JPH0727351U - メモリー機構付きリクライニング装置 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 簡単な構造で組付けが容易であり、かつ、コ
スト安価なメモリー機構付きリクライニング装置を提供
する。 【構成】 ベースプレート１のヒンジ軸２にツース部材
５を回動可能に軸支し、ヒンジ軸２に渦巻きばね４の一
端を係止し他端をツース部材５に連結してツース部材５
を前倒れ方向へ回転付勢し、アーム３をヒンジ軸２に回
動可能に軸支し、ツース部材５の上部側の歯部５ｂと係
脱する歯部１０ａを持つ可動ツース部材１０と、可動ツ
ース部材１０を作動させるカム１６をウォークインレバ
ー１７と連動させてアーム３に回動可能に軸支し、可動
ツース部材１０とカム１６の軸１８を両持ちするカバー
プレート２０をアーム３に冠着し、かつ、ツース部材５
の下部側の歯部５ａと係脱する歯部７ａを持つ可動ツー
ス部材７をベースプレート１に回動可能に軸支し、可動
ツース部材７を作動させるカム１２と連動する操作レバ
ー１４をベースプレート１に回動可能に軸支して構成し
た。

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】

この考案は自動車の座席装置に採用するメモリー機構付きリクライニング装置 に係るものである。

【０００２】

【従来の技術】

一般に、２ドアタイプの乗用車における前部座席装置は、後部座席に着座した 者が乗降し易いように、シートバックを前倒しすることができるリクライニング 装置が設けられると共に、そのリクライニング装置を前後移動できるシートスラ イド装置を併設することが多い。

【０００３】 ところで、後部座席の着座者が乗降するたびにシートバックを前倒しし、かつ 、リクライニング装置を再設定するのは面倒であるから、最初に設定したシート バックの傾斜角度をメモリー機構に記憶させておいて、乗降の都度再設定をしな くとも良いようにしたリクライニング装置が提供されている（例えば、特公平４ −２５８０３号及び２５８０４号公報参照）。

【０００４】 このメモリー機構付きリクライニング装置は、シートクッションに固定するベ ースプレートに回動可能に軸支され、かつ、シートバックに固定するアームに連 結したセクターギヤと、該セクターギヤと係脱可能に噛合して揺動自在なロック プレートと、該ロックプレートを回動操作するための操作レバーと、前記アーム の軸に回動可能に軸支され、かつ、セクターギヤに揺動可能に軸支されたラチェ ットと係脱可能なメモリー板と、該メモリー板を挟持して常に所定の位置に静止 させる一対の挟持体と、前記アームの軸に回動可能に軸支され、かつ、アームの 前傾動作に連動するとともに、前記ロックプレートに当接可能なセクター側当接 片とを有する。

【０００５】 そして、着座者がシートバックの傾斜角度を自己に最適の角度に設定した後、 後席着座者が乗降するためにシートバックを前倒しすれば、ロックプレートがセ クター側当接片に摺接してロックプレートがセクターギヤと噛合するのを阻止し 、シートバックが当初に設定された傾斜角度に達すると、セクター側当接片がメ モリー板に押されてロックプレートとの摺接を解き、よってロックプレートとセ クターギヤが噛合し、シートバックは当初に設定した傾斜角度に復帰するという ものである。

【０００６】

【考案が解決しようとする課題】

しかしながら、上記従来のメモリー機構付きリクライニング装置によれば、構 造が複雑であるから部品点数が多くて、コスト上昇を来すのは勿論のこと、組立 工程の作業能率が向上しないという欠点を有する。

