JPH0727064Y2 - 切削具取付けユニット - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 この考案は、マシニングセンターに於ける機械主軸にシ
ャンク部を介して切削具を取付けるユニットに関するも
のである。

〔従来の技術〕

従来のマシニングセンターに於ける機械主軸にシャンク
部を介して切削具を取付けるユニットとしては、実公昭
58-56112号公報に示されたものがある。

このユニットのユニットケース固定用ピンは、その他端
側に穿孔された孔の内奥部とピン穴蓋体との間に介在さ
れた第１バネによってテーパー端部が常時外方への突出
姿勢を保持すべく付勢され、また位置決めカラーは、外
部に露出する第２バネにより通常時（主軸に対するユニ
ットの非装着時）上記カラー側の係合部とシャンク側の
係合位置に突出付勢されている。

なお、ピン用の第１バネは、カラー側の第２バネより強
くなっている。

〔考案が解決しようとする課題〕

ピンを押す強い第１バネと、キーを押す弱い第２バネと
の二種類が必要になると共に、外部に露出する第２バネ
に切粉がからんで作動に支障をきたすなどの問題があっ
た。

そこで、この考案は１個のバネによりピンを押す強い力
と、キーを押す弱い力とに作用させると共に、外部に露
出しないようにした切削具取付けユニットを提供するこ
とを目的とする。

〔課題を解決するための手段〕

上記の目的を達成するために、この考案はホルダシャン
クに回転自在に支持されるユニットケースに、機械の主
軸端面に向かい合うピン支持台を設け、そのピン支持台
の内部に、上記主軸端面に向かってピン支持台から突出
する固定用ピンと、このピンを押し出すバネと、そのピ
ンとバネの間に介在するスライダとを組込み、上記固定
用ピンの外周に、ピン支持台に回り止めされた位置決め
カラーを上記ピンの押し出し方向にスライド可能に嵌合
させ、上記スライダと位置決めカラーの内面を、ピン支
持台の透孔にピンの押し出し方向とは直交する方向に移
動可能に組込んだボールに対して同時に接触させ、この
ボールに対するスライダとカラーの接触面を、それぞれ
ピンの押し出し方向に対して同じ方向に傾斜するテーパ
面で形成すると共に、カラーのテーパ面の傾斜角度をス
ライダのテーパ面の傾斜角度よりも小さく設定し、上記
ホルダシャンクには、スライダとボールを介してバネの
弾性力によって押し出された位置決めカラーが係合する
係止部を設けた構成としたものである。

〔作用〕

このように構成されるユニットは、マガジンに収納時バ
ネによりピンが押し出されて突出姿勢にあり、また上記
ピンの押し出し方向に共に移動するカラーの係合部が係
止部に係合しているので、係合関係によりケースとシャ
ンクとの相対回転が阻止されている。

また、バネの弾性力を受けてスライダがボールを位置決
めカラーの方向に押し出し、このボールの押し出しによ
ってカラーが主軸端面側に前進し、ホルダシャンクの係
止部に係合して回り止めされる。

上記の状態からユニットを機械主軸に装着し、固定用ピ
ンを主軸端面に設けたテーパー穴部等に嵌入させると、
ピンがバネを圧縮しながら後退し、スライダが後退する
ことによりボールがピン支持台の内側に向かって入り込
み可能となる。

このとき、上記固定用ピンの嵌入と共に、カラーが主軸
端面と当接して後退するようにすると、カラーはボール
をピン支持台に押し入れながら後退し、ホルダシャンク
の係止部とカラーの係合が外れて、係合関係が解除され
る。これにより、ユニットケースに対してホルダシャン
クがフリーの状態となる。

一方、切削加工の終了後、ユニットを主軸から取り外す
と、バネの弾性力によってピンとカラーが前進方向に押
し出されるため、ホルダシャンクの係止部にカラーが係
合し、ユニットケースとシャンクの相対回転が阻止され
る。

