JPH0727269Y2 - 自動車のバンパ及びバランスパネル取付構造 - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本考案は、シャシフレームの左右一対のサイドフレーム
の各前端部にバンパステイをそれぞれ固定し、かつこれ
らのバンパステイにバンパを固定し、該バンパの下部に
バランスパネルの上部を固定すると共に、各バンパステ
イとバランスパネルの下部をそれぞれサブステイを介し
て連結した自動車のバンパ及びバランスパネル取付構造
に関するものである。

〔従来の技術〕

自動車の前部にバンパを取付け、しかも自動車走行時の
空力特性の向上を図るため、バンパの下部にバランスパ
ネルを取付けた上記形式の取付構造は従来より周知であ
る。

ところで、自動車の走行時にはシャシフレームに加えら
れる外力によってシャシフレームの両サイドフレームが
弾性変形するが、その際、特に悪路を走行したような場
合、左右の各サイドフレームに加えられる外力の大きさ
や方向が異なるため、両サイドフレームの変位の位相が
互いに相違する。例えば、一方のサイドフレームの前端
部が下方へ向けて変位したとき、他方のサイドフレーム
の前端部が上方へ向けて変位するのである。このように
両サイドフレームの変位状態に相違があると、各サイド
フレームに固定された各バンパステイとバランスパネル
とに固着された各サブステイにねじり力が加えられる。

〔考案が解決しようとする課題〕

従来のサブステイは、その耐久性を確保すべく、ねじり
剛性の大なる丸棒によって構成されていた。ところが、
このような丸棒に上述の如きねじり力が加えられると、
丸棒自体はその高いねじり剛性の故にほとんどねじり変
形することはないが、これによって逆に各サブステイの
下端部とバランスパネルとの結合部領域に大きなねじり
応力が発生する。このためサブステイ又はバランスパネ
ルの結合部に、早期に亀裂が発生する恐れがある。

そこで従来は、両サブステイとバランスパネルの径ない
しは板厚を大きく設定し、その強度を高めることによっ
て上記不具合の発生を防止していたが、このようにすれ
ば取付構造のコストが上昇するだけでなく、自動車の重
量増を招く欠点を免れない。

本考案の目的は、上記従来の欠点を簡単な構成によって
除去したバンパ及びバランスパネルの取付構造を提供す
ることにある。

〔課題を解決するための手段〕

本考案は上記目的を達成するため、冒頭に記載した自動
車のバンパ及びバランスパネル取付構造において、サブ
ステイのそれぞれが、水平面に対してほぼ垂直で、かつ
自動車の前後方向に対してほぼ平行に位置する平面を備
えた一体の平板により構成され、該平板の上端部と下端
部には、その平板の平面に対して垂直に立上った上部補
強フランジと下部補強フランジが、それぞれ平板に一体
に付設され、上部補強フランジに隣接した平板部分がバ
ンパステイに固定され、かつ下部補強フランジがバラン
スパネルの下部に固定されていることを特徴とする取付
構造を提案する。

〔作用〕

平板より成る各サブステイにねじり力が加えられたと
き、その平板の上端部と下端部の間の中間部が比較的容
易にねじり変形し、その結果、その下端部に発生するね
じり応力が低下する。またサブステイに前後方向の外力
が加えられたときは、該ステイはほとんど変形せず、バ
ランスパネルの変位が抑制される。

〔実施例〕

以下、本考案の実施例を図面に従って説明し、併せて前
述の従来の取付構造とその欠点を図面に即してより具体
的に明らかにする。

第１図は自動車の前部に設けられたバンパ１とバランス
パネル２を示す斜視図であり、第２図はこれらを取付け
る取付構造の一例を示した斜視図である。

車体３の下には、自動車の前後方向に延びる左右のサイ
ドフレーム4,4を有するシャシフレーム５が位置し、両
サイドフレーム4,4はフロントクロスメンバ６及び図示
していない他のクロスメンバによって互いに一体に連結
されている。

かかるシャシフレーム５の左右一対のサイドフレーム4,
4の各前端部には、第３図及び第４図にも示すように、
バンパステイ7,7がそれぞれボルト8,8によって固定さ
れ、これらのバンパステイ7,7に、自動車の横方向に延
びるバンパ１が他のボルト9,9により固定されている。