【０００７】 そこで、この考案は簡単な構造で組付けが容易であり、かつ、コスト安価なメ モリー機構付きリクライニング装置を提供する。

【０００８】

【課題を解決するための手段】

この考案にかかるメモリー機構付きリクライニング装置は、ベースプレートに 突設したヒンジ軸に略円形のツース部材を回動可能に軸支し、前記ヒンジ軸に渦 巻きばねの一端を係止してその他端を前記ツース部材に連結してツース部材を前 倒れ方向へ回転付勢するとともに、アームを前記ヒンジ軸に回動可能に軸支し、 前記ツース部材の上部側に形成した歯部と係脱する歯部を有する第２の可動ツー ス部材と、該第２の可動ツース部材を作動させるカムをウォークインレバーと連 動させて前記アームに回動可能に軸支し、前記第２の可動ツース部材とカムの軸 を両持ちするカバープレートをアームに冠着し、かつ、前記ツース部材の下部側 に形成した歯部と係脱する歯部を有する第１の可動ツース部材をベースプレート に回動可能に軸支し、前記第１の可動ツース部材を作動させるカムと連動する操 作レバーをベースプレートに回動可能に軸支してなることを特徴とする。

【０００９】

【作用】 本考案によれば、アームのリクライニング調節とメモリー操作ができる。リク ライニング調節は、操作レバーを回動してカムを介し第１の可動ツース部材をツ ース部材から離れさせることにより、ツース部材とアームとの結合が解除される ために、アームに固定したシートバックを適宜傾斜させ、その状態で操作レバー を離すと、カムを介して第１の可動ツース部材がもとの状態に戻り、よって第１ の可動ツース部材とアームが再び結合関係に保たれる。

【００１０】 メモリー操作は、設定されたリクライニング調節の状態で、ウォークインレバ ーを回動操作してカムを介し第２の可動ツース部材をツース部材から離れさせる ことにより、ツース部材と第２の可動ツース部材の結合が解除されるために、ア ームに固定したシートバックを前倒れさせることができ、また、シートバックを 起こすと、第２の可動ツース部材の歯部がツース部材の無歯部を摺動して歯部に 噛合するから、当初に設定したリクライニング調節状態が再現される。

【００１１】

【実施例】

以下この考案の実施例を図に基づき説明する。図１に示すように、シートクッ ションに固定するベースプレート１にヒンジ軸２を介してアーム３が回転自在に 軸支されている。ヒンジ軸２に渦巻きばね４の一端部が係止し、この渦巻きばね ４の他端部はヒンジ軸２に回転自在に嵌挿されたツース部材５に突設したピン６ に係止し、アーム３を前倒れ可能に回転付勢している。ツース部材５は補助プレ ート８に突設したピン６ａによりヒンジ軸２を中心とする反時計方向回転が規制 される。

【００１２】 ツース部材５は略円形であって、ベースプレート１側の円弧部に歯部５ａが所 定範囲内において形成され、アーム３側に歯部５ｂが前に無歯部５ｃを有して形 成されている。歯部５ａに係脱する歯部７ａを有する第１の可動ツース部材７が 、ベースプレート１と平行に配置した補助プレート８とに両端部を軸支した軸９ により回動可能に設けられている。歯部５ｂに係脱する歯部１０ａを有する第２ の可動ツース部材１０がアーム３に軸１１で揺動可能に軸支されている。

【００１３】 第１の可動ツース部材７を作動させる第１のカム１２が同様にベースプレート １と補助プレート８に両端部を支持する軸１３で回動可能に設けられている。そ して、このカム１２を回動操作する操作レバー１４が軸１３を中心として回動可 能に軸支されカム１２と連動するように結合されている。操作レバー１４にはコ イルばねからなるリターンばね１５の一端部が連結され、リターンばね１５の他 端部はベースプレート１に連結されており、操作レバー１４及び第１のカム１２ は軸１３を中心とする反時計方向の回転付勢がされている。

【００１４】 第２の可動ツース部材１０を回動させる第２のカム１６がアーム３に軸１８を 介して回動可能に軸支されている。そして、このカム１６を回動操作するウオー クインレバー１７が軸１８を中心として回動可能に軸支され、カム１６と連動す るように結合されている。第２のカム１６はコイルばねからなるリターンばね１ ９の一端部が連結され、リターンばね１９の他端部はアーム３に連結されており 、第２のカム１６及びウオークインレバー１７は軸１８を中心とする時計方向の 回転付勢がされており、これら、第２の可動ツース部材１０、第２のカム１６、 ウオークインレバー１７、リターンばね１９によりメモリー機構を構成する。