上記の構造では、ボールに対するスライダとカラーの接
触面を同じ方向に傾斜するテーパ面とし、スライダのテ
ーパ面に対してカラーのテーパ面の傾斜角度を小さく設
定したことにより、バネの押圧力をスライダに比べて小
さい値に変換してカラーに伝達することができ、１個の
バネを用いてピンを押す強い力とカラーを押す弱い力と
に同時に作用させることができる。

〔実施例〕

以下、この考案に係る実施例を添付図面に基づいて説明
する。

図において、１はマシニングセンターのフレーム２に軸
受を介し回転自在に支承した主軸で、この主軸１の先端
面から内方には、テーパー孔３が設けられている。

また、上記フレーム２の主軸１周りの一部分には、係合
台４が取り付けられており、この係合台４の主軸１先端
面に平行する面には、係合用テーパー穴部５が設けられ
ている。

６は切削具取付けユニットで、このユニット６は、ユニ
ットケース７と、このケース７内を貫通する状態で軸受
を介し回転可能に軸承したシャンク８と、このシャンク
８の一方の突出端に設けたマニユピレーター用の把持部
９を有するテーパー孔３への嵌入テーパー状突子の接続
部10と、シャンク８の他方突出端に伝達軸及び歯車など
の伝達機構11を介しドライブされる切削具12の装着ずみ
チャック装置13とで構成されている。

また、ケース７の外側面にピン保持台14を突出させて設
けると共に、この保持台14には、シャンク８に並行なピ
ン穴15が設けられていて、このピン穴15にスライド自在
に嵌挿した筒状ピン16の先端には、主軸１の方向に先細
り状となって上記テーパー穴部５に嵌入するテーパー端
部17が設けられている。

さらに、上記ピン16内に軸線方向にスライドするスライ
ダ18を組み込むと共に、ピン16内に組み込んでスライダ
18の端面とピン穴15の底とに両端を接触させたバネ19に
より上記スライダ18に常時外方への突出する押圧力が付
勢されている。

また、ピン16のテーパー端部17の手前に位置する外側に
は、段部20により上記ピン16の先端方向に抜けないカラ
ー21がスライド可能に嵌装されており、このカラー21に
は、把持部９の外周に設けてある係止部22と係合してシ
ャンク８の回転を阻止する係合部23が設けられている。

なお、上記の係合部23は、例えば図示のようにケース７
にねじ込みにより固定した突軸24と係合部23に設けた透
孔25との嵌め合わせによって回転を止め、係止部22に係
合部23を対向させる位置規制を行なう。

26はピン16のカラー21嵌装部分に設けた透孔で、この透
孔26には、ボール27が嵌め込まれている。

上記の透孔26は、図示の場合周面三等分位置に設けた
が、数は任意である。

28はスライダ18の外周にボール27の外周一部が嵌り込む
よう設けた凹部で、この凹部28のテーパー端部17の反対
側面には、ピン16の突出方向に下り勾配のテーパー面29
が設けられている。

カラー21の内周透孔26と一致する部分には、テーパー端
部の反対方向に向う程深くなってボール27の周面と接触
するテーパー面部30が設けられている。

次に上記構成されたユニットの使用方法を説明する。

マガジンに収納時には、バネ19によりピン16が押し出さ
れて突出姿勢にあり、また、上記ピン16の押し出し方向
にボール27とテーパー面部30との接触により共にカラー
21を押し出すので、上記カラー21の係合部23が係止部22
に係合する。

その結果、係合関係によりケース７とシャンク８との相
対回転が阻止される。

また、上記の係合関係時には、スライダ18にもバネ19に
よる押し出し力を受けてボール27に接触するテーパー部
29より上記ボール27を外方に押し出すので、上記押し出
すボール27によってテーパー端部17の方向にカラー21を
前進させ、テーパー面部30の深い部分にボール27が接触
する。