バランスパネル２は、その上部がバンパ１の下部に複数
のねじ10（第４図）によって固定され、該パネル２はバ
ンパ１の下方に位置している。このため、自動車が走行
したとき、その前方より流れてくる風がバランスパネル
２に当り、車体の空力特性が高められる。

上述のように、バランスパネル２は、その上部がバンパ
１の下部に固定されているが、この固定だけであると、
バランスパネル２はバンパ１から下方に垂下しているの
で、自動車の走行時に該パネル２の下部が自動車の前後
方向に振動する恐れがある。そこで、各バンパステイ7,
7と、バランスパネル２の下部が、それぞれサブステイ1
1,11を介して連結されている。即ち、各サブステイ11,1
1の上部が例えばスポット溶接によってバンパステイ7,7
にそれぞれ固着され、各サブステイ11,11の下部が例え
ばねじ14,14によってそれぞれバランスパネル２の下部
に固定されている。

上述した自動車のバンパ及びバランスパネル取付構造に
よれば、バランスパネル２が、バンパ１に対して固定さ
れている他、サブステイ11,11を介してバンパステイ7,7
に連結されているため、バンパステイ下部の振動が抑制
される。

なお、第４図に示すようにバンパ１とバランスパネル２
との結合部において、バンパ１にスクリューグロメット
15を嵌着しておき、これにタッピングスクリューより成
るねじ10を螺着することによってバンパ１とバランスパ
ネル２を固定すると、これらの発錆を防止することがで
き好都合である。バランスパネル２とサブステイ11との
結合部においても、同様にスクリューグロメット16を用
い、これにタッピングスクリューより成るねじ14をねじ
込むことが有利である。

ところで、先にも説明したように自動車が特に悪路を走
行したような場合、左右のサイドフレーム4,4は互いに
異なった態様で変位する。ここで、例えば第２図におけ
る手前側のサイドフレーム４の前端部が矢印X1で示すよ
うに上方に変位し、同図奥側のサイドフレーム４が矢印
X2で示す如く下方に変位したとすると、バンパ１とバラ
ンスパネル２はわずかではあるが、矢印X3で示した向き
に傾く。このため、各サブステイ11,11には第３図に矢
印X4で示した向きのねじり力が加えられる。

その際、第５図に示す如く、従来のサブステイ11aはね
じり剛性の大なる丸棒により構成されていたため、上述
の如きねじり力がサブステイ11aに作用しても、特にサ
ブステイ11aの中間部17aはほとんどねじり変形すること
はない。このため、前述の如く、サブステイ11aの下端
部13aと、これが取付いたバランスパネル２の部分に高
い応力が発生し、これらの部分に亀裂が生じる恐れがあ
った。

上述の不具合を防止するには、サブステイ11aにねじり
力が加えられたとき、その上端部12aと下端部13aの間の
中間部17aをむしろ積極的にねじり変形させ、ここでエ
ネルギーを吸収してしまうことが望ましい。このように
すれば、サブステイ11aの下端部13aとこれに隣接するバ
ランスパネル部分に生じる応力を下げることができ、そ
の亀裂の発生を防止できる。

本考案は上述した新規な認識に基づき構成されたもので
あり、第２図乃至第４図に例示する如く、前述のサブス
テイ11,11のそれぞれが、水平面（地表面）に対してほ
ぼ垂直で、しかも自動車の前後方向Ｙに対してほぼ平行
に位置する平面を備えた一体の平板17,17によって構成
されている。平板17,17としては、例えば鋼板等の金属
板や硬質合成樹脂等を用いることができる。

また各平板17,17の上端部12,12と下端部13,13には、そ
の平板17,17の平面に対して垂直に立上った上部補強フ
ランジ18,18と、下部補強フランジ19,19が、平板17,17
に一体に付設されている。そして、上部補強フランジ1
8,18に隣接した平板部分が、前述のように例えばスポッ
ト溶接によって、バンパステイ7,7にそれぞれ固定さ
れ、かつ下部補強フランジ19,19が例えばねじ14,14によ
ってバランスパネル２の下部に固定されている。