【００１５】 図２に示すように、アーム３の裏面にはそれと同形のカバープレート２０が冠 着され、このカバープレート２０とアーム３間に前記カム１６とウオークインレ バー１７及び第２の可動ツース部材１０とツース部材５が挟まれてそれぞれ回動 自在である。なお、カバープレート２０にカラー２１のフランジ部２２を溶接及 び異形嵌合等により結合し、このカラー２１にツース部材５を軸支させてカラー ２１がアーム３を貫通するようにしてユニット化できる。このユニットは、ヒン ジ軸２を溶接及びカシメ等により結合したベースプレート１のヒンジ軸２にカラ ー２１を嵌挿してアーム３を組付けた後、補助プレート８を組み付けるとともに 、渦巻きばね４をヒンジ軸２に捲着する組付け工程を可能にする。

【００１６】 そこで、上記実施例の作用を説明すると、リクライニング調節に関し、図１に 仮想線で示すように、操作レバー１４を軸１３を中心として時計方向へ回動させ ると、第１のカム１２の先端部が時計方向へ回動して第１の可動ツース部材７の 凹部７ｂ内に入り込み、よって第１の可動ツース部材７が軸９を中心として反時 計方向方向へ回動するため、歯部５ａ，７ａの噛合が解除される。

【００１７】 この状態でシートバックを適宜前後へ傾動させ、その決定した位置で操作レバ ー１４を離すと、リターンばね１５の力で操作レバー１４が元の位置に復帰する 動作と連動してカム１２の先端部が凹部７ｂから出るために、第１の可動ツース 部材７は軸９を中心として時計方向へ回動し、歯部５ａ，７ａが噛合する。これ によって、前倒れからフルフラット状態までアーム３が傾斜調節でき、かつ、そ のシートバックの傾斜角度が維持されるのである。

【００１８】 なお、第１の可動ツース部材７をツース部材５から離した状態において、シー トクッションに負荷がかかっていなければ、ツース部材５が渦巻きばね４の付勢 力でヒンジ軸２を中心として反時計方向へ回動し、ピン６を介してアーム３がツ ース部材５とともに反時計方向方向へ回動してシートバックが自動的に前倒れす る。

【００１９】 次に、後席着座者が乗降のためにシートバックを前倒れさせる必要があるとき は、図３に示すように、ウオークインレバー１７を軸１８を中心として反時計方 向へ回動操作すれば、第２のカム１６の先端部が第２の可動ツース部材１０の凹 部１０ｂに入り込み、これにより第２の可動ツース部材１０が軸１１を中心とし て時計方向へ回動してその歯部１０ａがツース部材の歯部５ｂから離れる。

【００２０】 したがって、ツース部材５とアーム３との結合関係が解除されるために、アー ム３は前側へ適宜回動させることができるようになる。ただし、この前倒れ操作 には渦巻きばね４は作用しない。これは、渦巻きばね４はツース部材５を付勢し て、アーム３自体は付勢していないからである。

【００２１】 そして、乗降が終わり、シートバックを起こすと、ウオークインレバー１７を 付勢するリターンばね１９の力で可動ツース部材１０の歯部１０ｂはツース部材 ５の無歯部５ｃを摺動しながら、ツース部材５の歯部５ｂに噛合してアーム３を ツース部材５に結合させる。

【００２２】 かくして、ツース部材５は一切動くことがないために当初のリクライニング設 定した位置にあり、したがって、第２の可動ツース部材１０がツース部材５の歯 部５ｂと噛合することにより、元の状態が確保されるのである。

【００２３】 なお、操作レバー１４と第１のカム１２及びウオークインレバー１７と第２の カム１６は、それぞれ一体品であってもよい。

【００２４】

【考案の効果】

以上説明したこの考案によれば、ヒンジ軸に渦巻きばねで回転付勢したツース 部材の上部側の歯部に係脱する第２の可動ツース部材をウォークインレバーと連 動するカムで噛合又は噛合解除させることにより、アームのみを前倒れ可能に構 成したので、ツース部材を一切回動させることなく、当初に設定したリクライニ ング角度を正確に再現できる。

