低分子副反応物を除去し、高純度のN-長鎖アシル酸性ア
ミノ酸塩を得ることを特徴とする、N-長鎖アシル酸性ア
ミノ酸塩の精製法に関する。
【0013】本発明で行う膜分離プロセスは、電気透析
や限外濾過法である。すなわち、本発明においては、ポ
リアミド、ポリスルホン、改質ポリスルホン、酢酸セル
ロース等の素材からなる膜モジュール、例えば中空糸
膜、スパイラル膜、ファインチューブ膜やチューブ膜等
のモジュールを用い限外濾過法により、精製を行うか、
またはイオン交換膜電気透析法により精製を行う。
【0014】限外濾過法を用いる場合には、例えば操作
圧力5〜45kg/cm2、温度0〜60度で操作することが
できる。
【0015】上記の本発明の方法で精製したN−長鎖ア
シル酸性アミノ酸塩は、不純物含有量の指標となる石油
エーテル可溶分は、0〜6% (固形分に対して)であ
り、2)で述べたような水槽/有機層分離による精製方
法の6〜15% と比較するとかなり低い値であり、純度
の高いものである。
【0016】本発明で用いる長鎖脂肪酸ハライドは、炭
素原子数 8〜22の飽和- または不飽和アシル基を持つも
のであり、例えばオレイルクロリド、ラウロイルクロリ
ド、パルミトイルクロリド、ステアロイルクロリド等の
単一組成の脂肪酸クロリド等の他、ヤシ油脂肪酸クロリ
ド、牛脂肪酸クロリド等の混和脂肪酸クロリドも同様に
使用することができる。
【0017】原料であるアミノ酸はα- アミノ酸、β-
アミノ酸、ω- アミノ酸等の各種アミノ酸が用いられ
る。
【0018】アルカリとしては例えば水酸化ナトリウ
ム、水酸化カリウム、水酸化カルシウム、水酸化バリウ
ム、炭酸ナトリウム等が挙げられる。
【0019】本発明で使用する親水性有機溶媒には、メ
タノール、エタノール、ノルマルプロパノール、、イソ
プロパノール、ノルマルブタノール、イソブタノール等
のアルコール性親水性溶媒並びにアセトン、メチルエチ
ルケトン、テトラヒドロフラン、シクロヘキサノン等の
非アルコール性親水性有機溶媒がある。
【0020】これらの有機溶媒と水との混合溶媒は任意
の割合であり、13〜87% の有機溶媒と87〜13%
の水との混合比が好ましい。
【0021】本発明の方法は、親水性有機溶媒の中で
も、特にメタノール、エタノール、ノルマルプロパノー
ル、イソプロパノール等の前述の3)にあるように、水層
/ 有機層分離を行うと不純物が多く生成するアルコール
性の親水性溶媒を用いた場合に特に有用である。
【0022】本発明の有利な実施形態の一つは、水と親
水性有機溶媒を任意の割合で混合した溶液の中で酸性ア
ミノ酸と長鎖脂肪酸ハライドとをアルカリの存在下でpH
8〜13.5で縮合反応させて得られるN-長鎖アシル酸性ア
ミノ酸塩の反応液をpH 6〜10に調整し、水で希釈した後
10℃から60℃の間で、適切な膜を用い電気透析または限
外濾過等で分離を行う。
【0023】
【実施例】本発明を実施例および比較例によって更に詳
細に説明する。
【0024】実施例 1 L-グルタミン酸モノナトリウム塩199g (1.18mo
l)をイソプロパノール120mlと水574mlの混合溶媒
に溶解し、これに135g の47.5% 濃度水酸化ナト
リウム (1.60mol)を加えて得たpH13.5の溶液に
0℃〜35℃以内で冷却しながらラウロイルクロリド2
19g (1.00 mol)と47.5% 濃度水酸化ナトリウム1
25g (1.48 mol)を同時に 1時間かけて滴下する。その
間反応液のpHは、13.0〜13.5に保つ。さらに 2
時間攪拌し、反応熟成後、濃塩酸110g を加え中和
し、pHを7.0〜8.0に調整する。
【0025】この反応液に2200mlの水を加え、主要
分画分子量200〜500のポリアミド系限外濾過膜を
用い操作圧力10〜20kg/ cm2 、温度20〜30℃、
給水流量13〜15リットル/ m2・時間で2時間不純物
除去を行う。
【0026】給水を止め、全体の溶液量が1484mlに成る
まで濃縮する。この溶液中に含まれるイソプロパノール
は、0.2% だが、においはほとんどしない。
【0027】この溶液を乾燥して得られた355g のN-
ラウロイル-L- グルタミン酸ジナトリウムの白色粉末の
中の無機塩は0.1% 以下であり、石油エーテル可溶分
は 3.7% であった。
【0028】比較例 1 上記の7.0〜8.0にpH調整されている反応終了溶液
にさらに濃塩酸を約130g 加え、pHを 1以下にした
後、温度70℃で1時間静置し、有機層を分離する。そ
の有機層を減圧下に加熱 (80℃、150mm Hg)し、イ