この状態から把持部９を把持するマニユピレーターを介
してマガジンからユニット６を取り出し、主軸１のテー
パー孔３に接続部10を嵌入させる。

このとき、対応したテーパー穴部５とテーパー端部17と
の嵌合によりバネ19を圧縮しながらピン16を後退させ
る。

一方カラー21は、上記テーパー穴部５とテーパー端部17
との嵌合にともないフレーム２と上記カラー21の先端面
との衝突によりピン16と同様に後退するので、共に後退
する係合部23が係止部22から外れ、上記係止部22と係合
部23との係合関係が解除される。

その結果、ケース７に対しシャンク８がフリーとなる。

また、テーパー孔３に接続部10を完全に嵌入（プルスタ
ッドに係合するチャックを介し引き込みが完了したと
き）したとき、後退したカラー21によってテーパー面部
30の浅い部分にボール27が接触するので、少し押し込ま
れるボール27とテーパー部29とでスライダ18が少し後退
する。

切削加工の終了後、マニユピレーターによりユニット６
を主軸１から取り外すと、この動作にともないバネ19に
よりピン16と共にカラー21を押し出すので、係止部22に
係合部23を自動的に係合させ、ケース７とシャンク８と
の相対回転が阻止される。

次に、カラー21に作用するバネ19の力を説明（第３図参
照）する。

バネ19の押圧力をP₁とすると、スライダ18はP₁の力で押
され、ボール27によりカラー21をP₂の力で押す。

P₁とP₂との関係は、次式で表わされる。

従って、この割合によりP₂は著しく減衰される。

〔効果〕

以上のように、この考案に係る切削取付けユニットによ
れば、１個のバネによってピン及びカラーを押し出すよ
うにしてあるので、ピンとカラーとを別々のバネにより
押し出す必要がない。

また、外部にバネを露出させないので、切粉がからむよ
うなことがない。

さらに、スライダを介しピンに作用させるバネの押圧力
を、ボールを介しカラーにも作用させると共に、ボール
に対するスライダとカラーの接触面の傾斜角度を異なら
せることでカラーに作用する押圧力の大きさを小さく変
化させるので、上記カラーに作用するバネ力を著しく減
衰し、スムーズにカラーをスライドさせることができ
る。

【図面の簡単な説明】

第１図はこの考案に係る切削具取付けユニットの一部切
欠正面図、第２図は第１図の要部を示す縦断側面図、第
３図はカラーに作用するバネの力の説明図である。 Ａ……ユニット、１……主軸、２……フレーム、３……
テーパー孔、４……係合台、５……テーパー穴部、６…
…ユニット、７……ケース、８……シャンク、９……把
持部、10……接続部、11……伝達機構、12……切削具、
13……チャック装置、14……保持台、15……ピン穴、16
……ピン、17……テーパー端部、18……スライダ、19…
…バネ、21……カラー、22……係止部、23……係合部、
24……突軸、25……透孔、26……透孔、27……ボール、
28……凹部、29……テーパー部、30……テーパー面部。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】ホルダシャンクに回転自在に支持されるユ
   ニットケースに、機械の主軸端面に向かい合うピン支持
   台を設け、そのピン支持台の内部に、上記主軸端面に向
   かってピン支持台から突出する固定用ピンと、このピン
   を押し出すバネと、そのピンとバネの間に介在するスラ
   イダとを組込み、上記固定用ピンの外周に、ピン支持台
   に回り止めされた位置決めカラーを上記ピンの押し出し
   方向にスライド可能に嵌合させ、上記スライダと位置決
   めカラーの内面を、ピン支持台の透孔にピンの押し出し
   方向とは直交する方向に移動可能に組込んだボールに対
   して同時に接触させ、このボールに対するスライダとカ
   ラーの接触面を、それぞれピンの押し出し方向に対して
   同じ方向に傾斜するテーパ面で形成すると共に、カラー
   のテーパ面の傾斜角度をスライダのテーパ面の傾斜角度
   よりも小さく設定し、上記ホルダシャンクには、スライ
   ダとボールを介してバネの弾性力によって押し出された
   位置決めカラーが係合する係止部を設けて成る切削具取
   付けユニット。