【００２５】 しかも、メモリー機構としては、第２の可動ツース部材とそれを回動操作する カムとそのカムと連動するウオークインレバーで足りるから、構造が極めて簡単 化され、コスト低減を図ることができる。

【００２６】 さらに、アームに冠着するカバープレートで第２の可動ツース部材とそれを回 動操作するカムとそのカムと連動するウオークインレバーを挟持する構成である から、これをユニット化することができる。したがって、組付け工程が簡略化さ れる一方、アームとカバープレートで軸を両持ちするために強度が向上し、また 、内部の部品の保護や危険防止の作用を果す。

【提出日】平成５年１１月１０日

【手続補正１】

【補正対象書類名】明細書

【補正対象項目名】００１１

【補正方法】変更

【補正内容】

【００１１】 以下この考案の実施例を図に基づき説明する。図１に示すように、シートクッ ションに固定するベースプレート１にヒンジ軸２を介してアーム３が回転自在に 軸支されている。ヒンジ軸２に渦巻きばね４の一端部が係止し、この渦巻きばね ４の他端部はヒンジ軸２に回転自在に嵌挿されたツース部材５に突設したピン６ に係止し、ツース部材５及びツース部材５を介してアーム３を前倒れ可能に回転 付勢している。ツース部材５は補助プレート８に突設したピン６ａによりヒンジ 軸２を中心とする反時計方向回転が規制される。

【手続補正２】

【補正対象書類名】明細書

【補正対象項目名】００２１

【補正方法】変更

【補正内容】

【００２１】 そして、乗降が終わり、シートバックを起こすと、ウオークインレバー１７を 付勢するリターンばね１９の力で第２の可動ツース部材１０の歯部１０ｂはツー ス部材５の無歯部５ｃを摺動しながら、ツース部材５の歯部５ｂに噛合してアー ム３をツース部材５に結合させる。

【図面の簡単な説明】

【図１】この考案の実施例を示す正面図。

【図２】この考案の実施例を示す断面側面図。

【図３】前倒れメモリー作用説明図。

【符号の説明】

１…ベースプレート ２…ヒンジ軸 ３…アーム ４…渦巻きばね ５…ツース部材 ５ａ，５ｂ，７ａ，１０ａ…歯部 ６…ピン ７…第１の可動ツース部材 ８…補助プレート １０…第２の可動ツース部材 １２…第１のカム １４…操作レバー １５…リターンばね １６…第２のカム １７…ウオークインレバー １９…リターンばね ２０…カバープレート ２１…カラー

Claims (2)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】 ベースプレートに突設したヒンジ軸に略
   円形のツース部材を回動可能に軸支し、前記ヒンジ軸に
   渦巻きばねの一端を係止してその他端を前記ツース部材
   に連結してツース部材を前倒れ方向へ回転付勢するとと
   もに、アームを前記ヒンジ軸に回動可能に軸支し、前記
   ツース部材の上部側に形成した歯部と係脱する歯部を有
   する第２の可動ツース部材と、該第２の可動ツース部材
   を作動させるカムをウォークインレバーと連動させて前
   記アームに回動可能に軸支し、前記第２の可動ツース部
   材とカムの軸を両持ちするカバープレートをアームに冠
   着し、かつ、前記ツース部材の下部側に形成した歯部と
   係脱する歯部を有する第１の可動ツース部材をベースプ
   レートに回動可能に軸支し、前記第１の可動ツース部材
   を作動させるカムと連動する操作レバーをベースプレー
   トに回動可能に軸支してなることを特徴とするメモリー
   機構付きリクライニング装置。
2. 【請求項２】 請求項１において、前記ヒンジ軸はベー
   スプレートに固着して突設され、かつ、前記ツース部材
   はカバープレートに固定したカラーに回動可能に嵌挿さ
   れていることを特徴とするメモリー機構付きリクライニ
   ング装置。