ソプロパノールを除去し、残渣の中より145g を取り
出し、230mlの水を加え、攪拌しながら約50g の3
2% 濃度水酸化ナトリウム水溶液を加え、pH7〜8に調
整する。この水溶液に含まれているイソプロパノール
は、1.6% であり、強いにおいがする。
【0029】またこの溶液を乾燥して得られた白色粉末
の中の無機塩は、1.6% であり、石油エーテル可溶分
は10.2% であった。
【0030】実施例 2 L-グルタミン酸モノナトリウム199g (1.18mol)
をアセトン 180mlと水574mlの混合溶媒に溶解し、こ
れに135g の47.5% の水酸化ナトリウム(1.6
0ml) を加えて得たpH13.5の溶液に0℃〜35℃以
内で冷却しながらラウロイルクロリド219g (1.00 mo
l)と47.5% 濃度水酸化ナトリウム125g(1.48mol)
を同時に 1時間かけて滴下する。その間反応液のpHは1
3.0〜13.5に保つ。
【0031】さらに2時間攪拌し、反応熟成後、濃塩酸
110g を加え中和し、pHを7.0〜8.0に調整する。
この反応液に2200mlの水を加え実施例 1と同様に不
純物の除去を行う。給水を止め、全体の溶液量が148
4mlになるまで濃縮する。
【0032】この溶液中に含まれる無機塩は0.1% 以
下であり、アセトンは0.1% だが、かなりアセトン臭
がする。
【0033】比較例 2 上記の7.0〜8.0にpH調整されている反応終了溶液
に、エタノール30ml、濃塩酸約125g を加えてpHを 1
以下にした後、温度70℃で 1時間静置し、有機層を分
離する。その有機層を減圧下加熱 (80℃、150 mmHg)
し、エタノールを除去し、これに1100mlの水を加え
攪拌しながらpHが7〜8になるように32% 濃度水酸化
ナトリウムを加える。
【0034】この溶液に含まれているエタノールは1.
4% であり、かなりエタノール臭が残っている。
【0035】またこの溶液を乾燥して得られた白色粉末
中の無機塩は1.5% であり、石油エーテル可溶分は
9.8% であった。
【0036】実施例 3 DL- アスパラギン酸157g(1.18mol)をアセトン180
mlと水530mlの混合溶媒に懸濁し、227g の47.
5% 濃度水酸化ナトリウム(2.70 mol)を加えて得られた
pH13.5の溶液に 0〜35℃以内で冷却しながら塩化
ココイル(=ヤシ油脂肪酸クロリド) 227g(1.00mol)
と47.5% 濃度水酸化ナトリウム125(1.48mol) を
同時に 1時間かけてゆっくりと滴下する。その間、反応
液のpHは13.0〜13.5に保つ。
【0037】さらに2時間攪拌し、反応熟成後、濃塩酸
110g を加え中和し、pHを7.0〜8.0に調整す
る。
【0038】この反応液に2200mlの水を加え、実施
例 1と同様に、不純物の除去を行う。給水を止め、全体
の溶液量が1484mlになるまで濃縮する。
【0039】この溶液の中に含まれるアセトンは 0.1%
以下であるが、かなりアセトン臭がのこっている。
【0040】この溶液を乾燥して得られたN-ココイル-D
L-アスパラギン酸ジナトリウムの白色粉末中の無機塩は
0.1% 以下であり、石油エーテル可溶分は 2. 8 % で
あった。
【0041】
【発明の効果】本発明の精製法は、簡単であるだけでな
く、従来の晶析による精製法や水層/有機層分離による
精製法の場合に達成できなかった不純物または有機溶媒
の充分な除去を初めて達成し、その結果として高純度の
N-長鎖アシル酸性アミノ酸塩をもたらした点で、産業へ
の貢献は顕著である。

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 水と親水性有機溶媒を任意の割合で混合
    した溶液中で、酸性アミノ酸と炭素原子数 8〜22の飽和
    または不飽和アシル基を持つ長鎖脂肪酸ハライドとをア
    ルカリの存在下でpH 8〜13.5で縮合させて得られるN-長
    鎖アシル酸性アミノ酸塩の反応液を膜分離プロセスを用
    いることにより、高純度のN-長鎖アシル酸性アミノ酸塩
    を得ることを特徴とする、N-長鎖アシル酸性アミノ酸塩
    の精製法。
JP40223790A 1990-12-14 1990-12-14 N−長鎖アシル酸性アミノ酸塩の精製法 Withdrawn JPH072747A (ja)

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