各サブステイ11,11は上述のように平板17,17から成るた
め、丸棒より成る従来のサブステイに比べ、そのねじり
剛性が低くなる。このため、各サブステイ11,11にねじ
り力X4（第３図）が加えられると、その平板17,17の上
端部12,12と下端部13,13の間の中間部は丸棒よりも大き
くねじり変形する。このため、下端部13,13とこれに隣
接したバランスパネル部分の応力が従来よりも下がり、
サブステイ11,11やバランスパネル２の板厚を特に厚く
しなくとも、これらに早期に亀裂が発生する恐れはな
い。

またサブステイ11,11に前後方向Ｙの外力が加わったと
きは、その平板17,17が前後方向Ｙに対してほぼ平行に
位置しているので、この方向の外力に対しては高い剛性
を示し、前後方向Ｙにはほとんど変形しない。このた
め、バランスパネル２の下部の変位については、これを
確実に抑制することができ、自動車走行時に、バランス
パネル２は確実に空力特性向上の機能を果す。

しかも、各平板17,17の上端部12と下端部13には、上部
補強フランジ18,18と下部補強フランジ19,19がそれぞれ
一体に設けられているので、これらの部分と、バンパス
テイ7,7及びバランスパネル２との結合剛性が高めら
れ、各サブステイ11,11の上部と下部の変形が抑制さ
れ、自動車走行時に、バランスパネルが前後方向Ｙに変
位することをより確実に抑えることができる。

〔考案の効果〕

本考案によれば、サブステイのそれぞれが、水平面に対
してほぼ垂直で、かつ自動車の前後方向に対してほぼ平
行に位置する平面を備えた一体の平板により構成されて
いるので、自動車走行時に、両サイドフレームが異った
位相で変位したとき、サブステイはその上端部と下端部
の間の中間部が比較的容易にねじり変形し、その結果、
各サブステイのバランスパネルの結合部に発生するねじ
り応力が低下する。このため、従来のようにサブステイ
とバランスパネルを大きく形成する必要はなく、その重
量とコストを低減できる。

しかも、上述の如く各サブステイがねじり変形しやすく
なる反面、各サブステイの前後方向の外力が加えられた
ときは、その各ステイは高い剛性を示し、この方向の変
形が抑えられる。よって、バランスパネルの下部の変位
が抑えられ、該パネルが、自動車走行時に、空力特性を
向上させる働きを確実に果すことができる。

また、各サブステイを構成する平板の上端部と下端部に
は、上部補強フランジと下部補強フランジが一体に付設
されているので、各サブステイの上部と下部の変形が抑
制され、自動車走行時にバラスンパネルが前後方向に変
位する不具合をより確実に阻止できる。

【図面の簡単な説明】

第１図は自動車の前部を示す斜視図、第２図は第１図中
の車体を取り除いて、取付構造を明らかにした斜視図、
第３図は取付構造の要部の斜視図、第４図は第２図のIV
―IV線断面図、第５図は従来の取付構造を示す、第３図
と同様な斜視図である。 １…バンパ、２…バランスパネル ４…サイドフレーム、５…シャシフレーム ７…バンパステイ、11…サブステイ 12…上端部、13…下端部 17…平板、18…上部補強フランジ 19…下部補強フランジ、Ｙ…前後方向

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】シャシフレームの左右一対のサイドフレー
   ムの各前端部にバンパステイをそれぞれ固定し、かつこ
   れらのバンパステイにバンパを固定し、該バンパの下部
   にバランスパネルの上部を固定すると共に、各バンパス
   テイとバランスパネルの下部をそれぞれサブステイを介
   して連結した自動車のバンパ及びバランスパネル取付構
   造において、 前記サブステイのそれぞれが、水平面に対してほぼ垂直
   で、かつ自動車の前後方向に対してほぼ平行に位置する
   平面を備えた一体の平板により構成され、該平板の上端
   部と下端部には、その平板の平面に対して垂直に立上っ
   た上部補強フランジと下部補強フランジが、それぞれ平
   板に一体に付設され、上部補強フランジに隣接した平板
   部分がバンパステイに固定され、かつ下部補強フランジ
   がバランスパネルの下部に固定されていることを特徴と
   する取付構造。